説明

健康状態測定装置

【課題】本発明は、水素などの共存ガスが存在する排便ガスから、硫化水素を精度よく測定することができる健康状態測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するため請求項1記載の本発明による健康状態測定装置は、排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、前記ガスセンサはそれぞれ前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、それぞれの前記ガスセンサで前記第1応答特性どうしと前記第2応答特性どうしの少なくとも一方が異なり、それぞれの前記ガスセンサの前記第1応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化水素を精度よく測定することができる健康状態測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排便時に併発するガス(以下排泄ガスと呼ぶ)を検出し、その検出結果に基づいて、人間の健康状態を判断する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ガスセンサを用いて放屁に含まれる有臭ガスを検出し、そのガスセンサからの信号値を直接或いは匂い分析などの適当な処理を行って表示することが開示されている。また、例えば、特許文献2には、脱臭体に吸着された臭気成分を酸化させてその酸化電流から臭気成分濃度を測定する技術が開示されている。
【0003】
特許文献3は、腸内状態報知装置およびその方法に関する本出願人の発明である。この装置では、排泄ガス中の水素ガスをガスセンサで測定し、ガスセンサから出力された信号値に対応した腸内状態情報を腸内健康度判定用付属情報から抽出してユーザに報知するものである。腸内状態情報としては、腸内に存在する種々の菌の総数、ビフィズス菌の数、悪玉菌の数、腸内菌の総数のうちのビフィズス菌数の割合、又は、腸内菌の総数のうちの悪玉菌数の割合等を採用している。
【0004】
また、本出願人の発明である特許文献4では、排泄ガスの測定結果を腸内状態指標、例えば腸内細菌バランスに換算して使用者に報知する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−43182号公報。
【特許文献2】特開平8−211048号公報。
【特許文献3】特開2005−315836号公報。
【特許文献4】特開2007−89857号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、腸内状態を正確に推定するにはターゲットとするガス成分を精度良く測定することが重要である。特に有臭ガス、例えば硫化水素を測定して腸内状態を推定する場合、数ppmレベルの濃度を正確に測定することが求められる。硫化水素センサの例として定電位電解型センサと半導体型センサが挙げられ、中でも半導体型センサは長寿命で安価との利点がある。
しかし、これらの硫化水素センサはターゲット成分に対する特異性が低い難点がある。例えば硫化水素センサが水素に対しても一定の応答を示すが、排便ガスの中には水素ガスの濃度レベルが硫化水素の数十倍、場合には数千倍に達するので、そのまま使用しても硫化水素の濃度を推測することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、水素など共存ガスが存在する排便ガス中の硫化水素を精度よく測定することができる健康状態測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1記載の本発明による健康状態測定装置は、排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、前記ガスセンサはそれぞれ前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、それぞれの前記ガスセンサで前記第1応答特性どうしと前記第2応答特性どうしの少なくとも一方が異なり、それぞれの前記ガスセンサの前記第1応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする。
上記課題を解決するため請求項2記載の本発明による健康状態測定装置は、排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、前記複数のガスセンサの間に硫化水素除去部を備え、前記硫化水素除去部の上流側に位置する第1ガスセンサは、前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、前記硫化水素除去部の下流側に位置する第2ガスセンサは、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、それぞれの前記ガスセンサで前記第2応答特性どうしが異なり、前記第1ガスセンサの前記第1応答特性、第1ガスセンサの前記第2応答特性および前記第2ガスセンサの前記第2応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする。
また、上記課題を解決するため請求項3記載の本発明による健康状態測定装置は、排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、前記複数のガスセンサの間に硫化水素除去部を備え、前記硫化水素除去部の上流側に位置する第1ガスセンサは、前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、前記硫化水素除去部の下流側に位置する第2ガスセンサは、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、それぞれの前記ガスセンサで前記第2応答特性どうしが同一であり、前記第1ガスセンサの前記第1応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
排便ガス中の硫化水素以外の共存ガスによる影響を除去し、硫化水素を精度よく測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態を説明するのに先立って、本発明の作用効果について説明する。
【0011】
本発明による第一の健康状態測定装置は、排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、前記ガスセンサはそれぞれ前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、それぞれの前記ガスセンサで前記第1応答特性どうしと前記第2応答特性どうしの少なくとも一方が異なり、それぞれの前記ガスセンサの前記第1応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、硫化水素に対する第1応答特性と硫化水素以外のガスに対する第2応答特性を有する性能の異なる二つのセンサの出力から、排泄ガス中の硫化水素の濃度を精度良く測定して健康状態を推定する健康状態測定装置を提供することができる。
本発明による第2の健康状態測定装置は、排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、前記複数のガスセンサの間に硫化水素除去部を備え、前記硫化水素除去部の上流側に位置する第1ガスセンサは、前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、前記硫化水素除去部の下流側に位置する第2ガスセンサは、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、それぞれの前記ガスセンサで前記第2応答特性どうしが異なり、前記第1ガスセンサの前記第1応答特性、第1ガスセンサの前記第2応答特性および前記第2ガスセンサの前記第2応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、2つのガスセンサの間に硫化水素除去部を備えるので、排泄ガス中の硫化水素の濃度を精度良く測定して健康状態を推定する健康状態測定装置を提供することができる。
本発明による第3の健康状態測定装置は、排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、前記複数のガスセンサの間に硫化水素除去部を備え、前記硫化水素除去部の上流側に位置する第1ガスセンサは、前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、前記硫化水素除去部の下流側に位置する第2ガスセンサは、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、それぞれの前記ガスセンサで前記第2応答特性どうしが同一であり、前記第1ガスセンサの前記第1応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、硫化水素以外の成分に対して同一の応答特性を備えるガスセンサを使用することにより、硫化水素に対する応答特性のみ利用して硫化水素濃度を演算するので、演算部を簡略化することができる。
【0012】
以下に添付図面に基づいて本発明の実施形態を具体的に説明する。まず第一の実施例を図1から図2に基いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の健康状態測定装置を搭載した人体洗浄装置組込タイプ洋式便器の一例を示す(部分透視)外観図である。
【0014】
便器1の便座2と便鉢3周縁の頂部との間に設けたスペースを利用して脱臭ファン用排気通路4が設置されている。脱臭ファン用排気通路4内には、脱臭ファン5、およびふたつのガスセンサからなるガスセンサ7が取り付けられている。
【0015】
また、制御部8および演算部9は一体化して便座2の後部内に組み込まれ、さらに、制御部8により算出された結果である腸内状態指標データの表示部10が、人体洗浄装置の操作パネル11に組み込まれている。ガスセンサ7と演算部9とのデータ交換は結線により、また制御部8と表示部10とのデータ交換は赤外線により行っている。なお、演算部9はガス濃度を演算する演算機能の外に、データ記憶部およびガスセンサ7を制御するガスセンサ制御部を備えている。また、制御部8は得られた硫化水素濃度を含めた測定結果から腸内状態指標に変換する機能を担う。
【0016】
図2は本発明の健康状態測定装置の第1実施例を示す概念図である。脱臭ファン用排気通路4内に、風上側から順に脱臭ファン5、ガスセンサ21、ガスセンサ22が配置されている。
【0017】
演算部9が測定開始信号を同時にガスセンサ21とガスセンサ22に送信し両ガスセンサが作動し始めると、センサに接するガスのガス濃度に応じた出力信号が得られる。ガスセンサ21とガスセンサ22で得られたセンサ出力信号が演算部9に送られ、時系列的に記憶される。また、演算部9の測定終了信号によって両ガスセンサの作動が終了し、センサ出力の信号の記録が終了する。続いて、演算部9では後述の方法にしたがって記憶されたセンサの出力信号からガス濃度を求め、その結果を制御部8に送信し、そこで腸内状態指標を推算し、得られた腸内状態指標が表示部10で表示される。
次に本実施例の演算部9による硫化水素濃度の算出について詳細に説明する。
ガスセンサ21とガスセンサ22はそれぞれ硫化水素に対する第1応答特性および共存ガス(本実施例では水素)に対する第2応答特性を有する。図3はガス濃度とセンサの出力信号との関係から両センサの応答特性に示す概念図である。センサの出力信号はガス濃度と直線的な関係になるように加工されている。図示のように、ガスセンサ21は傾きがαとなる硫化水素に対する第1応答特性、および傾きがβとなる共存ガスの水素に対する第2応答特性を示す。一方、ガスセンサ22も傾きがαとなる硫化水素に対する第1応答特性、および傾きがβとなる共存ガスの水素に対する第2応答特性を示す。ガスセンサ21とガスセンサ22の出力をそれぞれV1とV2とし、硫化水素濃度および水素濃度をそれぞれ[H2S] と[H2]とすると、出力とガス濃度との間に以下の関係が成り立つ。
V1=α[H2S]+β[H2] 式1
V2=α[H2S]+β[H2] 式2
式1と式2から、硫化水素濃度[H2S]が以下の式により求まる:
[H2S]=(V1β−V2β)/(αβ−α2β) 式3
式3から、ガスセンサ21とガスセンサ22の第1応答特性と第2応答特性を用いて、センサの出力から硫化水素の濃度を算出することができる。
以下硫化水素濃度を演算する演算部9の動作に基いて本実施例における硫化水素濃度の測定をさらに説明する。
演算部9は第1演算部と第2演算部を含む。演算部9の第一演算部では前述通り記憶された測定開始から測定終了までのガスセンサ21とガスセンサ22の出力信号データから、それぞれ出力信号の最大値Vp1およびVp2を探し出す。次に、出力信号の最大値Vp1およびVp2をそのままの値、またはそれぞれのガスセンサの最小出力をベースとした相対値をそれぞれガスセンサ21およびガスセンサ22の出力V1およびV2とする。第2演算部では、ガスセンサ21とガスセンサ22の第一応答特性(図3または式3のα、α)および第2応答特性(図3または式3のβ、β)から導いたセンサ出力から硫化水素濃度へ変換する変換表が予め記憶されており、第1演算部で得られたセンサ出力から、記憶されているセンサ出力を硫化水素濃度への変換表を用いて、センサの出力信号に対応する硫化水素濃度を算出する。
以上本発明の第一実施例について説明した。本実施例ではガスセンサ21とガスセンサ22の第1応答特性どうしおよび第2応答特性どうしがともに異なっているが、両特性どうしのどちらか一方が異なるだけでもよい。例えば、第1応答特性どうしが異なり、第2応答特性どうしが同じである場合、式3が次のようになり、第1応答特性のみ用いて硫化水素の濃度を算出することができる。
[H2S]=(V1−V2)/(α−α) 式4)
また、センサの設置場所に関しても、本実施例ではガスセンサ21とガスセンサ22は脱臭ファン用排気通路内に設置しているが、両センサに接する排泄ガスの濃度が実質的に同じであることが担保されれば、他の場所、例えばトイレ装置の便鉢部や便座周辺に設置してもよい。
【0018】
次に、本発明の健康状態測定装置の第2実施例について説明する。図4は本発明の健康状態測定装置の第2実施例を示す概念図である。脱臭ファン用排気通路4内に、ガスの流れの上流側から順に脱臭ファン5、第1ガスセンサ24、硫化水素除去部である脱臭カートリッジ23、および第2ガスセンサ25が配置されている。
【0019】
演算部9が測定開始信号を同時に第1ガスセンサ24と第2ガスセンサ25に送信し両ガスセンサが作動し始めると、センサに接するガスのガス濃度に応じた出力信号が得られる。ガスセンサ21とガスセンサ22で得られたセンサ出力信号が演算部9に送られ、時系列的に記憶される。また、演算部9の測定終了信号によって両ガスセンサの作動が終了し、センサ出力の信号の記録が終了する。続いて、演算部9では後述の方法にしたがって記憶されたセンサの出力信号からガス濃度を求め、その結果を制御部8に送信し、そこで腸内状態指標を推算し、得られた腸内状態指標が表示部10で表示される。
本実施例において、硫化水素除去部の上流側に配置されている第1ガスセンサ24は硫化水素に対する第1応答特性および共存ガス(本実施例では水素)に対する第2応答特性を有する。また、硫化水素除去部の下流側に配置されている第2ガスセンサ25は共存ガス(本実施例では水素)に対する第2応答特性を有する。図5はガス濃度とセンサの出力信号との関係から両センサの応答特性に示す概念図である。センサの出力信号はガス濃度と直線的な関係になるように加工されている。図示するように、第1ガスセンサ24は傾きがαとなる硫化水素に対する第1応答特性、および傾きがβとなる共存ガスの水素に対する第2応答特性を有する。一方、第2ガスセンサ25は傾きがβとなる共存ガスの水素に対する第2応答特性を有する。第一ガスセンサ24と第2ガスセンサ25の出力をそれぞれV1とV2とし、硫化水素濃度および水素濃度をそれぞれ[H2S] と[H2]とすると、出力とガス濃度との間に以下の関係が成り立つ。
V1=α[H2S]+β[H2] 式5
V2= β[H2] 式6
硫化水素除去部によって硫化水素が除去されているので、式6に示すように、第2ガスセンサ25の出力に硫化水素による寄与が含まれていない。式5と式6から、硫化水素濃度[H2S]が以下の式により求まる:
[H2S]=(V1β−V2β)/αβ 式7
硫化水素濃度を演算する演算部9は第1の実施例と同様に、第1演算部と第2演算部を含む。第1演算部では第1実施例と同様な動作で、第1ガスセンサ24および第2ガスセンサ25の出力V1およびV2を求める。第2演算部では、第1ガスセンサ24第1応答特性(図5または式7のα)および第1ガスセンサ24と第2ガスセンサ25の第2応答特性(図5または式7のβ、β)から導いたセンサ出力から硫化水素濃度へ変換する変換表が予め記憶されており、第1演算部で得られたセンサ出力V1およびV2から、記憶されているセンサ出力を硫化水素濃度への変換表を用いて、センサの出力信号に対応する硫化水素濃度を算出する。
以上本発明の第2実施例について説明した。続いて本発明の第3の実施例について説明する。
図6は本発明の健康状態測定装置の第3実施例を示す概念図である。本実施例の装置構成は図4に示す第2実施例と同様であるが、硫化水素除去部23の上流側に配置されている第1ガスセンサ26と硫化水素除去部23の下流側に配置されている第2ガスセンサ27が共存ガス(本実施例では水素)に対して同一の第2応答特性を有する点で異なる。図7はガス濃度とセンサの出力信号との関係から両センサの応答特性に示す概念図である。センサの出力信号はガス濃度と直線的な関係になるように加工されている。図示するように、第1ガスセンサ26と第2ガスセンサ27は共に傾きがβとなる共存ガスの水素に対する第2応答特性を有する。一方、第1ガスセンサ26は傾きがαとなる硫化水素に対する第1応答特性を有する。第一ガスセンサ26と第2ガスセンサ27の出力をそれぞれV1とV2とし、硫化水素濃度および水素濃度をそれぞれ[H2S] と[H2]とすると、出力とガス濃度との間に以下の関係が成り立つ。
V1=α[H2S]+β[H2] 式8
V2= β[H2] 式9
硫化水素除去部によって硫化水素が除去されているので、式9に示すように、第2ガスセンサ27の出力に硫化水素による寄与が含まれていない。式8と式9から、硫化水素濃度[H2S]が以下の式により求まる:
[H2S]=(V1−V2)/α 式10
すなわち、本実施例では、第一ガスセンサ26の硫化水素に対する第1応答特性のみ用いて硫化水素の濃度を算出する。
硫化水素濃度を演算する演算部9は第1の実施例と同様に、第1演算部と第2演算部を含む。第一演算部では第1の実施例と同様な動作で、第1ガスセンサ26および第2ガスセンサ27の出力V1およびV2を求める。第2演算部では、第1ガスセンサ26の第一応答特性(図7または式10のα)から導いたセンサ出力から硫化水素濃度へ変換する変換表が予め記憶されており、第1演算部で得られたセンサ出力V1およびV2から、記憶されているセンサ出力を硫化水素濃度への変換表を用いて、センサの出力信号に対応する硫化水素濃度を算出する。
以上、3つの実施例を用いて本発明の健康状態測定装置の構成および硫化水素濃度から腸内状態を測定する動作について説明した。
最後に、本発明の健康状態測定装置を使用した健康状態測定方法の手順を例示して説明する。
【0020】
図8は、本発明の健康状態測定装置(洋式便器に付設された衛生洗浄便座装置に内蔵)を使用した健康状態測定方法の手順を示す一例である。使用者(以後、「ユーザ」と呼ぶ。)の動作を左側に、便座装置が行う処理(健康状態測定装置の処理を含む)を右側に別けて表示した。
【0021】
本図の流れの通り、ユーザはトイレ内に入室し排便をして退室するのであるが、このトイレには本発明の健康状態測定装置が取り付けてあるため、退室する前には自分の腸内のpH推定値を表示部10に表示されることで、その日の体調を知り、あるいは継続的に測定していた場合は経時的な体調の変化を知ることができる。
【0022】
まずユーザが入室すると人体検知センサによって入室が検知され、2つのガスセンサからなるガスセンサ7が同時に起動される。人体検知センサを使わない場合には、ユーザが健康状態測定装置の電源を手動で入れてもよい。
【0023】
ユーザが着座すると着座センサが着座を検知し、脱臭ファン5の起動後にガスセンサ7が記録および記憶を開始する。着座センサを使わずにユーザが各センサの始動スイッチを押してもよい。ここで稼動開始時のセンサの時刻をt1とし、その時刻に対応する二酸化炭素2つのガスセンサの出力値をそれぞれV11とV21と呼ぶ。
【0024】
ユーザが排便を開始し終了するまで、ガスセンサ7は一定時間tx、たとえば1秒おきに両ガスセンサの出力信号V1x、V2xを検出し、それぞれ演算部9に書き込む。
【0025】
排便終了後、ユーザが人体洗浄を開始する。このとき、洗浄ボタンと連動させてガスセンサ7の記録を終了させる。排便終了時の時間t2とガスセンサ7のそのときの検知データVV12とV22が記憶される。なお、排便前または排便中に洗浄ボタンが使われるケースもあることを考慮する場合は、洗浄ボタンと連動させずにユーザが手動で記憶終了させる形式としてもよい。
【0026】
演算部9の第1演算部では、まずt1〜t2の範囲でそれぞれのガスセンサの出力の最大値(V1maxまたはV2max)を検索する。そして最大値そのもの、またはセンサの最小出力をベースとした相対値をそれぞれのセンサの出力V1およびV2算出する。そして演算部9の第2演算部では予め演算部に記憶されている両ガスセンサ第1応答特性おとび第2応答特性から導かれたガスセンサの出力V1およびV2と硫化水素濃度との対応表から硫化水素濃度を算出する。
【0027】
最後に、制御部8では、硫化水素濃度をそのまま腸内状態指標として、またはさらに別の腸内状態指標に変換してユーザに表示部10等により報知する。
【0028】
ユーザが離座すると、それを着座センサが感知し脱臭ファン5が停止する。そしてユーザが退室すると人体検知センサによって退室が検知され二酸化炭素ガスセンサ7の電源が切られる。
よって使用者が通常のトイレ行為で手軽に自分の腸内状態を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の健康状態測定装置を搭載した衛生洗浄便座装置を付設した洋式便器の一例を示す(部分透視)外観図
【図2】本発明の健康状態測定装置の第1実施例を示す概念図
【図3】第1実施例におけるガスセンサの応答特性を示す概念図
【図4】本発明の健康状態測定装置の第2実施例を示す概念図
【図5】第2実施例におけるガスセンサの応答特性を示す概念図
【図6】本発明の健康状態測定装置の第3実施例を示す概念図
【図7】第3実施例におけるガスセンサの応答特性を示す概念図
【図8】本発明の健康状態測定装置(衛生洗浄便座装置に搭載)を使用した健康状態測定方法の手順を示す一例
【符号の説明】
【0030】
1…便器、2…便座、3…便鉢、4…脱臭ファン用排気通路、5…脱臭ファン、7…ガスセンサ、8…制御部、9…演算部、10…表示部、11…操作パネル、21…ガスセンサ1、22…ガスセンサ2、23…脱臭カートリッジ、24…第1ガスセンサ、25…第2ガスセンサ、26…第1ガスセンサ、27…第2ガスセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、
前記ガスセンサはそれぞれ前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、
それぞれの前記ガスセンサで前記第1応答特性どうしと前記第2応答特性どうしの少なくとも一方が異なり、
それぞれの前記ガスセンサの前記第1応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする
健康状態測定装置。
【請求項2】
排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、
前記複数のガスセンサの間に硫化水素除去部を備え、
前記硫化水素除去部の上流側に位置する第1ガスセンサは、
前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、
前記硫化水素除去部の下流側に位置する第2ガスセンサは、
前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、
それぞれの前記ガスセンサで前記第2応答特性どうしが異なり、
前記第1ガスセンサの前記第1応答特性、前記第1ガスセンサの前記第2応答特性および前記第2ガスセンサの前記第2応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする
健康状態測定装置。
【請求項3】
排便時に併発するガスのガス濃度を測定する複数のガスセンサを備える健康状態測定装置であって、
前記複数のガスセンサの間に硫化水素除去部を備え、
前記硫化水素除去部の上流側に位置する第1ガスセンサは、
前記ガスのうち硫化水素に対する第1応答特性と、前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、
前記硫化水素除去部の下流側に位置する第2ガスセンサは、
前記ガスのうち硫化水素以外の共存ガスに対する第2応答特性を有し、
それぞれの前記ガスセンサで前記第2応答特性どうしが同一であり、
前記第1ガスセンサの前記第1応答特性を用いて排便時に併発する硫化水素の濃度を演算する演算部を備えることを特徴とする
健康状態測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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