信号特性の自動識別を行うための方法および装置
特定の信号特性を識別するために信号を評価する方法は、機械学習を信号のマルチタップサンプリングから得られる多次元ヒストグラムに適用することを含む。信号は、サンプル集合を取り出すために少なくとも2つのタップ点からサンプリングされるとともに、少なくとも2つのタップ点は、時空間サンプルまたはスペクトル的に区別できるサンプルのような別個のサンプルを信号から取り出すように構成される。複数のサンプル集合が、時間の経過とともに信号から取り出される。少なくとも二次元のヒストグラムが、複数のサンプル集合の同時確率分布から構成される。次いで、機械学習アルゴリズムが、多次元ヒストグラムを処理しするとともに、信号の少なくとも1つの特性の値を予測するように訓練される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号特性の識別に関するものであり、特に、信号の1つまたは複数の特性を識別するために機械学習アルゴリズムを信号の位相図に適用することに関するものである。
【0002】
本出願は、2005年10月13日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2005905668号、2006年3月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006901088号、および2006年10月5日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006905508号の優先権を主張し、引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
実質的に自動化された方法で信号の特性を判定することが望ましい広範な用途が存在する。このような用途の1つは、一般的にデータ伝送媒体(例えば、特に光学性能監視)であり、根幹にある障害の原因および場所についての診断を行い、調節可能な素子の性能を最適化するとともに、ビット誤り率(BER)を推定するために、伝送された光信号の変化を識別することが望まれる。他のこのような用途には、一般的に検知された生体信号(例えば、特に心電図信号監視)があり、不整脈、細動、または他のそのような信号の特徴の出現、差し迫っている開始、または差し迫っている停止などのような信号特性を識別することが望まれる。
【0004】
信号の周波数領域分析および時間領域分析に基づいて、当該の信号特性を識別する試みがなされているが、その成功の度合いはさまざまである。周波数領域の方法は、信号のスペクトル成分を分析するとともに、一般的に時間に関して信号の平均をとるものであるため、信号の歪みに関する情報をほとんど、または全く含まない。時間領域信号監視技術では、信号をサンプリングまたは信号のトレースを取得し、信号波形の表現を生成する。このような時間領域技術は、信号の歪みおよび雑音に対して敏感である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周波数領域または時間領域のいずれにあろうと、観察された信号変化を様々な信号特性と相関させるために相当の努力がなされた。このような信号特性は、信号源と観察点との間に生じる信号劣化メカニズムの結果とするか、または信号源それ自体の変化の結果とすることが可能であった。しかし、特に生体系から検知された信号のように複雑性の高い信号の場合、ある信号特性の変化が、観察された信号にこれまでに識別されてない変化が生じる原因となるため、特に複数の特性が同時に出現したときに、信号特性の識別が困難になる。同様に、様々な信号特性の変化は、当該の信号に類似性の高い変化を生じさせる原因となるため、その信号に何らかの変化が生じたことを推論できる一方で、可能性がある複数の特性のうちのどれが変化の原因になったかを判定することは困難になる。
【0006】
文書、活動、材料、デバイス、物品、または本明細書に含まれているようなものに関する説明は、本発明の文脈を明らかにすることのみを目的としている。これらのものはどれも、またはすべて、従来技術ベースの一部をなすか、または本出願の各請求項の優先日よりも前に存在していたため本発明に関係する分野において公知事実であったと認めるものとして解釈すべきではない。
【0007】
本明細書全体を通して、単語「含む」、「備える」は、述べられた要素、完全体もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップのグループを包含し、他の要素、完全体もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップのグループを除外しないことを意図しているものと理解される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の態様により、信号を評価する方法を実現し、この方法は、
サンプル集合を取り出すために信号から区別できるサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点から信号をサンプリングすることと、
時間の経過とともに複数のこのようなサンプル集合を取り出すことと、
複数のサンプル集合の同時確率分布の少なくとも二次元のヒストグラムを構成することと、
少なくとも二次元のヒストグラムを、信号の少なくとも1つの特性の値を予測するために訓練された機械学習アルゴリズムに渡すこととを含む。
【0009】
本発明は、第2の態様により、信号を評価するデバイスを実装し、このデバイスは、
信号から別個のサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合を信号からサンプリングするとともに、時間の経過に伴って複数のそのようなサンプル集合を取り出すマルチタップサンプラーと、
複数のサンプル集合の同時確率分布の少なくとも二次元のヒストグラムを構成するプロセッサと、
少なくとも二次元のヒストグラムを処理するとともに、信号の少なくとも1つの特性の値を予測するために訓練された機械学習アルゴリズムとを備える。
【0010】
本発明は、信号から多数のサンプル集合を取得することから生成される同時確率分布に訓練された機械学習アルゴリズムを適用することにより、信号の効果的な評価が得られることを認める。例えば、それぞれのサンプル集合がタップ遅延時間によって隔てられている2つのタップ点から得られた2つサンプルx1およびx2を含む場合、x1対x2の確率密度関数の二次元プロットは、2つのサンプリング点間のタップ遅延、および信号の特性の両方に依存する形をとる。したがって、信号の1つまた複数の特性の変化は、確率密度関数の変化を導き、次いで、これは機械学習処理により識別され、測定され、および/または予測される。機械学習モジュールは、k近傍、決定木、回帰、リッジ回帰、ニューラルネットワーク、および/またはサポートベクターマシン/回帰などの分類または回帰のための教師有り学習技術に依存する。機械学習モジュールは、線形カーネル、または次数nの多項式などの非線形カーネルを利用する。
【0011】
機械学習モジュールは、シミュレーションおよび/または実験測定から得られた訓練集合から訓練される。訓練集合のそれぞれの要素は、好ましくは、同時確率分布または位相図のサンプル密度を表す少なくとも二次元のヒストグラムを含む。
【0012】
好ましくは、サンプル集合の分布の機械学習評価は、例えば、散布図領域を複数の部分領域とみなし、それぞれの部分領域内に出現する多数のサンプル点を決定してサンプル密度の2次元ヒストグラムを生成することにより散布図全体に対するサンプル密度を評価することを含む。部分領域は、好ましくは、方形グリッドなど、グリッドの均等なサイズの要素である。または、部分領域は、様々なサイズであり、例えば、最大ビンサイズでは、最大閾値より上にあるすべての点を取り込み、最小ビンサイズでは、最小閾値より下にあるすべての点を取り込む。予測精度を上げるために、グリッド要素サイズを選択または調整する。必要処理能力を低減するために、グリッド要素サイズを大きくする。例えば、それぞれのタップで単一決定閾値(1ビット分解能)を使用できる。このような実施形態は、機械学習評価にサンプル密度を一因子として含むと有効であることを認める。
【0013】
少なくとも2つのタップ点は、好ましくは、時間的に隔たりのある信号の部分から得られる効果により別個の信号からサンプルを取り出すために構成される。そのような時間的隔たりは、タップ遅延と呼ばれる。その、またはそれぞれのタップ遅延は、好ましくは調節可能である。このような実施形態では、選択された信号特性を評価するためにその、またはそれぞれのタップ遅延を調節することができる。例えば、その、またはそれぞれのタップ遅延は、信号中の注目する周期的成分の期間に、またはそのような期間の整数部に実質的に等しくなるように調節または設定することができる。それに加えて、またはそれとは別に、タップ遅延は、ヒストグラム時系列(またはヒストグラムの時系列)を提供するために連続的に調節される。
【0014】
サンプル集合は、好ましくは、規則的なサンプリング間隔で信号から取り出される。それとは別に、サンプル集合は、不規則な間隔で、またはランダムな間隔で取り出される。
【0015】
高周波数の周期的信号を評価する実施形態では、サンプリングされたデータを取り出すデバイスに対する処理速度要求条件を低減するために、サンプリング間隔は、信号周期よりも実質的に大きい(例えば、信号周期よりも数桁ほど大きい)。その結果、データを取り出すそのようなデバイスのコストを削減できる。それとは別に、サンプリング間隔は、特に、検知された生体信号のような低周波数の周期信号を評価する実施形態において、信号周期と同程度、または信号周期よりも実質的に短い。
【0016】
x1およびx2からなるサンプル集合を取り出す2つのサンプルタップからなる実施形態では、確率密度関数は、x1対x2をプロットするか、(x1−x2)対(x1+x2)をプロットするか、または他の二次元表現を使用することにより、得られる。
【0017】
本発明の他の実施形態では、3つまたはそれ以上のサンプルからなるサンプル集合を取り出すために、タップ遅延によって隔てられた3つまたはそれ以上のサンプルタップ点が提供される。例えば、3つのそのようなタップ点のタップ遅延分離距離が、信号の一周期の数分の1である場合、そのようなサンプル集合の確率密度関数は、信号の湾曲に関する情報を得るために使用される。
【0018】
いくつかの実施形態では、信号の注目する帯域またはチャネルは、サンプリング前に帯域通過フィルタを使用して選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、信号の別個のスペクトル位置からサンプルを取り出すために構成される。例えば、信号は、第1の通過帯域を有する第1のフィルタを通過する第1の成分、および第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタを通過する第2の成分の2つの成分に分割することができる。例えば、第1の通過帯域は、実質的に信号の注目する第1の周波数の中心に置くことができる一方で、第2の通過帯域は、実質的に信号の注目する第2の周波数の中心に置くことができる。
【0020】
それに加えて、またはそれとは別に、本発明の他の実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成される。例えば、信号は、第1の偏光配向を有する第1の偏光子を通過する第1の成分、および第1の偏光配向と異なる第2の偏光配向を有する第2の偏光子を通過する第2の成分の2つの成分に分割することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明は、本出願人により本出願と同時に出願され、2005年10月13日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2005905668号、2006年3月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006901088号、および2006年10月5日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006905508号の優先権を主張する、国際特許協力条約(PCT)出願の技術および開示と併せて、光信号減損監視を目的として適用される。同時出願のPCT出願の内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施例を記載する。
図1は、本発明の一実施形態による2タップ信号サンプリングデバイスの概略図である。
図2は、タップ遅延Δτとサンプリング間隔Tsを有する図1のデバイスによる信号のサンプリングを図示している。
図3は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を図示している。
図4は、ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を図示している。
図5は、ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する一次のPMDの影響を図示している。
図6は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する帯域内クロストークの影響を図示している。
図7は、同期アイダイアグラムと比較した、本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響をさらに図示している。
図8は、同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響を図示している。
図9は、タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を図示している。
図10は、1ビット周期のタップ遅延を使用して、NRZデータ信号の2タップサンプリングにより得られる同時確率密度関数の二次元ヒストグラムを図示している。
図11は、減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から得られる)。
図12は、リッジ回帰および線形カーネルを使用して光ネットワークにおいて典型的な減損の組み合わせを予測する機械学習アルゴリズムを使用した結果を図示している。
図13は、遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図14は、遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を図示している。
図15は、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図16は、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を図示している。
図17は、同期アイダイアグラムを入力として使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図18は、同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を図示している。
図19Aおよび図19Bは、アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図20Aおよび図20Bは、5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図21Aおよび図21Bは、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
図22は、RZ、NRZ、およびNRZ−DPSK変調データ信号、および色分散の診断を可能にする識別できる変化の特徴を示す位相図である。
図23および図24は、本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を図示している。
図25は、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として受け取ったときに線形カーネルの予測精度を示すとともに、OSNRに対するデータを追加した図13のデータの代替的表現を図示している。
図26は、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として受け取ったときに次数3の多項式カーネルの予測精度を示すととともに、OSNRに対するデータを追加した図14のデータの代替的表現を図示している。
図27は、本発明の他の実施形態により心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を図示している。
図28は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである22個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。
図29は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである62個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。
図30は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。
図31は、図30のヒストグラムから細動の停止を予測する本発明の効果を図示している。
図32は、図27の心電図信号の第2のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。
図33は、図30および図32のヒストグラムから細動の停止を予測する本発明の効果を図示している。
【0023】
本発明は、信号の位相図または確率密度関数の機械学習処理により診断できる信号特性を有するすべてのタイプの信号に応用される一方で、本明細書の実施形態は、光データ信号および心電図信号を特に参照しながら記載する。
【0024】
図1は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタ100の概略図である。少量の光パワーが、DWDM信号からタップされ、監視される光チャネルが、調整可能な光学フィルタ110により選択されるともに、次いで、高速レシーバ120により検出される。レシーバ出力は、2タップ遅延ラインに通され、デュアルチャネルA/Dサンプラ130により非同期にサンプリングされ、次いで、サンプルペア(x1,n,x2,n)がプロセッサ140に渡され、そのような多数のサンプル集合の確率密度関数を較正するとともに、適切に訓練された機械学習アルゴリズムを集められたサンプル集合に適用する。x(t)が、光学的に逆多重化チャネルを表す場合、サンプルペアは以下の式で与えられる。
x1,n=x(nTs)
x2,n=x(nTs+Δτ)
ただし、Δτは、タップ間の時間を表すとともに、1/Tsは、サンプリングレートである。図1のモニタ100は、電気的領域においてタップ遅延Δτをもたらすために光レシーバ120の後ろに置かれる簡単な2タップ遅延ラインを使用することにより本発明の簡単な実装を提供する。
【0025】
図2は、3つのサンプルペア、すなわち(x1,1,x2,1)、(x1,2,x2,2)、および(x1,3,x2,3)を得る際の図1のモニタ100による光信号のサンプリングのタイミングを図示している。本発明の実施形態では、サンプルとサンプルの間には、数千ものビットがあるとともに、サンプリングレート1/Tsは、ビットレートよりも数桁遅いように、図2の時間スケールは、Tsに関してスケール通りではないことに留意されたい。サンプリングレート1/Tsは、ビットレートと無関係であるため、非同期サンプリングが実行される。
【0026】
図2に示されている実施形態では、タップ遅延Δτは、ビット周期のうちのごくわずかであり、実際には、波形の勾配および振幅の近似的基準を与えるものである。タップ遅延Δτは、他の実施形態では、1ビット周期の数分の1よりも大きい(例えば、タップ遅延Δτは、ビット周期とほぼ等しい)。
【0027】
プロセッサ140は、(x1,x2)の二次元ヒストグラムとも呼ばれる、x2対x1の二次元散布図の形をとる、サンプルペアの確率密度関数を表すヒストグラムを生成する。
【0028】
光信号減損のタイプと大きさを識別する非同期モニタの性能を図示するシミュレーションの結果は、図3ないし図6に示した。図3および図4は、それぞれ、散布図を並べたものである。x2対x1をプロットする代わりに、図3および図4のプロットは、(x1−x2)対(x1+x2)である。図3および図4のそれぞれの列の散布図は、左から右へ共通タップ遅延をΔτ=1ビット周期、Δτ=1/2ビット周期、Δτ=1/4ビット周期、およびΔτ=1/8ビット周期として得られたものである。散布図のそれぞれの行は、上から下へ0ps/nm、160ps/nm、320ps/nm、480ps/nm、640ps/nm、および800ps/nmの共通の分散量の影響を受ける信号から得られる。
【0029】
図3および図4は、 (1,0)と(0,1)との間の遷移が、分散を診断および監視するための潜在的特徴であることを示している。つまり、分散は、300で示されているように、プロットの原点に向かう湾曲を引き起こすこの遷移に関する識別可能な特徴を有する。図3の散布図を得るためにサンプリングされた信号は、増幅器の自然放出雑音(ASE)を全く受けていなかった一方で、(1,0)−(0,1)遷移に対する分散の特徴は、図4に図示した中で400が示しているように、ASE(OSNR=22dB)の存在下において依然として明白であることに留意することは重要である。対称性などの他の基準も、同様に有用で際だった特徴である。
【0030】
図5は、ASE(OSNR=22dB)が存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のプロットに対する一次PMDの影響を図示している。特に、一次PMDが0psから50psまで高まるにつれ、散布図には、1/2ビット周期の、またはそれよりも短いタップ遅延に対し顕著な平坦化の問題が生じる。つまり、散布図の(1,0)領域は、散布図の(0,1)領域と同様に、一次PMDが大きくなると水平軸に向かって移動する。ここでもまた、散布図中のこの特徴または他の特徴は、ASEなどの他の劣化メカニズムが存在している場合でも、例えば一次PMDの診断において機械学習アルゴリズム処理により識別可能な、および/または機械学習アルゴリズム処理の効果に影響を及ぼす有用な信号特性であってよい。
【0031】
図6は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のプロットに対する帯域内クロストークの影響を図示している。これらの二次元プロットをよく見ると、帯域内クロストークは、ASEと似た影響を有することがわかる。したがって、帯域内クロストークは、分散または一次PMDとして誤診断される可能性はない。帯域内クロストークとASEとを区別することは、図6の二次元プロットからでは難しい場合があるが、複数のサンプルペアからさらに情報を抽出するのは役立つ場合がある(例えば、サンプル密度が第3の次元としてプロットされる三次元散布図が構成される)。
【0032】
図7では、本発明の散布図および同期アイダイアグラムに対する分散の影響についてさらに比較を行う。上側の4つの密度ヒストグラムは、Δτ=1ビット周期として10Gbit/s NRZ変調データの2タップサンプリングから得られたものである。図7の下側の4つのプロットはそれぞれ、例示の目的で上のそれぞれの密度ヒストグラムと同じ信号から得られる同期アイダイアグラムである。左から右へ、それぞれの列内で密度ヒストグラムおよび同期アイダイアグラムを得るためにサンプリングされた信号は、それぞれ、0ps/nm、160ps/nm、400ps/nm、および800ps/nmの分散レベルを受けた。特に、それぞれの2次元ヒストグラムの左下隅の三角形は、対角線上の遷移が原点に向かって湾曲するときに、分散の度合いを増しながら著しい「閉鎖」を受ける。その一方で、アイダイアグラムに対するそのような分散の影響は、かろうじて識別できるくらいのものである。
【0033】
図8は、同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明の密度ヒストグラムに対する分散の影響を図示している。図8のすべての密度ヒストグラムおよびアイダイアグラムは、800ps/nmの純分散を有する10Gbit/s NRZ変調データから得られた。左から右へ、それぞれの列内で密度ヒストグラムおよび同期アイダイアグラムを得るためにサンプリングされた信号は、それぞれ、25dB、30dB、および35dBのOSNRを有していた。ここでもまた、2タップヒストグラムにおける分散のシグネチャ特徴、つまり、原点に向かう対角線上の遷移の湾曲は、OSNRの悪条件の下であってもそのままはっきり識別できる。もう一度、それに対して、アイダイアグラムはデータの頂点の狭まりとベースの広がりを示しているが、そこで得られる人の目の情報は、存在する分散の量を定量化するには不十分である。
【0034】
調節可能な遅延Δτを組み込むことにより、追加の自由度を得ることができる。例えば、図3および図4は、遅延Δτが1ビット周期に等しい場合に分散の特徴が最もよく見られることを示唆する一方で、図5は、遅延が1/4ビット周期以下である場合に一次PMDに対する特徴が最もよく見られることを示している。したがって、調節可能な遅延Δτの余分な自由度は、劣化の複合する劣化の源を分離するとともに、個別に診断するのに役立つ。
【0035】
図9は、非減損信号に対する、タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を図示している。図9では、それぞれの各タップ遅延Δt=B/8、B/4、B/2、7B/8、15B/16、B、17B/16、9B/8、3B/2、7B/4、15B/8、および2Bについて散布図が示されている。ただし、Bはビットレートである。ここでもまた、ちょうど1ビットの遅延(Δt=B)については、一意的なパターンが形成されることに留意されたい。したがって、この一意的なパターンの形成を利用して、タップ遅延がビットレートに等しいことを確認することができるため、タップ遅延を知ることにより、ビットレートの診断に関する判定を行うことができる。特に、2ビットのタップ遅延(Δt=2B)に対するパターンと、1ビットに等しいタップ遅延に対するパターンとでは、前者は両方の診断遷移を有するが、後者は1つの診断遷移しか有しないという点で異なる。Δt=15B/16および17B/16の散布図を見るとわかるように、タップ遅延が1ビット周期からわずかでも変動すると、対角線上の遷移の縮退の損失が生じ、2つの分離した曲線が得られる。
【0036】
B/2未満の遅延の場合、これらのプロットは、それぞれのビット内におけるパワーの展開を表す。波形は、0→1の遷移に対しては下側曲線にそって大きくなり、1→0の遷移に対しては上側曲線にそって後退する。
【0037】
2つのサンプルタップを処理する先行の実施形態が、モニタに関して説明されている一方で、本発明の代替的実施形態は、使用するタップ数を増やすことにより、波形、および波形の歪みに関するさらに多くの情報を抽出できることに留意されたい。例えば、3つのタップから、信号曲率の分布に関する情報を得ることが可能である。
【0038】
したがって、本発明の実施形態は、劣化タイプの診断的識別を可能にする(ASE対分散対PMD対帯域内クロストークなど)。これは、光ネットワークの分野では重要な機能であり、多経路光ネットワークが次第に高度なものになってゆくにつれ価値が高まる可能性がある。
【0039】
これらの好ましい実施形態の上記の説明、および添付の図1から図9は、タップ間に時間遅延がある2タップサンプリングに関係する一方で、本発明の他の実施形態では、代替的な方法で互いから区別されるタップ点を利用できることが認められる。例えば、信号の光学的および/または電気的な各種前処理の範囲は、タップ点をサンプリングする前に実行される。
【0040】
次に、本発明が適用されるさらなるタイプの信号について、図22を参照しながら記載する。同じファイバ上で複数の変調フォーマットを搬送できる複雑なDWDMシステムの適切な管理を可能にするため、実用性のある全光ネットワーキングの実装には、費用効果の高く、かつ柔軟な監視機能が必要である。非ゼロ復帰(NRZ)およびゼロ復帰(RZ)などの振幅偏移変調(ASK)形式は、すでに現在のDWDMシステムにおいて遍在しているとともに、差動位相偏移変調(DPSK)などの位相変調形式は、ロバスト性が高まるため、回線速度が10Gbit/sから40Gbit/sになるとより一般的なものとなる。理想的には、光学的監視は、これらの形式すべてに対応できなければならない。さらに複雑な要求条件に対し、クロック抽出を邪魔する、色分散が等化される可能性のないネットワーク内のさまざまな地点(例えば、再構成可能型光アド・ドロップマルチプレクサ(ROADM:Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexers))において監視が必要になることがある。
【0041】
図22の信号の変調形式の生成に関して、単一の10Gbit/sチャネルが比較に使用されており、223−1のPRBSを使用している。NRZおよび50%のデューティサイクルRZは、適宜バイアスされたMZ変調器のペアにより生成された。NRZ−DPSKは、遷移と遷移との間で必要なπ位相シフトを与えるようにバイアスされた分離型強度変調MZ変調器から生成された。このようにしてDPSKを生成することで、駆動条件が最適に達しない条件である場合に、位相変調器に出現するチャープ生成の問題を回避する。次いで、変調されたチャネルは、色分散を加えるために様々な長さの単一モードファイバに通された。全体的損失は、光減衰器により一定に保たれた。これらの3つの形式はすべて、10GHzの3dB帯域幅を有するファブリー・ペロー光学フィルタ、および15GHzの帯域幅を有する電気的増幅ピンフォトダイオードからなる同じレシーバ構成により監視された。3dBのRFパワースプリッタおよび遅延ラインを使用して、1ビット(100ps)遅延を有する2つの電気的信号をデジタル通信アナライザに送り、そこで、1つの信号を同期サンプリングして標準アイダイアグラムを出力するか、または両方の信号を非同期サンプリングして機械学習アルゴリズムによる評価に適した二次元ヒストグラムを出力した。
【0042】
変調形式の比較を図示した図22は、25kmずつ、分散が単一モードファイバの0kmから100kmまで増やされたときのアイダイアグラムおよび対応する位相図の両方を示している。50kmを超えると、RZは劣化が極端になるためあまり重要でなくなる。代わりに、比較のため、分散がなく非常に広い70GHz光学フィルタを使用するRZおよびNRZの挿入図を示す。
【0043】
監視の意味:図22の位相図は、3つの変調形式間の際立った差を示しており、機械学習による変調形式を認識する潜在性を強調している。それぞれの形式において、これらの図は、同様に、分散の増大とともに生じる特徴的であるが異なる変化を示している。例えば、先のNRZの対角線上の湾曲は、図3および図4に関係して、(例えば、色分散の直接的基準を有するものとして)示されている。同様に、RZ位相図は、光広帯域幅についても指摘されているのと同様に最終的に箱型の形態をとる左下隅の分割を示している。遅延タップ技術のパワーは、NRZ−DPSKのプロットにおいて特に明らかである。分散が増大するにつれ、標準アイダイアグラムの交差部分の勾配変化は、NRZ-DPSK位相図内で明らかな特徴、特に対角線上の逆になった湾曲、および位相図の下側および左側の消失に比べてかなり検出が難しい。
【0044】
遅延干渉計の代わりに狭帯域フィルタを使用することでDPSKレシーバは異なる性能を備えるが、しかしこれは、監視目的に関して重要な問題ではないことに留意されたい。図22cからわかるように、狭帯域フィルタリングのあるNRZ−DPSKの目は、最初に、劣化が始まる前に増大する分散とともに改善される。その効果は、これまでDPSK伝送の到達範囲を広げるために使用されてきた。逆に、干渉計レシーバおよびより広い光学的フィルタを使用するDPSKは、増大する分散とともに連続的に劣化する。しかし、図22cの位相図における違いは、この効果が、従来の較正でも説明できることを示している。
【0045】
図26bは、xおよびy軸がサンプル集合値を表し、z軸が位相図のそれぞれの部分領域において得られたサンプル密度を表す二次元ヒストグラムである。
【0046】
図1ないし図10は、2つのタップ点に関係しているが、特徴のこれらまたは他の組み合わせは、3つまたはそれ以上のタップ点を使用するさらに他の実施形態において実装できることがさらに認められる。図11は、減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から得られる)。1ビットの時間遅延が、第1のサンプルタップ点と第2のサンプルタップ点との間に、また第2のタップ点と第3のタップ点との間に負担される。他の図の二次元散布図の場合のように、特定の「遷移」は不可能なため、そのような遷移には点が出現しないことに留意されたい。例えば、不可能な遷移の中でもとりわけ(1,1,1)から(0,0,0)への遷移上に点が存在することはない。
【0047】
前の図は、減損を診断のため区別することを可能にする潜在性を有する特徴を分離するために、そのような散布図または信号点配置図、位相図、確率密度関数、および二次元またはそれ以上のヒストグラムの可能性および汎用性を図示している。例えば、010と101の遷移を表す線において明らかな湾曲は、色分散に強く関係付けられる。
【0048】
本発明は、信号減損タイプおよび/または重大度のそのような診断を補助することに機械学習が利用されることをさらに認める。したがって、本発明により、図1のプロセッサ140は、チャネル減損または信号源の特性といった信号波形中に存在する信号特性を自動的に識別し、定量化する信号処理モジュール150を備える。処理モジュールは、教師有り学習技術に基づく。これらの技術は、限定はされないが、
・ 回帰、
・ リッジ回帰、
・ サポートベクター回帰を含む。
【0049】
これらの技術はどれも、線形カーネル
【数1】
または次数pの多項式カーネルようなの非線形カーネル
k(x,x')=(x・x'+1)p、ただしx=(xi)、x'=(x'i)∈Rd
とともに使用することができる。他の教師有り学習技術も、ここで使用可能である。教師有り学習用のトレーニング集合は、シミュレーション、実験測定、または両方の組み合わせから作成される。本明細書に記載されている好ましい実施形態では、非同期モニタからの出力は、2つまたはそれ以上のサンプルタップのいずれにより得られたものであっても、図10に図示されている二次元ヒストグラムのように、トレーニング前の2またはそれ以上の次元のヒストグラムに処理される。例えば、図11に図示されたサンプル点により占有される体積を多数の部分体積に分割する。これにより、それぞれの部分体積内に入るサンプル点の個数を表す三次元ヒストグラムを作成することができる。
【0050】
例えば、線形カーネルを有する2タップ非同期モニタ用のトレーニング集合は、様々なシミュレーション減損を伴う典型的な光ネットワークをシミュレートすることにより生成された。モデル化された減損(範囲)は以下のとおりであった。
・ OSNR(15〜27dB)
・ 分散(0〜1600ps/nm)
・ 変調器チャープ(−1.5から1.5)
・ フィルタの離調(−20から+20GHz)
・ PMD(0〜50ps)
【0051】
1ビット周期のタップ遅延を有する非同期サンプルの集合は、減損の7000個のランダムに生成された組み合わせを得るために形成された。次いで、これらのサンプル集合は、リッジ回帰に基づくモデルの入力および検証として使用された。
【0052】
結果は、図12に図示されている。これらのグラフは、著しいレベルのOSNRが存在していない場合に、5つの同時減損を受けるリンクについて、分散、チャープ(TX)、フィルタオフセット、およびPMD(DGD)の予測値(y軸)対「真」値(x軸)を示している。5つの減損タイプすべてに対する特定値の選択された予測は、(真値)/(予測)の形式で、以下の表1に示されている。
【0053】
【表1】
【0054】
図13は、遅延1ビット周期における2つのタップの出力を使用するとともに、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、非同期にサンプリングされた線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQのために与えられている。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはある程度正確であることがわかる。予測精度は、線形カーネルを使用する場合光パワーについては良くない。しかし、標準光パワーメーターで十分なので光パワー予測の必要は比較的ないことに留意されたい。パワーレベルが変動する場合において予測が有効である必要があるので、パワー変動がこれらのシミュレーションに含まれる。
【0055】
図14は、遅延1ビット周期で2つのタップの出力を使用するとともに、減損毎に説明される分散をプロットすることにより、非同期にサンプリングされた次数3の多項式カーネルを伴う非線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて示されている。図13に関して、そのような非線形カーネルを使用した場合に、予測精度は、r(dB)については改善されていることがわかる。
【0056】
次に、機械学習アルゴリズムを使用するマルチタップ(5タップ)非同期モニタをテストした。この実験では、先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で複数のタップをそれぞれ使用した。第1に、線形カーネルは、図15に示された結果のとおり得られたサンプルに適用された。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて与えられる。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはある程度正確であることがわかる。予測精度は、タップを5つ有するそのような線形カーネルを使用した場合、光パワーに対しては良くない。
【0057】
次に、次数3の多項式カーネルである非線形カーネルは、図16に示された結果のとおり、得られたサンプルに適用された。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて与えられた。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはある程度正確であることがわかる。予測精度は、タップを5つ有するそのような非線形カーネルを使用した場合、光パワーに対しては良くない。
【0058】
本発明は、カーネルベースの機械学習技術を使用して同期アイダイアグラムから複数の同時減損を識別するとともに、定量化することができることをさらに認める。図17は、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、同期アイダイアグラムを入力として使用した線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、およびQについて与えられる。予測精度は、r(dB)については比較的高いが、線形カーネルを使用して同期アイダイアグラムからの減損を予測する場合、他の減損については良くない。
【0059】
図18は、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、およびQについて与えられる。予測精度は、r(dB)については比較的高く、図17に関して、分散およびQに対する予測精度は改善されていることがわかる。しかし、予測精度は、非線形カーネルを使用して同期アイダイアグラムから減損を予測する場合、他の減損については良くない。
【0060】
図19は、アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図19A)および非線形カーネル(図19B)の予測精度を図示している。
【0061】
図20は、5つのタップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図20A)および非線形カーネル(図20B)の予測精度を図示している。タップ遅延は、第1のサンプルタップに関して、1/8、1/4、1/2、および1ビットであった。
【0062】
図21は、タップ遅延を1ビット周期として、2つのタップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図21A)および非線形カーネル(図21B)の予測精度を図示している。
【0063】
図19ないし図21は、それぞれの減損を予測する能力を示している。図19B、図20B、および図21Bについて、使用される多項式カーネルは、次数3であった。図19ないし図21のそれぞれのプロットは、0から1までの範囲内のみの説明された分散を示すように制限されているため、非表示のボックスは、減損の予測精度が良くないことを示している。減損は、左から右へ、D(分散)、Popt(光パワー)、P_Xtalk(クロストーク)、PMD(偏光モード分散)、Df(デジタルフィルタ周波数)、r(消光率)、ジッタ、およびQである。図19ないし図21では、50個の順列を用い、2000/1000試験/訓練分割を使用してそれぞれの減損が試験された(図13〜18の結果を生成する際に使用される25の順列と比べて)。それぞれの減損について、箱ひげ図は、中央値、第1四分位、および第3四分位を示している。ダークラインは、50回の試行(順列)の中央値を示すとともに、ボックスの下側端は、第1四分位(25%)を、ボックスの上側端は、第3四分位(75%)を示している。したがって、試行の50%は、ボックスの内側にある。ひげは、ボックスから四分位間距離の1.5倍まで伸びている。円は、ひげの外側にある極値である。
【0064】
図25は、図12〜21の表現の代替的表現である予測精度の表現を示す。図25を作成する際に予測のために使用されたデータは、タップ遅延が1ビット周期である2タップ位相図を含んでおり、これらは分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期とQおよびOSNRを予測することが必要とされる光信号からサンプリングされた。図25は、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルの予測精度を図示している。図25は、さまざまなレベルのそれぞれのタイプの減損の予測に対する正規化された誤差範囲のプロットを示している。評価されるとともに、プロットされる減損タイプは、左上から始まり、時計回りの方向に進み、これらはOSNR、D、PMD、Df、Q stat、Q BER、ジッタ、およびPである。これからわかるように、OSNR、QBER、およびQ statについては、誤差範囲は小さく、予測精度は高い。ジッタは、ほとんど同じくらいの精度で予測される一方で、D、PMD、およびDfは、中くらいの精度で予測される。Pは、最も低い精度で予測される。
【0065】
図26は、図25と同じデータに対し次数3の多項式カーネルを適用したときの予測精度を図示している。図25と比較すると、多項式カーネルは一般的にある程度改善された予測精度を与えることが目で見てわかる。
【0066】
図19ないし図21ならびに図25および図26から、いくつかの観察結果が得られる。第1に、線形カーネルから多項式カーネルに切り換えることで、性能が向上する。これは、アイダイアグラムの場合に特に当てはまり、D、P_XTalk、PMD、Df、およびQについて予測精度が非常に改善する。さらに観察された結果として、マルチタップおよび2タップの場合の間で性能向上が挙げられる。これは、線形カーネルおよび多項式カーネルの両方の場合について当てはまるが、線形カーネルを使用する場合には特に顕著である。それに加えて、同期アイダイアグラムと非同期ダイアグラムとを比較すると、非同期の方法は、いずれのカーネルを使用してもうまくいくことがわかる。これは、使用されたモデルに関して、非同期データから減損を予測することが容易であることを示している。しかし、他の用途では、本発明を同期アイダイアグラムに適用した場合の効果は、非同期位相図に適用する場合に比べて等しいか、またはさらに高いと思われる。図34および図35は、このような用途の1つを図示している。
【0067】
図34は、1/2ビットのタップ遅延を使用した場合に、10Gbit/sの光信号をサンプリングして位相図を作成することにより得られる実験結果を示している。位相図は、3つの変数、つまりRx(受信パワー(dBm))、Disp(色分散(ps/nm))、およびOSNR(dB)のそれぞれの値を予測するために線形カーネルを含む機械学習アルゴリズムにより処理された一方で、存在するが予測されていない他の減損は、一次PMDを含んでいた。3つの予測された減損のそれぞれの実際の値は、図34のそれぞれのプロットの明確なステップ毎のトレースにより示されているように離散設定の1つに設定された。アルゴリズムにより返される予測値は、それぞれのプロット上の第2のトレースとして図示され、それぞれの減損の値の範囲全域において、精度の保証とともにそれぞれの減損の実際の値に従うことができる。
【0068】
図35は、10Gbit/sの光信号をサンプリングすることにより得られた実験結果を示している。しかし今回は、従来の同期アイダイアグラムを作成するためである。アイダイアグラムは、3つの変数、つまりRx(受信パワー)、Disp(色分散)、およびOSNRのそれぞれの値を予測するために線形カーネルを含む機械学習アルゴリズムにより処理された一方で、存在するが予測されていない他の減損は、一次PMDを含んでいた。3つの予測された減損のそれぞれの実際の値は、図35のそれぞれのプロットにおける明確なステップ毎のトレースにより示されているように離散設定の1つに設定された。アルゴリズムにより返される予測値は、それぞれのプロット上の第2のトレースとして図示され、それぞれの減損の値に範囲全域において、精度の保証とともにそれぞれの減損の実際の値に従うことができる。図34および図35は、本発明が、そのような信号条件の下で同期アイダイアグラムに関して非同期位相図にほぼ等しく適用可能であることを図示している。
【0069】
図23は、図12〜21に関してすでに説明されている機械学習アルゴリズムを使用する減損予測の効果を図示している。図23Aは、図23の左上に示され、また以下の表2に示されている減損レベルを有する信号に対するNRZ信号トレースの一部を図示している。図23Aの信号について、図23Bは、位相図を図示するとともに、図23Cは、アイダイアグラムを図示している。
【0070】
【表2】
【0071】
表2からわかるように、図23Bの位相図から得られた機械予測は、実際の減損値と比較して極めて良い精度を与える。さらに、様々なレベルの減損を使いそのような多数の信号をシミュレートするとともに、図23Bに示されているタイプの位相図からそれぞれのそのようなサンプルに対する予測精度を決定することにより、図23Dの回帰プロットが作成される。これは、機械予測がOSNR、ジッタ、およびQについては非常に正確であり、分散、フィルタオフセット、および一次PMDについては保証された精度レベルを有することを図示している。図23Eは、異なる減損レベルを有するそのような10個のサンプル信号に対する予測精度をさらに図示する。
【0072】
図24は、図12〜21および図33に関してすでに説明されている機械学習アルゴリズムを使用する減損予測の効果を図示している。図24Aは、図24の左上に示され、以下の表3に繰り返されている減損レベルを有する信号に対するNRZ信号波形の一部を図示している。図24Aの信号について、図24Bは、位相図を図示するとともに、図24Cは、アイダイアグラムを図示している。
【0073】
【表3】
【0074】
表3からわかるように、図24Bの位相図から得られた機械予測により、実際の減損値と比較して妥当な精度が得られる。図24Dの結果は、さまざまなレベルの減損を有する、特にそのようなすべての信号について8〜11dBの範囲内の厳しいOSNRを有するそのような多数の信号をシミュレートすることにより得られた。このような厳しいOSNR減損の効果は、図24Bの位相図と図24Cのアイダイアグラムから明らかである。予測精度は図24Bに示されているタイプの位相図からそれぞれそのようなサンプルについて決定され、それにより図24Dの回帰プロットを作成する。これは、そのような厳しいOSNR劣化が存在している場合でも、機械予測は、OSNR、ジッタ、およびQについて非常に正確であり、また分散、フィルタオフセット、および一次PMDについては保証されたレベルの精度が得られることを図示している。図24Eは、異なる減損レベルを有するそのような10個のサンプル信号に対する予測精度をさらに図示する。
【0075】
上記の実施形態は、二次元またはそれ以上のヒストグラムからの光信号減損の機械学習予測を参照しながら記載されている一方で、本発明は、二次元またはそれ以上のヒストグラムおよび位相図に適用されるそのような機械学習アルゴリズムを使用することにより信号特性が予測される他の多くの信号タイプに適用されることは自明である。そこで、以下では、心房細動が生じている心臓から得られ、検知された心電図信号を評価することにより、心房細動の停止の予測において本発明が適用された一実施例を取りあげる。
【0076】
使用したECGデータは、心房細動終了チャレンジデータベース(AF (atrial fibrillation) Termination Challenge Database(http://www.physionet.org/physiobank))から得た。記録の長さはそれぞれ1分(長い記録からの抜粋)であり、記録はそれぞれ、2つの同時記録ECG信号(チャネル)を含む。心調律は、それぞれの場合における心房細動である。注釈集合は使用されていない。分類の問題は、以下のグループを識別することである。
クラスA:非終了AF(長期記録の継続期間の間に、1分のセグメントの後少なくとも1時間の間に終了したことが観察されなかったAFとして定義される)、
クラスB:記録の終了直後(1秒以内)に終了するAFを含む、記録の終了後1分以内に終了するAF。
【0077】
図27は、本発明のこの実施形態によりそのような心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を図示する。図27Aは、このECG心臓データの一サンプルを図示している。データのそれぞれのそのようなセグメントに適用される処理は、0.05sのタップ遅延によって隔てられた2つのサンプルを含む複数のサンプル集合を取得することと、図27bに示されているように、サンプル集合をプロットして散布図に生成することとを含んだ。図27bの散布図の3つのコピーは、図27cの二次元ヒストグラムがすべて、単に格子間隔を変えるだけで同じ散布図から生成された。したがって、異なるビンサイズ(分解能)が元の時系列データから取り出されることを図示するために用意されている。
【0078】
この実施例では、図27Bの高分解能の二次元位相図または散布図は、その後、図27にそれぞれ示した様々な(等しいか、またはそれよりも低い)分解能の二次元位相ヒストグラムに変換される。図27Cに示された実施例では、22、62、および252個のビンが、それぞれ使用された。一般的にビンサイズは、単一の位相図内において変化することに留意されたい(例えば、点密度の高い散布図の領域内では分解能が高く、点密度の低い(またはゼロ)散布図の領域内では分解能が低い)。それとは別に、低分解能位相ヒストグラムは、時系列データの低分解能サンプリングから作成される。これらのプロット上の水平軸および垂直軸は、それぞれ、第1および第2のサンプルである。
【0079】
図28は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである22個のビンを有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。図29は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである62個のビンを有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。図30は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【0080】
図31は、図30のヒストグラムから心房細動の終了を予測する本発明の効果を図示している。上側の2つのプロットは、機械学習アルゴリズムの訓練を図示しており、この場合、トレース3110はそれぞれの場合の実際の値を示している(−1の値は、クラスAサンプルを表し、1の値は、クラスBサンプルを表している)。トレース3120は、それぞれのサンプルに対する訓練された機械学習アルゴリズムにより生成される予測値を示す。トレース3140は、0.5のAROC(サンプル毎にランダムに推測することと同等)を示している一方で、トレース3130は、AROC(レシーバ動作特性の下の領域)が0.62である、サンプルクラスを予測する際の機械学習アルゴリズムの実行を図示している。図31の下側の2つのプロットは、訓練されたアルゴリズムがサンプルのテスト集合に適用されたときの結果を図示しており、約0.76のAROCは、機械学習アルゴリズムの予測がランダムな推測よりも実質的に正確であることを示している。
【0081】
図32は、図27の心電図信号の第2のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。図33は、図30および図32の両方のヒストグラムから細動の終了を予測する本発明の効果を図示している。図33からわかるように、両方のチャネルが考慮される場合、機械学習アルゴリズムのAROCは、訓練集合については0.89に向上し、テスト集合については0.63に低下している。
【0082】
予測結果がここで与えられない場合、本発明は、図28に示されているタイプの22個のビンを有するものなどの低分解能の場合において効果的であることに留意されたい。同様に、図28〜30の密度のグレースケール表現は、それぞれのビンにおけるサンプルカウントを表している。本発明は、小さい密度分解能を使用する用途において適用できるため、例えば、図28〜30に示されているグレースケールは、代わりに、例えば4または8の密度レベルの粗い密度分解能を有するだけであってもよい。
【0083】
したがって、図27ないし図32の実施例は、本発明が、ECG信号の少なくとも1つの特性を予測するのに使用できる特に単純で、効果的な手段を実現することを図示している。本発明は、そのような効果を示す一方で、信号の複雑な前処理の必要性をなくす。例えば、本発明の実施形態では、信号のフーリエ変換を必要とせず、またECGデータにおけるQRS群の抽出または除去などの信号の特徴選択を必要としない(QRS群は心室に関するものであり、心房評価に干渉すると何かの形で考えられる)。したがって、本発明は、補綴法またはインプラント、例えばペースメーカーなどの、パワーバジェットの限られている単純なハードウェアデバイスにおける実装に特に適していると考えられる。
【0084】
本明細書では少なくとも二次元であるヒストグラムを参照しているが、そのような多次元性は、ヒストグラムにより表されるデータに関して適用されるともに、またヒストグラムの処理は、逐次的な方法で実行されることが認められる(例えば、ヒストグラムを横断することでヒストグラムから値を読み出す)。
【0085】
当業者にとって、広範に記載されたように本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく特定の実施形態において示されているように様々な変更および/または修正が本発明に加えられることは自明である。したがって、本発明の実施形態は、すべての点で、実施例であって、限定するものではないと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態による2タップ信号サンプリングデバイスの概略図である。
【図2】タップ遅延Δτとサンプリング間隔Tsを有する図1のデバイスによる信号のサンプリングを示す図である。
【図3】1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を示す図である。
【図4】ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を示す図である。
【図5】ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する一次のPMDの影響を示す図である。
【図6】1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する帯域内クロストークの影響を示す図である。
【図7】同期アイダイアグラムと比較した、本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響をさらに示す図である。
【図8】同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響を示す図である。
【図9】タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を示す図である。
【図10】1ビット周期のタップ遅延を使用して、NRZデータ信号の2タップサンプリングにより得られる同時確率密度関数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図11】減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から得られる)。
【図12】リッジ回帰および線形カーネルを使用して光ネットワークにおいて典型的な減損の組み合わせを予測する機械学習アルゴリズムを使用した結果を示す図である。
【図13】遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図14】遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図15】それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図16】それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図17】同期アイダイアグラムを入力として使用する線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図18】同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図19A】アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図19B】アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図20A】5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図20B】5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図21A】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図21B】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図22】RZ、NRZ、およびNRZ−DPSK変調データ信号、および色分散の診断を可能にする識別できる変化の特徴を示す位相図である。
【図23a】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図23b】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図23c】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図23d】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図23e】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24a】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24b】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24c】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24d】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24e】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図25】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として受け取ったときに線形カーネルの予測精度を示すとともに、OSNRに対するデータを追加した図13のデータの代替的表現を示す図である。
【図26】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として受け取ったときに次数3の多項式カーネルの予測精度を示すととともに、OSNRに対するデータを追加した図14のデータの代替的表現を示す図である。
【図27a】本発明の他の実施形態により心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を示す図である。
【図27b】本発明の他の実施形態により心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を示す図である。
【図27c】本発明の他の実施形態により心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を示す図である。
【図28】図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである22個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図29】図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである62個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図30】図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図31】図30のヒストグラムから細動の停止を予測する本発明の効果を示す図である。
【図32】図27の心電図信号の第2のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図33】図30および図32のヒストグラムから細動の停止を予測する本発明の効果を示す図である。
【図34】1/2ビットのタップ遅延を使用した場合、10Gbit/sの光信号のサンプリングによって得られた実験的結果を示す図である。
【図35】10Gbit/sの光信号のサンプリングによって得られた実験的結果を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
100 2タップ非同期サンプリング光信号モニタ
110 光学的フィルタ
120 高速レシーバ
130 デュアルチャネルA/Dサンプラ
140 プロセッサ
150 信号処理モジュール
3110 トレース
3120 トレース
3130 トレース
3140 トレース
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号特性の識別に関するものであり、特に、信号の1つまたは複数の特性を識別するために機械学習アルゴリズムを信号の位相図に適用することに関するものである。
【0002】
本出願は、2005年10月13日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2005905668号、2006年3月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006901088号、および2006年10月5日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006905508号の優先権を主張し、引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
実質的に自動化された方法で信号の特性を判定することが望ましい広範な用途が存在する。このような用途の1つは、一般的にデータ伝送媒体(例えば、特に光学性能監視)であり、根幹にある障害の原因および場所についての診断を行い、調節可能な素子の性能を最適化するとともに、ビット誤り率(BER)を推定するために、伝送された光信号の変化を識別することが望まれる。他のこのような用途には、一般的に検知された生体信号(例えば、特に心電図信号監視)があり、不整脈、細動、または他のそのような信号の特徴の出現、差し迫っている開始、または差し迫っている停止などのような信号特性を識別することが望まれる。
【0004】
信号の周波数領域分析および時間領域分析に基づいて、当該の信号特性を識別する試みがなされているが、その成功の度合いはさまざまである。周波数領域の方法は、信号のスペクトル成分を分析するとともに、一般的に時間に関して信号の平均をとるものであるため、信号の歪みに関する情報をほとんど、または全く含まない。時間領域信号監視技術では、信号をサンプリングまたは信号のトレースを取得し、信号波形の表現を生成する。このような時間領域技術は、信号の歪みおよび雑音に対して敏感である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周波数領域または時間領域のいずれにあろうと、観察された信号変化を様々な信号特性と相関させるために相当の努力がなされた。このような信号特性は、信号源と観察点との間に生じる信号劣化メカニズムの結果とするか、または信号源それ自体の変化の結果とすることが可能であった。しかし、特に生体系から検知された信号のように複雑性の高い信号の場合、ある信号特性の変化が、観察された信号にこれまでに識別されてない変化が生じる原因となるため、特に複数の特性が同時に出現したときに、信号特性の識別が困難になる。同様に、様々な信号特性の変化は、当該の信号に類似性の高い変化を生じさせる原因となるため、その信号に何らかの変化が生じたことを推論できる一方で、可能性がある複数の特性のうちのどれが変化の原因になったかを判定することは困難になる。
【0006】
文書、活動、材料、デバイス、物品、または本明細書に含まれているようなものに関する説明は、本発明の文脈を明らかにすることのみを目的としている。これらのものはどれも、またはすべて、従来技術ベースの一部をなすか、または本出願の各請求項の優先日よりも前に存在していたため本発明に関係する分野において公知事実であったと認めるものとして解釈すべきではない。
【0007】
本明細書全体を通して、単語「含む」、「備える」は、述べられた要素、完全体もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップのグループを包含し、他の要素、完全体もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップのグループを除外しないことを意図しているものと理解される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の態様により、信号を評価する方法を実現し、この方法は、
サンプル集合を取り出すために信号から区別できるサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点から信号をサンプリングすることと、
時間の経過とともに複数のこのようなサンプル集合を取り出すことと、
複数のサンプル集合の同時確率分布の少なくとも二次元のヒストグラムを構成することと、
少なくとも二次元のヒストグラムを、信号の少なくとも1つの特性の値を予測するために訓練された機械学習アルゴリズムに渡すこととを含む。
【0009】
本発明は、第2の態様により、信号を評価するデバイスを実装し、このデバイスは、
信号から別個のサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合を信号からサンプリングするとともに、時間の経過に伴って複数のそのようなサンプル集合を取り出すマルチタップサンプラーと、
複数のサンプル集合の同時確率分布の少なくとも二次元のヒストグラムを構成するプロセッサと、
少なくとも二次元のヒストグラムを処理するとともに、信号の少なくとも1つの特性の値を予測するために訓練された機械学習アルゴリズムとを備える。
【0010】
本発明は、信号から多数のサンプル集合を取得することから生成される同時確率分布に訓練された機械学習アルゴリズムを適用することにより、信号の効果的な評価が得られることを認める。例えば、それぞれのサンプル集合がタップ遅延時間によって隔てられている2つのタップ点から得られた2つサンプルx1およびx2を含む場合、x1対x2の確率密度関数の二次元プロットは、2つのサンプリング点間のタップ遅延、および信号の特性の両方に依存する形をとる。したがって、信号の1つまた複数の特性の変化は、確率密度関数の変化を導き、次いで、これは機械学習処理により識別され、測定され、および/または予測される。機械学習モジュールは、k近傍、決定木、回帰、リッジ回帰、ニューラルネットワーク、および/またはサポートベクターマシン/回帰などの分類または回帰のための教師有り学習技術に依存する。機械学習モジュールは、線形カーネル、または次数nの多項式などの非線形カーネルを利用する。
【0011】
機械学習モジュールは、シミュレーションおよび/または実験測定から得られた訓練集合から訓練される。訓練集合のそれぞれの要素は、好ましくは、同時確率分布または位相図のサンプル密度を表す少なくとも二次元のヒストグラムを含む。
【0012】
好ましくは、サンプル集合の分布の機械学習評価は、例えば、散布図領域を複数の部分領域とみなし、それぞれの部分領域内に出現する多数のサンプル点を決定してサンプル密度の2次元ヒストグラムを生成することにより散布図全体に対するサンプル密度を評価することを含む。部分領域は、好ましくは、方形グリッドなど、グリッドの均等なサイズの要素である。または、部分領域は、様々なサイズであり、例えば、最大ビンサイズでは、最大閾値より上にあるすべての点を取り込み、最小ビンサイズでは、最小閾値より下にあるすべての点を取り込む。予測精度を上げるために、グリッド要素サイズを選択または調整する。必要処理能力を低減するために、グリッド要素サイズを大きくする。例えば、それぞれのタップで単一決定閾値(1ビット分解能)を使用できる。このような実施形態は、機械学習評価にサンプル密度を一因子として含むと有効であることを認める。
【0013】
少なくとも2つのタップ点は、好ましくは、時間的に隔たりのある信号の部分から得られる効果により別個の信号からサンプルを取り出すために構成される。そのような時間的隔たりは、タップ遅延と呼ばれる。その、またはそれぞれのタップ遅延は、好ましくは調節可能である。このような実施形態では、選択された信号特性を評価するためにその、またはそれぞれのタップ遅延を調節することができる。例えば、その、またはそれぞれのタップ遅延は、信号中の注目する周期的成分の期間に、またはそのような期間の整数部に実質的に等しくなるように調節または設定することができる。それに加えて、またはそれとは別に、タップ遅延は、ヒストグラム時系列(またはヒストグラムの時系列)を提供するために連続的に調節される。
【0014】
サンプル集合は、好ましくは、規則的なサンプリング間隔で信号から取り出される。それとは別に、サンプル集合は、不規則な間隔で、またはランダムな間隔で取り出される。
【0015】
高周波数の周期的信号を評価する実施形態では、サンプリングされたデータを取り出すデバイスに対する処理速度要求条件を低減するために、サンプリング間隔は、信号周期よりも実質的に大きい(例えば、信号周期よりも数桁ほど大きい)。その結果、データを取り出すそのようなデバイスのコストを削減できる。それとは別に、サンプリング間隔は、特に、検知された生体信号のような低周波数の周期信号を評価する実施形態において、信号周期と同程度、または信号周期よりも実質的に短い。
【0016】
x1およびx2からなるサンプル集合を取り出す2つのサンプルタップからなる実施形態では、確率密度関数は、x1対x2をプロットするか、(x1−x2)対(x1+x2)をプロットするか、または他の二次元表現を使用することにより、得られる。
【0017】
本発明の他の実施形態では、3つまたはそれ以上のサンプルからなるサンプル集合を取り出すために、タップ遅延によって隔てられた3つまたはそれ以上のサンプルタップ点が提供される。例えば、3つのそのようなタップ点のタップ遅延分離距離が、信号の一周期の数分の1である場合、そのようなサンプル集合の確率密度関数は、信号の湾曲に関する情報を得るために使用される。
【0018】
いくつかの実施形態では、信号の注目する帯域またはチャネルは、サンプリング前に帯域通過フィルタを使用して選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、信号の別個のスペクトル位置からサンプルを取り出すために構成される。例えば、信号は、第1の通過帯域を有する第1のフィルタを通過する第1の成分、および第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2のフィルタを通過する第2の成分の2つの成分に分割することができる。例えば、第1の通過帯域は、実質的に信号の注目する第1の周波数の中心に置くことができる一方で、第2の通過帯域は、実質的に信号の注目する第2の周波数の中心に置くことができる。
【0020】
それに加えて、またはそれとは別に、本発明の他の実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成される。例えば、信号は、第1の偏光配向を有する第1の偏光子を通過する第1の成分、および第1の偏光配向と異なる第2の偏光配向を有する第2の偏光子を通過する第2の成分の2つの成分に分割することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明は、本出願人により本出願と同時に出願され、2005年10月13日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2005905668号、2006年3月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006901088号、および2006年10月5日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006905508号の優先権を主張する、国際特許協力条約(PCT)出願の技術および開示と併せて、光信号減損監視を目的として適用される。同時出願のPCT出願の内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施例を記載する。
図1は、本発明の一実施形態による2タップ信号サンプリングデバイスの概略図である。
図2は、タップ遅延Δτとサンプリング間隔Tsを有する図1のデバイスによる信号のサンプリングを図示している。
図3は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を図示している。
図4は、ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を図示している。
図5は、ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する一次のPMDの影響を図示している。
図6は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する帯域内クロストークの影響を図示している。
図7は、同期アイダイアグラムと比較した、本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響をさらに図示している。
図8は、同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響を図示している。
図9は、タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を図示している。
図10は、1ビット周期のタップ遅延を使用して、NRZデータ信号の2タップサンプリングにより得られる同時確率密度関数の二次元ヒストグラムを図示している。
図11は、減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から得られる)。
図12は、リッジ回帰および線形カーネルを使用して光ネットワークにおいて典型的な減損の組み合わせを予測する機械学習アルゴリズムを使用した結果を図示している。
図13は、遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図14は、遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を図示している。
図15は、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図16は、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を図示している。
図17は、同期アイダイアグラムを入力として使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図18は、同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を図示している。
図19Aおよび図19Bは、アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図20Aおよび図20Bは、5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図21Aおよび図21Bは、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
図22は、RZ、NRZ、およびNRZ−DPSK変調データ信号、および色分散の診断を可能にする識別できる変化の特徴を示す位相図である。
図23および図24は、本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を図示している。
図25は、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として受け取ったときに線形カーネルの予測精度を示すとともに、OSNRに対するデータを追加した図13のデータの代替的表現を図示している。
図26は、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として受け取ったときに次数3の多項式カーネルの予測精度を示すととともに、OSNRに対するデータを追加した図14のデータの代替的表現を図示している。
図27は、本発明の他の実施形態により心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を図示している。
図28は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである22個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。
図29は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである62個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。
図30は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。
図31は、図30のヒストグラムから細動の停止を予測する本発明の効果を図示している。
図32は、図27の心電図信号の第2のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。
図33は、図30および図32のヒストグラムから細動の停止を予測する本発明の効果を図示している。
【0023】
本発明は、信号の位相図または確率密度関数の機械学習処理により診断できる信号特性を有するすべてのタイプの信号に応用される一方で、本明細書の実施形態は、光データ信号および心電図信号を特に参照しながら記載する。
【0024】
図1は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタ100の概略図である。少量の光パワーが、DWDM信号からタップされ、監視される光チャネルが、調整可能な光学フィルタ110により選択されるともに、次いで、高速レシーバ120により検出される。レシーバ出力は、2タップ遅延ラインに通され、デュアルチャネルA/Dサンプラ130により非同期にサンプリングされ、次いで、サンプルペア(x1,n,x2,n)がプロセッサ140に渡され、そのような多数のサンプル集合の確率密度関数を較正するとともに、適切に訓練された機械学習アルゴリズムを集められたサンプル集合に適用する。x(t)が、光学的に逆多重化チャネルを表す場合、サンプルペアは以下の式で与えられる。
x1,n=x(nTs)
x2,n=x(nTs+Δτ)
ただし、Δτは、タップ間の時間を表すとともに、1/Tsは、サンプリングレートである。図1のモニタ100は、電気的領域においてタップ遅延Δτをもたらすために光レシーバ120の後ろに置かれる簡単な2タップ遅延ラインを使用することにより本発明の簡単な実装を提供する。
【0025】
図2は、3つのサンプルペア、すなわち(x1,1,x2,1)、(x1,2,x2,2)、および(x1,3,x2,3)を得る際の図1のモニタ100による光信号のサンプリングのタイミングを図示している。本発明の実施形態では、サンプルとサンプルの間には、数千ものビットがあるとともに、サンプリングレート1/Tsは、ビットレートよりも数桁遅いように、図2の時間スケールは、Tsに関してスケール通りではないことに留意されたい。サンプリングレート1/Tsは、ビットレートと無関係であるため、非同期サンプリングが実行される。
【0026】
図2に示されている実施形態では、タップ遅延Δτは、ビット周期のうちのごくわずかであり、実際には、波形の勾配および振幅の近似的基準を与えるものである。タップ遅延Δτは、他の実施形態では、1ビット周期の数分の1よりも大きい(例えば、タップ遅延Δτは、ビット周期とほぼ等しい)。
【0027】
プロセッサ140は、(x1,x2)の二次元ヒストグラムとも呼ばれる、x2対x1の二次元散布図の形をとる、サンプルペアの確率密度関数を表すヒストグラムを生成する。
【0028】
光信号減損のタイプと大きさを識別する非同期モニタの性能を図示するシミュレーションの結果は、図3ないし図6に示した。図3および図4は、それぞれ、散布図を並べたものである。x2対x1をプロットする代わりに、図3および図4のプロットは、(x1−x2)対(x1+x2)である。図3および図4のそれぞれの列の散布図は、左から右へ共通タップ遅延をΔτ=1ビット周期、Δτ=1/2ビット周期、Δτ=1/4ビット周期、およびΔτ=1/8ビット周期として得られたものである。散布図のそれぞれの行は、上から下へ0ps/nm、160ps/nm、320ps/nm、480ps/nm、640ps/nm、および800ps/nmの共通の分散量の影響を受ける信号から得られる。
【0029】
図3および図4は、 (1,0)と(0,1)との間の遷移が、分散を診断および監視するための潜在的特徴であることを示している。つまり、分散は、300で示されているように、プロットの原点に向かう湾曲を引き起こすこの遷移に関する識別可能な特徴を有する。図3の散布図を得るためにサンプリングされた信号は、増幅器の自然放出雑音(ASE)を全く受けていなかった一方で、(1,0)−(0,1)遷移に対する分散の特徴は、図4に図示した中で400が示しているように、ASE(OSNR=22dB)の存在下において依然として明白であることに留意することは重要である。対称性などの他の基準も、同様に有用で際だった特徴である。
【0030】
図5は、ASE(OSNR=22dB)が存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のプロットに対する一次PMDの影響を図示している。特に、一次PMDが0psから50psまで高まるにつれ、散布図には、1/2ビット周期の、またはそれよりも短いタップ遅延に対し顕著な平坦化の問題が生じる。つまり、散布図の(1,0)領域は、散布図の(0,1)領域と同様に、一次PMDが大きくなると水平軸に向かって移動する。ここでもまた、散布図中のこの特徴または他の特徴は、ASEなどの他の劣化メカニズムが存在している場合でも、例えば一次PMDの診断において機械学習アルゴリズム処理により識別可能な、および/または機械学習アルゴリズム処理の効果に影響を及ぼす有用な信号特性であってよい。
【0031】
図6は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のプロットに対する帯域内クロストークの影響を図示している。これらの二次元プロットをよく見ると、帯域内クロストークは、ASEと似た影響を有することがわかる。したがって、帯域内クロストークは、分散または一次PMDとして誤診断される可能性はない。帯域内クロストークとASEとを区別することは、図6の二次元プロットからでは難しい場合があるが、複数のサンプルペアからさらに情報を抽出するのは役立つ場合がある(例えば、サンプル密度が第3の次元としてプロットされる三次元散布図が構成される)。
【0032】
図7では、本発明の散布図および同期アイダイアグラムに対する分散の影響についてさらに比較を行う。上側の4つの密度ヒストグラムは、Δτ=1ビット周期として10Gbit/s NRZ変調データの2タップサンプリングから得られたものである。図7の下側の4つのプロットはそれぞれ、例示の目的で上のそれぞれの密度ヒストグラムと同じ信号から得られる同期アイダイアグラムである。左から右へ、それぞれの列内で密度ヒストグラムおよび同期アイダイアグラムを得るためにサンプリングされた信号は、それぞれ、0ps/nm、160ps/nm、400ps/nm、および800ps/nmの分散レベルを受けた。特に、それぞれの2次元ヒストグラムの左下隅の三角形は、対角線上の遷移が原点に向かって湾曲するときに、分散の度合いを増しながら著しい「閉鎖」を受ける。その一方で、アイダイアグラムに対するそのような分散の影響は、かろうじて識別できるくらいのものである。
【0033】
図8は、同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明の密度ヒストグラムに対する分散の影響を図示している。図8のすべての密度ヒストグラムおよびアイダイアグラムは、800ps/nmの純分散を有する10Gbit/s NRZ変調データから得られた。左から右へ、それぞれの列内で密度ヒストグラムおよび同期アイダイアグラムを得るためにサンプリングされた信号は、それぞれ、25dB、30dB、および35dBのOSNRを有していた。ここでもまた、2タップヒストグラムにおける分散のシグネチャ特徴、つまり、原点に向かう対角線上の遷移の湾曲は、OSNRの悪条件の下であってもそのままはっきり識別できる。もう一度、それに対して、アイダイアグラムはデータの頂点の狭まりとベースの広がりを示しているが、そこで得られる人の目の情報は、存在する分散の量を定量化するには不十分である。
【0034】
調節可能な遅延Δτを組み込むことにより、追加の自由度を得ることができる。例えば、図3および図4は、遅延Δτが1ビット周期に等しい場合に分散の特徴が最もよく見られることを示唆する一方で、図5は、遅延が1/4ビット周期以下である場合に一次PMDに対する特徴が最もよく見られることを示している。したがって、調節可能な遅延Δτの余分な自由度は、劣化の複合する劣化の源を分離するとともに、個別に診断するのに役立つ。
【0035】
図9は、非減損信号に対する、タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を図示している。図9では、それぞれの各タップ遅延Δt=B/8、B/4、B/2、7B/8、15B/16、B、17B/16、9B/8、3B/2、7B/4、15B/8、および2Bについて散布図が示されている。ただし、Bはビットレートである。ここでもまた、ちょうど1ビットの遅延(Δt=B)については、一意的なパターンが形成されることに留意されたい。したがって、この一意的なパターンの形成を利用して、タップ遅延がビットレートに等しいことを確認することができるため、タップ遅延を知ることにより、ビットレートの診断に関する判定を行うことができる。特に、2ビットのタップ遅延(Δt=2B)に対するパターンと、1ビットに等しいタップ遅延に対するパターンとでは、前者は両方の診断遷移を有するが、後者は1つの診断遷移しか有しないという点で異なる。Δt=15B/16および17B/16の散布図を見るとわかるように、タップ遅延が1ビット周期からわずかでも変動すると、対角線上の遷移の縮退の損失が生じ、2つの分離した曲線が得られる。
【0036】
B/2未満の遅延の場合、これらのプロットは、それぞれのビット内におけるパワーの展開を表す。波形は、0→1の遷移に対しては下側曲線にそって大きくなり、1→0の遷移に対しては上側曲線にそって後退する。
【0037】
2つのサンプルタップを処理する先行の実施形態が、モニタに関して説明されている一方で、本発明の代替的実施形態は、使用するタップ数を増やすことにより、波形、および波形の歪みに関するさらに多くの情報を抽出できることに留意されたい。例えば、3つのタップから、信号曲率の分布に関する情報を得ることが可能である。
【0038】
したがって、本発明の実施形態は、劣化タイプの診断的識別を可能にする(ASE対分散対PMD対帯域内クロストークなど)。これは、光ネットワークの分野では重要な機能であり、多経路光ネットワークが次第に高度なものになってゆくにつれ価値が高まる可能性がある。
【0039】
これらの好ましい実施形態の上記の説明、および添付の図1から図9は、タップ間に時間遅延がある2タップサンプリングに関係する一方で、本発明の他の実施形態では、代替的な方法で互いから区別されるタップ点を利用できることが認められる。例えば、信号の光学的および/または電気的な各種前処理の範囲は、タップ点をサンプリングする前に実行される。
【0040】
次に、本発明が適用されるさらなるタイプの信号について、図22を参照しながら記載する。同じファイバ上で複数の変調フォーマットを搬送できる複雑なDWDMシステムの適切な管理を可能にするため、実用性のある全光ネットワーキングの実装には、費用効果の高く、かつ柔軟な監視機能が必要である。非ゼロ復帰(NRZ)およびゼロ復帰(RZ)などの振幅偏移変調(ASK)形式は、すでに現在のDWDMシステムにおいて遍在しているとともに、差動位相偏移変調(DPSK)などの位相変調形式は、ロバスト性が高まるため、回線速度が10Gbit/sから40Gbit/sになるとより一般的なものとなる。理想的には、光学的監視は、これらの形式すべてに対応できなければならない。さらに複雑な要求条件に対し、クロック抽出を邪魔する、色分散が等化される可能性のないネットワーク内のさまざまな地点(例えば、再構成可能型光アド・ドロップマルチプレクサ(ROADM:Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexers))において監視が必要になることがある。
【0041】
図22の信号の変調形式の生成に関して、単一の10Gbit/sチャネルが比較に使用されており、223−1のPRBSを使用している。NRZおよび50%のデューティサイクルRZは、適宜バイアスされたMZ変調器のペアにより生成された。NRZ−DPSKは、遷移と遷移との間で必要なπ位相シフトを与えるようにバイアスされた分離型強度変調MZ変調器から生成された。このようにしてDPSKを生成することで、駆動条件が最適に達しない条件である場合に、位相変調器に出現するチャープ生成の問題を回避する。次いで、変調されたチャネルは、色分散を加えるために様々な長さの単一モードファイバに通された。全体的損失は、光減衰器により一定に保たれた。これらの3つの形式はすべて、10GHzの3dB帯域幅を有するファブリー・ペロー光学フィルタ、および15GHzの帯域幅を有する電気的増幅ピンフォトダイオードからなる同じレシーバ構成により監視された。3dBのRFパワースプリッタおよび遅延ラインを使用して、1ビット(100ps)遅延を有する2つの電気的信号をデジタル通信アナライザに送り、そこで、1つの信号を同期サンプリングして標準アイダイアグラムを出力するか、または両方の信号を非同期サンプリングして機械学習アルゴリズムによる評価に適した二次元ヒストグラムを出力した。
【0042】
変調形式の比較を図示した図22は、25kmずつ、分散が単一モードファイバの0kmから100kmまで増やされたときのアイダイアグラムおよび対応する位相図の両方を示している。50kmを超えると、RZは劣化が極端になるためあまり重要でなくなる。代わりに、比較のため、分散がなく非常に広い70GHz光学フィルタを使用するRZおよびNRZの挿入図を示す。
【0043】
監視の意味:図22の位相図は、3つの変調形式間の際立った差を示しており、機械学習による変調形式を認識する潜在性を強調している。それぞれの形式において、これらの図は、同様に、分散の増大とともに生じる特徴的であるが異なる変化を示している。例えば、先のNRZの対角線上の湾曲は、図3および図4に関係して、(例えば、色分散の直接的基準を有するものとして)示されている。同様に、RZ位相図は、光広帯域幅についても指摘されているのと同様に最終的に箱型の形態をとる左下隅の分割を示している。遅延タップ技術のパワーは、NRZ−DPSKのプロットにおいて特に明らかである。分散が増大するにつれ、標準アイダイアグラムの交差部分の勾配変化は、NRZ-DPSK位相図内で明らかな特徴、特に対角線上の逆になった湾曲、および位相図の下側および左側の消失に比べてかなり検出が難しい。
【0044】
遅延干渉計の代わりに狭帯域フィルタを使用することでDPSKレシーバは異なる性能を備えるが、しかしこれは、監視目的に関して重要な問題ではないことに留意されたい。図22cからわかるように、狭帯域フィルタリングのあるNRZ−DPSKの目は、最初に、劣化が始まる前に増大する分散とともに改善される。その効果は、これまでDPSK伝送の到達範囲を広げるために使用されてきた。逆に、干渉計レシーバおよびより広い光学的フィルタを使用するDPSKは、増大する分散とともに連続的に劣化する。しかし、図22cの位相図における違いは、この効果が、従来の較正でも説明できることを示している。
【0045】
図26bは、xおよびy軸がサンプル集合値を表し、z軸が位相図のそれぞれの部分領域において得られたサンプル密度を表す二次元ヒストグラムである。
【0046】
図1ないし図10は、2つのタップ点に関係しているが、特徴のこれらまたは他の組み合わせは、3つまたはそれ以上のタップ点を使用するさらに他の実施形態において実装できることがさらに認められる。図11は、減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から得られる)。1ビットの時間遅延が、第1のサンプルタップ点と第2のサンプルタップ点との間に、また第2のタップ点と第3のタップ点との間に負担される。他の図の二次元散布図の場合のように、特定の「遷移」は不可能なため、そのような遷移には点が出現しないことに留意されたい。例えば、不可能な遷移の中でもとりわけ(1,1,1)から(0,0,0)への遷移上に点が存在することはない。
【0047】
前の図は、減損を診断のため区別することを可能にする潜在性を有する特徴を分離するために、そのような散布図または信号点配置図、位相図、確率密度関数、および二次元またはそれ以上のヒストグラムの可能性および汎用性を図示している。例えば、010と101の遷移を表す線において明らかな湾曲は、色分散に強く関係付けられる。
【0048】
本発明は、信号減損タイプおよび/または重大度のそのような診断を補助することに機械学習が利用されることをさらに認める。したがって、本発明により、図1のプロセッサ140は、チャネル減損または信号源の特性といった信号波形中に存在する信号特性を自動的に識別し、定量化する信号処理モジュール150を備える。処理モジュールは、教師有り学習技術に基づく。これらの技術は、限定はされないが、
・ 回帰、
・ リッジ回帰、
・ サポートベクター回帰を含む。
【0049】
これらの技術はどれも、線形カーネル
【数1】
または次数pの多項式カーネルようなの非線形カーネル
k(x,x')=(x・x'+1)p、ただしx=(xi)、x'=(x'i)∈Rd
とともに使用することができる。他の教師有り学習技術も、ここで使用可能である。教師有り学習用のトレーニング集合は、シミュレーション、実験測定、または両方の組み合わせから作成される。本明細書に記載されている好ましい実施形態では、非同期モニタからの出力は、2つまたはそれ以上のサンプルタップのいずれにより得られたものであっても、図10に図示されている二次元ヒストグラムのように、トレーニング前の2またはそれ以上の次元のヒストグラムに処理される。例えば、図11に図示されたサンプル点により占有される体積を多数の部分体積に分割する。これにより、それぞれの部分体積内に入るサンプル点の個数を表す三次元ヒストグラムを作成することができる。
【0050】
例えば、線形カーネルを有する2タップ非同期モニタ用のトレーニング集合は、様々なシミュレーション減損を伴う典型的な光ネットワークをシミュレートすることにより生成された。モデル化された減損(範囲)は以下のとおりであった。
・ OSNR(15〜27dB)
・ 分散(0〜1600ps/nm)
・ 変調器チャープ(−1.5から1.5)
・ フィルタの離調(−20から+20GHz)
・ PMD(0〜50ps)
【0051】
1ビット周期のタップ遅延を有する非同期サンプルの集合は、減損の7000個のランダムに生成された組み合わせを得るために形成された。次いで、これらのサンプル集合は、リッジ回帰に基づくモデルの入力および検証として使用された。
【0052】
結果は、図12に図示されている。これらのグラフは、著しいレベルのOSNRが存在していない場合に、5つの同時減損を受けるリンクについて、分散、チャープ(TX)、フィルタオフセット、およびPMD(DGD)の予測値(y軸)対「真」値(x軸)を示している。5つの減損タイプすべてに対する特定値の選択された予測は、(真値)/(予測)の形式で、以下の表1に示されている。
【0053】
【表1】
【0054】
図13は、遅延1ビット周期における2つのタップの出力を使用するとともに、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、非同期にサンプリングされた線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQのために与えられている。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはある程度正確であることがわかる。予測精度は、線形カーネルを使用する場合光パワーについては良くない。しかし、標準光パワーメーターで十分なので光パワー予測の必要は比較的ないことに留意されたい。パワーレベルが変動する場合において予測が有効である必要があるので、パワー変動がこれらのシミュレーションに含まれる。
【0055】
図14は、遅延1ビット周期で2つのタップの出力を使用するとともに、減損毎に説明される分散をプロットすることにより、非同期にサンプリングされた次数3の多項式カーネルを伴う非線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて示されている。図13に関して、そのような非線形カーネルを使用した場合に、予測精度は、r(dB)については改善されていることがわかる。
【0056】
次に、機械学習アルゴリズムを使用するマルチタップ(5タップ)非同期モニタをテストした。この実験では、先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で複数のタップをそれぞれ使用した。第1に、線形カーネルは、図15に示された結果のとおり得られたサンプルに適用された。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて与えられる。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはある程度正確であることがわかる。予測精度は、タップを5つ有するそのような線形カーネルを使用した場合、光パワーに対しては良くない。
【0057】
次に、次数3の多項式カーネルである非線形カーネルは、図16に示された結果のとおり、得られたサンプルに適用された。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて与えられた。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはある程度正確であることがわかる。予測精度は、タップを5つ有するそのような非線形カーネルを使用した場合、光パワーに対しては良くない。
【0058】
本発明は、カーネルベースの機械学習技術を使用して同期アイダイアグラムから複数の同時減損を識別するとともに、定量化することができることをさらに認める。図17は、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、同期アイダイアグラムを入力として使用した線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、およびQについて与えられる。予測精度は、r(dB)については比較的高いが、線形カーネルを使用して同期アイダイアグラムからの減損を予測する場合、他の減損については良くない。
【0059】
図18は、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、およびQについて与えられる。予測精度は、r(dB)については比較的高く、図17に関して、分散およびQに対する予測精度は改善されていることがわかる。しかし、予測精度は、非線形カーネルを使用して同期アイダイアグラムから減損を予測する場合、他の減損については良くない。
【0060】
図19は、アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図19A)および非線形カーネル(図19B)の予測精度を図示している。
【0061】
図20は、5つのタップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図20A)および非線形カーネル(図20B)の予測精度を図示している。タップ遅延は、第1のサンプルタップに関して、1/8、1/4、1/2、および1ビットであった。
【0062】
図21は、タップ遅延を1ビット周期として、2つのタップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図21A)および非線形カーネル(図21B)の予測精度を図示している。
【0063】
図19ないし図21は、それぞれの減損を予測する能力を示している。図19B、図20B、および図21Bについて、使用される多項式カーネルは、次数3であった。図19ないし図21のそれぞれのプロットは、0から1までの範囲内のみの説明された分散を示すように制限されているため、非表示のボックスは、減損の予測精度が良くないことを示している。減損は、左から右へ、D(分散)、Popt(光パワー)、P_Xtalk(クロストーク)、PMD(偏光モード分散)、Df(デジタルフィルタ周波数)、r(消光率)、ジッタ、およびQである。図19ないし図21では、50個の順列を用い、2000/1000試験/訓練分割を使用してそれぞれの減損が試験された(図13〜18の結果を生成する際に使用される25の順列と比べて)。それぞれの減損について、箱ひげ図は、中央値、第1四分位、および第3四分位を示している。ダークラインは、50回の試行(順列)の中央値を示すとともに、ボックスの下側端は、第1四分位(25%)を、ボックスの上側端は、第3四分位(75%)を示している。したがって、試行の50%は、ボックスの内側にある。ひげは、ボックスから四分位間距離の1.5倍まで伸びている。円は、ひげの外側にある極値である。
【0064】
図25は、図12〜21の表現の代替的表現である予測精度の表現を示す。図25を作成する際に予測のために使用されたデータは、タップ遅延が1ビット周期である2タップ位相図を含んでおり、これらは分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期とQおよびOSNRを予測することが必要とされる光信号からサンプリングされた。図25は、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルの予測精度を図示している。図25は、さまざまなレベルのそれぞれのタイプの減損の予測に対する正規化された誤差範囲のプロットを示している。評価されるとともに、プロットされる減損タイプは、左上から始まり、時計回りの方向に進み、これらはOSNR、D、PMD、Df、Q stat、Q BER、ジッタ、およびPである。これからわかるように、OSNR、QBER、およびQ statについては、誤差範囲は小さく、予測精度は高い。ジッタは、ほとんど同じくらいの精度で予測される一方で、D、PMD、およびDfは、中くらいの精度で予測される。Pは、最も低い精度で予測される。
【0065】
図26は、図25と同じデータに対し次数3の多項式カーネルを適用したときの予測精度を図示している。図25と比較すると、多項式カーネルは一般的にある程度改善された予測精度を与えることが目で見てわかる。
【0066】
図19ないし図21ならびに図25および図26から、いくつかの観察結果が得られる。第1に、線形カーネルから多項式カーネルに切り換えることで、性能が向上する。これは、アイダイアグラムの場合に特に当てはまり、D、P_XTalk、PMD、Df、およびQについて予測精度が非常に改善する。さらに観察された結果として、マルチタップおよび2タップの場合の間で性能向上が挙げられる。これは、線形カーネルおよび多項式カーネルの両方の場合について当てはまるが、線形カーネルを使用する場合には特に顕著である。それに加えて、同期アイダイアグラムと非同期ダイアグラムとを比較すると、非同期の方法は、いずれのカーネルを使用してもうまくいくことがわかる。これは、使用されたモデルに関して、非同期データから減損を予測することが容易であることを示している。しかし、他の用途では、本発明を同期アイダイアグラムに適用した場合の効果は、非同期位相図に適用する場合に比べて等しいか、またはさらに高いと思われる。図34および図35は、このような用途の1つを図示している。
【0067】
図34は、1/2ビットのタップ遅延を使用した場合に、10Gbit/sの光信号をサンプリングして位相図を作成することにより得られる実験結果を示している。位相図は、3つの変数、つまりRx(受信パワー(dBm))、Disp(色分散(ps/nm))、およびOSNR(dB)のそれぞれの値を予測するために線形カーネルを含む機械学習アルゴリズムにより処理された一方で、存在するが予測されていない他の減損は、一次PMDを含んでいた。3つの予測された減損のそれぞれの実際の値は、図34のそれぞれのプロットの明確なステップ毎のトレースにより示されているように離散設定の1つに設定された。アルゴリズムにより返される予測値は、それぞれのプロット上の第2のトレースとして図示され、それぞれの減損の値の範囲全域において、精度の保証とともにそれぞれの減損の実際の値に従うことができる。
【0068】
図35は、10Gbit/sの光信号をサンプリングすることにより得られた実験結果を示している。しかし今回は、従来の同期アイダイアグラムを作成するためである。アイダイアグラムは、3つの変数、つまりRx(受信パワー)、Disp(色分散)、およびOSNRのそれぞれの値を予測するために線形カーネルを含む機械学習アルゴリズムにより処理された一方で、存在するが予測されていない他の減損は、一次PMDを含んでいた。3つの予測された減損のそれぞれの実際の値は、図35のそれぞれのプロットにおける明確なステップ毎のトレースにより示されているように離散設定の1つに設定された。アルゴリズムにより返される予測値は、それぞれのプロット上の第2のトレースとして図示され、それぞれの減損の値に範囲全域において、精度の保証とともにそれぞれの減損の実際の値に従うことができる。図34および図35は、本発明が、そのような信号条件の下で同期アイダイアグラムに関して非同期位相図にほぼ等しく適用可能であることを図示している。
【0069】
図23は、図12〜21に関してすでに説明されている機械学習アルゴリズムを使用する減損予測の効果を図示している。図23Aは、図23の左上に示され、また以下の表2に示されている減損レベルを有する信号に対するNRZ信号トレースの一部を図示している。図23Aの信号について、図23Bは、位相図を図示するとともに、図23Cは、アイダイアグラムを図示している。
【0070】
【表2】
【0071】
表2からわかるように、図23Bの位相図から得られた機械予測は、実際の減損値と比較して極めて良い精度を与える。さらに、様々なレベルの減損を使いそのような多数の信号をシミュレートするとともに、図23Bに示されているタイプの位相図からそれぞれのそのようなサンプルに対する予測精度を決定することにより、図23Dの回帰プロットが作成される。これは、機械予測がOSNR、ジッタ、およびQについては非常に正確であり、分散、フィルタオフセット、および一次PMDについては保証された精度レベルを有することを図示している。図23Eは、異なる減損レベルを有するそのような10個のサンプル信号に対する予測精度をさらに図示する。
【0072】
図24は、図12〜21および図33に関してすでに説明されている機械学習アルゴリズムを使用する減損予測の効果を図示している。図24Aは、図24の左上に示され、以下の表3に繰り返されている減損レベルを有する信号に対するNRZ信号波形の一部を図示している。図24Aの信号について、図24Bは、位相図を図示するとともに、図24Cは、アイダイアグラムを図示している。
【0073】
【表3】
【0074】
表3からわかるように、図24Bの位相図から得られた機械予測により、実際の減損値と比較して妥当な精度が得られる。図24Dの結果は、さまざまなレベルの減損を有する、特にそのようなすべての信号について8〜11dBの範囲内の厳しいOSNRを有するそのような多数の信号をシミュレートすることにより得られた。このような厳しいOSNR減損の効果は、図24Bの位相図と図24Cのアイダイアグラムから明らかである。予測精度は図24Bに示されているタイプの位相図からそれぞれそのようなサンプルについて決定され、それにより図24Dの回帰プロットを作成する。これは、そのような厳しいOSNR劣化が存在している場合でも、機械予測は、OSNR、ジッタ、およびQについて非常に正確であり、また分散、フィルタオフセット、および一次PMDについては保証されたレベルの精度が得られることを図示している。図24Eは、異なる減損レベルを有するそのような10個のサンプル信号に対する予測精度をさらに図示する。
【0075】
上記の実施形態は、二次元またはそれ以上のヒストグラムからの光信号減損の機械学習予測を参照しながら記載されている一方で、本発明は、二次元またはそれ以上のヒストグラムおよび位相図に適用されるそのような機械学習アルゴリズムを使用することにより信号特性が予測される他の多くの信号タイプに適用されることは自明である。そこで、以下では、心房細動が生じている心臓から得られ、検知された心電図信号を評価することにより、心房細動の停止の予測において本発明が適用された一実施例を取りあげる。
【0076】
使用したECGデータは、心房細動終了チャレンジデータベース(AF (atrial fibrillation) Termination Challenge Database(http://www.physionet.org/physiobank))から得た。記録の長さはそれぞれ1分(長い記録からの抜粋)であり、記録はそれぞれ、2つの同時記録ECG信号(チャネル)を含む。心調律は、それぞれの場合における心房細動である。注釈集合は使用されていない。分類の問題は、以下のグループを識別することである。
クラスA:非終了AF(長期記録の継続期間の間に、1分のセグメントの後少なくとも1時間の間に終了したことが観察されなかったAFとして定義される)、
クラスB:記録の終了直後(1秒以内)に終了するAFを含む、記録の終了後1分以内に終了するAF。
【0077】
図27は、本発明のこの実施形態によりそのような心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を図示する。図27Aは、このECG心臓データの一サンプルを図示している。データのそれぞれのそのようなセグメントに適用される処理は、0.05sのタップ遅延によって隔てられた2つのサンプルを含む複数のサンプル集合を取得することと、図27bに示されているように、サンプル集合をプロットして散布図に生成することとを含んだ。図27bの散布図の3つのコピーは、図27cの二次元ヒストグラムがすべて、単に格子間隔を変えるだけで同じ散布図から生成された。したがって、異なるビンサイズ(分解能)が元の時系列データから取り出されることを図示するために用意されている。
【0078】
この実施例では、図27Bの高分解能の二次元位相図または散布図は、その後、図27にそれぞれ示した様々な(等しいか、またはそれよりも低い)分解能の二次元位相ヒストグラムに変換される。図27Cに示された実施例では、22、62、および252個のビンが、それぞれ使用された。一般的にビンサイズは、単一の位相図内において変化することに留意されたい(例えば、点密度の高い散布図の領域内では分解能が高く、点密度の低い(またはゼロ)散布図の領域内では分解能が低い)。それとは別に、低分解能位相ヒストグラムは、時系列データの低分解能サンプリングから作成される。これらのプロット上の水平軸および垂直軸は、それぞれ、第1および第2のサンプルである。
【0079】
図28は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである22個のビンを有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。図29は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである62個のビンを有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。図30は、図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【0080】
図31は、図30のヒストグラムから心房細動の終了を予測する本発明の効果を図示している。上側の2つのプロットは、機械学習アルゴリズムの訓練を図示しており、この場合、トレース3110はそれぞれの場合の実際の値を示している(−1の値は、クラスAサンプルを表し、1の値は、クラスBサンプルを表している)。トレース3120は、それぞれのサンプルに対する訓練された機械学習アルゴリズムにより生成される予測値を示す。トレース3140は、0.5のAROC(サンプル毎にランダムに推測することと同等)を示している一方で、トレース3130は、AROC(レシーバ動作特性の下の領域)が0.62である、サンプルクラスを予測する際の機械学習アルゴリズムの実行を図示している。図31の下側の2つのプロットは、訓練されたアルゴリズムがサンプルのテスト集合に適用されたときの結果を図示しており、約0.76のAROCは、機械学習アルゴリズムの予測がランダムな推測よりも実質的に正確であることを示している。
【0081】
図32は、図27の心電図信号の第2のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを図示している。図33は、図30および図32の両方のヒストグラムから細動の終了を予測する本発明の効果を図示している。図33からわかるように、両方のチャネルが考慮される場合、機械学習アルゴリズムのAROCは、訓練集合については0.89に向上し、テスト集合については0.63に低下している。
【0082】
予測結果がここで与えられない場合、本発明は、図28に示されているタイプの22個のビンを有するものなどの低分解能の場合において効果的であることに留意されたい。同様に、図28〜30の密度のグレースケール表現は、それぞれのビンにおけるサンプルカウントを表している。本発明は、小さい密度分解能を使用する用途において適用できるため、例えば、図28〜30に示されているグレースケールは、代わりに、例えば4または8の密度レベルの粗い密度分解能を有するだけであってもよい。
【0083】
したがって、図27ないし図32の実施例は、本発明が、ECG信号の少なくとも1つの特性を予測するのに使用できる特に単純で、効果的な手段を実現することを図示している。本発明は、そのような効果を示す一方で、信号の複雑な前処理の必要性をなくす。例えば、本発明の実施形態では、信号のフーリエ変換を必要とせず、またECGデータにおけるQRS群の抽出または除去などの信号の特徴選択を必要としない(QRS群は心室に関するものであり、心房評価に干渉すると何かの形で考えられる)。したがって、本発明は、補綴法またはインプラント、例えばペースメーカーなどの、パワーバジェットの限られている単純なハードウェアデバイスにおける実装に特に適していると考えられる。
【0084】
本明細書では少なくとも二次元であるヒストグラムを参照しているが、そのような多次元性は、ヒストグラムにより表されるデータに関して適用されるともに、またヒストグラムの処理は、逐次的な方法で実行されることが認められる(例えば、ヒストグラムを横断することでヒストグラムから値を読み出す)。
【0085】
当業者にとって、広範に記載されたように本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく特定の実施形態において示されているように様々な変更および/または修正が本発明に加えられることは自明である。したがって、本発明の実施形態は、すべての点で、実施例であって、限定するものではないと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態による2タップ信号サンプリングデバイスの概略図である。
【図2】タップ遅延Δτとサンプリング間隔Tsを有する図1のデバイスによる信号のサンプリングを示す図である。
【図3】1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を示す図である。
【図4】ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を示す図である。
【図5】ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する一次のPMDの影響を示す図である。
【図6】1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する帯域内クロストークの影響を示す図である。
【図7】同期アイダイアグラムと比較した、本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響をさらに示す図である。
【図8】同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響を示す図である。
【図9】タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を示す図である。
【図10】1ビット周期のタップ遅延を使用して、NRZデータ信号の2タップサンプリングにより得られる同時確率密度関数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図11】減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から得られる)。
【図12】リッジ回帰および線形カーネルを使用して光ネットワークにおいて典型的な減損の組み合わせを予測する機械学習アルゴリズムを使用した結果を示す図である。
【図13】遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図14】遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図15】それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図16】それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図17】同期アイダイアグラムを入力として使用する線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図18】同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を示す図である。
【図19A】アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図19B】アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図20A】5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図20B】5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図21A】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図21B】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示す図である。
【図22】RZ、NRZ、およびNRZ−DPSK変調データ信号、および色分散の診断を可能にする識別できる変化の特徴を示す位相図である。
【図23a】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図23b】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図23c】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図23d】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図23e】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24a】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24b】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24c】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24d】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図24e】本発明の他の実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示す図である。
【図25】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として受け取ったときに線形カーネルの予測精度を示すとともに、OSNRに対するデータを追加した図13のデータの代替的表現を示す図である。
【図26】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として受け取ったときに次数3の多項式カーネルの予測精度を示すととともに、OSNRに対するデータを追加した図14のデータの代替的表現を示す図である。
【図27a】本発明の他の実施形態により心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を示す図である。
【図27b】本発明の他の実施形態により心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を示す図である。
【図27c】本発明の他の実施形態により心電図データを選択された格子密度の二次元ヒストグラムに変換する方法を示す図である。
【図28】図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである22個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図29】図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである62個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図30】図27の心電図信号の第1のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図31】図30のヒストグラムから細動の停止を予測する本発明の効果を示す図である。
【図32】図27の心電図信号の第2のチャネル記録に対するタップ遅延が0.05sである322個のビン(格子要素)を有する複数の二次元ヒストグラムを示す図である。
【図33】図30および図32のヒストグラムから細動の停止を予測する本発明の効果を示す図である。
【図34】1/2ビットのタップ遅延を使用した場合、10Gbit/sの光信号のサンプリングによって得られた実験的結果を示す図である。
【図35】10Gbit/sの光信号のサンプリングによって得られた実験的結果を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
100 2タップ非同期サンプリング光信号モニタ
110 光学的フィルタ
120 高速レシーバ
130 デュアルチャネルA/Dサンプラ
140 プロセッサ
150 信号処理モジュール
3110 トレース
3120 トレース
3130 トレース
3140 トレース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を評価する方法であって、
信号から区別できるサンプルを取り出すように構成されている少なくとも2つのタップ点から信号をサンプリングして、サンプル集合を取り出すステップと、
時間の経過とともに複数のこのようなサンプル集合を取り出すステップと、
前記複数のサンプル集合の同時確率分布の少なくとも二次元のヒストグラムを構成するステップと、
前記少なくとも二次元のヒストグラムを、信号の少なくとも1つの特性の値を予測するように訓練された機械学習アルゴリズムに渡すステップとを具備することを特徴とする信号評価方法。
【請求項2】
前記機械学習アルゴリズムは、教師有り学習技術を具備することを特徴とする請求項1に記載の信号評価方法。
【請求項3】
前記機械学習アルゴリズムは、回帰を具備することを特徴とする請求項2に記載の信号評価方法。
【請求項4】
前記機械学習アルゴリズムは、リッジ回帰を具備することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項5】
前記機械学習アルゴリズムは、サポートベクター回帰を具備することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項6】
前記機械学習アルゴリズムは、線形カーネルを使用することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項7】
前記機械学習アルゴリズムは、非線形カーネルを使用することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項8】
前記機械学習アルゴリズムは、次数nの多項式を具備することを特徴とする非線形カーネルを使用する請求項8に記載の信号評価方法。
【請求項9】
前記機械学習アルゴリズムは、シミュレーションから作成された訓練集合に基づいて訓練されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項10】
前記機械学習アルゴリズムは、実験測定結果から作成された訓練集合に基づいて訓練されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項11】
前記二次元ヒストグラムは、同時確率密度関数の複数の部分領域または部分体積のそれぞれに出現するサンプル点の個数を決定することにより構成されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項12】
前記部分領域または部分体積は、格子の均等なサイズの要素である請求項11に記載の信号評価方法。
【請求項13】
前記格子要素サイズは、予測精度を改善するために選択されることを特徴とする請求項11または請求項12のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つのタップ点は、タップ遅延によって時間的に隔てられている前記信号の部分から得られることではっきり区別できる前記信号からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項15】
前記またはそれぞれのタップ遅延は調節可能であることを特徴とする請求項14に記載の信号評価方法。
【請求項16】
前記信号は、高周波数周期的成分を含み、前記サンプリング間隔は、前記高周波数信号成分の周期よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項14または請求項15いずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項17】
タップ遅延によって隔てられた3つまたはそれ以上のサンプルタップ点は、3つまたはそれ以上のサンプルからなるサンプル集合を取り出すために提供される請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項18】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記信号の別個のスペクトル成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項20】
信号を評価するためのデバイスであって、
信号から別個のサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合を信号からサンプリングするとともに、時間の経過とともに複数のそのようなサンプル集合を取り出すマルチタップサンプラーと、
前記複数のサンプル集合の同時確率分布の少なくとも二次元のヒストグラムを構成するプロセッサと、
前記少なくとも二次元のヒストグラムを処理するとともに、前記信号の少なくとも1つの特性の値を予測するために訓練された機械学習モジュールとを具備することを特徴とする信号評価デバイス。
【請求項21】
前記機械学習モジュールは、教師有り学習技術を具備することを特徴とする請求項1に記載の信号評価デバイス。
【請求項22】
前記機械学習モジュールは、回帰の機能を具備することを特徴とする請求項2に記載の信号評価デバイス。
【請求項23】
前記機械学習モジュールは、リッジ回帰の機能を具備することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項24】
前記機械学習モジュールは、サポートベクター回帰の機能を具備することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項25】
前記機械学習モジュールは、線形カーネルを使用することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項26】
前記機械学習モジュールは、非線形カーネルを使用することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項27】
前記機械学習モジュールは、次数nの多項式を含む非線形カーネルを使用することを特徴とする請求項8に記載の信号評価デバイス。
【請求項28】
前記機械学習モジュールは、シミュレーションから作成された訓練集合に基づいて訓練されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項29】
前記機械学習モジュールは、実験測定結果から作成された訓練集合に基づいて訓練されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項30】
前記二次元ヒストグラムは、同時確率密度関数の複数の部分領域または部分体積のそれぞれに出現するサンプル点の個数を決定することにより構成されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項31】
前記部分領域または部分体積は、格子の均等なサイズの要素であることを特徴とする請求項11に記載の信号評価デバイス。
【請求項32】
前記格子要素サイズは、予測精度を改善するように選択されることを特徴とする請求項11または請求項12のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項33】
前記少なくとも2つのタップ点は、タップ遅延だけ時間的に隔てられている前記信号の部分から得られることで別個の信号からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項34】
前記またはそれぞれのタップ遅延は調節可能であることを特徴とする請求項14に記載の信号評価デバイス。
【請求項35】
前記信号は、高周波数周期的成分を含み、前記サンプリング間隔は、前記高周波数信号成分の周期よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項14または請求項15のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項36】
タップ遅延だけ隔てられた3つまたはそれ以上のサンプルタップ点は、3つまたはそれ以上のサンプルからなるサンプル集合を取り出すために用意されることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項37】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記信号の別個のスペクトル成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項38】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記信号の区別できる偏光成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項1】
信号を評価する方法であって、
信号から区別できるサンプルを取り出すように構成されている少なくとも2つのタップ点から信号をサンプリングして、サンプル集合を取り出すステップと、
時間の経過とともに複数のこのようなサンプル集合を取り出すステップと、
前記複数のサンプル集合の同時確率分布の少なくとも二次元のヒストグラムを構成するステップと、
前記少なくとも二次元のヒストグラムを、信号の少なくとも1つの特性の値を予測するように訓練された機械学習アルゴリズムに渡すステップとを具備することを特徴とする信号評価方法。
【請求項2】
前記機械学習アルゴリズムは、教師有り学習技術を具備することを特徴とする請求項1に記載の信号評価方法。
【請求項3】
前記機械学習アルゴリズムは、回帰を具備することを特徴とする請求項2に記載の信号評価方法。
【請求項4】
前記機械学習アルゴリズムは、リッジ回帰を具備することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項5】
前記機械学習アルゴリズムは、サポートベクター回帰を具備することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項6】
前記機械学習アルゴリズムは、線形カーネルを使用することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項7】
前記機械学習アルゴリズムは、非線形カーネルを使用することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項8】
前記機械学習アルゴリズムは、次数nの多項式を具備することを特徴とする非線形カーネルを使用する請求項8に記載の信号評価方法。
【請求項9】
前記機械学習アルゴリズムは、シミュレーションから作成された訓練集合に基づいて訓練されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項10】
前記機械学習アルゴリズムは、実験測定結果から作成された訓練集合に基づいて訓練されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項11】
前記二次元ヒストグラムは、同時確率密度関数の複数の部分領域または部分体積のそれぞれに出現するサンプル点の個数を決定することにより構成されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項12】
前記部分領域または部分体積は、格子の均等なサイズの要素である請求項11に記載の信号評価方法。
【請求項13】
前記格子要素サイズは、予測精度を改善するために選択されることを特徴とする請求項11または請求項12のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つのタップ点は、タップ遅延によって時間的に隔てられている前記信号の部分から得られることではっきり区別できる前記信号からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項15】
前記またはそれぞれのタップ遅延は調節可能であることを特徴とする請求項14に記載の信号評価方法。
【請求項16】
前記信号は、高周波数周期的成分を含み、前記サンプリング間隔は、前記高周波数信号成分の周期よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項14または請求項15いずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項17】
タップ遅延によって隔てられた3つまたはそれ以上のサンプルタップ点は、3つまたはそれ以上のサンプルからなるサンプル集合を取り出すために提供される請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項18】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記信号の別個のスペクトル成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の信号評価方法。
【請求項20】
信号を評価するためのデバイスであって、
信号から別個のサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合を信号からサンプリングするとともに、時間の経過とともに複数のそのようなサンプル集合を取り出すマルチタップサンプラーと、
前記複数のサンプル集合の同時確率分布の少なくとも二次元のヒストグラムを構成するプロセッサと、
前記少なくとも二次元のヒストグラムを処理するとともに、前記信号の少なくとも1つの特性の値を予測するために訓練された機械学習モジュールとを具備することを特徴とする信号評価デバイス。
【請求項21】
前記機械学習モジュールは、教師有り学習技術を具備することを特徴とする請求項1に記載の信号評価デバイス。
【請求項22】
前記機械学習モジュールは、回帰の機能を具備することを特徴とする請求項2に記載の信号評価デバイス。
【請求項23】
前記機械学習モジュールは、リッジ回帰の機能を具備することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項24】
前記機械学習モジュールは、サポートベクター回帰の機能を具備することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項25】
前記機械学習モジュールは、線形カーネルを使用することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項26】
前記機械学習モジュールは、非線形カーネルを使用することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項27】
前記機械学習モジュールは、次数nの多項式を含む非線形カーネルを使用することを特徴とする請求項8に記載の信号評価デバイス。
【請求項28】
前記機械学習モジュールは、シミュレーションから作成された訓練集合に基づいて訓練されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項29】
前記機械学習モジュールは、実験測定結果から作成された訓練集合に基づいて訓練されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項30】
前記二次元ヒストグラムは、同時確率密度関数の複数の部分領域または部分体積のそれぞれに出現するサンプル点の個数を決定することにより構成されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項31】
前記部分領域または部分体積は、格子の均等なサイズの要素であることを特徴とする請求項11に記載の信号評価デバイス。
【請求項32】
前記格子要素サイズは、予測精度を改善するように選択されることを特徴とする請求項11または請求項12のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項33】
前記少なくとも2つのタップ点は、タップ遅延だけ時間的に隔てられている前記信号の部分から得られることで別個の信号からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項34】
前記またはそれぞれのタップ遅延は調節可能であることを特徴とする請求項14に記載の信号評価デバイス。
【請求項35】
前記信号は、高周波数周期的成分を含み、前記サンプリング間隔は、前記高周波数信号成分の周期よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項14または請求項15のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項36】
タップ遅延だけ隔てられた3つまたはそれ以上のサンプルタップ点は、3つまたはそれ以上のサンプルからなるサンプル集合を取り出すために用意されることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項37】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記信号の別個のスペクトル成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【請求項38】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記信号の区別できる偏光成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の信号評価デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図23d】
【図24】
【図24d】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図23d】
【図24】
【図24d】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公表番号】特表2009−512031(P2009−512031A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534827(P2008−534827)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001522
【国際公開番号】WO2007/041807
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507074133)ナショナル・アイシーティ・オーストラリア・リミテッド (10)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001522
【国際公開番号】WO2007/041807
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507074133)ナショナル・アイシーティ・オーストラリア・リミテッド (10)
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