説明

偏重心量検出装置及び方法、並びに情報記録再生装置

【課題】縦置き型の光ディスク記録/再生装置において、適切に光ディスクの偏重心量を検出する。
【解決手段】偏重心量検出装置(1)は、光ディスク(20)を、該光ディスクの記録面の法線方向と、該光ディスクに重力が働く方向と、が互いになす角が直角に近づくように支持する支持部材(12)と、光ディスクを回転駆動可能なモータ(11)と、モータに電流を供給することによって該モータを制御するモータ制御手段(15)と、モータに供給される電流の電流値を検出する電流値検出手段(18)と、モータ制御手段により光ディスクに係る角速度が一定に近づくようにモータが制御されている際に、検出された電流値に基づいて光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出手段(18)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを回転駆動する駆動機構を備える装置において、該光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出装置及び方法、並びに、該偏重心量検出装置を備える情報記録再生装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、光ディスクを回転駆動するモータに流れる電流の電流値、及び該光ディスクの回転数を検出し、検出された電流値と検出された回転数との関係から、光ディスクの偏重心量を検出する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
或いは、光ディスクを回転駆動するモータのCAV(Constant Angular Velocity)制御中に、所定箇所のモータ制御信号のレベル差が所定範囲内にあるか否かを判定することにより偏重心成分を検出する装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
尚、トラバースメカが、例えばダンパ等を介して装置の筐体に接続されている場合、偏重心を有する光ディスクが回転された際に発生するトラバースメカの振動に起因する、光ピックアップの対物レンズアクチュエータの揺れ量が検出され、該検出された揺れ量に基づいて光ディスクの偏重心量が検出されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−156029号公報
【特許文献2】特開2002−42411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、純粋な偏重心量を検出することが困難であるという技術的問題点がある。また、特許文献2に記載の技術は、縦置き型の装置(即ち、光ディスクの回転軸と、該光ディスクに重力が働く方向とが直交する装置)に適しない可能性があるという技術的問題点がある。更に、対物レンズアクチュエータの揺れ量に基づいて偏重心量を検出する方法は、トラバースメカが装置の筐体に固定されている装置(即ち、対物レンズアクチュエータが揺れないように構成された装置)には、適用できないという技術的問題点がある。
【0007】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、縦置き型の装置において、適切に光ディスクの偏重心量を検出することができる偏重心量検出装置及び方法、並びに情報記録再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の偏重心量検出装置は、上記課題を解決するために、光ディスクを、前記光ディスクの記録面の法線方向と、前記光ディスクに重力が働く方向と、が互いになす角が直角に近づくように支持する支持部材と、前記光ディスクを回転駆動可能なモータと、前記モータに電流を供給することによって前記モータを制御するモータ制御手段と、前記モータに供給される電流の電流値を検出する電流値検出手段と、前記モータ制御手段により前記光ディスクに係る角速度が一定に近づくように前記モータが制御されている際に、前記検出された電流値に基づいて前記光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出手段とを備える。
【0009】
本発明の第1の偏重心量検出装置によれば、例えばターンテーブル等である支持部材は、光ディスクを、該光ディスクの記録面の法線方向と、該光ディスクに重力が働く方向とが互いになす角が直角に近づくように支持する。例えばスピンドルモータ等であるモータは、光ディスクを回転駆動することができる。モータ制御手段は、モータに電流を供給することによって該モータを制御する。
【0010】
ここで、本願発明者の研究によれば、以下の事項が判明している。即ち、光ディスクの重心と該光ディスクの回転中心とが一致している場合、光ディスクに係る角速度が一定になるようにモータが制御されると、該モータに供給される電流の電流値は一定になる。他方、光ディスクの重心と該光ディスクの回転中心とがずれている場合、該ずれに起因して光ディスクの回転中心まわりのモーメントが発生する。この場合、光ディスクに係る角速度が一定に近づくようにモータが制御されると、該モータに供給される電流の電流値が変動することとなる。そして電流値の変動の程度は偏重心の程度に比例するので、電流値を検出することによって光ディスクに係る偏重心量を検出することができる。
【0011】
そこで本発明では、電流値検出手段により、モータに供給される電流の電流値が検出される。例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる偏重心量検出手段により、モータ制御手段により光ディスクに係る角速度が一定に近づくようにモータが制御されている際に、検出された電流値に基づいて光ディスクに係る偏重心量が検出される。
【0012】
このため、本発明の第1の偏重心量を検出装置によれば、縦置き型の装置において、適切に光ディスクの偏重心量を検出することができる。
【0013】
本発明の第2の偏重心量検出装置は、上記課題を解決するために、光ディスクを、前記光ディスクの記録面の法線方向と、前記光ディスクに重力が働く方向と、が互いになす角が直角に近づくように支持する支持部材と、前記光ディスクを回転駆動可能なモータと、前記モータに電流を供給することによって前記モータを制御するモータ制御手段と、前記光ディスクの回転数を検出する回転数検出手段と、前記モータ制御手段により前記モータに所定の電流が供給されている際に、前記検出された回転数に基づいて前記光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出手段とを備える。
【0014】
本発明の第2の偏重心量検出装置によれば、回転数検出手段は、光ディスクの回転数を検出する。例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる偏重心量検出手段は、モータ制御手段によりモータに所定の電流が供給されている際に、検出された回転数に基づいて光ディスクに係る偏重心量を検出する。
【0015】
本願発明者の研究によれば、以下の事項が判明している。即ち、光ディスクの重心と該光ディスクの回転中心とが一致している場合、モータに一定の電流が供給されると、光ディスクの回転数は一定になる。他方、光ディスクの重心と該光ディスクの回転中心とがずれている場合、該ずれに起因して光ディスクの回転中心まわりのモーメントが発生する。この場合、モータに供給される電流が一定であると、光ディスクの回転数が変動することとなる。そして回転数の変動の程度は偏重心の程度に比例するので、回転数を検出することによって光ディスクに係る偏重心量を検出することができる。
【0016】
このため、本発明の第2の偏重心量を検出装置によれば、縦置き型の装置において、適切に光ディスクの偏重心量を検出することができる。
【0017】
本発明の第1の偏重心量検出方法は、上記課題を解決するために、光ディスクを、前記光ディスクの記録面の法線方向と、前記光ディスクに重力が働く方向と、が互いになす角が直角に近づくように支持する支持部材と、前記光ディスクを回転駆動可能なモータと、前記モータに電流を供給することによって前記モータを制御するモータ制御手段とを備える偏重心量検出装置における偏重心量検出方法であって、前記モータに供給される電流の電流値を検出する電流値検出工程と、前記モータ制御手段により前記光ディスクに係る角速度が一定に近づくように前記モータが制御されている際に、前記検出された電流値に基づいて前記光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出工程とを備える。
【0018】
本発明の第1の偏重心量検出方法によれば、上述した本発明の第1の偏重心量検出装置と同様に、縦置き型の装置において、適切に光ディスクの偏重心量を検出することができる。
【0019】
本発明の第2の偏重心量検出方法は、上記課題を解決するために、光ディスクを、前記光ディスクの記録面の法線方向と、前記光ディスクに重力が働く方向と、が互いになす角が直角に近づくように支持する支持部材と、前記光ディスクを回転駆動可能なモータと、前記モータに電流を供給することによって前記モータを制御するモータ制御手段とを備える偏重心量検出装置における偏重心量検出方法であって、前記光ディスクの回転数を検出する回転数検出工程と、前記モータ制御手段により前記モータに所定の電流が供給されている際に、前記検出された回転数に基づいて前記光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出工程とを備える。
【0020】
本発明の第2の偏重心量検出方法によれば、上述した本発明の第2の偏重心量検出装置と同様に、縦置き型の装置において、適切に光ディスクの偏重心量を検出することができる。
【0021】
本発明の情報記録再生装置は、上記課題を解決するために、上述した本発明の第1の偏重心量検出装置又は第2の偏重心量検出装置を備える。
【0022】
本発明の情報記録再生装置によれば、上述した本発明の第1の偏重心量検出装置又は第2の偏重心量検出装置を備えてなるので、縦置き型の装置において、適切に光ディスクの偏重心量を検出することができる。このため、検出された偏重心量に応じて、例えば光ディスクの回転数、又はモータに供給される電流の電流値を設定することによって、安定した記録又は再生を実行することができる。
【0023】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る偏重心量検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る偏重心量検出処理を示すフローチャートである。
【図3】スピンドルモータの駆動電流の時間変動の一例である。
【図4】偏重心量と電流変動値との関係の一例を示す特性図である。
【図5】第2実施形態に係る偏重心量検出装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態に係る偏重心量検出処理を示すフローチャートである。
【図7】光ディスクの回転数の時間変動の一例である。
【図8】偏重心量と回転数変動値との関係の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の偏重心量検出装置に係る実施形態について図面に基づいて説明する。
【0026】
<第1実施形態>
本発明に係る偏重心量検出装置の第1実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0027】
先ず、本実施形態に係る偏重心量検出装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る偏重心量検出装置の構成を示すブロック図である。図1は、より具体的には、情報記録再生装置に、本実施形態に係る偏重心量検出装置を適用したCAV制御ブロック図である。
【0028】
図1において、偏重心量検出装置1は、スピンドルモータ11、支持部材12、光ピックアップ13、回転角速度検出手段14、ドライバ集積回路15、ヘッドアンプ16、信号制御手段17及びコントロール回路18を備えて構成されている。支持部材12は、スピンドルモータ11の回転軸に接続されており、該回転軸と連動して回転可能である。
【0029】
光ディスク20は、該光ディスク20の記録面の法線方向と、該光ディスク20に重力が働く方向(図1中の矢印G参照)とが互いになす角が略直角になるように、支持部材12により支持されている。光ディスク20は支持部材12と一体に、スピンドルモータ11により回転駆動される。
【0030】
回転駆動された光ディスク20に係る信号は、光ピックアップ13により検出され、ヘッドアンプ16により増幅された後、信号制御手段17に入力される。該信号制御手段17は、入力された光ディスク20に係る信号に基づいて、フォーカスやトラッキングの誤差を計算し、光ピックアップ13のフォーカス制御やトラッキング制御を行う。
【0031】
光ディスク20を回転駆動するスピンドルモータ11の回転角速度は、回転角速度検出手段14により検出される。該回転角速度検出手段14から出力される信号は、ドライバ集積回路15において、FG(Frequency Generator)信号に変換された後、信号制御手段17に入力される。尚、回転角速度検出手段14から出力される信号は、例えば、光ディスク20の1回転がn分周に相当する信号である(nは正の整数)。
【0032】
信号制御手段17は、角速度一定方式であるCAV制御方式によって光ディスク20の回転が制御されるように、FG信号等に基づいてスピンドルモータ制御信号を生成し、ドライバ集積回路15及びコントロール回路18に対して送信する。
【0033】
ドライバ集積回路15は、送信されたスピンドルモータ制御信号に基づいて、スピンドルモータ駆動信号(即ち、スピンドルモータ11に供給される電流の電流値)を生成し、スピンドルモータ11を制御する。他方、コントロール回路18は、送信されたスピンドルモータ制御信号に基づいて、CLV回転数設定信号を生成し、該生成されたCLV回転数設定信号を信号制御手段17に対して送信する。
【0034】
ここで、光ディスクの回転中心と、該光ディスクの重心とが互いに異なっている光ディスク(以降、適宜“偏重心ディスク”と称する)が、図1に示すような、縦置き型の情報記録再生装置で記録又は再生される場合、重心が偏っているためにモーメントの不釣り合いを生じる。この結果、例えばスピンドルモータ11の回転角速度を一定に維持しようとすると、該スピンドルモータ11に供給される電流の電流値が変動することとなる。従って、スピンドルモータ11の回転角速度が一定になるように該スピンドルモータ11を制御すると共に、該スピンドルモータ11に供給される電流の電流値を検出することによって、光ディスク20の偏重心量を検出することができる。
【0035】
次に、上述のように構成された偏重心量検出装置1における偏重心量検出処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
図2において、先ず、光ディスク20が情報記録再生装置にセットされた際に、ディスク・ローディング動作が実行される(ステップS101)。尚、ディスク・ローディング動作には、公知の技術を適用可能であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0037】
次に、セットされた光ディスク20が、直径12cm(センチメートル)のディスクであるか、直径8cmのディスクであるかが検出される(ステップS102)。尚、該ディスクサイズの検出にも、公知の技術を適用可能であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
次に、セットされた光ディスク20が、直径12cmのディスクであるか、直径8cmのディスクであるかが判定される(ステップS103)。直径8cmのディスクであると判定された場合(ステップS103:8cm)、処理は終了される。
【0039】
他方、直径12cmのディスクであると判定された場合(ステップS103:12cm)、ディスク回転数がセットされる(ステップS104)。尚、ディスク回転数は、情報記録再生装置の仕様等に応じて適切に設定される。
【0040】
次に、スピンドルモータ11が起動され、該スピンドルモータ11に係る規定回転数が確認される(ステップS105)。尚、スピンドルモータ11の起動等には、公知の技術を適用可能であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0041】
次に、ドライバ集積回路15におけるスピンドルモータ11の駆動電流の電流値(即ち、スピンドルモータ駆動信号)が取り込まれる(ステップS106)。ここで、光ディスク20が偏重心ディスクである場合、取り込まれた駆動電流は、例えば図3のようになる。図3は、スピンドルモータの駆動電流の時間変動の一例である。図3において“a”は偏重心に起因する駆動電流の揺らぎの極大値を示しており、“b”は、設定回転数に比例する定常電流値を示している。
【0042】
次に、取り込まれた駆動電流値に基づいて、光ディスク20の偏重心成分y(即ち、電流変動値)が検出される(ステップS107)。具体的には、例えば図3における極大値aが偏重心成分yとして検出される。
【0043】
次に、検出された偏重心成分yが偏重心量設定値zより大きいか否かが判定される(ステップS108)。具体的には例えば、図4に示すような偏重心量と電流変動値との関係に基づいて、検出された偏重心成分yが、偏重心量設定値zに対応する電流変動値よりも大きいか否かが判定される。図4は、偏重心量と電流変動値との関係の一例を示す特性図である。図4において、横軸は偏重心量M(g・cm)であり、縦軸は電流変動値ΔI(mA)である。
【0044】
検出された偏重心成分yが偏重心量設定値zより大きいと判定された場合(ステップS108:Yes)、光ディスク20の最大回転数が、現在設定されている回転数よりも低くなるように再設定され(ステップS109)、処理が終了される。このように構成すれば、安定した記録又は再生を実行することができる。加えて、光ディスク20の偏重心に起因する振動や騒音の発生を抑制することができ、実用上非常に有利である。他方、検出された偏重心成分yが偏重心量設定値zより小さいと判定された場合(ステップS108:No)、処理は終了される。尚、偏重心成分yが偏重心量設定値zと「等しい」場合は、どちらかの場合に含めて扱えばよい。
【0045】
本実施形態に係る「ドライバ集積回路15」は、本発明に係る「モータ制御手段」の一例であり、本実施形態に係る「コントロール回路18」は、本発明に係る「電流値検出手段」及び「偏重心量検出手段」の一例である。
【0046】
尚、上述したステップS102及びS103の処理は、実行されなくてもよい。
【0047】
<第2実施形態>
本発明の偏重心量検出装置に係る第2実施形態を、図5乃至図8を参照して説明する。第2実施形態では、スピンドルモータに供給される電流の電流値に代えて、光ディスクの回転数の変動に基づいて偏重心量を検出している以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図5乃至図8を参照して説明する。
【0048】
先ず、本実施形態に係る偏重心量検出装置の構成について、図5を参照して説明する。図5は、図1と同趣旨の、本実施形態に係る偏重心量検出装置の構成を示すブロック図である。
【0049】
偏重心量検出装置2において、光ディスク20を回転駆動するスピンドルモータ11の回転角速度は、回転角速度検出手段14により検出される。該回転角速度検出手段14から出力される信号は、ドライバ集積回路15において、FG信号に変換された後、信号制御手段17及びコントロール回路18に入力される。
【0050】
コントロール回路18は、送信されたFG信号に基づいて、スピンドルモータ駆動電流設定信号を生成し、該生成されたスピンドルモータ駆動電流設定信号を信号制御手段17に対して送信する。
【0051】
信号制御手段17は、角速度一定方式であるCAV制御方式によって光ディスク20の回転が制御されるように、FG信号及びスピンドルモータ駆動電流設定信号に基づいてスピンドルモータ制御信号を生成し、ドライバ集積回路15に対して送信する。
【0052】
ここで、偏重心ディスクが、図5に示すような、縦置き型の情報記録再生装置で記録又は再生される場合、重心が偏っているためにモーメントの不釣り合いを生じる。この結果、例えばスピンドルモータ11に供給される電流の電流値(即ち、ドライバ集積回路15から出力されるスピンドルモータ駆動信号)が一定に維持されると、光ディスク20の回転数が変動することとなる。従って、スピンドルモータ11に供給される電流の電流値を一定すると共に、光ディスク20の回転数を検出することによって、光ディスク20の偏重心量を検出することができる。
【0053】
次に、上述のように構成された偏重心量検出装置2における偏重心量検出処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0054】
図6において、上述したステップS103の処理において、直径12cmのディスクであると判定された場合(ステップS103:12cm)、スピンドルモータ11の駆動電流値がセットされる(ステップS201)。尚、駆動電流値は、情報記録再生装置の仕様等に応じて適切に設定される。次に、スピンドルモータ11が起動され、該スピンドルモータ11に係る規定回転数が確認される(ステップS105)。
【0055】
次に、FG信号に基づいて、光ディスク20の回転数が検出される(ステップS202)。ここで、光ディスク20が偏重心ディスクである場合、検出された回転数は、例えば図7のようになる。図7は、光ディスクの回転数の時間変動の一例である。図7において“a”は偏重心に起因する回転数の揺らぎの極大値を示しており、“b”は、設定駆動電流値に比例する定常回転数を示している。
【0056】
次に、検出された回転数に基づいて、光ディスク20の偏重心成分y(即ち、回転数変動値)が検出される(ステップS203)。具体的には、例えば図7における極大値aが偏重心成分yとして検出される。
【0057】
次に、検出された偏重心成分yが偏重心量設定値zより大きいか否かが判定される(ステップS108)。具体的には例えば、図8に示すような偏重心量と回転数変動値との関係に基づいて、検出された偏重心成分yが、偏重心量設定値zに対応する回転数変動値よりも大きいか否かが判定される。図8は、偏重心量と回転数変動値との関係の一例を示す特性図である。図8において、横軸は偏重心量M(g・cm)であり、縦軸は回転数変動値Δr(rpm)である。
【0058】
尚、本実施形態に係る「コントロール回路18」は、本発明に係る「回転数検出手段」の一例である。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う偏重心量検出装置及び方法、並びに情報記録再生装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
1、2…偏重心量検出装置、11…スピンドルモータ、12…支持部材、13…光ピックアップ、14…回転角速度検出手段、15…ドライバ集積回路、16…ヘッドアンプ、17…信号制御手段、18…コントロール回路、20…光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを、前記光ディスクの記録面の法線方向と、前記光ディスクに重力が働く方向と、が互いになす角が直角に近づくように支持する支持部材と、
前記光ディスクを回転駆動可能なモータと、
前記モータに電流を供給することによって前記モータを制御するモータ制御手段と、
前記モータに供給される電流の電流値を検出する電流値検出手段と、
前記モータ制御手段により前記光ディスクに係る角速度が一定に近づくように前記モータが制御されている際に、前記検出された電流値に基づいて前記光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出手段と
を備えることを特徴とする偏重心量検出装置。
【請求項2】
光ディスクを、前記光ディスクの記録面の法線方向と、前記光ディスクに重力が働く方向と、が互いになす角が直角に近づくように支持する支持部材と、
前記光ディスクを回転駆動可能なモータと、
前記モータに電流を供給することによって前記モータを制御するモータ制御手段と、
前記光ディスクの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記モータ制御手段により前記モータに所定の電流が供給されている際に、前記検出された回転数に基づいて前記光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出手段と
を備えることを特徴とする偏重心量検出装置。
【請求項3】
光ディスクを、前記光ディスクの記録面の法線方向と、前記光ディスクに重力が働く方向と、が互いになす角が直角に近づくように支持する支持部材と、前記光ディスクを回転駆動可能なモータと、前記モータに電流を供給することによって前記モータを制御するモータ制御手段とを備える偏重心量検出装置における偏重心量検出方法であって、
前記モータに供給される電流の電流値を検出する電流値検出工程と、
前記モータ制御手段により前記光ディスクに係る角速度が一定に近づくように前記モータが制御されている際に、前記検出された電流値に基づいて前記光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出工程と
を備えることを特徴とする偏重心量検出方法。
【請求項4】
光ディスクを、前記光ディスクの記録面の法線方向と、前記光ディスクに重力が働く方向と、が互いになす角が直角に近づくように支持する支持部材と、前記光ディスクを回転駆動可能なモータと、前記モータに電流を供給することによって前記モータを制御するモータ制御手段とを備える偏重心量検出装置における偏重心量検出方法であって、
前記光ディスクの回転数を検出する回転数検出工程と、
前記モータ制御手段により前記モータに所定の電流が供給されている際に、前記検出された回転数に基づいて前記光ディスクに係る偏重心量を検出する偏重心量検出工程と
を備えることを特徴とする偏重心量検出方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の偏重心量検出装置を備えることを特徴とする情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−33242(P2012−33242A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173274(P2010−173274)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(510130675)パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】