説明

債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラム

【課題】リスク分散を図りながら、効率的に譲渡対象となる債権を抽出するための債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムを提供する。
【解決手段】目標残高に対して残高不足がある場合には、譲渡債権抽出部24は債権抽出処理を実行する。譲渡債権抽出部24は、譲渡対象候補の債権を選択するための乱数を生成する。そして、乱数桁テーブルにより特定した数字列を下桁に含む契約番号が付与された案件を母体債権データ記憶部22から抽出する。譲渡債権抽出部24は、特定した案件の仮加算を行なう。次に、譲渡債権抽出部24は、譲渡債権の分散値を算出する。分散値が分散性基準値を超えており、分散性を確保できる場合、譲渡債権抽出部24は、仮加算の確定を行なう。これにより、目標残高に至るまで譲渡債権の抽出を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、債権の流動化業務をサポートするための債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
経営のための資金を調達するために社債やCP(Commercial Paper)の発行が利用されているが、これらは基本的に発行企業の信用力に依存している。更に、資金の固定化を防ぎ、資金を効率的に回転させることにより、財務内容の改善・経営基盤の強化を図っている。このために、手形等の債権を金融市場で売買することにより、企業が有する債権の流動化を行なう手法がある。具体的には、ABS(資産担保証券)・ABCP(資産担保コマーシャルペーパー)の発行等が挙げられる。
【0003】
特に、1993年6月の「特定債権法(特定債権に係る事業の規制に関する法律)」の施行により、リース債権等の小口債権の流動化も可能になっている。このような資産の流動化の潮流は、改正信託業法にも引き継がれている。このような資産流動化商品は、資金調達を行なう企業の信用力ではなく、分離された資産の信用力を裏付けとする。例えば、企業が保有するリース物件債権を法人から分離譲渡し、この債権の債務者からの返済を投資家への弁済原資とすることで、社債発行時の高格付の取得を期待できる。これにより、低コストでの資金調達や資金調達源の多様化が図ることが可能になる。
【0004】
代表的な流動化手法としては、金銭債権等を信託してその受益権を投資家に取得させる手法(信託方式)、金銭債権等を、投資家を組合員とする民法上の任意組合や商法上の匿名組合に譲渡する手法(組合方式)、金銭債権等をSPC等の法人に譲渡し、これらを原資とする債券を発行する手法(SPC方式)等がある。最近では、信託方式とSPC方式とを組み合わせた方式が多くなってきている。この方式を、図6を用いて説明する。
【0005】
例えば、リース債権を保有する企業(オリジネータ)は信託契約に基づき、信託銀行等の信託機関に対しリース債権を信託し、信託受益権を取得する。この信託受益権は、貸付債権の回収金から諸費用を控除した後の残額を信託銀行から受領する権利である。
【0006】
オリジネータは取得した信託受益権を特別目的会社(SPC:Special Purpose Company)に譲渡し、譲渡代金を取得する。ここで、SPCは、信託受益権の取得及びその取得
資金を調達するための社債発行のみを事業目的とする会社である。SPCは信託受益権の取得資金を調達するため、CPや社債を発行する。このCPや社債は証券会社等により引き受けられ、広く投資家に販売される。例えばオリジネータにより行われたリース債権の回収金は、信託銀行に送金される。そして、信託銀行は、この回収金をSPCに信託配当として支払い、SPCはこれを原資として投資家に対してCPの償還金を支払う。このように、リース債権を流動化することにより、企業は資産を早期に資金化することができ、財務体質の向上、資金繰りの改善等を実現することができる。
【0007】
しかし、流動化対象の債権の抽出、対象債権の債権譲渡登記、証券会社等の金融機関、SPCや格付機関への報告等において、煩雑な事務負担がかかる。特に、ローンやクレジット、リース債権の場合には、債務返済が行なわれることにより残高が減少していくため、金融商品としての安定性を維持するために所定の残高を維持する必要がある。
【0008】
そこで、債権の流動化業務をサポートするための流動化債権管理システムが検討されて
いる(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の流動化債権管理システムは、銘柄申請処理プログラムと、流動化実行プログラムと、債権回収処理プログラムを備えている。流動化実行プログラムは、各グループ会社から送信された債権情報を取得して債権情報記憶部に格納し、この債権情報に基づいて、残高集中率を算出する。そして、予め上限情報が格納されたマスタ情報記憶部より上限情報を読み出し、残高集中率が当該上限情報を超過しているか否かを判定する。さらに、残高集中率が上限情報を超過している場合には、超過していることを示す情報を統括会社及び/又は特定目的会社の端末に対して送信する。
【特許文献1】特開2005−275955号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の段落〔0058〕にもあるように、流動化債権管理システムは、プログラム別・銘柄別に予め許容集中率を登録しておき、当該許容集中率と比較処理を実行する。比較の結果、許容集中率を超える場合に、システムは、統括会社の端末にウォーニング(注意喚起メッセージ)が表示される。そして、許容集中率を超える場合には、補正処理ができるようになっている。
【0010】
しかし、ローンやクレジットやリースについての債権の場合、債務者や債務内容が多様である。グループ企業のように特定者に限定されるものではなく、膨大な数の債務者が関与するため、リスクを回避するためにも、このような多様性を考慮して分散化を図る必要がある。債務者が一地方に集中している場合には、地方災害等によってデフォルトが多数発生する可能性がある。また、債務者の業種によっても、業界全体の経済状態によって大きな影響を受ける場合もある。更に、リースの場合には、リース物件に依存した傾向が共通しており、全体の動向に影響を与える場合がある。
【0011】
一方、多数の債権を母体債権の中から抽出する必要があるため、個別に峻別しながら抽出していたのでは、抽出作業に多大な時間がかかってしまう。このため、効率的な流動化のために譲渡される債権の抽出が望まれる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、リスク分散を図りながら、効率的に譲渡対象となる債権を抽出するための債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、契約番号に関連付けて譲渡対象の債権候補に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、債権毎に債務者属性や案件属性に関する情報を記録した債務属性データ記憶手段と、流動化対象の譲渡債権の債権残高と、前記譲渡債権の債務者の属性情報を記録した譲渡債権データ記憶手段と、譲渡債権の管理を行なう制御部とを備えた債権流動化管理システムを用いて流動化対象の債権を抽出する方法であって、前記制御部が、前記譲渡債権データ記憶手段に記録された債権残高と目標残高とを比較する段階と、前記債権残高が前記目標残高に満たない場合には、乱数を生成し、この乱数を契約番号の下桁に含む債権を前記譲渡候補データ記憶手段から抽出する債権抽出処理を行なう段階と、前記抽出した債権の残高を前記譲渡債権の債権残高に加算する仮加算処理を行なう段階と、前記債務属性データ記憶手段に記録された債務者属性や案件属性に関する情報を取得し、各属性について分散値を算出する分散管理処理を行なう段階とを実行し、前記分散値が基準値以上になる債権を、譲渡債権の債権残高が前記目標残高に達するまで、前記債権抽出処理、仮加算処理、分散管理処理を行なうことを要旨とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の債権流動化管理方法において、前記債権流動化管理システムは、前記目標残高と前記譲渡債権の残高との差額に対応して乱数の桁数を決定するための乱数桁テーブルを保持し、前記制御部が、前記目標残高と前記譲渡債権の残高との差額を算出し、前記乱数桁テーブルを用いて債権抽出処理に用いる乱数の桁数を決定することを要旨とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の債権流動化管理方法において、前記制御部が、各属性についての分散値を表示した分析帳票を出力する段階を、更に実行することを要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、契約番号に関連付けて譲渡対象の債権候補に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、債権毎に債務者属性や案件属性に関する情報を記録した債務属性データ記憶手段と、流動化対象の譲渡債権の債権残高と、前記譲渡債権の債務者の属性情報を記録した譲渡債権データ記憶手段と、譲渡債権の管理を行なう制御部とを備え、流動化対象の債権を抽出する債権流動化管理システムであって、前記制御部が、前記譲渡債権データ記憶手段に記録された債権残高と目標残高とを比較する手段と、前記債権残高が前記目標残高に満たない場合には、乱数を生成し、この乱数を契約番号の下桁に含む債権を前記譲渡候補データ記憶手段から抽出する債権抽出処理を行なう手段と、前記抽出した債権の残高を前記譲渡債権の債権残高に加算する仮加算処理を行なう手段と、前記債務属性データ記憶手段に記録された債務者属性や案件属性に関する情報を取得し、各属性について分散値を算出する分散管理処理を行なう手段として機能し、前記分散値が基準値以上になる債権を、譲渡債権の債権残高が前記目標残高に達するまで、前記債権抽出処理、仮加算処理、分散管理処理を行なうことを要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の債権流動化管理システムにおいて、前記債権流動化管理システムは、前記目標残高と前記譲渡債権の残高との差額に対応して乱数の桁数を決定するための乱数桁テーブルを保持し、前記制御部が、前記目標残高と前記譲渡債権の残高との差額を算出し、前記乱数桁テーブルを用いて債権抽出処理に用いる乱数の桁数を決定することを要旨とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の債権流動化管理システムにおいて、前記制御部が、各属性についての分散値を表示した分析帳票を出力する手段として更に機能することを要旨とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、契約番号に関連付けて譲渡対象の債権候補に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、債権毎に債務者属性や案件属性に関する情報を記録した債務属性データ記憶手段と、流動化対象の譲渡債権の債権残高と、前記譲渡債権の債務者の属性情報を記録した譲渡債権データ記憶手段と、譲渡債権の管理を行なう制御部とを備えた債権流動化管理システムを用いて流動化対象の債権を抽出するプログラムであって、前記制御部を、前記譲渡債権データ記憶手段に記録された債権残高と目標残高とを比較する手段と、前記債権残高が前記目標残高に満たない場合には、乱数を生成し、この乱数を契約番号の下桁に含む債権を前記譲渡候補データ記憶手段から抽出する債権抽出処理を行なう手段と、前記抽出した債権の残高を前記譲渡債権の債権残高に加算する仮加算処理を行なう手段と、前記債務属性データ記憶手段に記録された債務者属性や案件属性に関する情報を取得し、各属性について分散値を算出する分散管理処理を行なう手段と、前記分散値が基準値以上になる債権を、譲渡債権の債権残高が前記目標残高に達するまで、前記債権抽出処理、仮加算処理、分散管理処理を行なわせる手段として機能させることを要旨とする。
【0020】
(作用)
請求項1、4又は7に記載の発明によれば、債権残高が目標残高に満たない場合には、乱数を生成し、この乱数を契約番号の下桁に含む債権を譲渡候補データ記憶手段から抽出することにより、抽出する債権の分散化を図ることができる。更に、債務属性データ記憶手段に記録された債務者属性や案件属性に関する情報を取得し、各属性について分散値を算出する分散管理処理を行ない、分散値が基準値以上になる債権を、譲渡債権の債権残高が目標残高に達するまで抽出するため、分散性を確実に維持してリスク分散を図ることができる。
【0021】
請求項2又は5に記載の発明によれば、債権流動化管理システムは、目標残高と譲渡債権の残高との差額に対応して乱数の桁数を決定するための乱数桁テーブルを保持する。そして、目標残高と譲渡債権の残高との差額を算出し、乱数桁テーブルを用いて債権抽出処理に用いる乱数の桁数を決定する。これにより、差額に応じて、より適切な数の債権候補を、分散性を確保しながら、抽出することができる。
【0022】
請求項3又は6に記載の発明によれば、各属性についての分散値を表示した分析帳票を出力する。これにより、アレンジャや格付機関に提出する資料を効率的に作成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、リスク分散を図りながら、効率的に譲渡対象となる債権を抽出するための債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図6を用いて説明する。本実施形態では、企業が保有するリース債権を、アレンジャ(引受証券会社等)を介して流動化を図る場合に用いる債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムとして説明する。図1に示すように、本実施形態では、基幹システム10、債権流動化管理システム20を用いる。更に、債権の流動化には、証券化における証券の発行構造(ストラクチャ)の立案、証券の発行、引き受け、販売、信用補完の提案等の取りまとめを行なうアレンジャ30、金融商品の格付けを行なう格付機関40が関与する。アレンジャとしては、証券会社や投資銀行がなることが多い。
【0025】
ここでは、企業が保有するリース債権を母体債権として、この中から適格要件を満足する債権を抽出し、更にこの適格債権の中から目標残高を満たすための債権を抽出する。ここでは、オリジネータ(証券化する資産の保有者)は、保有する債権の中から譲渡可能な債権を抽出し、この抽出データを債権流動化管理システム20に提供する。この抽出データには、リース契約の契約番号毎に回収実績、回収予定、案件、債務者情報に関するデータを含む。ここで、契約番号は各リース契約を特定するための識別子である。案件データは、契約番号に対して、債務者、リース金額、債権残高、リース物件、リース開始日、最終弁済期日に関するデータを含んで構成される。回収実績データ、回収予定データは、契約番号に対して、それぞれ回収の実績(回収日や金額)、予定(回収予定日や予定金額)に関するデータを含んで構成される。債務者情報データは、リース契約を行なった債務者毎に所在地、業種に関するデータを含んで構成される。
【0026】
債権流動化管理システム20は、流動化を行なうリース債権を管理するコンピュータシステムである。この債権流動化管理システム20は、制御部(CPU、RAM、ROM等)、データ記憶手段、入力手段(キーボードやポインティングデバイス)、出力手段(ディスプレイ等)、通信手段等を備える。債権流動化管理システム20は、ネットワークを介して、基幹システム10と接続され、通信を行なう。
【0027】
債権流動化管理システム20の制御部は、流動化する債権を管理するための各種データの管理処理等を行なう。この制御部は、後述する処理(債権残高と目標残高との比較処理、債権抽出処理、仮加算処理、分散管理処理、分析帳票の出力処理等の各段階)を行なう。そのための債権流動化管理プログラムを実行することにより、制御部は、データコンバータ21、母体債権分析部23、譲渡債権抽出部24、登記ファイル作成部26として機能する。
【0028】
オリジネータの基幹システム10から譲渡債権の候補として抽出データを受けた場合、債権流動化管理システム20のデータコンバータ21は、基幹システム10において使用されている債権データのデータフォーマットを、債権流動化管理システム20内の各手段で利用可能なデータフォーマットに変換する。そして、変換したデータを母体債権データ記憶部22に記録する。この母体債権データ記憶部22は譲渡候補データ記憶手段、債務属性データ記憶手段として機能し、基幹システム10から提供された抽出データに含まれる項目を記録するための回収実績データ記憶部221、回収予定データ記憶部222、案件データ記憶部223、債務者データ記憶部224から構成される。
【0029】
この回収実績データ記憶部221には、リース契約の各案件の回収金に関する実績データが記録される。具体的には、所定の金融機関口座への入金があった場合、後述の回収予定データとマッチングを行ない、該当する案件を特定して消し込みを行なった場合に回収実績データを記録する。この回収実績データにおいては、契約番号、回収日、回収金額に関するデータが相互に関連付けられている。
【0030】
回収予定データ記憶部222には、リース契約の各案件の回収スケジュールに関する予定データが記録される。この回収予定データにおいては、契約番号、回収予定日、回収予定金額に関するデータが相互に関連付けられている。
【0031】
案件データ記憶部223には、リース契約の各案件の契約内容を特定するためのデータが記録される。具体的には、各案件の契約番号に対して、債務者、リース金額、債権残高、リース物件、リース開始日、最終弁済期日を特定するためのデータを含んで構成される。ここでは、債務者を特定するために債務者コードを用いる。また、債権残高は、回収実績に基づいて減額されて更新記録される。
【0032】
債務者データ記憶部224には、リース契約の各案件について、リース契約を行なった債務者に割り振られた債務者コード毎に、債務者の所在地、債務者の業種等の債務者属性に関するデータを含んで構成される。
【0033】
そして、母体債権分析部23が、オリジネータの基幹システム10から母体債権の分析を実行する。本実施形態では、ダイナミック分析、分散状況分析、スタティック分析を実行し、分析帳票を出力する。
【0034】
ダイナミック分析においては、貸倒・延滞・中途解約記入表、延滞記入表(残高ベース)、延滞記入表(請求ベース)を出力する。
貸倒・延滞・中途解約記入表においては、データ期間毎に以下の項目を備える。
(a)当月取扱残高、(b)月末債権残高、(c)当月において信用破綻先に移行した先に対する債権残高、(d)当月において長期延滞先に移行した先に対する債権残高、(e)当月において中途解約となった原因契約に係る解約時残債権額、(f)当月において中途解約となった原因契約に係る回収金総額。
【0035】
延滞記入表(残高ベース)においては、データ期間毎に、「延滞月数が1月、2月…5
月の債権の債権残高」や「データ期間の合計」の項目を備える。
延滞記入表(請求ベース)においては、請求月毎に以下の項目を備える。
(a)当月弁済期限到来の請求金額、(b)当月末における6ヶ月未満の延滞金額(1月延滞〜5月延滞)、(c)当月末における6ヶ月未満の延滞合計金額、(d)当月において長期延滞先に移行された先に対する延滞金額。
【0036】
分散状況分析においては、残存月数別構成比記入表、資本金別構成比記入表、業種別構成比記入表、物件別構成比記入表、都道府県別構成比記入表、残支払回数別構成比記入表、債務者残高別構成比記入表、リース料別構成比記入表を出力する。
【0037】
残存月数別構成比記入表は、残存月数別区分毎に以下の項目を備える。この残存月数別区分は、「1月未満」、「1〜6月」、「7〜12月」、「13〜18月」…のように残存月数を用いて区分する。
(a)抽出母体債権残高、(b)譲渡債権の原因となる契約の債権残高、(c)譲渡債権の原因となる契約の債権残高のうち譲渡債権額。
【0038】
資本金別構成比記入表は、資本金区分毎に以下の項目を備える。この資本金区分は、「1億円以下」、「1億円超〜5億円以下」、「5億円超〜10億円以下」…のように資本金額を用いて区分する。
(a)抽出母体債権残高、(b)譲渡債権の原因となる契約の債権残高、(c)譲渡債権の原因となる契約の債権残高のうち譲渡債権額。
【0039】
業種別構成比記入表は、業種別区分毎に以下の項目を備える。この業種別区分は、「農業用機械器具卸売業」、「建設機械・鉱山機械卸」、「百貨店」…のように業種を用いて区分する。
(a)抽出母体債権残高、(b)譲渡債権の原因となる契約の債権残高、(c)譲渡債権の原因となる契約の債権残高のうち譲渡債権額。
【0040】
物件別構成比記入表は、物件別区分毎に以下の項目を備える。この物件別区分は、「ワークステーション」、「POS機器」、「自動販売機」…のように物件別区分を用いて区分する。
(a)抽出母体債権残高、(b)譲渡債権の原因となる契約の債権残高、(c)譲渡債権の原因となる契約の債権残高のうち譲渡債権額。
【0041】
都道府県別構成比記入表は、都道府県毎に以下の項目を備える。この都道府県は、「北海道」、「青森県」、…「沖縄県」のように都道府県名称を用いて区分する。
(a)抽出母体債権残高、(b)譲渡債権の原因となる契約の債権残高、(c)譲渡債権の原因となる契約の債権残高のうち譲渡債権額。
【0042】
残支払回数別構成比記入表は、債権残高毎に以下の項目を備える。
(a)抽出母体の金額構成比、(b)抽出母体の件数構成比、(c)譲渡債権の債権残高、(d)譲渡債権の金額構成比、(e)譲渡債権の件数、(f)譲渡債権の件数構成比。
【0043】
債務者残高別構成比記入表は、債権残高毎に以下の項目を備える。
(a)抽出母体の金額構成比、(b)抽出母体の債務者数構成比、(c)譲渡債権の債権残高、(d)譲渡債権の金額構成比、(e)譲渡債権の件数、(f)譲渡債権の債務者数構成比。
【0044】
リース料別構成比記入表は、債権残高毎に以下の項目を備える。
(a)抽出母体の金額構成比、(b)抽出母体の件数構成比、(c)譲渡債権の債権残高
、(d)譲渡債権の金額構成比、(e)譲渡債権の件数、(f)譲渡債権の件数構成比。
【0045】
スタティック分析においては、延滞率マトリクス、中途解約率マトリクス、貸倒率マトリクスを出力する。各マトリクスは、返済回数毎に延滞率、中途解約率、貸倒率についての平均、標準偏差、開始月の項目を備える。
【0046】
譲渡債権抽出部24は、母体債権データ記憶部22に記録された債権の中から、流動化を行なう対象(譲渡債権)を抽出する。この譲渡債権抽出部24は、図2に示すように残高取得手段241、債権選択手段242、乱数生成手段243、分散管理手段244及び合算手段245等として機能する。ここで、残高取得手段241は譲渡債権の残高を算出する。債権選択手段242は、母体債権データ記憶部22に記録された債権の中から譲渡対象候補を選択する。乱数生成手段243は、譲渡対象を選択するための乱数を生成する。分散管理手段244は、譲渡債権の分散性を確認する。合算手段245は譲渡債権の合計額を算出する。債権選択手段242は、更に、図3に示すように、基本データ記憶部242a、乱数桁テーブル記憶部242b及び仮候補データ記憶部242cを備える。
【0047】
基本データ記憶部242aには、図3(a)に示すように、目標残高と分散性基準値に関するデータが記録される。この目標残高や分散性基準値は、オリジネータやアレンジャの希望に基づいて設定される。
【0048】
乱数桁テーブル記憶部242bには、図3(b)に示すように、差額と桁数を対応付けた乱数桁テーブルに関するデータが記録される。本実施形態では、差額が大きいほど桁数が小さくなるように設定しておく。
【0049】
仮候補データ記憶部242cには、図3(c)に示すように、契約番号、案件情報及び債務者情報に関するデータが記録される。仮候補データ記憶部242cには、乱数を用いて譲渡対象候補の債権に関するデータを抽出した記録する。
【0050】
そして、譲渡債権抽出部24は、譲渡対象として特定された債権に関するデータを、譲渡対象債権データ記憶部25に格納する。この譲渡対象債権データ記憶部25は譲渡債権データ記憶手段として機能し、回収実績データ記憶部251、回収予定データ記憶部252、案件データ記憶部253、債務者データ記憶部254から構成される。この譲渡対象債権データ記憶部25には、母体債権データ記憶部22に記録された各債権データ(回収実績データ、回収予定データ、案件データ、債務者データ)の中で、譲渡債権に関するデータのみを抽出して記録する。
【0051】
そして、登記ファイル作成部26が、譲渡する債権の登記を行なうためのファイルを作成する。具体的には、法務省によって定められている「債権譲渡登記申請データ仕様」に基づいて作成する。この登記ファイルは、譲渡対象債権データ記憶部25に記録された各データ及び譲受人に関するデータを用いて作成する。
【0052】
また、運用や保守の段階では、回収状況報告書、延滞案件明細表(残高ベース)、延滞案件明細表(請求ベース)、アンマッチリスト(債務者)、アンマッチリスト(案件)、アンマッチリスト(回収)、補完入力ログを出力する。これらの母体債権分析資料、譲渡債権、登記ファイルは基幹システム10に還元される。そして、この資料に基づいて、オリジネータにおける譲渡債権等の債権管理が行なわれる。
【0053】
このように構成されたシステムを用いて、図4、図5を用いて、譲渡債権の残高管理処理を説明する。
(残高管理処理)
図4に示すように、債権流動化管理システム20は、所定のスケジュールで残高管理処理を実行する。
【0054】
まず、債権流動化管理システム20の譲渡債権抽出部24が、譲渡債権の残高を取得する(ステップS1−1)。具体的には、譲渡債権抽出部24の残高取得手段241が、譲渡対象債権データ記憶部25に格納されたデータに基づいて、リース契約が残存する案件を特定する。そして、回収予定がある案件に関する債権残高を合計することにより譲渡債権の残高総額を算出する。次に、残高取得手段241は、この総額を債権選択手段242に供給する。
【0055】
譲渡債権抽出部24の債権選択手段242は、この残高総額と、基本データ記憶部242aに記録された目標残高とを比較する(ステップS1−2)。目標残高に対して残高不足がない場合(ステップS1−2において「NO」の場合)には、譲渡債権抽出部24は残高管理処理を終了する。
【0056】
一方、目標残高に対して残高不足がある場合(ステップS1−2において「YES」の場合)には、譲渡債権抽出部24は、後述する債権抽出処理を実行する(ステップS1−3)。この債権抽出処理は、不足する残高を補うために、新たに譲渡債権を抽出するために実行される。
【0057】
そして、債権抽出処理の完了後に、母体債権分析部23が分析処理を実行する(ステップS1−4)。この母体債権分析部23は、各種分析を行ない、この分析結果を出力する。この分析結果はアレンジャ30や格付機関40に提供されて、譲渡債権によって構成された金融商品として運用される。
【0058】
(債権抽出処理)
次に、上述の債権抽出処理(ステップS1−3)について、図5を用いて説明する。
まず、この債権抽出処理においては、譲渡債権抽出部24は、譲渡対象候補の債権を選択するための乱数を生成する(ステップS2−1)。具体的には、まず、乱数生成手段243が、所定桁数の乱数を生成する。本実施形態は、乱数桁テーブル記憶部242bに記録された最大桁数以上の桁数の乱数を生成する。
【0059】
債権選択手段242は、乱数生成手段243が生成した乱数を取得する。更に、残高取得手段241から提供された債権残高と、基本データ記憶部242aに記録された目標残高との差額を算出する。そして、債権選択手段242は、算出した差額に対して乱数桁テーブル記憶部242bに記録された乱数桁テーブルを用いて、乱数の桁数を特定する。この乱数桁テーブルでは、金額が大きい場合には小さな桁数、金額が小さい場合には大きな桁数が割り当てられている。そして、債権選択手段242は、乱数生成手段243から取得した乱数の中で、乱数桁テーブルを用い特定した桁数の数字列を特定する。これにより、乱数の桁数が1桁の場合には、選択される契約番号の確率は1/10になり、乱数の桁数が3桁の場合には、選択される契約番号の確率は1/1000になる。従って、桁数が大きくになるにつれて、選択される契約番号は絞り込まれることになる。
【0060】
次に、譲渡債権抽出部24は、譲渡対象候補を特定する(ステップS2−2)。具体的には、債権選択手段242が、ステップS2−1において特定した数字列を下桁に含む契約番号が付与された全案件を、母体債権データ記憶部22から抽出する。そして、仮候補データ記憶部242cに譲渡債権候補として一時記憶する。そして、債権選択手段242は、仮候補データ記憶部242cに記録された譲渡債権候補の中から順次、案件を特定して、譲渡可否の判断のための処理を実行する。
【0061】
具体的には、譲渡債権抽出部24は、特定した案件の仮加算を行なう(ステップS2−3)。この場合、債権選択手段242は、仮候補データ記憶部242cに記録された案件の中で任意に案件を特定する。そして、この案件に関して、母体債権データ記憶部22に記録された案件情報や債務者情報を、譲渡対象債権データ記憶部25に記録された譲渡債権に加算する。この案件に対しては、仮加算であることを示す仮加算フラグを付与しておく。このように仮加算フラグが付与された債権は、仮想的に譲渡債権の一部を構成することになる。更に、この案件に関する情報を仮候補データ記憶部242cから削除する。
【0062】
次に、譲渡債権抽出部24は、譲渡債権の分散値を算出する(ステップS2−4)。具体的には、分散管理手段244が、仮加算した案件の案件情報や債務者情報を含めて、譲渡債権全体の分散値を算出する。本実施形態では、この分散値として、統計的な分散性を確認するために標準偏差を用いる。ここでは、特定債務者、企業規模や業種の集中度、地理的集中度、商品別構成、残高別構成、サプライヤの集中度等の項目について標準偏差を算出する。
【0063】
次に、譲渡債権抽出部24は、譲渡債権の分散性が基準を超えているかどうかを判断する(ステップS2−5)。具体的には、債権選択手段242が、分散管理手段244が算出した分散値を取得して、項目毎に基本データ記憶部242aに記録された分散性基準値と比較する。
【0064】
分散値が分散性基準値より低いため、分散性を確保できない場合(ステップS2−5において「NO」の場合)には、譲渡債権抽出部24は仮加算を解除する(ステップS2−6)。具体的には、債権選択手段242は、この仮加算フラグの付与された案件に関するデータを譲渡対象債権データ記憶部25から削除して、譲渡債権の対象から排除する。
【0065】
一方、分散値が分散性基準値を超えており、分散性を確保できる場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、譲渡債権抽出部24は、仮加算の確定を行なう(ステップS2−7)。具体的には、債権選択手段242は、この案件を付与された仮加算フラグに代えて新たに加算したことを示す新規譲渡フラグを記録することにより、譲渡債権として譲渡対象債権データ記憶部25に加える。
【0066】
次に、譲渡債権抽出部24は、目標残高をクリアしているかどうかを判断する(ステップS2−8)。具体的には、合算手段245が譲渡対象債権データ記憶部25に記録された譲渡債権の残高合計額を合算する。そして、債権選択手段242が、基本データ記憶部242a記録された目標残高と、合算手段245が算出した残高合計額とを比較することにより、目標残高を超えているかどうかを判断する。譲渡債権候補を加算した残高が目標残高を超えている場合(ステップS2−8において「YES」の場合)、には、譲渡債権抽出部24は、債権抽出処理を終了する。
【0067】
一方、譲渡債権候補を加算した残高が目標残高を超えていない場合(ステップS2−8において「NO」の場合)には、債権選択手段242は、次に加算する候補を選択する。ここで、ステップS2−2において特定した譲渡債権候補が仮候補データ記憶部242cの中に残っている場合(ステップS2−9において「YES」の場合)には、仮候補データ記憶部242cから次の候補を選択する(ステップS2−2)。一方、乱数を用いて抽出した全案件を使い切って、仮候補データ記憶部242cに仮候補が残っていない場合(ステップS2−9において「NO」の場合)には、再度、乱数の生成を行なう(ステップS2−1)。ここでは、債権選択手段242は、ステップS2−7において加算した債権残高を含めた残高総額と目標残高との差額に基づいて、生成する乱数の桁数を決定する。この場合も、乱数桁テーブル記憶部242bに記録された乱数桁テーブルを用いる。以上の処理を、目標残高をクリアするまで継続する。
【0068】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
・ 上記実施形態では、譲渡債権抽出部24は、譲渡債権を選択するための乱数を生成する(ステップS2−1)。そして、この譲渡債権抽出部24は、譲渡対象候補を特定する(ステップS2−2)。具体的には、債権選択手段242が、乱数を構成する数字列を下桁に含む契約番号が付与された全案件を、母体債権データ記憶部22から抽出する。これにより、譲渡債権の分散性を図ることができる。従って、デフォルトを一定の水準に抑えることにより、リスク分散を図ることができる。特に、リースやクレジット債権のような小口債権の場合、膨大な数の候補の中から譲渡債権を抽出することになる。抽出処理を、債権流動化管理システム20の譲渡債権抽出部24が実行するために、事務処理を軽減することができる。
【0069】
・ 上記実施形態では、譲渡債権抽出部24は、譲渡債権の分散性が基準を超えているかどうかを判断する(ステップS2−5)。そして、分散値が分散性基準値より低い場合には、譲渡債権抽出部24は、仮加算を解除する(ステップS2−6)。このため、譲渡債権の分散性を阻害する案件の混入を抑制し、リスク分散を図ることができる。
【0070】
・ 上記実施形態では、譲渡債権抽出部24は、譲渡対象候補の債権を選択する(ステップS2−1)。この場合、乱数生成手段243が、所定桁数の乱数を生成する。そして、債権選択手段242は、乱数生成手段243が生成した乱数を取得する。更に、残高取得手段241から提供された債権残高と、基本データ記憶部242aに記録された目標残高との差額を算出する。そして、債権選択手段242は、算出した差額に対して乱数桁テーブル記憶部242bに記録された乱数桁テーブルを用いて、乱数の桁数を特定する。これにより、債権残高と目標残高との差額に応じて譲渡対象候補を選択することができる。すなわち、差額が大きい場合には多くの候補を抽出し、差額が小さい場合には少ない候補を抽出することができる。この場合も、乱数を用いるため分散性を維持することができる。
【0071】
・ 上記実施形態では、乱数を用いて抽出した全案件を利用しても目標残高をクリアできず、仮候補データ記憶部242cに仮候補が残っていない場合には、再度、乱数の生成を行なう(ステップS2−1)。この場合も、加算した債権残高を含めた残高総額と目標残高との差額に基づいて、生成する乱数の桁数を決定する。この場合も、乱数桁テーブル記憶部242bに記録された乱数桁テーブルを用いる。これにより、差額が小さくなった場合には、乱数の桁数を上げることにより、分散性を維持しながら譲渡債権を抽出することができる。
【0072】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
○ 上記実施形態では、リース債権に限定されるものではなく、クレジット債権、ローン債権、売掛債権にも適用することができる。
【0073】
○ 上記実施形態では、債権選択手段242は、乱数生成手段243から取得した乱数の中で、乱数桁テーブルを用い特定した桁数の数字列を特定する。これに代えて、乱数生成手段243が生成する乱数の桁数を変更させることも可能である。この場合、乱数生成手段243に乱数桁テーブルを保持させておく。そして、乱数生成手段243、残高取得手段241から提供された債権残高と、基本データ記憶部242aに記録された目標残高との差額を取得して、乱数桁テーブルを用いて生成する乱数の桁数を変更する。
【0074】
○ 上記実施形態では、譲渡債権抽出部24は、仮候補データ記憶部242cに記録した譲渡対象候補を順次、特定する(ステップS2−2)。そして、譲渡債権抽出部24は、特定した案件の仮加算し(ステップS2−3)、譲渡債権の分散値を算出する(ステッ
プS2−4)。そして、譲渡債権抽出部24は、譲渡債権の分散性が基準を超えているかどうかを判断する(ステップS2−5)。これに代えて、譲渡債権抽出部24は、仮候補データ記憶部242cに記録した譲渡対象候補を、最初に一括して仮加算するようにしてもよい。この場合、一括して仮加算した案件を含めて譲渡債権全体の分散値を算出する。そして、分散値が分散性基準値より低いため、分散性を確保できない場合には、ステップS2−2〜S2−7のように、案件毎に個別に加算していく。これにより、一括して仮加算できる場合には効率的に譲渡債権を抽出することができる。また、この場合も、乱数桁テーブル記憶部242bに記録された乱数桁テーブルを用いることにより、適切な数の案件を抽出ことができる。
【0075】
○ 上記実施形態では、分散値が分散性基準値より低い場合(ステップS2−5において「NO」の場合)には、譲渡債権抽出部24は、仮加算を解除する(ステップS2−6)。これに加えて、仮加算前の分散値が改善している場合にも、仮加算を行なうようにしてもよい。具体的には、債権選択手段242が、最初の分散値を保持しておき、分散基準値を超えている場合にも、仮加算により分散値が改善している場合には、仮加算を確定する。これにより、当初から分散性が悪い場合にも、加算により改善することができる。
【0076】
○ 上記実施形態では、乱数桁テーブル記憶部242bに、差額と桁数との関係が固定されている乱数桁テーブルを保持させた。これに代えて、母体債権の統計的な代表値(平均値や中央値、最頻値等)を用いて、差額と桁数との関係を変更してもよい。この場合、代表値を算出するために、譲渡債権抽出部24に、母体債権の各残高を代入する所定の統計関数(代表値算出関数)を保持させておく。更に、代表値範囲に対応させて、複数の乱数桁テーブルを保持させておく。そして、債権抽出処理においては、債権選択手段242は、母体債権データ記憶部22に記録された債権について代表値算出関数を用いて母体債権の代表値を算出する。そして、債権選択手段242は、算出した代表値を代表値範囲に含む乱数桁テーブルを特定する。そして、債権選択手段242は、特定した乱数桁テーブルを用いて、債権抽出に用いる乱数の桁数を特定する(ステップS2−1)。これにより、母体債権データ記憶部22に記録された債権の残高状況に応じて抽出する債権候補の数を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態のシステムの概略図。
【図2】本発明の一実施形態の機能ブロックの説明図。
【図3】譲渡債権抽出手段が保持するデータの説明であって、(a)は基本データ記憶部、(b)は乱数桁テーブル記憶部、(c)は仮候補データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図4】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【図5】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【図6】債権の流動化の概念説明図。
【符号の説明】
【0078】
10…基幹システム、20…債権流動化管理システム、21…データコンバータ、22…母体債権データ記憶部、23…母体債権分析部、24…譲渡債権抽出部、25…譲渡対象債権データ記憶部、26…登記ファイル作成部、241…残高取得手段、242…債権選択手段、243…乱数生成手段、244…分散管理手段、245…合算手段、242a…基本データ記憶部、242b…乱数桁テーブル記憶部、242c…仮候補データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
契約番号に関連付けて譲渡対象の債権候補に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、
債権毎に債務者属性や案件属性に関する情報を記録した債務属性データ記憶手段と、
流動化対象の譲渡債権の債権残高と、前記譲渡債権の債務者の属性情報を記録した譲渡債権データ記憶手段と、
譲渡債権の管理を行なう制御部とを備えた債権流動化管理システムを用いて流動化対象の債権を抽出する方法であって、
前記制御部が、
前記譲渡債権データ記憶手段に記録された債権残高と目標残高とを比較する段階と、
前記債権残高が前記目標残高に満たない場合には、乱数を生成し、この乱数を契約番号の下桁に含む債権を前記譲渡候補データ記憶手段から抽出する債権抽出処理を行なう段階と、
前記抽出した債権の残高を前記譲渡債権の債権残高に加算する仮加算処理を行なう段階と、
前記債務属性データ記憶手段に記録された債務者属性や案件属性に関する情報を取得し、各属性について分散値を算出する分散管理処理を行なう段階とを実行し、
前記分散値が基準値以上になる債権を、譲渡債権の債権残高が前記目標残高に達するまで、前記債権抽出処理、仮加算処理、分散管理処理を行なうことを特徴とする債権流動化管理方法。
【請求項2】
前記債権流動化管理システムは、前記目標残高と前記譲渡債権の残高との差額に対応して乱数の桁数を決定するための乱数桁テーブルを保持し、
前記制御部が、前記目標残高と前記譲渡債権の残高との差額を算出し、前記乱数桁テーブルを用いて債権抽出処理に用いる乱数の桁数を決定することを特徴とする請求項1に記載の債権流動化管理方法。
【請求項3】
前記制御部が、各属性についての分散値を表示した分析帳票を出力する段階を、更に実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の債権流動化管理方法。
【請求項4】
契約番号に関連付けて譲渡対象の債権候補に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、
債権毎に債務者属性や案件属性に関する情報を記録した債務属性データ記憶手段と、
流動化対象の譲渡債権の債権残高と、前記譲渡債権の債務者の属性情報を記録した譲渡債権データ記憶手段と、
譲渡債権の管理を行なう制御部とを備え、流動化対象の債権を抽出する債権流動化管理システムであって、
前記制御部が、
前記譲渡債権データ記憶手段に記録された債権残高と目標残高とを比較する手段と、
前記債権残高が前記目標残高に満たない場合には、乱数を生成し、この乱数を契約番号の下桁に含む債権を前記譲渡候補データ記憶手段から抽出する債権抽出処理を行なう手段と、
前記抽出した債権の残高を前記譲渡債権の債権残高に加算する仮加算処理を行なう手段と、
前記債務属性データ記憶手段に記録された債務者属性や案件属性に関する情報を取得し、各属性について分散値を算出する分散管理処理を行なう手段として機能し、
前記分散値が基準値以上になる債権を、譲渡債権の債権残高が前記目標残高に達するまで、前記債権抽出処理、仮加算処理、分散管理処理を行なうことを特徴とする債権流動化管理システム。
【請求項5】
前記債権流動化管理システムは、前記目標残高と前記譲渡債権の残高との差額に対応して乱数の桁数を決定するための乱数桁テーブルを保持し、
前記制御部が、前記目標残高と前記譲渡債権の残高との差額を算出し、前記乱数桁テーブルを用いて債権抽出処理に用いる乱数の桁数を決定することを特徴とする請求項4に記載の債権流動化管理システム。
【請求項6】
前記制御部が、各属性についての分散値を表示した分析帳票を出力する手段として更に機能することを特徴とする請求項4又は5に記載の債権流動化管理システム。
【請求項7】
契約番号に関連付けて譲渡対象の債権候補に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、
債権毎に債務者属性や案件属性に関する情報を記録した債務属性データ記憶手段と、
流動化対象の譲渡債権の債権残高と、前記譲渡債権の債務者の属性情報を記録した譲渡債権データ記憶手段と、
譲渡債権の管理を行なう制御部とを備えた債権流動化管理システムを用いて流動化対象の債権を抽出するプログラムであって、
前記制御部を、
前記譲渡債権データ記憶手段に記録された債権残高と目標残高とを比較する手段と、
前記債権残高が前記目標残高に満たない場合には、乱数を生成し、この乱数を契約番号の下桁に含む債権を前記譲渡候補データ記憶手段から抽出する債権抽出処理を行なう手段と、
前記抽出した債権の残高を前記譲渡債権の債権残高に加算する仮加算処理を行なう手段と、
前記債務属性データ記憶手段に記録された債務者属性や案件属性に関する情報を取得し、各属性について分散値を算出する分散管理処理を行なう手段と、
前記分散値が基準値以上になる債権を、譲渡債権の債権残高が前記目標残高に達するまで、前記債権抽出処理、仮加算処理、分散管理処理を行なわせる手段として機能させることを特徴とする債権流動化管理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−265180(P2007−265180A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91278(P2006−91278)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)