充放電システム
【課題】2次電池の充放電システムにおいて、小型化を図りつつ低損失を実現する。
【解決手段】複数の2次電池を充放電する充放電回路51と、複数の2次電池セルの接続状態を直列又は並列に変更するスイッチ回路53,54と、充放電回路51及びスイッチ回路53,54を制御する制御回路55を備える。スイッチ回路53,54を適宜開閉することにより、充電時には、スイッチ回路53,54の両端電圧をDC配電ライン電圧よりも低くし、放電時には、スイッチ回路53,54の両端電圧をDC配電ライン電圧よりも高くする。これにより、充放電回路51は降圧動作によって2次電池セルを充放電する。
【解決手段】複数の2次電池を充放電する充放電回路51と、複数の2次電池セルの接続状態を直列又は並列に変更するスイッチ回路53,54と、充放電回路51及びスイッチ回路53,54を制御する制御回路55を備える。スイッチ回路53,54を適宜開閉することにより、充電時には、スイッチ回路53,54の両端電圧をDC配電ライン電圧よりも低くし、放電時には、スイッチ回路53,54の両端電圧をDC配電ライン電圧よりも高くする。これにより、充放電回路51は降圧動作によって2次電池セルを充放電する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、太陽電池などをバックアップする2次電池の充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来の2次電池の充放電システムを示す。従来の充放電システムにおいては、2次電池の充放電に充電回路と放電回路が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-159655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の充放電システムにおいては、2次電池の充放電に際して、それぞれ充電回路と放電回路を用いており、大容量のコンバータが必要な為、システム全体のサイズの小型化を図ることが困難であった。また、コンバータを介して昇圧・降圧を行うため、充放電効率を上げることが難しく、損失が発生するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小型で低損失な充放電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の充放電システムは、複数の2次電池セルが接続された充放電システムであって、前記2次電池セルを充放電する充放電回路と、前記複数の2次電池セルの接続状態を直列又は並列に変更する接続切り替え手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明において、前記接続切り替え手段を制御する制御手段をさらに備え、前記制御手段は、前記充放電回路に印加されるDC配電ライン電圧と前記接続切り替え手段の両端電圧の大小関係に応じて、前記接続切り替え手段を制御することが好ましい。
【0008】
この発明において、前記制御手段は、前記2次電池セルの充電時においては、いずれかの2次電池セルを並列に接続し、前記接続切り替え手段の両端電圧を前記DC配電ライン電圧よりも低くすることが好ましい。
【0009】
この発明において、前記制御手段は、前記2次電池セルの放電時においては、いずれかの2次電池セルを直列に接続し、前記接続切り替え手段の両端電圧を前記DC配電ライン電圧よりも高くすることが好ましい。
【0010】
この発明において、前記充放電回路は、トランスの1次側に双方向スイッチング素子を有する双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路によって構成され、降圧動作によって充放電を行うことが好ましい。
【0011】
この発明において、前記充放電回路は、前記DC配電ラインから直接充放電を行う直接充放電経路と、前記双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路を介して充放電を行う充放電経路を有することが好ましい。
【0012】
この発明において、前記充放電回路は、双方向スイッチング素子を有する双方向電力変換回路によって構成され、降圧動作によって充放電を行うことが好ましい。
【0013】
この発明において、前記充放電回路は、各2次電池セルに対応する充電回路を有することが好ましい。
【0014】
この発明において、前記充放電回路は、いずれかの2次電池セルと直列に接続可能であり、放電方向にダイオードを介して前記DC配電ラインに直接接続される放電回路と、放電に使用していない2次電池セルを充電する充電回路を有することが好ましい。
【0015】
この発明において、前記双方向スイッチング素子は、GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチング素子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の充放電システムによれば、複数の2次電池の接続状態を直列又は並列に任意に変更することができ、充電時又は放電時のいずれの場合においても、充放電回路は降圧動作のみで2次電池を充放電できるようになる。これにより、システムの小型化及び高効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による充放電システムを備えた配電システムの構成を示すブロック図。
【図2】同配電システムに備えられたコントロールユニットの構成を示すブロック図。
【図3】同充放電システムの構成を示すブロック図。
【図4】同充放電システムの充放電回路の構成を示すブロック図。
【図5】同充放電システムの充放電回路の変形例を示す回路図。
【図6】同充放電システムの変形例を示す構成を示すブロック図。
【図7】同充放電システムの変形例を示す構成を示すブロック図。
【図8】双方向スイッチング素子(シングルゲート)の構成を示す平面図。
【図9】図8における範囲Aの拡大図。
【図10】図9におけるB−B断面図。
【図11】双方向スイッチ素子(デュアルゲート)の構成を示す平面図。
【図12】図11におけるC−C断面図。
【図13】従来の充放電システムを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態による2次電池の充放電システムについて図面を参照して説明する。図1は、太陽電池及び2次電池を備え、交流電力と直流電力を配電可能としたハイブリッド配点システムに、実施形態に係る充放電システムを応用した例を示す。図1に示すように、住宅には、宅内に設置された各種機器(照明機器、エアコン、家電、オーディオビジュアル機器等)に電力を供給する配電システム1が設けられている。配電システム1は、商用交流電源(AC電源)2を電力として各種機器を動作させる他に、太陽光により発電する太陽電池(DC電源)3の電力も各種機器に電源として供給する。太陽電池3は、例えば複数のセル4から構成されている。配電システム1は、直流電源(DC電源)を入力して動作するDC機器5の他に、交流電源(AC電源)を入力して動作するAC機器6にも電力を供給する。なお、太陽電池3が直流電源及び自立発電電池を構成し、DC機器5及びAC機器6が負荷を構成する。
【0019】
配電システム1には、同システム1の分電盤として電源制御ユニット7及びDC分電盤(直流ブレーカ内蔵)8が設けられている。電源制御ユニット7には、例えば、CPUなどで構成され、同ユニット7の動作を統括制御する制御部7aが設けられている。また、配電システム1には、住宅のDC機器5の動作を制御する機器として負荷制御ユニット9及びリレーユニット10が設けられている。
【0020】
電源制御ユニット7には、交流電源を分岐させるAC分電盤11が交流系電力線12を介して接続されている。電源制御ユニット7は、このAC分電盤11を介して商用交流電源2に接続されるとともに、直流系電力線13を介して太陽電池3に接続されている。電源制御ユニット7は、AC分電盤11から交流電力を取り込むとともに太陽電池3から直流電力を取り込み、これら電力を機器電源として所定の電圧の直流電力に変換する。そして、電源制御ユニット7は、この変換後の直流電力を、直流系電力線14を介してDC分電盤8に出力したり、又は直流系電力線15を介して蓄電池ユニット16に出力して同電力を蓄電したりする。電源制御ユニット7は、AC分電盤11から交流電力を取り込むのみならず、太陽電池3や蓄電池ユニット16の電力を交流電力に変換してAC分電盤11に供給することも可能である。電源制御ユニット7は、信号線17を介してDC分電盤8とデータのやり取りを実行する。
【0021】
DC分電盤8は、直流電力対応の一種のブレーカである。DC分電盤8は、電源制御ユニット7から入力した直流電力を分岐させ、その分岐後の直流電力を、直流系電力線18を介して負荷制御ユニット9に出力したり、直流系電力線19を介してリレーユニット10に出力したりする。また、DC分電盤8は、信号線20を介して負荷制御ユニット9とデータやり取りをしたり、信号線21を介してリレーユニット10とデータをやり取りしたりする。なお、DC分電盤8、負荷制御ユニット9及びリレーユニット10は、制御部(図示せず)を有している。
【0022】
負荷制御ユニット9には、複数のDC機器5,5…が接続されている。これらDC機器5は、直流電力及びデータの両方を1対の線によって搬送可能な直流供給線路22を介して負荷制御ユニット9と接続されている。直流供給線路22は、DC機器の電源となる直流電圧に、高周波の搬送波によりデータを電送する通信信号を重畳する、いわゆる電力線搬送通信により、1対の線で電力及びデータの両方をDC機器5に搬送する。負荷制御ユニット9は、直流系電力線18を介してDC機器5の直流電源情報を取得し、DC分電盤8から信号線20を介して得る動作指令を基に、どのDC機器5をどのように制御するのかを把握する。そして、負荷制御ユニット9は、指示されたDC機器5に直流供給線路22を介して直流電圧及び動作指令を出力し、DC機器5の動作を制御する。
【0023】
負荷制御ユニット9には、宅内のDC機器5の動作を切り換える際に操作するスイッチ23が直流供給線路22を介して接続されている。また、負荷制御ユニット9には、例えば赤外線リモートコントローラからの発信電波を検出するセンサ24が直流供給線路22を介して接続されている。よって、DC分電盤8からの動作指示のみならず、スイッチ23の操作やセンサ24の検知によっても、直流供給線路22に通信信号を流してDC機器5が制御される。
【0024】
リレーユニット10には、複数のDC機器5,5…がそれぞれ個別の直流系電力線25を介して接続されている。リレーユニット10は、直流系電力線19を介してDC機器5の直流電源を取得し、DC分電盤8から信号線21を介して得る動作指令を基に、どのDC機器5を動作させるのかを把握する。そして、リレーユニット10は、指示されたDC機器5に対し、内蔵のリレーにて直流系電力線25への電源供給をオンオフすることで、DC機器5の動作を制御する。また、リレーユニット10には、DC機器5を手動操作するための複数のスイッチ26が接続されており、スイッチ26の操作によって直流系電力線25への電源供給をリレーにてオンオフすることにより、DC機器5が制御される。
【0025】
DC分電盤8には、例えば壁コンセントや床コンセントの態様で住宅に建て付けられた直流コンセント27が直流系電力線28を介して接続されている。この直流コンセント27にDC機器のプラグ(図示略)を差し込めば、同機器に直流電力を直接供給することが可能である。
【0026】
また、商用交流電源2とAC分電盤11との間には、商用交流電源2の使用量を遠隔検針可能な電力メータ29が接続されている。電力メータ29には、商用電源使用量の遠隔検針の機能のみならず、例えば電力線搬送通信や無線通信の機能が搭載されている。電力メータ29は、電力線通信や無線通信等を介して検針結果を電力会社等に送信する。
【0027】
配電システム1には、宅内の各種機器をネットワーク通信によって制御可能とするネットワークシステム30が設けられている。ネットワークシステム30には、同システム30のコントロールユニットとして宅内サーバ31が設けられている。宅内サーバ31は、インターネットなどのネットワークNを介して宅外の管理サーバ32と接続されるとともに、信号線33を介して宅内機器34に接続されている。また、宅内サーバ31は、DC分電盤8から直流系電力線35を介して取得する直流電力を電源として動作する。
【0028】
宅内サーバ31には、ネットワーク通信による宅内の各種機器の動作制御を管理するコントロールボックス36が信号線37を介して接続されている。コントロールボックス36は、信号線17を介して電源制御ユニット7及びDC分電盤8に接続されるとともに、直流供給線路38を介してDC機器5を直接制御可能である。コントロールボックス36には、例えば使用したガス量や水道量を遠隔検針可能なガス/水道メータ39が接続されるとともに、ネットワークシステム30の操作パネル40に接続されている。操作パネル40には、例えばドアホン子器やセンサやカメラからなる監視機器41が接続されている。
【0029】
宅内サーバ31は、ネットワークNを介して宅内の各種機器の動作指令を入力すると、コントロールボックス36に指示を通知して、各種機器が動作指令に準じた動作をとるようにコントロールボックス36を動作させる。また、宅内サーバ31は、ガス/水道メータ39から取得した各種情報を、ネットワークNを通じて管理サーバ32に提供可能である。それとともに、監視機器41で異常検出があったことを操作パネル40から受け付けると、その旨もネットワークNを通じて管理サーバ32に提供する。
【0030】
図2は、配電システム1に備えられた電源制御ユニット7及び充放電システム50を示している。電源制御ユニット7は、双方向AC/DCコンバータ42と、最大出力点制御DC/DCコンバータ45を有する。双方向AC/DCコンバータ42は、直流電力から交流電力への変換と交流電力から直流電力への変換を行う。そのため、双方向AC/DCコンバータ42は、入力交流電圧を直流電圧に変換出力するAC/DCコンバータ43と、入力直流電圧を交流電圧に変換出力するDC/ACインバータ44とを備えている。AC/DCコンバータ43は、商用交流電源2から入力した交流電圧を直流電圧に変換してDC機器5や蓄電池ユニット16に出力する。また、DC/ACインバータ44は、太陽電池3や蓄電池ユニット16から入力した直流電圧を交流電圧に変換して商用交流電源2に逆潮する。充放電システム50は、電源制御ユニット7又は蓄電池ユニット16に設けられている。
【0031】
電源制御ユニット7には、太陽電池3の電力を最も電力効率の良い点(最大電力点)で出力させる最大出力点制御DC/DCコンバータ45が設けられている。最大出力点制御DC/DCコンバータ45は、太陽電池3に接続されるとともに、双方向AC/DCコンバータ42及びDC機器5に接続されている。なお、最大出力点制御DC/DCコンバータ45が出力電圧変換手段に相当する。
【0032】
最大出力点制御は、いわゆるMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御と呼ばれる電圧出力制御の一種である。ところで、太陽電池3には、電力を最も効率よく最大出力できる点、つまり最大電力点というものがあり、この点を満たす条件で発電しているとき、無駄のない電力出力が可能である。しかし、太陽電池3は、日射量や温度によりI−V特性が刻々と変化し、それに応じて最大電力点もその都度変化する。よって、最大出力点制御DC/DCコンバータ45は、太陽電池3の発電状態に応じて自動的に入力電圧を変化させることにより、太陽電池3の電圧、即ち最大電力点を追従させて、太陽電池3の電力を最も効率の良い電力で取り出している。最大出力点制御は、山登り法とも呼ばれ、太陽電池3の出力電圧を意図的に変動させて、変動前と後との値を比較し、現在の出力が最大か否かを確認することを繰り返し行う。
【0033】
最大出力点制御DC/DCコンバータ45は、太陽電池3を最大出力点で追従制御して得られた電力をDC配電ライン(Vline)に出力する。昼間において太陽電池3が太陽光発電する際、太陽電池3と蓄電池ユニット16との合成電力JがDC機器5に出力される。
【0034】
なお、合成電力Jが余った際には、DC/ACインバータ44を介して商用交流電源2に逆潮されて売電される。また、昼間において天候不順により太陽光発電ができない場合、商用交流電源2の電力がDC機器5やAC機器6の機器電源として使用される。
【0035】
夜間において、バックアップ電源として残しておく量よりも多い電力が蓄電池ユニット16に蓄電されている場合や、或いは停電時には、蓄電池ユニット16の電力が機器電源として使用される。このとき、太陽電池3は発電していないので、蓄電池ユニット16の出力電力がDC機器5に供給され、この電力によってDC機器5やAC機器6が動作される。
【0036】
夜間時は、太陽電池3が発電できないので、蓄電池16の放電が基本とされるが、蓄電池16の放電が不可となった場合は、商用交流電源2の電源が使用される。このとき、電源制御ユニット7は、商用交流電源2の交流電力をAC/DCコンバータ43で直流に変換し、その直流電力をDC機器5に供給する。
【0037】
図3は、充放電システム50の構成を示している。充放電システム50は、充放電回路51と2次電池部52と、マトリクス状に配列されたスイッチ回路(スイッチングマトリクス:接続切り替え手段)53,54と、制御回路55を有している。2次電池部52及びスイッチ回路53,54等により、蓄電池ユニット16が構成される。充放電回路51は、DC機器5の動作及び2次電池部52の両端電圧に応じて2次電池52を充放電する。2次電池部52は、複数の2次電池セル521,522,523,524,525によって構成され、蓄電池ユニット16の蓄電部として機能する。各2次電池セル521,522,523,524,525には、例えばリチウムイオン電池のセルが使用される。スイッチ回路53,54は、制御回路55から入力された制御信号に応じて開閉し、2次電池セル521,522,523,524,525の接続状態を変更する。制御回路55は、充放電回路51及びスイッチ回路53,54を制御する。
【0038】
スイッチ回路53は、接点531a,531b,531c,532a,532b,532c,533a,533b,533c,534a,534b,534c,535a,535b,535cを有する。スイッチ回路54は、接点541a,541b,541c,542a,542b,542c,543a,543b,543c,544a,544b,544c,545a,545b,545cを有する。スイッチ回路53の接点531a,532a,533a,534a,535aは、2次電池セル521,522,523,524,525の+極端子に接続されている。スイッチ回路54の接点541a,542a,543a,544a,545aは、2次電池セル521,522,523,524,525の−極端子に接続されている。
【0039】
スイッチ回路53の接点531b,532b,533b,534b,535bは、充放電回路51に接続されている。スイッチ回路54の接点541b,542b,543ba,544b,545bは、グランドに接続されている。従って、例えば、スイッチ回路53の接点531aと接点531b、接点532aと接点532bが接続され、スイッチ回路54の接点541aと接点541b、接点542aと接点542bが接続されると、2次電池セル521,522が並列に接続される。他の2次電池セルについても同様である。
【0040】
また、スイッチ回路53の接点532c,533c,534c,535c,531cは、スイッチ回路54の接点541c,542c,543c,544c,545cとそれぞれ接続されている。従って、例えば、スイッチ回路54の接点541aと接点541c、スイッチ回路53の接点532aと接点532cが接続されると、2次電池セル521,522が直列に接続される。他の2次電池セルについても同様である。このように、スイッチ回路53,54の接点を適宜接続することにより、2次電池セル521,522,523,524,525の接続状態を変更し、蓄電池ユニット16の両端電圧(接続切り替え手段の両端電圧)を変更できる。例えば、2次電池セル521と522及び2次電池セル523と524を直列に接続し、それらを並列に接続することも可能である。
【0041】
図4は、充放電回路51の構成を示す。充放電回路51は、1対の双方向スイッチング素子Q1,Q2をトランス500の1次側に、1対の双方向スイッチング素子Q3,Q4を2次側に有する双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路によって構成されている。充放電回路51は、DC配電ラインから直接充放電を行う直接充放電経路と、双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路を介して充放電を行う充放電経路を有する。双方向スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4は、例えば、制御回路55から入力された制御信号に応じて開閉する。双方向スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4を制御するための制御信号は、制御回路55に限られることなく、例えば充放電制御回路51の内部に設けられた制御回路から入力されるように構成されていてもよい。充電時においては、DC配電ライン電圧Vline>蓄電池ユニット16の両端電圧Vbatとなるように、制御回路55はスイッチ回路53,54の接続状態を適宜制御する。そして、1次側の双方向スイッチング素子Q1,Q2が交互にオン/オフ制御されることにより、トランス500が発振する。このとき、2次側の双方向スイッチング素子Q3を常にオン、双方向スイッチング素子Q4を常にオフにすることにより、蓄電池ユニット16を構成する2次電池の充電を行うことができる。
【0042】
一方、放電時においては、DC配電ライン電圧Vline<蓄電池ユニット16の両端電圧Vbatとなるように、制御回路55はスイッチ回路53,54の接続状態を適宜制御する。そして、2次側の双方向スイッチング素子Q3を常にオフ、双方向スイッチング素子Q4を常にオンにすることにより、蓄電池ユニット16を構成する2次電池の放電を行うことができる。
【0043】
このように、本充放電回路51を有する充放電システム50によれば、複数の2次電池の接続状態をスイッチ回路53,54によって直列又は並列に任意に変更することができる。従って、充電又は放電の動作に応じて、DCライン電圧Vlineと蓄電池ユニット16の両端電圧Vbatとの大小関係を任意に変更することが可能となる。より具体的には、充電時には、蓄電池ユニット16の両端電圧VbatがDCライン電圧Vlineよりも低くなるように、放電時には蓄電池ユニット16の両端電圧VbatがDCライン電圧Vlineより高くなるように、スイッチ回路53,54を制御する。これにより、充電時又は放電時のいずれの場合においても、充放電回路51は降圧動作のみで電池を充放電できるため、システムの小型化及び高効率化を図ることができる。また、双方向ハーフブリッジ型コンバータからの電力供給経路に加え、直接充放電経路を持つことから、コンバータの電力供給量を減らすことができる。従って、システムの小型化及び高効率化を図ることができる。
【0044】
図5は、充放電回路51の変形例の構成を示す。この充放電回路51は、双方向スイッチング素子Q1,Q2を有する双方向電力変換回路によって構成されている。双方向スイッチング素子Q1,Q2は、制御回路55又は充放電制御回路51などから入力された制御信号に応じて開閉する。この充放電回路51を有する充放電システム50においても、充電時には、蓄電池ユニット16の両端電圧VbatがDCライン電圧Vlineよりも低くなるように、スイッチ回路53,54を制御する。そして、双方向スイッチング素子Q1をオン/オフ制御(チョッパ制御)すると共に、双方向スイッチング素子Q2を常にオンさせる。また、放電時には蓄電池ユニット16の両端電圧VbatがDCライン電圧Vlineより高くなるように、スイッチ回路53,54を制御する。そして、双方向スイッチング素子Q1を常にオンさせると共に、双方向スイッチング素子Q2をオン/オフ制御(チョッパ制御)する。この充放電回路51を有する充放電システム50においても、充電時又は放電時のいずれの場合においても、充放電回路51は降圧動作のみで電池を充放電できるため、システムの小型化及び高効率化を図ることができる。
【0045】
図6は、充放電システム50の変形例の構成を示す。この充放電システム50において、充放電回路51は、複数の充電回路511,512,513,514,515と、放電回路510等によって構成されている。各充電回路511,512,513,514,515は、2次電池部52の2次電池セル521,522,523,524,525(図3参照)に対応する。この充放電システム50において、各2次電池セル521,522,523,524,525は、放電時にのみ直列に接続される。充電時には、各2次電池セル521,522,523,524,525は、充電回路511,512,513,514,515に接続される。2次電池セルの充電には、定電流充電が好ましいとされるところ、この変形例においては、各電池毎にそれぞれ充電回路を設けることにより、各電池毎に充電電流を最適化することができる。これにより、2次電池セルの長寿命化を図ることができる。
【0046】
図7は、充放電システム50の別の変形例の構成を示す。この充放電システム50において、充放電回路51は、放電回路510と、充電回路516、ダイオード517等によって構成されている。放電回路510及び充電回路516は、スイッチ回路53によって2次電池セル521,522,523,524,525に適宜接続される。ダイオード517は、放電回路510とDC配電ラインの間に介挿される。ダイオード517に替えてMOSFETで構成した理想ダイオードを用いてもよい。この充放電システム50においては、制御回路55によってスイッチ回路53,54を適宜制御する。これにより、幾つかの2次電池セルを順次交換しながら直列に接続して放電回路510及びダイオード517を介して放電するとともに、放電に使用されていない他の2次電池セルを順次交換しながら充電回路516を介して充電することができる。例えば、DC配電ライン電圧Vlineが48Vの場合、16Vの2次電池を4つ用いて運用する。すなわち、放電時は2次電池セル3個を直列に接続する。充電時は2次電池セル1つを充電する。そして、放電用の2次電池セルと放電用の2次電池セルとは、スイッチ回路53,54の動作によって順次交換していく。これにより2次電池セルが常に放電できる状態を維持しながら、2次電池セルの充電電流を最適化することができ、2次電池の長寿命化を図ることができる。
【0047】
図8乃至図12は、本実施形態のDC/DCコンバータ1を構成する双方向スイッチング素子4,5,6,7に適用可能な、横型の横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子100を示している。GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子は、ダイオード構造による損失がなく、FETに比べて低損失であり、かつ制御回路の一体化が図れるというメリットを有している。以下、GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子100の詳細について説明する。
【0048】
図8は双方向スイッチ素子100の構成を示す平面図であり、図9は範囲Aの拡大図、図10はB−B断面図である。なお、この双方向スイッチ素子100は、2つの電極D1及びD2間にゲートGが1つだけ設けられているのでシングルゲート型と呼ばれている。
【0049】
図10に示すように、双方向スイッチ素子100の基板101は、導体層101aと、導体層101aの上に積層されたGaN層2b及びAlGaN層101cで構成されている。この実施形態では、チャネル層としてAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している。図8に示すように、基板101の表面101dには、直流電源2及び負荷3に対してそれぞれ直列に接続された第1電極D1及び第2電極D2と、第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部Sが形成されている。さらに、中間電位部Sの上には、制御電極(ゲート)Gが積層形成されている。制御電極Gとして、例えばショットキ電極を用いる。第1電極D1及び第2電極D2は、それぞれ互いに平行に配列された複数の電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・を有する櫛歯状であり、櫛歯状に配列された電極部同士が互いに対向するように配置されている。中間電位部S及び制御電極Gは、櫛歯状に配列された電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・の間にそれぞれ配置されており、電極部の間に形成される空間の平面形状に相似した形状(略魚背骨状)を有している。
【0050】
次に、双方向スイッチ素子100を構成する横型のトランジスタ構造について説明する。図9に示すように、第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部121は、それらの幅方向における中心線が同一線上に位置するように配列されている。また、中間電位部S及び制御電極Gは、それぞれ第1電極D1の電極部111及び第2電極D2の電極部121の配列に対して平行に設けられている。上記幅方向における第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部121と中間電位部S及び制御電極Gの距離は、所定の耐電圧を維持しうる距離に設定されている。上記幅方向に直交する方向、すなわち第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部121の長手方向においても同様である。また、これらの関係は、その他の電極部112及び122,113及び123・・・についても同様である。すなわち、中間電位部S及び制御電極Gは、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。
【0051】
そのため、第1電極D1が高電位側、第2電極D2が低電位側である場合、双方向スイッチ素子100がオフのとき、少なくとも第1電極D1と、制御電極G及び中間電位部Sの間で、電流は確実に遮断される(制御電極(ゲート)Gの直下で電流が阻止される)。一方、双方向スイッチ素子100がオンのとき、すなわち制御電極Gに所定の閾値以上の電圧の信号が印加されたときは、図中矢印で示すように、第1電極D1(電極部111・・・)、中間電位部S、第2電極D2(電極部121・・・)の経路で電流が流れる。逆の場合も同様である。その結果、制御電極Gに印加する信号の閾値電圧を必要最低限のレベルまで低下させても、双方向スイッチ素子100を確実にオン/オフさせることができ、低オン抵抗を実現することができる。また、第1電極D1の電極部111,112,113・・・及び第2電極D2の電極部121,122,123・・・を櫛歯状に配列することができ、双方向スイッチ素子100のチップサイズを大きくすることなく、大電流を取り出すことができる。
【0052】
図11及び12は、GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する他の双方向スイッチ素子300の構成を示す。図11は双方向スイッチ素子300の構成を示す平面図であり、図12はC−C断面図である。なお、この双方向スイッチ素子300は、2つの電極D1及びD2間に2つのゲートG1及びG2が設けられているので、デュアルゲート型と呼ばれている。
【0053】
図11及び12に示すように、横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子300は、耐圧を維持する箇所を1箇所とした損失の少ない双方向素子を実現する構造である。すなわち、ドレイン電極D1及びD2はそれぞれGaN層に達するように形成され、ゲート電極G1及びG2はそれぞれAlGaN層の上に形成されている。ゲート電極G1,G2に電圧が印加されていない状態では、ゲート電極G1,G2の直下のAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層に電子の空白地帯が生じ、電流は流れない。一方、ゲート電極G1,G2に電圧が印加されると、ドレイン電極D1からD2に向かって(又はその逆に)AlGaN/GaNヘテロ界面に電流が流れる。ゲート電極G1とG2の間は、耐電圧を必要とし、一定の距離を設ける必要があるが、ドレイン電極D1とゲート電極G1の間及びドレイン電極D2とゲート電極G2の間は耐電圧を必要としない。そのため、ドレイン電極D1とゲート電極G1及びドレイン電極D2とゲート電極G2とが、絶縁層Inを介して重複していてもよい。なお、この構成の素子はドレイン電極D1,D2の電圧を基準として制御する必要があり、2つのゲート電極G1,G2にそれぞれ駆動信号を入力する必要がある(そのため、デュアルゲートトランジスタ構造と呼ぶ)。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも複数の2次電池セルを充放電する充放電回路と、複数の2次電池セルの接続状態を直列又は並列に変更するスイッチ回路を備えて構成されていればよい。
【符号の説明】
【0055】
50 充放電システム
51 充放電回路
53,54 スイッチ回路(接続切り替え手段)
55 制御回路
521,522,523,524,525 2次電池セル
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、太陽電池などをバックアップする2次電池の充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来の2次電池の充放電システムを示す。従来の充放電システムにおいては、2次電池の充放電に充電回路と放電回路が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-159655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の充放電システムにおいては、2次電池の充放電に際して、それぞれ充電回路と放電回路を用いており、大容量のコンバータが必要な為、システム全体のサイズの小型化を図ることが困難であった。また、コンバータを介して昇圧・降圧を行うため、充放電効率を上げることが難しく、損失が発生するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小型で低損失な充放電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の充放電システムは、複数の2次電池セルが接続された充放電システムであって、前記2次電池セルを充放電する充放電回路と、前記複数の2次電池セルの接続状態を直列又は並列に変更する接続切り替え手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明において、前記接続切り替え手段を制御する制御手段をさらに備え、前記制御手段は、前記充放電回路に印加されるDC配電ライン電圧と前記接続切り替え手段の両端電圧の大小関係に応じて、前記接続切り替え手段を制御することが好ましい。
【0008】
この発明において、前記制御手段は、前記2次電池セルの充電時においては、いずれかの2次電池セルを並列に接続し、前記接続切り替え手段の両端電圧を前記DC配電ライン電圧よりも低くすることが好ましい。
【0009】
この発明において、前記制御手段は、前記2次電池セルの放電時においては、いずれかの2次電池セルを直列に接続し、前記接続切り替え手段の両端電圧を前記DC配電ライン電圧よりも高くすることが好ましい。
【0010】
この発明において、前記充放電回路は、トランスの1次側に双方向スイッチング素子を有する双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路によって構成され、降圧動作によって充放電を行うことが好ましい。
【0011】
この発明において、前記充放電回路は、前記DC配電ラインから直接充放電を行う直接充放電経路と、前記双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路を介して充放電を行う充放電経路を有することが好ましい。
【0012】
この発明において、前記充放電回路は、双方向スイッチング素子を有する双方向電力変換回路によって構成され、降圧動作によって充放電を行うことが好ましい。
【0013】
この発明において、前記充放電回路は、各2次電池セルに対応する充電回路を有することが好ましい。
【0014】
この発明において、前記充放電回路は、いずれかの2次電池セルと直列に接続可能であり、放電方向にダイオードを介して前記DC配電ラインに直接接続される放電回路と、放電に使用していない2次電池セルを充電する充電回路を有することが好ましい。
【0015】
この発明において、前記双方向スイッチング素子は、GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチング素子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の充放電システムによれば、複数の2次電池の接続状態を直列又は並列に任意に変更することができ、充電時又は放電時のいずれの場合においても、充放電回路は降圧動作のみで2次電池を充放電できるようになる。これにより、システムの小型化及び高効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による充放電システムを備えた配電システムの構成を示すブロック図。
【図2】同配電システムに備えられたコントロールユニットの構成を示すブロック図。
【図3】同充放電システムの構成を示すブロック図。
【図4】同充放電システムの充放電回路の構成を示すブロック図。
【図5】同充放電システムの充放電回路の変形例を示す回路図。
【図6】同充放電システムの変形例を示す構成を示すブロック図。
【図7】同充放電システムの変形例を示す構成を示すブロック図。
【図8】双方向スイッチング素子(シングルゲート)の構成を示す平面図。
【図9】図8における範囲Aの拡大図。
【図10】図9におけるB−B断面図。
【図11】双方向スイッチ素子(デュアルゲート)の構成を示す平面図。
【図12】図11におけるC−C断面図。
【図13】従来の充放電システムを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態による2次電池の充放電システムについて図面を参照して説明する。図1は、太陽電池及び2次電池を備え、交流電力と直流電力を配電可能としたハイブリッド配点システムに、実施形態に係る充放電システムを応用した例を示す。図1に示すように、住宅には、宅内に設置された各種機器(照明機器、エアコン、家電、オーディオビジュアル機器等)に電力を供給する配電システム1が設けられている。配電システム1は、商用交流電源(AC電源)2を電力として各種機器を動作させる他に、太陽光により発電する太陽電池(DC電源)3の電力も各種機器に電源として供給する。太陽電池3は、例えば複数のセル4から構成されている。配電システム1は、直流電源(DC電源)を入力して動作するDC機器5の他に、交流電源(AC電源)を入力して動作するAC機器6にも電力を供給する。なお、太陽電池3が直流電源及び自立発電電池を構成し、DC機器5及びAC機器6が負荷を構成する。
【0019】
配電システム1には、同システム1の分電盤として電源制御ユニット7及びDC分電盤(直流ブレーカ内蔵)8が設けられている。電源制御ユニット7には、例えば、CPUなどで構成され、同ユニット7の動作を統括制御する制御部7aが設けられている。また、配電システム1には、住宅のDC機器5の動作を制御する機器として負荷制御ユニット9及びリレーユニット10が設けられている。
【0020】
電源制御ユニット7には、交流電源を分岐させるAC分電盤11が交流系電力線12を介して接続されている。電源制御ユニット7は、このAC分電盤11を介して商用交流電源2に接続されるとともに、直流系電力線13を介して太陽電池3に接続されている。電源制御ユニット7は、AC分電盤11から交流電力を取り込むとともに太陽電池3から直流電力を取り込み、これら電力を機器電源として所定の電圧の直流電力に変換する。そして、電源制御ユニット7は、この変換後の直流電力を、直流系電力線14を介してDC分電盤8に出力したり、又は直流系電力線15を介して蓄電池ユニット16に出力して同電力を蓄電したりする。電源制御ユニット7は、AC分電盤11から交流電力を取り込むのみならず、太陽電池3や蓄電池ユニット16の電力を交流電力に変換してAC分電盤11に供給することも可能である。電源制御ユニット7は、信号線17を介してDC分電盤8とデータのやり取りを実行する。
【0021】
DC分電盤8は、直流電力対応の一種のブレーカである。DC分電盤8は、電源制御ユニット7から入力した直流電力を分岐させ、その分岐後の直流電力を、直流系電力線18を介して負荷制御ユニット9に出力したり、直流系電力線19を介してリレーユニット10に出力したりする。また、DC分電盤8は、信号線20を介して負荷制御ユニット9とデータやり取りをしたり、信号線21を介してリレーユニット10とデータをやり取りしたりする。なお、DC分電盤8、負荷制御ユニット9及びリレーユニット10は、制御部(図示せず)を有している。
【0022】
負荷制御ユニット9には、複数のDC機器5,5…が接続されている。これらDC機器5は、直流電力及びデータの両方を1対の線によって搬送可能な直流供給線路22を介して負荷制御ユニット9と接続されている。直流供給線路22は、DC機器の電源となる直流電圧に、高周波の搬送波によりデータを電送する通信信号を重畳する、いわゆる電力線搬送通信により、1対の線で電力及びデータの両方をDC機器5に搬送する。負荷制御ユニット9は、直流系電力線18を介してDC機器5の直流電源情報を取得し、DC分電盤8から信号線20を介して得る動作指令を基に、どのDC機器5をどのように制御するのかを把握する。そして、負荷制御ユニット9は、指示されたDC機器5に直流供給線路22を介して直流電圧及び動作指令を出力し、DC機器5の動作を制御する。
【0023】
負荷制御ユニット9には、宅内のDC機器5の動作を切り換える際に操作するスイッチ23が直流供給線路22を介して接続されている。また、負荷制御ユニット9には、例えば赤外線リモートコントローラからの発信電波を検出するセンサ24が直流供給線路22を介して接続されている。よって、DC分電盤8からの動作指示のみならず、スイッチ23の操作やセンサ24の検知によっても、直流供給線路22に通信信号を流してDC機器5が制御される。
【0024】
リレーユニット10には、複数のDC機器5,5…がそれぞれ個別の直流系電力線25を介して接続されている。リレーユニット10は、直流系電力線19を介してDC機器5の直流電源を取得し、DC分電盤8から信号線21を介して得る動作指令を基に、どのDC機器5を動作させるのかを把握する。そして、リレーユニット10は、指示されたDC機器5に対し、内蔵のリレーにて直流系電力線25への電源供給をオンオフすることで、DC機器5の動作を制御する。また、リレーユニット10には、DC機器5を手動操作するための複数のスイッチ26が接続されており、スイッチ26の操作によって直流系電力線25への電源供給をリレーにてオンオフすることにより、DC機器5が制御される。
【0025】
DC分電盤8には、例えば壁コンセントや床コンセントの態様で住宅に建て付けられた直流コンセント27が直流系電力線28を介して接続されている。この直流コンセント27にDC機器のプラグ(図示略)を差し込めば、同機器に直流電力を直接供給することが可能である。
【0026】
また、商用交流電源2とAC分電盤11との間には、商用交流電源2の使用量を遠隔検針可能な電力メータ29が接続されている。電力メータ29には、商用電源使用量の遠隔検針の機能のみならず、例えば電力線搬送通信や無線通信の機能が搭載されている。電力メータ29は、電力線通信や無線通信等を介して検針結果を電力会社等に送信する。
【0027】
配電システム1には、宅内の各種機器をネットワーク通信によって制御可能とするネットワークシステム30が設けられている。ネットワークシステム30には、同システム30のコントロールユニットとして宅内サーバ31が設けられている。宅内サーバ31は、インターネットなどのネットワークNを介して宅外の管理サーバ32と接続されるとともに、信号線33を介して宅内機器34に接続されている。また、宅内サーバ31は、DC分電盤8から直流系電力線35を介して取得する直流電力を電源として動作する。
【0028】
宅内サーバ31には、ネットワーク通信による宅内の各種機器の動作制御を管理するコントロールボックス36が信号線37を介して接続されている。コントロールボックス36は、信号線17を介して電源制御ユニット7及びDC分電盤8に接続されるとともに、直流供給線路38を介してDC機器5を直接制御可能である。コントロールボックス36には、例えば使用したガス量や水道量を遠隔検針可能なガス/水道メータ39が接続されるとともに、ネットワークシステム30の操作パネル40に接続されている。操作パネル40には、例えばドアホン子器やセンサやカメラからなる監視機器41が接続されている。
【0029】
宅内サーバ31は、ネットワークNを介して宅内の各種機器の動作指令を入力すると、コントロールボックス36に指示を通知して、各種機器が動作指令に準じた動作をとるようにコントロールボックス36を動作させる。また、宅内サーバ31は、ガス/水道メータ39から取得した各種情報を、ネットワークNを通じて管理サーバ32に提供可能である。それとともに、監視機器41で異常検出があったことを操作パネル40から受け付けると、その旨もネットワークNを通じて管理サーバ32に提供する。
【0030】
図2は、配電システム1に備えられた電源制御ユニット7及び充放電システム50を示している。電源制御ユニット7は、双方向AC/DCコンバータ42と、最大出力点制御DC/DCコンバータ45を有する。双方向AC/DCコンバータ42は、直流電力から交流電力への変換と交流電力から直流電力への変換を行う。そのため、双方向AC/DCコンバータ42は、入力交流電圧を直流電圧に変換出力するAC/DCコンバータ43と、入力直流電圧を交流電圧に変換出力するDC/ACインバータ44とを備えている。AC/DCコンバータ43は、商用交流電源2から入力した交流電圧を直流電圧に変換してDC機器5や蓄電池ユニット16に出力する。また、DC/ACインバータ44は、太陽電池3や蓄電池ユニット16から入力した直流電圧を交流電圧に変換して商用交流電源2に逆潮する。充放電システム50は、電源制御ユニット7又は蓄電池ユニット16に設けられている。
【0031】
電源制御ユニット7には、太陽電池3の電力を最も電力効率の良い点(最大電力点)で出力させる最大出力点制御DC/DCコンバータ45が設けられている。最大出力点制御DC/DCコンバータ45は、太陽電池3に接続されるとともに、双方向AC/DCコンバータ42及びDC機器5に接続されている。なお、最大出力点制御DC/DCコンバータ45が出力電圧変換手段に相当する。
【0032】
最大出力点制御は、いわゆるMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御と呼ばれる電圧出力制御の一種である。ところで、太陽電池3には、電力を最も効率よく最大出力できる点、つまり最大電力点というものがあり、この点を満たす条件で発電しているとき、無駄のない電力出力が可能である。しかし、太陽電池3は、日射量や温度によりI−V特性が刻々と変化し、それに応じて最大電力点もその都度変化する。よって、最大出力点制御DC/DCコンバータ45は、太陽電池3の発電状態に応じて自動的に入力電圧を変化させることにより、太陽電池3の電圧、即ち最大電力点を追従させて、太陽電池3の電力を最も効率の良い電力で取り出している。最大出力点制御は、山登り法とも呼ばれ、太陽電池3の出力電圧を意図的に変動させて、変動前と後との値を比較し、現在の出力が最大か否かを確認することを繰り返し行う。
【0033】
最大出力点制御DC/DCコンバータ45は、太陽電池3を最大出力点で追従制御して得られた電力をDC配電ライン(Vline)に出力する。昼間において太陽電池3が太陽光発電する際、太陽電池3と蓄電池ユニット16との合成電力JがDC機器5に出力される。
【0034】
なお、合成電力Jが余った際には、DC/ACインバータ44を介して商用交流電源2に逆潮されて売電される。また、昼間において天候不順により太陽光発電ができない場合、商用交流電源2の電力がDC機器5やAC機器6の機器電源として使用される。
【0035】
夜間において、バックアップ電源として残しておく量よりも多い電力が蓄電池ユニット16に蓄電されている場合や、或いは停電時には、蓄電池ユニット16の電力が機器電源として使用される。このとき、太陽電池3は発電していないので、蓄電池ユニット16の出力電力がDC機器5に供給され、この電力によってDC機器5やAC機器6が動作される。
【0036】
夜間時は、太陽電池3が発電できないので、蓄電池16の放電が基本とされるが、蓄電池16の放電が不可となった場合は、商用交流電源2の電源が使用される。このとき、電源制御ユニット7は、商用交流電源2の交流電力をAC/DCコンバータ43で直流に変換し、その直流電力をDC機器5に供給する。
【0037】
図3は、充放電システム50の構成を示している。充放電システム50は、充放電回路51と2次電池部52と、マトリクス状に配列されたスイッチ回路(スイッチングマトリクス:接続切り替え手段)53,54と、制御回路55を有している。2次電池部52及びスイッチ回路53,54等により、蓄電池ユニット16が構成される。充放電回路51は、DC機器5の動作及び2次電池部52の両端電圧に応じて2次電池52を充放電する。2次電池部52は、複数の2次電池セル521,522,523,524,525によって構成され、蓄電池ユニット16の蓄電部として機能する。各2次電池セル521,522,523,524,525には、例えばリチウムイオン電池のセルが使用される。スイッチ回路53,54は、制御回路55から入力された制御信号に応じて開閉し、2次電池セル521,522,523,524,525の接続状態を変更する。制御回路55は、充放電回路51及びスイッチ回路53,54を制御する。
【0038】
スイッチ回路53は、接点531a,531b,531c,532a,532b,532c,533a,533b,533c,534a,534b,534c,535a,535b,535cを有する。スイッチ回路54は、接点541a,541b,541c,542a,542b,542c,543a,543b,543c,544a,544b,544c,545a,545b,545cを有する。スイッチ回路53の接点531a,532a,533a,534a,535aは、2次電池セル521,522,523,524,525の+極端子に接続されている。スイッチ回路54の接点541a,542a,543a,544a,545aは、2次電池セル521,522,523,524,525の−極端子に接続されている。
【0039】
スイッチ回路53の接点531b,532b,533b,534b,535bは、充放電回路51に接続されている。スイッチ回路54の接点541b,542b,543ba,544b,545bは、グランドに接続されている。従って、例えば、スイッチ回路53の接点531aと接点531b、接点532aと接点532bが接続され、スイッチ回路54の接点541aと接点541b、接点542aと接点542bが接続されると、2次電池セル521,522が並列に接続される。他の2次電池セルについても同様である。
【0040】
また、スイッチ回路53の接点532c,533c,534c,535c,531cは、スイッチ回路54の接点541c,542c,543c,544c,545cとそれぞれ接続されている。従って、例えば、スイッチ回路54の接点541aと接点541c、スイッチ回路53の接点532aと接点532cが接続されると、2次電池セル521,522が直列に接続される。他の2次電池セルについても同様である。このように、スイッチ回路53,54の接点を適宜接続することにより、2次電池セル521,522,523,524,525の接続状態を変更し、蓄電池ユニット16の両端電圧(接続切り替え手段の両端電圧)を変更できる。例えば、2次電池セル521と522及び2次電池セル523と524を直列に接続し、それらを並列に接続することも可能である。
【0041】
図4は、充放電回路51の構成を示す。充放電回路51は、1対の双方向スイッチング素子Q1,Q2をトランス500の1次側に、1対の双方向スイッチング素子Q3,Q4を2次側に有する双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路によって構成されている。充放電回路51は、DC配電ラインから直接充放電を行う直接充放電経路と、双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路を介して充放電を行う充放電経路を有する。双方向スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4は、例えば、制御回路55から入力された制御信号に応じて開閉する。双方向スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4を制御するための制御信号は、制御回路55に限られることなく、例えば充放電制御回路51の内部に設けられた制御回路から入力されるように構成されていてもよい。充電時においては、DC配電ライン電圧Vline>蓄電池ユニット16の両端電圧Vbatとなるように、制御回路55はスイッチ回路53,54の接続状態を適宜制御する。そして、1次側の双方向スイッチング素子Q1,Q2が交互にオン/オフ制御されることにより、トランス500が発振する。このとき、2次側の双方向スイッチング素子Q3を常にオン、双方向スイッチング素子Q4を常にオフにすることにより、蓄電池ユニット16を構成する2次電池の充電を行うことができる。
【0042】
一方、放電時においては、DC配電ライン電圧Vline<蓄電池ユニット16の両端電圧Vbatとなるように、制御回路55はスイッチ回路53,54の接続状態を適宜制御する。そして、2次側の双方向スイッチング素子Q3を常にオフ、双方向スイッチング素子Q4を常にオンにすることにより、蓄電池ユニット16を構成する2次電池の放電を行うことができる。
【0043】
このように、本充放電回路51を有する充放電システム50によれば、複数の2次電池の接続状態をスイッチ回路53,54によって直列又は並列に任意に変更することができる。従って、充電又は放電の動作に応じて、DCライン電圧Vlineと蓄電池ユニット16の両端電圧Vbatとの大小関係を任意に変更することが可能となる。より具体的には、充電時には、蓄電池ユニット16の両端電圧VbatがDCライン電圧Vlineよりも低くなるように、放電時には蓄電池ユニット16の両端電圧VbatがDCライン電圧Vlineより高くなるように、スイッチ回路53,54を制御する。これにより、充電時又は放電時のいずれの場合においても、充放電回路51は降圧動作のみで電池を充放電できるため、システムの小型化及び高効率化を図ることができる。また、双方向ハーフブリッジ型コンバータからの電力供給経路に加え、直接充放電経路を持つことから、コンバータの電力供給量を減らすことができる。従って、システムの小型化及び高効率化を図ることができる。
【0044】
図5は、充放電回路51の変形例の構成を示す。この充放電回路51は、双方向スイッチング素子Q1,Q2を有する双方向電力変換回路によって構成されている。双方向スイッチング素子Q1,Q2は、制御回路55又は充放電制御回路51などから入力された制御信号に応じて開閉する。この充放電回路51を有する充放電システム50においても、充電時には、蓄電池ユニット16の両端電圧VbatがDCライン電圧Vlineよりも低くなるように、スイッチ回路53,54を制御する。そして、双方向スイッチング素子Q1をオン/オフ制御(チョッパ制御)すると共に、双方向スイッチング素子Q2を常にオンさせる。また、放電時には蓄電池ユニット16の両端電圧VbatがDCライン電圧Vlineより高くなるように、スイッチ回路53,54を制御する。そして、双方向スイッチング素子Q1を常にオンさせると共に、双方向スイッチング素子Q2をオン/オフ制御(チョッパ制御)する。この充放電回路51を有する充放電システム50においても、充電時又は放電時のいずれの場合においても、充放電回路51は降圧動作のみで電池を充放電できるため、システムの小型化及び高効率化を図ることができる。
【0045】
図6は、充放電システム50の変形例の構成を示す。この充放電システム50において、充放電回路51は、複数の充電回路511,512,513,514,515と、放電回路510等によって構成されている。各充電回路511,512,513,514,515は、2次電池部52の2次電池セル521,522,523,524,525(図3参照)に対応する。この充放電システム50において、各2次電池セル521,522,523,524,525は、放電時にのみ直列に接続される。充電時には、各2次電池セル521,522,523,524,525は、充電回路511,512,513,514,515に接続される。2次電池セルの充電には、定電流充電が好ましいとされるところ、この変形例においては、各電池毎にそれぞれ充電回路を設けることにより、各電池毎に充電電流を最適化することができる。これにより、2次電池セルの長寿命化を図ることができる。
【0046】
図7は、充放電システム50の別の変形例の構成を示す。この充放電システム50において、充放電回路51は、放電回路510と、充電回路516、ダイオード517等によって構成されている。放電回路510及び充電回路516は、スイッチ回路53によって2次電池セル521,522,523,524,525に適宜接続される。ダイオード517は、放電回路510とDC配電ラインの間に介挿される。ダイオード517に替えてMOSFETで構成した理想ダイオードを用いてもよい。この充放電システム50においては、制御回路55によってスイッチ回路53,54を適宜制御する。これにより、幾つかの2次電池セルを順次交換しながら直列に接続して放電回路510及びダイオード517を介して放電するとともに、放電に使用されていない他の2次電池セルを順次交換しながら充電回路516を介して充電することができる。例えば、DC配電ライン電圧Vlineが48Vの場合、16Vの2次電池を4つ用いて運用する。すなわち、放電時は2次電池セル3個を直列に接続する。充電時は2次電池セル1つを充電する。そして、放電用の2次電池セルと放電用の2次電池セルとは、スイッチ回路53,54の動作によって順次交換していく。これにより2次電池セルが常に放電できる状態を維持しながら、2次電池セルの充電電流を最適化することができ、2次電池の長寿命化を図ることができる。
【0047】
図8乃至図12は、本実施形態のDC/DCコンバータ1を構成する双方向スイッチング素子4,5,6,7に適用可能な、横型の横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子100を示している。GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子は、ダイオード構造による損失がなく、FETに比べて低損失であり、かつ制御回路の一体化が図れるというメリットを有している。以下、GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子100の詳細について説明する。
【0048】
図8は双方向スイッチ素子100の構成を示す平面図であり、図9は範囲Aの拡大図、図10はB−B断面図である。なお、この双方向スイッチ素子100は、2つの電極D1及びD2間にゲートGが1つだけ設けられているのでシングルゲート型と呼ばれている。
【0049】
図10に示すように、双方向スイッチ素子100の基板101は、導体層101aと、導体層101aの上に積層されたGaN層2b及びAlGaN層101cで構成されている。この実施形態では、チャネル層としてAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している。図8に示すように、基板101の表面101dには、直流電源2及び負荷3に対してそれぞれ直列に接続された第1電極D1及び第2電極D2と、第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部Sが形成されている。さらに、中間電位部Sの上には、制御電極(ゲート)Gが積層形成されている。制御電極Gとして、例えばショットキ電極を用いる。第1電極D1及び第2電極D2は、それぞれ互いに平行に配列された複数の電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・を有する櫛歯状であり、櫛歯状に配列された電極部同士が互いに対向するように配置されている。中間電位部S及び制御電極Gは、櫛歯状に配列された電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・の間にそれぞれ配置されており、電極部の間に形成される空間の平面形状に相似した形状(略魚背骨状)を有している。
【0050】
次に、双方向スイッチ素子100を構成する横型のトランジスタ構造について説明する。図9に示すように、第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部121は、それらの幅方向における中心線が同一線上に位置するように配列されている。また、中間電位部S及び制御電極Gは、それぞれ第1電極D1の電極部111及び第2電極D2の電極部121の配列に対して平行に設けられている。上記幅方向における第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部121と中間電位部S及び制御電極Gの距離は、所定の耐電圧を維持しうる距離に設定されている。上記幅方向に直交する方向、すなわち第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部121の長手方向においても同様である。また、これらの関係は、その他の電極部112及び122,113及び123・・・についても同様である。すなわち、中間電位部S及び制御電極Gは、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。
【0051】
そのため、第1電極D1が高電位側、第2電極D2が低電位側である場合、双方向スイッチ素子100がオフのとき、少なくとも第1電極D1と、制御電極G及び中間電位部Sの間で、電流は確実に遮断される(制御電極(ゲート)Gの直下で電流が阻止される)。一方、双方向スイッチ素子100がオンのとき、すなわち制御電極Gに所定の閾値以上の電圧の信号が印加されたときは、図中矢印で示すように、第1電極D1(電極部111・・・)、中間電位部S、第2電極D2(電極部121・・・)の経路で電流が流れる。逆の場合も同様である。その結果、制御電極Gに印加する信号の閾値電圧を必要最低限のレベルまで低下させても、双方向スイッチ素子100を確実にオン/オフさせることができ、低オン抵抗を実現することができる。また、第1電極D1の電極部111,112,113・・・及び第2電極D2の電極部121,122,123・・・を櫛歯状に配列することができ、双方向スイッチ素子100のチップサイズを大きくすることなく、大電流を取り出すことができる。
【0052】
図11及び12は、GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する他の双方向スイッチ素子300の構成を示す。図11は双方向スイッチ素子300の構成を示す平面図であり、図12はC−C断面図である。なお、この双方向スイッチ素子300は、2つの電極D1及びD2間に2つのゲートG1及びG2が設けられているので、デュアルゲート型と呼ばれている。
【0053】
図11及び12に示すように、横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子300は、耐圧を維持する箇所を1箇所とした損失の少ない双方向素子を実現する構造である。すなわち、ドレイン電極D1及びD2はそれぞれGaN層に達するように形成され、ゲート電極G1及びG2はそれぞれAlGaN層の上に形成されている。ゲート電極G1,G2に電圧が印加されていない状態では、ゲート電極G1,G2の直下のAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層に電子の空白地帯が生じ、電流は流れない。一方、ゲート電極G1,G2に電圧が印加されると、ドレイン電極D1からD2に向かって(又はその逆に)AlGaN/GaNヘテロ界面に電流が流れる。ゲート電極G1とG2の間は、耐電圧を必要とし、一定の距離を設ける必要があるが、ドレイン電極D1とゲート電極G1の間及びドレイン電極D2とゲート電極G2の間は耐電圧を必要としない。そのため、ドレイン電極D1とゲート電極G1及びドレイン電極D2とゲート電極G2とが、絶縁層Inを介して重複していてもよい。なお、この構成の素子はドレイン電極D1,D2の電圧を基準として制御する必要があり、2つのゲート電極G1,G2にそれぞれ駆動信号を入力する必要がある(そのため、デュアルゲートトランジスタ構造と呼ぶ)。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも複数の2次電池セルを充放電する充放電回路と、複数の2次電池セルの接続状態を直列又は並列に変更するスイッチ回路を備えて構成されていればよい。
【符号の説明】
【0055】
50 充放電システム
51 充放電回路
53,54 スイッチ回路(接続切り替え手段)
55 制御回路
521,522,523,524,525 2次電池セル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の2次電池セルが接続された充放電システムであって、前記2次電池セルを充放電する充放電回路と、前記複数の2次電池セルの接続状態を直列又は並列に変更する接続切り替え手段を備えたことを特徴とする充放電システム。
【請求項2】
前記接続切り替え手段を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記充放電回路に印加されるDC配電ライン電圧と前記接続切り替え手段の両端電圧の大小関係に応じて、前記接続切り替え手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の充放電システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記2次電池セルの充電時においては、いずれかの2次電池セルを並列に接続し、前記接続切り替え手段の両端電圧を前記DC配電ライン電圧よりも低くすることを特徴とする請求項2に記載の充放電システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記2次電池セルの放電時においては、いずれかの2次電池セルを直列に接続し、前記接続切り替え手段の両端電圧を前記DC配電ライン電圧よりも高くすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の充放電システム。
【請求項5】
前記充放電回路は、トランスの1次側に双方向スイッチング素子を有する双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路によって構成され、降圧動作によって充放電を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項6】
前記充放電回路は、前記DC配電ラインから直接充放電を行う直接充放電経路と、前記双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路を介して充放電を行う充放電経路を有することを特徴とする請求項5に記載の充放電システム。
【請求項7】
前記充放電回路は、双方向スイッチング素子を有する双方向電力変換回路によって構成され、降圧動作によって充放電を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項8】
前記充放電回路は、各2次電池セルに対応する充電回路を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項9】
前記充放電回路は、いずれかの2次電池セルと直列に接続可能であり、放電方向にダイオードを介して前記DC配電ラインに直接接続される放電回路と、放電に使用していない2次電池セルを充電する充電回路を有することを特徴とする請求項8に記載の充放電システム。
【請求項10】
前記双方向スイッチング素子は、GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチング素子であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項1】
複数の2次電池セルが接続された充放電システムであって、前記2次電池セルを充放電する充放電回路と、前記複数の2次電池セルの接続状態を直列又は並列に変更する接続切り替え手段を備えたことを特徴とする充放電システム。
【請求項2】
前記接続切り替え手段を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記充放電回路に印加されるDC配電ライン電圧と前記接続切り替え手段の両端電圧の大小関係に応じて、前記接続切り替え手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の充放電システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記2次電池セルの充電時においては、いずれかの2次電池セルを並列に接続し、前記接続切り替え手段の両端電圧を前記DC配電ライン電圧よりも低くすることを特徴とする請求項2に記載の充放電システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記2次電池セルの放電時においては、いずれかの2次電池セルを直列に接続し、前記接続切り替え手段の両端電圧を前記DC配電ライン電圧よりも高くすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の充放電システム。
【請求項5】
前記充放電回路は、トランスの1次側に双方向スイッチング素子を有する双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路によって構成され、降圧動作によって充放電を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項6】
前記充放電回路は、前記DC配電ラインから直接充放電を行う直接充放電経路と、前記双方向ハーフブリッジ型コンバータ回路を介して充放電を行う充放電経路を有することを特徴とする請求項5に記載の充放電システム。
【請求項7】
前記充放電回路は、双方向スイッチング素子を有する双方向電力変換回路によって構成され、降圧動作によって充放電を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項8】
前記充放電回路は、各2次電池セルに対応する充電回路を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の充放電システム。
【請求項9】
前記充放電回路は、いずれかの2次電池セルと直列に接続可能であり、放電方向にダイオードを介して前記DC配電ラインに直接接続される放電回路と、放電に使用していない2次電池セルを充電する充電回路を有することを特徴とする請求項8に記載の充放電システム。
【請求項10】
前記双方向スイッチング素子は、GaN/AlGaNを用いた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチング素子であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の充放電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−70492(P2012−70492A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211243(P2010−211243)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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