説明

健康用部材

【課題】 刺激粒の材質としてチタン単体を用いて、その形状として首、肩、腰等の皮膚の厚さが2〜3mm程度の個体間の差があったとしても、誰が使用しても首、肩、腰等の凝りを緩和することができる健康用部材を提供する。
【解決手段】 本発明の健康用部材は、刺激粒がチタン単体からなり、且つ、粘着テープ面に圧着固定されている円柱状の円盤部上にドーム状の球面部が形成され、円柱への境界から前記円盤部が押圧する場合に、前記球面部の表面の作用する分散力が漸増から急激な増大へと変化することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首、肩、腰等の凝りを緩和できる健康用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の健康用部材としては、例えば、粘着テープに表面層がアルミニウム、内層がセラミックスからなる素材を用いた刺激粒を保持しておき、その刺激粒の形状は半球状、円錐状、ドーム状等のものが用いられ、必要時に該粘着テープを身体のツボや患部に密接接触させ、遠赤外線作用により血行が促進され、肩凝り等を癒すものが知られている(特許文献1の図2参照)。また、遠赤外線を放射する粘着テープの面上に、素材としてゲルマニウム薄膜を有する永久磁石からなる刺激単体を備えた磁気治療器が知られている。該刺激単体の形状はドーム状である(特許文献2)。
【0003】
更に、形状が円柱状、球状、楕円形状等で、素材として遠赤外線放射体の中央部に埋め込まれた永久磁石からなり、磁気と遠赤外線との効果により疲労等を低減する磁気治療器が知られている(特許文献3)。
また、近年、チタン系素材が吸熱、鎮静、血行促進、代謝促進等の生理作用を人体に及ぼすことから、チタン系素材及び外用薬がゲル剤に練り込まれた健康用部材が知られている(特許文献4)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−16301
【特許文献2】実開平1−1107533
【特許文献3】特開2005−27922
【特許文献4】特開平9−301855
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の健康用部材は、半球状、円錐状、ドーム状、略円柱状、楕円形状等の様々な形状の刺激粒による押圧と、刺激粒の素材として永久磁石、セラミックス等を用いて、その磁力線や遠赤外線による身体の血行促進等を図ったものである。これらの健康用部材は、どの様な素材をどの様な形状として組み合わせると、磁力線や遠赤外線の効果が高められるかに主眼があり、その形状は半球状、円錐状、ドーム状、略円柱状、楕円形状等の様々な形状の提案がなされているが、健康用部材の形状はその中から適宜選択できるものとされている。
【0006】
このことは、健康用部材を貼着する皮膚の個体間の差を考慮しておらず、皮膚は全て同じ構造のものとして考えられていることに起因している。
そこで、本発明者は皮膚の個体間の差を考慮して、万人に血行促進等の効果を与えることにより、凝りを緩和できる刺激粒の形状の開発を試みた。
【0007】
ここで、図7を参照しながら皮膚の構造を説明する。
図7は皮膚及び皮下組織の概略図である。
皮膚は体の表面を覆っており、その厚さの範囲は、眼瞼の0.5mmからかかとの4.0mmにまで及ぶが、身体の大部分においては1〜2mmである。皮膚は構造的に表皮と真皮から成り、その真皮より深層は皮下組織と呼ばれるが、これは皮膚の一部ではない。この皮下組織の領域には圧力を感知する層板小体と呼ばれる神経終末も含まれる。この層板小体は大形の卵形構造をなし、樹状突起とこれを包む層状の結合組織性カプセルからなり、全身に広く分布している。
【0008】
凝りは身体のうちでも、特に首、肩、腰に起きることが多いといわれている。上記したように皮膚の厚さは身体の部位によって1〜2mmで、個々人によって差はあるが、首、肩又は腰の皮膚の厚さは2〜3mm程度といわれている。その厚さの位置の近辺に、圧力を感知する神経終末に属する層板小体が存在している。例えば、肩凝りを感じて凝った部位を探す時、指で押すことにより、前記層板小体はその圧力を感知してその押した場所を教えてくれる神経器官であり、表皮表面から2〜3mmの位置に存在しているといわれている。
【0009】
上記したように、本発明者は凝った部位を探す時、指で押すことにより層板小体が圧力を感知していることに気づき、誰が使用しても首、肩、腰等の凝りを緩和することができる形状を有する刺激粒の開発を試みた。
また、チタン系素材が吸熱、鎮静、血行促進、代謝促進等の生理作用を人体に及ぼすことは、知られているが、チタン単体で形成された刺激粒を用いた健康用部材は知られていない。
【0010】
そこで、本発明は、刺激粒の材質としてチタン単体を用いて、その形状として首、肩、腰等の皮膚の厚さが2〜3mm程度の個体間の差があったとしても、誰が使用しても首、肩、腰等の凝りを緩和することができる健康用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の健康用部材は、粘着テープとその中央面上に圧着固定される円柱ドーム状の刺激粒とからなる健康用部材であって、前記刺激粒がチタン単体からなり、且つ、前記粘着テープ面に圧着固定されている円柱状の円盤部上にドーム状の球面部が形成され、円柱への境界から前記円盤部が押圧する場合に、前記球面部の表面の作用する分散力が漸増から急激な増大へと変化することを特徴とする。
同様に、請求項2に係る発明の健康用部材は、前記刺激粒が押圧力又は分散力を働かせることを特徴とする。
請求項3に係る発明の健康用部材は、前記球面部の高さに対する前記円盤部の高さの割合が7対3であることを特徴とする。
請求項4に係る発明の健康用部材は、前記刺激粒の高さに対して前記球面部の半径が約1.1倍であることを特徴とする。
請求項5に係る発明の健康用部材は、前記刺激粒の高さに対して前記円盤部の直径が約2倍であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の健康用部材は、老若男女に拘わらず、体型の大小に拘わらず、所謂、皮膚の厚さの個体間の差によらず、誰が使用しても首、肩、腰等の凝りを緩和することができる。
また、本発明の健康用部材は、円柱状の円盤部を備えているので、分散力を皮膚のさらに幅と深部にまで効果的に働かせることができ、そのことにより凝りを短期間に緩和できる。
更に、刺激粒の素材としてチタン単体を用いているので、金属アレルギーの心配がなく、電子機器への影響も少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態につき図面を参照しながら説明する。
図1は一実施形態の健康用部材の平面図を示し、図2はその縦断面図を示す。
【0014】
図1に示すように、健康刺部材1は刺激粒3と円形粘着テープ2とから成り、円形粘着テープ2は刺激粒3を身体に圧接保持するためのものであり、刺激粒3は素材としてチタン単体から成り、円形粘着テープ2の中央面上に平面部を圧着固定され、皮膚へ適正な深さまで食い込むことにより血行を促進し、肩凝り等を緩和するものである。
このように構成される健康用部材1は、円形状、角形状などの適宜の平面形状の粘着テープに刺激粒3を圧着固定することにより得られる。
【0015】
図2に示すように、前記粘着テープ2の中央面上に刺激粒3(以下、「チタン粒3」という。)が圧着固定されている。そのチタン粒3は形状が円柱ドーム状で、下部が円柱状の円盤部3−1と上部がドーム状の球面部3−2から構成され、該円盤部3−1の底面が前記円形粘着テープ2の中央面上に圧着固定され、その上に球面部3−2が形成されている。
【0016】
図3は図2示した前記チタン粒3の拡大図である。
チタン粒3の高さはHで、球面部3−2の高さはh2で、円盤部3−1の高さはh1で、球面部3−2の高さh2に対する円盤部3−1の高さh1の割合は、7対3である。
この7対3の割合は誰がチタン粒3を使用しても、首、肩、腰等の凝りを短期間で緩和するのに重要な技術的な意味がある。それについては後述する。
【0017】
球面部3−2の球面半径はRで、チタン粒3の高さHに対して球面部3−2の半径Rが約1.1倍である。円盤部3−1の直径はLで、チタン粒3の高さHに対して円盤部3−1の直径Lが約2倍である。そして、球面部の表面積が円盤部の底面積の約1.8倍である。
なお、円盤部3−1の高さh1で球面半径Rを有する球面部3−2からなるチタン粒3は、皮膚に貼着しても全く痛みを感じない高さHと球面半径Rで構成されている。
【0018】
図4は肩凝りを感じた部位に健康用部材1を貼った一例を示す図である。
凝りを感じる場所を指で押すことによりその部位を探し、その部位にチタン粒3を当接させて皮膚に食い込ませ、粘着テープ2で皮膚に貼着させればよい。複数の凝っている部分に健康用部材1を貼着させれば、更に一層凝りが緩和される。従来の健康用部材は、凝りの状況によって緩和される時期は千差万別であるが、本実施形態の健康用部材1は短期間に緩和されるもので、その理由は後述する。
【0019】
図5は押圧されたチタン粒3が皮膚に作用する分散力を説明する概念図である。図5では説明を単純化するために粘着テープ2が省略され、押圧力により押された球面部3−2の表面が皮膚に当接して作用する分散力は実際よりも拡大して説明されている。
図5Aは、凝っている部分にチタン粒3を当接させて、F1の押圧力で皮膚に少し食い込ませた時、球面部3−2の表面が皮膚に対して作用する分散力を示したものである。球面部3−2の表面は、球面であるから分散力はその球面の垂直線上に作用している。
指先で円盤部3−1の底部をF1の力で垂直に押し下げていくと、球面部3−2の皮膚に当接している球面部3−2の表面にそのF1の力が分散され、球面部3−2の最先端の分散力が最も大きく両端に行くに従ってその力が小さくなる。
【0020】
図5Bは、球面部3−2と円盤部3−1の境界近くまでF2の押圧力で、チタン粒3を食い込ませた時の分散力を示したものである。ここで、上記「球面部3−2と円盤部3−1の境界」を「円柱への境界」と定義する。チタン粒3が皮膚に食い込むに従って、皮膚が有する弾性力に抗してF1より大きな押圧力F2で押す必要がある。球面部3−2の皮膚に当接している球面部3−2の表面にそのF2の力が分散され、球面部3−2の最先端の分散力が最も大きく両端に行くに従ってその力が小さくなる。
【0021】
図5Cは、球面部3−2の底部が皮膚の表面の位置までF3の押圧力で、チタン粒3を食い込ませた時の分散力を示したものである。円盤部3−1は円柱形状であるから、ドーム状である球面部3−2の押圧力F2と異なる分散力が皮膚に加わる。皮膚を押す押圧力F2は押すにつれて、皮膚に当接している球面部3−2の表面に分散された力が漸増するが、球面部3−2が円柱への境界から円盤部3−1が皮膚に当接して押す際には、押圧力(F3)で押すにつれて球面部3−2の表面が皮膚に当接している先端周辺の分散力が漸増から急激な増大へと変化する。
なお、皮膚の表皮表面からチタン粒3の高さHと同じ高さまでの位置に層板小体が存在する場合には、上記した分散力を直接分散力といい、その高さHより深い位置に層板小体が存在する場合には、上記した分散力を間接分散力という。
【0022】
図6は、ドーム状の球面部3だけからなるチタン粒3が皮膚に作用する分散力を説明する概念図である。この図6はドーム状の球面部3が皮膚に作用する漸増の分散力と図5に示した円盤部3−1を有する球面部3の作用する急激な増大の分散力の違いを分かり易く説明するための説明図である。
【0023】
図6のチタン粒3の高さは、図5の円盤部3−1と球面部3−2からなるチタン粒3の高さと同じである。球面部で皮膚を押す押圧力F3は押すにつれて、球面部の皮膚に当接している面に分散された力が漸増する。図6に示す分散力(体積)は、図5Cで示す分散力(体積)と等しいが、図5のチタン粒3の底部の直径は、図6のチタン粒3の底部の直径より小さいことから、図5Cと図6を比較して分かるように、図5Cのチタン粒3の球面部の先端周辺の分散力が大きいことが分かる。このことは、本実施形態のチタン粒3がドーム状の球面部3−2に円柱状の円盤部3−1を有することにより、図6のドーム状の球面部と比べ、分散力を皮膚のさらに幅と深部にまで効果的に働かせられることを示している。
【0024】
次に、前記チタン粒3の押圧力F3と皮膚の構造との関係を図5及び図7を参照して説明する。
指で押して凝りを感じた部位に健康用部材1を貼着するので、その部位の約2〜3mm下には層板小体が存在する。そして、その部位に健康用部材1を貼着するので、チタン粒3の高さHは少なくとも2mm程度が必要である。それはチタン粒3が皮膚に貼着しても全く痛みを感じない高さHと球面半径Rで構成されているが、チタン粒3の高さHが例えば3mmであると、痛みを感じるために使用できない。そして、チタン粒3の高さHが2mmであると痛みを感じないし、貼着している感じもない。
【0025】
更に、例えば、皮膚の表皮表面から層板小体の距離が3mmであったとしても、チタン粒3が円盤部3−1を有し、そして、球面部3−2の高さに対する円盤部3−1の高さの割合が7対3であることにより、増大した分散力が層板小体に作用することができる。このように、急激に分散力を増大できる機能を備えるチタン粒3は、直接に層板小体を押圧できなくとも、その増大した分散力が層板小体に働きかけることができる。
【0026】
従って、層板小体の真上にチタン粒3が貼着されなかったとしても、増大した分散力が層板小体に働きかけることができるので、刺激された層板小体が血行促進、代謝促進等の生理作用を生起させることで、凝りが短時間で緩和できる。このように、増大した分散力を働かせる機能を備えるチタン粒3は、従来の刺激粒が凝りを緩和するのに長時間かかっていたのを、確実に分散力が層板小体に働きかけることができるので、凝りを短時間に緩和することができる。
【0027】
凝りを緩和するメカニズムは不明であるが、凝った部位に健康用部材を貼着し、チタン粒3が層板小体を直接押圧し又は分散力で刺激することにより、一種の神経器官である層板小体が血行促進、代謝促進等の生理作用を生起させるものと推測される。
従って、この健康用部材1は、老若男女に拘わらず、また、体型の大小に拘わらず、即ち、個体間の差に関係なく誰が使用しても首、肩、腰等の凝りを短時間に緩和することができる。
また、チタン粒3の素材としてチタン単体を用いているので、金属アレルギーの心配がなく、電子機器への影響も少ない。
【実施例】
【0028】
前記健康用部材1の一実施例を以下に説明する。
前記チタン粒3は、円盤部3−1の直径Lが4.1mm、高さh1が0.6mmであり、球面部3−2の球面半径Rが2.2mmである球の一部分からなり、その高さh2は1.4mmで、チタン粒3の高さHが2mmである。
球面部3−2の高さh2に対する円盤部3−1の高さh1の割合が7対3である。円盤部3−1の直径L、4mmで、チタン粒の高さH、2mmに対して円盤部3−1の直径L、4mmが約2倍であり、球面部3−2の高さh2、1.4mmで、球面部3−2の球面半径R、2.2mmで、チタン粒の高さH、2mmに対して球面部3−2の球面半径R、2.2mmが約1.1倍である。円盤部の底面積が球面部の表面積の約1.8倍である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】健康用部材の平面図である。
【図2】健康用部材の縦断面図である。
【図3】図2示したチタン粒の拡大図である。
【図4】図4は肩凝りを感じた部位に健康用部材1を貼った一例を示す図である。
【図5】押圧されたチタン粒が皮膚に作用する分散力を説明する概念図である。
【図6】球面部だけからなるチタン粒が皮膚に作用する分散力を説明する概念図である。
【図7】皮膚及び皮下組織の概略図である。
【符号の説明】
【0030】
1 健康用部材
2 粘着テープ
3 チタン粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープとその中央面上に圧着固定される円柱ドーム状の刺激粒とからなる健康用部材であって、
前記刺激粒がチタン単体からなり、且つ、前記粘着テープ面に圧着固定されている円柱状の円盤部上にドーム状の球面部が形成され、円柱への境界から前記円盤部が押圧する場合に、前記球面部の表面の作用する分散力が漸増から急激な増大へと変化することを特徴とする健康用部材。
【請求項2】
前記刺激粒が直接分散力又は間接分散力を働かせることを特徴とする請求項1に記載の健康用部材。
【請求項3】
前記球面部の高さに対する前記円盤部の高さの割合が7対3であることを特徴とする請求項1又は2に記載の健康用部材。
【請求項4】
前記刺激粒の高さに対して前記球面部の半径が約1.1倍であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の健康用部材。
【請求項5】
前記刺激粒の高さに対して前記円盤部の直径が約2倍であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の健康用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−295912(P2008−295912A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147646(P2007−147646)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(593022906)ファイルド株式会社 (10)
【Fターム(参考)】