説明

債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラム

【課題】リスク分散を図りながら、効率的に譲渡対象となる債権を抽出するための債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムを提供する。
【解決手段】債権流動化管理システムの譲渡債権抽出部24は、出金額範囲データ記憶部241bに記録された抽出金額範囲に基づいて、抽出金額候補の設定処理を実行する。次に、譲渡債権抽出部24が、抽出金額候補に割合ルールデータ記憶部241aに記録された割合条件を乗算して上限額を算出する。譲渡債権抽出部24は、候補データ記憶部245に記録された債権データの中から、抽出対象金額データ記憶部241eに記録された抽出対象金額以下で、最高金額の債権を特定し、債務者抽出残枠を確認する。そして、抽出金額候補に相当する債権を抽出できた場合や、抽出可能な債権がなくなる場合まで、債権抽出処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、債権の流動化業務をサポートするための債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
経営のための資金を調達するために社債やCP(Commercial Paper)の発行が利用されているが、これらは基本的に発行企業の信用力に依存している。更に、資金の固定化を防ぎ、資金を効率的に回転させることにより、財務内容の改善・経営基盤の強化を図っている。このために、手形等の債権を金融市場で売買することにより、企業が有する債権の流動化を行なう手法がある。具体的には、ABS(資産担保証券)・ABCP(資産担保コマーシャルペーパー)の発行等が挙げられる。
【0003】
特に、1993年6月の「特定債権法(特定債権に係る事業の規制に関する法律)」の施行により、リース債権等の小口債権の流動化も可能になっている。このような資産の流動化の潮流は、改正信託業法にも引き継がれている。このような資産流動化商品は、資金調達を行なう企業の信用力ではなく、分離された資産の信用力を裏付けとする。例えば、企業が保有するリース物件債権を法人から分離譲渡し、この債権の債務者からの返済を投資家への弁済原資とすることで、社債発行時の高格付を期待できる。これにより、低コストでの資金調達や資金調達源の多様化を図ることができる。
【0004】
代表的な流動化手法としては、金銭債権等を信託してその受益権を投資家に取得させる手法(信託方式)、投資家を組合員とする民法上の任意組合や商法上の匿名組合に金銭債権等を譲渡する手法(組合方式)、金銭債権等をSPC等の法人に譲渡し、これらを原資とする債券を発行する手法(SPC方式)等がある。最近では、信託方式とSPC方式とを組み合わせた方式が多く利用されている。この方式を、図9を用いて説明する。
【0005】
例えば、リース債権を保有する企業(オリジネータ)は信託契約に基づき、信託銀行に対しリース債権を信託し、信託受益権を取得する。この信託受益権は、貸付債権の回収金から諸費用を控除した後の残額を信託銀行から受領する権利である。
【0006】
オリジネータは取得した信託受益権を特別目的会社(SPC:Special Purpose Company )に譲渡し、譲渡代金を取得する。ここで、SPCは、信託受益権の取得及びその取得資金を調達するための社債発行のみを事業目的とする会社である。SPCは信託受益権の取得資金を調達するため、CPや社債を発行する。このCPや社債は証券会社等により引き受けられ、広く投資家に販売される。例えばオリジネータにより行われたリース債権の回収金は、信託銀行に送金される。そして、信託銀行は、この回収金をSPCに信託配当として支払い、SPCはこれを原資として投資家に対してCPの償還金を支払う。このように、リース債権を流動化することにより、企業は資産を早期に資金化することができ、財務体質の向上、資金繰りの改善等を実現することができる。
【0007】
しかし、流動化対象の債権の抽出、対象債権の債権譲渡登記、証券会社等の金融機関、SPCや格付機関への報告等において、煩雑な事務負担がかかる。
そこで、債権の流動化業務をサポートするための流動化債権管理システムが検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の流動化債権管理システムは、銘柄申請処理プログラムと、流動化実行プログラムと、債権回収処理プログラムを備えている。流動化実行プログラムは、各グループ会社から送信された債権情報を取得して債権情報
記憶部に格納し、この債権情報に基づいて、残高集中率を算出する。そして、予め上限情報が格納されたマスタ情報記憶部より上限情報を読み出し、残高集中率が当該上限情報を超過しているか否かを判定する。さらに、残高集中率が上限情報を超過している場合には、超過していることを示す情報を統括会社及び/又は特定目的会社の端末に対して送信する。
【特許文献1】特開2005−275955号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の段落〔0058〕にもあるように、流動化債権管理システムは、プログラム別・銘柄別に予め許容集中率を登録しておき、当該許容集中率との比較処理を実行する。比較の結果、許容集中率を超える場合に、システムは、統括会社の端末にウォーニング(注意喚起メッセージ)が表示される。そして、許容集中率を超える場合には、補正処理ができるようになっている。
【0009】
このようにリスク分散を図るために、所定の債務者が占める割合を、例えば「1%ルール」のように一定値以下になるように定めていることがある。
しかし、この割合ルールに収まるように債権を抽出することが困難になる場合がある。例えば、できるだけ効率よく債権を抽出するために、金額の大きな債権を抽出した場合、総額に対して債権金額が大きくなり、割合ルールを満足しなくなる可能性がある。一方、金額の小さい債権を抽出する場合、抽出できる母体債権が減少することにより抽出総額も少なくなり、却って割合ルールの達成が困難になることもある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、リスク分散を図りながら、効率的に譲渡対象となる債権を抽出するための債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、抽出対象の債権候補について債権金額に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、譲渡債権の管理を行なう制御部とを備えた債権流動化管理システムを用いて流動化対象の債権を抽出する方法であって、前記制御部が、一債務者の割合条件及び抽出金額範囲を取得してメモリに記録する段階と、前記抽出金額範囲内において抽出金額候補を生成する段階と、前記抽出金額候補に前記割合条件を乗算して上限額を決定してメモリに記録する段階と、債権金額が前記上限額以下の債権を、債権金額の大きい順番に、前記抽出金額候補に応じて抽出する段階と、抽出債権において、債務者毎の債権金額を、前記抽出債権の総額で除算し、一債務者割合を算出する段階と、前記一債務者割合が前記割合条件を満たす場合に、抽出した債権を譲渡候補として記録する段階とを実行することを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の債権流動化管理方法において、前記制御部が、生成した抽出金額候補に対して、抽出した債権の一債務者割合が前記割合条件を満たさない場合に、新たな抽出金額候補を生成することを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の債権流動化管理方法において、前記制御部が、抽出した合計額と抽出金額候補との差分により抽出残枠を算出し、前記抽出残枠と上限額とを比較して、前記抽出残枠が上限額より小さい場合には、前記抽出残枠以下の債権を抽出することを要旨とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、抽出対象の債権候補について債権金額に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、譲渡債権の管理を行なう制御部とを備え、流動化対象の債
権を抽出するための債権流動化管理システムであって、前記制御部が、一債務者の割合条件及び抽出金額範囲を取得してメモリに記録する手段と、前記抽出金額範囲内において抽出金額候補を生成する手段と、前記抽出金額候補に前記割合条件を乗算して上限額を決定してメモリに記録する手段と、債権金額が前記上限額以下の債権を、債権金額の大きい順番に、前記抽出金額候補に応じて抽出する手段と、抽出債権において、債務者毎の債権金額を、前記抽出債権の総額で除算し、一債務者割合を算出する手段と、前記一債務者割合が前記割合条件を満たす場合に、抽出した債権を譲渡候補として記録する手段とを備えることを要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の債権流動化管理システムにおいて、前記制御部が、生成した抽出金額候補に対して、抽出した債権の一債務者割合が前記割合条件を満たさない場合に、新たな抽出金額候補を生成することを要旨とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の債権流動化管理システムにおいて、前記制御部が、抽出した合計額と抽出金額候補との差分により抽出残枠を算出し、前記抽出残枠と上限額とを比較して、前記抽出残枠が上限額より小さい場合には、前記抽出残枠以下の債権を抽出することを要旨とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、抽出対象の債権候補について債権金額に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、譲渡債権の管理を行なう制御部とを備えた債権流動化管理システムを用いて流動化対象の債権を抽出するための債権流動化管理プログラムであって、前記制御部を、一債務者の割合条件及び抽出金額範囲を取得してメモリに記録する手段と、前記抽出金額範囲内において抽出金額候補を生成する手段と、前記抽出金額候補に前記割合条件を乗算して上限額を決定してメモリに記録する手段と、債権金額が前記上限額以下の債権を、債権金額の大きい順番に、前記抽出金額候補に応じて抽出する手段と、抽出債権において、債務者毎の債権金額を、前記抽出債権の総額で除算し、一債務者割合を算出する手段と、前記一債務者割合が前記割合条件を満たす場合に、抽出した債権を譲渡候補として記録する手段として機能させることを要旨とする。
【0018】
(作用)
請求項1、4又は7に記載の発明によれば、制御部が、抽出金額候補に割合条件を乗算して上限額を決定してメモリに記録する。そして、債権金額が上限額以下の債権を、債権金額の大きい順番に、抽出金額候補に応じて抽出する。これにより、抽出する債権の分散化を図りながら、上限額を目安にして効率的に債権を抽出することができる。そして、抽出債権において、債務者毎の債権金額を、抽出債権の総額で除算し、一債務者割合を算出する。そして、一債務者割合が割合条件を満たす場合に、抽出した債権を譲渡候補として記録する。これにより、抽出する債権の分散化を、より確実にすることができる。
【0019】
請求項2又は5に記載の発明によれば、生成した抽出金額候補に対して、抽出した債権の一債務者割合が割合条件を満たさない場合に、新たな抽出金額候補を生成する。これにより、債権流動化管理システムの記憶容量や処理負荷を軽減しながら、効率的に債権の抽出を行なうことができる。
【0020】
請求項3又は6に記載の発明によれば、抽出した合計額と抽出金額候補との差分により抽出残枠を算出し、抽出残枠と上限額とを比較する。そして、抽出残枠が上限額より小さい場合には、この抽出残枠以下の債権を抽出する。これにより、抽出金額候補に近い金額の債権を抽出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、リスク分散を図りながら、効率的に譲渡対象となる債権を抽出するた
めの債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図7を用いて説明する。本実施形態では、企業が保有するリース債権を、アレンジャ(引受証券会社等)を介して流動化を図る場合に用いる債権流動化管理方法、債権流動化管理システム及び債権流動化管理プログラムとして説明する。図1に示すように、本実施形態では、オリジネータ(証券化する資産の保有者)の基幹システム10、債権流動化管理システム20を用いる。更に、債権の流動化には、証券化における証券の発行構造(ストラクチャ)の立案、証券の発行、引き受け、販売、信用補完の提案等の取りまとめを行なうアレンジャ30、金融商品の格付けを行なう格付機関40が関与する。アレンジャとしては、証券会社や投資銀行がなることが多い。
【0023】
ここでは、企業が保有するリース債権を母体債権として、この中から適格要件を満足する債権を抽出し、更にこの適格債権の中から目標残高を満たすための債権を抽出する。具体的には、基幹システム10のデータ選択部11は、保有する債権の中から譲渡可能な債権を抽出し、この抽出データを債権流動化管理システム20に提供する。この抽出データは、リース契約の契約番号毎に回収実績、回収予定、案件、債務者情報に関するデータを含む。ここで、契約番号は各リース契約を特定するための識別子である。案件データは、契約番号に対して、債務者、リース金額、債権残高、リース物件、リース開始日、最終弁済期日に関するデータを含んで構成される。回収実績データ、回収予定データは、契約番号に対して、それぞれ回収の実績(回収日や金額)、予定(回収予定日や予定金額)に関するデータを含んで構成される。債務者情報データは、リース契約を行なった債務者毎に所在地、業種に関するデータを含んで構成される。
【0024】
債権流動化管理システム20は、流動化を行なうリース債権を管理するコンピュータシステムである。この債権流動化管理システム20は、制御部(CPU、RAM、ROM等)、データ記憶手段、入力手段(キーボードやポインティングデバイス)、出力手段(ディスプレイ等)、通信手段等を備える。債権流動化管理システム20は、ネットワークを介して、基幹システム10と接続され、通信を行なう。
【0025】
債権流動化管理システム20の制御部は、流動化する債権を管理するための各種データ処理等を行なう。この制御部は、後述する処理(一債務者の割合条件及び抽出金額範囲の記録、抽出金額候補生成、上限額の決定、上限額以下の債権の抽出、一債務者割合の算出、譲渡候補の記録等の各処理段階)を行なう。そのための債権流動化管理プログラムを実行することにより、制御部は、データコンバータ21、母体債権分析部23、譲渡債権抽出部24、登記ファイル作成部26として機能する。
【0026】
オリジネータの基幹システム10から譲渡債権の候補として抽出データを受けた場合、債権流動化管理システム20のデータコンバータ21は、基幹システム10において使用されている債権データのデータフォーマットを、債権流動化管理システム20内の各手段で利用可能なデータフォーマットに変換する。そして、変換したデータを母体債権データ記憶部22に記録する。この母体債権データ記憶部22は譲渡候補データ記憶手段として機能し、基幹システム10から提供された抽出データに含まれる項目を記録するための回収実績データ記憶部221、回収予定データ記憶部222、案件データ記憶部223、債務者データ記憶部224から構成される。
【0027】
この回収実績データ記憶部221には、リース契約の各案件の回収金に関する実績データが記録される。具体的には、所定の金融機関口座への入金があった場合、後述の回収予
定データとマッチングを行ない、該当する案件を特定して消し込みを行なった場合に回収実績データを記録する。この回収実績データにおいては、契約番号、回収日、回収金額に関するデータが相互に関連付けられている。
【0028】
回収予定データ記憶部222には、リース契約の各案件の回収スケジュールに関する予定データが記録される。この回収予定データにおいては、契約番号、回収予定日、回収予定金額に関するデータが相互に関連付けられている。
【0029】
案件データ記憶部223には、リース契約の各案件の契約内容を特定するためのデータが記録される。具体的には、各案件の契約番号に対して、債務者、リース金額、債権残高、リース物件、リース開始日、最終弁済期日を特定するためのデータを含んで構成される。ここでは、債務者を特定するために債務者コードを用いる。また、債権残高は、回収実績に基づいて減額されて更新記録される。
【0030】
債務者データ記憶部224には、リース契約の各案件について、リース契約を行なった債務者に割り振られた債務者コード毎に、債務者の所在地、債務者の業種等の債務者属性に関するデータを含んで構成される。
【0031】
そして、母体債権分析部23が、オリジネータの基幹システム10から取得した母体債権の分析を実行する。本実施形態では、ダイナミック分析、分散状況分析、スタティック分析を実行し、母体債権分析資料を出力する。
【0032】
ダイナミック分析においては、貸倒・延滞・中途解約記入表、延滞記入表(残高ベース)、延滞記入表(請求ベース)を出力する。分散状況分析においては、残存月数別構成比記入表、資本金別構成比記入表、業種別構成比記入表、物件別構成比記入表、都道府県別構成比記入表、残支払回数別構成比記入表、債務者残高別構成比記入表、リース料別構成比記入表を出力する。スタティック分析においては、延滞率マトリクス、中途解約率マトリクス、貸倒率マトリクスを出力する。各マトリクスは、返済回数毎に延滞率、中途解約率、貸倒率についての平均、標準偏差、開始月の項目を備える。
【0033】
譲渡債権抽出部24は、母体債権データ記憶部22に記録された債権の中から、流動化を行なう対象(譲渡債権)を抽出する。この譲渡債権抽出部24は、図2に示すように抽出管理メモリ241、抽出金額候補生成手段242、債権選択手段243、最高額債権抽出手段244、候補データ記憶部245等として機能する。ここで、抽出管理メモリ241は、債権抽出処理を行なう場合に用いるデータを一時的に記憶する。抽出金額候補生成手段242は、利用者によって設定された抽出希望金額や許容抽出金額範囲に基づいて抽出金額候補を生成する。債権選択手段243は、抽出する債権の条件(抽出残枠や抽出対象金額)を生成し、譲渡対象候補を特定する。最高額債権抽出手段244は、抽出対象候補の中から、所定の条件下で最高額の債権を抽出する。
【0034】
候補データ記憶部245には、債権抽出処理を行なうために母体債権データ記憶部22から抽出された抽出対象候補に関する債権データが一時的に記録される。この候補データ記憶部245には、抽出金額候補毎に、債権を特定するためのデータ(少なくとも契約番号、債権金額及び債務者コード)と、採用/不採用フラグデータとが記録される。この採用/不採用フラグは、後述する債権抽出処理によって記録される。
【0035】
また、抽出管理メモリ241は、更に、割合ルールデータ記憶部241a、抽出金額範囲データ記憶部241b、抽出金額候補データ記憶部241c、抽出残枠データ記憶部241d、抽出対象金額データ記憶部241e、絞込属性条件データ記憶部241fを備える。
【0036】
割合ルールデータ記憶部241aには、全体の債権総額に対して一債務者の債権の占める割合に関するルール(割合条件)についてのデータが記録される。この割合ルールにより、抽出する債権の属性(ここでは、債務者)を分散させることにより、リスク分散を図ることができる。抽出金額範囲データ記憶部241bには、譲渡対象の希望金額(抽出希望金額や許容抽出金額範囲)に関するデータが記録される。この割合ルールや抽出金額範囲は、オリジネータやアレンジャの希望に基づいて設定される。
【0037】
抽出金額候補データ記憶部241cには、利用者によって設定された抽出希望金額や許容抽出金額範囲に基づいて生成される債権抽出の目標となる候補金額に関するデータが記録される。
【0038】
抽出残枠データ記憶部241dには、債務者抽出算枠及び全体抽出算枠に関するデータが記録される。この債務者抽出算枠は、債務者コード毎に割合ルールを満足する金額に達するまでの残りの金額が記録される。一方、全体抽出算枠には、抽出金額候補に達するまでの残りの金額が記録される。
【0039】
抽出対象金額データ記憶部241eには、譲渡対象候補を抽出する場合に用いる金額条件(ここでは、債権の上限額)に関するデータが記録される。
絞込属性条件データ記憶部241fには、抽出する債権を絞り込むための属性(債権の種類等)に関する条件データが記録される。
【0040】
そして、譲渡債権抽出部24は、候補データ記憶部245に記録された債権の中で、譲渡対象として特定された債権に関するデータを、譲渡対象債権データ記憶部25に格納する。この譲渡対象債権データ記憶部25は譲渡債権データ記憶手段として機能し、回収実績データ記憶部251、回収予定データ記憶部252、案件データ記憶部253、債務者データ記憶部254から構成される。この譲渡対象債権データ記憶部25には、母体債権データ記憶部22に記録された各債権データ(回収実績データ、回収予定データ、案件データ、債務者データ)の中で、譲渡債権に関するデータのみを抽出して記録する。
【0041】
そして、登記ファイル作成部26が、譲渡する債権の登記を行なうためのファイルを作成する。具体的には、法務省によって定められている「債権譲渡登記申請データ仕様」に基づいて作成する。この登記ファイルは、譲渡対象債権データ記憶部25に記録された各データ及び譲受人に関するデータを用いて作成される。
【0042】
また、運用や保守の段階では、回収状況報告書、延滞案件明細表(残高ベース)、延滞案件明細表(請求ベース)、アンマッチリスト(債務者)、アンマッチリスト(案件)、アンマッチリスト(回収)、補完入力ログを出力する。これらの母体債権分析資料、譲渡債権、登記ファイルはオリジネータに還元される。そして、この資料に基づいて、オリジネータにおける譲渡債権等の債権管理が行なわれる。
【0043】
このように構成されたシステムを用いて行なう譲渡債権の候補特定処理を、図3〜図7に従って説明する。
(候補特定処理)
図3に示すように、債権流動化管理システム20の譲渡債権抽出部24は、一債務者の割合ルールの記録処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、譲渡債権抽出部24は、入力手段において設定された一債務者の上限値(割合条件)に関するデータを取得し、譲渡債権抽出部24の割合ルールデータ記憶部241aに記録する。ここでは、例えば、割合ルールとして、一債務者の抽出債権の金額が全体の「1%」以下(1%ルール)のように設定する。
【0044】
次に、譲渡債権抽出部24は、抽出金額範囲の記録処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、譲渡債権抽出部24は、入力手段において設定された抽出金額範囲に関するデータを取得し、譲渡債権抽出部24の抽出金額範囲データ記憶部241bに記録する。ここでは、例えば、所望の抽出希望金額と、この抽出希望金額に対して許容できる金額範囲(許容抽出金額範囲)が記録される。更に、利用者が、所定の属性条件により抽出債権の絞込みを希望する場合には、譲渡債権抽出部24は、入力手段において設定された属性条件に関するデータを取得し、絞込属性条件データ記憶部241fに記録する。
【0045】
次に、譲渡債権抽出部24は、抽出金額候補の設定処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、まず、譲渡債権抽出部24の抽出金額候補生成手段242が、抽出金額範囲データ記憶部241bに記録された抽出金額範囲に基づいて、債権抽出処理において最初に用いる抽出金額候補の初期値を特定する。ここでは、抽出金額候補の初期値としては抽出希望金額を用いる。更に、図5に示すように、抽出金額範囲データ記憶部241bに記録された許容抽出金額範囲内において、抽出希望金額に対して予め設定された変更パラメータを、順次加減して抽出金額候補を生成する。そして、抽出金額候補生成手段242は、この抽出金額候補を、抽出希望金額に近い順番で抽出金額候補データ記憶部241cに記録する。
【0046】
次に、譲渡債権抽出部24は、割合ルールに基づいて、債権抽出処理において用いる上限額の設定処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、譲渡債権抽出部24の債権選択手段243が、抽出金額候補データ記憶部241cに記録された抽出金額候補の中から、債権抽出処理対象となる抽出金額候補を特定する。そして、債権選択手段243は、この抽出金額候補に対して、割合ルールデータ記憶部241aに記録された割合条件(例えば1%)を乗算して上限額を算出する。
【0047】
そして、譲渡債権抽出部24は、この抽出金額候補に対して、債権抽出処理を実行する(ステップS1−5)。この処理を、図4に従って説明する。
ここでは、譲渡債権抽出部24は、候補データの記録処理を行なう(ステップS2−1)。具体的には、まず、譲渡債権抽出部24は、母体債権データ記憶部22から候補特定処理の対象となる債権データを、候補データ記憶部245に一時記憶させる。この場合、譲渡債権抽出部24は、債権の金額の大きい順番にソートして記録する。
【0048】
そして、譲渡債権抽出部24は、抽出条件の初期設定処理を行なう(ステップS2−2)。ここでは、抽出条件として抽出対象金額及び抽出残枠の設定を行なう。具体的には、債権選択手段243は、ステップS1−4において算出した上限額を、抽出対象金額として抽出対象金額データ記憶部241eに記録する。次に、債権選択手段243は、抽出金額候補データ記憶部241cに記録された抽出金額候補の中で、最初に処理を行なう抽出金額候補を全体抽出残枠として抽出残枠データ記憶部241dに記録する。初めて債権抽出処理を行なう場合には、初期値として抽出希望金額が記録される。なお、債務者抽出算枠は、後述するように、債権候補を抽出した場合に記録される。
【0049】
次に、譲渡債権抽出部24は、債権の抽出処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、まず、最高額債権抽出手段244が、候補データ記憶部245に一時記憶された抽出対象候補において、抽出対象金額データ記憶部241eに記録された抽出対象金額を超える金額の債権データに対して不採用フラグを付与する。次に、最高額債権抽出手段244が、候補データ記憶部245において不採用フラグが付与されていない抽出対象候補の中から、最高金額の債権を特定する。なお、絞込属性条件データ記憶部241fに絞込属性条件に関するデータが記録されている場合には、譲渡債権抽出部24は、この絞込属性条件を用いてフィルタリングを行ない、絞込属性条件を満足しない抽出対象候補の債権
データには、予め不採用フラグを付与しておく。そして、最高額債権抽出手段244は、この抽出対象候補に関するデータ(少なくとも契約番号、債権金額及び債務者コードに関するデータ)を債権選択手段243に供給する。
【0050】
次に、譲渡債権抽出部24は、割合ルールを満足しているかどうかを確認する(ステップS2−4)。具体的には、債権選択手段243は、最高額債権抽出手段244から供給された債務者コードを用いて、この債務者コードに関する債務者抽出残枠を、抽出残枠データ記憶部241dを用いて特定する。次に、債権選択手段243は、最高額債権抽出手段244から供給された債権金額と債務者抽出残枠とを比較する。そして、供給された債権金額の金額が債務者抽出残枠を超えている場合(ステップS2−4において「NO」の場合)には、割合ルールを満足しない可能性があるため、不採用処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、債権選択手段243は、この債権を譲渡対象候補から外すために、候補データ記憶部245において、この抽出対象候補に対して不採用フラグを記録する。そして、後述するステップS2−8にジャンプする。
【0051】
一方、最高額債権抽出手段244から供給された債権金額が、この債務者の債務者抽出残枠以下の場合(ステップS2−4において「YES」の場合)には、この債務者に関しては割合ルールを満足することになるので、譲渡債権候補としての採用処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、債権選択手段243は、候補データ記憶部245において、この抽出対象候補に対して、譲渡債権候補を示す採用フラグを記録する。
【0052】
次に、譲渡債権抽出部24は、抽出残枠の更新処理を実行する。具体的には、債権選択手段243は、抽出残枠データ記憶部241dに記録された債務者抽出算枠及び全体抽出残枠から、最高額債権抽出手段244が抽出した債権の金額を差し引く。債権選択手段243は、この金額を新たな抽出残枠として抽出残枠データ記憶部241dに記録する。
【0053】
次に、譲渡債権抽出部24は、譲渡債権候補の総額が抽出金額候補を超えたかどうかを確認する(ステップS2−7)。具体的には、債権選択手段243は、抽出残枠データ記憶部241dに記録された全体抽出残枠が「0」以下になったかどうかを確認する。全体抽出残枠が「0」以下になった場合(ステップS2−7において「YES」の場合)、すなわち、抽出金額候補に相当する債権を抽出した場合には、債権選択手段243は債権抽出処理を終了する。
【0054】
全体抽出残枠が「0」より大きい場合(ステップS2−7において「NO」の場合)、債権選択手段243は、候補データ記憶部245に抽出可能な債権が残っているかどうかを確認する(ステップS2−8)。具体的には、候補データ記憶部245に、採用/不採用フラグが記録されていない抽出対象候補が残っているかどうかを確認する。抽出可能な債権が残っている場合(ステップS2−8において「YES」の場合)、債権選択手段243は、の譲渡債権抽出部24は、ステップS2−3に戻る。これにより、最高額債権抽出手段244は、候補データ記憶部245において残っている抽出対象候補の中から、再度、最高額の債権データの抽出処理を再開する。
【0055】
一方、抽出可能な債権が残っていない場合(ステップS2−8において「NO」の場合)には、債権選択手段243は債権抽出処理を終了する。以上のように、抽出金額候補に相当する債権を抽出した場合や、抽出可能な債権が無くなった場合に到るまで、債権抽出処理を行なう。
【0056】
債権抽出処理を終了した場合、債権流動化管理システム20の譲渡債権抽出部24は、抽出した債権の合計額を合計する(ステップS1−6)。具体的には、債権選択手段243は、抽出金額候補に対応して、候補データ記憶部245に記録された債権の総額を算出
する。
【0057】
次に、譲渡債権抽出部24は、一債務者割合の算出処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、債権選択手段243は、候補データ記憶部245に採用フラグが付与された譲渡債権候補について、債務者コード毎の債権金額を算出する。そして、この債権金額を、ステップS1−6において算出した総額で除算することにより、一債務者の債権の占める割合予測値を算出する。
【0058】
そして、譲渡債権抽出部24は、割合ルールを満足するかどうかを確認する(ステップS1−8)。具体的には、債権選択手段243は、割合ルールデータ記憶部241aに記録された割合条件と、ステップS1−7において算出した割合予測値とを比較する。
【0059】
そして、割合ルールを満足する場合、すなわち割合予測値が割合条件以下の場合(ステップS1−8において「YES」の場合)、譲渡債権抽出部24は、譲渡対象候補の記録処理を実行する(ステップS1−9)。具体的には、債権選択手段243は、候補データ記憶部245において、この抽出金額候補を構成する譲渡債権候補のグループに対して、割合ルール満足を示す適格フラグを記録する。一方、割合ルールを満足しない場合(ステップS1−8において「NO」の場合)、適格フラグを記録しない。
【0060】
次に、譲渡債権抽出部24の債権選択手段243は、抽出金額候補データ記憶部241cに、債権抽出処理を行なっていない抽出金額候補が残っているかどうかを確認する(ステップS1−10)。債権抽出処理を行なっていない抽出金額候補が残っている場合(ステップS1−10において「YES」の場合)、譲渡債権抽出部24は、抽出金額候補を変更する(ステップS1−11)。具体的には、債権選択手段243は、抽出金額候補データ記憶部241cにおいて、未処理の抽出金額候補を特定し、ステップS1−4の処理から繰り返す。
【0061】
一方、すべての抽出金額候補についての処理を完了した場合(ステップS1−10において「NO」の場合)、譲渡債権抽出部24は、譲渡可能な候補を出力する(ステップS1−12)。具体的には、候補データ記憶部245において、適格フラグが付与された抽出金額候補を出力手段に表示させる。そして、この候補の中から譲渡対象の決定入力が行なわれた場合には、譲渡債権抽出部24は、この抽出金額候補に関するデータを母体債権データ記憶部22から取得し、譲渡対象債権データ記憶部25に格納する。更に、母体債権分析部23が分析処理を実行し、分析結果を出力する。この分析結果はアレンジャ30や格付機関40に提供されて、譲渡債権によって構成された金融商品として運用される。
【0062】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
・ 上記実施形態では、譲渡債権抽出部24は、抽出金額候補の設定処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、抽出金額範囲データ記憶部241bに記録された許容抽出金額範囲内において、抽出希望金額に対して複数の抽出金額候補を生成する。そして、譲渡債権抽出部24は、割合ルールに基づいて、債権抽出処理において用いる上限額の設定処理を実行する(ステップS1−4)。図6に示すように抽出希望金額を変化させた場合、同じ割合ルールを適用して算出される上限額も変化する。この上限額以下の債権金額の債権を抽出することにより、抽出希望金額を達成した場合には、割合ルールを満足させることができる。一方、母体債権の量によっては、設定した抽出希望金額に見合う債権を抽出できない場合もある。この場合には、抽出希望金額に基づいて設定された上限額に対応した債権金額では、割合ルールを満足しなくなる場合がある。また、上限額以下の債権を抽出する場合、図7に示すように、抽出できる債権の量が変化する。具体的には、上限額が高い方が、抽出できる債権の幅が広くなる。従って、母体債権の量が少ないことを考慮して抽出希望金額を低くした場合、上限額の下降に伴い、却って抽出できる債権の幅
が更に狭くなり、逆に割合ルールの達成が困難になることもある。このように、母体債権の内容により、割合ルールを満足した債権抽出は容易ではない。本発明では、抽出金額範囲内で設定された抽出金額候補を設定して、この抽出金額候補に基づいて算出された上限額を用いて債権の抽出を行なうので、効率的に的確な債権の抽出を行なうことができる。
【0063】
・ 上記実施形態では、割合ルールに基づいて、債権抽出処理において用いる上限額の設定処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、譲渡債権抽出部24の債権選択手段243が、抽出金額候補データ記憶部241cに記録された抽出金額候補に、割合ルールデータ記憶部241aに記録された割合条件(例えば1%)を乗算して上限額を算出する。そして、譲渡債権抽出部24は、債権の抽出処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、最高額債権抽出手段244が、候補データ記憶部245に記録された抽出対象候補の中から、抽出対象金額以下で最高金額の債権を特定する。これにより、一債務者の占める金額を制限してリスク分散を図りながら、効率的に利用者が設定した抽出希望金額分の債権の抽出を行なうことができる。
【0064】
・ 上記実施形態では、最高額債権抽出手段244が、候補データ記憶部245に記録された抽出対象候補の中から、抽出対象金額以下で最高金額の債権を特定する。債権金額に無関係に任意に債権を抽出した場合、金額の高い債権が残ってしまっていることがある。そして、全体残枠や債務者残枠が小さくなった場合には、割合ルールのために、残っている高額の債権を抽出できなくなる。本発明では、金額の低い債権を残すことにより、割合ルールを満足しながら、効率的に債権の抽出を行なうことができる。
【0065】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
○ 上記実施形態では、リース債権に限定されるものではなく、法人が流動化を希望する債権に適用することが可能であり、例えばクレジット債権、ローン債権、売掛債権にも適用することができる。
【0066】
○ 上記実施形態では、譲渡債権抽出部24は、割合ルールに基づいて、債権抽出処理において用いる上限額の設定処理を実行する(ステップS1−4)。そして、最高額債権抽出手段244が、母体債権データ記憶部22に記録された案件データの中から、抽出対象金額データ記憶部241eに記録された上限額以下の案件で最高金額の債権を特定する。これに代えて、全体抽出残枠が小さくなってきた場合には、債権の抽出方法を変更してもよい。具体的には、最高額債権抽出手段244は、抽出対象金額データ記憶部241eに記録された上限額と、抽出残枠データ記憶部241dに記録された全体抽出残枠とを比較する。そして、図8に示すように、全体抽出残枠が上限額より低くなった場合、最高額債権抽出手段244は、上限額〜全体抽出残枠の金額の債権を、全体抽出残枠に近い方から抽出する。これにより、利用者が設定した抽出希望金額への合わせ込みを、より確実に行なうことができる。
【0067】
○ 上記実施形態では、債権流動化管理システム20の譲渡債権抽出部24は、抽出金額候補の設定処理を実行する(ステップS1−3)。ここでは、抽出金額範囲データ記憶部241bに記録された許容抽出金額範囲内において、抽出希望金額に対して予め設定された変更パラメータを、順次加減して抽出金額候補を生成する。そして、抽出金額候補生成手段242は、この抽出金額候補を、抽出希望金額に近い順番で抽出金額候補データ記憶部241cに記録する。これに代えて、一つの抽出金額候補について債権抽出処理を行ない、割合ルールを満足しない場合に、許容抽出金額範囲内において新たな抽出金額候補を生成することも可能である。これにより、記憶容量や処理負荷を軽減しながら、効率的に債権の抽出を行なうことができる。
【0068】
○ 上記実施形態では、抽出金額候補生成手段242が、抽出金額範囲データ記憶部2
41bに記録された許容抽出金額範囲内において、抽出希望金額に対して予め設定された変更パラメータを、順次加減して抽出金額候補を生成する。そして、抽出金額候補生成手段242は、この抽出金額候補を、抽出希望金額に近い順番で抽出金額候補データ記憶部241cに記録する。これに代えて、状況に応じて、抽出金額候補を生成する場合に用いる変更パラメータを変更してもよい。例えば、許容抽出金額範囲を等分して抽出金額候補を生成してもよい。また、先の債権抽出処理における割合条件と割合予測値との乖離を変数とする関数を用いて、他の抽出金額候補を生成するための変更パラメータを算出してもよい。この場合、割合条件と割合予測値との乖離が大きい場合には変更パラメータを小さくして、多くの抽出金額候補を生成するように構成する。
【0069】
○ 上記実施形態では、譲渡債権抽出部24は、入力手段において設定された抽出金額範囲に関するデータを取得し、抽出金額範囲データ記憶部241bに記録する。ここでは、例えば、所望の抽出希望金額と、この抽出希望金額に対して許容できる金額範囲(許容抽出金額範囲)が記録される。これに代えて、譲渡債権抽出部24が、抽出希望金額に対して所定値を乗算して許容抽出金額範囲を決定するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態のシステムの概略図。
【図2】本発明の一実施形態の機能ブロックの説明図。
【図3】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【図4】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【図5】抽出金額候補を生成の説明図。
【図6】抽出希望金額と上限額との関係の説明図。
【図7】上限額と債権金額との関係の説明図。
【図8】残枠と債権金額との関係の説明図。
【図9】債権の流動化の概念説明図。
【符号の説明】
【0071】
10…基幹システム、20…債権流動化管理システム、21…データコンバータ、22…母体債権データ記憶部、23…母体債権分析部、24…譲渡債権抽出部、25…譲渡対象債権データ記憶部、26…登記ファイル作成部、241…抽出管理メモリ、241a…割合ルールデータ記憶部、241b…抽出金額範囲データ記憶部、241c…抽出金額候補データ記憶部、241d…抽出残枠データ記憶部、241e…抽出対象金額データ記憶部、242…抽出金額候補生成手段、243…債権選択手段、244…最高額債権抽出手段、245…候補データ記憶部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出対象の債権候補について債権金額に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、
譲渡債権の管理を行なう制御部とを備えた債権流動化管理システムを用いて流動化対象の債権を抽出する方法であって、
前記制御部が、
一債務者の割合条件及び抽出金額範囲を取得してメモリに記録する段階と、
前記抽出金額範囲内において抽出金額候補を生成する段階と、
前記抽出金額候補に前記割合条件を乗算して上限額を決定してメモリに記録する段階と、
債権金額が前記上限額以下の債権を、債権金額の大きい順番に、前記抽出金額候補に応じて抽出する段階と、
抽出債権において、債務者毎の債権金額を、前記抽出債権の総額で除算し、一債務者割合を算出する段階と、
前記一債務者割合が前記割合条件を満たす場合に、抽出した債権を譲渡候補として記録する段階と
を実行することを特徴とする債権流動化管理方法。
【請求項2】
前記制御部が、生成した抽出金額候補に対して、抽出した債権の一債務者割合が前記割合条件を満たさない場合に、新たな抽出金額候補を生成することを特徴とする請求項1に記載の債権流動化管理方法。
【請求項3】
前記制御部が、抽出した合計額と抽出金額候補との差分により抽出残枠を算出し、
前記抽出残枠と上限額とを比較して、前記抽出残枠が上限額より小さい場合には、前記抽出残枠以下の債権を抽出することを特徴とする請求項1又は2に記載の債権流動化管理方法。
【請求項4】
抽出対象の債権候補について債権金額に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、
譲渡債権の管理を行なう制御部とを備え、流動化対象の債権を抽出するための債権流動化管理システムであって、
前記制御部が、
一債務者の割合条件及び抽出金額範囲を取得してメモリに記録する手段と、
前記抽出金額範囲内において抽出金額候補を生成する手段と、
前記抽出金額候補に前記割合条件を乗算して上限額を決定してメモリに記録する手段と、
債権金額が前記上限額以下の債権を、債権金額の大きい順番に、前記抽出金額候補に応じて抽出する手段と、
抽出債権において、債務者毎の債権金額を、前記抽出債権の総額で除算し、一債務者割合を算出する手段と、
前記一債務者割合が前記割合条件を満たす場合に、抽出した債権を譲渡候補として記録する手段と
を備えることを特徴とする債権流動化管理システム。
【請求項5】
前記制御部が、生成した抽出金額候補に対して、抽出した債権の一債務者割合が前記割合条件を満たさない場合に、新たな抽出金額候補を生成することを特徴とする請求項4に記載の債権流動化管理システム。
【請求項6】
前記制御部が、抽出した合計額と抽出金額候補との差分により抽出残枠を算出し、
前記抽出残枠と上限額とを比較して、前記抽出残枠が上限額より小さい場合には、前記抽出残枠以下の債権を抽出することを特徴とする請求項4又は5に記載の債権流動化管理システム。
【請求項7】
抽出対象の債権候補について債権金額に関する情報を記録した譲渡候補データ記憶手段と、
譲渡債権の管理を行なう制御部とを備えた債権流動化管理システムを用いて流動化対象の債権を抽出するための債権流動化管理プログラムであって、
前記制御部を、
一債務者の割合条件及び抽出金額範囲を取得してメモリに記録する手段と、
前記抽出金額範囲内において抽出金額候補を生成する手段と、
前記抽出金額候補に前記割合条件を乗算して上限額を決定してメモリに記録する手段と、
債権金額が前記上限額以下の債権を、債権金額の大きい順番に、前記抽出金額候補に応じて抽出する手段と、
抽出債権において、債務者毎の債権金額を、前記抽出債権の総額で除算し、一債務者割合を算出する手段と、
前記一債務者割合が前記割合条件を満たす場合に、抽出した債権を譲渡候補として記録する手段
として機能させることを特徴とする債権流動化管理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−310558(P2007−310558A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137653(P2006−137653)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)