説明

傾斜センサ

【課題】水平方向に対する取付角度を所望の角度に調整する作業を容易に行える傾斜センサを提供する。
【解決手段】傾斜センサAはセンサ部1と基準値発生部2と基準値切替部3と比較部4とを備える。センサ部1は、水平方向に対する傾斜角度に応じて出力信号の大きさが変化する。基準値発生部2は、所望の検出角度に対応した基準信号を出力する。比較部4は、センサ部1の出力信号と基準信号との大小に応じて出力のハイ/ローが反転する。基準値切替部3は、ユーザの切替操作に応じて、基準値発生部2から出力される基準信号を、所望の取付角度範囲の境界値に対応した大きさの信号に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の傾斜を検出するために、車両が水平より前後何れかの方向に傾斜すると抵抗値が増加する傾斜センサを備えたパーキングインジケータランプ回路が提供されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2800041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示された傾斜センサは、水平な状態に置かれた場合にその抵抗値が零になるが、傾斜センサが傾いた状態で車両に取り付けられると、車両が水平であっても傾斜センサの抵抗値が零とならず、誤差が発生することになる。そのため、車両が水平な状態で車両に対して傾斜センサを水平に取り付けるためには、傾斜センサの抵抗値をテスタなどで計測しながら、抵抗値の計測値が最小となる位置を見付けて傾斜センサを取り付けねばならず、取付に手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、水平方向に対する取付角度を所望の角度に調整する作業を容易に行える傾斜センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願の傾斜センサはセンサ部と基準値発生部と比較部と基準値切替部とを備えることを特徴とする。センサ部は、水平方向に対する傾斜角度に応じて出力信号の大きさが変化する。基準値発生部は、所望の検出角度に対応した基準信号を出力する。比較部は、前記センサ部の出力信号と前記基準信号との大小に応じて出力のハイ/ローが反転する。基準値切替部は、ユーザの切替操作に応じて、前記基準値発生部から出力される基準信号を、所望の取付角度範囲の境界値に対応した大きさの信号に切り替える。
【0007】
この傾斜センサにおいて、比較部の出力のハイ/ローに応じて表示が切り替わる表示部を設けることも好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基準値切替部が、ユーザの切替操作に応じて所望の取付角度範囲の境界値に対応した大きさの信号に基準信号を切り替えると、被取付部に対する取付角度が所望の取付角度範囲に収まっているか、取付角度範囲外であるかによって、比較部の出力のハイ/ローが反転する。したがって、比較部の出力をもとにセンサ部の取付角度が取付角度範囲内となる位置を容易に見付けることができ、水平状態或いは所望の角度で傾斜した状態で傾斜センサを被取付部に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の傾斜センサの回路図である。
【図2】同上のブロック図である。
【図3】同上に用いるセンサ部の出力特性を示す図である。
【図4】同上のセンサ部の出力と各部の出力との関係を示し、(a)はコンパレータCP1の出力、(b)はコンパレータCP2の出力、(c)はトランジスタTr1のコレクタ電圧、(d)はトランジスタTr2のコレクタ電圧である。
【図5】同上の要部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の傾斜センサについて図1〜図5を参照して説明する。
【0011】
本実施形態の傾斜センサAは、水平方向に対する傾斜角度θが所定の検出角度θ1(θ1<0)よりも大きく且つ所定の検出角度θ2(θ2>0)よりも小さい角度範囲にあるか否かを検出するために用いられる。すなわち、水平方向に対する傾斜角度θが検出角度θ1よりも大きく且つ検出角度θ2よりも小さい角度範囲にあれば(θ1<θ<θ2)、傾斜センサAはHレベル(ハイ)の信号を出力する。一方、水平方向に対する傾斜角度θが検出角度θ1よりも小さいか、又は、検出角度θ2よりも大きい角度範囲にあれば(θ<θ1,θ2<θ)、傾斜センサAはLレベル(ロー)の信号を出力する。
【0012】
図2は傾斜センサAのブロック図であり、傾斜センサAはセンサ部1と基準値発生部2と基準値切替部3と比較部4(比較回路4a及び論理回路4bからなる)と出力部5と電源回路部6とを主要な構成として備えている。
【0013】
センサ部1は、例えば半導体加速度センサを用いて構成され、半導体加速度センサにより重力加速度の方向を検出することによって、自身の傾斜角度を検出し、傾斜角度に応じた大きさの電圧信号V1を出力する。図3は、水平方向に対する傾斜角度θと、センサ部1から出力される電圧信号V1との関係を示す図である。電圧信号V1は傾斜角度θ1に対して1次比例し、傾斜角度θが0度のときの出力電圧V1はVoであり、傾斜角度θの増加に比例して出力電圧V1も単調に増加する。尚、傾斜角度θが0度の状態では、傾斜センサAの上下方向が鉛直方向と平行し、左右方向が水平方向と平行しており、この取付状態を水平状態という。
【0014】
基準値発生部2は、上述の検出角度θ1に対応する基準信号Vth1と、検出角度θ2に対応する基準信号Vth2とをそれぞれ発生し、比較部4に出力する。
【0015】
基準値切替部3は、ユーザの切替操作に応じて、基準値発生部2から出力される基準信号を、所望の取付角度範囲の境界値(例えば水平方向に対する角度がθ1a又はθ2a)に対応した大きさの信号に切り替える。
【0016】
比較部4は比較回路4aと論理回路4bとで構成され、センサ部1の出力信号V1と基準値発生部2から出力される基準信号との大小を比較し、出力信号V1と基準信号との大小に応じて出力のハイ/ローを反転させる。
【0017】
出力部5は、出力端子Toutに接続された外部の回路(例えばブザー回路)に、比較部4の検出結果を出力する。
【0018】
電源回路部6は、外部の電源(図示せず)から電力供給を受けて、上記各部1〜5の動作電源を生成して、各部1〜5に供給する。
【0019】
次に、図1の具体回路を参照して、各部の構成をより詳細に説明する。
【0020】
基準値発生部2は、検出角度θ1に対応した基準信号Vth1を発生する分圧回路2aと、検出角度θ2に対応した基準信号Vth2を発生する分圧回路2bとで構成される。
【0021】
分圧回路2aは、電源回路部6の出力間に接続された抵抗R4,R5の直列回路と、低圧側の抵抗R5に並列接続されたコンデンサC2とを備える。分圧回路2aは、抵抗R4の抵抗値と抵抗R5の抵抗値とで設定される分圧比で電源電圧Vccを分圧した基準信号Vth2を抵抗R5の両端間に発生させる。
【0022】
分圧回路2bは、電源回路部6の出力間に接続された抵抗R1,R2の直列回路と、高圧側の抵抗R1の両端間にスイッチSW1を介して並列接続された抵抗R3と、低圧側の抵抗R2に並列接続されたコンデンサC1とを備える。スイッチSW1は通常測定時はオンになっており、分圧回路2aは、抵抗R1,R3の合成抵抗値と抵抗R2の抵抗値とで設定される分圧比で電源電圧Vccを分圧した基準信号Vth1を抵抗R2の両端間に発生させる。
【0023】
基準値切替部3は、傾斜センサAの設置時に、ユーザの切替操作に応じて、基準値発生部2が発生する基準信号Vth1,Vth2を、所望の取付角度範囲(θ1a<θ<θ1b)の境界値に対応した大きさの信号にそれぞれ切り替えるために設けられている。ここで、所望の取付角度範囲(θ1a<θ<θ1b)は、所望の取付角度に所定の許容誤差を加えて決定され、検出角度θ1,θ2に比べて狭い角度範囲に設定されている(図3参照)。例えば所望の取付角度が0度である場合(水平状態に取り付けたい場合)に許容誤差が±0.5度であれば、略水平とみなせる取付角度範囲の境界値は±0.5度となり、基準値切替部3は、基準信号Vth1を取付角度範囲の境界値θ1a[=(−0.5)度]におけるセンサ部1の出力信号Vth3に切り替え、基準信号Vth2を取付角度範囲の境界値θ2a[=(+0.5)度]におけるセンサ部1の出力信号Vth4に切り替える。
【0024】
ここで、基準値切替部3には、ユーザの切替操作に応じて、分圧回路2aから出力される基準信号Vth1を上記の信号Vth3に切り替える切替回路3aと、分圧回路2bから出力される基準信号Vth2を上記の信号Vth4に切り替える切替回路3bとが設けられている。
【0025】
切替回路3aは、抵抗R4の両端間に接続されたスイッチSW2と抵抗R6との直列回路からなる。スイッチSW2は通常測定時はオフされており、傾斜センサAの設置時にユーザの切替操作にしたがってスイッチSW2がオンになると、抵抗R4と並列に抵抗R6が接続される。この時、抵抗R4,R6の合成抵抗値と抵抗R5の抵抗値とで分圧比が定まり、分圧電圧が増加するため分圧回路2aから出力される信号Vth3は通常測定時の基準信号Vth1に比べて増加する。
【0026】
切替回路3bは、抵抗R3と直列に接続されたスイッチSW1からなる。スイッチSW1は通常測定時はオンになっており、傾斜センサAの設置時にユーザの切替操作にしたがってスイッチSW1がオフになると、抵抗R1の両端間に抵抗R3が接続されない状態となる。この時、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値とで分圧比が定まり、抵抗R3が抵抗R1に並列接続された場合に比べて分圧電圧が低下するため、分圧回路2bから出力される信号Vth4は通常測定時の基準信号Vth2に比べて低下する。
【0027】
尚、水平方向に対する傾斜角度がθ1a,θ2aのときの出力信号Vth3,Vth4は予め測定により求められ、基準値切替部3によって基準信号Vth1,Vth2がそれぞれ対応する出力信号Vth3,Vth4に切り替えられるように、基準値発生部2及び基準値切替部3を構成する回路要素の定数が設定されている。
【0028】
比較回路4aは、コンパレータCP1,CP2とトランジスタTr1と抵抗R7〜R14とを主要な構成として備えている。コンパレータCP1の反転入力端子にはセンサ部1の出力信号V1が入力されている。コンパレータCP1の非反転入力端子は抵抗R7を介して抵抗R1,R2の接続点に接続されている。コンパレータCP1の非反転入力端子と出力端子の間には抵抗R8が接続されている。コンパレータCP1の出力端子は抵抗R12を介してPNP形トランジスタTr1のベースに接続されている。トランジスタTr1のエミッタは電源電圧Vccにプルアップされ、トランジスタTr1のベース・エミッタ間には抵抗R13が接続されている。トランジスタTr1のコレクタは抵抗R14を介して回路のグランドGNDに接続されている。
【0029】
また、コンパレータCP2の反転入力端子にはセンサ部1の出力信号V1が入力されている。コンパレータCP2の非反転入力端子は抵抗R9を介して抵抗R4,R5の接続点に接続されている。コンパレータCP2の非反転入力端子と出力端子の間には抵抗R10が接続され、コンパレータCP2の出力端子は抵抗R11を介して電源電圧Vccにプルアップされている。
【0030】
論理回路4bは、トランジスタTr1の出力信号(コレクタ端子の電圧信号)と、コンパレータCP2の出力信号とが入力される2入力1出力の排他的論理和ゲートU1からなる。
【0031】
出力部5は、NPN形トランジスタTr2と抵抗R15〜R17とを主要な構成として備えている。抵抗R15,R16の直列回路は、ゲートU1の出力端と回路のグランドGNDとの間に接続され、抵抗R15,R16の接続点にトランジスタTr2のベースが接続されている。トランジスタTr2のエミッタは回路のグランドGNDに接続され、トランジスタTr2のコレクタは抵抗R17を介して出力端子Toutに接続されている。
【0032】
ここで、傾斜センサAの動作について図4を参照して説明する。尚、図4(a)〜(d)において破線で示した出力特性は通常測定時(基準値発生部2から出力される基準信号がVth1,Vth2に設定されている場合)の出力特性である。また図4(a)〜(d)において、実線で示した出力特性は設置時(基準値発生部2から出力される基準信号がVth3,Vth4に切り替えられた場合)の出力特性である。
【0033】
まず、通常測定時の動作について説明する。通常測定時にはスイッチSW1がオン、スイッチSW2がオフしており、基準値発生部2は、コンパレータCP1に対して基準信号Vth1を出力し、コンパレータCP2に対して基準信号Vth2を出力する。
【0034】
この時、センサ部1の出力信号V1が基準信号Vth1よりも小さければ、コンパレータCP1の出力はHレベル、トランジスタTr1の出力(コレクタ端子の電圧)はLレベルとなり、コンパレータCP2の出力はHレベルとなる。したがって、ゲートU1の出力はHレベルとなり、トランジスタTr2はオンになって、その出力はLレベルとなる。
【0035】
また、センサ部1の出力信号V1が基準信号Vth1よりも大きく且つ基準信号Vth2よりも小さければ、コンパレータCP1の出力はHレベル、トランジスタTr1の出力はLレベルとなり、コンパレータCP2の出力はLレベルとなる。したがって、ゲートU1の出力はLレベルとなり、トランジスタTr2はオフになって、その出力はHレベルとなる。
【0036】
また、センサ部1の出力信号V1が基準信号Vth2よりも大きければ、コンパレータCP1の出力はLレベル、トランジスタTr1の出力はHレベルとなり、コンパレータCP2の出力はLレベルとなる。したがって、ゲートU1の出力はHレベルとなり、トランジスタTr2はオンになって、その出力はLレベルとなる。
【0037】
以上の動作を纏めると下記の表1のようになる。傾斜角度θが、基準信号Vth1に対応した角度θ1(θ1<0)と基準信号Vth2に対応した角度θ2との間にあれば、すなわち傾斜角度範囲内(θ1<θ<θ2)であれば、傾斜センサAの出力はHレベルとなる。また、傾斜角度θが上記の傾斜角度範囲外(θ<θ1,θ2<θ)であれば、傾斜センサAの出力はLレベルとなる。
【0038】
【表1】

次に、傾斜センサAの取付時における動作について説明する。センサ設置時にはユーザの切替操作によってスイッチSW1がオフ、スイッチSW2がオンになり、基準値切替部3によって、基準値発生部2からコンパレータCP1,CP2に出力される基準信号がそれぞれVth3,Vth4に切り替えられる。
【0039】
この場合の比較部4及び出力部5の動作は、基準信号の値が異なる点を除いて通常測定時の動作と同様であり、センサ部1の出力信号V1が信号Vth3より大きく且つ信号Vth4よりも小さければ、傾斜センサAの出力はHレベルとなる。また、センサ部1の出力信号V1が信号Vth3よりも小さいか、又は、信号Vth4よりも大きければ、傾斜センサAの出力はLレベルとなる。すなわち、傾斜角度が、信号Vth3に対応した角度θ1a(θ1a<0)よりも大きく且つ基準信号Vth4に対応した角度θ2bよりも小さい傾斜角度範囲内(θ1a<θ<θ2a)では傾斜センサAの出力はHレベルとなる。一方、上記の角度範囲外(θ<θ1a,θ2a<θ)であれば傾斜センサAの出力はLレベルとなる。
【0040】
傾斜センサAの通常測定時の動作、設置時の動作は上述の通りであり、この傾斜センサAを被取付部に取り付ける場合には、ユーザはスイッチSW1をオフ、スイッチSW2をオンに切り替える。この時、基準値切替部3は、ユーザの切替操作に応じて、基準値発生部2からコンパレータCP1に出力される基準信号をVth3に、基準値発生部2からコンパレータCP2に出力される基準信号をVth4にそれぞれ切り替える。これにより傾斜センサAによって検出される傾斜角度範囲が、略水平とみなすことができる角度範囲(θ1a<θ<θ2a)に設定される。このように基準信号をVth3,Vth4にそれぞれ切り替えた後、傾斜センサAの出力のハイ/ローをモニタしながら、出力がHレベルとなる状態で傾斜センサAを被取付部に取り付ければ、傾斜センサAを被取付部に対して略水平な状態で取り付けることができる。
【0041】
そして、傾斜センサAの取り付けが完了すると、ユーザはスイッチSW1をオン、スイッチSW2をオフに切り替える。この時、基準値切替部3は、ユーザの切替操作に応じて、基準値発生部2からコンパレータCP1に出力される基準信号をVth1に、基準値発生部2からコンパレータCP2に出力される基準信号をVth2にそれぞれ切り替える。これにより傾斜センサAによって検出される傾斜角度が、通常測定時の検出角度θ1(<θ1a),θ2(>θ2a)に切り替えられるので、傾斜センサAを用いて傾斜角度θが所定の角度範囲(θ1<θ<θ2)内か否かを検出することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の傾斜センサAはセンサ部1と基準値発生部2と基準値切替部3と比較部4とを備える。センサ部1は、水平方向に対する傾斜角度に応じて出力信号V1の大きさが変化する。基準値発生部2は、所望の検出角度に対応した基準信号を出力する。比較部4は、センサ部1の出力信号V1と基準信号との大小に応じて出力のハイ/ローが反転する。基準値切替部3は、ユーザの切替操作に応じて、基準値発生部2から出力される基準信号を、所望の取付角度範囲の境界値に対応した大きさの信号に切り替える。
【0043】
これにより、ユーザが傾斜センサAを設置する際に基準信号を切り替える操作を行うと、基準値切替部3によって基準値発生部2から出力される基準信号が、取付角度範囲の境界値に対応した大きさの信号に切り替えられる。この時、傾斜センサAの取付角度が取付角度範囲内であるか否かで比較部4の出力のハイ/ローが反転する。したがって出力端子Voutの出力のハイ/ローをモニタしながら傾斜センサAの取付角度を調整することで、傾斜センサAを所望の取付角度範囲内に取り付けることができ、傾斜センサAの取付作業を容易に行うことができる。尚、出力端子Voutにブザー回路を接続すれば、傾斜センサAの取付角度が所望の取付角度範囲内に収まっているか否かでブザーが鳴動するか停止するかが切り替わるので、傾斜センサAの取付角度が所望の取付角度範囲に収まっているか否かを容易に確認できる。例えば出力端子Voutの信号レベルがハイになるとブザーが鳴動する場合、ブザーが鳴動する状態で傾斜センサAを取り付けることによって、取付角度が所望の取付角度範囲に収まるようにして傾斜センサAを取り付けることができる。
【0044】
ところで、本実施形態において、比較部4の出力のハイ/ローに応じて表示が切り替わる表示部を設けることも好ましい。
【0045】
図5は表示部7の一例を示す回路図であり、出力部5において電源電圧VccとトランジスタTr2のコレクタとの間に直列に接続された限流用の抵抗R18と発光ダイオードLD1とスイッチSW3とで表示部7が構成される。
【0046】
スイッチSW3は、ユーザによるスイッチSW1,SW2の切替操作に連動してオン/オフが切り替えられ、通常測定時はオフ、センサ設置時はオンになる。而して、センサ設置時において傾斜角度θが所定の取付角度範囲外(θ<θ1a,θ1b<θ)であれば、出力部5のトランジスタTr2がオンになり、発光ダイオードLD1が点灯する。一方、傾斜角度θが所定の取付角度範囲(θ1a<θ<θ1b)に収まると、トランジスタTr2がオフになり、発光ダイオードLD1が消灯する。したがって、傾斜センサAに電源が供給されている状態で、発光ダイオードLD1の点灯状態を確認しながら傾斜センサAの取付角度を調整し、発光ダイオードLD1が消灯した状態で傾斜センサAを取り付ければ、傾斜センサAを略水平な状態で設置できる。よって、出力端子Toutの電圧レベルをモニタしたり、出力端子Toutにブザー回路を設置してブザー回路に電源を供給したりする必要がなく、傾斜センサA自体で、傾斜センサAが所望の取付角度範囲に取り付けられたことを容易に確認できる。
【0047】
以上のように、傾斜センサAにおいて、比較部4の出力のハイ/ローに応じて表示が切り替わる表示部7を設けることも好ましく、表示部7の表示を確認しながら取付角度を調整することで、傾斜センサを所望の取付角度範囲に容易に取り付けることができる。
【0048】
尚、上記の実施形態では略水平とみなせる取付角度範囲に傾斜センサを取り付ける場合について説明したが、取付角度を0度に限定する趣旨のものではなく、所望の取付角度範囲に対応した基準信号Vth3,Vth4に切り替えればよい。
【符号の説明】
【0049】
A 傾斜センサ
1 センサ部
2 基準値発生部
3 基準値切替部
4 比較部
4a 比較回路
4b 論理回路
5 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に対する傾斜角度に応じて出力信号の大きさが変化するセンサ部と、
所望の検出角度に対応した基準信号を出力する基準値発生部と、
前記センサ部の出力信号と前記基準信号との大小に応じて出力のハイ/ローが反転する比較部と、
ユーザの切替操作に応じて、前記基準値発生部から出力される基準信号を、所望の取付角度範囲の境界値に対応した大きさの信号に切り替える基準値切替部とを備えることを特徴とする傾斜センサ。
【請求項2】
前記比較部の出力のハイ/ローに応じて表示が切り替わる表示部を設けたことを特徴とする請求項1記載の傾斜センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−83572(P2013−83572A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224118(P2011−224118)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)