説明

健常者と障害者が一体となって行う清掃方法

【課題】 健常者とチャレンジドが一緒になって作業を行う清掃方法を確立する。
【解決手段】
健常者とチャレンジドが一緒になって作業を行う清掃方法であって、清掃場所を調査する工程と、その中から健常者だけが行う作業を選び出す工程と、チャレンジドと一緒に作業を行う工程と、チャレンジドだけが行う工程と、更に清掃作業を行うための時間を決める工程とからなる清掃作業を決める。チャレンジドが行う工程については、ケミカルを使用しない場所であることを特徴とする。さらに、清掃場所を調査する工程と、その中から健常者だけが行う作業を選び出す工程と、チャレンジドと一緒に作業を行う工程と、チャレンジドだけが行う工程と、更に清掃作業を行うための時間を決める工程とからなる清掃作業を決めた工程表を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害者が清掃作業を容易にできるようにするための清掃方法に関する。ここでの「障害者」には、身体機能障害者、身体障害者、知的障害者を含む。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルや建物の清掃については、障害者(以下「チャレンジド」という。)の方々が単独で行うには、化学薬品(以下「ケミカル」という。)の使用について複雑な理解を必要とするため、困難であった。
【0003】
一方、近年、清掃方法については、環境保護の観点から、ケミカルの使用については、極力、控えるべきとの要請がでている。とりわけ、北欧においては、ケミカルを使用した清掃について、既に、禁止をしている国も存在する。
【0004】

そこで、出願人は、ケミカルを使用しない清掃について、ここ数年考察を続けている。
【0005】
とりわけ、特願2005−341262号においては、ナノバブル水が清掃対象物に良く付着することに着目して、ケミカルを使用しない清掃方法について、特許出願をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−145961号
【0007】
この流れでいくと、将来、水だけで清掃する方法が実現することになり、とすれば、薬害のない安全な清掃方法が提供できるようになる。このことは、チャレンジドにとっても、安全な清掃作業となるので、これらの方々の社会での活躍の場も増えることになる。
とりわけ、老人保健施設(老人福祉施設を含む)では、チャレンジドの方々が健常者の手助けを得ることなく単独で清掃した場合は、非常に喜ばれる結果を生み出している。
よって、今後は、このチャレンジドの方々が単独でどのような清掃分担をすべきかを考察するのが妥当である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
チャレンジドが薬害のない安全な清掃作業を単独で行える環境にはなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、健常者とチャレンジドが一緒になって作業を行う清掃方法であって、清掃場所を調査する工程と、その中から健常者だけが行う作業を選び出す工程と、チャレンジドと一緒に作業を行う工程と、チャレンジドだけが行う工程と、更に清掃作業を行うための時間を決める工程とからなる清掃作業を決める方法を講じた。
【0010】
上記の課題を解決するため、チャレンジドが行う工程については、ケミカルを使用しない場所であることを特徴とする、清掃方法を講じた。
【0011】
上記の課題を解決するため、健常者とチャレンジドが一緒になって作業を行う清掃方法であって、清掃場所を調査する工程と、その中から健常者だけが行う作業を選び出す工程と、チャレンジドと一緒に作業を行う工程と、チャレンジドだけが行う工程と、更に清掃作業を行うための時間を決める工程とからなる清掃作業を決めた工程表を提供する。
本発明は以上の経緯から生まれたものである。
【0012】
手段:1.チャレンジドに対して、清掃施設の特殊性を考慮して、薬剤を使用しない清掃を行う場面について、予め分かりやすいフリップを使用して、健常者が教えることを特徴とする清掃方法。
2.分担表が、健常者とチャレンジドとに別れていること、更に、一緒に行う作業を記載していること。
【発明の効果】
【0013】
チャレンジドにとっても、安全な清掃作業となるので、これらの方々の社会での活躍の場も増えることになる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1)老人保健施設(老人福祉施設を含む)での清掃例について、説明する。通常、老人保健施設(老人福祉施設を含む)では、フルタイムとパートタイムの健常者による役割分担を行い作業に従事し、場合によってはチャレンジドと一緒に清掃を行う。そして、タイムスケジュールを清掃担当者ごとに決め、その作業時間及び作業内容を記載する(表1、表2)。フルタイム、パートタイム、チャレンジドのそれぞれについて、時間の経過に対する作業内容が分かるようになっている。表1はパートタイム仕様で、午前は、フルタイムとパートタイムが組み、午後は、フルタイムとチャレンジドが組む。表2はフルタイム仕様で、午前・午後ともフルタイムとチャレンジドが組む。
【0015】
施設には、一般に、浴室・トイレ・廊下があり、こちらは汚れが多く、特殊なケミカルを使用するので健常者が中心になって行う。一方、居室については、薬剤が少ないか又は薬剤のない水だけの洗浄による場合があり、比較的、単純な作業も多いので、チャレンジドが単独でも可能である。具体的には、ピンポイントウエットモッピング、隅清掃、洗面台拭き上げがある。これらは、チャレンジドが単独でもできる。また、食堂等、施設利用者を接する場所においては、健常者の管理の下、チャレンジドが可能な作業を分担する。
【表1】

【表2】

【0016】
2)次に、表3について、説明する。表3は、健常者とチャレンジドの作業分担表である。これは、◎と○と▲が清掃項目ごとに記載されている。○は、チャレンジド単独でできる作業である。▲は、チャレンジドにさせてはいけない作業である。◎は、チャレンジドと健常者が一緒にする作業である。これは、1.一緒におこない。2.場所を決める。3.時間を決める。4.区分けシステムから、構築される。
【0017】
清掃対象施設毎の特性とチャレンジドの能力に応じて、タスクと作業分担を決定する。例えば、吐しゃ物、排泄物処理等、誤った処理方法により感染を引き起こす可能性のある作業や、取り扱いの難しいケミカルを使用する作業は、チャレンジドにさせてはいけない。
ゴミ回収においても、病院の医療廃棄物等取り扱いに注意を要するゴミについては、チャレンンジドにさせてはいけない。また、居室等で施設利用者の私物に触れない様、健常者は注意する。
【0018】
床掃除においては、スイーパーや自動床洗浄機などの機械を使う作業は、チャレンジドには難しいことが分かった。一方で、モッピングやダスティングについては、チャレンジドが単独でできることが分かった。
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、清掃業界という産業で利用の可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健常者とチャレンジドが一緒になって作業を行う清掃方法であって、清掃場所を調査する工程と、その中から健常者だけが行う作業を選び出す工程と、チャレンジドと一緒に作業を行う工程と、チャレンジドだけが行う工程と、更に清掃作業を行うための時間を決める工程とからなる清掃作業を決める方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、チャレンジドが行う工程については、ケミカルを使用しない場所であることを特徴とする、清掃方法。
【請求項3】
健常者とチャレンジドが一緒になって作業を行う清掃方法であって、清掃場所を調査する工程と、その中から健常者だけが行う作業を選び出す工程と、チャレンジドと一緒に作業を行う工程と、チャレンジドだけが行う工程と、更に清掃作業を行うための時間を決める工程とからなる清掃作業を決めた工程表。

【公開番号】特開2011−296(P2011−296A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146155(P2009−146155)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(500167135)東栄部品株式会社 (4)