説明

値下げラベル

【課題】商品の元価格および商品の内容を示す情報が印字されたタグ(下げ札)に貼付する値下げラベルに関し、特にタグに印字された情報を隠すことなく貼付できる値下げラベルを提供する。
【解決手段】粘着剤を有するラベル20を台紙に仮着した値下げラベル1であって、台紙はラベル20の粘着剤に接する面に設けられた剥離剤を有し、スリットによって剥離可能な剥離片11と値下げ情報13が印字された表示片12に区画されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品価格の値下げに使用するラベルに関し、特に商品に取り付けられ、商品価格が印字されたタグ(下げ札)に貼付する値下げラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から商品の販売促進を目的として時間帯割引などで「半額」や「30%OFF」等の値下げ情報を印刷した値下げラベルを貼付し、商品価格の値下げが行われている。このような値下げによる販売促進において、タグ(下げ札)に印字された商品の元価格情報に重ねて、値下げ後の値下げ価格情報を印字したラベルをタグに貼付することで行われている。
商品の元価格を表示したラベルが貼付された商品に値下げ価格情報を表示した値下げラベルを貼付することで販売促進を目的とした値下げ方法が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−43918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、衣料品等の価格を表示するものとして一般的にタグ(下げ札)が用いられ、厚紙のタグの上方に形成された孔に紐などで輪を形成し、この紐を衣料品のボタンなどに吊り下げる方法がとられている。一般的に商品の割引は、特許文献1のように割引額を印字したラベルを貼付することで行われており、タグが吊り下げられた衣料品の割引においてもこのような値下げラベルが用いられている。しかしながら、タグの印字領域は限られたスペースしかなく、タグには商品に関する情報(例えば商品の名称やサイズ、色、元価格など)が印字され、何も印字していない余白スペースは狭く、タグ表面に値下げラベルを貼付するとこれらの情報を値下げラベルで隠してしまうという問題があった。
本発明は、商品に関する情報が印字されたタグに貼付するラベルに関し、特にタグの情報を隠さずに貼付できる値下げラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
粘着剤を有するラベルを台紙に仮着した値下げラベルであって、前記台紙は前記ラベルの粘着剤に接する面に設けられた剥離剤を有し、切離し部によって剥離片と値下げ情報が印字された表示片に区画されていることを特徴とする。
前記台紙の表示片には感熱発色層が形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
剥離片を剥すことによって表出する粘着剤と表示片に印字された値下げ情報が同一平面上に現れるので、タグの印字反対面に貼付することでタグの商品情報と値下げラベルの値下げ情報を視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施の形態に係る値下げラベルの平面図であり、図1(a)は、値下げラベルの一方側からみた平面図で、図1(b)は値下げラベルの他方側から見た平面図である。図2は、図1におけるA−A線上の断面図で、図3は、値下げラベルを複数連接させロール状に巻回したロール紙の斜視図である。
値下げラベル1は、ラベル基材2と粘着剤3からなるラベル20と、剥離剤4と台紙基材5からなる台紙21を有しており、図2に示すように上層から順に積層されたラベル基材2と、粘着剤3と、剥離剤4と、台紙基材5を有している。
ラベル基材2には、図示しないプリンタによって台紙基材5上の適正な位置に印字するための位置を検出するための検出マーク6がラベル基材2の幅方向両端に設けられている。
粘着剤3は、ラベル基材2の一面に塗布されており、この粘着剤3により後述するタグ30に値下げラベル1を貼付可能としている。
剥離剤4は、台紙基材5上に塗布したシリコンであり、ラベル20の粘着剤3と接し、後述する剥離片11を剥離可能に仮着している。
台紙基材5は、印字適正に優れた材質で構成され、長手方向に直交する方向に一端部から他端部まで形成されたスリット7(切離し部)が形成されている。また、台紙21は、そのスリット7を境にして面積の狭い剥離片11と、スリット7を境にして剥離片11よりも面積の広い表示片12を有する。また、図3に示すように切離しミシン目8を介して値下げラベル1を複数連接させたラベル連続体9をロール状に巻回したロール紙10として形成され、図示しないプリンタで印字搬送できるようになっている。図3のロール紙10は、ラベル20を外周側とし、台紙21を内周側として巻回されている。尚、ラベル連続体9に切離しミシン目8を形成せずにプリンタのカッタで切断するようにしても良い。
【0009】
図4は、値下げ情報を印字したラベル連続体の平面図で、図5は値下げラベルの貼り付け工程を説明する説明図である。図示しないプリンタの入力部から入力した情報またはプリンタに接続されたコンピュータからコマンド送信された情報に基づき台紙基材5に印字を行う。例えば、インクリボンを備えたプリンタが使用され、サーマルヘッドにより加熱され溶解したインクリボンのインクを台紙基材5の表示片12に転写させることにより図4に示すように台紙基材5に値下げ情報13が印字される。また、インクリボン以外の方法で印字しても良く、例えば台紙基材5の剥離剤4の反対側の面の表示片12に所定の熱を加えると発色する感熱発色層を設けて印字しても良い。また、この感熱発色層を異なる温度帯で発色する2色(例えば赤と黒)または3色以上の複数色の感熱発色層で構成し、値下げ情報がより一層目立つように印字しても良い。図4における値下げ情報13は、「この用品は表示価格より レジにて 半額」という内容にしたが、これに限るものではなく「30%OFF」「500円引き」等の割引情報や値下げ後の価格情報やバーコードであっても良く、この割引情報や値下げ後の価格情報に加えて「割引セール期間28日土曜日まで」等のセール期間情報等を印字しても良い。
【0010】
上述したように値下げ情報を印字した値下げラベルをタグに貼付する方法について説明する。印字されたラベル連続体9から値下げラベル1を図4に示す切離しミシン目8から切離し、図5に示すように台紙21の一部である剥離片11を取り除く。剥離片11を取り除くことによってラベル20の粘着剤3が部分的に表出するのでこの表出した粘着剤3によってタグに値下げラベル1を貼付する。
【0011】
図6は、値下げラベルをタグに貼付した状態を示す平面図で、図6(a)はタグの印字面側から見た平面図で、図6(b)はタグの印字面とは反対の面からみた平面図である。図6に示すようにタグ30は、衣料品等の商品に吊り下げるための紐31を通す孔32が形成され、印字面に商品情報33が印字されている。商品情報33は、商品の内容情報、元価格情報、バーコード等からなり、この商品情報33は図示しないプリンタにより印字されている。例えば、図6に示す本実施の形態の商品は、服などの衣料品を想定しており、その商品の内容情報として「No.123456789」との商品管理番号と、「SIZE M COLOR B」として服のサイズがMで色が青(Blueの頭文字)であることを示す情報と、「毛50%アクリル50%」としてその服の材質に関する情報が印字されている。また、元価格情報として「¥1980」の消費税込みの総額が印字されている。バーコードは、商品管理番号等が記憶されており、このバーコードをPOSレジに接続されたスキャナで読取り、商品の価格情報が記憶されたストアコントローラから価格情報を問い合わせるシステム構成となっている。
【0012】
以上のようなタグ30の商品情報33が印字されていない側の面に値下げラベル1を貼付する。剥離片11を取り除く事で表出した粘着剤3によりタグ30の印字面とは反対側の面に貼付することで、タグ30の商品情報33と値下げラベル1の表示片12に印字した値下げ情報13を同一方向から視認することができるようになる(タグの印字面と値下げラベルの表示片が同一平面上にあらわれる)。このように値下げラベル1の貼付する面をタグ30の印字面とは反対側の面とすることにより、タグ30の商品情報33を隠すことなく、値下げラベル1を貼付することができる。
また、台紙基材5に値下げ情報13を印字することによって、剥離片11を剥す事によって表出する粘着剤3と値下げ情報13が同一平面状に存在するので、そのままタグ30の印字面とは反対側の面に貼付するとタグ30の商品情報33と値下げラベル1の値下げ情報13を同一方向から視認することができる。
【0013】
また、図7は、他の実施の形態を示す値下げラベル50の平面図である。前述した実施形態と異なる点は単位ラベル毎にラベルを型抜きしたもので、ラベル基材上の検出マークが存在しない点である。図7(a)は、値下げラベル50の一方側からみた平面図で、図7(b)は値下げラベルの他方側から見た平面図で、図8は、図7におけるB−B線上の断面図である。
【0014】
値下げラベル50は、ラベル基材51と粘着剤52からなるラベル70と、剥離剤53と台紙基材54からなる台紙71を有しており、図8に示すように上層から順にラベル基材51、粘着剤52、剥離剤53、台紙基材54が積層されている。
ラベル基材51は、印字適正に優れた材質から構成され、台紙基材54よりも幅方向および長手方向が短く面積が狭く構成されている。
粘着剤52は、ラベル基材51の一面に塗布されており、この粘着剤51によりタグ30に値下げラベル50を貼付可能としている。
剥離剤53は、台紙基材54上に塗布したシリコンであり、ラベル20の粘着剤52と接し、後述する剥離片56を剥離可能に仮着している。
台紙基材54は、ラベル基材51と同様に印字適正に優れた材質で構成され、長手方向に直交する幅方向の一端部から他端部にわたって形成されたスリット55(切離し部)が形成されている。また、台紙71は、そのスリット55を境にして後述の表示片57よりも面積の狭い剥離片56と、スリット55を境にして剥離片56よりも面積の広い表示片57を有する。また、図示しないが長手方向に連続にした台紙71上に複数のラベルを長手方向に並べて仮着したラベル連続体をロール状に巻回したロール紙として形成され、図示しないプリンタで印字搬送できるようになっている。ラベル連続体から図示しないプリンタのカッタによって一単位毎の値下げラベル50に切離し可能としている。尚、台紙上に仮着されたラベルと次のラベルの間に切離しミシン目を形成し、カッタを用いずに人手で切断できるように構成しても良い。
【0015】
プリンタの構成としては、発光素子と受光素子がラベル連続体を挟んで対向するように設けた透過センサによる透過率の差によって台紙71またはラベル70の位置を検出し、これを元に適正な位置で印字し切断を行う。すなわち、ラベル70が台紙71に仮着されている部分はラベル70と台紙71の2層の基材が存在するため、発光素子から出射された光の透過率が低く、受光素子で受光する光の量が少ない。また、台紙71にラベル70が仮着されていない部分(ラベルと次のラベル間の隙間位置)は、1層の基材のみであるため発光素子から出射された光の透過率が高く、受光素子で受光する光の量が多いこととなり、この光の透過率の差によって台紙71またはラベル70の位置を検出する。
【0016】
図9(a)は、台紙基材54の表示片57に値下げ情報を印字した値下げラベル50の一方の面から見た平面図で、図9(b)は剥離片56を除去した状態の値下げラベル50の平面図である。印字においてはインクリボンを用いたり、例えば表示片57に感熱発色層を設けて値下げ情報58を表示片57に印字し、図9(a)に示すように一単位の値下げラベル50としてカッタにより切断される。
【0017】
また、この値下げラベル50をタグ30に貼付するには図9(b)に示すようにスリット55に沿って剥離片56を取り除き、ラベル70の粘着剤52を部分的に表出させ、タグ30の商品情報33が印字されていない面(印字面とは反対の面)に貼付する。このように値下げラベル50の貼付する面をタグ30の印字面とは反対側の面とすることにより、タグ30の商品情報33を隠すことなく、値下げラベル50を貼付することができ、タグ30の商品情報33と値下げラベル70の表示片57に印字した値下げ情報58を同一方向から視認することができる。
【0018】
台紙基材54の表示片57のみに値下げ情報58印字した例を説明したが、これに限定せず表示片57と共にラベル基材51にも値下げ情報58を印字することもできる。図10は、ラベル基材51側と台紙基材54の表示片57に値下げ情報58をそれぞれ印字した値下げラベル50をタグ30に貼付した平面図を示し、図10(a)に示すようにタグ30の印字面から見た平面図で、図10(b)はタグ30の印字面と反対の面から見た平面図である。このように、値下げ情報58をタグ30の印字面および印字面と反対の面から視認可能とすることによって、紐31で不安定な状態で吊り下げられたタグ30が風などで回転して裏返っても商品が値下げ対象商品であることを確認することができ、販売機会を逃すことがない。
【0019】
ところでプリンタで値下げラベル50の表示片57とラベル基材51に印字する方法について説明する。図11はプリンタ本体内部の状態を簡略的に説明するための図で、図11(a)は台紙基材54の表示片57に印字する際においてロール紙をプリンタに装填した状態を示す概略斜視図、図11(b)はラベル基材側に印字する際においてロール紙をプリンタに装填した状態を示す概略斜視図である。
図11(a)に示すようにプリンタは、ロール紙を回転可能に保持する供給部としての保持軸73と、保持軸73に装填されたロール紙から引き出されたラベル連続体の表面を押える補助ローラ74と、補助ローラ74の搬送方向下流側に設けられた印字部75を有している。保持軸73には軸方向にスライド可能なガイド76が設けられており、このガイド76によってロール紙の側面を規制している。印字部75は、発熱体を有するサーマルヘッド77と、図示しないモータに接続されて反時計方向に回転することによりラベル連続体を搬送するプラテンローラ78からなっている。すなわち、プラテンローラ78の回転により保持軸73側である搬送方向上流側から印字部75の位置する搬送方向下流側に向かってラベル連続体が搬送される。尚、図示しないがサーマルヘッド77にはインクリボンが掛け渡され、インクリボンを保持するインクリボンユニットが設けられている。また、補助ローラ74と印字部75の間の位置に図示しない透過センサが設けられている。
【0020】
まず、台紙基材54の表示片57に印字する場合、図11(a)に示すように台紙基材54がサーマルヘッド77に当接するようにロール紙をセットし、この状態でプラテンローラ78を回転すると共にサーマルヘッド77の発熱体を発熱させて表示片57に値下げ情報58を印字する。
【0021】
また、台紙基材54の表示片57に印字した後にラベル連続体を再度ロール紙に巻き戻し、図11(b)に示すようにラベル基材51がサーマルヘッド77に当接するようにロール紙をセットし、この状態でプラテンローラ78を回転すると共にサーマルヘッド77の発熱体を発熱させてラベル基材51に値下げ情報58を印字する。
また、台紙基材54側とラベル基材51側のそれぞれにサーマルヘッド77を設けたプリンタにより、台紙基材54とラベル基材51の両面に一度で印字するようにしても良い。
【0022】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上述した各種構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。例えば、剥離片を取り除くためのスリット(切離し部)をミシン目としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る値下げラベルの平面図。
【図2】図1のA−A線上の断面図。
【図3】ロール紙の斜視図。
【図4】値下げ情報を印字したラベル連続体の平面図。
【図5】値下げラベルの貼り付け工程を説明する説明図。
【図6】値下げラベルをタグに貼付した状態を示す平面図。
【図7】他の実施の形態の値下げラベルの平面図。
【図8】図7のB−B線上の断面図。
【図9】台紙基材の表示片に値下げ情報を印字した値下げラベルの平面図。
【図10】ラベル基材側と台紙基材に値下げ情報を印字した値下げラベルをタグに貼付した状態の平面図。
【図11】プリンタ本体内部の状態を簡略的に説明する説明図。
【符号の説明】
【0024】
1 値下げラベル
2 ラベル基材
3 粘着剤
4 剥離剤
5 台紙基材
6 検出マーク
7 スリット
8 切離しミシン目
9 ラベル連続体
10 ロール紙
11 剥離片
12 表示片
13 値下げ情報
20 ラベル
21 台紙
30 タグ
31 紐
32 孔
33 商品情報
50 値下げラベル
51 ラベル基材
52 粘着剤
53 剥離剤
54 台紙基材
55 スリット
56 剥離片
57 表示片
58 値下げ情報
70 ラベル
71 台紙
73 保持軸
74 補助ローラ
75 印字部
76 ガイド
77 サーマルヘッド
78 プラテンローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤を有するラベルを台紙に仮着した値下げラベルであって、
前記台紙は前記ラベルの粘着剤に接する面に設けられた剥離剤を有し、切離し部によって剥離片と値下げ情報が印字された表示片に区画されていることを特徴とする値下げラベル。
【請求項2】
前記台紙の表示片には感熱発色層が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の値下げラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−111926(P2008−111926A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293831(P2006−293831)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)