停弾装置
【課題】シート状のトラップ材を用いる停弾装置について、トラップ材の損傷問題を改善して保守作業の負担を軽減できるようにし、またトラップ材の利用効率を向上できるようにする。
【解決手段】停弾装置は、捕捉体23を備えている。捕捉体は、粘弾性材でシート状に形成され、弾丸8に貫通を許容するようにされたトラップ材26を組み合わせて構成され、トラップ材を貫通する際の運動エネルギの減衰で弾丸を停弾させて捕捉するようにされている。そして、捕捉体におけるトラップ材は、射撃方向に対して交差する方向に配列され、かつ射撃方向に対して所定の角度で傾く状態に配置されることで複数枚が射撃方向で重なるようにされている。
【解決手段】停弾装置は、捕捉体23を備えている。捕捉体は、粘弾性材でシート状に形成され、弾丸8に貫通を許容するようにされたトラップ材26を組み合わせて構成され、トラップ材を貫通する際の運動エネルギの減衰で弾丸を停弾させて捕捉するようにされている。そして、捕捉体におけるトラップ材は、射撃方向に対して交差する方向に配列され、かつ射撃方向に対して所定の角度で傾く状態に配置されることで複数枚が射撃方向で重なるようにされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃器から標的に向けて発射される弾丸を標的の後方で停弾させるために射撃場に設けられる停弾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な射撃場は、図10に示すように、予め決められている射座から射手1が標的2に向けて銃器3による射撃を行うようになっており、標的2の手前には標的2の駆動機構4を保護するための防弾堤5が設けられ、また標的2の後方にはバックストップとも呼ばれる停弾装置6が設けられ、さらに停弾装置6の下部に集弾溝7が設けられている。このような射撃場では、射座に着いた射手1が標的2に向けて拳銃やライフル銃など銃器3で実弾射撃を行うと、銃器3から発射された弾丸8が標的2の方向に飛翔する。その弾丸8は、標的2に当ってそれを貫通した後、又は標的2に当らずに直接に停弾装置6に到達する。
【0003】
停弾装置6は、弾丸8が貫通することのない強度を有した鋼板で形成されている。そのため停弾装置6に到達した弾丸8は、停弾装置6に衝突して停弾し、その際の衝撃で破砕する。停弾装置6での衝突破砕で発生する破砕片ないし破砕弾丸9は、停弾装置6の下部における集弾溝7に落下して集積され、またその一部が跳弾10となって射手側へ飛散する場合もある。なお、応用射撃訓練では、必ずしも射座が決まっていない場合もある。
【0004】
以上のように従来の一般的な射撃場では、停弾装置に弾丸が衝突して破砕する構造になっており、そのために鉛粉問題があった。具体的には、弾丸の破砕で発生する鉛粉(鉛蒸気)により射撃場やその周辺の環境が汚染され、また標的2への着弾位置の確認のために標的付近に採点者が接近する場合や、集弾溝に集積した破砕弾丸などの回収作業時に作業員が鉛粉を摂取して健康被害を受ける可能性があるなどの問題である。
【0005】
こうしたことから弾丸を破砕させずに停弾させることのできる停弾装置が望まれ、例えば特許文献1や特許文献2に開示されるような非破砕停弾型の停弾装置が開発されている。
【0006】
特許文献1の停弾装置は、粒状材を堆積して構成され、その堆積粒状材で弾丸の運動エネルギを吸収することにより停弾させる。したがって弾丸を破砕せずに停弾させることができる。なお、本明細書ではこのような停弾装置を仮に粒状材式と呼ぶ。
【0007】
一方、特許文献2の停弾装置(バックストップ)は、図11と図12に示すように、射撃方向で重なるように配列される平板状の繊維入り硬質ゴム素材よりなる複数のシート状のトラップ材12に鋼板13を組み合わせた構成され、個々にはトラップ材12が弾丸の貫通を許容するようになっており、その貫通に際して運動エネルギを減衰させつつ弾丸を停弾させる。したがって弾丸を破砕せずに停弾させることができる。なお、本明細書ではこのような停弾装置を仮にシート式と呼ぶ。
【0008】
【特許文献1】特開2002−318097号公報
【特許文献2】特開2006−97932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1や特許文献2の非破砕停弾型の停弾装置は、弾丸を破砕せずに停弾させることで鉛粉問題を効果的に解消できるという点でいずれも優れている。しかし特許文献1のような粒状材式の停弾装置には、一つの問題がある。それは、粒状材を堆積した構造であることから、設置に際して大規模な工事を必要とし、既設の射撃場への設置に難があるという問題である。一方、特許文献2のようなシート式の停弾装置には設置工事に関する問題はない。したがって既設の射撃場における鉛粉問題の解消にはシート式の停弾装置がより適しているといえる。
【0010】
しかしシート式の停弾装置には、トラップ材の損傷問題がある。シート式の停弾装置では、弾丸をトラップ材に貫通させることから、繰り返される弾丸の貫通でトラップ材が損傷し、それによりトラップ材の弾丸に対する運動エネルギ減衰能力が減退する。そして、そうした損傷が進むと効果的な停弾をなせずに弾丸が停弾装置を貫通するようになってしまう。このため一定以上にトラップ材が損傷したら、それを交換したり補修したりする保守作業が必要となる。
【0011】
このようなトラップ材の損傷問題に関し、特許文献2の停弾装置は、トラップ材の損傷の進行が速くて頻繁な保守作業を必要とするという問題があり、またトラップ材の利用効率が悪くなるという問題もある。これらの問題は、トラップ材を射撃方向に配列して重ねる構造としていることに関係している。すなわちトラップ材を射撃方向に配列して重ねる構造では、標的とトラップ材の位置関係が固定的にならざるを得ず、このことでトラップ材の損傷の進行が速まり、またトラップ材の利用効率を悪くする。具体的には以下のとおりである。
【0012】
銃器から発射される弾丸の飛翔方向は、図13に示すように、標的の中心に関して正規分布する傾向となり、射撃の習熟度にもよるが、一般的な射撃場においては発射弾丸の95%以上が標的(これは750mm×750mmサイズとされており、1.2m以上の間隔で配置されるのが一般的な例である)に集中するといわれている。こうした発射弾丸の標的への集中に標的とトラップ材の位置関係の固定性が組み合わさると、標的を目標として発射される弾丸がトラップ材の特定の部位に集中的に着弾することになり、そのために停弾機能に関してトラップ材の損傷の進行が速められることになる。
【0013】
また標的とトラップ材の位置関係が固定的であることは、上述のような集中的な着弾により特定部位で主に生じる損傷でトラップ材の交換や補修を必要とすることにつながる。つまり着弾頻度が小さくて余り損傷されていない領域を多く残した状態でトラップ材の交換や補修を必要とすることにつながり、そのためにトラップ材の利用効率が悪くなる。
【0014】
特許文献2の停弾装置においても、トラップ材の継ぎ目が前後方向に一直線に並ばないように配列することが特徴とされており、図12のAの経路で進入する弾丸に対して、他の経路に比べ弾丸通過経路中のトラップ材が少ないことになり構造的にAの継ぎ目部は標的間の弾丸の比較的集中しない位置としなければならない。このことから、特許文献2の停弾装置においても標的とトラップ材の位置関係が固定的とならざるを得ない。
【0015】
本発明は、以上のような事情を背景になされたものであり、シート式の停弾装置について、トラップ材の損傷問題を改善して保守作業の負担を軽減できるようにし、またトラップ材の利用効率を向上できるようにすること、さらに弾丸の集中頻度及び使用銃器の威力に対応して停弾装置の耐久性を任意に設定及び調整できることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、上記課題を解決するために、標的に向けた射撃で銃器から発射される弾丸を前記標的の後方で停弾させるために射撃場に設けられる停弾装置において、粘弾性材でシート状に形成され、前記弾丸に運動エネルギの減衰を生じさせつつ貫通を許容するようにされたトラップ材を組み合わせて構成され、前記トラップ材による運動エネルギの減衰で前記弾丸を停弾させて捕捉するようにされた捕捉体を備えており、前記捕捉体における前記トラップ材は、射撃方向に対して交差する方向に配列され、かつ射撃方向に対して所定の角度で傾く状態に配置されることで複数枚が射撃方向で重なるようにされていることを特徴としている。
【0017】
このように本発明の停弾装置では、トラップ材を射撃方向に対して交差する方向に配列し、かつその配列にあってトラップ材を射撃方向に対して所定の角度で傾く状態に配置することで複数枚のトラップ材が射撃方向で重なるようしている。つまりトラップ材を射撃方向交差配列かつ射撃方向傾斜配置とすることでトラップ材の重なりを与えるようにしている。このため本発明の停弾装置では、トラップ材の傾き角度を変えることでトラップ材に対する着弾位置を変えることが可能であり、また配列方向での各トラップ材の位置を標的との位置関係に関して変えることが可能であり、さらにトラップ材の重なり枚数をトラップ材の配列方向で部分的に異ならせることが可能である。そしてこうした特性により、トラップ材の利用効率を高めることができ、またトラップ材の損傷の進行を遅くすることができる。具体的には以下のとおりである。
【0018】
トラップ材の傾き角度を変えることでトラップ材に対する着弾位置を変えることが可能であることにより、着弾がトラップ材の特定部位に集中するのを避けることが可能となり、トラップ材の利用効率を高めることができるとともに、トラップ材の損傷の進行を遅らせることができる。
【0019】
配列方向での各トラップ材の位置を標的との位置関係に関して変えることが可能であることにより、着弾頻度の低い部位に位置させていたトラップ材を着弾頻度の高い部位に位置させることができ、したがって捕捉体を構成する各トラップ材へ着弾頻度を平均化することが可能となり、このことにより特定のトラップ材に着弾が集中するのに比べて、トラップ材の損傷の進行を平均的に遅くすることができ、さらに弾丸の集中頻度及び使用銃器の威力に対応して停弾装置の耐久性を任意に設定及び調整できる。
【0020】
トラップ材の重なり枚数をトラップ材の配列方向で部分的に異ならせることが可能であることにより、重なり枚数の多い密な部分と重なり枚数の少ない粗な部分をトラップ材の配列方向で交互的に形成させることができ、したがって着弾頻度の高い部位では高い停弾性を確保するために密とし、着弾頻度の低い部位では粗とすることができる。つまりトラップ材の配列を着弾頻度に応じた配列とすることができるということであり、これによりトラップ材の利用効率を高めることができる。
【0021】
また本発明の停弾装置では、トラップ材を射撃方向傾斜配置としていることにより、個々のトラップ材における弾丸に対する運動エネルギ減衰能力を実効的に高めることができる。トラップ材による弾丸の運動エネルギ減衰は、主に弾丸がトラップ材を貫通するのに伴ってなされる。このため個々のトラップ材の運動エネルギ減衰能力は、弾丸がトラップ材を貫通する際の貫通長に相関し、したがってトラップ材の厚さに相関することになる。これについて、トラップ材の射撃方向傾斜配置における傾斜角度をθ、トラップ材の厚さをtとして、実効的な貫通長はt/sinθとなり、トラップ材を射撃方向傾斜配置とすることにより貫通長を実効的に長くすることができ、したがって個々のトラップ材の運動エネルギ減衰能力を実効的に高めることができ、このことでもトラップ材の利用効率を高めることができる。
【0022】
本発明の停弾装置は、上記のようにトラップ材の傾き角度を変えたり、配列方向での各トラップ材の位置を標的との位置関係に関して変えたり、トラップ材の重なり枚数をトラップ材の配列方向で部分的に異ならせたりすることが可能という特性を有している。したがってこのような特性を有効に活かすために本発明では、上記のような停弾装置について、前記トラップ材の傾き角度を変えることができるようにするのを好ましい形態の1つとし、また前記トラップ材の前記配列方向での位置を変えることができるようにするのを好ましい形態の1つとし、さらに前記トラップ材の重なり枚数を前記トラップ材の配列方向で部分的に異ならせるようにするのを好ましい形態の1つとしている。
【0023】
また本発明では、上記のような停弾装置について、前記傾斜配置における傾き角度を45度〜70度とすることを好ましい形態としている。
【0024】
上記のような停弾装置では、トラップ材が一定以上に損傷すると弾丸が捕捉体を貫通する状態になるが、そのような状態になったらトラップ材の交換や補修を行う保守作業時期となる。この場合、捕捉体を弾丸が1発でも貫通したら保守作業を行えるようにするのが望ましい。そこで、本発明では、上記のような停弾装置について、前記捕捉体を前記弾丸が貫通したことを検出する貫通検出機構が前記捕捉体の後方に設けることを好ましい形態としている。このようにすることにより、捕捉体を弾丸が貫通することがあれば、そのことを貫通検出機構で検出することができ、最善のタイミングで保守作業を行えるようになる。
【発明の効果】
【0025】
以上のような本発明によれば、シート式の停弾装置について、トラップ材の損傷問題が改善されて保守作業の負担を軽減できるとともに、トラップ材の利用効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に、第1の実施形態による停弾装置21を設置した射撃場の構成を示す。なお、図1の射撃場は、基本的には上述した図10の射撃場と同様である。したがって図10の射撃場と共通する要素については、図10と同一の符号で示し、上での説明を援用するものとする。
【0027】
本実施形態の停弾装置21は、バックプレート22、捕捉体23、及び弾丸回収装置24を備えている。
【0028】
バックプレート22は、捕捉体23を貫通する弾丸があった場合に、その弾丸を停弾させて捕捉するのに機能する要素であり、適度な厚さの鋼板で形成され、標的2の方向に傾くようにして設けられている。またバックプレート22は、基端部に集弾溝25が形成され、停弾させた弾丸をこの集弾溝25に落下させて集積できるようにされている。
【0029】
捕捉体23は、図2と図3(a)、図3(b)、図3(c)に示すように、複数のトラップ材26を組み合わせて形成されている。また捕捉体23は、図1に示すように、バックプレート22に吊下げ状態で取り付けられている。具体的には、バックプレート22にその先端部寄りの位置でブラケット27を突設するとともに、ブラケット27に吊下げ機構28を設け、この吊下げ機構28で捕捉体23を吊り下げている。
【0030】
吊下げ機構28は、トラップ材26の後述のような射撃方向交差配列における配列方向に延在するようにしてブラケット27に取り付けたカーテンレール構造の吊りレール29、及びこの吊りレール29に移動可能に係合させた複数のフック30を備えてなり、そして吊りレール29が2列で設けられ、その2列の吊りレール29それぞれのフック30による2点支持でトラップ材26を個々に吊り下げるようにされている。このためトラップ材26は、後述のような射撃方向傾斜配置における傾斜角度θ(図3(a))を保った状態で個々に配列方向で移動させることができるようになっている。
【0031】
トラップ材26は、粘弾性材を用いて縦長の長方形状のシート状に形成され、銃器3から発射される弾丸8に運動エネルギの減衰を生じさせつつ貫通を許容するような粘弾性を有するようにされている。粘弾性材としては、例えば弾粘性の高いゴムやプラスチック、あるいは強化繊維布や網目材などを用いることができ、またこられを複合した複合材を用いることができる。
【0032】
こうしたトラップ材26は、捕捉体23にあって射撃方向交差配列かつ射撃方向傾斜配置にして組み合わされ、それにより複数枚が射撃方向で重なるようにされている。射撃方向交差配列とは、射撃方向に交差する方向、より具体的には標準射撃方向に交差する方向でトラップ材26を配列する配列方式であり、標準射撃方向との交差状態は直交とするのが通常である。一方、射撃方向傾斜配置とは、標準射撃方向に対して所定の角度で傾けるようにしてトラップ材26を配置する配置方式であり、トラップ材26を配列方向に所定の角度で傾けるようにして配置する配置方式であるともいえる。このような射撃方向傾斜配置における傾斜角度θ(図3(a))は、45度〜70度とするのが特に好ましい。ここで、標準射撃方向とは、標的2に向けた射撃で標準的に生じる射撃方向であり、標的2のターゲット中心を通って標的2に直交する線分、つまり標的中心線の方向に相当する。
【0033】
以上のような射撃方向交差配列と射撃方向傾斜配置で組み合わされているトラップ材26は、吊下げ機構28によりトラップ材26が配列方向で個々に移動できるようになっていることから、配列方向で重なり枚数を部分的に異ならせる、つまり重なり枚数の多い密な部分と重なり枚数の少ない粗な部分を配列方向で交互的に形成させることが可能で、本実施形態でもそのようにしている。具体的には、密部31と粗部32を交互に形成し図3(b)のように配置する。そして図3(c)のように密部31が形成する平行四辺形の面積中心と、標的2に対応する部位、つまり着弾頻度が高い部位に位置させ(これは、密部31が形成する平行四辺形の面積中心が標的2中心線に一致するように位置させることでもある)、粗部32は、標的2と標的2の間に対応する部位に位置させるようにしている。
【0034】
このように密部31と粗部32を形成した場合、標的中心における射撃方向のトラップ材26の重なり枚数が最大になり、標的中心から離れるにしたがってトラップ材26の重なり枚数が少なくなる。図3の例であれば、矢視A−Aで示す密部31の中心部では重なり枚数10、矢視B-Bで示す部位では重なり枚数8、矢視C-Cで示す部位では重なり枚数6、矢視D-Dで示す部位では重なり枚数5となっている。このようなトラップ材26の重なり枚数分布は、図13に示した弾丸の飛翔方向分布とよく対応している。このことは、標的2との関係での着弾頻度に応じた停弾性を捕捉体23に与えることになり、トラップ材26の利用効率を高めることができる。
【0035】
以上のように密部31と粗部32を形成するについては、図4に示すように、着弾頻度の高い密部31に位置していたことで一定以上に損傷が進行した損傷部33を生じているトラップ材26を着弾頻度の低い粗部32に移動する一方で、粗部32に位置していたことで余り損傷していないトラップ材26を密部31に移動するというように、密部31と粗部32それぞれに位置するトラップ材26を交替させることも可能である。そしてそのようにすることにより、捕捉体23を構成する各トラップ材26の着弾頻度を均一化することが可能となり、トラップ材26の損傷の進行を平均的に遅らせることができる。
【0036】
さらに、この弾丸進行方向のトラップ材の重なり枚数を任意に設定できる機能は、設置射撃場における弾丸の集中頻度及び使用銃器の威力に対応して停弾装置の耐久性を任意に設定及び調整できる利点もある。
【0037】
図5に示すのは、捕捉体23による弾丸8の停弾捕捉の原理である。銃器3から発射された弾丸8は図5の(A)のようにして捕捉体23に侵入し、順次トラップ材26を貫通しながら捕捉体23内を進み、トラップ材26を貫通するごとに運動エネルギを減衰させて減速する。そしてトラップ材26を貫通できないまでに減速した状態になると、弾丸8は、その状態を生じた位置におけるトラップ材26を弾性変形させながらさらに運動エネルギを減衰させ、これにより発射方向の速度成分を失って停弾する(図5の(B)〜(D))。このため破砕や鉛粉の発生を伴うことなく弾丸8を停弾捕捉することができる。
【0038】
ここで、弾丸8がトラップ材26を貫通する場合の実効的な貫通長は、トラップ材26が傾斜角度θで射撃方向傾斜配置とされていることから、トラップ材26の厚さをtとして、t/sinθとなる。つまりトラップ材26の厚さtよりも長い貫通長を得られることになる。例えばトラップ材26が繊維入り硬質ゴム材で形成されており、その厚さt=9mmであるとする。このようなトラップ材26を従来の停弾装置のように射撃方向に直交するように配置して重ねる射撃方向直交配置とした場合、38口径拳銃弾であると、その停弾に必要なトラップ材26の重ね枚数は6枚程度である。一方、本実施形態におけるような射撃方向傾斜配置であると、実効貫通長L=9mm/sin(60度)=10.4mmとなり、実効貫通長Lが厚さtのほぼ115%となる。このためトラップ材26の重ね枚数5枚で同等の停弾性能が得られることになり、したがってトラップ材の利用効率を高めることができる。
【0039】
図5に戻って、発射方向速度成分を失って停弾した弾丸8は、その位置でのトラップ材26の弾性で押し戻されるようになり、隣接する2枚のトラップ材26の間のトラップ材間隙34に捕捉される(図5の(D)〜(F))。トラップ材間隙34に捕捉された弾丸8は、トラップ材間隙34を自重で落下する。この弾丸8の自重落下については、トラップ材間隙34の幅D、つまりトラップ材26の重なり間隔Dを弾丸8の径dよりも広くしてあることが望ましい。つまりD>dとすることで、弾丸8の自重落下を生じさせ易くなるということである。
【0040】
トラップ材間隙34を自重落下する弾丸8は、捕捉体23の下方に設けられている弾丸回収装置24に落ち込む。弾丸回収装置24は、上部開放の箱構造又は溝構造、あるいはベルトコンベア構造などで形成されおり、捕捉体23が捕捉した弾丸を回収するのに用いられる。
【0041】
以上のような弾丸の停弾捕捉にあっては、トラップ材26の重なり間隔Dを広くするほど捕捉弾丸を落下させ易くなる(図5の(G))。しかし間隔Dを広くすると、捕捉体23の厚さが厚くなる。つまり捕捉体23が大型化するという不利益がもたらされる。したがって、間隔Dは、後続の弾丸でトラップ材26が振動することで落下が促進されることを前提にした上で、捕捉弾丸の安定的な落下を得られる範囲で必要最小限とするのが好ましい。
【0042】
図6に示すのは、射撃方向傾斜配置の各トラップ材26の傾斜角度θを変えることができるようにした場合である。この場合、吊りレール29を1列として、各トラップ材26を1点支持で吊り下げるようにしている。このためトラップ材26は、その1点支持における支持点を中心に回転させることができ、したがって傾斜角度θを変えることができる。図6では、この回転(傾斜角度の変更)と上述の配列方向での移動を組み合わせることで、損傷部33を生じているトラップ材26を着弾頻度の低い粗部32に移動させ、さらに損傷部33を捕捉体23の裏側に位置させる例を示している。このようにトラップ材26の傾斜角度θを可変とすることでトラップ材26に対する着弾位置を変えることが可能となり、したがって着弾がトラップ材26の特定部位に集中するのを避けることが可能となり、このことでもトラップ材26の利用効率を高めることができるとともに、トラップ材の損傷の進行を遅くすることができる。
【0043】
図7と図8に、第2の実施形態による停弾装置41を設置した射撃場の構成を示す。なお、図7と図8の射撃場は、基本的には図1の射撃場と同様で、また停弾装置41は、基本的には図1の停弾装置21と同様である。したがって図1の射撃場や停弾装置21と共通する要素については、図1と同一の符号で示し、上での説明を援用するものとする。
【0044】
停弾装置41は、捕捉体23の後方に貫通検出機構42が設けられている。貫通検出機構42は、非貫通性膜体43と貫通検出器44を備えてなる。非貫通性膜体43は、粘弾性材を用いて弾丸8が貫通することのない程度の強度の膜状に形成されるとともに、捕捉体23と同じ程度の形状サイズで形成され、捕捉体23に近接した位置で捕捉体23の後方を全体的に覆うようにしてブラケット27に取り付けられている。貫通検出器44は、非貫通性膜体43に一定以上の衝撃が加わった場合にそれを検出できるようにされている。
【0045】
このような貫通検出機構42は、捕捉体23を弾丸8が貫通した場合にそのことを検出するのに機能する。すなわち各トラップ材26の損傷が進むことで捕捉体23の停弾機能が低下して弾丸8が捕捉体23を貫通することがあった場合、その弾丸8は、非貫通性膜体43に衝突して停弾され、その際に非貫通性膜体43に一定以上の衝撃を与える。その衝撃は、例えば非貫通性膜体43が弾丸8の進行方向に移動する現象を起こし貫通検出器44に接続した紐を引っ張るといった状態として貫通検出器44で検出され、これにより弾丸の捕捉体貫通を検出することができる。
【0046】
弾丸8が捕捉体23を貫通することがあるようになると、トラップ材26の交換や補修を行う保守作業時期となるが、本実施形態のように貫通検出機構42を設けて弾丸8の捕捉体23の貫通を検出できるようにすることで、保守作業時期を的確に判定することができ、最善のタイミングで保守作業を行えるようになる。
【0047】
以上のような本実施形態は、捕捉体23を貫通する弾丸8を粘弾性材による非貫通性膜体43で停弾させるようにしていることから、弾丸8に破砕を生じさせずに済むという利点がある。
【0048】
図9に、第3の実施形態による停弾装置51を設置した射撃場の構成を示す。なお、図9の射撃場は、基本的には図1の射撃場と同様で、また停弾装置51は、基本的には図1の停弾装置21と同様である。したがって図1の射撃場や停弾装置21と共通する要素については、図1と同一の符号で示し、上での説明を援用するものとする。
【0049】
停弾装置51は、バックプレート22が貫通検出機構を兼ねるようにされている。具体的には、例えば振動センサ構造あるいはひずみゲージ構造とされる貫通検出器52をバックプレート22に取り付けている。そして弾丸8が捕捉体23を貫通するようなことがあった場合にその弾丸8をバックプレート22に衝突停弾させ、その際に生じるバックプレート22の振動や歪を貫通検出器52で検出することにより、弾丸8の捕捉体23の貫通を検出するようにしている。このような本実施形態でも弾丸8の捕捉体23の貫通を検出することで保守作業時期を的確に判定することができ、最善のタイミングで保守作業を行えるようになる。
【0050】
以上のような本実施形態は、バックプレート22を貫通検出機構に兼用するようにしていることから、構造の簡易化と低コスト化を図れるという利点がある。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、これらは代表的な例に過ぎず、本発明はその趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。例えば上記実施形態では、捕捉体を貫通した弾丸を非貫通性膜体やバックプレートに衝突させ、その衝突衝撃を指標として弾丸の捕捉体貫通を検出するように貫通検出機構を構成していたが、これに代えてレーザ光方式で貫通検出機構を構成することも可能である。すなわち捕捉体の背面を覆うようにレーザ光による膜を形成し、そのレーザ光膜におけるレーザ光の弾丸による遮断を指標として弾丸の捕捉体貫通を検出する貫通検出機構である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態による停弾装置を設置した射撃場の構成を側面方向から見た状態について模式化して示す図である。
【図2】図1の射撃場の斜視状態を模式化して示す図である。
【図3】捕捉体におけるトラップ材の配列と配置の状態を模式化して示す図である。
【図4】トラップ材の移動について説明する図である。
【図5】捕捉体による弾丸の停弾捕捉の原理を説明する図である。
【図6】トラップ材の移動と回転について説明する図である。
【図7】第2の実施形態による停弾装置を設置した射撃場の構成を側面方向から見た状態について模式化して示す図である。
【図8】図7の射撃場の斜視状態を模式化して示す図である。
【図9】第3の実施形態による停弾装置を設置した射撃場の構成を側面方向から見た状態について模式化して示す図である。
【図10】従来の一般的な射撃場の構成を側面方向から見た状態について模式化して示す図である。
【図11】従来のシート式停弾装置が設置された射撃場の構成を模式化して示す図である。
【図12】図11の射撃場の斜視状態を模式化して示す図である。
【図13】弾丸の飛翔方向の標的中心に関する分布を説明する図である。
【符号の説明】
【0053】
2 標的
3 銃器
8 弾丸
21、41、51 停弾装置
23 捕捉体
26 トラップ材
42 貫通検出機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃器から標的に向けて発射される弾丸を標的の後方で停弾させるために射撃場に設けられる停弾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な射撃場は、図10に示すように、予め決められている射座から射手1が標的2に向けて銃器3による射撃を行うようになっており、標的2の手前には標的2の駆動機構4を保護するための防弾堤5が設けられ、また標的2の後方にはバックストップとも呼ばれる停弾装置6が設けられ、さらに停弾装置6の下部に集弾溝7が設けられている。このような射撃場では、射座に着いた射手1が標的2に向けて拳銃やライフル銃など銃器3で実弾射撃を行うと、銃器3から発射された弾丸8が標的2の方向に飛翔する。その弾丸8は、標的2に当ってそれを貫通した後、又は標的2に当らずに直接に停弾装置6に到達する。
【0003】
停弾装置6は、弾丸8が貫通することのない強度を有した鋼板で形成されている。そのため停弾装置6に到達した弾丸8は、停弾装置6に衝突して停弾し、その際の衝撃で破砕する。停弾装置6での衝突破砕で発生する破砕片ないし破砕弾丸9は、停弾装置6の下部における集弾溝7に落下して集積され、またその一部が跳弾10となって射手側へ飛散する場合もある。なお、応用射撃訓練では、必ずしも射座が決まっていない場合もある。
【0004】
以上のように従来の一般的な射撃場では、停弾装置に弾丸が衝突して破砕する構造になっており、そのために鉛粉問題があった。具体的には、弾丸の破砕で発生する鉛粉(鉛蒸気)により射撃場やその周辺の環境が汚染され、また標的2への着弾位置の確認のために標的付近に採点者が接近する場合や、集弾溝に集積した破砕弾丸などの回収作業時に作業員が鉛粉を摂取して健康被害を受ける可能性があるなどの問題である。
【0005】
こうしたことから弾丸を破砕させずに停弾させることのできる停弾装置が望まれ、例えば特許文献1や特許文献2に開示されるような非破砕停弾型の停弾装置が開発されている。
【0006】
特許文献1の停弾装置は、粒状材を堆積して構成され、その堆積粒状材で弾丸の運動エネルギを吸収することにより停弾させる。したがって弾丸を破砕せずに停弾させることができる。なお、本明細書ではこのような停弾装置を仮に粒状材式と呼ぶ。
【0007】
一方、特許文献2の停弾装置(バックストップ)は、図11と図12に示すように、射撃方向で重なるように配列される平板状の繊維入り硬質ゴム素材よりなる複数のシート状のトラップ材12に鋼板13を組み合わせた構成され、個々にはトラップ材12が弾丸の貫通を許容するようになっており、その貫通に際して運動エネルギを減衰させつつ弾丸を停弾させる。したがって弾丸を破砕せずに停弾させることができる。なお、本明細書ではこのような停弾装置を仮にシート式と呼ぶ。
【0008】
【特許文献1】特開2002−318097号公報
【特許文献2】特開2006−97932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1や特許文献2の非破砕停弾型の停弾装置は、弾丸を破砕せずに停弾させることで鉛粉問題を効果的に解消できるという点でいずれも優れている。しかし特許文献1のような粒状材式の停弾装置には、一つの問題がある。それは、粒状材を堆積した構造であることから、設置に際して大規模な工事を必要とし、既設の射撃場への設置に難があるという問題である。一方、特許文献2のようなシート式の停弾装置には設置工事に関する問題はない。したがって既設の射撃場における鉛粉問題の解消にはシート式の停弾装置がより適しているといえる。
【0010】
しかしシート式の停弾装置には、トラップ材の損傷問題がある。シート式の停弾装置では、弾丸をトラップ材に貫通させることから、繰り返される弾丸の貫通でトラップ材が損傷し、それによりトラップ材の弾丸に対する運動エネルギ減衰能力が減退する。そして、そうした損傷が進むと効果的な停弾をなせずに弾丸が停弾装置を貫通するようになってしまう。このため一定以上にトラップ材が損傷したら、それを交換したり補修したりする保守作業が必要となる。
【0011】
このようなトラップ材の損傷問題に関し、特許文献2の停弾装置は、トラップ材の損傷の進行が速くて頻繁な保守作業を必要とするという問題があり、またトラップ材の利用効率が悪くなるという問題もある。これらの問題は、トラップ材を射撃方向に配列して重ねる構造としていることに関係している。すなわちトラップ材を射撃方向に配列して重ねる構造では、標的とトラップ材の位置関係が固定的にならざるを得ず、このことでトラップ材の損傷の進行が速まり、またトラップ材の利用効率を悪くする。具体的には以下のとおりである。
【0012】
銃器から発射される弾丸の飛翔方向は、図13に示すように、標的の中心に関して正規分布する傾向となり、射撃の習熟度にもよるが、一般的な射撃場においては発射弾丸の95%以上が標的(これは750mm×750mmサイズとされており、1.2m以上の間隔で配置されるのが一般的な例である)に集中するといわれている。こうした発射弾丸の標的への集中に標的とトラップ材の位置関係の固定性が組み合わさると、標的を目標として発射される弾丸がトラップ材の特定の部位に集中的に着弾することになり、そのために停弾機能に関してトラップ材の損傷の進行が速められることになる。
【0013】
また標的とトラップ材の位置関係が固定的であることは、上述のような集中的な着弾により特定部位で主に生じる損傷でトラップ材の交換や補修を必要とすることにつながる。つまり着弾頻度が小さくて余り損傷されていない領域を多く残した状態でトラップ材の交換や補修を必要とすることにつながり、そのためにトラップ材の利用効率が悪くなる。
【0014】
特許文献2の停弾装置においても、トラップ材の継ぎ目が前後方向に一直線に並ばないように配列することが特徴とされており、図12のAの経路で進入する弾丸に対して、他の経路に比べ弾丸通過経路中のトラップ材が少ないことになり構造的にAの継ぎ目部は標的間の弾丸の比較的集中しない位置としなければならない。このことから、特許文献2の停弾装置においても標的とトラップ材の位置関係が固定的とならざるを得ない。
【0015】
本発明は、以上のような事情を背景になされたものであり、シート式の停弾装置について、トラップ材の損傷問題を改善して保守作業の負担を軽減できるようにし、またトラップ材の利用効率を向上できるようにすること、さらに弾丸の集中頻度及び使用銃器の威力に対応して停弾装置の耐久性を任意に設定及び調整できることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、上記課題を解決するために、標的に向けた射撃で銃器から発射される弾丸を前記標的の後方で停弾させるために射撃場に設けられる停弾装置において、粘弾性材でシート状に形成され、前記弾丸に運動エネルギの減衰を生じさせつつ貫通を許容するようにされたトラップ材を組み合わせて構成され、前記トラップ材による運動エネルギの減衰で前記弾丸を停弾させて捕捉するようにされた捕捉体を備えており、前記捕捉体における前記トラップ材は、射撃方向に対して交差する方向に配列され、かつ射撃方向に対して所定の角度で傾く状態に配置されることで複数枚が射撃方向で重なるようにされていることを特徴としている。
【0017】
このように本発明の停弾装置では、トラップ材を射撃方向に対して交差する方向に配列し、かつその配列にあってトラップ材を射撃方向に対して所定の角度で傾く状態に配置することで複数枚のトラップ材が射撃方向で重なるようしている。つまりトラップ材を射撃方向交差配列かつ射撃方向傾斜配置とすることでトラップ材の重なりを与えるようにしている。このため本発明の停弾装置では、トラップ材の傾き角度を変えることでトラップ材に対する着弾位置を変えることが可能であり、また配列方向での各トラップ材の位置を標的との位置関係に関して変えることが可能であり、さらにトラップ材の重なり枚数をトラップ材の配列方向で部分的に異ならせることが可能である。そしてこうした特性により、トラップ材の利用効率を高めることができ、またトラップ材の損傷の進行を遅くすることができる。具体的には以下のとおりである。
【0018】
トラップ材の傾き角度を変えることでトラップ材に対する着弾位置を変えることが可能であることにより、着弾がトラップ材の特定部位に集中するのを避けることが可能となり、トラップ材の利用効率を高めることができるとともに、トラップ材の損傷の進行を遅らせることができる。
【0019】
配列方向での各トラップ材の位置を標的との位置関係に関して変えることが可能であることにより、着弾頻度の低い部位に位置させていたトラップ材を着弾頻度の高い部位に位置させることができ、したがって捕捉体を構成する各トラップ材へ着弾頻度を平均化することが可能となり、このことにより特定のトラップ材に着弾が集中するのに比べて、トラップ材の損傷の進行を平均的に遅くすることができ、さらに弾丸の集中頻度及び使用銃器の威力に対応して停弾装置の耐久性を任意に設定及び調整できる。
【0020】
トラップ材の重なり枚数をトラップ材の配列方向で部分的に異ならせることが可能であることにより、重なり枚数の多い密な部分と重なり枚数の少ない粗な部分をトラップ材の配列方向で交互的に形成させることができ、したがって着弾頻度の高い部位では高い停弾性を確保するために密とし、着弾頻度の低い部位では粗とすることができる。つまりトラップ材の配列を着弾頻度に応じた配列とすることができるということであり、これによりトラップ材の利用効率を高めることができる。
【0021】
また本発明の停弾装置では、トラップ材を射撃方向傾斜配置としていることにより、個々のトラップ材における弾丸に対する運動エネルギ減衰能力を実効的に高めることができる。トラップ材による弾丸の運動エネルギ減衰は、主に弾丸がトラップ材を貫通するのに伴ってなされる。このため個々のトラップ材の運動エネルギ減衰能力は、弾丸がトラップ材を貫通する際の貫通長に相関し、したがってトラップ材の厚さに相関することになる。これについて、トラップ材の射撃方向傾斜配置における傾斜角度をθ、トラップ材の厚さをtとして、実効的な貫通長はt/sinθとなり、トラップ材を射撃方向傾斜配置とすることにより貫通長を実効的に長くすることができ、したがって個々のトラップ材の運動エネルギ減衰能力を実効的に高めることができ、このことでもトラップ材の利用効率を高めることができる。
【0022】
本発明の停弾装置は、上記のようにトラップ材の傾き角度を変えたり、配列方向での各トラップ材の位置を標的との位置関係に関して変えたり、トラップ材の重なり枚数をトラップ材の配列方向で部分的に異ならせたりすることが可能という特性を有している。したがってこのような特性を有効に活かすために本発明では、上記のような停弾装置について、前記トラップ材の傾き角度を変えることができるようにするのを好ましい形態の1つとし、また前記トラップ材の前記配列方向での位置を変えることができるようにするのを好ましい形態の1つとし、さらに前記トラップ材の重なり枚数を前記トラップ材の配列方向で部分的に異ならせるようにするのを好ましい形態の1つとしている。
【0023】
また本発明では、上記のような停弾装置について、前記傾斜配置における傾き角度を45度〜70度とすることを好ましい形態としている。
【0024】
上記のような停弾装置では、トラップ材が一定以上に損傷すると弾丸が捕捉体を貫通する状態になるが、そのような状態になったらトラップ材の交換や補修を行う保守作業時期となる。この場合、捕捉体を弾丸が1発でも貫通したら保守作業を行えるようにするのが望ましい。そこで、本発明では、上記のような停弾装置について、前記捕捉体を前記弾丸が貫通したことを検出する貫通検出機構が前記捕捉体の後方に設けることを好ましい形態としている。このようにすることにより、捕捉体を弾丸が貫通することがあれば、そのことを貫通検出機構で検出することができ、最善のタイミングで保守作業を行えるようになる。
【発明の効果】
【0025】
以上のような本発明によれば、シート式の停弾装置について、トラップ材の損傷問題が改善されて保守作業の負担を軽減できるとともに、トラップ材の利用効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に、第1の実施形態による停弾装置21を設置した射撃場の構成を示す。なお、図1の射撃場は、基本的には上述した図10の射撃場と同様である。したがって図10の射撃場と共通する要素については、図10と同一の符号で示し、上での説明を援用するものとする。
【0027】
本実施形態の停弾装置21は、バックプレート22、捕捉体23、及び弾丸回収装置24を備えている。
【0028】
バックプレート22は、捕捉体23を貫通する弾丸があった場合に、その弾丸を停弾させて捕捉するのに機能する要素であり、適度な厚さの鋼板で形成され、標的2の方向に傾くようにして設けられている。またバックプレート22は、基端部に集弾溝25が形成され、停弾させた弾丸をこの集弾溝25に落下させて集積できるようにされている。
【0029】
捕捉体23は、図2と図3(a)、図3(b)、図3(c)に示すように、複数のトラップ材26を組み合わせて形成されている。また捕捉体23は、図1に示すように、バックプレート22に吊下げ状態で取り付けられている。具体的には、バックプレート22にその先端部寄りの位置でブラケット27を突設するとともに、ブラケット27に吊下げ機構28を設け、この吊下げ機構28で捕捉体23を吊り下げている。
【0030】
吊下げ機構28は、トラップ材26の後述のような射撃方向交差配列における配列方向に延在するようにしてブラケット27に取り付けたカーテンレール構造の吊りレール29、及びこの吊りレール29に移動可能に係合させた複数のフック30を備えてなり、そして吊りレール29が2列で設けられ、その2列の吊りレール29それぞれのフック30による2点支持でトラップ材26を個々に吊り下げるようにされている。このためトラップ材26は、後述のような射撃方向傾斜配置における傾斜角度θ(図3(a))を保った状態で個々に配列方向で移動させることができるようになっている。
【0031】
トラップ材26は、粘弾性材を用いて縦長の長方形状のシート状に形成され、銃器3から発射される弾丸8に運動エネルギの減衰を生じさせつつ貫通を許容するような粘弾性を有するようにされている。粘弾性材としては、例えば弾粘性の高いゴムやプラスチック、あるいは強化繊維布や網目材などを用いることができ、またこられを複合した複合材を用いることができる。
【0032】
こうしたトラップ材26は、捕捉体23にあって射撃方向交差配列かつ射撃方向傾斜配置にして組み合わされ、それにより複数枚が射撃方向で重なるようにされている。射撃方向交差配列とは、射撃方向に交差する方向、より具体的には標準射撃方向に交差する方向でトラップ材26を配列する配列方式であり、標準射撃方向との交差状態は直交とするのが通常である。一方、射撃方向傾斜配置とは、標準射撃方向に対して所定の角度で傾けるようにしてトラップ材26を配置する配置方式であり、トラップ材26を配列方向に所定の角度で傾けるようにして配置する配置方式であるともいえる。このような射撃方向傾斜配置における傾斜角度θ(図3(a))は、45度〜70度とするのが特に好ましい。ここで、標準射撃方向とは、標的2に向けた射撃で標準的に生じる射撃方向であり、標的2のターゲット中心を通って標的2に直交する線分、つまり標的中心線の方向に相当する。
【0033】
以上のような射撃方向交差配列と射撃方向傾斜配置で組み合わされているトラップ材26は、吊下げ機構28によりトラップ材26が配列方向で個々に移動できるようになっていることから、配列方向で重なり枚数を部分的に異ならせる、つまり重なり枚数の多い密な部分と重なり枚数の少ない粗な部分を配列方向で交互的に形成させることが可能で、本実施形態でもそのようにしている。具体的には、密部31と粗部32を交互に形成し図3(b)のように配置する。そして図3(c)のように密部31が形成する平行四辺形の面積中心と、標的2に対応する部位、つまり着弾頻度が高い部位に位置させ(これは、密部31が形成する平行四辺形の面積中心が標的2中心線に一致するように位置させることでもある)、粗部32は、標的2と標的2の間に対応する部位に位置させるようにしている。
【0034】
このように密部31と粗部32を形成した場合、標的中心における射撃方向のトラップ材26の重なり枚数が最大になり、標的中心から離れるにしたがってトラップ材26の重なり枚数が少なくなる。図3の例であれば、矢視A−Aで示す密部31の中心部では重なり枚数10、矢視B-Bで示す部位では重なり枚数8、矢視C-Cで示す部位では重なり枚数6、矢視D-Dで示す部位では重なり枚数5となっている。このようなトラップ材26の重なり枚数分布は、図13に示した弾丸の飛翔方向分布とよく対応している。このことは、標的2との関係での着弾頻度に応じた停弾性を捕捉体23に与えることになり、トラップ材26の利用効率を高めることができる。
【0035】
以上のように密部31と粗部32を形成するについては、図4に示すように、着弾頻度の高い密部31に位置していたことで一定以上に損傷が進行した損傷部33を生じているトラップ材26を着弾頻度の低い粗部32に移動する一方で、粗部32に位置していたことで余り損傷していないトラップ材26を密部31に移動するというように、密部31と粗部32それぞれに位置するトラップ材26を交替させることも可能である。そしてそのようにすることにより、捕捉体23を構成する各トラップ材26の着弾頻度を均一化することが可能となり、トラップ材26の損傷の進行を平均的に遅らせることができる。
【0036】
さらに、この弾丸進行方向のトラップ材の重なり枚数を任意に設定できる機能は、設置射撃場における弾丸の集中頻度及び使用銃器の威力に対応して停弾装置の耐久性を任意に設定及び調整できる利点もある。
【0037】
図5に示すのは、捕捉体23による弾丸8の停弾捕捉の原理である。銃器3から発射された弾丸8は図5の(A)のようにして捕捉体23に侵入し、順次トラップ材26を貫通しながら捕捉体23内を進み、トラップ材26を貫通するごとに運動エネルギを減衰させて減速する。そしてトラップ材26を貫通できないまでに減速した状態になると、弾丸8は、その状態を生じた位置におけるトラップ材26を弾性変形させながらさらに運動エネルギを減衰させ、これにより発射方向の速度成分を失って停弾する(図5の(B)〜(D))。このため破砕や鉛粉の発生を伴うことなく弾丸8を停弾捕捉することができる。
【0038】
ここで、弾丸8がトラップ材26を貫通する場合の実効的な貫通長は、トラップ材26が傾斜角度θで射撃方向傾斜配置とされていることから、トラップ材26の厚さをtとして、t/sinθとなる。つまりトラップ材26の厚さtよりも長い貫通長を得られることになる。例えばトラップ材26が繊維入り硬質ゴム材で形成されており、その厚さt=9mmであるとする。このようなトラップ材26を従来の停弾装置のように射撃方向に直交するように配置して重ねる射撃方向直交配置とした場合、38口径拳銃弾であると、その停弾に必要なトラップ材26の重ね枚数は6枚程度である。一方、本実施形態におけるような射撃方向傾斜配置であると、実効貫通長L=9mm/sin(60度)=10.4mmとなり、実効貫通長Lが厚さtのほぼ115%となる。このためトラップ材26の重ね枚数5枚で同等の停弾性能が得られることになり、したがってトラップ材の利用効率を高めることができる。
【0039】
図5に戻って、発射方向速度成分を失って停弾した弾丸8は、その位置でのトラップ材26の弾性で押し戻されるようになり、隣接する2枚のトラップ材26の間のトラップ材間隙34に捕捉される(図5の(D)〜(F))。トラップ材間隙34に捕捉された弾丸8は、トラップ材間隙34を自重で落下する。この弾丸8の自重落下については、トラップ材間隙34の幅D、つまりトラップ材26の重なり間隔Dを弾丸8の径dよりも広くしてあることが望ましい。つまりD>dとすることで、弾丸8の自重落下を生じさせ易くなるということである。
【0040】
トラップ材間隙34を自重落下する弾丸8は、捕捉体23の下方に設けられている弾丸回収装置24に落ち込む。弾丸回収装置24は、上部開放の箱構造又は溝構造、あるいはベルトコンベア構造などで形成されおり、捕捉体23が捕捉した弾丸を回収するのに用いられる。
【0041】
以上のような弾丸の停弾捕捉にあっては、トラップ材26の重なり間隔Dを広くするほど捕捉弾丸を落下させ易くなる(図5の(G))。しかし間隔Dを広くすると、捕捉体23の厚さが厚くなる。つまり捕捉体23が大型化するという不利益がもたらされる。したがって、間隔Dは、後続の弾丸でトラップ材26が振動することで落下が促進されることを前提にした上で、捕捉弾丸の安定的な落下を得られる範囲で必要最小限とするのが好ましい。
【0042】
図6に示すのは、射撃方向傾斜配置の各トラップ材26の傾斜角度θを変えることができるようにした場合である。この場合、吊りレール29を1列として、各トラップ材26を1点支持で吊り下げるようにしている。このためトラップ材26は、その1点支持における支持点を中心に回転させることができ、したがって傾斜角度θを変えることができる。図6では、この回転(傾斜角度の変更)と上述の配列方向での移動を組み合わせることで、損傷部33を生じているトラップ材26を着弾頻度の低い粗部32に移動させ、さらに損傷部33を捕捉体23の裏側に位置させる例を示している。このようにトラップ材26の傾斜角度θを可変とすることでトラップ材26に対する着弾位置を変えることが可能となり、したがって着弾がトラップ材26の特定部位に集中するのを避けることが可能となり、このことでもトラップ材26の利用効率を高めることができるとともに、トラップ材の損傷の進行を遅くすることができる。
【0043】
図7と図8に、第2の実施形態による停弾装置41を設置した射撃場の構成を示す。なお、図7と図8の射撃場は、基本的には図1の射撃場と同様で、また停弾装置41は、基本的には図1の停弾装置21と同様である。したがって図1の射撃場や停弾装置21と共通する要素については、図1と同一の符号で示し、上での説明を援用するものとする。
【0044】
停弾装置41は、捕捉体23の後方に貫通検出機構42が設けられている。貫通検出機構42は、非貫通性膜体43と貫通検出器44を備えてなる。非貫通性膜体43は、粘弾性材を用いて弾丸8が貫通することのない程度の強度の膜状に形成されるとともに、捕捉体23と同じ程度の形状サイズで形成され、捕捉体23に近接した位置で捕捉体23の後方を全体的に覆うようにしてブラケット27に取り付けられている。貫通検出器44は、非貫通性膜体43に一定以上の衝撃が加わった場合にそれを検出できるようにされている。
【0045】
このような貫通検出機構42は、捕捉体23を弾丸8が貫通した場合にそのことを検出するのに機能する。すなわち各トラップ材26の損傷が進むことで捕捉体23の停弾機能が低下して弾丸8が捕捉体23を貫通することがあった場合、その弾丸8は、非貫通性膜体43に衝突して停弾され、その際に非貫通性膜体43に一定以上の衝撃を与える。その衝撃は、例えば非貫通性膜体43が弾丸8の進行方向に移動する現象を起こし貫通検出器44に接続した紐を引っ張るといった状態として貫通検出器44で検出され、これにより弾丸の捕捉体貫通を検出することができる。
【0046】
弾丸8が捕捉体23を貫通することがあるようになると、トラップ材26の交換や補修を行う保守作業時期となるが、本実施形態のように貫通検出機構42を設けて弾丸8の捕捉体23の貫通を検出できるようにすることで、保守作業時期を的確に判定することができ、最善のタイミングで保守作業を行えるようになる。
【0047】
以上のような本実施形態は、捕捉体23を貫通する弾丸8を粘弾性材による非貫通性膜体43で停弾させるようにしていることから、弾丸8に破砕を生じさせずに済むという利点がある。
【0048】
図9に、第3の実施形態による停弾装置51を設置した射撃場の構成を示す。なお、図9の射撃場は、基本的には図1の射撃場と同様で、また停弾装置51は、基本的には図1の停弾装置21と同様である。したがって図1の射撃場や停弾装置21と共通する要素については、図1と同一の符号で示し、上での説明を援用するものとする。
【0049】
停弾装置51は、バックプレート22が貫通検出機構を兼ねるようにされている。具体的には、例えば振動センサ構造あるいはひずみゲージ構造とされる貫通検出器52をバックプレート22に取り付けている。そして弾丸8が捕捉体23を貫通するようなことがあった場合にその弾丸8をバックプレート22に衝突停弾させ、その際に生じるバックプレート22の振動や歪を貫通検出器52で検出することにより、弾丸8の捕捉体23の貫通を検出するようにしている。このような本実施形態でも弾丸8の捕捉体23の貫通を検出することで保守作業時期を的確に判定することができ、最善のタイミングで保守作業を行えるようになる。
【0050】
以上のような本実施形態は、バックプレート22を貫通検出機構に兼用するようにしていることから、構造の簡易化と低コスト化を図れるという利点がある。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、これらは代表的な例に過ぎず、本発明はその趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。例えば上記実施形態では、捕捉体を貫通した弾丸を非貫通性膜体やバックプレートに衝突させ、その衝突衝撃を指標として弾丸の捕捉体貫通を検出するように貫通検出機構を構成していたが、これに代えてレーザ光方式で貫通検出機構を構成することも可能である。すなわち捕捉体の背面を覆うようにレーザ光による膜を形成し、そのレーザ光膜におけるレーザ光の弾丸による遮断を指標として弾丸の捕捉体貫通を検出する貫通検出機構である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態による停弾装置を設置した射撃場の構成を側面方向から見た状態について模式化して示す図である。
【図2】図1の射撃場の斜視状態を模式化して示す図である。
【図3】捕捉体におけるトラップ材の配列と配置の状態を模式化して示す図である。
【図4】トラップ材の移動について説明する図である。
【図5】捕捉体による弾丸の停弾捕捉の原理を説明する図である。
【図6】トラップ材の移動と回転について説明する図である。
【図7】第2の実施形態による停弾装置を設置した射撃場の構成を側面方向から見た状態について模式化して示す図である。
【図8】図7の射撃場の斜視状態を模式化して示す図である。
【図9】第3の実施形態による停弾装置を設置した射撃場の構成を側面方向から見た状態について模式化して示す図である。
【図10】従来の一般的な射撃場の構成を側面方向から見た状態について模式化して示す図である。
【図11】従来のシート式停弾装置が設置された射撃場の構成を模式化して示す図である。
【図12】図11の射撃場の斜視状態を模式化して示す図である。
【図13】弾丸の飛翔方向の標的中心に関する分布を説明する図である。
【符号の説明】
【0053】
2 標的
3 銃器
8 弾丸
21、41、51 停弾装置
23 捕捉体
26 トラップ材
42 貫通検出機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的に向けた射撃で銃器から発射される弾丸を前記標的の後方で停弾させるために射撃場に設けられる停弾装置において、
粘弾性材でシート状に形成され、前記弾丸に運動エネルギの減衰を生じさせつつ貫通を許容するようにされたトラップ材を組み合わせて構成され、前記トラップ材による運動エネルギの減衰で前記弾丸を停弾させて捕捉するようにされた捕捉体を備えており、前記捕捉体における前記トラップ材は、射撃方向に対して交差する方向に配列され、かつ射撃方向に対して所定の角度で傾く状態に配置されることで複数枚が射撃方向で重なるようにされていることを特徴とする停弾装置。
【請求項2】
前記トラップ材の傾き角度を変えることができるようにされていることを特徴とする請求項1に記載の停弾装置。
【請求項3】
前記トラップ材の前記配列方向での位置を変えることができるようにされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の停弾装置。
【請求項4】
前記トラップ材の重なり枚数を前記トラップ材の配列方向で部分的に異ならせるようにされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の停弾装置。
【請求項5】
前記傾斜配置における傾き角度は45度〜70度とされることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の停弾装置。
【請求項6】
前記捕捉体を前記弾丸が貫通したことを検出する貫通検出機構が前記捕捉体の後方に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の停弾装置。
【請求項1】
標的に向けた射撃で銃器から発射される弾丸を前記標的の後方で停弾させるために射撃場に設けられる停弾装置において、
粘弾性材でシート状に形成され、前記弾丸に運動エネルギの減衰を生じさせつつ貫通を許容するようにされたトラップ材を組み合わせて構成され、前記トラップ材による運動エネルギの減衰で前記弾丸を停弾させて捕捉するようにされた捕捉体を備えており、前記捕捉体における前記トラップ材は、射撃方向に対して交差する方向に配列され、かつ射撃方向に対して所定の角度で傾く状態に配置されることで複数枚が射撃方向で重なるようにされていることを特徴とする停弾装置。
【請求項2】
前記トラップ材の傾き角度を変えることができるようにされていることを特徴とする請求項1に記載の停弾装置。
【請求項3】
前記トラップ材の前記配列方向での位置を変えることができるようにされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の停弾装置。
【請求項4】
前記トラップ材の重なり枚数を前記トラップ材の配列方向で部分的に異ならせるようにされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の停弾装置。
【請求項5】
前記傾斜配置における傾き角度は45度〜70度とされることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の停弾装置。
【請求項6】
前記捕捉体を前記弾丸が貫通したことを検出する貫通検出機構が前記捕捉体の後方に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の停弾装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−281596(P2009−281596A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131386(P2008−131386)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]