信号解析装置、サーボトラック書き込み装置および信号解析プログラム
【課題】サーボトラックの書き込み精度を向上させること。
【解決手段】サーボトラックを書き込む際に用いられるマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、読み出し開始指標を起点として、マスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号の瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出し、算出したクロックごとの平均位相と所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。
【解決手段】サーボトラックを書き込む際に用いられるマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、読み出し開始指標を起点として、マスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号の瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出し、算出したクロックごとの平均位相と所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号解析装置、サーボトラック書き込み装置および信号解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体の記録情報の高密度化に伴い、記録媒体の製造過程における歩留まりを向上させるために、サーボトラックの書き込み精度を向上させることが必要となっている。サーボトラックは、ヘッドを記録媒体のデータトラックに位置決めするための情報であり、サーボトラックライタ(以下、STWと記す)は、マスタークロック(以下、MCLKと記す)に同期して、記録媒体上にサーボトラックを書き込む。
【0003】
STWは、まず、基準媒体に書き込まれたMCLKを読み出す。そして、STWは、読み出したMCLKを位相同期回路であるPLL(Phase Locked Loop)によって逓倍し、逓倍したMCLKに同期してサーボトラックを書き込む。
【0004】
ここで、基準媒体に書き込まれたMCLKを読み出した際に、信号の時間的なズレや揺らぎ(以下、ジッタと記す)が生じることにより、サーボトラックの書き込み精度が低下する場合がある。
【0005】
そこで、近年、複数の非接触センサーを用いてMCLKを読み出し、非接触センサーにより読み出した複数のMCLK信号に基づいて、基準媒体から読み出したMCLKの位相を補正する技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、基準媒体から読み出したMCLKのトラック一周分のクロック数をカウントして、クロック数に異常があるか否かをチェックする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。あるいは、サーボトラックの書き込みに用いるMCLKの読み出しが開始された直後の位相と、トラック一周の読み出しの後、MCLKの同一位置における位相とを比較し、ずれが生じているか否かをチェックする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−95023号公報
【特許文献2】特開平10−31801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記した従来技術では、サーボトラックの書き込み精度を向上させることができないという課題があった。すなわち、上記した非接触センサーを用いる技術では、位相補正を行うための計算の誤差や回路に起因する補正誤差が生じるために、ジッタの低減に限界がある。
【0009】
また、上記した位相を比較する技術では、トラック内での位相にずれが生じた場合であっても、比較した位置の位相にずれが生じていなければ、正常として判定される。さらに、ジッタの成分は、基準媒体の偏心などによる回転同期成分と振動や風などの外乱による非回転同期成分との2つがあり、上記した従来の技術では、これら2つの成分が区別されておらず、補正不要な回転同期成分によるジッタに対してもチェックや補正を行うこととなる。
【0010】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、サーボトラックの書き込み精度を簡易に向上させることが可能となる信号解析装置、サーボトラック書き込み装置および信号解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この装置は、基準クロック信号生成部が、サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出したマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、瞬時位相算出部は、読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、平均位相算出部は、読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、差分算出部は、平均位相算出部によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。
【発明の効果】
【0012】
開示の装置は、サーボトラックの書き込み精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1における信号解析装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例2における信号解析装置が組み込まれるサーボトラック書き込み装置を説明するための図である。
【図3】図3は、実施例2における信号解析装置の構成を説明するための図である。
【図4】図4は、基準クロック信号生成部を説明するための図である。
【図5】図5は、瞬時位相算出部を説明するための図である。
【図6】図6は、平均位相算出部および差分算出部を説明するための図である。
【図7】図7は、実施例2における信号解析装置による信号解析処理の手順を説明するための図である。
【図8】図8は、実施例2における信号解析装置のサーボトラック書き込み装置への組み込みの変形例を説明するための図である。
【図9】図9は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の構成を説明するための図である。
【図10】図10は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置によるサーボトラック書き込み処理の手順を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の変形例を説明するための図である。
【図12】図12は、実施例2における信号解析プログラムを実行するコンピュータを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本願の開示する信号解析装置、サーボトラック書き込み装置および信号解析プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、実施例1および2において、本願の開示する信号解析装置について説明し、実施例3において、本願の開示するサーボトラック書き込み装置について説明する。
【実施例1】
【0015】
まず最初に、図1を用いて、実施例1における信号解析装置の構成を説明する。図1は、実施例1における信号解析装置の構成を説明するための図である。
【0016】
図1に示すように、実施例1における信号解析装置10は、基準クロック信号生成部21と、瞬時位相算出部22と、平均位相算出部23と、差分算出部24とを有する。
【0017】
基準クロック信号生成部21は、サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出されたマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。
【0018】
瞬時位相算出部22は、基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。
【0019】
平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について、瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。
【0020】
差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。
【0021】
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、基準クロック信号生成部21は、サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出されたマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、瞬時位相算出部22は、基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について、瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。従って、トラック一周分のマスタークロック信号が読み出されるごとに、定常的に発生する回転同期成分と、非定常的に発生する可能性のある非回転同期成分とを、差分した情報から区別することができ、サーボトラックの書き込み精度を向上させることが可能となる。
【実施例2】
【0022】
実施例2では、上述した実施例1における信号解析装置10が実行する処理内容の具体的な一例について説明する。
【0023】
[実施例2における信号解析装置の構成]
まず最初に、図2〜6を用いて、実施例2における信号解析装置の構成を説明する。図2は、実施例2における信号解析装置が組み込まれるサーボトラック書き込み装置を説明するための図であり、図3は、実施例2における信号解析装置の構成を説明するための図であり、図4は、基準クロック信号生成部を説明するための図である。また、図5は、瞬時位相算出部を説明するための図であり、図6は、平均位相算出部および差分算出部を説明するための図である。
【0024】
まず、実施例2における信号解析装置が組み込まれるサーボトラック書き込み装置(以下、STWと記す)について、図2の(A)を用いて説明する。STWは、ヘッドを記録媒体のデータトラックに位置決めするための情報であるサーボトラックを、マスタークロック信号(以下、MCLK信号と記す)に同期して、記録媒体上に書き込む装置である。
【0025】
図2の(A)に示すように、STWの読み出し制御部は、第一ヘッドを制御して、基準媒体においてMCLK信号が記憶されたトラックであるMCLKトラックからMCLK信号を読み出す。そして、STWの書き込み制御部は、図2の(A)に示すPLL(Phase Locked Loop)回路によって逓倍されたMCLK信号(逓倍後MCLK信号)に同期して、サーボトラックを書き込むように第二ヘッドを制御してサーボトラックを書き込む。
【0026】
STWのPLL回路は、図2の(A)に示すように、位相比較器、ループフィルタ、電圧制御発振器および分周器を有し、読み出し制御部から入力されたMCLK信号を逓倍し、逓培したMCLK信号を書き込み制御部に出力する。具体的には、STWのPLL回路は、読み出し制御部から入力されたMCLK信号の位相と、電圧制御発振器が自励発振で生成した信号の位相との位相差が一定になるように調整を行い、電圧制御発振器が生成した信号を書き込み制御部に出力する。
【0027】
まず、電圧制御発振器は、自励発振で信号を生成して、分周器に出力する。そして、分周器は、入力された信号の周波数を、所定の割合で分周し、分周した信号を位相比較器に出力する。位相比較器は、読み出し制御部から入力されたMCLK信号の位相と分周器から入力された信号の位相とを比較し、2つの信号間の位相差である差信号を、ループフィルタを介して、電圧制御発振器に出力する。
【0028】
ループフィルタは、位相比較器から入力された差信号から位相雑音の帯域の周波数を除去する。例えば、図3に示すループフィルタは、LPF(Low Pass Filter)であり、高域周波数の信号を除去するフィルタである。そして、電圧制御発振器は、ループフィルタを介して位相比較器から入力された差信号に基づいて、MCLK信号の周波数を逓倍した逓倍後MCLK信号を生成して、生成した逓倍後MCLK信号を書き込み制御部に出力する。すなわち、上記した処理により、STWは、所定の割合に逓倍したMCLK信号に同期して、記録媒体にサーボトラックを書き込むことができる。なお、ループフィルタが除去する周波数は、任意に設定することができる。
【0029】
ここで、図2の(A)に示すサーボトラック書き込み装置では、書き込み精度が低下する場合があった。すなわち、基準媒体からMCLK信号を読み出した際に、信号の時間的なずれや揺らぎ(以下、ジッタと記す)が生じることにより、サーボトラックの書き込み精度が低下する場合があった。
【0030】
そこで、従来技術では、例えば、基準媒体上に複数の非接触センサーを設置し、非接触センサーにより読み出した複数のMCLK信号に基づいて、基準媒体の位相を補正していた。しかしながら、上記した技術では、位相補正を行うための計算誤差や回路に起因する補正誤差が生じるために、ジッタの低減に限界があった。
【0031】
また、別の従来技術では、基準媒体から読み出したMCLKのトラック一周分のクロック数をカウントして、クロック数に異常があるか否かをチェックする技術があった。あるいは、サーボトラックの書き込みに用いるMCLKの読み出しが開始された直後の位相と、トラック一周の読み出しの後、MCLKの同一位置における位相とを比較し、ずれが生じているか否かをチェックする技術があった。
【0032】
しかしながら、位相を比較する技術では、トラック内での位相にずれが生じた場合であっても、比較した位置の位相にずれが生じていなければ、正常として判定される。さらに、ジッタの成分は、基準媒体の偏心などによる回転同期成分と振動や風などの外乱による非回転同期成分との2つがあり、上記した従来の技術では、これら2つの成分が区別されておらず、補正不要な回転同期成分によるジッタに対してもチェックや補正を行うこととなる。
【0033】
そこで、実施例2における信号解析装置は、回転同期成分と非回転同期成分を区別するために、図2の(A)に示すSTWに、新たに組み込まれる。例えば、実施例2における信号解析装置は、図2の(B)に示すように、書き込み制御部に出力される逓倍後MCLK信号を受け付け、非回転同期成分を抽出して、ループフィルタに出力することにより、非回転同期成分に相当する周波数をループフィルタで除去可能にする。以下、実施例2における信号解析装置を、図3などを用いて説明する。
【0034】
図3に示すように、実施例2における信号解析装置10は、処理部20と、記憶部30と、入力部40と、出力部50と、入出力制御I/F部60とを有し、位相同期回路であるPLL(Phase Locked loop)回路70に接続される。
【0035】
入力部40は、PLL回路70の電圧制御発振器から出力された逓倍後MCLK信号を受け付け、後述する記憶部30に転送する。
【0036】
出力部50は、後述する処理部20から処理結果を受信し、処理結果をPLL回路70のループフィルタに出力する。
【0037】
入出力制御I/F部60は、処理部20と、記憶部30と、入力部40と、出力部50との間で送受信されるデータを中継するインターフェースである。
【0038】
記憶部30は、入出力制御I/F部60を介して受信したMCLK信号および後述する処理部20の処理結果を記憶し、MCLK信号記憶部31と、基準クロック信号記憶部32、瞬時位相記憶部33と、平均位相記憶部34とを有する。
【0039】
MCLK信号記憶部31は、入力部40を介して、PLL回路70から受信した逓倍後MCLK信号を記憶する。
【0040】
基準クロック信号記憶部32、瞬時位相記憶部33および平均位相記憶部34は、後述する処理部20による処理結果を記憶する。具体的には、基準クロック信号記憶部32は、MCLK信号記憶部31が記憶する逓倍後MCLK信号に基づいて生成された基準クロック信号を記憶する。また、瞬時位相記憶部33は、MCLK信号記憶部31が記憶する逓倍後MCLK信号と、基準クロック信号記憶部32が記憶する基準クロック信号を用いて算出された瞬時位相を記憶する。また、平均位相記憶部34は、瞬時位相記憶部33が記憶する複数の瞬時位相を用いて算出された平均位相を記憶する。
【0041】
なお、基準クロック信号記憶部32、瞬時位相記憶部33および平均位相記憶部34それぞれが記憶する基準クロック信号、瞬時位相および平均位相については、後に詳述する。
【0042】
処理部20は、MCLK信号を用いた信号解析における各種処理を実行し、基準クロック信号生成部21と、瞬時位相算出部22と、平均位相算出部23と、差分算出部24とを有する。
【0043】
基準クロック信号生成部21は、MCLK信号記憶部31が記憶する逓倍後MCLK信号から基準クロック信号を生成して、生成した基準クロック信号を基準クロック信号記憶部32に格納する。ここで、改めて、逓倍後MCLK信号について、図4の(A)および(B)を用いて説明する。逓倍後MCLK信号は、図4の(A)に示すように、基準媒体のMCLKトラックにある読み出し開始インデックスからトラック一周分読み出されたMCLK信号が、PLL回路70にて逓倍された信号である。なお、読み出し開始インデックスは、例えば、図4の(B)に示すように、MCLK信号の各クロックと比較して、立ち上がりから立ち下がりまでの周期が短いクロックであり、MCLK信号を読み出す起点として用いられる。
【0044】
ここで、基準クロック信号生成部21は、MCLK信号記憶部31から逓倍後MCLK信号を読み出し、読み出したトラック一周分の逓倍後MCLK信号のクロック数や周期に基づいて、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。例えば、基準クロック信号生成部21は、図4の(C)に示すように、ジッタによりクロックの立ち上がり周期が異なる逓倍後MCLK信号から、立ち上がり周期「a=b=c」となる基準クロック信号を生成する。
【0045】
図3に戻って、瞬時位相算出部22は、入力部40を介してPLL回路70から順次入力される逓倍後MCLK信号と、基準クロック信号記憶部32が記憶する基準クロック信号とを用いて、瞬時位相を算出し、算出した瞬時位相を瞬時位相記憶部33に格納する。具体的には、瞬時位相算出部22は、逓倍後MCLK信号の読み出し開始インデックスを起点として逓倍後MCLK信号の各クロックにおける立ち上がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。
【0046】
例えば、瞬時位相算出部22は、図5の(A)に示すように、読み出し開始インデックスから1、2、3および4番目にあるクロックの立ち上がりを、MCLK信号と基準クロック信号とで比較し、立ち上がりのずれを瞬時位相(TIE)として算出する。
【0047】
なお、上記した例では、瞬時位相の算出において、各クロックの立ち上がりのずれを瞬時位相として算出する場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、例えば、各クロックの立ち下がりのずれを瞬時位相として算出する場合であってもよい。
【0048】
そして、瞬時位相算出部22は、トラック一周分の全クロックについて瞬時位相を算出して、瞬時位相記憶部33に格納する。例えば、瞬時位相算出部22は、図5の(B)に示すように、ジッタの量が時間経過とともに変化する様相を示すジッタトレンドを作成し、瞬時位相記憶部33に格納する。なお、図5の(B)に示す、ジッタトレンドは、縦軸が瞬時位相(TIE)を示し、横軸が時間(t)を示す。また、図5の(B)に示すTIEは、基準クロック信号の立ち上がりと比較して、MCLK信号の立ち上がりが早い場合(図5の(A)のクロック1または2参照)、正の値となり、MCLK信号の立ち上がりが遅い場合(図5の(A)のクロック4参照)、負の値となる。また、図5の(A)のクロック3に示すように、MCLK信号のクロックの立ち上がりと基準クロック信号の立ち上がりとが同一である場合、TIEは、「0」となる(図5の(B)参照)。
【0049】
図3に戻って、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数の逓倍後MCLK信号について瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、平均位相算出部23は、算出した平均位相を平均位相記憶部34に格納する。具体的には、平均位相算出部23は、瞬時位相記憶部33が記憶する複数の逓倍後MCLK信号それぞれの全クロックごとの瞬時位相を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出して、平均位相記憶部34に格納する。
【0050】
例えば、基準クロック信号記憶部32は、図6に示すように、「A:基準クロック信号」を記憶しているとする。また、瞬時位相記憶部33は、図6に示すように、読み出し時期が異なる逓倍後MCLK信号「MCLK信号1」、「MCLK信号2」および「MCLK信号3」と「A:基準クロック信号」とから算出された各ジッタトレンド「B1、B2およびB3」を記憶しているとする。なお、図6に示す丸印は、「A:基準クロック信号」とMCLK信号それぞれを比較した時点を示す。
【0051】
ジッタトレンド「B1、B2およびB3」が記憶されている場合、平均位相算出部23は、クロックごとの瞬時位相を平均した平均位相を算出する(図6の「C:(B1+B2+B3)/3」参照)。そして、平均位相算出部23は、算出した平均位相を平均位相記憶部34に格納する。例えば、平均位相算出部23は、図6に示す「C:(B1+B2+B3)/3」を平均位相記憶部34に格納する。なお、平均位相の算出に用いられる逓倍後MCLK信号の数は、任意に設定することができる。
【0052】
図3に戻って、差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のMCLK信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。具体的には、差分算出部24は、平均位相記憶部34によって記憶された平均位相と瞬時位相記憶部33によって記憶された瞬時位相との差分を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに算出する。
【0053】
例えば、差分算出部24は、図6に示すように、瞬時位相「B3」と平均位相「C:(B1+B2+B3)/3」との差分である「D:B3−C」を参照することで、「MCLK信号3」の左から4番目の時点で外乱により発生した「非回転同期成分」を抽出することができる。
【0054】
また、図示しないが、瞬時位相「B1」を解析対象とした場合、「D:B1−C」を参照することで、「MCLK信号1」は、「回転同期成分」のみが発生していることがわかる。
【0055】
また、図示しないが、瞬時位相「B2」を解析対象とした場合、「D:B2−C」を参照することで、「MCLK信号2」の左から9番目の時点で外乱により発生した「非回転同期成分」を抽出することができる。
【0056】
そして、差分算出部24は、算出した差分に基づいて抽出した非回転同期成分を解析し、解析結果を出力部50に送信する。例えば、差分算出部24は、FFT(Fast Fourier Transform)などにより非回転同期成分を周波数解析して、解析結果を出力部50に送信する。
【0057】
[実施例2における信号解析装置による処理の手順]
次に、図7を用いて、実施例2における信号解析装置による処理を説明する。図7は、実施例2における信号解析装置による信号解析処理の手順を説明するための図である。
【0058】
図7に示すように、まず、実施例2における信号解析装置10は、サーボトラックの書き込みが開始されると(ステップS101肯定)、入力部40は、PLL回路70から逓倍後MCLK信号を受信して、MCLK信号記憶部31に格納する(ステップS102)。
【0059】
そして、基準クロック信号生成部21は、MCLK信号記憶部31から逓倍後MCLK信号を読み出し、読み出した逓倍後MCLK信号のクロック数や周期に基づいて、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する(ステップS103)。
【0060】
続いて、瞬時位相算出部22は、入力部40を介してPLL回路70から順次入力される逓倍後MCLK信号と、基準クロック信号記憶部32が記憶する基準クロック信号とを用いて、瞬時位相を算出し、算出した瞬時位相を瞬時位相記憶部33に格納する(ステップS104)。具体的には、瞬時位相算出部22は、逓倍後MCLK信号の読み出し開始インデックスを起点として逓倍後MCLK信号の各クロックにおける立ち上がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。なお、瞬時位相の算出は、逓倍後MCLK信号の各クロックにおける立ち下がり時点ごとに行われてもよい。
【0061】
そののち、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数の逓倍後MCLK信号について算出された瞬時位相を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出して、平均位相記憶部34に格納する(ステップS105)。具体的には、平均位相算出部23は、瞬時位相記憶部33が記憶する複数の逓倍後MCLK信号それぞれの全クロックごとの瞬時位相を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出して、平均位相記憶部34に格納する。
【0062】
そして、差分算出部24は、平均位相記憶部34が記憶するクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のMCLK信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する(ステップS106)。
【0063】
そののち、差分算出部24は、算出した差分に基づいて抽出した非回転同期成分を、例えば、FFT(Fast Fourier Transform)などにより周波数解析し(ステップS107)、解析結果を出力部50に送信して処理を終了する。
【0064】
ここで、実施例2における信号解析装置10のSTWへの組み込みの変形例を、図8を用いて説明する。図8は、実施例2における信号解析装置10のSTWへの組み込みの変形例を説明するための図である。
【0065】
図8に示すように、実施例2における信号解析装置10は、読み出し制御部から出力されたMCLK信号を受け付け、非回転同期成分を抽出して、ループフィルタに出力することにより、非回転同期成分に相当する周波数をループフィルタで除去可能にすることもできる。実施例2における信号解析装置10を、図8に示すようにサーボトラック書き込み装置に組み込んだ場合、入力部40が受け付けるMCLK信号が、上記した実施例とは異なる。以下、これについて説明する。
【0066】
実施例2における信号解析装置10を、図8に示すようにサーボトラック書き込み装置に組み込んだ場合、入力部40は、第一ヘッドが読み出したMCLK信号を受け付けて、MCLK信号記憶部31に格納する。
【0067】
すなわち、基準クロック信号生成部21は、逓倍後MCLK信号ではなく、基準媒体から第一ヘッドが読み出したMCLK信号を用いて基準クロック信号を生成し、生成した基準クロック信号を基準クロック信号記憶部32に格納することとなる。
【0068】
なお、瞬時位相の算出、平均位相の算出および差分の算出それぞれの処理については、上述した処理内容と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2によれば、基準クロック信号生成部21は、サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出されたMCLK信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、瞬時位相算出部22は、基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたMCLK信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数のMCLK信号について、瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のMCLK信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。従って、実施例における信号解析装置10は、非回転同期成分を抽出して、例えば、抽出した非回転同期成分の周波数解析の結果をSTWのPLL回路に出力することができる。その結果、PLL回路は、非回転同期成分が除去された逓倍後MCLK信号を出力することができ、サーボトラックの書き込み精度を向上させることが可能となる。
【実施例3】
【0070】
上述した実施例2では、信号解析装置10をサーボトラック書き込み装置に組み込む場合ついて説明したが、実施例3では、信号解析装置10を有するサーボトラック書き込み装置について説明する。
【0071】
[実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の構成]
まず最初に、図9を用いて、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の構成を説明する。図9は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の構成を説明するための図である。
【0072】
図9に示すように、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、信号解析装置10および濾波部設定部80を有する。
【0073】
信号解析装置10は、読み出し制御部が制御する読み出しヘッドである第一ヘッド100によって読み出されたMCLK信号がPLL回路によって逓倍された逓倍後MCLK信号を受け付けて、信号解析を行い、解析結果を濾波部設定部80に送信する。なお、信号解析装置10の信号解析処理は、実施例2における信号解析装置10と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
濾波部設定部80は、信号解析装置10から解析結果を受信し、受信した解析結果に基づいて、濾波部であるループフィルタの設定を行う。具体的には、濾波部設定部80は、信号解析装置10が実行した周波数解析により抽出された非回転同期成分に相当する周波数成分を除去するように、ループフィルタを設定する。
【0075】
実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、濾波部設定部80によって設定されたループフィルタを介して逓倍されたMCLK信号に同期するように、書き込み制御部90が書き込みヘッドである第二ヘッドを制御し、サーボトラックをSTW対象記録媒体に書き込む。
【0076】
すなわち、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、基準媒体から読み出されたMCLK信号から非回転同期成分を除去したMCLK信号に同期して、サーボトラックを書き込むことができる。
【0077】
[実施例3におけるサーボトラック書き込み装置による処理の手順]
次に、図10を用いて、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置による処理を説明する。図10は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置によるサーボトラック書き込み処理の手順を説明するための図である。なお、図10におけるステップS201〜ステップS207それぞれの処理内容は、図7におけるステップS101〜ステップS107それぞれと同様であるので、説明を省略する。
【0078】
図10に示すように、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、ステップS207において、差分算出部24が周波数解析を行い、解析結果を濾波部設定部80に送信すると、濾波部設定部80は、受信した解析結果に基づいて、ループフィルタを設定する(ステップS208)。具体的には、濾波部設定部80は、差分算出部24が実行した周波数解析により抽出された非回転同期成分に相当する周波数成分を除去するように、ループフィルタを設定する。
【0079】
そして、書き込み制御部90は、濾波部設定部80によって除去する周波数域が設定されたループフィルタを介した、逓倍後MCLK信号に同期するように第二ヘッドを制御し、サーボトラックをSTW対象記録媒体に書き込ませ(ステップS209)、処理を終了する。
【0080】
ここで、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の変形例を、図11を用いて説明する。図11は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の変形例を説明するための図である。
【0081】
図11に示すように、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、読み出し制御部から出力されたMCLK信号から信号解析装置10によって非回転同期成分を抽出し、抽出した非回転同期成分に相当する周波数成分を除去するように濾波部を設定することも可能である。なお、図11に示すサーボトラック書き込み装置の信号解析装置10の処理内容は、実施例2における変形例と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
[実施例3の効果]
上記したように、実施例3によれば、第一ヘッド100は、基準媒体からサーボトラックを書き込む際に基準となるMCLK信号を読み出す。そして、基準クロック信号生成部21は、第一ヘッド100によって読み出されたMCLK信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、瞬時位相算出部22は、基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたMCLK信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数のMCLK信号について、瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のMCLK信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。そして、濾波部設定部80は、差分算出部24によって算出された差分に相当する周波数成分を除去するようにループフィルタを設定する。そして、書き込み制御部90は、ループフィルタによって差分に相当する周波数成分が除去されたMCLK信号に同期してサーボトラックを書き込むように第二ヘッドを制御する。従って、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、非定常的に発生する非回転同期成分を除去したMCLK信号を用いてサーボトラックを書き込むことができる。その結果、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、精度を向上させたサーボトラックの書き込みを実行することが可能となる。
【実施例4】
【0083】
さて、これまで実施例1、実施例2および実施例3について説明したが、上述した実施例1、実施例2および実施例3以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、種々の異なる実施例を(1)〜(4)に区分けして説明する。
【0084】
(1)信号解析処理
上記した実施例1〜3では、サーボトラックの書き込みを行う際に信号解析を実行する場合について説明したが、本実施例はこれに限定するものではなく、例えば、MCLK信号を定期的に読み出し、チェックする場合であってもよい。
【0085】
(2)MCLK信号
上記した実施例1〜3では、平均位相の算出に用いられたMCLK信号の非回転同期成分を抽出する場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、既に平均位相記憶部34に格納されている平均位相と新たに基準媒体から読み出されたMCLK信号の瞬時位相との差分から非回転同期成分を抽出する場合であってもよい。
【0086】
(3)システム構成等
また、上記の実施例において説明した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に更新することができる。例えば、本実施例は、平均位相記憶部34が記憶する平均位相は、信号解析が行われるごとに更新される場合であってよい。
【0087】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示された構成要素と同一であることを要しない。すなわち、各処理部および各記憶部の分散・統合の具体的形態(例えば、図3の形態)は図示のものとは限られない。例えば、瞬時位相記憶部33と平均位相記憶部34とが統合される場合であってもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0088】
(4)信号解析プログラム
ところで、上記の実施例2では、ハードウェアロジックによって各種の処理を実現する場合を説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行するようにしてもよい。そこで、以下では、図12を用いて上記の実施例2に示した信号解析装置10と同様の機能を有する信号解析プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図12は、実施例2における信号解析プログラムを実行するコンピュータを説明するための図である。
【0089】
図12に示すように、情報処理装置としてのコンピュータ1000は、キーボード1020、モニタ1030、RAM1040、HDD1050、CPU1060およびROM1070を有する。そして、キーボード1020、モニタ1030、RAM1040、HDD1050、CPU1060およびROM1070は、バス1010などで接続される。なお、図示していないが、コンピュータ1000は、ネットワークを介して、デコーダと接続されている。
【0090】
ROM1070には、上記の実施例2に示した信号解析装置10と同様の機能を発揮する信号解析プログラム、つまり、図12に示すように、基準クロック信号生成プログラム1071、瞬時位相算出プログラム1072、平均位相算出プログラム1073、差分算出プログラム1074が予め記憶されている。なお、これらのプログラム1071〜1074については、図3に示した信号解析装置10の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。
【0091】
そして、CPU1060が、これらのプログラム1071〜1074をROM1070から読み出して実行することで、図12に示すように、各プログラム1071〜1074は、基準クロック信号生成プロセス1061、瞬時位相算出プロセス1062、平均位相算出プロセス1063、差分算出プロセス1064として機能するようになる。なお、各プロセス1061〜1064は、図3に示した、基準クロック信号生成部21、瞬時位相算出部22、平均位相算出部23、差分算出部24にそれぞれ対応する。
【0092】
また、HDD1050には、図12に示すように、MCLK信号記憶データ1051、基準クロック信号記憶データ1052、瞬時位相記憶データ1053、平均位相記憶データ1054が設けられる。このMCLK信号記憶データ1051、基準クロック信号記憶データ1052、瞬時位相記憶データ1053、平均位相記憶データ1054は、それぞれ図3に用いたMCLK信号記憶部31、基準クロック信号記憶部32、瞬時位相記憶部33、平均位相記憶部34に対応する。そして、CPU1060は、MCLK信号記憶データ1041、基準クロック信号記憶データ1042、瞬時位相記憶データ1043、平均位相記憶データ1044をそれぞれMCLK信号記憶データ1051、基準クロック信号記憶データ1052、瞬時位相記憶データ1053、平均位相記憶データ1054に対して登録し、このMCLK信号記憶データ1041、基準クロック信号記憶データ1042、瞬時位相記憶データ1043、平均位相記憶データ1044を読み出してRAM1040に格納する。そして、CPU1060は、RAM1040に格納されたMCLK信号記憶データ1041、基準クロック信号記憶データ1042、瞬時位相記憶データ1043、平均位相記憶データ1044に基づいて信号解析処理を実行する。
【0093】
なお、上記した各プログラム1071〜1074については、必ずしも最初からROM1070に記憶させておく必要は無く、例えばコンピュータ1000に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータ1000の内外に備えられるHDDなどの「固定用物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ1000に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ1000がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 信号解析装置
20 処理部
21 基準クロック信号生成部
22 瞬時位相算出部
23 平均位相算出部
24 差分算出部
30 記憶部
31 MCLK信号記憶部
32 基準クロック信号記憶部
33 瞬時位相記憶部
34 平均位相記憶部
40 入力部
50 出力部
60 入出力制御I/F部
70 PLL回路
80 濾波部設定部
90 書き込み制御部
100 第一ヘッド
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号解析装置、サーボトラック書き込み装置および信号解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体の記録情報の高密度化に伴い、記録媒体の製造過程における歩留まりを向上させるために、サーボトラックの書き込み精度を向上させることが必要となっている。サーボトラックは、ヘッドを記録媒体のデータトラックに位置決めするための情報であり、サーボトラックライタ(以下、STWと記す)は、マスタークロック(以下、MCLKと記す)に同期して、記録媒体上にサーボトラックを書き込む。
【0003】
STWは、まず、基準媒体に書き込まれたMCLKを読み出す。そして、STWは、読み出したMCLKを位相同期回路であるPLL(Phase Locked Loop)によって逓倍し、逓倍したMCLKに同期してサーボトラックを書き込む。
【0004】
ここで、基準媒体に書き込まれたMCLKを読み出した際に、信号の時間的なズレや揺らぎ(以下、ジッタと記す)が生じることにより、サーボトラックの書き込み精度が低下する場合がある。
【0005】
そこで、近年、複数の非接触センサーを用いてMCLKを読み出し、非接触センサーにより読み出した複数のMCLK信号に基づいて、基準媒体から読み出したMCLKの位相を補正する技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、基準媒体から読み出したMCLKのトラック一周分のクロック数をカウントして、クロック数に異常があるか否かをチェックする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。あるいは、サーボトラックの書き込みに用いるMCLKの読み出しが開始された直後の位相と、トラック一周の読み出しの後、MCLKの同一位置における位相とを比較し、ずれが生じているか否かをチェックする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−95023号公報
【特許文献2】特開平10−31801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記した従来技術では、サーボトラックの書き込み精度を向上させることができないという課題があった。すなわち、上記した非接触センサーを用いる技術では、位相補正を行うための計算の誤差や回路に起因する補正誤差が生じるために、ジッタの低減に限界がある。
【0009】
また、上記した位相を比較する技術では、トラック内での位相にずれが生じた場合であっても、比較した位置の位相にずれが生じていなければ、正常として判定される。さらに、ジッタの成分は、基準媒体の偏心などによる回転同期成分と振動や風などの外乱による非回転同期成分との2つがあり、上記した従来の技術では、これら2つの成分が区別されておらず、補正不要な回転同期成分によるジッタに対してもチェックや補正を行うこととなる。
【0010】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、サーボトラックの書き込み精度を簡易に向上させることが可能となる信号解析装置、サーボトラック書き込み装置および信号解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この装置は、基準クロック信号生成部が、サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出したマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、瞬時位相算出部は、読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、平均位相算出部は、読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、差分算出部は、平均位相算出部によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。
【発明の効果】
【0012】
開示の装置は、サーボトラックの書き込み精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1における信号解析装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例2における信号解析装置が組み込まれるサーボトラック書き込み装置を説明するための図である。
【図3】図3は、実施例2における信号解析装置の構成を説明するための図である。
【図4】図4は、基準クロック信号生成部を説明するための図である。
【図5】図5は、瞬時位相算出部を説明するための図である。
【図6】図6は、平均位相算出部および差分算出部を説明するための図である。
【図7】図7は、実施例2における信号解析装置による信号解析処理の手順を説明するための図である。
【図8】図8は、実施例2における信号解析装置のサーボトラック書き込み装置への組み込みの変形例を説明するための図である。
【図9】図9は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の構成を説明するための図である。
【図10】図10は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置によるサーボトラック書き込み処理の手順を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の変形例を説明するための図である。
【図12】図12は、実施例2における信号解析プログラムを実行するコンピュータを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本願の開示する信号解析装置、サーボトラック書き込み装置および信号解析プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、実施例1および2において、本願の開示する信号解析装置について説明し、実施例3において、本願の開示するサーボトラック書き込み装置について説明する。
【実施例1】
【0015】
まず最初に、図1を用いて、実施例1における信号解析装置の構成を説明する。図1は、実施例1における信号解析装置の構成を説明するための図である。
【0016】
図1に示すように、実施例1における信号解析装置10は、基準クロック信号生成部21と、瞬時位相算出部22と、平均位相算出部23と、差分算出部24とを有する。
【0017】
基準クロック信号生成部21は、サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出されたマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。
【0018】
瞬時位相算出部22は、基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。
【0019】
平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について、瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。
【0020】
差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。
【0021】
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、基準クロック信号生成部21は、サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出されたマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、瞬時位相算出部22は、基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について、瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。従って、トラック一周分のマスタークロック信号が読み出されるごとに、定常的に発生する回転同期成分と、非定常的に発生する可能性のある非回転同期成分とを、差分した情報から区別することができ、サーボトラックの書き込み精度を向上させることが可能となる。
【実施例2】
【0022】
実施例2では、上述した実施例1における信号解析装置10が実行する処理内容の具体的な一例について説明する。
【0023】
[実施例2における信号解析装置の構成]
まず最初に、図2〜6を用いて、実施例2における信号解析装置の構成を説明する。図2は、実施例2における信号解析装置が組み込まれるサーボトラック書き込み装置を説明するための図であり、図3は、実施例2における信号解析装置の構成を説明するための図であり、図4は、基準クロック信号生成部を説明するための図である。また、図5は、瞬時位相算出部を説明するための図であり、図6は、平均位相算出部および差分算出部を説明するための図である。
【0024】
まず、実施例2における信号解析装置が組み込まれるサーボトラック書き込み装置(以下、STWと記す)について、図2の(A)を用いて説明する。STWは、ヘッドを記録媒体のデータトラックに位置決めするための情報であるサーボトラックを、マスタークロック信号(以下、MCLK信号と記す)に同期して、記録媒体上に書き込む装置である。
【0025】
図2の(A)に示すように、STWの読み出し制御部は、第一ヘッドを制御して、基準媒体においてMCLK信号が記憶されたトラックであるMCLKトラックからMCLK信号を読み出す。そして、STWの書き込み制御部は、図2の(A)に示すPLL(Phase Locked Loop)回路によって逓倍されたMCLK信号(逓倍後MCLK信号)に同期して、サーボトラックを書き込むように第二ヘッドを制御してサーボトラックを書き込む。
【0026】
STWのPLL回路は、図2の(A)に示すように、位相比較器、ループフィルタ、電圧制御発振器および分周器を有し、読み出し制御部から入力されたMCLK信号を逓倍し、逓培したMCLK信号を書き込み制御部に出力する。具体的には、STWのPLL回路は、読み出し制御部から入力されたMCLK信号の位相と、電圧制御発振器が自励発振で生成した信号の位相との位相差が一定になるように調整を行い、電圧制御発振器が生成した信号を書き込み制御部に出力する。
【0027】
まず、電圧制御発振器は、自励発振で信号を生成して、分周器に出力する。そして、分周器は、入力された信号の周波数を、所定の割合で分周し、分周した信号を位相比較器に出力する。位相比較器は、読み出し制御部から入力されたMCLK信号の位相と分周器から入力された信号の位相とを比較し、2つの信号間の位相差である差信号を、ループフィルタを介して、電圧制御発振器に出力する。
【0028】
ループフィルタは、位相比較器から入力された差信号から位相雑音の帯域の周波数を除去する。例えば、図3に示すループフィルタは、LPF(Low Pass Filter)であり、高域周波数の信号を除去するフィルタである。そして、電圧制御発振器は、ループフィルタを介して位相比較器から入力された差信号に基づいて、MCLK信号の周波数を逓倍した逓倍後MCLK信号を生成して、生成した逓倍後MCLK信号を書き込み制御部に出力する。すなわち、上記した処理により、STWは、所定の割合に逓倍したMCLK信号に同期して、記録媒体にサーボトラックを書き込むことができる。なお、ループフィルタが除去する周波数は、任意に設定することができる。
【0029】
ここで、図2の(A)に示すサーボトラック書き込み装置では、書き込み精度が低下する場合があった。すなわち、基準媒体からMCLK信号を読み出した際に、信号の時間的なずれや揺らぎ(以下、ジッタと記す)が生じることにより、サーボトラックの書き込み精度が低下する場合があった。
【0030】
そこで、従来技術では、例えば、基準媒体上に複数の非接触センサーを設置し、非接触センサーにより読み出した複数のMCLK信号に基づいて、基準媒体の位相を補正していた。しかしながら、上記した技術では、位相補正を行うための計算誤差や回路に起因する補正誤差が生じるために、ジッタの低減に限界があった。
【0031】
また、別の従来技術では、基準媒体から読み出したMCLKのトラック一周分のクロック数をカウントして、クロック数に異常があるか否かをチェックする技術があった。あるいは、サーボトラックの書き込みに用いるMCLKの読み出しが開始された直後の位相と、トラック一周の読み出しの後、MCLKの同一位置における位相とを比較し、ずれが生じているか否かをチェックする技術があった。
【0032】
しかしながら、位相を比較する技術では、トラック内での位相にずれが生じた場合であっても、比較した位置の位相にずれが生じていなければ、正常として判定される。さらに、ジッタの成分は、基準媒体の偏心などによる回転同期成分と振動や風などの外乱による非回転同期成分との2つがあり、上記した従来の技術では、これら2つの成分が区別されておらず、補正不要な回転同期成分によるジッタに対してもチェックや補正を行うこととなる。
【0033】
そこで、実施例2における信号解析装置は、回転同期成分と非回転同期成分を区別するために、図2の(A)に示すSTWに、新たに組み込まれる。例えば、実施例2における信号解析装置は、図2の(B)に示すように、書き込み制御部に出力される逓倍後MCLK信号を受け付け、非回転同期成分を抽出して、ループフィルタに出力することにより、非回転同期成分に相当する周波数をループフィルタで除去可能にする。以下、実施例2における信号解析装置を、図3などを用いて説明する。
【0034】
図3に示すように、実施例2における信号解析装置10は、処理部20と、記憶部30と、入力部40と、出力部50と、入出力制御I/F部60とを有し、位相同期回路であるPLL(Phase Locked loop)回路70に接続される。
【0035】
入力部40は、PLL回路70の電圧制御発振器から出力された逓倍後MCLK信号を受け付け、後述する記憶部30に転送する。
【0036】
出力部50は、後述する処理部20から処理結果を受信し、処理結果をPLL回路70のループフィルタに出力する。
【0037】
入出力制御I/F部60は、処理部20と、記憶部30と、入力部40と、出力部50との間で送受信されるデータを中継するインターフェースである。
【0038】
記憶部30は、入出力制御I/F部60を介して受信したMCLK信号および後述する処理部20の処理結果を記憶し、MCLK信号記憶部31と、基準クロック信号記憶部32、瞬時位相記憶部33と、平均位相記憶部34とを有する。
【0039】
MCLK信号記憶部31は、入力部40を介して、PLL回路70から受信した逓倍後MCLK信号を記憶する。
【0040】
基準クロック信号記憶部32、瞬時位相記憶部33および平均位相記憶部34は、後述する処理部20による処理結果を記憶する。具体的には、基準クロック信号記憶部32は、MCLK信号記憶部31が記憶する逓倍後MCLK信号に基づいて生成された基準クロック信号を記憶する。また、瞬時位相記憶部33は、MCLK信号記憶部31が記憶する逓倍後MCLK信号と、基準クロック信号記憶部32が記憶する基準クロック信号を用いて算出された瞬時位相を記憶する。また、平均位相記憶部34は、瞬時位相記憶部33が記憶する複数の瞬時位相を用いて算出された平均位相を記憶する。
【0041】
なお、基準クロック信号記憶部32、瞬時位相記憶部33および平均位相記憶部34それぞれが記憶する基準クロック信号、瞬時位相および平均位相については、後に詳述する。
【0042】
処理部20は、MCLK信号を用いた信号解析における各種処理を実行し、基準クロック信号生成部21と、瞬時位相算出部22と、平均位相算出部23と、差分算出部24とを有する。
【0043】
基準クロック信号生成部21は、MCLK信号記憶部31が記憶する逓倍後MCLK信号から基準クロック信号を生成して、生成した基準クロック信号を基準クロック信号記憶部32に格納する。ここで、改めて、逓倍後MCLK信号について、図4の(A)および(B)を用いて説明する。逓倍後MCLK信号は、図4の(A)に示すように、基準媒体のMCLKトラックにある読み出し開始インデックスからトラック一周分読み出されたMCLK信号が、PLL回路70にて逓倍された信号である。なお、読み出し開始インデックスは、例えば、図4の(B)に示すように、MCLK信号の各クロックと比較して、立ち上がりから立ち下がりまでの周期が短いクロックであり、MCLK信号を読み出す起点として用いられる。
【0044】
ここで、基準クロック信号生成部21は、MCLK信号記憶部31から逓倍後MCLK信号を読み出し、読み出したトラック一周分の逓倍後MCLK信号のクロック数や周期に基づいて、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。例えば、基準クロック信号生成部21は、図4の(C)に示すように、ジッタによりクロックの立ち上がり周期が異なる逓倍後MCLK信号から、立ち上がり周期「a=b=c」となる基準クロック信号を生成する。
【0045】
図3に戻って、瞬時位相算出部22は、入力部40を介してPLL回路70から順次入力される逓倍後MCLK信号と、基準クロック信号記憶部32が記憶する基準クロック信号とを用いて、瞬時位相を算出し、算出した瞬時位相を瞬時位相記憶部33に格納する。具体的には、瞬時位相算出部22は、逓倍後MCLK信号の読み出し開始インデックスを起点として逓倍後MCLK信号の各クロックにおける立ち上がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。
【0046】
例えば、瞬時位相算出部22は、図5の(A)に示すように、読み出し開始インデックスから1、2、3および4番目にあるクロックの立ち上がりを、MCLK信号と基準クロック信号とで比較し、立ち上がりのずれを瞬時位相(TIE)として算出する。
【0047】
なお、上記した例では、瞬時位相の算出において、各クロックの立ち上がりのずれを瞬時位相として算出する場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、例えば、各クロックの立ち下がりのずれを瞬時位相として算出する場合であってもよい。
【0048】
そして、瞬時位相算出部22は、トラック一周分の全クロックについて瞬時位相を算出して、瞬時位相記憶部33に格納する。例えば、瞬時位相算出部22は、図5の(B)に示すように、ジッタの量が時間経過とともに変化する様相を示すジッタトレンドを作成し、瞬時位相記憶部33に格納する。なお、図5の(B)に示す、ジッタトレンドは、縦軸が瞬時位相(TIE)を示し、横軸が時間(t)を示す。また、図5の(B)に示すTIEは、基準クロック信号の立ち上がりと比較して、MCLK信号の立ち上がりが早い場合(図5の(A)のクロック1または2参照)、正の値となり、MCLK信号の立ち上がりが遅い場合(図5の(A)のクロック4参照)、負の値となる。また、図5の(A)のクロック3に示すように、MCLK信号のクロックの立ち上がりと基準クロック信号の立ち上がりとが同一である場合、TIEは、「0」となる(図5の(B)参照)。
【0049】
図3に戻って、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数の逓倍後MCLK信号について瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、平均位相算出部23は、算出した平均位相を平均位相記憶部34に格納する。具体的には、平均位相算出部23は、瞬時位相記憶部33が記憶する複数の逓倍後MCLK信号それぞれの全クロックごとの瞬時位相を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出して、平均位相記憶部34に格納する。
【0050】
例えば、基準クロック信号記憶部32は、図6に示すように、「A:基準クロック信号」を記憶しているとする。また、瞬時位相記憶部33は、図6に示すように、読み出し時期が異なる逓倍後MCLK信号「MCLK信号1」、「MCLK信号2」および「MCLK信号3」と「A:基準クロック信号」とから算出された各ジッタトレンド「B1、B2およびB3」を記憶しているとする。なお、図6に示す丸印は、「A:基準クロック信号」とMCLK信号それぞれを比較した時点を示す。
【0051】
ジッタトレンド「B1、B2およびB3」が記憶されている場合、平均位相算出部23は、クロックごとの瞬時位相を平均した平均位相を算出する(図6の「C:(B1+B2+B3)/3」参照)。そして、平均位相算出部23は、算出した平均位相を平均位相記憶部34に格納する。例えば、平均位相算出部23は、図6に示す「C:(B1+B2+B3)/3」を平均位相記憶部34に格納する。なお、平均位相の算出に用いられる逓倍後MCLK信号の数は、任意に設定することができる。
【0052】
図3に戻って、差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のMCLK信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。具体的には、差分算出部24は、平均位相記憶部34によって記憶された平均位相と瞬時位相記憶部33によって記憶された瞬時位相との差分を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに算出する。
【0053】
例えば、差分算出部24は、図6に示すように、瞬時位相「B3」と平均位相「C:(B1+B2+B3)/3」との差分である「D:B3−C」を参照することで、「MCLK信号3」の左から4番目の時点で外乱により発生した「非回転同期成分」を抽出することができる。
【0054】
また、図示しないが、瞬時位相「B1」を解析対象とした場合、「D:B1−C」を参照することで、「MCLK信号1」は、「回転同期成分」のみが発生していることがわかる。
【0055】
また、図示しないが、瞬時位相「B2」を解析対象とした場合、「D:B2−C」を参照することで、「MCLK信号2」の左から9番目の時点で外乱により発生した「非回転同期成分」を抽出することができる。
【0056】
そして、差分算出部24は、算出した差分に基づいて抽出した非回転同期成分を解析し、解析結果を出力部50に送信する。例えば、差分算出部24は、FFT(Fast Fourier Transform)などにより非回転同期成分を周波数解析して、解析結果を出力部50に送信する。
【0057】
[実施例2における信号解析装置による処理の手順]
次に、図7を用いて、実施例2における信号解析装置による処理を説明する。図7は、実施例2における信号解析装置による信号解析処理の手順を説明するための図である。
【0058】
図7に示すように、まず、実施例2における信号解析装置10は、サーボトラックの書き込みが開始されると(ステップS101肯定)、入力部40は、PLL回路70から逓倍後MCLK信号を受信して、MCLK信号記憶部31に格納する(ステップS102)。
【0059】
そして、基準クロック信号生成部21は、MCLK信号記憶部31から逓倍後MCLK信号を読み出し、読み出した逓倍後MCLK信号のクロック数や周期に基づいて、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する(ステップS103)。
【0060】
続いて、瞬時位相算出部22は、入力部40を介してPLL回路70から順次入力される逓倍後MCLK信号と、基準クロック信号記憶部32が記憶する基準クロック信号とを用いて、瞬時位相を算出し、算出した瞬時位相を瞬時位相記憶部33に格納する(ステップS104)。具体的には、瞬時位相算出部22は、逓倍後MCLK信号の読み出し開始インデックスを起点として逓倍後MCLK信号の各クロックにおける立ち上がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。なお、瞬時位相の算出は、逓倍後MCLK信号の各クロックにおける立ち下がり時点ごとに行われてもよい。
【0061】
そののち、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数の逓倍後MCLK信号について算出された瞬時位相を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出して、平均位相記憶部34に格納する(ステップS105)。具体的には、平均位相算出部23は、瞬時位相記憶部33が記憶する複数の逓倍後MCLK信号それぞれの全クロックごとの瞬時位相を、読み出し開始インデックスを起点として同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出して、平均位相記憶部34に格納する。
【0062】
そして、差分算出部24は、平均位相記憶部34が記憶するクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のMCLK信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する(ステップS106)。
【0063】
そののち、差分算出部24は、算出した差分に基づいて抽出した非回転同期成分を、例えば、FFT(Fast Fourier Transform)などにより周波数解析し(ステップS107)、解析結果を出力部50に送信して処理を終了する。
【0064】
ここで、実施例2における信号解析装置10のSTWへの組み込みの変形例を、図8を用いて説明する。図8は、実施例2における信号解析装置10のSTWへの組み込みの変形例を説明するための図である。
【0065】
図8に示すように、実施例2における信号解析装置10は、読み出し制御部から出力されたMCLK信号を受け付け、非回転同期成分を抽出して、ループフィルタに出力することにより、非回転同期成分に相当する周波数をループフィルタで除去可能にすることもできる。実施例2における信号解析装置10を、図8に示すようにサーボトラック書き込み装置に組み込んだ場合、入力部40が受け付けるMCLK信号が、上記した実施例とは異なる。以下、これについて説明する。
【0066】
実施例2における信号解析装置10を、図8に示すようにサーボトラック書き込み装置に組み込んだ場合、入力部40は、第一ヘッドが読み出したMCLK信号を受け付けて、MCLK信号記憶部31に格納する。
【0067】
すなわち、基準クロック信号生成部21は、逓倍後MCLK信号ではなく、基準媒体から第一ヘッドが読み出したMCLK信号を用いて基準クロック信号を生成し、生成した基準クロック信号を基準クロック信号記憶部32に格納することとなる。
【0068】
なお、瞬時位相の算出、平均位相の算出および差分の算出それぞれの処理については、上述した処理内容と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2によれば、基準クロック信号生成部21は、サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出されたMCLK信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、瞬時位相算出部22は、基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたMCLK信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数のMCLK信号について、瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のMCLK信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。従って、実施例における信号解析装置10は、非回転同期成分を抽出して、例えば、抽出した非回転同期成分の周波数解析の結果をSTWのPLL回路に出力することができる。その結果、PLL回路は、非回転同期成分が除去された逓倍後MCLK信号を出力することができ、サーボトラックの書き込み精度を向上させることが可能となる。
【実施例3】
【0070】
上述した実施例2では、信号解析装置10をサーボトラック書き込み装置に組み込む場合ついて説明したが、実施例3では、信号解析装置10を有するサーボトラック書き込み装置について説明する。
【0071】
[実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の構成]
まず最初に、図9を用いて、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の構成を説明する。図9は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の構成を説明するための図である。
【0072】
図9に示すように、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、信号解析装置10および濾波部設定部80を有する。
【0073】
信号解析装置10は、読み出し制御部が制御する読み出しヘッドである第一ヘッド100によって読み出されたMCLK信号がPLL回路によって逓倍された逓倍後MCLK信号を受け付けて、信号解析を行い、解析結果を濾波部設定部80に送信する。なお、信号解析装置10の信号解析処理は、実施例2における信号解析装置10と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
濾波部設定部80は、信号解析装置10から解析結果を受信し、受信した解析結果に基づいて、濾波部であるループフィルタの設定を行う。具体的には、濾波部設定部80は、信号解析装置10が実行した周波数解析により抽出された非回転同期成分に相当する周波数成分を除去するように、ループフィルタを設定する。
【0075】
実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、濾波部設定部80によって設定されたループフィルタを介して逓倍されたMCLK信号に同期するように、書き込み制御部90が書き込みヘッドである第二ヘッドを制御し、サーボトラックをSTW対象記録媒体に書き込む。
【0076】
すなわち、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、基準媒体から読み出されたMCLK信号から非回転同期成分を除去したMCLK信号に同期して、サーボトラックを書き込むことができる。
【0077】
[実施例3におけるサーボトラック書き込み装置による処理の手順]
次に、図10を用いて、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置による処理を説明する。図10は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置によるサーボトラック書き込み処理の手順を説明するための図である。なお、図10におけるステップS201〜ステップS207それぞれの処理内容は、図7におけるステップS101〜ステップS107それぞれと同様であるので、説明を省略する。
【0078】
図10に示すように、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、ステップS207において、差分算出部24が周波数解析を行い、解析結果を濾波部設定部80に送信すると、濾波部設定部80は、受信した解析結果に基づいて、ループフィルタを設定する(ステップS208)。具体的には、濾波部設定部80は、差分算出部24が実行した周波数解析により抽出された非回転同期成分に相当する周波数成分を除去するように、ループフィルタを設定する。
【0079】
そして、書き込み制御部90は、濾波部設定部80によって除去する周波数域が設定されたループフィルタを介した、逓倍後MCLK信号に同期するように第二ヘッドを制御し、サーボトラックをSTW対象記録媒体に書き込ませ(ステップS209)、処理を終了する。
【0080】
ここで、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の変形例を、図11を用いて説明する。図11は、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置の変形例を説明するための図である。
【0081】
図11に示すように、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、読み出し制御部から出力されたMCLK信号から信号解析装置10によって非回転同期成分を抽出し、抽出した非回転同期成分に相当する周波数成分を除去するように濾波部を設定することも可能である。なお、図11に示すサーボトラック書き込み装置の信号解析装置10の処理内容は、実施例2における変形例と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
[実施例3の効果]
上記したように、実施例3によれば、第一ヘッド100は、基準媒体からサーボトラックを書き込む際に基準となるMCLK信号を読み出す。そして、基準クロック信号生成部21は、第一ヘッド100によって読み出されたMCLK信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する。そして、瞬時位相算出部22は、基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたMCLK信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下がり時点ごとに、基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下がりとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する。そして、平均位相算出部23は、読み出し時期が異なる複数のMCLK信号について、瞬時位相算出部22によって算出された瞬時位相を、読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する。そして、差分算出部24は、平均位相算出部23によって算出されたクロックごとの平均位相と、瞬時位相算出部22によって瞬時位相が算出された所定のMCLK信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する。そして、濾波部設定部80は、差分算出部24によって算出された差分に相当する周波数成分を除去するようにループフィルタを設定する。そして、書き込み制御部90は、ループフィルタによって差分に相当する周波数成分が除去されたMCLK信号に同期してサーボトラックを書き込むように第二ヘッドを制御する。従って、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、非定常的に発生する非回転同期成分を除去したMCLK信号を用いてサーボトラックを書き込むことができる。その結果、実施例3におけるサーボトラック書き込み装置は、精度を向上させたサーボトラックの書き込みを実行することが可能となる。
【実施例4】
【0083】
さて、これまで実施例1、実施例2および実施例3について説明したが、上述した実施例1、実施例2および実施例3以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、種々の異なる実施例を(1)〜(4)に区分けして説明する。
【0084】
(1)信号解析処理
上記した実施例1〜3では、サーボトラックの書き込みを行う際に信号解析を実行する場合について説明したが、本実施例はこれに限定するものではなく、例えば、MCLK信号を定期的に読み出し、チェックする場合であってもよい。
【0085】
(2)MCLK信号
上記した実施例1〜3では、平均位相の算出に用いられたMCLK信号の非回転同期成分を抽出する場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、既に平均位相記憶部34に格納されている平均位相と新たに基準媒体から読み出されたMCLK信号の瞬時位相との差分から非回転同期成分を抽出する場合であってもよい。
【0086】
(3)システム構成等
また、上記の実施例において説明した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に更新することができる。例えば、本実施例は、平均位相記憶部34が記憶する平均位相は、信号解析が行われるごとに更新される場合であってよい。
【0087】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示された構成要素と同一であることを要しない。すなわち、各処理部および各記憶部の分散・統合の具体的形態(例えば、図3の形態)は図示のものとは限られない。例えば、瞬時位相記憶部33と平均位相記憶部34とが統合される場合であってもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0088】
(4)信号解析プログラム
ところで、上記の実施例2では、ハードウェアロジックによって各種の処理を実現する場合を説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行するようにしてもよい。そこで、以下では、図12を用いて上記の実施例2に示した信号解析装置10と同様の機能を有する信号解析プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図12は、実施例2における信号解析プログラムを実行するコンピュータを説明するための図である。
【0089】
図12に示すように、情報処理装置としてのコンピュータ1000は、キーボード1020、モニタ1030、RAM1040、HDD1050、CPU1060およびROM1070を有する。そして、キーボード1020、モニタ1030、RAM1040、HDD1050、CPU1060およびROM1070は、バス1010などで接続される。なお、図示していないが、コンピュータ1000は、ネットワークを介して、デコーダと接続されている。
【0090】
ROM1070には、上記の実施例2に示した信号解析装置10と同様の機能を発揮する信号解析プログラム、つまり、図12に示すように、基準クロック信号生成プログラム1071、瞬時位相算出プログラム1072、平均位相算出プログラム1073、差分算出プログラム1074が予め記憶されている。なお、これらのプログラム1071〜1074については、図3に示した信号解析装置10の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。
【0091】
そして、CPU1060が、これらのプログラム1071〜1074をROM1070から読み出して実行することで、図12に示すように、各プログラム1071〜1074は、基準クロック信号生成プロセス1061、瞬時位相算出プロセス1062、平均位相算出プロセス1063、差分算出プロセス1064として機能するようになる。なお、各プロセス1061〜1064は、図3に示した、基準クロック信号生成部21、瞬時位相算出部22、平均位相算出部23、差分算出部24にそれぞれ対応する。
【0092】
また、HDD1050には、図12に示すように、MCLK信号記憶データ1051、基準クロック信号記憶データ1052、瞬時位相記憶データ1053、平均位相記憶データ1054が設けられる。このMCLK信号記憶データ1051、基準クロック信号記憶データ1052、瞬時位相記憶データ1053、平均位相記憶データ1054は、それぞれ図3に用いたMCLK信号記憶部31、基準クロック信号記憶部32、瞬時位相記憶部33、平均位相記憶部34に対応する。そして、CPU1060は、MCLK信号記憶データ1041、基準クロック信号記憶データ1042、瞬時位相記憶データ1043、平均位相記憶データ1044をそれぞれMCLK信号記憶データ1051、基準クロック信号記憶データ1052、瞬時位相記憶データ1053、平均位相記憶データ1054に対して登録し、このMCLK信号記憶データ1041、基準クロック信号記憶データ1042、瞬時位相記憶データ1043、平均位相記憶データ1044を読み出してRAM1040に格納する。そして、CPU1060は、RAM1040に格納されたMCLK信号記憶データ1041、基準クロック信号記憶データ1042、瞬時位相記憶データ1043、平均位相記憶データ1044に基づいて信号解析処理を実行する。
【0093】
なお、上記した各プログラム1071〜1074については、必ずしも最初からROM1070に記憶させておく必要は無く、例えばコンピュータ1000に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータ1000の内外に備えられるHDDなどの「固定用物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ1000に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ1000がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 信号解析装置
20 処理部
21 基準クロック信号生成部
22 瞬時位相算出部
23 平均位相算出部
24 差分算出部
30 記憶部
31 MCLK信号記憶部
32 基準クロック信号記憶部
33 瞬時位相記憶部
34 平均位相記憶部
40 入力部
50 出力部
60 入出力制御I/F部
70 PLL回路
80 濾波部設定部
90 書き込み制御部
100 第一ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出したマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成部と、
前記基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下り時点ごとに、前記基準クロック信号生成部によって生成された前記基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下りとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する瞬時位相算出部と、
読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について前記瞬時位相算出部によって算出された瞬時位相を、前記読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する平均位相算出部と、
前記平均位相算出部によって算出されたクロックごとの平均位相と、前記瞬時位相算出部によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する差分算出部と、
を有したことを特徴とする信号解析装置。
【請求項2】
サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体に記録されたマスタークロック信号を読み出す読み出しヘッドと、
前記読み出しヘッドから読み出されたマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成部と、
基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下り時点ごとに、前記基準クロック信号生成部によって生成された前記基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下りとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する瞬時位相算出部と、
読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について前記瞬時位相算出部によって算出された瞬時位相を、前記読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する平均位相算出部と、
前記平均位相算出部によって算出されたクロックごとの平均位相と、前記瞬時位相算出部によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部によって算出された差分に相当する周波数成分を除去するように濾波部を設定する濾波部設定部と、
前記濾波部によって前記周波数成分が除去されたマスタークロック信号に同期してサーボトラックを書き込むように書き込みヘッドを制御する書き込み制御部と、
を有したことを特徴とするサーボトラック書き込み装置。
【請求項3】
サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出したマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成手順と、
前記基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下り時点ごとに、前記基準クロック信号生成手順によって生成された前記基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下りとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する瞬時位相算出手順と、
読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について前記瞬時位相算出手順によって算出された瞬時位相を、前記読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する平均位相算出手順と、
前記平均位相算出手順によって算出されたクロックごとの平均位相と、前記瞬時位相算出手順によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する差分算出手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする信号解析プログラム。
【請求項1】
サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出したマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成部と、
前記基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下り時点ごとに、前記基準クロック信号生成部によって生成された前記基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下りとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する瞬時位相算出部と、
読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について前記瞬時位相算出部によって算出された瞬時位相を、前記読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する平均位相算出部と、
前記平均位相算出部によって算出されたクロックごとの平均位相と、前記瞬時位相算出部によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する差分算出部と、
を有したことを特徴とする信号解析装置。
【請求項2】
サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体に記録されたマスタークロック信号を読み出す読み出しヘッドと、
前記読み出しヘッドから読み出されたマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成部と、
基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下り時点ごとに、前記基準クロック信号生成部によって生成された前記基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下りとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する瞬時位相算出部と、
読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について前記瞬時位相算出部によって算出された瞬時位相を、前記読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する平均位相算出部と、
前記平均位相算出部によって算出されたクロックごとの平均位相と、前記瞬時位相算出部によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部によって算出された差分に相当する周波数成分を除去するように濾波部を設定する濾波部設定部と、
前記濾波部によって前記周波数成分が除去されたマスタークロック信号に同期してサーボトラックを書き込むように書き込みヘッドを制御する書き込み制御部と、
を有したことを特徴とするサーボトラック書き込み装置。
【請求項3】
サーボトラックを書き込む際に基準となる基準媒体から読み出したマスタークロック信号から、各クロックの立ち上がりまたは立ち下がりの周期が均一である基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成手順と、
前記基準媒体から読み出し開始指標を起点として読み出されたマスタークロック信号の各クロックにおける立ち上がり時点または立ち下り時点ごとに、前記基準クロック信号生成手順によって生成された前記基準クロック信号の同一番目のクロックにおける立ち上がりまたは立ち下りとの瞬時的な位相のずれである瞬時位相を算出する瞬時位相算出手順と、
読み出し時期が異なる複数のマスタークロック信号について前記瞬時位相算出手順によって算出された瞬時位相を、前記読み出し開始指標を起点として定まる同一番目のクロックごとに平均した平均位相を算出する平均位相算出手順と、
前記平均位相算出手順によって算出されたクロックごとの平均位相と、前記瞬時位相算出手順によって瞬時位相が算出された所定のマスタークロック信号のクロックごとの瞬時位相との差分を算出する差分算出手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする信号解析プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−8898(P2011−8898A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154395(P2009−154395)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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