説明

充填ノズル

【課題】液体食品用の充填ノズルに関し、充填する紙容器の形状に対応して充填パイプに対する取付け角度を確実且つ容易に調整できる紙容器の充填ノズルを提供する。
【解決手段】充填管16と充填ノズル17は、充填管16の下端に備える第一接続リング部18と充填ノズル17の上端に備える第二接続リング部19を介して連結される。第一接続リング部18は外面全周に亘って設ける環状凹部18bと、水平間隔で二組形成される一対の半球状の凹部18cから成る。第二接続リング部19の上部は同一円周方向に二箇所を部分的にスリットして半円弧状の接続リング部19aが二組形成される。そして、二組の接続リング部19aの先端部に突出する凸部Pが凹部18cに挿入する。第二接続リング部19の下部19bは内面全周にシール部Q1が形成されシールリングQが挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体食品用の紙容器に内溶液を充填する充填ノズルに関し、詳しくは充填管に取付ける充填ノズルの位置調整が容易にできる充填ノズル関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジュース、牛乳等の液体食品などを充填する紙容器は、シート状の包装材料を縦シール部でシールして筒状にした後、一端部を折込んで底部を形成し、また、容器上部をプラスチックで蓋を成形し、直立させて上部開口から、又は、倒立して開口した底部から、充填ノズルで内容液を充填し、開口を折込みシールして紙容器が形成される。この紙容器の充填ノズルに関する従来技術として特許文献1-3の内容が知られている。
【0003】
図7に示すように、特許文献記載の充填システム31では、本体の中間部に流量調整バルブ31aを備える。ノズルの下端部の開口33に網状部34が設けられ、この網状部34は円形リング状の枠材34aの内部に網目状領域34bがスペーサーを介して所定間隔で複数枚設けられ、網状部34におけるそれぞれの網目の大きさは適宜調整される。
上記の横断面角形の充填ノズルの他、また、下端部にスリット持つゴム製の横断面円形の充填ノズルなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−224973号公報
【特許文献2】特開平9-99914号公報
【特許文献3】特開平06-56123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、充填ノズルを充填パイプに取付ける際に、充填ノズルの下端の横断面(水平面)形状が紙容器の注入開口部形状に合うように、水平面内で角度調整して位置調整しないと、紙容器に確実に内溶液が注入することができない。また、種々の種類や形状の充填ノズルを同一のパイプに交換することができない。
【0006】
本発明は、紙容器の内溶液充填装置に設ける充填ノズルに関し、充填する紙容器の形状に対応して充填パイプに取付ける位置が確実且つ容易に調整でき、異なった充填ノズルを容易に交換することができる充填ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紙容器の充填ノズルは、熱可塑性樹脂を両面に備える包装材料を縦シール部で筒状にし、開口から内容液を充填した後に開口を折込みシールする紙容器用の充填ノズルであって、この充填ノズルは内溶液を送る充填管にシールリングを介して連結される一方、充填ノズルの内周面と充填管の外周面にそれぞれ位置決め用の凸部と凹部を周方向に備えることを特徴とする。
【0008】
この発明の好ましい態様において、充填ノズルの筒状端部を円周方向に一部分スリットして成るスリット端部の先端部に前記凸部を備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、以下のように、機能し、動作して顕著な効果を奏する。
この発明の充填ノズルでは、充填ノズルは内溶液を送る充填管にシールリングを介して連結される一方、充填ノズルの内周面と充填管の外周面にそれぞれ位置決め用の凸部と凹部を周方向に備えるので、凸部を凹部に係合するだけで充填ノズルの外周面と充填管の内周面との水平面内の取付角度を、紙容器の注入開口部形状に合わせて確実且つ容易に位置決めして固定することができる。
また、充填ノズルに一個の凸部と充填管に複数の凹部を備えると、一個の凸部が充填管の複数の凹部のいずれかを選択して係合することができる。このため、充填管の周方向の所望の位置に充填ノズルを回転移動して確実に取付けることができる。
【0010】
この発明の好ましい態様において、充填ノズルの筒状端部を円周方向に一部分スリットして成るスリット端部の先端部に凸部を備えるので、スリットによって先端部が弾力性を保持するので請求項1又は請求項2の効果を確実且つ容易に得ることができる。
また、充填ノズルの筒状端部が円周方向に二組でスリット分割され各スリット部の先端部に凸部を備えると、一組の凹部凸部による固定よりもさらに安定して確実に位置固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に利用できる紙容器であって、紙基材を用いて形成された底面4と四組の側面5と頂面6から成る屋根型の紙容器1の開口状態(a)とシール状態(b)を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における、紙容器充填装置において、充填工程10において、タンク8と充填ノズル11とから、紙容器1に充填される様子を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態における、充填管16と充填ノズル17が、充填管16の下端に備える第一接続リング部18と充填ノズル17の上端に備える第二接続リング部19を介して連結される状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態における、充填ノズル17の上端に備える第二接続リング部19と内部のシールリングQの状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における、充填管16と充填ノズル17が第一接続リング部18と第二接続リング部19において球状の凸部PとシールリングQを介して接続する状態を示す断面図である。
【図6】本発明実施形態における、図5のAーA断面矢視図で、接続リング部19aの先端部に設けた凸部Pが、第一接続リング部18の凹部18cに挿入/固着した状態を示す断面図である。
【図7】従来例における充填システム31ではノズルの中間部に流量調整バルブ31aを備え、ノズルの下端部に複数の網状部34が円形リング状の枠材34aを介して設けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
<充填ノズルの構成>
【0013】
図1に示すように、内溶液を充填する屋根型の紙容器1は、平板矩形形状の紙基材ブランクスを用いて形成される。詳しくは、紙基材ブランクスが縦シールで筒状に形成された後、下部を折込んで熱圧着により底部4を形成する(図1(a))。上方開口から内溶液を充填した後、上方開口を折込んで熱圧着で屋根型の頂部6に形成する(図1(b))。これによって、底面4と四組の側面5と頂面6から成る屋根型形状の内溶液を充填した紙容器1が形成される。
【0014】
紙基材の詳細構成は、外側から内側に向かって外側層、紙基材、接着層、必要に応じてバリヤー層、内側シール層から成り、紙基材の外側面にデザイン等が予め印刷される。外側層は低密度ポリエチレン樹脂、内側層はポリエチレン或いはエチレン共重合体等の樹脂、バリヤー層はアルミ箔が用いられる。なお、充填する内溶液によってはバリヤー層を省く構成もある。一個分の紙容器1を形成する紙基材の領域に、縦方向、横方向、斜め方向に折り目が各々複数形成されるので、この折り目を折込むことで屋根型形状の紙容器1が容易に形成できる。
【0015】
図2に示すように、クリーンチャンバー内に設置された紙容器充填装置において、筒状で底部4が形成された状態のブランクスが複数のマンドレルによって回転しながら各々供給され、底部4を下にした状態で下降してコンベアに等間隔で送り込まれる。
【0016】
紙容器1はコンベアで移動しながら充填工程10で間欠的に停止して、充填ノズル11を介して所定量の内容液Wが上方から充填される。
【0017】
次に、紙容器1は予備加熱工程に移動し、熱風装置が下降して紙容器の上端部における筒状部の所定の内外面に熱風を吹きつけて当該部の熱可塑性樹脂を溶融する。その後熱風装置は上昇する。
【0018】
さらに、紙容器1が移動して成形工程で間欠的に停止し、圧着部が下降して紙容器の上端部を折込むと同時に加圧すると、溶融した熱可塑性樹脂の領域が密封して頂部6が形成され内溶液を充填した屋根型の紙容器1が形成される。
【0019】
図3、図4、図5、図6に示すように、充填管16と充填ノズル17は、充填管16の下端に備える第一接続リング部18と充填ノズル17の上端に備える第二接続リング部19を介して連結する。充填管16は円筒状で、充填ノズル17は水平断面形状が上部から下部に亘って円筒形から矩形筒状に連続的に変化する形状である。充填ノズル17の下端部に液垂れを防止するためのメッシュ17aを備える。
【0020】
第一接続リング部18は、筒状の短管で充填管16の管厚より厚く、その内面18aは充填管16の内面16aの内径に等しい。この第一接続リング部18には、その下端近傍の外面全周に亘って環状凹部18bを備える。
【0021】
環状凹部18bの上方に環状凹状18bと平行に一対の半球状の凹部18cが水平間隔Sで二組形成される。より詳しくは、二個一組の凹部18cが第一接続リング部18の直径方向に対向してそれぞれ形成されるので、凹部18cは合計4個である
【0022】
一方、充填ノズル17の筒状端部に備える第二接続リング部19は筒状短管で、上部は同一円周方向で細長くスリットして二組の半円弧状の接続リング部19aが点対称の位置に形成される。そして、二組の接続リング部19aの先端部に穴P1を設け、この穴P1に球状の凸部Pが内面側に半球が突出する状態で固着する。
【0023】
第二接続リング部19の下部19bの内面に断面半円弧状溝のシール部Q1が全周に亘って形成され、シール部Q1にリング状で断面円形のシールリングQが挿入される。
<充填ノズルの作用>
【0024】
第二接続リング部19の下部19bは、内面全周に断面半円弧状のシール部Q1が形成され、シール部Q1にリング状で断面円形のシールリングQが挿入される。一方、第一接続リング部18には、その下端近傍の外面全周に亘って環状凹部18bを備える。このため、シール部Q1と環状凹部18bに囲まれて装着されたシールリングQによって充填管16と充填ノズル17は水密的に連結する。
【0025】
環状凹部18bの上方には、環状凹状18bと平行で一対の半球状の凹部18cが水平間隔Sで二組、合計4個形成される。このため、充填ノズル17の同一円周方向に細長く二箇所を部分的にスリットして成る半円弧状の二組の接続リング部19aの先端部に設けた球状の凸部Pを環状凹状18cに挿入して固定する際に、水平間隔Sの長さ分だけ取付け角度が調整できる。
【0026】
また、スリットして成る半円弧状の接続リング部19aの先端部に凸部Pを備えるので、この細長い帯状円弧の撓み弾性によって凸部Pを所望の凹部P1に確実に安定して位置固定できる。
【0027】
紙容器の注ぎ口の形状に対応して充填ノズル17の取付け位置を水平間隔Sだけ回転方向に調整できるので、適用する紙容器の形状に応じて充填ノズル17の取付位置を変えて、内溶液Wが紙容器外に溢れることなくスムーズに充填することができるので充填効率が確実に向上する。
【0028】
紙容器や内溶液の種類に対応して、充填ノズル17の下端部にスリット持つゴム製の横断面円形の充填ノズルを交換取付することもできる。
充填管16の第一接続リング部18に外面全周に亘って環状凹部18bを備えるので、環状凹部18bに、ゴム製の横断面円形の充填ノズルの上端を嵌めて充填管16とゴム製充填ノズルとを水密的に連結することもできる。
【0029】
また、例えば、この環状凹部18bの上方に環状凹状18bと平行に一対の半球状の凹部18cを三組以上設けて円周方向の角度調整の領域を増やすこともできる。紙容器充填装置7において、マンドレル8、コンベア9、充填管11等を二列平行に配置して紙容器1の充填製造能力を倍増する構成にも適用できる。
【0030】
更に、頂面を屋根型の代わりに平面状等に形成した紙容器や、本体が紙基材で蓋部がプラスチックで射出成型した複合素材の容器に対しても応用できる。
【0031】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明によって、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装容器を製造することができる。
【符号の説明】
【0033】
16 充填管
17 充填ノズル
18 第一接続リング部
18b 環状凹部
18c 凹部
19 第二接続リング部
19a 接続リング部
19b 下部
P 凸部
Q シールリング
Q1 シール部
S 水平間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を両面に備える包装材料を縦シール部で筒状にし、開口から内容液を充填した後に開口を折込みシールする紙容器用の充填ノズルであって、該充填ノズルは該内溶液を送る充填管にシールリングを介して連結される一方、該充填ノズルの内周面と該充填管の外周面にそれぞれ位置決め用の凸部と凹部を周方向に備えることを特徴とする、充填ノズル。
【請求項2】
該充填ノズルの筒状端部を円周方向に一部分スリットして成るスリット端部の先端部に前記凸部を備える、請求項1記載の充填ノズル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−103734(P2013−103734A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248125(P2011−248125)
【出願日】平成23年11月13日(2011.11.13)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】