説明

修正不可能な自己確認物品を製造しかつその真偽性を確認するための方法およびシステム

【課題】認定された携帯者個人のバイオメトリックな身分証明情報を有する物品上で使用する、修正不可能なコードを提供する。
【解決手段】このシステムは、バイオメトリックデータセット(101)と任意でテキストデータセット(102)からなる入力データセット(100)と、物品(10)と、処理システム(103)と、自己確認物品(104)を備えている。入力データセット(100)は受益者固有のデータである。バイオメトリックデータセット(101)はその物品の受益者であるべき個人に特有の一個以上の身体的特徴を含んでいる。これらは例えば、写真、網膜の走査情報、指紋あるいは署名である。テキストデータセット(102)は一個以上のテキスト属性を含む。これらは例えば、名前、住所、身長、体重、または目の色である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にコード化方法およびそのシステムに関し、特に自己確認物品を製造しかつその真偽性を確認するための方法、システムおよび製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代生活では、個人の身分証明および、書類の真偽性を確認することが、速やかに、簡便にかつ高い信頼性をもって行われる必要がある。個人および書類の確認は殆ど全ての商取引において発生する。その上、個人の身分証明の必要性は、その頻度が常に増加する形で、社会的および公的環境において発生する。
【0003】
書類確認および個人の身分証明の両者を要求する商取引としては、チェックの現金化のような日常の取り引きと同様に、クレジットカード、図書請求カード、自動預金支払い機(ATM)および類似の取り引きなどがある。例えば、チェックを現金化するために銀行に提出すると、銀行はこのチェックの記入者のサインの真偽性を確認し(裏書きを要求する)、そしてこのチェックの口座にチェックをカバーするに十分な預金があるかどうかを確認する必要がある。裏書きの真偽性の確認は、チェックに記載されたサインを銀行にファイルしてあるチェック記入者のサイン見本と比較して決定する。巧妙に作られた裏書きによって、不当な人間が違法にチェックを現金化してしまうことが起こり得る。
【0004】
また非商業的な立場では、個人の身分証明の問題は、保安上の問題に関連して発生する。例えば、アパートやオフィスの保安システムでは、ビルに入ろうとする人間は、保安要員の前でサインをし、ある場合はビルへの入場を許可する発行済みの身分証明書を提示する必要がある。保安要員には、その身分証明書が本物かどうかおよびそれを提示している人間が身分証明書に記載された本人かどうかを個人で正確に判断する訓練が要求される。このような環境では、保安要員は、偽造或いは変造された身分証明書によってだまされて、誤った身分証明を行ってしまいやすい。政府関係の立場からは、多くの国で、市民が公共の場で個人身分証明書を携帯し当局の要求に従ってそれを提示する必要がある。例えば、交通事故や交通違反を犯した場合、私的な個人であっても警察官に、運転免許証のような個人身分証明書を提示することが要求される。さらに選挙投票、国境を越える場合、および/または商品を輸入し輸出する場合などで、個人の身分証明書が必要である。
【0005】
従って、変造することのできない自己確認用の個人的、商用および公的な身分証明用のカード、書類、ラベル、荷札およびその他の同様の部品(物品)が絶対的に必要である。この発明の目的から、物品とは、データが固定される一表面、これは基板を含む場合もある、を有する全ての部品として定義される。ここで使用されているように‘固定’と言う用語は、付着、インプリント、張りつけ、エッチング、スクラッチ、ペイント、印刷、金槌で打ちつけること、埋め込むこと、ミシン掛けすること、ドリルで模様を彫りつけること、スタンプを押すこと、またはその他の方法でイメージ化すること、の何れかあるいはそれらの組み合わせを意味するが、なおそれだけに限定されるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の一解決方法では、個人によって携帯されるメモリ装置内に記憶されたバイオメトリック情報(生物計量学的情報)を使用することが要求されている。バイオメトリック情報と言う用語は、例えば署名、指紋あるいは写真のような個人的特徴を示す。使用すべきバイオメトリック情報のサンプルは、メモリ装置を安全な環境下でプログラムすることができる‘コード化位置’に居る個人から得られる。このサンプルは通常のコード化技術を用いてコードに変換される。このサンプルは、その個人が、手、目、顔あるいはその他独特の身体的特徴を入力走査装置上に置くことによって得られる。走査された情報は次にコード化されて一つのコードを形成し、その後修正可能な、携帯用メモリ装置(例えば磁気ストライプ、電子あるいは光学メモリカード、フロッピディスク等)に記憶される。この携帯メモリ装置は個人に与えられる。個人の身分確認が必要な場合、その個人が携帯用メモリ装置を、身分確認を行う場所である、‘遠隔アクセス/解読’位置で提示すると、携帯メモリ装置に記録された情報がメモリから読みだされる。次にその個人が、特定の身体的特徴を再度入力走査装置上に置くことによって、もう一つのバイオメトリック情報のサンプルが得られる。読みだされたコードとまさに今サンプルされたバイオメトリック情報とを機械によって比較し、それらの真偽性を決定する。この場合、読みだされたコードは例えば既に実行されたコード化の逆のプロセスを経て解読され、あるいはサンプル情報は例えば暗号化位置で使用されたコード化プロセスによってコード化されて、比較される。このような解決方法は、データのコード化および/または解読のための処理システムを要すること、各コード化位置および遠隔アクセス位置に複雑な光学−電気機器を配置する必要があること、および各個人にメモリ装置が必要であることなどの理由で、多大な費用を要する。
【0007】
したがって本発明の目的は、認定された携帯者個人のバイオメトリックな身分証明情報を有する物品上で使用する、修正不可能なコードを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、正確に、効率的にかつ費用を要せずに、提示された自己確認物品の真偽性を決定するための方法およびシステムを提供することである。
【0009】
本発明の更に他の目的は、確認のための高価な装備、例えば身体的特徴の走査入力装置等を必要とせず、あるいは中央への通信チャネルに不便さを有することなく、遠隔アクセス位置で提示された自己確認物品の真偽性を確認するための方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、受益者固有のバイオメトリックデータを含むコード化された機械可読データを備えた、自己確認物品に関するものである。自己確認物品として、例えば商用証書(ノート、小切手、チェック、持参人払いペーパー等)、取り引きカード(例えばATMカード、図書請求カード、クレジットカード等)、個人の身分証明用書類(例えば運転免許証、公用カード、パスポート、身分証明書類等)および例えば小包の所有者あるいは送付人を特定し、税関の所員によって輸入品の確認のために使用されることもある、小包の表面に添付された荷札等が含まれる。バイオメトリックデータセットの一サブセットあるいは全体としては、例えばある個人に単一であると考えられる個人的特徴、例えば指紋、網膜の走査情報、写真など、あるいはそれらの組み合わせのグラフィックイメージであり、機械可読データセットを生成するためにコード化されていることが望ましい。物品は、紙またはプラスティックの安価なものであることが望ましいが、あるいは基板であっても良い。さらに機械可読データセットはこの物品上にあるいは物品内に固定されていることが望ましい。この物品はまた、しかし必ずしもではないが、バイオメトリックデータセットを人間の目で読み取れる形で有していても良い。
【0011】
本発明の一実施例では、このコード化された機械可読データセットは、特別に構成された読取装置を用いない限り、人間の目によって理解されあるいは検出されない形で物品上に固定されている。例えば、チェックあるいは同様の目的で使用されるその他の物品では、使用者の承認された署名を含む機械可読データセットが、その上に固定されている。その結果、偽造しようとする者は、承認された署名のサンプルをコピーすることができない。使用者の署名を解読された署名と比較することによって、使用場所での確認が可能となる。
【0012】
他の実施例では、物品上に人間によって読取可能なテキストデータセットを表示している。このデータセットは、任意で、コード化されたバイオメトリックデータセットと連結されあるいはこれと介在配置されてコード化された、テキストデータのサブセットを共に表示している。本発明の目的からは、テキストデータセットはバイオメトリックデータではない全てのデータから構成される。
【0013】
したがって本発明の一実施例は、一表面と、および機械可読形状にコード化された受益者固有のデータセットとを備える、自己確認物品である。他の実施例では、一表面と、この表面に固定された第1および第2のデータセットとからなる、自己確認物品である。なおこの第2のデータセットは第1のデータセットのコード化されたコピーである。変形実施例としては、一表面と、この一表面上に固定された少なくとも一個のテキストデータサブセットを有するテキストデータセットと、その一表面上に固定された少なくとも一個のバイオメトリックデータのサブセットを有するバイオメトリックデータセットとから構成される、自己確認用の、受益者に固有の身分証明用物品である。なおバイオメトリックデータセットとテキストデータセットは、任意で連結され、介在配置されあるいは他の方法で結合されて、物品上に固定されていても良い。機械可読データセットは、少なくとも一個のマトリックス(あるいはアレイ)を形成する光学的に可読なバイナリコードとして構成されていることが望ましい。このマトリックスは一般に、二次元のバーコードあるいはマトリックスコードとして言及される。
【0014】
本発明の一つの特徴は、修正不可能な自己確認物品を製造する方法に関する。この方法は、受益者固有データの一個以上のサブセットからなる受益者固有データセットを受信し、受益者固有データの第1のサブセットを選択的にコード化することによって機械可読データセットを生成し、そしてこの機械可読データセットをあるいは任意で第1の受益者固有データセットと共に物品表面に固定する各ステップから構成されている。この機械可読データセットは一個以上の機械可読マトリックス中に固定されていることが望ましい。印刷された機械可読データセットは、視覚的なバイナリデータとして例えば物品の指定された空白領域に固定されることもある。あるいは既に述べた様に、この機械可読データは、物品の既存の印刷領域上、あるいはその下にマーキング手段、例えば物品印刷とは分離して検出が可能な、紫外、赤外その他の色のインクを用いて印刷されていても良い。あるいはまた、機械可読デ−タセットを、永久磁石あるいは蛍光イメージを選択的に読取れるように物品上に位置させることによって、分離することも可能である。さらに別の可能性として、この機械可読データセットを識別可能なスペクトルの形で固定し、データセット上には、若しコピーしあるいは他の方法で再生しようとした場合、無効コードを生成する、にせのコードを印刷して置くこともできる。
【0015】
機械可読データセットは、空隙(void、ボイド)としてバイナリデータ化され、物理的に固定される。本発明の目的を達成するためには、空隙は、窪み、開口、気泡(bubble、バブル)、つめ(detent)、孔など、あるいはそれらが存在しないことを含み、また空隙はマトリックス形状に構成されていても良く、この場合は空隙/非空隙領域を識別することが可能な物理的材料識別システムが用いられる。このような識別システムとして、超音波装置あるいは他のイメージ化技術がある。これらは空隙が存在するか否かを決定するために微小領域の深さあるいは密度を決定する戻り信号を有している。他の光学的技術も、通常のコンパクトディスクに使用されるのと同様にして用いることができる。物理的特性を利用する場合は、空隙を何かの材料で充填しあるいは被覆して、物品表面を平坦にすることが望まれる。その結果、物品は一つの層が空隙の形で機械可読コードを有する多層構造を取る場合もある。
【0016】
他の変形例として、コード以外の部分が不透明な(あるいはその反対)層の上に機械可読コードを固定した物品がある。この場合、このコードを光学的に検出するため、強い紫外線を用いて、コードが他の層で隠されていても対応することができるようにする。
【0017】
本発明の他の特徴は、自己確認物品の真偽性を確認する操作方法に関する。このための一方法では、コード化されたバイオメトリックデータセットを有する上記各形式の内の一つの形式の自己確認物品を走査してバイオメトリックデータセットを検出し(読出し)てこれを解読し、さらに検出されたバイオメトリックデータセットを受益者固有のサンプルと比較して検出されたバイオメトリックデータセットが受益者固有のサンプルに相当するかどうかを決定する。他の方法では、第1のデータセットは第2のデータセットのコード化されたコピーであるような第1と第2のデータセットを有する自己確認物品を受け入れるステップと、この自己確認物品を走査してコード化された第1のデータセットを検出する(あるいは読み取る、等)ステップと、コード化された第1のデータセットを解読するステップと、解読された第1のデータセットを第2のデータセットと比較して自己確認物品の真偽性を決定するステップを有している。好ましい実施例では、コード化された第1のデータセットは一個以上の機械可読マトリックス中に印刷されている。
【0018】
物品上に固定する単一の機械可読データセットを本発明の原理に基づいて製造するための処理システムは、複数の受益者固有データのサブセットを備えた受益者固有データセットを受信するための入力端子と、処理システムのための複数の命令を記憶するメモリ記憶装置と、機械可読データセットを生成する処理ユニットと、および任意で、生成された機械可読データセットと第1の受益者固有データのサブセットとを伝送する出力端子、を備えている。処理ユニットは少なくとも一個の処理システム命令を検索しかつ実行する。この処理システム命令は、処理ユニットに第1の受益者固有データサブセットを選択してコード化するよう命令する。本発明の一実施例では、この処理ユニットはさらに機械可読データセットを少なくとも一個のマトリックスの形の光学的に可読なバイナリコードに形成する機能を有する。
【0019】
本発明の原理に基づいて自己確認物品の真偽性を確認するための処理システムは、自己確認物品を受け入れる(あるいは走査し、読み出す)入力端子と、複数の処理システム命令を記憶するメモリ装置と、自己確認物品の真偽性を確認するための処理ユニットと、さらに任意で、出力信号を伝送するための出力端子を備えている。入力端子は、前記の処理ユニット、あるいはその他の処理ユニットまたは入力制御装置によって制御されて、自己確認物品の表面を選択的に走査する手段を備えている。処理ユニットは、メモリ装置からの少なくとも一個の命令を検索し、実行する。この命令は、自己確認物品上に固定されかつコード化された第1のデータセットを検出し、このコード化された第1のデータセットを解読するよう処理ユニットに命令するものである。一実施例では、この処理ユニットはさらに解読された第1のデータセットを自己確認物品に固定された第2のデータセットと比較して、自己確認物品の真偽性を示す出力信号を生成する機能を有している。他の実施例では、この処理ユニットは、解読された第1のデータセットと第2のデータセットを中央ホスト処理システムに伝送し、これら二個のデータセットの比較を行わせる。他の実施例では、解読された第1のデータセットはバイオメトリックデータを含み、出力端子はこのバイオメトリックデータを出力ディスプレイ装置に伝送して、そこに居る人間が自己確認物品の所持者の身分確認を視覚的な比較によって行うことができるようにしている。
【0020】
本発明を使用しおよび/または配付するための一実施例は、記憶媒体に書き込まれたソフトウエアである。このソフトウエアは、本発明の原理に基づいて単一の自己確認物品を生成しおよび/またはその真偽性を確認するための一個以上の処理ユニットを制御する複数のコンピュータ命令を有している。このコンピュータは必要なコード化および/または解読方法/アルゴリズム、またはそれらの一部分を備えている。用いられる記憶媒体としては、三例を挙げれば磁気記憶装置、光学メモリ、および/または半導体チップ等の三例を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0021】
したがって本発明の効果は、バイオメトリックな身分証明とこの物品を所持する人間に対して承認された個人の文字情報とを有する物品上で使用される修正不可能なコードを提供しうることである。
【0022】
他の効果としては、比較的費用のかからない技術、好ましくは高度に信頼性を有しかつ正確である一般的な印刷装置を用いて、機械可読コードを物品上に固定することが可能なことである。
【0023】
本発明の他の効果は、廉価に、正確にかつ効率的に修正不可能な自己確認用個人身分証明書および商用書類を製造する方法およびシステムと同様、自己確認物品を提供し得ることである。
【0024】
本発明のさらに他の効果は、提示された自己確認物品を、効率的に、かつ廉価に、その真偽性を確認するための方法およびシステムを提供し得ることである。
【0025】
本発明のさらに他の効果は、確認のための高価な装備を必要とすることなく、遠隔アクセス位置で提示された自己確認物品の真偽性を確認する事ができる方法およびシステムを提供し得ることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1Aは、本発明に基づいて自己確認物品を製造するシステムの機能図である。このシステムは、バイオメトリックデータ(biometric data、生物計量学的データ)セット101と任意でテキストデータ(textual data、文字情報データ)セット102を含む入力データセット100と、物品10と、処理システム103と、さらに自己確認物品104を含む。すでに述べたように、データセット100は受益者固有のデータから成っている。バイオメトリックデータセット101は物品の受益者となり得る個人の一個以上の身体的特徴(例えば、写真、網膜の走査情報、指紋、サイン等)を含み、一方、入力データセット100に任意で含まれるテキストデータセット102は一個以上のテキスト属性(例えば、名前、住所、身長/体重、目の色等)を含む。処理システム103は、物品10上に固定される単一の機械可読データセットを生成する事によって、自己確認物品104を製造する。処理システム103は、入力手段、処理手段、出力手段および物品製造手段を含む。入力手段は、入力データセット100と物品10を受け入れる。処理手段は、文字通りおよび語義的にも入力データセット100の真偽性を立証し、バイオメトリックデータセット101および任意でテキストデータセット102の選択されたサブセットをコード化する(任意ではあるが、もし望むならコード化すべきデータを先ず暗号化しても良い)。出力手段は、真偽性が立証されかつコード化されたデータセットを、バイオメトリックデータセット101の選択されたサブセットおよび任意でテキストデータセット102と共に、物品製造手段に伝送する。物品製造手段は、真偽性が立証されかつコード化されたデータセットを、物品10上に固定する。なおバイオメトリックデータセット101と任意でテキストデータセット102を、物品10上に、共に固定してもよい。このようにして自己確認物品104を作成する。
【0027】
好ましい実施例では、処理システム103は、バイオメトリックおよびテキストデータの選択された全サブセットをコンパクトで修正不可能な機械可読データセットにコード化し、さらにその後この機械可読データセットを一個以上のマトリックに構成することによって、データの完全性(無欠性)を保証する。若し希望があれば、機械可読データセットを2個以上の個々のセグメントに分割しても良い。これらのセグメントをその後、2個以上の機械可読二次元マトリックに組み込んでも良い。なおこれらのマトリックスは視覚的な大きさが同じものでも、あるいは異なったものでも良い。これらの複合マトリックスは、物理的には分離されていても、人間によって読取可能な文字情報および/または機械可読マトリックスの何れに対して如何なる修正を試みようともこれを確実に検出するためのチェック値および特徴を有している。この点において、コード化されたバイオメトリックおよびテキストデータを一個のデータ列に連結し、ほぼ2個に分割し、その後ほぼ同じサイズの2個のマトリックスに形成する。あるいはまた、バイオメトリックデータとテキストデータを、例えば交互のビット、バイト、バイトグループ間で介在配置させて一個のデータ列を形成し、その後これを二個のマトリックスに分割する。各マトリックスは、個々のマトリックスのデータ無欠性を独立して確認するための、検査合計を有していることが望ましい。さらに、あるいはその代わりに、これらのマトリックスは、2個のマトリックスを総合してデータの無欠性を確認するための、相互依存検査合計を有していても良い。これらの検査合計の結果、若し一個のマトリックスが修正されていれば、あるいは若し二個のマトリックスが修正されていれば、無効データが読みだされる。都合が良いことに、既定のルーチンに従って介在配置したバイオメトリックデータとテキストデータは、マトリックスの修正を検出する能力を強化する。あるいはまた、バイオメトリックデータセット101を一個のマトリックスに形成し、テキストデータセット102を第二のマトリックスに形成することも可能である。
【0028】
一実施例では、既存の判定基準に対して、機械可読データセット受け入れの可否を確認することによって、データの安全性をより強化することができる。このことは具体的には、発行済の物品のデータベース(例えば、処理システムによる使用を目的として記憶された、組織的かつ包括的なデータコレクション)を検索して単一性を決定することを含んでいる。他の実施例では、入力データセット100は、確認およびコード化のためアルゴリズムを持たない、遠隔アクセスコード化位置で受信される場合もあることに注意する必要がある。この場合、受益者固有のバイオメトリックデータおよび関連するテキストデータの両者を代表するデータ信号は、安全な中央ホストに伝送される(図2に、これと同様の構成を示す)。中央ホストはその後、上述の確認作業を実行する。この伝送は有線によってあるいは無線によって行われる。
【0029】
受益者を容認することができると決定した場合は、受益者固有のバイオメトリックデータをコード化する。このコード化は好ましくは圧縮アルゴリズムを使用して、バイオメトリックデータの複数のサブセット、および任意でテキストデータの複数のサブセットを一個以上の機械可読マトリックスに結合する。若し入力データセット100がコード化のためのアルゴリズムを持たない遠隔アクセスコード化位置で受信された場合は、コード化後のバイナリ信号列は前述したようにして、遠隔アクセスコード化位置に伝送される。機械可読データセットはその後、標準的な物品発行装置(図1Bに示す)によって、一個以上の自己確認物品上に固定される。物品が形成され物品発行装置によって発行されると、この事実が自動的にデータベースに記録される。入力データセット100が遠隔アクセスコード化位置で受信された場合は、このデータベースは恐らく中央ホストに存在している。この記録のエントリは、後日まちがって二重に物品が発行されるのを防ぐためである。発行された物品の数は物品の使用目的に直接関係していることに注意する必要がある。本発明のこのような特徴からは、次のような応用が可能である。すなわち、特定のコードに変換された写真を備える運転免許証を一回のみ発行すること、あるいは複数の物品、例えばチェック、トラベラーズチェック、銀行口座の支払い票等、物品を複数回発行するものにも、応用が可能である。
【0030】
図1Bは、処理システム103の等大図である。処理システム103は、物品発行装置114に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)105を含む。PC105は、ハードウエアのケース106(一部を切り欠いて示している)、モニタ109、キーボード110および任意でマウス113から構成されている。ハードウエアケース106はフロッピィディスクドライブ107およびハードディスクドライブ108の両者を含んでいる。フロッピィディスクドライブ107は外部ディスクを受け入れ、読出し書き込みを行う。一方、ハードディスクドライブ108は高速アクセスのデータ記憶および検索を実行するフロッピィディスクドライブ107のみを図示しているが、PC105は適当な構成を有するデータの送受信装置、例えば、テープおよびコンパクトディスクドライブ、および直並列データポートを備えていてもよい。ハードウエアケース106の切り欠き部分の内部には、処理ユニット、中央処理ユニット(CPU)111、このCPU111に接続されたメモリ記憶装置、図示する実施例ではランダムアクセスメモリ(RAM)112が含まれている。PC105は一個のCPU111を備えるように図示されているが、本発明の原理を協同して実行するように作動する複数のCPU111を備えていてもよい。物品形成装置114は、PC105から一個以上の出力データセットを受信し、この出力データセットを物品の表面に固定する。
【0031】
処理システム103を具体化する物としてPC105および物品形成装置114が示されているが、この発明は、これ以外に、例えば高機能の計算器、およびリスクおよび並列処理のアーキテクチャーを備える持ち運び可能な小型のメインフレームおよびスーパーコンピュータを含む少なくとも一個の処理ユニットを備える、如何なる処理システム内、および前者のネットワーク結合体内で実施することが可能であり、さらに適切に構成された物品形成手段を使用することが可能である。
【0032】
図1Cは、図1Aおよび1Bと関連して使用される複数の副処理システムの内の一個を概念的に示すブロック図である。この副処理システムは、例えばデータバス118を介してRAM112のようなメモリ記憶装置に接続された、例えばCPU111のような一個の処理ユニットを備える。メモリ記憶装置112は、処理ユニット111が検索し、翻訳し実行することが可能な一個以上の命令を記憶する機能を有している。処理ユニット111は制御ユニット115、論理演算ユニット(ALU)116、および積み重ね可能なキャシュあるいは複数のレジスタのようなローカルメモリ記憶装置117を含んでいる。制御ユニット115はメモリ記憶装置112から命令をフェッチする。ALU116は、例えば命令を実行するのに必要な加算、ブールANDを含む複数の演算を実行する。ローカルメモリ記憶装置117は、一時的な結果および制御情報を記憶するために使用される高速記憶装置を提供する。
【0033】
図2Aは、受け取った自己確認物品の真偽性を確認するための本発明に基づくシステムの機能ブロック図である。このシステムは自己確認物品104、遠隔アクセス位置処理システム200、なおこれは任意に(点線で示すように)中央ホスト処理システム103に接続されており、さらにディスプレイ装置、プリンタ、あるいはその他の適切に構成された表示装置である真偽性に関するメッセージの表示手段201を備えている。自己確認物品104は、少なくとも一個のコード化されたデータセットを含んでおり、このデータセット中には、バイオメトリックデータセットの一部あるいは全部のコード化されたコピーである第1のデータサブセットが含まれる。自己確認物品104はまたテキストデータセットかバイオメトリックデータセット、あるいはその両者を含んでいることが望ましい。
【0034】
遠隔アクセス位置処理システム200は、入力手段、処理手段および出力手段を備えている。入力手段は自己確認物品104を受け入れる。処理手段は自己確認物品104の真偽性を確認するものであり、遠隔アクセス位置処理システム200と中央ホスト処理システム103間の通信を行う。出力手段は、処理手段によって作成された真偽性に関するメッセージを、ディスプレイ手段201に伝送する。
【0035】
処理手段は、自己確認物品104を走査して、コード化された第1のデータセットを見出しこれを解読し、さらに解読された第1のデータセットを第2のデータセットと比較する。この第2のデータセットは物品の所有者から得られるものか、あるいは自己確認物品104に固定されているかのどちらかである。さらに処理手段は物品104の真偽性を示す出力信号を生成する。他の実施例では、この処理手段は、解読された第1のデータセットと第2のデータセット間の比較作業をバイパスし、あるいは実行しない。その代わりに、この処理手段は、解読された第1のデータセット、例えばバイオメトリックデータセットの所定部分のグラフィックイメージ表示と、第2のデータセットとを示す出力信号をディスプレイ装置上に生成し、処理システムのオペレータによってこれらをマニュアルで比較させる。
【0036】
さらに別の方法として、処理システムのオペレータが、解読された第1のデータセットと、任意で第2のデータセット(これが物品に固定されている場合)とを、物品の所有者そのもの、若しくはその所有者から、あるいはデータベースから得られた、例えば所有者の署名、外見等のバイオメトリックデータセットと、マニュアルで比較することもできる。自己確認物品104の真偽性を確認する図示のシステムは、種々の装置、例えばポータブル端子、固定ステーション読み取り装置および平床式スキャナーなどを利用することも可能である。なおこれらの読み取り装置は、解読機能を直接組み込んでいるか、あるいは処理システム103のようなベース/ホストステーションにおける解読機能を、有線、無線周波数、短波、移動体通信(cellular)、赤外あるいはその他の無線通信手段を介して利用することができる。
【0037】
遠隔アクセス位置処理システム200および/または中央ホスト処理システム103は、キーボードと、コード化されたバイオメタリックイメージおよび/またはテキストデータを正確に表示するに十分な解像度を有するディスプレイスクリーンとを有している。また、解読に備えて機械可読データセットをバイナリの機械語ビットに変換するのに必要な、イメージ化装置を組み込んでいる場合もある。このイメージ化装置は、CCD、CMOS、NMOSあるいはその他の感光性センサを含む多くの技術を基礎にして構成されている。なおこのセンサは、二次元領域、あるいは一次元の直線アレイ形状を有し、あるいはラスタパターンにおける2次元イメージを走査する単一ビームレーザー読取素子であってもよい。
【0038】
このイメージ装置の好ましい実施例として、リニアアレイスキャナーがある。このスキャナーは、印刷された機械可読コード205の実線で示す境界に対して垂直に配置される。2個以上のマトリックスが用いられている場合は、これらのマトリックスは並列に配置され、その結果、CCDスキャナーは、通常の磁気ストライプ読出の場合と同様に、通常のカードスワイプアクション(card swipe action)によって、2個のシンボルを通過する。このようにしてマトリックスは読みだされ、各マトリックスのビデオイメージがメモリ中に記録され、処理される。イメージ化は、レーザー、レーザーダイオード、赤外または他のバイナリイメージ化技術を使用して行われる。なおこれらの素子は、二次元領域状にあるいは一次元リニアアレイの形状に構成される。あるいはまた、読出装置は、機械可読マトリックス中にコード化されたイメージおよび情報を同じ物品上の人間によって理解しうる形にして、自動的に確認する機能を有している場合もある。一実施例では、この比較を遠隔アクセス位置処理システム200のメモリ内で実行し、それによって、ターミナル上でキーパッドおよび/または高解像度ディスプレイスクリーンを不要とすることもできる。あるいは既に述べたように、オペレータが自分の目で、端末スクリーン上に表示された情報と物品および/または物品の所有者が示す人間に可読な情報とを比較することもできる。
【0039】
図2Bは、遠隔アクセス位置処理システム200として用いられるハンドヘルド(手持ち)コンピュータの等大図である。このハンドヘルドコンピュータ200はキーパッド202、ディスプレイスクリーン203および入力端子204を備えている。キーパッド202はユーザから入力データをマニュアルで受信するように、システマティックに配置された複数のキーを有している。ディスプレイスクリーン203は、真偽性に関するメッセージ、および/またはバイオメトリックデータおよび/またはテキストデータを表示するためのものである。入力ポート204は、ここでは運転免許証である自己確認物品104を受け入れる為のものである。図示する実施例では、この免許証は二個の光学的に可読なバイナリマトリックスの形状に暗号化された、機械可読データセット205a;bを有している。遠隔アクセス位置処理システム200は、図1Cに示す副処理システムと同様に、少なくとも一個の処理ユニットと一個のメモリ記憶装置を備えている。この処理ユニットは、連結メモリ(マトリックスを同定し解読するための命令プログラムセットを保持する不揮発性記憶装置と、データ処理作業エリアを確保するための揮発メモリ)を有するマイクロプロセッサと、解読すべきマトリックスのイメージを記憶するビデオメモリと、単一の印刷基板にマウントされた関連の信号調整回路を有していることが望ましい。
【0040】
図3は、機械可読のバイナリコードに変換された、一般的にマトリックス205として示す、一個のマトリックスの好ましい形状を示している。マトリックス205は、元フロリダ州クリアウォータに所在し、この発明の譲受人であるインターナショナルデータマトリックス社によって開発された、データマトリックス記号表示法の一例である。マトリックス205は、実線で示された交差する側辺301と、交互に設けられた斜線格子303と白格子304からなる交差した側辺302とで構成される周囲300を有している。一般に305で示すデータは、マトリックス204の周囲301内に、記憶すべき各文字を視覚的なバイナリコードに変換して記憶されている。なおこの斜線および白格子によって表したバイナリコードは、コード化すべきバイナリ情報の、1および0に対応している。マトリックス205の更に詳細な説明は、この出願の譲受人によって所有される米国特許第4、939、354号「動的可変機械可読バイナリコードおよびそれを読みだしかつ製造する方法」と、同時継続の米国特許第5、324、923号「動的可変機械可読バイナリコードの製造装置およびその読出および製造方法」を参照されたい。なおこれらの特許はこの出願の参照文献として示している。
【0041】
図4Aは、図1Aに示す実施例に基づいて、修正不可能な自己確認アーティクルを製造するためのフローチャートである。この発明の原理に基づくプロセスは、スタートブロック400から始まる。処理システム103は、少なくとも一個のデータサブセットからなる受益者固有のデータセットを受信する(入力ブロック401)。処理システム103は、第1のデータサブセットのグラフィックイメージ圧縮を行うことが望ましい。獲得データのデジタル表示を行うためには、約50:1かそれ以上のイメージ圧縮を行うことが望ましい。この程度に圧縮されたデータでは、視覚品質の大きな損失を伴うことなく、受益者の固有イメージを一般のグラフィックディスプレイスクリーン上に再生することが可能である(ブロック402)。
【0042】
このイメージ圧縮は、通常の標準ルーチン、例えば不連続コサイン変換(Discrete Cosine Transform(DCT))、LZW(LempelーZiv)、フラクタル等によって、第1のデータサブセットをコード化するのに必要なビット数を縮小する。50:1の圧縮比が適当であるが、これ以外の圧縮比もまた可能である。データ圧縮に加え、グラフィックイメージ強化ルーチンを第1のデータサブセットに適用することもできる。このルーチンの適用は、特に受益者の写真をイメージ化する場合、イメージコントラストを向上し、エッジをシャープにさらに滑らかにし、陰影の影響を減少させるために、データ圧縮ステップに先立って行うことが望ましい。これによって、ディジタルイメージを改良し、有効にデータ圧縮を行うことが出来る。適切なイメージ強化ルーチンは、1987年、アディソン−ワイリー社(AddisonーWesley Publishing Co.(Reading MA))によって発行された、ゴンザレス(R.Gonzales)等による「ディジタルイメージ処理」に記載されている。
【0043】
処理システム103は圧縮された第1のデータセットを選択的にコード化し、その結果として機械可読データセットを生成する(処理ブロック403)。この選択的コード化ステップは、図4Bの詳細な説明に関連して、より完全に説明されている。本発明の一実施例では、処理システム103は、機械可読データセットを、一以上のマトリックスを形成する光学的に可読なバイナリコードに構成する機能(処理ブロック404)を有している。処理システム103は、この機械可読データセットと受益者に固有の第1のデータサブセットとを、物品の表面に固定し、その結果として自己確認物品104を製造する(処理ブロック405)。一実施例では、このマトリックスは、例えばサーマル、サーマル変換、インクジェット、バブルジェット、ドットマトリックス印刷等の一般的な印刷方法によって、物品上に固定される。別の方法としては、一個または複数のマトリックスを、例えば上面を被覆して形成した副表面上に固定し、あるいは多層物品の印刷層上に配置することも可能である。
【0044】
他の実施例では、この機械可読データセットを、例えば運転免許証の写真のような、物品の既に印刷された領域に、印刷する。さらに他の実施例では、このマトリックスは、マトリックスパターンに従って物品に気泡あるいは空隙を導入することによって、あるいは物品を貫通する、または貫通しない孔をドリルあるいはパンチにより設けることによって、形成される。この場合、物品上に材料が存在するか否か、材料の相対密度、気泡、空隙、孔等の深さを、例えば超音波技術、光学的測定システム等の、コードを識別することが可能な跳ね返り信号を有する適切なイメージ化システムによって、コードを機械的に読み取ることが可能である。
【0045】
図4Bに、図4Aに示す処理ブロック402のより詳細なフローチャートを示す。スタートブロック406に入ることによって、第1のデータセットの選択的コード化が開始される。処理システム103によって、第1のデータセットをシステム制御値と比較し、第1のデータセットが受容できる許容値内かどうかを決定する(処理ブロック407)。この比較ステップは、例えば統合的および/または部分的解析を伴っても良い。第1のデータセットが受け入れ無効であると決定された場合(判定ブロック408の分岐N)、処理システム103は自己確認物品の発行を中止する(終了ブロック409)。反対に第1のデータセットが受け入れ有効と決定された場合(判定ブロック408の分岐Y)、処理システム103は、既に発行された物品のデータベースを検索し、発行された物品が単一かどうか決定する(処理ブロック410)。この単一性は、製造された物品の型を基に主観的(個人的)に決定される。処理システム103によって使用されるデータベースは、処理システム103内にあっても、あるいは外部にあってもよい。
【0046】
この両者において、処理システム103はデータベースを直接にあるいは間接的に検索することができる。例えば、このデータベースは離れた場所に記憶され、処理システム103が通信可能な他の処理システムによって制御されるようなものでも良い。もし第1のデータセットが受け入れるには単一でないと判断された場合(判定ブロック411の分岐N)、処理システム103は自己確認物品の製造を中止する(終了ブロック412)。もし第1のデータセットが受け入れるに単一であると決定された場合(判定ブロック411の分岐Y)、処理システム103は、受け入れた受益者固有のデータセットの内の一個以上のサブセットを、少なくとも一個の記録としてデータベースに選択的に挿入する(処理ブロック413)。その後処理システム103は第1のデータセットをコード化し(処理ブロック414)、一実施例では、コード化された第1のデータセットに誤り訂正ビットを付加する。
【0047】
図4Aおよび4Bに具体的に示した第1のデータセットのみの選択的コード化は、単に説明の為だけであって、圧縮された受益者固有のデータセットを複数個選択的にコード化すること、コード化された複数のサブセットを選択的に結合し、介在配置して単一の機械可読データセットを形成することも、本発明の種々の形態および特徴の内の一つであることを理解する必要がある。さらに、二個あるいはそれ以上のデータサブセットが共にコード化され、連結され、介在配置されると、処理システム103は機械可読データセットを一以上の光学的可読マトリックスに成形する。この時個々のコード化されたデータサブセットは2個以上のマトリックスにわたることがある。
【0048】
図5は、図2Aに示した実施例に基づいて、受け入れた自己確認物品の真偽性を検証するためのフローチャートを示す。スタートブロック500に入ることによって、本発明の原理に基づく処理が開始される。自己確認物品は、この実施例では複数のデータセットを含み、その内の第1のデータセットは第2のデータセットのコード化されたコピーであり、遠隔アクセス位置処理システム200によって受入れられる(入力ブロック501)。遠隔アクセス位置処理システム200は次に受け入れた自己確認物品を走査し、コード化された第1のデータセットを見出す(処理ブロック502)。遠隔アクセス位置処理システム200は、コード化された第1のデータセットを解読し(処理ブロック503)、さらに解読された第1のデータセットを第2のデータセットと比較して受け入れた自己確認物品の真偽性を決定する(処理ブロック504)。
【0049】
一実施例では、遠隔アクセス位置処理システム200と処理システム103間の通信によって、この比較ステップを実行する。なおこの場合、処理システム103は既に発行された自己確認物品に関する受益者固有データのデータベースを保持している。この実施例では、遠隔アクセス位置処理システム200と処理システム103間の通信は、有線あるいは無線手段によって行われる。他の実施例では、少なくとも解読された第1のデータセットと、さらに任意で第2のデータセットとを、出力ディスプレイ装置に伝送し、システムオペレータがマニュアルな比較を実行する。解読された第1のデータセットが真正でないと判断された場合(判定ブロック505の分岐N)、遠隔アクセス位置処理システム200は真偽性に関するメッセージ201を表示し、この自己確認物品が無効であることを示す(出力ブロック506)。反対に解読された第1のデータセットが真正であると判定された場合(判定ブロック505の分岐Y)、遠隔アクセス位置処理システム200は真偽性に関するメッセージ201を表示し、この自己確認物品が有効であることを示す(出力ブロック507)。
【0050】
他の実施例では、遠隔アクセス位置処理システム200は、コード化された第1のデータセットの解読に先立って、受け入れた自己確認物品をディジタルビットマップイメージに変換し、このディジタルビットマップイメージを複数の領域に分割する。この場合、第1の領域はコード化された第1のデータセットを含み、第2の領域は第2のデータセットを含む。この実施例では、この第1および第2の領域とも複数のバイオメトリックおよび/またはテキストデータサブセットを有し、これらは遠隔アクセス位置処理システム200によって共通のデータフォーマットに変換され、処理される。
【0051】
既に記したように、一実施例の自己確認物品は、バイオメトリックデータである第1のデータセットとテキストデータである第2のデータセットを含む、2個のマトリックスを有している。さらに一実施例では、この物品は可変データを保存するための磁気ストライプを有している。この可変データは、機械可読マトリックスを走査し、その中に含まれるある特定のデータを解読し、そのデータ(他のデータと共に、あるいはそれだけ)を磁気ストライプ上に記録することによりプログラムされる。この結果磁気ストライプを読みだすことが必要な応用事例において、この自己確認物品を有効に活用することが出来る。
【0052】
本発明の他の用途は、ソフトウエアにおける著作権侵害を防止することである。ソフトウエアとは、上述した複数の記録媒体の一つに記録したプログラムの特殊な形態である。ソフトウエアは、プログラムを一個の記録媒体から他の媒体に自由に移し替え、あるいはコピーすることを可能とする。そのため、無許可のユーザーがソフトウエアの違法コピーを手に入れることが可能となる。例えば、一実施例では、処理システムの購入者はハードウエアの販売人に、工業規格化された個人データを提供する。この個人データはバイオメトリックデータを含み、任意で暗号化され処理システム内に記憶されている場合もある。処理システムの購入者がソフトウエアを購入する場合、常に、このような工業規格化された個人データを提示することが求められる。なおこの個人データは圧縮され、任意で暗号化され、好ましくはバイナリコード化された一個以上のマトリックスとして機械可読データセットにコード化され、例えばフロッピィあるいはコンパクトディスクのような携帯式記憶媒体に固定されている。
【0053】
処理システムにこのソフトウエアがロードされると、本発明の原理に従ってマトリックスが走査され、解読され確認され、既存の記録データと比較されて所有者の共通性が確認される。その結果、ソフトウエアの著作権侵害が防止される。所有者が共通であると認識された場合、このソフトウエアは、解読された工業規格化個人データと共に、処理システム上にロードされる。処理システムの所有者がこの処理システムの所有権を譲渡した場合、新しい所有者は彼のソフトウエアをロードするために、工業規格化された個人データを再定義する必要がある。これは新たな所有者による現存のソフトウエアの使用を一時中止し、あるいは自動的に現存のソフトウエアを消去することを伴う。ソフトウエアの使用が一時中止された場合、この特定のソフトウエアの所有権が合法的に移転されているなら、現存のソフトウエアの使用中止を再起動するための、所有者移転のルーチンが入手可能である。
【0054】
本発明のおよびその効果について詳細に説明したが、この発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の変更、置き換え、および代用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】本発明の原理に基づいて自己確認物品を製造するためのシステムの機能ブロック図である。
【図1B】図1Aに記載した処理システムを示す図である。
【図1C】処理ユニットおよびメモリ記憶装置のブロック図である。
【図2A】受け入れた自己確認物品の真偽性を、本発明の原理に基づいて確認するためのシステムの機能ブロック図である。
【図2B】図2Aに示す遠隔アクセス位置処理システムの等大図である。
【図3】機械可読のバイナリコード化されたマトリックスを示す図である。
【図4A】図1Aに示した実施例に基づいて修正不可能な自己確認物品を製造するためのフローチャートを示す図である。
【図4B】図1Aに示した実施例に基づいて修正不可能な自己確認物品を製造するためのフローチャートを示す図である。
【図5】受け入れた自己確認物品の真偽性を図2Aに示した実施例に基づいて確認するためのフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0056】
10 物品
100 入力データセット
101 バイオメトリックデータ
102 テキストデータ
103 処理システム
104 自己確認物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受益者固有データの一個以上のサブセットからなる受益者固有データセットを受け入れ、
機械可読データセットを生成するため、第1の受益者固有データサブセットをコード化し、
前記機械可読データセットを物品上に固定する、各ステップからなることを特徴とする受益者固有物品の製造方法。
【請求項2】
さらに、前記第1の受益者固有データサブセットが前記制御の許容値内であるかどうかを判定するために、前記第1の受益者固有データサブセットの少なくとも一部分を制御値と比較するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記比較ステップは、許容範囲内であることを判定した後、さらに
前記受益者固有データセットが単一であるかどうかを判定するために、既製の修正不可能な物品のデータベースであって一個以上の記録を含むデータベースを検索し、
単一では無いことが判定された場合、前記単一の受益者固有識別物品の製造を中止し、
単一であることが判定された場合、前記受益者固有データセットを既製の修正不可能な物品の前記データベース中の少なくとも一個以上の記録中に挿入する、各ステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コード化ステップはさらに、前記機械可読データセットを少なくとも一個以上のマトリックスを形成する光学的に可読なバイナリコードに構成するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記構成ステップの前に、
第2の受益者固有データサブセットを選択的にコード化し、さらに
前記コード化された第2の受益者固有データサブセットを前記コード化された第1の受益者固有データサブセットと結合して前記機械可読データセットを形成する、各ステップを有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記固定ステップはさらに、前記マトリックスを前記物品上にエッチングするステップを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記固定ステップはさらに、前記マトリックスを前記物品上に刻みつけるステップを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記コード化ステップはさらに、前記第1の受益者固有データサブセットを暗号化するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記結合ステップは、前記コード化された第2の受益者固有データサブセットと前記コード化された第1の受益者固有データサブセットとを介在配置させるステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の受益者固有データサブセットはテキストデータを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の受益者固有データサブセットはバイオメトリックデータを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記コード化ステップはさらに、前記機械可読データセットを2個のマトリックスを形成する光学的に可読なバイナリコードに構成するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第2のデータセットのコード化されたコピーである第1のデータセットと前記第2のデータセットとを含む複数のデータセットを含む、受け入れた受益者固有物品の真偽性を確認するための方法であって、
前記受け入れた受益者固有物品を走査して前記コード化された第1のデータセットを見出し、
前記コード化された第1のデータセットを解読し、そして
前記受け入れた受益者固有識別物品の真偽性を確認するために、前記解読された第1のデータセットを前記第2のデータセットと比較する、各ステップからなることを特徴とする、受け入れた受益者固有物品の真偽性確認方法。
【請求項14】
前記走査ステップはさらに、
前記複数のデータセットをディジタルのビットマップイメージに変換し、そして
前記ディジタルのビットマップイメージを、前記コード化された第1のデータセットを含む第1の領域と前記第2のデータセットを含む第2の領域とを有する、複数の領域に分割する、各ステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の領域はコード化されたテキストデータサブセットを含み、前記解読ステップはさらに、前記第1の領域の解読されたテキストデータサブセットと前記第2の領域のテキストデータサブセットを第1のデータフォーマットに変換するステップを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の領域はコード化されたバイオメトリックデータサブセットを含み、前記解読ステップはさらに、前記第1の領域の解読されたバイオメトリックデータサブセットと第2の領域のバイオメトリックデータサブセットを第1のデータフォーマットに変換するステップを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記比較ステップはさらに、前記解読された第1のデータセットと前記第2のデータを、前記真偽性確認のために処理システムに伝送するステップを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
単一の機械可読データセットを製造し自己の真偽性確認のための受益者固有物品上に固定するための処理システムであって、 少なくとも一個の受益者固有データサブセットからなる受益者固有データセットを受信する入力端子と、
複数の処理システム命令を記憶するメモリ記憶装置と、
前記メモリ記憶装置から少なくとも一個の前記処理ユニット命令を検索し実行することによって前記機械可読データセットを生成し自己の真偽性確認のための受益者固有物品上にこれを固定するための処理ユニットであって、この処理ユニットは第1の受益者固有データサブセットをコード化する機能を有するものと、および
前記コード化された第1の受益者固有データサブセットを前記機械可読データセットとして伝送するための出力端子、とを有し、
前記処理ユニットはさらに、前記コード化された第1の受益者固有データサブセットを少なくとも一個のマトリックスを形成する光学的に可読なバイナリコードに構成する機能を有していることを特徴とする、処理システム。
【請求項19】
前記処理ユニットはさらに、第2の受益者固有データサブセットを選択的にコード化し、および
前記コード化された第2の受益者固有データサブセットを前記コード化された第1の受益者固有データサブセットと結合して、前記機械可読データセットを構成する機能を有する、請求項18に記載の処理システム。
【請求項20】
前記処理ユニットはさらに、前記機械可読データセットを二個のマトリックスを形成する光学的に可読なバイナリコードに構成する機能を有する、請求項19に記載の処理システム。
【請求項21】
さらに、前記第1の受益者固有データサブセットが有効かどうか判定するために、前記第1の受益者固有データサブセットを一個以上の制御値と比較する、手段を含む、請求項18に記載の処理システム。
【請求項22】
さらに、前記受益者固有データセットが単一であるかどうかを判定するために、一個以上の記録を有する既製の自己真偽性確認物品のデータベースを検索するための手段と、および
単一性が確認された場合、前記受益者固有のデータセットを、前記既製の自己真偽性確認物品のデータベース中の少なくとも一個の記録中に挿入する手段、を含む、請求項18に記載の処理システム。
【請求項23】
さらに、前記出力端子に接続され、前記機械可読データセットを自己真偽性確認物品上に固定するための物品製造装置を備える、請求項18に記載の処理システム。
【請求項24】
前記物品製造装置はさらに、受益者固有データセットの少なくとも一部分を自己真偽性確認物品上に固定するための手段を備えているものである、請求項23に記載の処理システム。
【請求項25】
第2のデータサブセットのコード化されたものである第1のデータサブセットと、前記第2のデータサブセットからなるデータセットを受信する入力端子であって、この入力端子は処理ユニットに制御されて自己確認物品の表面を選択的に走査する手段を有するものと、
複数の処理システム命令を記憶するためのメモリ記憶装置と、
少なくとも一個の前記処理ユニット命令を検索し、実行することによって前記自己確認物品の真偽性を確認するための前記処理ユニットであって、この処理ユニットは前記コード化された第1のデータサブセットを解読する機能を有するもの、とから構成される、自己確認物品の真偽性を確認するための処理システム。
【請求項26】
さらに、前記解読された第1のデータサブセットを前記第2のデータサブセットと比較するための手段を含む、請求項25に記載の処理システム。
【請求項27】
さらに、前記自己確認物品の真偽性を示す出力信号を生成するための手段を含む、請求項26に記載の処理システム。
【請求項28】
前記処理ユニットは、さらに
前記受信したデータセットをディジタルビットマップイメージに変換し、および
前記ディジタルビットマップイメージを、第1の領域は前記コード化された第1のデータサブセットを含み第2の領域は前記第2のデータサブセットを含む、複数の領域に選択的に分割する機能を有している、請求項25に記載の処理システム。
【請求項29】
前記第1の領域および前記第2の領域はそれぞれバイオメトリックデータサブセットとを含み、さらに前記処理ユニットはさらに、前記第1の領域のバイオメトリックデータサブセットと前記第2の領域のバイオメトリックデータサブセットを第1のデータフォーマットに変換する機能を有しているものである、請求項28に記載の処理システム。
【請求項30】
前記第1の領域と前記第2の領域はそれぞれテキストデータサブセットを含み、さらに前記処理ユニットは前記第1の領域のテキストデータサブセットと前記第2の領域のテキストデータサブセットを第1のデータフォーマットに変換する機能を有するものである、請求項27に記載の処理システム。
【請求項31】
さらに、前記解読された第1のデータサブセットを表示する手段を備えた、請求項25に記載の処理システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−313534(P2006−313534A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79693(P2006−79693)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【分割の表示】特願平8−505945の分割
【原出願日】平成7年7月26日(1995.7.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(506058978)インターナショナル データ マトリックス,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】