説明

傾斜アンビルアセンブリ

【課題】受け部材がナイフブレードに粘着することを防ぐアンビルアセンブリを提供すること。
【解決手段】本発明の傾斜アンビルアセンブリは、中央ロッドと;ハウジング、ポスト、ステープル変形ポケットを有するアンビルプレート、および受け部材を含むヘッドアセンブリとを備え、このヘッドアセンブリは、この中央ロッドに旋回可能に固定され、そしてこの中央ロッドに対して非傾斜位置と傾斜位置との間で旋回し、ここで、この受け部材が、このポストの周りで、この受け部材の一部分がこのヘッドアセンブリのこの非傾斜位置からこの傾斜位置までの旋回移動を防ぐように位置決めされる第1の位置から、この受け部材が、このヘッドアセンブリのこの中央ロッドに対するこの非傾斜位置からこの傾斜位置までの旋回移動を許容するように位置決めされる第2の位置まで移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、一般に、円形吻合ステープラーとの使用に適しているアンビルアセンブリに関する。より詳細には、本開示は、円形吻合ステープラーとの使用に適している傾斜可能なヘッドを有するアンビルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の背景)
傾斜可能なアンビルヘッドを有するアンビルアセンブリを含む円形吻合ステープラーは、当該技術分野で公知である。1つのこのような円形吻合ステープラーは、米国特許出願第10/968,722号(「’722出願」)に開示され、これは、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの公知の円形吻合ステープラーでは、 アンビルアセンブリ内に位置する受け板が、ステープラーの発射の前に、アンビルアセンブリのアンビルヘッドの傾斜を防ぐように位置決めされる。ステープラーの発射の際に、ステープラーのナイフブレードは、受け板と係合し、そしてそれを、ナイフブレードの際にアンビルヘッドを傾斜させる位置に移動する。ナイフブレードの引き込みの際に受け板がこのナイフブレードに粘着する場合、この受け板は、アンビルヘッドの傾斜を防ぐその位置に戻り得る。従って、このアンビルヘッドは傾斜しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
受け部材がナイフブレードに粘着することを防ぐために、上記’722出願は、上記ナイフブレードの引き込みの際に上記受け板を係合する保持具クリップを開示している。この保持具クリップは有効であるが、上記受け板の引き込みを防ぐためのその他のデバイスが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要約)
傾斜アンビルアセンブリが開示され、これは、中央ロッドと、ハウジング、ポスト、ステープル変形ポケットを有するアンビルプレート、および受け部材を含むアンビルヘッドアセンブリとを含む。このヘッドアセンブリは、上記中央ロッドに旋回可能に固定され、そして上記中央ロッドに対して非傾斜位置と傾斜位置との間で旋回する。上記受け部材は、上記ポストの周りで、この受け部材の一部分が上記ヘッドアセンブリの上記非傾斜位置から上記傾斜位置までの移動を防ぐように位置決めされる第1の位置から、この受け部材が、上記ヘッドアセンブリの上記中央ロッドに対する上記非傾斜位置から上記傾斜位置までの移動を収容するように位置決めされる第2の位置まで移動可能である。上記アンビルアセンブリは、上記ヘッドアセンブリ中に、上記受け部材の上記第2の位置から上記第1の位置への移動を防ぐように位置決めされる旋回ラッチ部材をさらに含む。
【0005】
1つの実施形態では、上記ヘッドアセンブリは、旋回部材の周りで上記中央ロッドに旋回可能に固定され、そしてこの旋回ラッチ部材は、上記旋回部材の周りで旋回可能に取り付けられる。この旋回ラッチ部材にはスプリングが装填され、そして上記受け部材が非傾斜位置にあるとき、この受け部材の内側周縁に係合するように位置決めされる。この受け部材がその第2の位置に移動されるとき、上記ラッチ部材は、上記スプリングによって上記受け部材を係合し、かつその前の位置に押され、上記ヘッドアセンブリを上記傾斜位置に押し、そして上記受け部材の上記第2の位置から上記第1の位置への移動を防ぐ。
【0006】
1つの実施形態では、上記アンビルアセンブリは、所定の力が上記受け部材に付与されるまで、上記受け部材の上記第1の位置から上記第2の位置までの移動を防ぐために、上記ヘッドアセンブリ中に位置決めされる保持具部材をさらに含む。この所定の力は、約10ポンドと約90ポンドとの間である。この保持具部材は、上記ヘッドアセンブリ内で上記ハウジングと上記受け部材との間に位置決めされる変形可能な部材を含み得る。1つの実施形態では、上記ハウジングおよび上記ポストは環状の窪みを規定し、そして上記保持具部材は、この環状の窪み中に位置決めされる。この保持具部材は、上記ポストの周りに位置決めされる環状の本体、およびそれから延びる変形可能な複数のタブを含み得る。この受け部材は、保持部材と接するように位置決めされ、その結果、上記受け部材のその第1の位置からその第2の位置への移動に際し、上記変形可能なタブが変形されるようる。
【0007】
1つの実施形態では、上記受け部材は切断リングおよび受け板を含む。この切断リングは、上記受け板の近位面に固定され得る。この受け板は、上記受け部材が、上記中央ロッドに対する上記ヘッドアセンブリの旋回移動を防ぐようなその第1の位置にあるとき、上記中央ロッドの遠位の表面と係合するように位置決めされる少なくとも1つのフィンガーを含み得る。この切断リングは、上記受け板より柔軟な材料から形成され得る。1つの実施形態では、上記切断リングはポリエチレンから形成され、そして上記受け板は金属から形成される。
【0008】
したがって、本発明は、以下の項目を提供する。
【0009】
(項目1)傾斜アンビルアセンブリであって:この傾斜アンビルアセンブリは、
中央ロッドと;
ハウジング、ポスト、ステープル変形ポケットを有するアンビルプレート、および受け部材を含むヘッドアセンブリとを備え、このヘッドアセンブリは、この中央ロッドに旋回可能に固定され、そしてこの中央ロッドに対して非傾斜位置と傾斜位置との間で旋回し、ここで、この受け部材が、このポストの周りで、この受け部材の一部分がこのヘッドアセンブリのこの非傾斜位置からこの傾斜位置までの旋回移動を防ぐように位置決めされる第1の位置から、この受け部材が、このヘッドアセンブリのこの中央ロッドに対するこの非傾斜位置からこの傾斜位置までの旋回移動を許容するように位置決めされる第2の位置まで移動可能であり、そしてこのヘッドアセンブリがさらに、この受け部材のこの第2の位置からこの第1の位置への移動を防ぐように位置決めされるカムラッチ部材を含む、傾斜アンビルアセンブリ。
【0010】
(項目2)上記ヘッドアセンブリが、旋回部材の周りで上記中央ロッドに旋回可能に固定され、上記カムラッチ部材が、この旋回部材の周りで旋回可能に取り付けられる、項目1に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0011】
(項目3)上記カムラッチ部材が、上記ヘッドアセンブリが上記非傾斜位置から上記傾斜位置まで移動するとき、上記受け部材との係合を維持するような形態であり、その結果、この受け部材のその第2の位置からその第1の位置での移動が防止される、項目1に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0012】
(項目4)上記カムラッチ部材が、上記受け部材がその第1の位置にあるとき、この受け部材の内側周縁に係合するように位置決めされる、項目1に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0013】
(項目5)付勢部材によって上記カムラッチ部材との係合に押され、このカムラッチ部材をその旋回された位置に押すプランジャーをさらに含む、項目4に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0014】
(項目6)上記カムラッチ部材が、上記ヘッドアセンブリの上記第1の位置から上記第2の位置までの移動の間にこのカムラッチ部材と上記受け部材との間のあらゆるギャップをなくす形態である湾曲面を含む、項目5に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0015】
(項目7)上記ヘッドアセンブリ中に位置決めされ、所定の力が上記受け部材に付与されるまで、上記受け部材の上記第1の位置から上記第2の位置までの移動を防ぐ保持具部材をさらに含む、項目1に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0016】
(項目8)上記保持具部材が、上記ハウジングと上記受け部材との間で上記ヘッドアセンブリ中に位置決めされる変形可能な部材を含む、項目7に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0017】
(項目9)上記ハウジングおよび上記ポストが環状の窪みを規定し、上記保持具部材がこの環状の窪み中に位置決めされる、項目8に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0018】
(項目10)上記保持具部材が、上記ポストの周りに位置決めされる環状の本体、およびそれから延びる変形可能な複数のタブを含む、項目9に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0019】
(項目11)上記受け部材が、上記保持具部材に接するように位置決めされ、その結果この受け部材のその第1の位置からその第2の位置移動に際し、上記変形可能なタブが変形される、項目10に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0020】
(項目12)上記受け部材が切断リングおよび受け板を含み、この切断リングがこの受け板の近位面に固定される、項目1に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0021】
(項目13)上記受け板が、上記受け部材が上記中央ロッドに対する上記ヘッドアセンブリの旋回移動を防ぐようなその第1の位置にあるとき、この中央ロッドの表面と係合するように位置決めされる少なくとも1つのフィンガーを含む、項目12に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0022】
(項目14)上記切断リングが、上記受け板より柔軟な材料から形成される、項目13に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0023】
(項目15)上記切断リングがポリエチレンから形成され、そして上記受け板が金属から形成される、項目14に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0024】
(項目16)上記所定の力が、約10ポンドと約90ポンドとの間である、項目7に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【0025】
(項目17)上記中央ロッドが長軸方向軸を規定し、そして上記ヘッドアセンブリの旋回軸がこの中央ロッドの長軸方向軸と交差する、項目1に記載の傾斜アンビルアセンブリ。
【発明の効果】
【0026】
本発明によって、受け部材がナイフブレードに粘着することを防ぐ傾斜アンビルアセンブリが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
現在開示される傾斜アンビルアセンブリの種々の実施形態は、本明細書中で図面を参照して開示される。
【図1】図1は、傾斜したアンビルヘッドを備えた現在開示される傾斜アンビルアセンブリの一方の端部からの側方斜視図である。
【図2】図2は、図1に示される傾斜アンビルアセンブリの他方の端部からの側方斜視図である。
【図3】図3は、図2に示される傾斜アンビルアセンブリの分離されたパーツによる側方斜視図である。
【図4】図4は、図3に示される傾斜アンビルアセンブリのカムラッチ部材の側方斜視図である。
【図5】図5は、図3に示される傾斜アンビルアセンブリの保持具部材の側方斜視図である。
【図6】図6は、傾斜または作動位置にあるアンビルヘッドとともに図1に示される傾斜アンビルアセンブリの側方断面図である。
【図7】図7は、図6に示される指示された領域の細部の拡大図である。
【図7A】図7Aは、非傾斜位置にあるアンビルヘッドとともに図1に示される傾斜アンビルアセンブリの側面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aの線7B−7Bに沿ってとった断面図である。
【図8】図8は、アンビルヘッドハウジング中でそれらが前進した位置での受け板および切断リングを備えたアンビルヘッドを傾斜させる前の、アンビルヘッド、およびカムラッチ部材を通して見たアンビル中央ロッドの遠位端の側方断面図である。
【図9】図9は、図8に示される指示された領域の細部の拡大図である。
【図9A】図9Aは、アンビル中央ロッドのアームを通して見た図8に示される傾斜アンビルアセンブリの側方断面図である。
【図10】図10は、アンビルヘッドが非傾斜位置から傾斜位置まで旋回するときの、アンビルヘッド、およびカムラッチ部材を通して見たアンビル中央ロッドの遠位端の側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態の詳細な説明)
現在開示される傾斜アンビルアセンブリ10の実施形態は、ここで、図面を参照して詳細に説明され、これら図面では、同様の参照番号は、いくつかの図面の各々で、同一または対応する要素を指定する。
【0029】
図1〜10は、例えば、中空組織器官および痔核手術の円形吻合を実施するための外科用ステープル留めデバイスとの使用に適している傾斜アンビルアセンブリ10を示す。図1〜3を参照して、アンビルアセンブリ10は、ヘッドアセンブリ12および中央ロッドアセンブリ14を含む。ヘッドアセンブリ12は、ポスト16、ハウジング18、受け部材または受け板20、切断リング22、切断リングカバー23、アンビルプレート24、カムラッチ部材26、および保持具部材27を含む。ポスト16は、ヘッド18と一体に(モノリシック構造)形成され、そしてその中で中央に位置決めされる。あるいは、ヘッド18およびポスト16は、別個に形成され得、そして、公知の固定技法、例えば、溶接を用いて一緒に固定される。アンビルプレート24は、ハウジング18の外側環状窪み28(図3)中に支持され、そしてステープルを受容および変形するために、複数のステープル変形ポケット30を含む。少なくとも1つのタブ24aが、アンビルプレート24から半径方向の外方に延び、そしてハウジング18の外側リム内に形成される切り抜き32内に受容される。タブ24aおよび切り抜き32は、ハウジング18の環状窪み28内にアンビルプレート24を整列してか、または適正に位置決めするように機能する。
【0030】
図3を参照して、受け板20は、ポスト16と外側環状窪み28との間でハウジング18の内側環状窪み36内でポスト16の周りに位置決めされる中央開口部34を含む。受け板20は、高くなったプラットホーム20aを含む。切断リング22は、プラットホーム20aと実質的に同じ形態を有する開口部22aを含む。プラットホーム20aは、円形形状を有するとして示されているが、例えば、方形、矩形、三角形などのその他の形態が想定される。1つの実施形態では、切断リング22はポリエチレンから形成され、そして、例えば、接着剤を用いて受け板20に固定して取り付けられ、受け板/切断リングアセンブリを形成する。受け板20は、硬材料、例えば、金属から形成される。あるいは、構造のその他の材料が、受け板20および切断リング22を構築するために用いられ得る。さらに、受け板20および切断リング22は、代替例では、単一または一元構造として形成され得る。
【0031】
切断リングカバー23は、例えば、接着剤を用いて、切断リング22の外方に面するか、または近位面40に固定される。1つの実施形態では、切断リングカバー23が、上記切断リングの硬度より大きい硬度を有する材料または複数の材料から、例えば、マイラー(mylar)から形成される。1つの実施形態では、切断リングカバー23は、接着剤またはポリプロピレン被覆を用いて一緒に接続される2つの層のマイラー(図示せず)を含む。あるいは、切断リング22は被覆を有する必要はない。切断リング22および受け板20は、ポスト16の周りにスライド可能に取り付けられる。受け板20は、以下により詳細に説明される一対の内方に延びるフィンガー38を含む。
【0032】
保持具部材27は、受け板20とハウジング18の後壁18a(図3)との間で内側環状窪み36中に位置決めされる。1つの実施形態では、保持具部材27は環状であり、そして受け板20の背面と係合する複数の変形可能なタブ27aを含む。保持具部材27は、タブ27aを変形させるに十分な所定の力がこの受け板/切断リングアセンブリに付与されるまで、受け板20および切断リング22がハウジング18の内側環状窪み36に移動または押されることを防ぐ。この所定の力は、外科用ステープル留めデバイスの環状の切断ブレードが、例えば、アンビルアセンブリ10の切断リングと係合するときに、それによって、付与される力に近いがそれより小さい。この所定の力は、好ましくは、約10ポンドと約90ポンドとの間であり、そして最も好ましくは約30ポンドである。例えば、組織の切断の間に、この所定の力に到達するとき、受け板20は、内側環状窪み36中に押され、そして保持具部材27を圧縮する。その他の押し可能な部材、変形可能な部材、折畳み可能な部材、または移動制限部材が、所定の力が上記受け板/切断リングアセンブリに付与されるまで、この受け板/切断リングアセンブリを固定位置に保持するために用いられ得ることが想定される。
【0033】
アンビル中央ロッドアセンブリ14は、中央ロッド52、プランジャー54およびプランジャースプリング56を含む。中央ロッド52の第1の端部は、腔59aを規定する一対のアーム59を有する(図3)。各アーム59は、中央ロッド52の中央長軸方向軸と整列される横方向貫通ボア58を有する。あるいは、貫通ボア58は、中央ロッド52の長軸方向軸からずれている(オフセット)。アンビルヘッドアセンブリ12のポスト16は、腔59a内に位置決めされるような寸法であり、そしてまた横方向貫通ボア60を含む。旋回部材62は、アンビルヘッドアセンブリ12がアンビル中央ロッドアンブリ14に旋回可能に取り付けられるように、貫通ボア58および60を経由して、中央ロッド52にポスト16を固定する。
【0034】
図3および6〜9を参照して、カムラッチ部材26は、貫通ボア26bを有する本体26aを含む。貫通ボア26bは、旋回部材62を受容するような寸法であり、その結果、カムラッチ部材26が旋回部材62の周りでポスト16の横方向スロット72(図3)内に旋回可能に取り付けられる。図4、6および7に示されるように(図2もまた参照のこと)、カムラッチ部材26は、ポスト16のスロット72から部分的に延び、そしてプランジャー54のフィンガー66によって係合されるように位置決めされる第1の本体部分26cを含む。カムラッチ部材26はまた、アンビルヘッド12がその非傾斜または作動位置にあるとき、プランジャー54のフィンガー66による受け板20の内側周縁との係合に押されるエッジ26fを含む。
【0035】
プランジャー54は、中央ロッド52の第1の端部中に形成されるボア64中にスライド可能に位置決めされる(図6)。プランジャー54は、アンビルヘッドアセンブリ12の旋回軸からずれ、そしてカムラッチ26のエッジ26cとの係合に付勢される係合フィンガー66を含む。以下により詳細に論議されるように、フィンガー66とカムラッチ26のエッジ26cとの係合は、エッジ26fを受け板20の内側周縁に対して押し、アンビルヘッドアセンブリ12を、中央ロッド52上で旋回位置にまたは傾斜に押す。発射前位置では、受け板20上に形成されたフィンガー38は、中央ロッド52の上面52aに隣接する突出部52bと係合し、アンビルヘッドアセンブリ12が旋回部材62の周りで旋回することを防ぐ。アンビルアセンブリ10が外科用ステープル留めデバイスに取り付けられ、そしてこのデバイスが、前述の’722出願に記載されるような様式で開示のように発射されるとき、受け板20および切断リング22は、ナイフブレード(図示されず)によってポスト16の周りでハウジング18の内側環状窪み36中に押され、フィンガー38を中央ロッド52の突出部52bからそれとの係合から離れて移動し(図10)、そしてプランジャー54がアンビルヘッドアセンブリ12を旋回部材62の周りで旋回することを許容する。保持具部材27は、受け板20の内側環状窪み36中への不注意または不完全な移動を防ぎ、アンビルヘッドアセンブリ12の不完全または不注意の傾斜を防ぐ。
【0036】
図7Aおよび7Bを参照して、中央ロッド52の第2の端部は、複数の可撓性アーム82によって規定されるボア80を含む。可撓性アーム82の各々は、移動可能なトロカール(図示されず)など上に、またはそれらに連結される突出部を受容するような寸法の開口部82aを含む。可撓性アーム82の各々の遠位端は、外科用ステープル留めデバイス(図示されず)のアンビル保持具と離脱可能に係合するような寸法の内部ショルダー84を含み(図6)、アンビルアセンブリ10を外科用ステープル留めデバイスに固定する。複数のスプライン86が中央ロッド52の周りに形成される。これらスプライン86は、アンビルアセンブリ10を外科用ステープル留めデバイスのステープル保持部分と整列するように機能する。中央ロッド52はまた、環状の窪んだ部分90を含み、外科医がグラスパーでアンビルアセンブリ10を握ることを容易にする。窪んだ部分90は、粗面またはぎざぎざを付けた面またはオーバーモールド(overmold)を含み得、アンビルアセンブリ10を握ることを容易にする。
【0037】
図6〜7Bを参照して、アンビルアセンブリ10がその発射前の非傾斜位置にあるとき、受け板20は、保持具27によってハウジング18の後壁18aから間隔を置かれ、そして中央ロッド52の突出部52bは、受け板20のフィンガー38を係合し、旋回部材62の周りでアンビルヘッドアセンブリ12の傾斜を防ぐ。図7に示されるように、プランジャー54のフィンガー66は、スプリング56によってカムラッチ部材26の本体部分26cと係合するように押され、カムラッチ部材26を旋回部材62の周りで時計方向に押し、その結果、カムラッチ部材26のエッジ26fが受け部材20の内側周縁20bと係合する。
【0038】
図8〜9Aを参照して、アンビルアセンブリ10がステープル留めデバイスに取り付けられ、そしてこのデバイスが発射されるとき、ステープル留めデバイスのナイフブレード(図示されず)は、切断リング22を係合し、切断リング22および受け板20を、図9に矢印「W」によって示される方向でアンビルヘッドアセンブリ12のハウジング18の環状窪み36中に移動させる。これが起こるとき、変形可能なタブ27aは、ハウジング18の後壁18aに対して変形され、そして受け部材20のフィンガー38は、中央ロッド52の突出部52bから離れて移動する。さらに、受け板20の内側周縁20bは、カムラッチ部材26のエッジ26fを超えて移動し、その結果、カムラッチ部材26は、プランジャー54によって図9に矢印「X」によって示される方向に、本体部分26dが受け板20の前に位置決めされ、かつそれを係合する位置まで旋回される。プランジャー54のカムラッチ部材26との、そして引き続くポスト16との係合は、アンビルヘッドアセンブリ12を傾斜位置に押す。アンビルヘッドアセンブリ12は、ステープル留めデバイス(図示されず)の発射に際し直ぐに傾斜しないことが注記される。なぜなら、発射に際し、アンビルヘッドアセンブリ12は接近位置にあり、すなわち、アンビルヘッドアセンブリ12は、ステープル留めデバイス(図示されず)のシェルアセンブリと緊密に整列しているからである。従って、アンビルヘッドアセンブリ12は、このアンビルヘッドアセンブリおよびステープル留めデバイス(図示されず)のシェルアセンブリが接近しなくなるとき、傾斜し始めるに過ぎない。
【0039】
図10を参照して、アンビルヘッドアセンブリ12がその傾斜位置に向かって旋回するとき、プランジャー54のフィンガー66は、カムラッチ部材26の表面26eと受け板20との接触を維持し、上記ナイフブレードが引き込まれるとき、受け板20がナイフブレードに粘着することを防ぐ。カムラッチ部材の湾曲面26eは、任意のギャップをなくし、そしてカムラッチ部材26の表面26eと受け板20との間の接触を確実にするような形態であり、ナイフブレードが引き込まれる間、およびその後に受け板20を定位置に保持し、その結果、上記切断リングおよび受け板アセンブリは、アンビルヘッドアセンブリ12の傾斜の間にそれらの正確な位置に留まることが注記される。
【0040】
種々の改変が本明細書に開示される実施形態になされ得ることが理解される。例えば、上記切断リングおよび受け板は、単一であり得るか、または一体に形成され得る。さらに、上記アンビルアセンブリは、切断リングカバーを有する必要はない。それ故、上記の説明は、制限するものと解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の単なる例示である。当業者は、本明細書に添付された請求項の範囲および思想内でその他の改変を想定する。
【0041】
(要約)
中央ロッドおよびこの中央ロッドに旋回可能に取り付けられたヘッドアセンブリを含む傾斜アンビルアセンブリが開示される。このヘッドアセンブリは、ハウジング、ポスト、アンビルプレートおよび受け部材を含む。この受け部材は、上記ポストの周りで、上記ヘッドアセンブリの旋回移動を防ぐ第1の位置から、上記ヘッドアセンブリの旋回移動を収容する第2の位置まで移動可能である。旋回ラッチアセンブリがまた提供され、上記受け部材のその第2の位置からその第1の位置までの移動を防ぐ。
【符号の説明】
【0042】
10 傾斜アンビルアセンブリ
12 ヘッドアセンブリ
14 中央ロッドアセンブリ
16 ポスト
18 ハウジング
20 受け部材または受け板
22 切断リング
24 アンビルプレート
26 カムラッチ部材
30 ステープル変形ポケット
52 中央ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−143621(P2012−143621A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99684(P2012−99684)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2007−124000(P2007−124000)の分割
【原出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】