説明

傾斜プレー面の形成装置

【課題】プレー面の傾斜角度を、使用者に感覚として容易に把握させることができる。
【解決手段】傾斜プレー面の形成装置1である。この装置1は、地面Eに置かれかつ上面に使用者Uが歩行可能、又は球Bが転動可能なプレー面2Sを有する基台2と、プレー面2Sを三次元に傾斜させる傾け装置3と、使用者Uが視認可能にプレー面2Sと隣接して設けられた観察面4とを有する。観察面4は、基台2のプレー面2Sとは相対移動可能に設けられるとともに、該観察面4を常に水平に維持する水平維持具14を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が歩行可能、又は球が転動可能なプレー面を3次元に傾斜させ得る傾斜プレー面の形成装置に関し、詳しくは、プレー面の傾斜角度を、使用者に感覚として容易に把握させることができる傾斜プレー面の形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使用者が歩行可能、又は球が転動可能なプレー面を有するゴルフ練習装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。このようなゴルフ練習装置は、プレー面が傾斜して形成されているため、ゴルフ場で遭遇する傾斜面を想定したパターやスイングの練習を行うのに役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−264144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ゴルファーは、ゴルフ場での傾斜面からのショットやパットを正確に行うために、該傾斜面の該水平面に対する傾斜角度がどの程度かを感覚として把握してボールを打ち出している。
【0005】
しかしながら、上記のようなゴルフ練習装置では、プレー面の傾斜角度を感じることが難しく、練習効率を十分に向上できないという問題があった。
【0006】
また、歩行リハビリテーションの場面においても、実際に歩いている歩行面の傾斜角度を感じながら歩行する訓練が有効であり、高齢者等が楽しく行うことができ、かつ歩行機能を長く維持する為の装置が求められていた。
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、プレー面を有する基台と、プレー面を傾斜させる傾け装置、使用者が視認可能な観察面、及び観察面を常に水平に維持する水平維持具を具えることを基本として、プレー面の傾斜角度を、使用者に感覚として容易に把握させることができる傾斜プレー面の形成装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明は、地面に置かれかつ上面に使用者が歩行可能、又は球が転動可能なプレー面を有する基台と、前記プレー面を三次元に傾斜させる傾け装置と、前記使用者が視認可能に前記プレー面と隣接して設けられた観察面とを有し、前記観察面は、前記基台の前記プレー面とは相対移動可能に設けられるとともに、該観察面を常に水平に維持する水平維持具を具えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記基台は、地面まで貫通した開口部を有することにより、前記開口部の周りに環状の前記プレー面を具え、前記水平維持具は、前記開口部に配されかつ前記地面に設置された支持材からなり、前記観察面は、前記支持材に支持される板状体の上面にて形成される請求項1記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記基台は、前記開口部を囲む内側壁部を有し、該内側壁部の前記開口部側を向く内面には、前記プレー面と平行な目盛が表示されている請求項2記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、前記水平維持具は、前記基台の上面で開口し、かつ内部に液体が蓄えられた器状部からなり、前記観察面は、前記液体の液面、又は前記液面に浮かぶ板状体の上面にて形成される請求項1記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、地面に置かれかつ上面に使用者が歩行可能、又は球が転動可能なプレー面を有する基台と、前記プレー面を三次元に傾斜させる傾け装置と、前記使用者が視認可能に前記プレー面と隣接して設けられた観察直線とを有し、前記観察直線は、前記基台の前記プレー面とは相対移動可能に設けられるとともに、該観察直線を常に水平に維持する水平維持具を具えたことを特徴とする傾斜プレー面の形成装置である。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、前記基台は、地面まで貫通した開口部を有することにより、前記開口部の周りに環状の前記プレー面を具え、前記水平維持具は、前記開口部に配されかつ前記地面に設置された支持材からなり、前記観察直線は、前記支持材に支持される板状体の側壁に表示され、かつ板状体の上面と平行な目盛からなる請求項5に記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、前記基台は、外周部が多角形状をなし、前記傾け装置は、前記基台の少なくとも各角部に設けられた高さが調節可能な脚部材からなる請求項1乃至6のいずれかに記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、前記基台には、その上面を覆う複数の被覆材が設けられる請求項1乃至7のいずれかに記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、前記被覆材の少なくとも一つは、人工又は天然の芝材からなる請求項8記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0017】
また、請求項10記載の発明は、前記被覆材の少なくとも一つは、カップ穴が設けられる請求項8又は9記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0018】
また、請求項11記載の発明は、前記被覆材の少なくとも一つは、砂、土、石、又は水が蓄えられる貯溜部からなる請求項8乃至10の何れかに記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0019】
また、請求項12記載の発明は、前記基台は、外周部に、手摺が設けられた請求項1乃至11のいずれかに記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0020】
また、請求項13記載の発明は、前記プレー面には、使用者又は球の進行方向と直角な幅方向の両端側から、中央部側に向かって、前記進行方向に傾斜してのびる誘導板が設けられ、前記誘導板は、前記進行方向に向かって、前記プレー面から上方に傾斜し、かつその上を通過する使用者又は球を、前記プレー面の中央部側に誘導する請求項1乃至12のいずれかに記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0021】
また、請求項14記載の発明は、前記誘導板は、前記進行方向に向かって隔設される請求項13に記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【0022】
また、請求項15記載の発明は、前記誘導板は、前記幅方向の両側縁が、前記進行方向と平行のびる平行四辺形状に形成される請求項13又は14記載の傾斜プレー面の形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の傾斜プレー面の形成装置は、地面に置かれかつ上面に使用者が歩行可能、又は球が転動可能なプレー面を有する基台と、プレー面を三次元に傾斜させる傾け装置と、使用者が視認可能にプレー面と隣接して設けられた観察面とを有する。
【0024】
この観察面は、基台の前記プレー面とは相対移動可能に設けられるとともに、該観察面を常に水平に維持する水平維持具が設けられる。
【0025】
このような傾斜プレー面の形成装置は、プレー面を容易に傾斜させることができるとともに、使用者に、傾斜したプレー面と水平な観察面との両方を、同時に視認させることによって、プレー面の傾斜角度を、使用者に感覚として容易に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態の傾斜プレー面の形成装置を示す斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】誘導板を拡大して示す斜視図である。
【図5】(a)は多角形の基台を示す平面図 、(b)は円形の基台を示す平面図である。
【図6】他の実施形態の水平維持具を示す断面図である。
【図7】(a)は他の実施形態の傾斜プレー面の形成装置を示す部分斜視図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図8】他の実施形態の傾斜プレー面の形成装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1〜図3に示されるように、本実施形態の傾斜プレー面の形成装置(以下、単に「装置」ということがある)1は、屋外又は屋内の地面Eに置かれかつプレー面2Sを有する基台2、前記プレー面2Sを三次元に傾斜させる傾け装置3、及びプレー面2Sと隣接して設けられる観察面4を有し、この実施形態では、パター練習装置として構成される。
【0028】
前記基台2は、平面視において多角形状、本実施形態では略矩形状に形成される。また、本実施形態の基台2には、その中央部に地面Eまで貫通し、かつ平面視において略矩形状に形成された開口部5が設けられる。これにより、基台2には、開口部5の周りに、使用者Uが歩行可能、又は球Bが転動可能な、環状のプレー面2Sが形成される。
【0029】
図3に示されるように、前記基台2は、例えば、その上面にプレー面2Sが形成される床材6と、該床材6の下部に配される床フレーム7と、該床フレーム7から地面Eにのびる脚部8とを有する。さらに、本実施形態の基台2は、開口部5を囲む小高さの内側壁部19と、該基台2の外周部に配される小高さの外側壁部20とを含む。
【0030】
本実施形態の床材6は、例えば、前記床フレーム7の上に固着される複数の板材6Aと、該板材6Aの上側を覆い、かつプレー面2Sが形成される複数の被覆材6Bとを含む。
【0031】
前記被覆材6Bは、例えば略矩形状に形成され、本実施形態では、人工又は天然の芝材26からなる。また、被覆材6Bは、前記板材6Aの上に取り外し可能に配置される。さらに、本実施形態では、被覆材6Bを上下に貫通して形成したパター練習用のカップ穴10が2つ設けられる。
【0032】
このような被覆材6Bは、該被覆材6Bの配置替えや交換を行うことにより、プレー面2Sのカスタマイズやメンテナンスを容易に行うことができる。また、被覆材6Bには、芝材26の芝目、長さ、又は球Bの転がり抵抗等が異なるものが含まれることにより、バリエーションに富んだパターコースを形成できる。
【0033】
図1及び図2に示されるように、被覆材6Bには、平面視において、円形状に形成された円形被覆材6Baが設けられる。この円形被覆材6Baの上面には、その中心から放射状にのびる放射目盛11aが設けられる。
【0034】
このような円形被覆材6Baは、使用者Uが放射目盛11aを確認しながら球Bを打ち出すことにより、球Bの方向性や角度を容易に把握でき、効率的な練習を行うのに役立つ。さらに、円形被覆材6Baは、他の被覆材6Bと同様に、プレー面2Sに取り外し可能に配置されるため、該円形被覆材6Baを垂直軸周りに回転させることにより、放射目盛11aを任意の方向に配置できる。
【0035】
また、円形被覆材6Baの外周を囲む外側被覆材6Bbには、球Bの進行方向Wと平行にのびる基準目盛11bが設けられる。この基準目盛11bに、放射目盛11aを一致させることにより、該放射目盛11aを進行方向Wに容易に一致させて、円形被覆材6Baを配置することができる。
【0036】
図2及び図4に示されるように、本実施形態の被覆材6Bの上面には、前記進行方向Wと直角な幅方向の両端6Bt、6Bt側から、中央部側に向かって、進行方向Wに傾斜してのびる薄板状の誘導板27が設けられる。
【0037】
この誘導板27は、プレー面2Sから上方に傾斜してのび、かつそのプレー面2Sに対する角度α2が1〜15度程度に設定される。また、誘導板27は、その幅方向の両側縁27t、27tが進行方向Wと平行のび、平面視平行四辺形状に形成される。さらに、誘導板27と被覆材6Bとの間には、該誘導板27を支持する支持部材(図示省略)が配される。
【0038】
このような誘導板27は、被覆材6Bの進行方向Wの両端6Bt、6Bt側に反れた球Bを通過させることにより、その上下方向及びプレー面2Sの中央部側への傾斜によって、該球Bを前記中央部側に修正することができる。
【0039】
従って、誘導板27は、球Bが思わぬ方向に転動するのを抑制でき、初心者や高齢者等でも、安全かつ楽しくパター練習を行うことができる。なお、誘導板27は、タイヤ周方向に対する角度α1(図2に示す)が30〜45度が望ましい。
【0040】
図1、図2に示されるように、誘導板27は、進行方向Wに向かって隔設されるのが望ましい。これにより、複数の誘導板27は、前記球Bを、プレー面2Sの中央部側にスムーズに誘導することができる。また、複数の誘導板27は、進行方向Wに向かってのびるため、使用者Uに進行方向Wを示す表示部として形成できる。これにより、装置1を初めて使用する初心者に対しても、パター練習をスムーズに進行させることができる。
【0041】
また、本実施形態の被覆材6Bには、砂、土、石又は水が蓄えられる盆状の貯溜部28からなるものが含まれる。このような貯溜部28は、ゴルフ場におけるバンカーや池を再現することができ、バリエーションに富んだパターコースを形成できる。
【0042】
図3に示されるように、前記床フレーム7は、基台2の外周部に配される枠材7aと、該枠材7a、7a間をのびる根太7bとを含み、例えば、図示しない接合金物等で固着される。
【0043】
図2、図3、及び図5(a)に示されるように、前記脚部8は、基台2の少なくとも各角部2C、本実施形態では、各角部2C及び開口部5の各角部2Dにそれぞれ設けられる。
【0044】
ここで、基台2の角部2Cとは、多角形からなる基台2の頂点2t付近を意味し、該頂点2tから基台2の内側又は外側に偏って配置されるものも含む。同様に、開口部5の角部2Dは、多角形からなる開口部5の頂点5t付近を意味し、該頂点2tから基台2の内側、又は外側にはみ出して配置されるものも含む。
【0045】
このように、脚部8は、基台2の各角部2Cに配置されるため、該基台2をバランスよくかつ安定して支持できる。また、本実施形態の脚部8は、開口部5の各角部2Dにも形成されるため、基台2をよりバランスよくかつ安定して支持できる。なお、脚部8は、各角部2C及び2Dに限定されることなく、必要に応じてより多く配置することができる。
【0046】
また、図5(b)に示されるように、基台2や開口部5が円形をなして各角部がない場合は、該基台2の外周及び開口部5の内周に、等間隔で複数個配置されるのが望ましい。
【0047】
図3に示されるように、前記脚部8は、前記床フレーム7から下方に突出して設けられ、本実施形態では略筒状に形成される。また、各脚部8には、その下端で開口するネジ穴8hがそれぞれ設けられる。
【0048】
図1及び図3に示されるように、前記内側壁部19は、開口部5の各内面に配される複数の板材からなる。本実施形態の内側壁部19の上面19uは、プレー面2Sと平行に形成される。
【0049】
また、隣り合う内側壁部19、19の入隅には、平面視三角形状の継材24が設けられる。このような継材24は、内側壁部19、19の入隅における強度を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態の内側壁部19及び継材24には、開口部5の内側を向く内面に、プレー面2Sと平行な目盛12が表示される。
【0051】
前記目盛12は、基台2の高さ方向に複数本設けられる。また、目盛12は、図1に示されるように、開口部5で隣り合う内側壁部19、19間及び継材24を跨って連続して設けられる。
【0052】
前記傾け装置3は、基台2の各角部2Cにおいて、各脚部8の下端から下方に突出する脚部材3Aからなる。本実施形態の脚部材3Aは、脚部8のネジ穴8hに螺合するネジ部3aと、該ネジ部3aの下端で鍔状にのびるフランジ3bとを含み、アジャスターボルトとして構成される。また、ネジ部3aとフランジ3bとの間には、球ジョイント3cが設けられる。
【0053】
このような傾け装置3は、各脚部8の下端からの突出長さをそれぞれ異ならせることにより、基台2のプレー面2Sを、地面Eに対して三次元に傾斜させることができる。なお、本実施形態では、傾け装置3がアジャスターボルトである場合が例示されたが、例えばジャッキ等で形成されてもよいことはいうまでもない。
【0054】
また、脚部材3Aには、前記フランジ3bの代わりに、地面Eを転動するキャスター(図示省略)が設けられてもよい。このようなキャスターは、装置1の移動や向き替えを容易に行うのに役立つ。
【0055】
前記観察面4は、基台2の開口部5内に配される板状体13の上面13s側に形成される。また、本実施形態の板状体13には、開口部5に配されかつ地面Eに設置される水平維持具14が設けられる。
【0056】
図2に示されるように、前記観察面4は、平面視において、開口部5と近似し、かつ該開口部5よりもやや小さい輪郭形状に設定される。また、図3に示されるように、本実施形態の観察面4は、内側壁部19の上端と下端との間に配置される。これにより、使用者U(図1に示す)は、開口部5から観察面4を視認できる。
【0057】
本実施形態の板状体13の上面13sには、プレー面2Sと同様に、例えば芝材26からなる被覆材6Bが配されている。これにより、装置1は、観察面4とプレー面2Sとの一体感を高めることができ、美観をさらに向上しうる。但し、被覆材6Bを、省略しても良いのはいうまでもない。
【0058】
本実施形態の水平維持具14は、板状体13の各角部から地面Eにのび、かつ同高さに形成された複数の支持材15からなる。このような支持材15は、板状体13を、基台2とは独立して支持できるため、該板状体13の上面13sをなす観察面4が基台2に干渉せず、ひいてはプレー面2Sとは相対移動可能に設けられる。従って、水平維持具14は、基台2の傾斜に関わらず、観察面4を常に水平に維持できる。
【0059】
また、前記支持材15には、その下端で開口する孔部29が設けられる。この孔部29には、地面E側に突出するアジャスタボルト16が螺合されるのが望ましい。このようなアジャスタボルト16は、プレー面2Sの高さや、使用者U(図1に示す)の身長等に応じて、観察面4の高さや水平位置を調節でき、使用者U(図1に示す)に観察面4を確実に視認させることができる。
【0060】
さらに、前記孔部29は、板状体13の上側で開口するとともに、アジャスタボルト16の上端16tに、ネジ溝(図示省略)が設けられるのが望ましい。これにより、アジャスタボルト16のネジ溝に合ったドライバー(図示省略)を、観察面4側から孔部29に挿入して、該アジャスタボルト16を回転させることにより、観察面4の高さ等を容易に調節しうる。
【0061】
図1に示されるように、パターをアドレスした使用者Uは、プレー面2Sと観察面4との両方を視認することができる。これにより、使用者Uは、プレー面2Sの傾斜角度を、感覚として容易に把握することができる。従って、使用者Uは、ゴルフ場における傾斜面からのアプローチと同様に、傾斜角度を感覚として把握することができるため、より実戦に近い効果的な練習を行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、内側壁部19には、目盛12が表示されるため、例えば、使用者Uが、観察面4と目盛12との両方を視認することにより、それらの角度差から傾斜角度をより正確に認識することができる。
【0063】
さらに、内側壁部19、19の入隅に配される継材24にも、目盛12が表示されるため、開口部5の八方に該目盛12を形成でき、使用者Uに、より確実に視認させることができる。
【0064】
図6には、他の実施形態の水平維持具14が示される。
この実施形態の水平維持具14は、基台2の上面で開口し、かつ内部に液体22が蓄えられた器状部21からなる。この器状部21には、観察面4を有する前記板状体13が、液体22の液面22sに浮かべて配置されている。
【0065】
本実施形態の器状部21は、前記内側壁部19と、該内側壁部19の下端でプレー面2Sと平行にのびる底部23とを有する。また、前記液体22には、板状体13を浮かせることができるものであれば特に限定されないが、例えば、水等が望ましい。
【0066】
このような器状部21は、該器状部21が基台2とともに傾斜しても、液体22の液面22sが水平に維持されるため、該液面22s上に浮かぶ板状体13の観察面4を、水平に維持できる。
【0067】
なお、本実施形態では、観察面4が、器状部21に蓄えられた液体22の液面22sに浮かぶ板状体13の上面13sに形成されるものが例示されたが、これに限定されるわけではなく、例えば、液体22の液面22sにて形成されるものでもよい。この場合、液体22の液面22sを効果的に視認させるために、該液体22を着色してもよい。
【0068】
図7(a)、(b)には、他の実施形態の装置1が示される。
この実施形態では、前実施形態の観察面4(図1に示す)とは別に、使用者Uが視認可能に、プレー面2Sと隣接して設けられ、かつ常に水平に維持された観察直線31が設けられる。この観察直線31は、前記支持材15に支持された前記板状体13の側壁13wに表示される。
【0069】
前記観察直線31は、板状体13の上面13sと平行な目盛31aからなり、該板状体13の側壁13wの全周に亘って連続して表示される。また、本実施形態の観察直線31は、板状体13の側壁13wの上下方向に複数表示される。
【0070】
このような観察直線31は、板状体13の上面13sが、基台2の上方へ突出して配置されることにより、使用者U(図1に示す)に視認させることができる。これにより、使用者Uは、内側壁部19の上面19uよりも高い位置に配された観察直線31とプレー面2Sとの両方を視認することにより、プレー面2Sの傾斜角度を感覚として容易に把握することができる。
【0071】
また、本実施形態のように、内側壁部19の上面19uとプレー面2Sとが平行である場合には、観察直線31と内側壁部19の上面19uとの両方を視認することにより、それらの角度差から、プレー面2Sの傾斜角度をより正確に認識することができる。この場合、内側壁部19の上面19uの視認性を高めるために、該上面19uを着色するのが望ましい。
【0072】
本実施形態の支持材15にも、前記アジャスタボルト16が設けられるのが望ましい。これにより、板状体13の突出高さを調節できるため、観察直線31を使用者U(図1に示す)に確実に視認させることができる。
【0073】
図1〜7に示される装置1は、パター練習装置である場合が例示されたが、これに限定されるわけではなく、例えば、該装置1を小型化して、机等の上に設置された卓上パターゲームとして構成されても良いのはいうまでもない。
【0074】
図8には、他の実施形態の装置1が示される。
この実施形態の装置1は、リハビリテーション用の歩行訓練台として構成される。この装置1は、基台2の外周部に、使用者Uが把持する手摺17aが設けられる。これにより、使用者Uは、手摺17aを把持しながら、観察面4及びプレー面(歩行面)2Sを同時に視認して、プレー面2Sの傾斜角度を感覚として把握し、右上り、左上り、右下り、及び左下り等の坂道を心構えをして歩行訓練できる。
【0075】
また、装置1には、開口部5の周りにも、手摺17bが形成されるのが望ましい。これにより、使用者Uは、両手で手摺17a、17bを把持しながら歩行訓練できるため、安全性をさらに向上しうる。
【0076】
さらに、装置1は、プレー面2Sに隣接し、かつ地面Eに設置されるスロープ18を有するのが望ましい。これにより、使用者Uは、地面Eからプレー面2Sに、容易かつ安全に上り下りすることができる。
【0077】
また、本実施形態の被覆材6Bにも、砂、土又は石等が配された貯溜部28が含まれるのが望ましい。このような貯溜部28は、実際の砂路等を再現しうるとともに、これらが入れ替えられることによって、バリエーションに富んだ歩行面を形成することができる。さらに、貯溜部28内の砂、土又は石により、使用者Uの足裏を刺激することができるため、使用者は、楽しくかつ心地よくリハビリテーションを行うことができる。
【0078】
さらに、貯溜部28には、例えば40〜50℃程度のお湯が配されてもよい。これにより、使用者Uは、脚の疲れやストレスを、歩行しながら癒すことができ、気持の良くリハビリテーションを行うことができる。
【0079】
また、本実施形態の被覆材6Bにも、誘導板27が設けられるのが望ましい。これにより、使用者Uは、誘導板27を踏むことによって与えられる足裏への刺激により、被覆材6Bの両端6Bt側に反れて歩行していることを容易に認識することができる。従って、誘導板27は、使用者Uを歩行面の中央部側に誘導できるため、安全かつ効率的なリハビリテーションを行うのに役立つ。
【0080】
なお、この実施形態の装置1は、屋外又は屋内の地面Eの上に設置されるものが例示されたが、これに限定されるわけではなく、例えば、プールの床に設置されることにより、水中での歩行訓練を行うことができる。
【0081】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0082】
1 傾斜プレー面の形成装置
2 基台
2S プレー面
3 傾け装置
4 観察面
14 水平維持装置
U 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に置かれかつ上面に使用者が歩行可能、又は球が転動可能なプレー面を有する基台と、前記プレー面を三次元に傾斜させる傾け装置と、前記使用者が視認可能に前記プレー面と隣接して設けられた観察面とを有し、
前記観察面は、前記基台の前記プレー面とは相対移動可能に設けられるとともに、該観察面を常に水平に維持する水平維持具を具えたことを特徴とする傾斜プレー面の形成装置。
【請求項2】
前記基台は、地面まで貫通した開口部を有することにより、前記開口部の周りに環状の前記プレー面を具え、
前記水平維持具は、前記開口部に配されかつ前記地面に設置された支持材からなり、
前記観察面は、前記支持材に支持される板状体の上面にて形成される請求項1記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項3】
前記基台は、前記開口部を囲む内側壁部を有し、該内側壁部の前記開口部側を向く内面には、前記プレー面と平行な目盛が表示されている請求項2記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項4】
前記水平維持具は、前記基台の上面で開口し、かつ内部に液体が蓄えられた器状部からなり、
前記観察面は、前記液体の液面、又は前記液面に浮かぶ板状体の上面にて形成される請求項1記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項5】
地面に置かれかつ上面に使用者が歩行可能、又は球が転動可能なプレー面を有する基台と、前記プレー面を三次元に傾斜させる傾け装置と、前記使用者が視認可能に前記プレー面と隣接して設けられた観察直線とを有し、
前記観察直線は、前記基台の前記プレー面とは相対移動可能に設けられるとともに、該観察直線を常に水平に維持する水平維持具を具えたことを特徴とする傾斜プレー面の形成装置。
【請求項6】
前記基台は、地面まで貫通した開口部を有することにより、前記開口部の周りに環状の前記プレー面を具え、
前記水平維持具は、前記開口部に配されかつ前記地面に設置された支持材からなり、
前記観察直線は、前記支持材に支持される板状体の側壁に表示され、かつ板状体の上面と平行な目盛からなる請求項5に記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項7】
前記基台は、外周部が多角形状をなし、前記傾け装置は、前記基台の少なくとも各角部に設けられた高さが調節可能な脚部材からなる請求項1乃至6のいずれかに記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項8】
前記基台には、その上面を覆う複数の被覆材が設けられる請求項1乃至7のいずれかに記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項9】
前記被覆材の少なくとも一つは、人工又は天然の芝材からなる請求項8記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項10】
前記被覆材の少なくとも一つは、カップ穴が設けられる請求項8又は9記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項11】
前記被覆材の少なくとも一つは、砂、土、石、又は水が蓄えられる貯溜部からなる請求項8乃至10の何れかに記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項12】
前記基台は、外周部に、手摺が設けられた請求項1乃至11のいずれかに記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項13】
前記プレー面には、使用者又は球の進行方向と直角な幅方向の両端側から、中央部側に向かって、前記進行方向に傾斜してのびる誘導板が設けられ、
前記誘導板は、前記進行方向に向かって、前記プレー面から上方に傾斜し、かつその上を通過する使用者又は球を、前記プレー面の中央部側に誘導する請求項1乃至12のいずれかに記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項14】
前記誘導板は、前記進行方向に向かって隔設される請求項13に記載の傾斜プレー面の形成装置。
【請求項15】
前記誘導板は、前記幅方向の両側縁が、前記進行方向と平行のびる平行四辺形状に形成される請求項13又は14記載の傾斜プレー面の形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102820(P2013−102820A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246730(P2011−246730)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(509113368)