説明

修飾された、活性成分を含有するペレット/カプセル

本発明は、植物又は植物種子にとって有利である活性成分の使用に関係する。より特には、本発明は、そのような活性成分が必要な植物又は植物種子に、活性成分を備えるための方法及び手段に関係する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば植物又は植物種子にとって、有利である活性成分の使用に関する。より特には、本発明は、活性成分を、例えばそのような活性成分を必要とする植物又は植物種子に、与える方法及び手段に関する。
【背景技術】
【0002】
活性成分を含有するペレットは、例えば国際公開第01/13722号パンフレットに開示されている。これらのペレットは当技術分野の問題のいくつかを解決するが、なお、他の活性成分ペレットについての要求がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、活性成分を含有する、代わりのペレット/カプセルを提供することにより、この問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのような活性成分を含有するペレット/カプセルは、後でより詳細に説明されるであろうように、典型的には圃場又は温室において、種子を含有するペレットと組み合わせられる。活性成分を含有するペレット/カプセルは、真正種子、苗若しくは(より成熟した)植物と組み合わせられてよく、又は、(ジャガイモ)塊茎又は植物切片又は球根又は根茎と組み合わせられてよい。ペレット化種子又は真正種子の場合、該種子は予措されてよく又は予措されなくてもよい。
【0005】
語「活性成分」は典型的に、植物又は植物種子にとって何らかのかたちで有利であるいずれかの成分を含むとして定義される。語「植物」又は「植物種子」は、ペレット化種子、真正種子、植物苗、根茎、植物切片又は、例えばジャガイモ塊茎又は球根のような植物部分を含む。活性成分の例は、殺菌性剤、殺バクテリア性剤、殺虫性剤(例えばRovral(商標)、Gaucho(商標)、Poncho(商標)(バイエル))、殺線虫性(Avicta(商標)(Syngenta))、殺生物剤、消毒剤、微生物、殺鼠剤、除草剤、誘因性剤、忌避剤、(ジベレリン酸、オーキシン又はサイトカインのような)植物成長調節剤、栄養素(硝酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄キレートのような微量栄養素及び/又は主要栄養素)、植物ホルモン、無機物、植物抽出物、ダニ駆除剤又は殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、発芽刺激剤、フェロモン、生物学的調製物等々である。
【0006】
語「活性成分を含有するペレット」、「ダミーペレット」又は「ダミーピル」、及び、「スマートペレット」又は「スマートピル」は、本明細書において交換可能に用いられるだろう。
【0007】
語「少なくとも1の活性成分」は、2、3、4又はさらに多い活性成分が存在する状況も含む。もし複数(例えば3)の活性成分が用いられるならば、それらは同じ種類から得られてもよく(例えば3つ全てが殺菌性剤)、又は、それらは活性成分の異なる種類から得られてもよい(例えば1つの殺菌剤及び2つの成長ホルモン、又は、1つの殺菌剤、1つの忌避剤及び1つの微生物)。
【0008】
第1の実施態様において、本発明は、液体媒体中に少なくとも1の活性成分を含有する、活性成分を含有するカプセルを提供し、ここで該活性成分は植物種子又は植物にとって有利である。
【0009】
カプセルは典型的には、該少なくとも1の活性成分の或る量を封入する(小さい)ゼラチン状の(又は任意の他の膜形成性物質の)入れ物として定義される。該カプセルは、柔らかくてもよく又は硬くてもよく、かつ、標準的な播種装置により植え付けられることができなければならない。そのようなカプセルは、膜形成性物質及び少なくとも1の活性成分を含有する。適当な補助剤は、希釈剤、潤滑剤、崩壊剤、結合剤又は着色剤である。
【0010】
活性成分を含有する現在利用可能なペレットは、それらが乾燥しており又は乾かされたペレットであり、そして従って、乾燥した環境若しくは乾燥された環境において安定でない活性成分又は流体としてだけ利用できる活性成分は、現在のところ容易に適用され得ない。この問題は、活性成分を含有するカプセルの使用により解決される。好ましくは、該液体媒体は油又は水である。更なる他の実施態様において、該液体媒体は、水に分散された油である。
【0011】
本発明のこの部分は例えば、レタスのうどん粉病(mildew)と戦うために用いられる。例えば、水溶液として存在する、うどん粉病に対して有効な実験的な活性成分。好ましくは、そのような活性成分を含有するカプセルは、該抗うどん粉病活性成分の放出を制御することが出来る成分も含有する。さらにより好ましくは、該放出は、成長する時期の大部分の間、好ましくは成長する時期の全部の間、該活性成分が放出されるようなものである。
【0012】
他の例は、活性成分としてのリゾビウム(Rhizobium)の使用である。リゾバクテリア(Rhizobacteria)は、マメ科植物のための窒素固定を助ける。この細菌は干ばつに耐えることができず、そして、0.95超の水分活性を有する泥炭組成物として供給される。リゾバクテリウム(rhizobacterium)を含有するカプセルは、クローバー、マメ、ルーサン又は大豆のような植物と一緒の使用にとって特に有利である。好ましくは、該カプセルはさらに、放出を制御することができる成分を含有し、そしてさらにより特には該リゾバクテリウムが発芽の開始において放出される。
【0013】
更なる他の例は、本発明に従う活性成分を含有するカプセル中における、活性成分としてのミコリザ菌類(Mycchoriza fungi)の使用である。
【0014】
他の例は、活性成分としてのセデモン(Cedemon)の使用である。この活性成分は、油中にシュードモナスバクテリアを含有する。シュードモナスを含有するカプセルは、好ましくはコムギと一緒に用いられる。さらにより好ましくは、そのようなカプセルが該シュードモナスの放出を制御することができる成分を備えられ、そしてさらにより好ましくは該放出が成長する時期の間中である。
【0015】
カプセルを調製する方法並びに所望の活性成分でカプセルを満たす為の方法は、医薬の分野においてよく知られている。
【0016】
さらに、本発明に従う活性成分を含有するカプセルはさらに、活性成分の放出を制御する手段を備えられうる。放出を制御することが出来る成分についての詳細は、後で提供されるだろう。
【0017】
さらなる他の実施態様において、活性成分の有効量は、活性成分を含有する少なくとも2(又はそれ以上)のカプセルに分配される。もし例えば種子当たり2のカプセルが用いられるならば、該活性成分は該カプセルに分配される。これは、有効性を大きくするために用いられる。もし病気圧が低いならば、農薬の有効量の50%を有する1のカプセルが用いられる。したがって、環境に対する負荷が減少される。
【0018】
他の実施態様において、本発明は、超吸収ポリマー(SAP)及び少なくとも1の活性成分を含有する、活性成分を含有するペレットを提供し、ここで該活性成分は植物種子又は植物にとって有利である。好ましい実施態様において、該SAPはコアの周囲に配置される。さらなる他の好ましい実施態様において、該SAPはコアとして存在する。
【0019】
さらにより好ましい実施態様において、該活性成分は非水性溶液/環境において安定である(例えば、粉/固相として安定である活性成分)。他の好ましい実施態様において、該活性成分は油中の活性成分である。
【0020】
超吸収材料は流体を保有することができる化合物であり、そして、天然ポリマー並びに合成ポリマーであってよい。SAPの例は、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、架橋ポリアクリレート、変性セルロースエステル及びスターチクラフト化(starchcrafted)架橋ポリアクリレートである。多くの種子ペレット化方法は1又は複数の段階において水の使用を含む。SAPはペレット化方法を妨げるだろうから、結論として、SAPは種子を含有するペレットに適用されえない。SAPの有利な、水を保有する効果を用いることができるようにするために、本発明は超吸収材料(SAP)と少なくとも1の活性成分を含有する、活性成分を含有するペレットを提供する。活性成分を含有するペレットは、(水の代わりに)溶媒により作成されてよく、そして従って、SAPは、活性成分を含有するペレットに適用されうる。好ましい実施態様において、該SAPはコアの周囲に設けられる。そのようなコアは、例えば生分解性又は不活性であってよい。不活性コアは典型的には、(発芽性)種子、苗、植物又は(塊茎のような)いずれかの植物部分に(いかなる方法においても)影響しない物質からなる。そのような不活性コアは好ましくは1以上の以下の特徴を有する:不活性コアは一般に微生物にとって栄養素の源ではなく、そして、より特には(植物)病原体にとって栄養素の源ではない、及び/又は、不活性コアはいかなる(植物)病原体も含有しない、及び/又は、特定のバッチ中の不活性コアは或る程度の均一性を有する、及び/又は、不活性コアは活性成分又は種子(又は苗又は植物(部分))と化学的相互作用を有することが出来てはならない。均一性の所望の程度は、製造されるべき、活性成分を含有するペレットに依存する。例えば、活性の薄層を有するコアだけを有する活性成分を含有するペレットの場合、コアは高度に、好ましくは90%超、そしてさらにより好ましくは95%超の均一性を有さなければならない。不活性フィラー物質により大きくされる小さなコアを有する、活性成分を含有するペレットの場合、コアの均一性は重要ではない。何故なら、均一性は、不活性物質によりペレット化される際に増加されるだろうからである(例えば図1〜4を参照されたい)。
【0021】
好ましい実施態様において、不活性コアは均一なサイズの球形構造であるが、均一なサイズ分布を有する他の形及び構造も同様に使用されうる。適当な例は1〜2mmの直径を有するガラスビーズである。しかしながら、適用に依存して(例えば、活性を含有するペレットが一緒に用いられるだろう種子のサイズに依存して)、より小さなビーズ(例えばタバコペレット)も用いられてよく、又はより大きなコアも用いられてよい。より好ましい実施態様において、不活性コアは多孔性である。
【0022】
さらなる他の実施態様において、用いられるコアは生分解性であり、例えば窒素コア(例えばKNO)である。
【0023】
さらなる他の好ましい実施態様において、該SAPはコアとして存在してよく、そして、活性成分は該コアの中又は周囲に配置される。好ましい実施態様において、SAPコアは、均一なサイズ、例えば0.1〜10mm、好ましくは1〜2mmの球形構造である。
【0024】
さらなる他の実施態様において、本発明はSAPを含有するペレット提供する。やはり、該SAPは(例えば生分解性又は不活性)コアの周囲に設けられてよく、又は、該SAPはコアとして存在する。
【0025】
好ましくは、SAPを含有するペレットは、種子を含有するペレット並びに活性成分を含有する第1の(及び第2の)ペレットを一緒に、第2又は第3のペレットとして用いられる。
【0026】
当技術分野の当業者は、澱粉、ポリサッカライド、ポリビニルアルコール、アセテート、アクリレート、ポリウレタン等のようなポリマー系により、rotostat装置上又はパンコート(pan coat)装置中又は流動層システム中での膜被覆のような、標準的な既知の技術により、活性成分を含有するペレットを調製する方法を非常によく知っている。例えば、粘土、パーライト、珪藻土、石英、セルロース、バーミキュライト、マイカ等のような、種子被覆事業において一般に用いられるフィラー物質により、公知のペレット化技術により、活性成分を含有するペレットは調製されうる。
【0027】
既に議論されたように、コアの複数のタイプ、例えば不活性コア又は生分解性コア又は死んだ/殺された種子コアが用いられうる。
【0028】
さらなる他の実施態様において、コアとしての微生物の塊と少なくとも1の活性成分を含有する、活性成分を含有するペレットを本発明は提供し、ここで該活性成分は植物種子又は植物にとって有利である。これは、種子を含有するペレット上で生き抜かない(又は十分長く生き抜かない)微生物にとって特に有利である。標準的には、種子を含有するペレットは予め調製され、そして、少なくとも数週間又は数ヶ月の間保存されるだろう。好ましい実施態様において、該微生物の塊は凍結乾燥される。一般における微生物の増殖及び材料の塊としての微生物の増殖は、当技術分野においてよく知られている。微生物が塊として増殖しないだろう場合、該微生物の一緒の塊化を促進する成分を培地に添加することが可能である。これは例えば、小さな粒子(好ましくは不活性又は生分解性、かつ、球形の構造)であって、粘着性の表面を有しかつ該粒子に微生物が付着することを促進する前記粒子を備えることにより、可能である。微生物の作られた塊がいずれも球形構造を有さない場合、これは、該微生物の(凍結乾燥された)塊を磨くことにより、達成されうる。好ましい実施態様において、コアとして用いられた微生物は、少なくとも2の活性成分、すなわち該微生物並びに他の活性成分、が存在する場合において、植物又は植物種子に対して有利な効果を有する。
【0029】
植物種子にとって植物毒性である活性成分(すなわち、例えば発芽を負に阻止する活性成分)は活性成分を含有するペレットとして、種子を含有するペレットと別個に適用されている。
【0030】
更なる実施態様において、本発明は1構造物としてのそれら、すなわち少なくとも1の種子、被覆及び少なくとも1の活性成分を含有する、活性成分と種子とを含有する構造物を提供し、ここで該活性成分は活性成分を含有するペレットとして存在する。好ましい実施態様において、該構造物は、内側から外側に、少なくとも1の種子、該種子の周囲の被覆、及び活性成分を含有する少なくとも1のペレットとして配置され、ここで該ペレットは該被覆周囲又は該被覆中に配置される。さらにより好ましい実施態様において、該活性成分は植物種子に植物毒性である。
【0031】
活性成分と種子とを含有するそのような構造物を利用できることは精密な播種を改善する。何故なら、全ての構造物は活性成分の必要な量を含有するように設計されるからである。
【0032】
好ましい実施態様において、該種子はマルチシードである。そのようなマルチシードは種子の塊を形成する種子の1対からなってよく、又は、そのようなマルチシードは例えば不活性コアの周囲に配置された種子の1対を含有してよく若しくはより大きな(殺された)種子の周囲に配置されたより小さな種子の1対を含有してよい。
【0033】
さらなる他の実施態様において、本発明は、特定の病原体(例えば菌類)にとっての栄養素の源並びに該特定の病原体に対して向けられた農薬(この例においては殺菌剤)を含有する、活性成分を含有するペレットを提供する。好ましくは、栄養素の源は、該ペレットの外側に配置され、そしてそれにより(もし利用できるならば)該病原体を引き付ける。さらにより好ましくは、農薬は栄養素の源の下に配置され、そして、病原体が栄養素の源を食べ始めたときに放出される。このように、農薬は病原体が存在する場合に放出されるのみであるだろう(そして結果として病原体は殺されるだろう)、そして、環境はいかなる不必要な農薬により汚染されないだろう。
【0034】
上記の修飾された、活性成分を含有するペレット(活性成分を含有するカプセル、又は、活性成分を含有するペレット、又は、活性成分と種子とを含有する構造物)のいずれもが、該活性成分の放出を制御することのできる少なくとも1の成分を含有することにより更に修飾されうる。そのような成分は、所望の時点で少なくとも1の活性成分を放出するために用いられる。異なる活性成分は異なる放出時を必要としうる。例えば、もし活性成分の少なくとも1が、花の発生及び/又は種子の発生に必要である又は花の発生及び/又は種子の発生を改善する微量栄養素であるならば、そのような活性成分は好ましくは、対応する植物の発生の後の時点で、活性成分を含有するペレットから放出される。又は、もし活性成分がリン酸塩のような主要栄養素ならば、これは好ましくは植物の成長/発生の始めに放出される。農薬の放出の選択は主として、対峙される必要のある害虫の種類に依存する。もし、害虫が植物の成長の早期の段階で活性ならば、農薬は好ましくは早期の時点で放出され、そして、もし害虫が植物の成長の後期の段階で活性ならば、農薬は好ましくは後期の時点で放出される。
【0035】
当業者は、適当な成分を用いることにより、放出パターンの種々のタイプが得られうることを知っている。バースト放出又は遅延された放出又はゆっくりとした放出又は制御された放出又は徐放性の放出又は延長された放出のような放出パターンが実行可能である。種々の放出パターンは典型的には以下のように定義される:
−ラグバースト(lag burst)は、当初はほとんど放出が無い又は放出が無く、そのうちに、短時間にわたる突然の強力な放出により続かれる、として定義される
−遅延された又は徐放性は、遅延されないが、放出の開始が延期されるような放出パターンを示す、として定義される
−ゆっくりとしたは、開始から非常にゆっくりとした放出として定義され、典型的には長期間にわたる
−制御されたは、所望の時間にわたり所望の水準に従い操作される放出として定義される。
【0036】
放出パターンの例は、本明細書において実験の部において提供される。
【0037】
放出される活性成分は、(例えば多孔性の(不活性)コアの場合)コアから生じてよく、または、該コアの周囲に配置された被覆から生じてよい。さらに、もし1より多い(例えば2又は3)活性成分が、活性成分を含有するペレット又は種子を含有するペレットに存在するならば、該活性成分は異なる放出パターンを有する異なる層に、該ペレット上に被覆/ペレット化されてよい。例えば、活性成分を含有するペレットは、少なくとも2の農薬を含有し、農薬の1つは種子の発芽の間に必要とされ、そして、第2のものは植物の発生後3週間で必要とされる。従って、ペレットは少なくとも2の放出層を含む:発芽の間に第1の農薬を放出するものと、約3週後に第2の農薬を放出する他方のもの。所望の異なる放出パターンを示す、活性成分を含有する異なるペレットを備えることにより、異なる放出パターンも得られる。
【0038】
さらに、農薬の放出は治療的又は予防的であってよい。予防的な放出の場合、活性成分が確実に必要であるかどうか知ること無く(すなわち病気が存在するかどうか知ること無く)活性成分は放出され、そして、治療的な放出の場合、病気の存在が、非常にありそうであるか又は確認されている。他の活性成分(例えば栄養物)についても、放出は治療的又は予防的であってよい。
【0039】
或る放出パターンを確立する為に用いられる成分は、適当な成分に関してだけでなく、濃度の点及び層の厚さに関しても、注意深く選択されることが、当業者に明らかである。用いられる成分は、エチルアクリレートコポリマー(Eudragit, Degussa)、ポリウレタン、ポリビニルアセテートポリマー及びコポリマー、ポリ乳酸、ポリアクリルアミドに基づくポリマー、実質的に無水の重合反応により作成されるヒドロゲル等の群からのものであってよい。
【0040】
放出被覆は、既に上記で述べられた標準的な被覆/ペレット化技術により備えられる。
【0041】
種子を被覆/ペレット化に付する前に種子を消毒することが必要な場合、そのような消毒は、化学的若しくは生物学的消毒又は熱水処理又は蒸気処理のような当業者に既知の方法により実施されうる。
【0042】
何らかの活性成分を含有するカプセル又は何らかの活性成分を含有するペレットも好ましくは、種子を含有するペレット(又は真正種子)と一緒に適用されるが、活性成分を含有するカプセル/ペレットは、ジャガイモ塊茎のような植物部分若しくは球根と一緒に、又は植物切片若しくは根茎と一緒に用いられてもよい。さらに、本発明に従う活性成分を含有するカプセル又は活性成分を含有するペレットは、植物が1の成長媒体から他の成長媒体へと(例えば土壌タイプaから土壌タイプbへと)移されたときに用いられてもよい。
【0043】
他の実施態様において、説明された、活性成分を含有する1〜10のカプセルを、又は、説明された、活性成分を含有する1〜10のペレット(又はそれらの任意の組み合わせを)と、種子を含有する少なくとも1のペレットとを一緒に、土壌に適用することを含む、種子を含有するペレットの発芽を改善する方法を本発明は提供する。さらなる他の実施態様において、説明された、活性成分を含有する少なくとも1のカプセルを、又は、説明された、活性成分を含有する少なくとも1のペレットと種子を含有する少なくとも1〜10のペレットとを一緒に適用することを含む、種子を含有するペレットの発芽を改善する方法を本発明は提供する。種子を含有するペレットの発芽を改善する方法の代わりに、真正種子の発芽を改善する為、又は、根茎若しくは塊茎若しくは球根若しくは植物切片の成長を改善する為にも、そのような方法は用いられる。先に述べられた見解の観点において、そのような方法が植物の成長を改善するために用いられうることも明らかである。そのような場合、1の植物は、活性成分を含有する1又は複数のペレット/カプセルを、例えば該ペレット/カプセルを土壌中に置くことにより、備えられる。さらに、活性成分と種子とを含有する構造物の場合、この構造物は、活性成分を含有する少なくとも1のペレットと組み合わせられうる。
【0044】
好ましい実施態様において、該種子を含有するペレット又は該活性成分と種子とを含有する構造物はマルチシード(multiseed)である。そのようなマルチシードは、種子の塊を形成する1対の種子からなってよく、又は、そのようなマルチシードは、例えば不活性コアの周囲に配置された1対の種子若しくはより大きな(殺された)種子の周囲に配置されたより小さな1対の種子を含有しうる。
【0045】
もし種子を含有するペレット当たり又は活性成分と種子とを含有する構造物当たり、活性成分を含有する1より多いペレット/カプセルが用いられるならば、該活性成分を含有するペレット/カプセルは同一であってよく又は異なってよい(例えば、特定の農薬の量において異なる、又は、活性成分の種類において異なる、例えば、1のペレットは農薬を含みかつ他はホルモン等を含む等)。活性成分を含有する異なるペレット/カプセルを用いるだろうところの他の例は、例えば2の活性成分が不相容性かどうか(そして従って同一のペレットに存在できない)又は異なる放出パターンが望まれるかどうか、である。
【0046】
これらの方法の利点の一つは、柔軟性の大きさである。例えば、(活性成分として)農薬を含有するペレットの量についての選択は、実際の害虫圧についてなされる;ペレット化種子は予め調製され、そして、実際の害虫圧に依存して、農薬を含有するペレットがどのくらい適用されるかが決定される。
【0047】
本発明はさらに本発明に従う方法を提供し、ここで、活性成分を含有するペレット/カプセルの少なくとも一部が、種子を含有するペレットの適用後(又は活性成分と種子とを含有する構造物の適用後)に適用され、又は、活性成分を含有するペレットが土壌の上に適用される。これはやはり多くの柔軟性を導入する。何故なら、活性成分を含有するペレットが、種子を含有するペレットと(又は活性成分と種子とを含有する構造物と)同時に適用されてよく、並びに、種子を含有するペレット(又は活性成分と種子とを含有する構造物)の播種に先立ち又は播種後に、適用されてよいからである。さらに、活性成分を含有するペレットの所望の使用に依存して、それは土壌中及び土壌上に配置されうる。例えば、活性成分としてカタツムリ忌避剤又は鳥類忌避剤を含有する、活性成分を含有するペレットが圃場の上に配置される。好ましくは、活性成分を含有するそのようなペレットは、種子ペレットの外観を有する。
【0048】
本発明は、本発明を限定しない、以下の実施例において、より詳細に説明されるだろう。
【0049】
実験の部
実施例1
【0050】
私たちは、標準的な種子被覆装置により、100,000ペレット当たり200グラムのGaucho(ガウチョ)70WS(バイエル)を有する、死んだアブラナ属種子のスマートペレットを製造した。これらのアブラナ属スマートペレットは、Croda Bowmans Chemicals LtDにより提供されるポリ乳酸に基づくポリマー系のいくつかの層により膜被覆された。これらスマートペレットは、試験場による圃場試験において試験される(実施例2を参照されたい)。
【0051】
この実験は、ポリ乳酸ポリマーによりイミダクロプリドの放出を制御することが可能かどうか、何らかの洞察を与えることが意図される。さらに、イミダクロプリドのラグバースト放出は、白キャベツにおけるアザミウマの防除を改善するだろうか?
【0052】
種子は、ロータリーコーター上でペレット化された。活性成分の割合は140g a.c./100,000種子である。
【0053】
全てのスマートペレットタイプの放出は、水中でそして植物の成長段階の間に、夫々のスマートペレットタイプからの試料を得ることにより測定される。圃場試験は試験場により実施された(実施例2)。
【0054】

【0055】
層の厚さは、ポリマー/ペレットの量として定義される。
【0056】
図1は、水中でのダミーからのイミダクロプリドの放出を開示する。
【0057】
図2は、圃場での放出により続かれる、植物栽培者での温室中でのダミーからのイミダクロプリドの放出(最初の4週間)を開示する。
【0058】
ダミーペレットからのイミダクロプリドの放出は、用いられた被覆により遅められることが、図1及び2から明らかである。この技術により、全部の成長時期の間に活性成分を放出することが、実行可能である。
【0059】
この実験は繰りかえされ、そして、類似の結果が繰返し得られた。
【0060】
実施例2
【0061】
実施例4において調製されたイミダクロプリドペレットの有効性が、白キャベツ中のアザミウマの防除についてのそれらの効果について試験された。
【0062】
以下の対象物が試験され、そして、比較された:
【0063】

【0064】
試験の設定

【0065】

【0066】
残念ながら、害虫圧は、(気候の故に)非常に低かった。いずれの農薬も無い対照は、季節の終わりにおいて、1玉当たり18のアザミウマだけ有したが、一方、より良い害虫圧を有した実施例3において対照の玉は、1玉当たり48のアザミウマを有した。
【0067】
実施例3
【0068】
白キャベツ中のアザミウマの防除についての他の実験において、種子を含有する1のペレット当たり、活性成分を含有する1より多いペレットの使用が、害虫のより良い防除をもたらすことが示された。さらに、この実験は、種子を含有するペレット当たり、活性成分を含有する1のペレットの有効性をも明らかにした。この試験の設定は、実施例2において記載されたものと同じであった。
【0069】
表は、この試験の結果を与える。実施例2の対照は18だけ有したが、この試験における対照は、1玉当たり48のアザミウマを有した。
【0070】

【0071】
この試験のデータは、1つのスマートペレットがすでにより低い害虫発生をもたらすことを明白に示す。害虫の防除は、植物当たり2つのスマートペレットを用いることによりでさえ増加され得た。許容される土壌灌注適用の3.5mg/植物よりもなお低い、植物当たり1.4から2.8mgに、活性成分の割合は上昇されたが、保護は同様である。
【0072】
本発明は上の実施例において述べられた実施態様に限定されない。それらは多くのやり方に変更されてよく、全てが、添付された請求項の範囲内とみなされる。
【0073】
実施例4
【0074】
更なる他の実験において、スマートペレットは、種々の殺虫剤を用いて製造された。同じ実験において、いわゆるニュートリスマートが製造された。ニュートリスマートの様々な種類、例えば、コアとして少なくとも1の栄養素を含有するニュートリスマートであって、他の活性成分、例えば、農薬、他の栄養素又はそれらの組み合わせをさらに備えられる前記ニュートリスマートを、本発明は提供する。さらなる他の実施態様において、本発明は、コアとして死んだ種子又は不活性コアを含有するニュートリスマートを提供し、ここで該ニュートリスマートは少なくとも1の栄養素をさらに含有する。
【0075】
この実施例は、次のニュートリスマートを提供する。
−ニュートリスマートは好ましくは生分解性コア、例えばKNOコアを有する。KNOペレットは、市販で入手されうる。この実施例において、KNOコアは、最初に被覆され、そして次に、該被覆されたコアに活性成分をスプレーすることにより該活性成分を備えられた。しかしながら、該活性成分は被覆層に添加されてもよく、又は、任意の他の更なる被覆層中又は被覆層上に添加されてもよい。該活性成分は該コアに直接に適用されてもよい。
−更なる他の好ましい実施態様において、本発明は、コアとして死んだ種子を含有し、そして、少なくとも1の栄養素により被覆されるニュートリスマートを提供する。更なる他の好ましい実施態様において、後に記載されるニュートリスマートは、少なくとも2の栄養素を備えられる。
【0076】
この実験はさらに、エンダイブ並びに花により得られた結果を記載する。
【0077】

【0078】
製造された種々のニュートリスマートの効果を試験するために、エンダイブロットが、16℃温室中で4週間、肥料なしの鉢植え用の土で成長された。図3は、肥料なしの鉢植え用の土で28日間、温室状況におけるエンダイブ苗の成長(新鮮植物重量として測定された)についてのニュートリスマートの効果を開示する。図3は、植物当たりの平均新鮮重量として測定された、施肥されていない土での、エンダイブ苗の成長に対するニュートリスマートの効果を示す。驚くべきことに、コアとしてKNOを有するニュートリスマート、及び、不活性コア又は死んだ種子コア上に海藻及びリン酸カリウムを有するニュートリスマートの組み合わせが顕著な結果を与えた。
【0079】
この実施例のスマートペレットは、病気検定設定において試験された。3つの異なる殺虫剤SMARTが、アザミウマ及びアブラムシの防除を試験するために、2つの異なる花作物に適用された。
【0080】
3つの殺虫剤全てがアザミウマを防除するが、イミダクロプリドがアブラムシ防除において最も良い結果を示す。
【0081】

【0082】
実施例5
【0083】
この実施例は、コアとして死んだエンダイブ種子を含有するスマートペレットと少なくとも1又は2(いわゆるマルチスマート)の活性成分とが組み合わせられたエンダイブ種子、又は、KNOコアを有するニュートリスマートとの組合せにより得られる結果を与える。該ニュートリスマートは、さらに少なくとも1の農薬及び/又は少なくとも1の栄養素を備えられる。この実施例はさらに、活性成分を種子ペレットとスマートペレットとに分けることの効果を示す。
【0084】

【0085】
注釈 70WS及び600FSは、用いられたイミダクロプリド組成物を言う。Methiocarb(メチオカーブ)は、カタツムリ忌避剤である。
【0086】
これらの種子は、以下の表に概説されるように試験された。
【0087】

【0088】
以下の結果が得られた。
【0089】

【0090】
種子とスマートへの該活性の分割は、該活性がスマートにだけ適用される場合よりも、わずかによい防除を与えるようであることを、エンダイブ処理は示す。夏は乾燥していたので、マルチスマートによって軟体動物の防除に対するメチオカーブの効果を示すことは出来なかった。
【0091】
ベビーリーフレタスにより、1のスマートが1より多い種子(この場合は4)に適用される場合、該スマート上活性成分が原理上は1の種子についてだけ十分であるけれど、スマート技術が成功しうることを私たちは示した。
【0092】
図面の説明
【0093】
図1は、水中でのダミーからのイミダクロプリドの放出を開示する。
【0094】
図2は、圃場における放出により続かれる、(最初の4週の)植物栽培者での温室におけるダミーからのイミダクロプリドの放出を開示する。
【0095】
図3は、施肥されていない鉢植え用土での28日間の、温室状況におけるエンダイブ苗の成長(新鮮植物重量として測定された)についての、ニュートリスマートの効果を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、水中でのダミーからのイミダクロプリドの放出を示すグラフである。
【図2】図2は、圃場における放出により続かれる、(最初の4週の)植物栽培者での温室におけるダミーからのイミダクロプリドの放出を開示する。
【図3】図3は、肥料なしの鉢植え用の土で28日間、温室状況におけるエンダイブ苗の成長(新鮮植物重量として測定された)についてのニュートリスマートの効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分を含有するカプセルであって、液体媒体中の少なくとも1の活性成分を含有し、該活性成分は植物種子又は植物にとって有利である、前記カプセル。
【請求項2】
該液体媒体が油である、請求項1に記載の活性成分を含有するカプセル。
【請求項3】
該液体が水である、請求項1に記載の活性成分を含有するカプセル。
【請求項4】
活性成分を含有するペレットであって、超吸収ポリマー(SAP)及び少なくとも1の活性成分を含有し、該活性成分が植物種子又は植物にとって有利である、前記ペレット。
【請求項5】
該SAPがコアの周囲に配置されている、請求項4に記載の活性成分を含有するペレット。
【請求項6】
該SAPがコアとして存在する、請求項4に記載の活性成分を含有するペレット。
【請求項7】
活性成分を含有するペレットであって、コアとしての微生物の塊及び少なくとも1の活性成分を含有し、該活性成分が植物種子又は植物にとって有利である、前記ペレット。
【請求項8】
該微生物の塊が凍結乾燥されている、請求項7に記載の活性成分を含有するペレット。
【請求項9】
活性成分と種子とを含有する構造物であって、少なくとも1の種子、被覆及び少なくとも1の活性成分を含有し、該活性成分が、活性成分を含有するペレットとして存在する、前記構造物。
【請求項10】
該構造物が、内側から外側に、少なくとも1の種子、該種子の周囲の被覆及び活性成分を含有する少なくとも1のペレットとして配置されており、該ペレットが該被覆の周囲又は中に配置されている、請求項9に記載の活性成分と種子とを含有する構造物。
【請求項11】
該活性成分の放出を制御することができる少なくとも1の成分をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性成分を含有するカプセル、又は、請求項4〜8のいずれか1項に記載の活性成分を含有するペレット、又は、請求項9又は10に記載の活性成分と種子とを含有する構造物。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の、活性成分を含有する1〜10のカプセル、又は、請求項4〜8のいずれか1項に記載の、活性成分を含有するペレット、又は、請求項9又は10に記載の、活性成分と種子とを含有する構造物を、種子を含有する少なくとも1のペレットと一緒に、土壌に適用することを含む、種子を含有するペレットの発芽を改善する方法。
【請求項13】
活性成分を含有する少なくとも1のペレットと、1〜10を含有するペレットに適用することを含む、種子を含有するペレットの発芽を改善する方法。
【請求項14】
該種子を含有するペレットがマルチシードである、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
活性成分を含有するペレットの少なくとも一部が、種子を含有するペレットを適用した後に適用される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−518391(P2009−518391A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544275(P2008−544275)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/NL2006/000621
【国際公開番号】WO2007/067044
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(501120742)インコテック インタナツィオナール ベー.フェー. (3)
【Fターム(参考)】