説明

信号処理装置、信号処理方法、及び信号処理プログラム

【課題】時定数を小さくして測定ドリフトを低減し、且つ、チャージコンデンサを小型化しつつも良好な感度と広範な測定範囲で動作可能な信号処理装置、信号処理方法、及び信号処理プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】電荷を信号として出力するセンサ2の信号を処理して計測値を出力する信号処理装置1であって、前記センサ2が出力する電荷をチャージコンデンサCfに蓄えて電圧信号にするチャージアンプ回路3と、前記チャージアンプ回路3の電圧信号をデジタル値に変換するAD変換回路9と、前記チャージコンデンサCfを定期的に放電させると共に、前記AD変換回路9のデジタル値に、前記チャージコンデンサCfを放電する前に前記信号処理装置1から出力した直近の計測値を加算した値を、前記センサ2の信号の計測値として前記信号処理装置1から出力させる処理部6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷を信号として出力するセンサの信号を処理して計測値を出力する信号処理装置、信号処理方法、及び信号処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子制御技術の発達に伴い、圧電素子のように、計測した物理量に応じた電荷を出力するセンサが普及している。このようなセンサが出力する電荷をチャージコンデンサに蓄積して電圧信号にするものとして、特許文献1〜4に開示されているようなチャージアンプ回路が考案されている。例えば、特許文献1に開示されている回路は、圧電素子に外力が加わっていない間にチャージコンデンサを放電している。また、特許文献2に開示されている回路は、出力のドリフトが一定レベルを超えると、チャージコンデンサを放電している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−109560号公報
【特許文献2】特開2005−91235号公報
【特許文献3】特開2008−294807号公報
【特許文献4】特開2009−58290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チャージアンプ回路では、オペアンプの反転入力端のリーク電流によってチャージコンデンサが充電され、また、出力の飽和を防ぐ負帰還抵抗が並列に接続される。ここで、チャージアンプを用いて直流の信号を長時間計測する場合、チャージされた電荷による出力の飽和を防ぐため時定数を大きくする必要があるが、負帰還抵抗の抵抗値を例えば数十GΩといったオーダーの大きさにすると、僅かなリーク電流であっても多大な電位差が生じ、測定ドリフト等の影響を受けやすくなる。また、チャージアンプのゲインが小さくなるためS/N比が悪化する。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、時定数を小さくして測定ドリフトを低減し、且つ、チャージコンデンサを小型化しつつも良好な感度と広範な測定範囲で動作可能な信号処理装置、信号処理方法、及び信号処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、チャージコンデンサを定期的に放電させると共に、放電前の計測値を保持して計測値に積算することにした。
【0007】
詳細には、本発明は、電荷を信号として出力するセンサの信号を処理して計測値を出力する信号処理装置であって、前記センサが出力する電荷をチャージコンデンサに蓄えて電圧信号にするチャージアンプ回路と、前記チャージアンプ回路の電圧信号をデジタル値に変換するAD(Analog-to-Digital)変換回路と、前記チャージコンデンサを定期的に放
電させると共に、前記AD変換回路のデジタル値に、前記チャージコンデンサを放電する前に前記信号処理装置から出力した直近の計測値を加算した値を、前記センサの信号の計測値として前記信号処理装置から出力させる処理部と、を備える。
【0008】
チャージコンデンサを定期的に放電させることにすれば、チャージコンデンサに蓄えられる電荷の量が小さくなるため、チャージコンデンサの容量を小さくすることができる。この結果、長時間の計測をする場合であっても回路の時定数を小さくすることができるので、負帰還抵抗を小さくして測定ドリフトを低減することができる。
【0009】
また、上記信号処理装置は、チャージコンデンサを放電させる際に、センサの信号の計測値として本信号処理装置が出力した計測値を保持しておき、チャージコンデンサを放電させた後、次にチャージコンデンサを放電させる前までの間に本信号処理装置から出力させる計測値に、保持しておいた計測値を上乗せすることにより、チャージコンデンサの放電によって失われる電荷量を補償している。これにより、チャージコンデンサを小型化しつつも良好な感度と広範な測定範囲での動作を可能にしている。
【0010】
なお、前記処理部は、前記チャージコンデンサの放電を、前記AD変換回路が前記デジタル値への変換を終えたタイミングで定期的に実行するものであってもよい。このタイミングで放電を行なえば、スイッチング動作の影響をAD変換回路に与えることなく、また、保持しておいた計測値に上乗せする際に不可避的に漏れる電荷量を減らすことができる。
【0011】
また、前記処理部は、前記AD変換回路のデジタル値が、不感帯として規定した範囲内の場合には、前記センサが物理量を感知しない際の前記AD変換回路の理論上のデジタル値に、前記チャージコンデンサを放電する前に前記信号処理装置から出力した直近の計測値を加算した値を、前記センサの信号の計測値として前記信号処理装置から出力させるものであってもよい。このような不感帯を設定することにより、保持しておいた計測値に上乗せする際に不可避的に蓄積され、積算的に増大することになる微小ノイズの影響を抑制することができる。
【0012】
なお、本発明は、方法やプログラムとしての側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、電荷を信号として出力するセンサの信号を処理して計測値を出力する信号処理装置が実行する信号処理方法であって、前記センサが出力する電荷をチャージコンデンサに蓄えて電圧信号にするチャージアンプ回路の前記チャージコンデンサを定期的に放電させると共に、前記チャージアンプ回路の電圧信号をデジタル値に変換するAD変換回路のデジタル値に、前記チャージコンデンサを放電する前に前記信号処理装置から出力した直近の計測値を加算した値を、前記センサの信号の計測値として前記信号処理装置から出力するものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
時定数を小さくして測定ドリフトを低減し、且つ、チャージコンデンサを小型化しつつも良好な感度と広範な測定範囲で動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】センサ信号処理装置の構成図である。
【図2】スイッチS1の開閉動作のタイミングとAD変換回路の動作タイミングを示したタイミングチャート図である。
【図3】センサ信号処理装置において生成される波形の一例を示した図である。
【図4】チャージコンデンサに蓄積される電荷の量を比較して示した図である。
【図5】設定した不感帯の一例を示した図である。
【図6】圧電素子に一定の荷重を加えた場合の出力を比較して示した図である。
【図7】圧電素子に周期的な荷重を加えた場合の出力を比較して示した図である。
【図8】圧電素子に荷重を加えた際の圧電素子の出力と計測値とを比較して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明の実施形態について説明する。センサ信号処理装置1の構成を図1に示す。センサ信号処理装置1は、各種の物理量(力、応力、トルク、圧力など)を測定する圧電素子2のアナログ信号を処理してデジタル信号を出力する回路であり、圧電素子2の信号を処理するチャージアンプ回路部3や電圧増幅回路部4、マイクロコンピュータ5を備えている。なお、センサ信号処理装置1に適用するセンサは、圧電素子に限定されるものではなく、例えば、フォトダイオードのように、電荷を信号として出力するあらゆる素子を用いることができる。
【0016】
チャージアンプ回路部3は、抵抗Ri、スイッチS1、チャージコンデンサCf、抵抗Rf、アンプOP1を備えており、圧力を受ける圧電素子が出す電荷ΔQをチャージコンデンサCfで蓄えてアンプOP1が電圧ΔQ/Cfに変換する回路である。電圧増幅回路部4は、抵抗R1、抵抗R2、アンプOP2を備えており、チャージアンプ回路部3が出力する信号を、マイクロコンピュータ5のAD変換回路9の入力に適した適当な電圧に増幅する。
【0017】
ここで、スイッチS1は、マイクロコンピュータ5によって開閉されるスイッチであり、チャージコンデンサCfに貯まった電荷を放電するためのものである。スイッチS1が閉じられると(オンになると)、チャージコンデンサCfに積分的に蓄積される電荷が放電され、オペアンプOP1のバイアス電流やプリント基板上のリーク電流、負帰還用の抵抗Rfによる出力電圧のドリフトの影響が低減されて、チャージアンプ回路部3の出力電圧の飽和が防止される。
【0018】
マイクロコンピュータ5は、プロセッサ6やメモリ7、出力IF(interface)回路8
、AD変換回路9を内蔵する数値制御装置であり、メモリ7に展開されたコンピュータプログラムをプロセッサ6がロードして実行すると、出力IF回路8を介してスイッチS1を制御しながら、圧電素子2のアナログ信号をAD変換回路9でデジタル信号に変換する。以下、マイクロコンピュータ5の動作を説明する。
【0019】
プロセッサ6は、センサ信号処理装置1の電源が入ると、スイッチS1を以下のように制御しながら圧電素子2の信号を処理する。スイッチS1の開閉動作のタイミングとAD変換回路9の動作タイミングを示したタイミングチャートを図2に示す。
【0020】
プロセッサ6は、センサ信号処理装置1の電源が入ると、スイッチS1を一定時間(Ton)だけオンにする。スイッチS1をオンにする時間(Ton)は、チャージコンデンサCfに蓄積されている電荷を十分に放電できる時間であり、チャージコンデンサCfの容量や回路特性に応じて予め設定した時間である。
【0021】
プロセッサ6は、センサ信号処理装置1の電源が入ってスイッチS1を一定時間(Ton)だけオンにしてから一定時間(Ts)経過後、AD変換回路9に電圧増幅回路部4の信号のサンプリングを実行させる。ここで、スイッチS1をオンにしてから、AD変換回路9に電圧増幅回路部4の信号をサンプリングさせるまでの時間(Ts)は、AD変換回路9に規定のサンプリング周期であり、AD変換回路9の仕様に基づいて予め定まっている時間である。サンプリング周期の時間(Ts)は、スイッチS1をオンにする時間(Ton)よりも長いため、スイッチS1がオンの状態でAD変換回路9が電圧増幅回路部4の信号のサンプリングを実行することは無い。このため、スイッチS1のスイッチング動作に起因するAD変換回路9の変換結果に影響を与えることも無い。
【0022】
プロセッサ6は、AD変換回路9が規定のサンプリング周期(Ts)で電圧増幅回路部
4の信号を4回サンプリングした後、チャージコンデンサCfに貯まった電荷を放電する。すなわち、プロセッサ6は、AD変換回路9が4回目のサンプリングを終えた後、スイッチS1を一定時間(Ton)だけオンにする。以降、プロセッサ6は、センサ信号処理装置1の電源が切れるまで、AD変換回路9がサンプリングを4回行なう毎にスイッチS1を一定時間(Ton)だけオンにする処理を繰り返し実行する。AD変換回路9が4回目のサンプリングを終えた後、スイッチS1をただちにオンにしているため、この間にチャージコンデンサCfに貯まった電荷の量を最低限に抑制できる。なお、スイッチS1をオンにする頻度は、AD変換回路9がサンプリングを4回行ったタイミングである必要に限定されるものではなく、サンプリングの回数が3回以下、或いは5回以上のタイミングであってもよい。スイッチS1をオンにする頻度は、AD変換回路9やチャージコンデンサCf、抵抗Rf、圧電素子2の仕様等に応じて適宜決定する。
【0023】
プロセッサ6は、AD変換回路9によるサンプリングが規定のサンプリング周期(Ts)で繰り返し実行され、サンプリングに合わせてスイッチS1を一定周期で動作させている間、AD変換回路9がAD変換した計測値のデータ(以下、計測データという)を以下のように処理する。すなわち、プロセッサ6は、スイッチS1をオンにする直前の計測データを記憶しておき、次にスイッチS1をオンにするまでの間にAD変換回路9が新たにサンプリングした計測データに、記憶しておいた計測データを加算処理し、その演算結果の値を、圧電素子2が検知した物理量の計測データとして出力IF回路8から外部へ出力する。
【0024】
例えば、図2に示すように、各サンプリング点におけるAD変換回路9の計測データをX(1〜9)で表し、プロセッサ6が出力IF回路8から外部へ出力する計測データをY(1〜9)で表す。この場合、図2に示すように、第1回目から第4回目までのサンプリング時には、スイッチS1がオンになる前の計測データがメモリ7に記憶されていないため、AD変換回路9の計測データがそのまま出力IF回路8から外部へ出力される。また、第5回目から第8回目までのサンプリング時には、AD変換回路9の計測データに、スイッチS1がオンになる前の直近の計測データY(4)を加算した値が、圧電素子2が検知した物理量の計測データとして出力IF回路8から外部へ出力される。また、第9回目のサンプリング時には、AD変換回路9の計測データに、スイッチS1がオンになる前の直近の計測データY(8)を加算した値が、圧電素子2が検知した物理量の計測データとして出力IF回路8から外部へ出力される。
【0025】
プロセッサ6が上記のような処理を行うことにより、AD変換回路9は、第1回目から第4回目までのサンプリング時には、AD変換回路9の計測データX(1〜4)を、圧電素子2が検知した物理量の計測データY(1〜4)としてそのまま出力IF回路8から外部へ出力する。また、第5回目から第8回目までのサンプリング時には、AD変換回路9の計測データX(5〜8)に、スイッチS1がオンになる前の計測データY(4)をそれぞれ加算した計測データを、圧電素子2が検知した物理量の計測データY(5〜8)として出力IF回路8から外部へ出力する。また、第9回目までのサンプリング時には、AD変換回路9の計測データX(9)に、スイッチS1がオンになる前の計測データY(8)をそれぞれ加算した計測データを、圧電素子2が検知した物理量の計測データY(9)として出力IF回路8から外部へ出力する。
【0026】
上記センサ信号処理装置1において生成される波形の一例を図3に示す。上記センサ信号処理装置1では、スイッチS1が定期的にオンになることで、チャージコンデンサCfに貯まった電荷が放電されている。この結果、AD変換回路9の計測データの値Xは、図3に示すように、スイッチS1がオンになってチャージコンデンサCfに貯まった電荷が放電される度に初期化されることになる。しかしながら、上記センサ信号処理装置1では、スイッチS1をオンにする直前の計測データYをメモリ7に記憶しておき、次にスイッ
チS1をオンにするまでの間にAD変換回路9が新たにサンプリングした計測データに、記憶しておいた計測データを加算処理しているため、圧電素子2が検知した物理量として出力IF回路8から外部へ出力する計測データYの値が重畳的に積算されていくことになる。
【0027】
上記センサ信号処理装置1によれば、チャージコンデンサCfの容量を小さくすることができる。圧電素子2が検知した物理量の計測データを出力する際、チャージコンデンサCfに蓄積される電荷の量を、スイッチS1をスイッチング動作させながら積算して出力する場合と、スイッチS1をスイッチング動作させないで出力する場合とを比べたグラフを図4に示す。
【0028】
スイッチS1をスイッチングしない場合の出力電圧は、例えば図4に示すように、スイッチS1をスイッチングする場合の出力電圧の約5倍に達することもあるため、チャージコンデンサCfの容量は、そのような出力電圧によっても電荷が飽和しない程度の大きさが必要である。しかし、圧電素子2が検知した物理量の計測データを出力する際、スイッチS1をスイッチング動作させながら積算して出力すると、チャージコンデンサCfに蓄積される電荷が頻繁に放電されるので、スイッチS1をスイッチング動作させないで出力する場合に比べて、チャージコンデンサCfの容量を大幅に小さくすることができる。この結果、回路の時定数を小さくすることができるので、抵抗Rfの抵抗値を従来のように数十GΩから、例えば、数十から数百MΩにして、測定ドリフトを低減することができる。チャージアンプ回路部3が電圧増幅回路部4へ送る信号の電圧は、圧電素子2から出てチャージコンデンサCfに積分的に蓄積される電荷の量に正比例し、チャージコンデンサCfの容量に反比例するため、チャージコンデンサCfの容量が小さくなると、少ない電荷でも大きな出力電圧が得られ、S/N比が向上することになる。すなわち、チャージコンデンサCfの容量が大きいと、測定レンジを広くできるものの出力電圧が小さくなるのでS/N比が悪くなるのに対し、チャージコンデンサCfの容量が小さいと、出力電圧が大きくなるのでS/N比が良くなるものの測定レンジが狭くなるので、本実施形態では、スイッチS1をスイッチング動作させながら積算処理することにより、測定レンジが狭くなる問題を解決している。
【0029】
なお、圧電素子2や回路のノイズによる出力のドリフトを低減するため、上記センサ信号処理装置1を以下のように変形してもよい。すなわち、圧電素子2や回路のノイズは、圧電素子2に物理量が入力されていない場合であっても発生し続け、圧電素子2が検知した物理量として出力IF回路8から外部へ出力する計測データYの値に重畳的に加算されていくことになる。
【0030】
そこで、本変形例では、プロセッサ6がAD変換回路9の計測データを処理するにあたり、図5に示すような不感帯を設定する。不感帯は、例えば、ノイズに起因する計測データの変動範囲内である、変動幅の上限値と下限値との間(例えば、AD変換回路9の分解能で数段階から数十段階程度の範囲内)に設定する。不感帯をこのように設定した場合、不感帯の中心は変動幅の上限値と下限値との間の中間値に位置することになるため、図5に示すように、不感帯がゼロよりも上側の値にシフトすることがある。
【0031】
マイクロコンピュータ5がAD変換回路9の計測データを処理する際、計測データの値がこの不感帯の範囲内であればこの値を無視する。そして、圧電素子2が検知した物理量として出力IF回路8から外部へ出力する計測データYを算出する際には、AD変換回路9の計測データが不感帯の中間値であるものとして取り扱う。
【0032】
これにより、圧電素子2に物理量が入力されていないにも関わらず、圧電素子2や回路のノイズが計測データYの値に重畳的に加算されていくことがなくなり、出力のドリフト
が解消する。不感帯を設けた場合の出力と不感帯を設けない場合の出力とを比較したグラフであって、圧電素子2に一定の荷重を加えた場合のグラフを図6に、圧電素子2に周期的な荷重を加えた場合のグラフを図7に示す。図6や図7のグラフから判るように、不感帯を設けた場合、不感帯を設けない場合に比べて出力が安定する。
【0033】
圧電素子2の場合、AD変換回路9の入力電圧は、圧電素子2に加わっている力が変化した際にしか変化しない。よって、出力データは、本来であれば、図8で「不感帯あり」として示すように、荷重が変化していない間、一定の値を保つことになる。しかしながら、不感帯を設定しないことにより、ノイズが計測データYの値に重畳的に加算されていく場合、図8で「不感帯なし」として示すように、荷重が変化していない間、出力データが一定に保たれないことになる。
【符号の説明】
【0034】
1・・センサ信号処理装置,2・・圧電素子,3・・チャージアンプ回路部,4・・電圧増幅回路部,5・・マイクロコンピュータ,6・・プロセッサ,7・・メモリ,8・・出力IF回路,9・・AD変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷を信号として出力するセンサの信号を処理して計測値を出力する信号処理装置であって、
前記センサが出力する電荷をチャージコンデンサに蓄えて電圧信号にするチャージアンプ回路と、
前記チャージアンプ回路の電圧信号をデジタル値に変換するAD変換回路と、
前記チャージコンデンサを定期的に放電させると共に、前記AD変換回路のデジタル値に、前記チャージコンデンサを放電する前に前記信号処理装置から出力した直近の計測値を加算した値を、前記センサの信号の計測値として前記信号処理装置から出力させる処理部と、を備える、
信号処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記チャージコンデンサの放電を、前記AD変換回路が前記デジタル値への変換を終えたタイミングで定期的に実行する、
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記AD変換回路のデジタル値が、不感帯として規定した範囲内の場合には、前記センサが物理量を感知しない際の前記AD変換回路の理論上のデジタル値に、前記チャージコンデンサを放電する前に前記信号処理装置から出力した直近の計測値を加算した値を、前記センサの信号の計測値として前記信号処理装置から出力させる、
請求項1または2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
電荷を信号として出力するセンサの信号を処理して計測値を出力する信号処理装置が実行する信号処理方法であって、
前記センサが出力する電荷をチャージコンデンサに蓄えて電圧信号にするチャージアンプ回路の前記チャージコンデンサを定期的に放電させると共に、前記チャージアンプ回路の電圧信号をデジタル値に変換するAD変換回路のデジタル値に、前記チャージコンデンサを放電する前に前記信号処理装置から出力した直近の計測値を加算した値を、前記センサの信号の計測値として前記信号処理装置から出力する、
信号処理方法。
【請求項5】
電荷を信号として出力するセンサの信号を処理して計測値を出力する信号処理装置が実行する信号処理プログラムであって、
前記信号処理装置に、前記センサが出力する電荷をチャージコンデンサに蓄えて電圧信号にするチャージアンプ回路の前記チャージコンデンサを定期的に放電させると共に、前記チャージアンプ回路の電圧信号をデジタル値に変換するAD変換回路のデジタル値に、前記チャージコンデンサを放電する前に前記信号処理装置から出力した直近の計測値を加算した値を、前記センサの信号の計測値として前記信号処理装置から出力する処理を実行させる、
信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−15444(P2013−15444A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149132(P2011−149132)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)