説明

充填装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粉体物をフレキシブルコンテナに充填する場合に使用する充填装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、粉体物は袋に入れて使用場所まで搬送し、目的位置に到達後、袋を開封して内部の粉体物を取り出して使用していた。この際、使用される袋の大きさは人間によって運搬することを前提としていたために、60Kg程度の内容物を入れるものが普通であった。しかし大量の粉体物を消費する場合に、前記した小さい容量の袋を使用していては効率が悪いため、近年フレキシブルコンテナ(以下、フレコンと言う)と称される容器(袋)が開発され(例えば実開平3−69694号)、単位袋で大容量の粉体物を運搬できるようになってきた。
【0003】この種のフレコンへの粉体物の充填方式としては、充填物を予め計量しておいて袋へ落下させて充填するもの(ホッパー計量式),コンテナ袋の底部に秤を設置しておき充填しつつ計量するもの(袋受台式)の各2方式が主なものであるが、以下に一例としてホッパー計量式のものの概要を図4を参照して説明する。
【0004】図4において1は計量ホッパーであって、枠体2に設けたロードセル(計量機)3上に支持されている。そして計量ホッパー1の上部にはフレキシブルシュート4を介して供給機5が接続される。計量ホッパー1の下部にはホッパー1と一体になった取付管が設けられ、この取付管の周縁にフレコン7の入口7−1を固定する。7−2はフレコン吊り手であってスプリング付吊りフック8を介して枠体2に支持するようになっている。
【0005】取付管は2重になっており、外管6−1の内部に外管と同心円状に内管(供給シュート)6−2が設けられ、外管6−1の一方端には集じんダクト6−3が接続される。なお、6−4はゲート、9はコンベアである。なお、取付管が2重になっている理由は、フレコンへの粉体物の充填後は粉体物に空気を含んでいるため、内容物が流動化して袋が不安定となるため、外管と内管との間の隙間を通し、集じんダクト6−3を経由して脱気することを要するからである。又、この脱気には袋の中に真空の吸引棒(脱気棒)を差し込んで脱気するか、フレコンの底に振動台を設けて振動力を利用して脱気するかのいずれかの方式をとっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来装置は、先ず充填時にフレコンの両側に作業員を1人づつ配置し、各人がフレコン吊り手7−2を夫々スプリング付フック8に係止して袋をセットすることにより、粉体物を充填する。又、充填終了後は2人で袋の取り外しを行なっていた。又、セット台を回転台とすることにより1人で全ての操作をすることも考えられるが、この場合は装置が複雑で高価なものとなってしまう。又、充填後においても一旦受台にのせ、人手により吊り紐等を取り外してフォークリフト等の搬出機にフックをセットして搬送しなければならず、操作工程が多く、かつ煩雑であった。
【0007】更に又、粉体物はフレコン袋の真上から袋の中心部へ向けて充填し、かつ脱気は充填方向にさからうように真上に向けて行なうものであるため、脱気効率が悪いばかりか、フレコン袋の計量誤差も発生する欠点を有している。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な装置で計量誤差がない上に脱気効率が良く、かつ操作性に優れた充填装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る充填装置は、粉体物を所定量計量して収納袋に充填する充填装置において、充填制御部に続いて接続された垂直状の筒部と、前記筒部の下端に傾斜して取付けた内管と、前記内管の外周面に接して同心円状で、かつ前記内管との間で移動可能に設けた2重構造を有する外管と、前記外管の長手方向中央部位置にはその周縁にわたって収納袋側に向けて設けた皿状のフレコン供給部取付管と、前記フレコン供給部取付管位置にあって前記2重構造の外管内壁と内管とを連通するために相互に設けた複数の連通孔と、前記2重構造の外管の外壁に設けて前記収納袋の内部と2重構造の外壁内の空間とを介して外気との間で脱気するために設けた集じんダクトと、前記外管の壁面に設けて前記収納袋内に堆積した粉体量に応じて前記外管を外方に伸縮移動させる手段とを備え、前記収納袋はフレキシブルコンテナとすると共に、計量機に接続されたフックに対して2輪状の吊り金具を介して取付けた。本発明の請求項2に係る充填装置は、請求項1において、充填制御部は2段制御型ゲートとした。本発明の請求項3に係る充填装置は、請求項1において、外管は充填量に応じて伸縮させると共に、2重構造の外管に設けた集じんタクトを介して収納袋内の粉じんを外部に排出するようにした。本発明の請求項4に係る充填装置は、請求項1記載の充填装置で使用する2輪状の吊り金具は、上方に設けたO字リング状部と下方のC字状部とを一体として形成した。
【0009】
【作用】本発明の[請求項1]に係る充填装置は、上方からの粉体物を充填制御部と傾斜して設けた充填シュートを介してフレコン内に充填する。この際、フレコンは計量器に係止されている。そして充填の初期には充填シュートを伸ばしているが、堆積量の増大につれて順次縮むようにしておき、脱気が充分できるようにしている。フレコン内の充填量が所定値になると2段制御型ゲートを閉じて微調整しつつ精確な量になるようにする。なお、充填が完了するとフォークリフトに取付けた搬送用吊り棒を2輪状の吊り金具のC字状部に入れて移送する。本発明の[請求項2]に係る充填装置は、充填制御部を2段制御型ゲートとしているため、第1段目のおおまかな位置で一旦止めた後、2段目にて微調整し、結果として精確な計量結果が得られる。本発明の[請求項3]に係る充填装置は、充填量に応じて充填シュートの長さ調節ができるため、効率的な脱気が可能となる。本発明の[請求項4]に係る2輪状の吊り金具は上方にあるOリング状部は計量機に対して接続するだけの作用し、下方にあるC字状部は一側面があいているため、他に影響されることなく簡単な取り外しを可能としている。
【0010】
【実施例】以下図面を参照して実施例を説明する。図1は本発明による充填装置の一実施例の構成図である。図1R>1において、60は供給シュート本体であり上方部にある垂直状の筒部60−5と前記筒部と一体になりかつ傾斜を有して取付けられた内管60−2とからなる。なお、内管60−2の外側には外管60−1があって2重化されており、これらは円周上の一部分のみに設けた複数個のガイドピース60−4にて同心円状に配置されている。したがって外管60−1と内管60−2とはガイドピースの間隙により通気状態にある。以下、傾斜状態を有する外管60−1と内管60−2を合せて充填シュートと称する。
【0011】外管60−1の中央部には皿状のフレコン供給部取付管70−1が下方に開放状態で取付けられ、外管には70−1の皿状部分のみに孔70−2を穿つと共に、内管には上側傾斜面のみに孔70−3を穿ってある。この理由は内管の下方傾斜面に孔を設けると、上部から下方傾斜面に沿って落下してくる粉体物が洩れ出てしまうからである。即ち、皿状のフレコン供給部取付管70−1の内部は外管及び内管がいずれも通気性を有している。そのため内管60−2を通って落下してきた粉体物は実線矢印に沿ってフレコン70に斜方向(真上からでない)から連続的に充填作用をする。これに対してフレコン内部からの空気流は点線矢印にしたがって集じんダクト60−3を経由して排出される。80はシュート伸縮シリンダー用セットピース、90はフレコン吊り手である(いずれも後述する)。
【0012】図2は充填状態を示す図であり、図中の符号は図1に対応している。図2に示されるように供給シュート本体60の充填シュートの先端部分はフレコン袋70の内部に傾斜して挿入されている。81は伸縮シリンダーであって先端部が外管に設けたシュート伸縮シリンダー用セットピース80に係合され、図示しない動力源によって充填初期は外管60−1をフレコン内方(点線位置)に押し込んだ状態とし、粉体物の堆積につれて順次引き出すよう動作をさせる。
【0013】垂直状の筒部60−5はフレキシブルシュート82を介して2段制御ゲート83に接続される。この2段制御ゲートは第1段のゲートを閉めておおよその粉体物を計量し、第2段のゲートを閉めて微調整し、全体として精度の高い計量をしようとするものである。
【0014】100はフレコン吊り金具であって2輪状となっている。即ち、上方にあるO字リング状部101と下方にあるC字状部102とからなり、これらは一体になっている。O字リング状部101には吊りフック103を係合させ、ロードセル計量機104に接続している。そしてロードセル計量機104は吊りロッド105にて上方に固定されている。
【0015】ここでフレコン袋70の概要を説明する。詳細は実開平3−69694号に説明されているため、概要を説明する。先ず1枚の長い布を折り返して2重とする。折り返した場合には3方が開放状態となるが相対して開放している2辺を両側とし、閉塞辺を底辺とし、閉塞辺に対応する開口辺を上辺とする。
【0016】この上辺の中央部を縦長方向に所定幅を有して所定長切り込んで、縦長の切り込み部を縫着する。即ち、上辺の中央部分に開口部70−2ができる。したがって中央部にできた開口部の左右にある上辺をまとめてしばったものがフレコン吊り手90であり、このフレコン吊り手90をフレコン吊り金具100のC字状部102に係止するとフレコン袋の中央部にある開口部に斜方向から充填シュートを挿入できる。この状態が図2である。
【0017】上記構成の充填装置の作用を説明する。先ず、作業員(1人)がフレコン袋70のフレコン吊り手90を、フレコン吊り金具100のC字状部102へ係止する。なお、係止と同時にフレコン袋70の開口部には充填シュートが入り込んでいる。そして充填初期には伸縮シリンダー81が最も伸びた状態にあり、点線位置になっている。
【0018】この状態で粉体物の充填を開始すると、粉体物は充填シュートを通って順次フレコン袋70内に堆積する。堆積した粉体物はロードセル計量機104にて計量され、おおよその所定量になると2段制御ゲート83の第1段,第2段のゲートが順次閉じ、粉体物の計量が完了する。一方、粉体物の充填中は堆積量に応じて伸縮シリンダー81が順次短縮し、充填シュートを抜いてくる。これと同時にフレコン袋中の空気は、図1に示したように脱気される。
【0019】図3は充填後にフレコン袋70を取り外して移動させる場合を示す。図3に示されるようにフォークリフトの先端に取付けられた搬送用釣り棒106を2輪状のフレコン吊り金具100のC字状部102に差し込み、やゝ上方に上げて吊りフック103から外す。この場合、2輪状のフレコン吊り金具と共にフレコン袋70を所定位置に運搬し、搬送用釣り棒106を外せばフレコン吊り金具100を外すことが可能である。これらの操作はフォークリフト運転手は運転台に乗ったままで計量フックより取り外し可能であり、又、フレコン袋を置く場合も簡便に取り外し可能である。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以下に列挙する効果を奏する。
(1) 機構が簡単で取り扱いが容易であり、かつ設備費が安い。
(2) 1人でフレコン袋と充填シュートのセット及び解除が可能であって省力的である。
(3) 充填能力が、従来1ton充填にて20〜25袋/時間であったものが、40〜50袋/時間となって約2倍である。
(4) 充填後の搬送機による受荷及び解荷が容易である。
(5) 充填量精度がよい。
(6) 粉体物充填時の脱気性がよく、充填後の袋の安定性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による充填装置の一実施例の構成図。
【図2】充填状態を示す図。
【図3】充填後にフレコン袋を移動させる場合を説明する図。
【図4】従来装置を示す図。
【符号の説明】
1 計量ホッパー
2 枠体
3,104 ロードセル
4 フレキシブルシュート
5 供給機
取付管
6−1,60−1 外管
6−2,60−2 内管
6−3 集じんダクト
6−4 ゲート
7,70 フレコン
7−1 入口
7−2 フレコン吊り手
8 スプリング吊りフック
9 コンベア
60 供給シュート本体
60−4 ガイドピース
60−5 筒部
70−1 フレコン供給部取付管
70−2,70−3 孔
80 シュート伸縮シリンダー用セットピース
81 伸縮シリンダー
82 フレキシブルシュート
83 2段制御ゲート
90 フレコン吊り手
100 フレコン吊り金具
101 O字リング部
102 C字状部
103 吊りフック
105 吊りロッド
106 搬送用釣り棒
107 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 粉体物を所定量計量して収納袋に充填する充填装置において、充填制御部に続いて接続された直状の筒部と、前記筒部の下端に傾斜して取付けた内管と、前記内管の外周して同心円状で、かつ前記内管との間で移動可能にけた2重構造を有する外管と、前記外管の長手方向中央位置にはその周縁にわたって収納袋側に向けて設けた皿状のフレコン供給部取付管と、前記フレコン供給部取付管位置にあって前記2重構造の外管内壁と内管とを連通するために相互に設けた複数の連通孔と、前記2重構造の外管の外壁に設けて前記収納袋の内部と2重構造の外壁内の空間とを介して外気との間で脱気するために設けた集じんダクトと、前記外管の壁面に設けて前記収納袋内に堆積した粉体量に応じて前記外管を外方に伸縮移動させる手段とを備え、前記収納袋はフレキシブルコンテナとすると共に、計量機に接続されたフックに対して2輪状の吊り金具を介して取付けたことを特徴とする充填装置。
【請求項2】 請求項1記載の充填装置において、充填制御部は2段制御型ゲートであることを特徴とする充填装置。
【請求項3】 請求項1記載の充填装置において、外管は充填量に応じて伸縮させると共に、2重構造の外管に設けた集じんタクトを介して収納袋内の粉じんを外部に排出することを特徴とする充填装置。
【請求項4】 請求項1記載の充填装置で使用する2輪状の吊り金具は、上方に設けたO字リング状部と下方のC字状部とを一体として形成したことを特徴とする充填装置で使用する2輪状の吊り金具。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【特許番号】特許第3412073号(P3412073)
【登録日】平成15年3月28日(2003.3.28)
【発行日】平成15年6月3日(2003.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−202867
【出願日】平成5年7月23日(1993.7.23)
【公開番号】特開平7−33257
【公開日】平成7年2月3日(1995.2.3)
【審査請求日】平成12年7月11日(2000.7.11)
【出願人】(000185961)太平洋エンジニアリング株式会社 (7)
【参考文献】
【文献】特開 昭55−38205(JP,A)
【文献】特開 平1−294196(JP,A)
【文献】実開 昭53−132178(JP,U)
【文献】実開 昭60−167701(JP,U)
【文献】実開 昭61−82484(JP,U)
【文献】実開 昭55−110060(JP,U)
【文献】特公 昭33−397(JP,B1)
【文献】実公 昭45−32555(JP,Y1)