説明

健康食品ビール様飲料及びその製造方法

【課題】霊芝の抽出液の効率を高めることができる健康食品ビール様飲料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】粉状に加工した乾燥状態の霊芝1を、タンク2に収容した湯3と共に霊芝1を収容し、攪拌したものをフィルター4で濾過し、これを排出路5を介して発酵工程に供給する。タンク2の内側には遠赤外線を放射するための遠赤外線放射材6が設けられて、抽出液7は遠赤外線の照射処理がなされている。遠赤外線放射材6としては、麦飯石とSiOを主成分とするガラス組成物とを含有する第一のガラスボール8と、マグネタイトとSiO2を主成分とするガラス組成物とを含有する第二のガラスボール9とをそれぞれ抽出液6に浸漬するように設けている。抽出液7は第一のガラスボール8、第二のガラスボール9から放射される遠赤外線が放射されることで、霊芝1の抽出を効率よく行うことができると共に、味がまろやかになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霊芝を用いた健康食品ビール様飲料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとしてビールを麦芽発酵醸造するに際して、麦芽粉砕後の沸騰釜、仕込釜或は仕込槽による糖化の段階、麦汁濾過機による麦汁精製の段階、及び発酵槽による主発酵の段階と後発酵の段階の少なくともその一つの段階において、霊芝の抽出液を添加して製造する健康食品ビール様飲料が知られており、その製造方法は前記少なくともその一つの段階において、毎回或はその一部の段階で添加し、発酵の過程において添加した健康食品の抽出液を一緒に発酵させる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−137556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マンネンタケ科の万年茸(マンネンタケ)である霊芝は、民間薬或いは健康食品としてさまざまな目的に用いられている。しかしながら、霊芝の抽出液は多少苦く飲み込み難いという問題があった。
【0005】
したがって、霊芝の抽出液を利用した健康食品ビール様飲料であっても、ビール様飲料霊芝の抽出液の比率を高くすると、霊芝による苦味が増加するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は霊芝の抽出液の効率を高めることができる健康食品ビール様飲料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の健康食品ビール様飲料は、仕込み工程、発酵工程、貯酒工程或いは容器詰め工程などの製造工程の段階において、遠赤外線が照射された霊芝の抽出液を添加していることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明の健康食品ビール様飲料の製造方法は、遠赤外線が照射された霊芝の抽出液を、仕込み工程、発酵工程、貯酒工程或いは容器詰め工程などの少なくともその一つの工程において添加させることを特徴とするである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、健康食品ビール様飲料において、霊芝の抽出にあたって遠赤外線が照射されることで、抽出効率を上げることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、健康食品ビール様飲料の製造方法において、霊芝の抽出にあたって遠赤外線が照射されることで、抽出効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例2を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0013】
図1は実施例1を示しており、多くの場合、大麦の麦芽を主原料とし、副原料としてアサ科のホップやトウモロコシ、米等が使われる。発酵過程に入る前に麦芽の成長を止めるために加熱する(焙燥)。そして、麦芽を粉砕し、湯に入れて糊化させる。この過程で麦芽中にあったデンプンが変質し、酵素によって低分子の糖分(麦芽糖)が生み出せるようになる。尚、糖分などが湯に溶け出したものを麦汁という。この麦汁を漉しとってからホップを加え、煮沸する。ホップを煮沸することによって苦みを生み出され、ビールの風味を生み出す(仕込み工程)。
【0014】
煮沸後に発酵工程に入る。発酵工程では酵母(イースト菌)によって麦芽糖は分解され、エタノールと二酸化炭素が発生する。その後、熟成後に酵母の活動をおさえるため、低温殺菌が行われる。尚。熱処理を行わず、濾過装置で酵母を取り除くといわゆる生ビールとなる(発酵工程)。
【0015】
その後に貯酒工程を経て、ビールを消費者に提供できるように容器詰め工程となる。
【0016】
そして、仕込み工程、発酵工程、貯酒工程、容器詰め工程の一つ或いは複数の段階で霊芝の抽出液を添加する。実施例では発酵工程で添加している。
【0017】
霊芝の抽出液は、図1に示すように例えば粉状に加工した乾燥状態の霊芝1を、タンク2に収容した湯3と共に例えば容積比で霊芝1を、1〜30%、好ましくは5〜10%、湯(水)を99〜70%、好ましくは95〜90%程度収容し、攪拌したものをフィルター4で濾過し、これを排出路5を介して発酵工程に供給したものであって、タンク2の内側には遠赤外線を放射するための遠赤外線放射材6が設けられて、抽出液7は遠赤外線の照射処理がなされている。
【0018】
遠赤外線放射材6としては、麦飯石1〜50wt%とSiOを主成分とするガラス組成物50〜99wt%とを含有する第一のガラスボール8と、マグネタイト1〜50wt%とSiO2を主成分とするガラス組成物50〜99wt%とを含有する第二のガラスボール9とをそれぞれ抽出液6に浸漬するように設けている。
【0019】
尚、第一のガラスボール6において、マグネタイトの含有量が1wt%未満の場合にはマグネタイトの有する遠赤外線放射効果が失われ、50wt%より多い場合には、ガラス化が困難となる。また、また、前記マグネタイトの含有量が1wt%未満の場合にはマグネタイトの有する遠赤外線放射効果が失われ、50wt%より多い場合には、ガラス化が困難となる。
【0020】
具体的に本実施例の第一のガラスボール6の成分は、SiO2 45.0%,Li2CO3 21.5%,KNO3 2.6%,Ca3(PO42 3.0%,及び麦飯石 27.9%、また第二のガラスボール7の成分は、SiO2 40.0%,Li2CO3 20.6%,KNO3 2.1%,Ca3(PO42 2.5%,Al23 1.5%,及びマグネタイト(磁鉄鉱) 33.3%としている。それぞれこれらの成分のガラスを均一に混合した後、1300〜1400℃の温度で溶融し、ガラス化されたものを球状に成形し、その後冷却を行うことで、それぞれ第1及び第2のガラスボール8,9が得られる。第1及び第2のガラスボール8,9の平均粒径は、5〜10mm程度である。
【0021】
次に前記構成につきその作用を説明する。主原料、副原料の仕込み工程後に、これらを発酵させる際に、遠赤外線放射処理を施した霊芝1の抽出液を添加する。そして、霊芝1の抽出液は遠赤外線が放射される処理によって、味がまろやかになってビール原液に溶け込む。このように、主原料、副原料が発酵した後で、発酵したビール原液を貯酒して貯酒工程とする。そして所定期間の貯酒工程の後にビールを瓶や運搬用樽に詰めて容器詰め工程を行う。
【0022】
以上のように、前記実施例ではビールの製造工程の発酵工程において、霊芝の抽出液7を添加すると共に、該抽出液7は第一のガラスボール8、第二のガラスボール9から放射される遠赤外線が放射されることで、霊芝1の抽出を効率よく行うことができると共に、味がまろやかになる。
【0023】
次に霊芝1の抽出効率について説明する。試験は抽出物において、健康維持に役立つ成分とされているキノコ類のβ(ベータ)グルカンの検出についてレムルステストを行ったものであり、温度、霊芝と湯(水)を同一条件とした場合、遠赤外線処理をしない場合では、βグルカンの検出は19.2mg/mlであったのに対して、例えば第一のガラスボール8系の場合では、42.6mg/ml、第二のガラスボール9系の場合では34.13〜40.5mg/mlが抽出された。
【0024】
さらに、遠赤外線放射材6は第一のガラスボール8、第二のガラスボール9のようにガラス質であるので、ビール原液に溶け出すようなことはなく、衛生的である。
【0025】
また、発酵工程で霊芝1の抽出液7を加えることにより、霊芝1の抽出液7における遠赤外線が放射された水が発酵を活発化させることができる。
【実施例2】
【0026】
図2は実施例2を示しており、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施例2では、タンク2の排出路5の途中に、遠赤外線放射材6´である第一のガラスボール8´、第2のガラスボール9´が充填されており、タンク2で抽出された抽出液7が第一のガラスボール8´、第2のガラスボール9´相互間の隙間を通過するときに遠赤外線が放射されて、抽出液7´の抽出効率を向上し、また味をまろやかにすることができる。そして、このような霊芝1の抽出液7´が、瓶や缶などの容器詰め工程において加えられるようになっている。
【0027】
以上のように、前記実施例ではビールの製造工程の容器詰め工程において、霊芝の抽出液7´を添加すると共に、該抽出液7´は第一のガラスボール8´、第二のガラスボール9´から放射される遠赤外線が放射されることで、味がまろやかになる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように本発明に係るビールは、各種の用途に適用できる。ビール様飲料としては、アルコール分が二十度未満のいわゆる発泡酒、原料を麦芽以外にするか、或いは発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜるいわゆる第三のビールなどのビール味の飲料でもよい。また、仕込み工程や貯酒工程に霊芝の抽出液を添加するようにしてもよく、さらに全ての工程や複数の工程で霊芝の抽出液を添加してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 霊芝
7 抽出液
6 6´ 遠赤外線放射材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕込み工程、発酵工程、貯酒工程或いは容器詰め工程などの製造工程の段階において、遠赤外線が照射された霊芝の抽出液を添加していることを特徴とする健康食品ビール様飲料。
【請求項2】
遠赤外線が照射された霊芝の抽出液を、仕込み工程、発酵工程、貯酒工程或いは容器詰め工程などの少なくともその一つの工程において添加させることを特徴とする健康食品ビール様飲料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−48596(P2013−48596A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189100(P2011−189100)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(392004646)
【Fターム(参考)】