説明

充電システム

【課題】ユーザによる店舗の利用を効果的に促進する充電システムを提供する。
【解決手段】充電システム1は、電動車両Eに備えられるバッテリに電力を供給して充電する充電電力供給部11と、充電システム1が備えられる店舗で販売される商品の管理を行う商品販売管理部17と、電動車両Eのユーザに請求する充電料金を算出する制御部15と、を備える。制御部15は、電動車両Eのユーザが店舗で購入した商品の金額に応じて、充電料金を算出する。特に制御部15は、ユーザが購入した商品の金額が高いほど、充電料金が安くなるように算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に備えられるバッテリを充電する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリの大容量化が進み、電動自動車や電動バイクなどの電動車両の駆動用などの用途でも使用されることが多くなってきている。このような電動車両のバッテリは、電動車両の使用者(以下、単に「ユーザ」と表現する)の各家庭で充電されたり、今後普及すると予想される充電用の電力を販売等する充電設備などで充電されたりする。
【0003】
電動車両が広く普及すれば、二酸化炭素の排出量を削減することができる。しかしながら、電動車両の普及には、上記のような家庭以外で充電することができる充電設備の普及が不可欠である。そのため、当該充電設備の普及の遅れが、電動車両の普及の妨げに成り得る。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、ユーザの個人情報や電動車両の駐車環境によって充電ポイントを発生させ、当該充電ポイントに応じてユーザが電動車両のバッテリを充電する充電システムが提案されている。
【0005】
また、例えば特許文献2では、電力会社から供給される電力だけでなく、太陽電池が生成する電力をも用いて充電を行い、充電料金が最も安くなる充電方法を自動的に選択して実行する充電システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−183135号公報
【特許文献2】特開2009−148121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で提案されている充電システムを備えた店舗では、充電ポイントをユーザに付与することで店舗の利用率が向上すると見込まれる。即ち、ユーザ及び店舗の双方に利益があると見込まれるため、このような充電システムは普及する可能性があるとも思われる。しかしながら、この充電システムでは、充電ポイントによって充電時間や充電可能な電力量が決定される。そのため、ユーザが必要とする電力量に対して充電ポイントの過不足が生じ得ることから、ユーザにとって不便となる場合が生じ得る。
【0008】
さらに、ユーザが充電ポイントを即時使用した場合、少なくとも充電ポイントの取得時から充電ポイントに応じた充電時間中は、店舗から移動できなくなる。即ち、店舗で付与された充電ポイントを、ユーザが即時使用することは困難である。そのため、ユーザは充電ポイントを後日に使用せざるを得なくなり、利益を得ていると実感しにくくなることから、店舗の利用率が十分に向上しないことが生じ得る。また、ユーザが充電ポイントを即時使用して、電動車両1台あたりの充電時間(即ち、駐車時間)が長くなると、店舗の利用率が低下する要因になる。
【0009】
このように、従来の充電システムでは、ユーザ及び店舗の双方に不利益があるため、十分に普及しない可能性がある。即ち、電動車両の普及、ひいては二酸化炭素の排出量の削減が図られない可能性がある。
【0010】
なお、特許文献2で提案される充電システムでは、太陽電池が生成する電力を利用することができるため、二酸化炭素の排出量の削減に対して一定の効果を得ることができる。しかしながら、充電システム及び電動車両の普及と比較すると、得られる効果は非常に小さいものとなる。
【0011】
そこで本発明は、ユーザによる店舗の利用を効果的に促進する充電システムを提供することを目的とする。また、当該充電システムの普及により電動車両の普及を促進することで、二酸化炭素の排出量の削減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明における充電システムは、電動車両に備えられるバッテリを充電する充電システムにおいて、前記バッテリに電力を供給して充電する充電電力供給部と、前記充電システムが備えられる店舗に対する前記電動車両の使用者の貢献度を記録する貢献度記録部と、前記貢献度記録部から取得した前記貢献度に応じて充電料金を算出する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
なお、以下の実施の形態では、貢献度記録部の一例として商品販売管理部を挙げて説明している。
【0014】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記貢献度記録部が、前記電動車両の使用者が前記店舗で購入した商品の金額を記録するものであり、前記制御部が、前記金額が高いほど充電料金を安くすることとしても構わない。
【0015】
このように構成すると、電動車両の使用者の購買意欲が刺激されるため、店舗の売上が向上することを見込むことができる。そのため、本発明の充電システムを、店舗に採用されやすいものとすることが可能となる。したがって、充電システムの普及を促進することが可能となる。
【0016】
また、上記構成の充電システムにおいて、供給される電力を充電し、放電により電力を供給する蓄電部と、前記蓄電部を含む複数の電力源から供給される電力を、選択的に前記充電電力供給部に供給する供給電力切替部と、をさらに備えることとしても構わない。
【0017】
このように構成すると、電動車両のバッテリの充電に用いる電力を、状況に応じて使い分けることが可能となる。また、供給可能な時間が限られている電力など供給条件が厳しい電力を蓄電部に充電することで、当該電力をいつでも容易に電動車両のバッテリの充電に適用することが可能となる。
【0018】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記蓄電部が、前記充電電力供給部以外に電力を供給しているとき、前記供給電力切替部が、前記蓄電部以外の電力源から供給される電力を前記充電電力供給部に供給することとしても構わない。
【0019】
このように構成すると、蓄電部による電力の供給が不安定になると予想される場合に、他の電力源から供給される電力を用いて電動車両のバッテリの充電を行うことが可能となる。そのため、電動車両のバッテリを、安定かつ迅速に充電することが可能となる。
【0020】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記蓄電部に充電されている電力量が所定の大きさよりも小さいとき、前記供給電力切替部が、前記蓄電部以外の電力源から供給される電力を前記充電電力供給部に供給することとしても構わない。
【0021】
このように構成すると、蓄電部による電力の供給が不安定になると予想される場合に、他の電力源から供給される電力を用いて電動車両のバッテリの充電を行うことが可能となる。そのため、電動車両のバッテリを、安定かつ迅速に充電することが可能となる。
【0022】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記供給電力切替部が、前記蓄電部以外の電力源から供給される電力を前記充電電力供給部に供給する場合、電力会社から購入する電力を前記充電電力供給部に供給することとしても構わない。
【0023】
このように構成すると、電動車両のバッテリを、さらに安定かつ迅速に充電することが可能となる。
【0024】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記蓄電部に、太陽光発電により生成される電力と、電力単価が安い時間帯に電力会社から購入する電力と、の少なくとも一方が充電されることとしても構わない。
【0025】
このように構成すると、電力料金が安く、二酸化炭素の排出量が少ない電力を蓄電部に充電することが可能となる。したがって、電動車両のバッテリを充電する際のコストや二酸化炭素の排出量を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構成とすると、電動車両の使用者の店舗に対する貢献度に応じて、充電料金が算出される。そのため、充電時間や充電する電力量を、ユーザが自由に決定することが可能となる。また、電動車両の使用者の店舗に対する貢献度は、充電料金に即時的に反映される。そのため、ユーザは利益を得ていると実感しやすくなり、店舗の利用率が向上することを見込むことができる。さらに、充電時間が長くなることが抑制されるため、店舗の利用率が低下することを抑制することが可能となる。
【0027】
また、本発明の充電システムは、上記のように電動車両の使用者による店舗の利用を効果的に促進するものであるため、普及を見込むことができる。そして、充電システムを普及させることで、電動車両の普及の促進、ひいては二酸化炭素の排出量の削減を図ることが可能となる。
【0028】
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の実施の形態の一つであって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】は、本発明の実施の一形態である充電システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】は、太陽光発電部で生成された電力で蓄電部を充電する場合の制御例を示すフローチャートである。
【図3】は、購入電力で蓄電部を充電する場合の制御例を示すフローチャートである。
【図4】は、電動車両のバッテリを充電する場合の制御例を示すフローチャートである。
【図5】は、充電料金の算出方法の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の一形態である充電システムについて、以下図面を参照して説明する。まず、本発明の実施の一形態である充電システムの全体的な構成及び動作の一例について、図面を参照して説明する。
【0031】
<全体構成及び全体動作>
図1は、本発明の実施の一形態である充電システムの構成例を示すブロック図である。なお、図中の各ブロックを接続する実線の矢印は電力のやり取りを示し、破線の矢印は情報のやり取りを示している。
【0032】
図1に示す充電システム1は、電動車両Eに備えられるバッテリに電力を供給して充電する充電電力供給部11と、充電電力供給部11にユーザの指示を入力する操作部12と、充電電力供給部11に供給する電力を切り替える供給電力切替部13と、供給される電力を充電したり放電により電力を供給したりする蓄電部14と、各部の動作を制御する制御部15と、制御部15の制御によりユーザに報知を行う報知部16と、充電システム1が備えられる店舗で販売される商品の管理を行い制御部15と通信する商品販売管理部17と、太陽光発電により電力を生成する太陽光発電部18と、を備える。
【0033】
充電電力供給部11は、プラグ11Pが供給電力切替部13のコンセント13Cに接続されることで、供給電力切替部13から供給される電力を取得可能となる。例えば、コンセント13Cは、充電システム1が備えられる店舗の駐車場などに配置され、供給電力切替部13はコンセント13C付近の店舗内に配置される。
【0034】
また、充電電力供給部11は、供給電力切替部13から供給される電力を、電動車両Eのバッテリの充電に適するものになるように変換して供給する。充電電力供給部11と電動車両Eのバッテリとは、例えばケーブルなどにより、ユーザの必要に応じて電気的に接続される。
【0035】
操作部12は、ユーザによって操作されることで、電動車両Eのバッテリの充電を開始する指示を充電電力供給部11に出力する。なお、操作部12が、充電を開始する指示だけでなく、充電を終了する指示を出力可能としても構わない。また、操作部12を、充電電力供給部11の付近に配置したり、充電電力供給部11と一体となるように構成したりしても構わない。
【0036】
充電電力供給部11は、操作部12から充電を開始する指示を受けると、電動車両Eのバッテリの充電を開始する。充電電力供給部11は、充電に関する情報を制御部15に出力する。例えば、充電の開始を示す情報や、充電の終了を示す情報、充電した電力量を示す情報、充電電力供給部11を識別する情報などである。なお、充電経過(例えば、電動車両Eのバッテリの充電率など)を示す情報などを出力しても構わない。また、充電電力供給部11が1つのみ備えられる場合、充電電力供給部11を識別する情報が出力されないようにしても構わない。
【0037】
供給電力切替部13には、電力会社から購入する購入電力、蓄電部14が放電する電力が供給される。供給電力切替部13は、供給される種々の電力を、充電電力供給部11に選択的に供給する。なお、供給電力切替部13の切替制御は、制御部15によって行われる(詳細は後述)。また、購入電力や蓄電部14が放電する電力だけでなく、太陽光発電部18で生成される電力が、供給電力切替部13を介して充電電力供給部11に供給される構成としても構わない。
【0038】
蓄電部14は、例えば大容量のバッテリで構成され、購入電力や太陽光発電部18で生成される電力が供給されることで充電される。また、蓄電部14は、放電により供給電力切替部13や負荷部Rに電力を供給する。なお、蓄電部14の充放電の制御は、制御部15によって行われる(詳細は後述)。
【0039】
太陽光発電部18は、太陽光発電により電力を生成し、蓄電部14や負荷部Rに供給したり、電力会社に販売(売電)したりする。なお、太陽光発電部18で生成される電力の供給先の制御は、制御部15によって行われる(詳細は後述)。
【0040】
報知部16は、例えば店舗内に備えられる画像表示装置で構成され、ユーザに対して電動車両Eのバッテリの充電が終了したことなどを報知する。また例えば、ユーザの携帯電話など、事前に登録された端末に情報を送信することで報知する送信装置で構成される。なお、報知部16は、充電経過をユーザに報知しても構わない。
【0041】
商品販売管理部17は、例えばPOS(point of sale system)で構成され、ユーザが購入した商品の情報(例えば、金額)を記録する。また、ユーザが購入した商品の情報を、制御部15の求めに応じて通知する。
【0042】
制御部15は、充電電力供給部11から充電の終了を示す情報を受け取り、報知部16を動作させてユーザに充電の終了を報知させる。また、制御部15は、商品販売管理部17からユーザが購入した商品の情報を取得して、ユーザに請求する充電料金を算出する(詳細は後述)。
【0043】
負荷部Rは、エアコンや冷蔵庫など、充電システム1が備えられる店舗で電力を消費するものである。負荷部Rは、購入電力や、蓄電部14が放電する電力、太陽光発電部18で生成される電力が供給されて動作する。
【0044】
なお、図1に示す充電システム1を、購入電力、蓄電部14及び太陽光発電部18のそれぞれから、負荷部Rに直接的に電力が供給される構成として説明したが、これらの電力を受けて配電する配電部を設けても構わない。さらに、図1に示す充電システム1を、購入電力及び太陽光発電部18のそれぞれから、蓄電部14に直接的に電力が供給される構成として説明したが、配電部が蓄電部14に電力を供給する構成としても構わない。また、供給電力切替部13及び配電部を、一体化させても構わない。
【0045】
<蓄電部の充電制御>
次に、蓄電部14の充電の制御例について、図面を参照して説明する。図2は、太陽光発電部で生成された電力で蓄電部を充電する場合の制御例を示すフローチャートである。また、図3は、購入電力で蓄電部を充電する場合の制御例を示すフローチャートである。
【0046】
図2に示すように、太陽光発電部18で生成された電力を蓄電部14に充電する場合、まず制御部15が、太陽光発電部18で余剰電力が発生しているか否かを確認する(STEP11)。余剰電力とは、例えば、太陽光発電部18で生成される電力から、負荷部Rで必要とされる電力を除いたものである。なお、負荷部Rで必要とされる電力とは、負荷部Rで必要とされる全ての電力であっても構わないし、太陽光発電部18が負荷部Rに供給するべきと割り当てられている電力であっても構わない。
【0047】
余剰電力が発生していない場合(STEP11、NO)、制御部15は余剰電力が発生するか否かの監視を継続する。これに対して、余剰電力が発生している場合(STEP11、YES)、制御部15は売電するように設定されているか否かを確認する(STEP12)。売電するように設定されている場合(STEP12、YES)、STEP11に戻り、制御部15が余剰電力発生の有無及び売電設定の監視を継続する。
【0048】
一方、売電するように設定されていない場合(STEP12、NO)、制御部15は余剰電力で蓄電部14を充電するように制御する(STEP13)。そして、制御部15が所定時間内に充電の終了を確認することで(STEP14、YES)、蓄電部14の充電を終了する。これに対して、制御部15が所定時間内に充電の終了を確認しなければ、STEP13に戻り充電を継続する。
【0049】
STEP14において充電が終了する場合とは、例えば、蓄電部14に充電されている電力量が所定の大きさ以上となった場合(十分に充電された場合)や、余剰電力が発生しなくなった場合、売電するように設定が変更された場合、充電システム1の管理者(以下、単に「管理者」と表現する)などが蓄電部14の充電の停止を指示した場合などである。なお、所定の理由(例えば、余剰電力が発生しなくなった、売電するように設定が変更された)で充電を終了する場合、STEP11に戻り、制御部15が余剰電力発生の有無及び売電設定の監視を行うこととしても構わない。
【0050】
また、図3に示すように、購入電力を蓄電部14に充電する場合、まず制御部15が、指定時間帯であるか否かを確認する(STEP21)。指定時間帯とは、例えば、管理者や所定のプログラムによって設定される蓄電部14の充放電計画の時間帯であり、購入電力で蓄電部14を充電するように指定されている時間帯である。特に、電力料金が安く、二酸化炭素の排出量が少ない電力を購入することができる時間帯(例えば、夜間)を指定時間帯とすると、好ましい。
【0051】
指定時間帯ではない場合(STEP21、NO)、制御部15は指定時間帯であるか否かの監視を継続する。これに対して、指定時間帯である場合(STEP21、YES)、制御部15は購入電力で蓄電部14を充電するように制御する(STEP22)。そして、制御部15が所定時間内に充電の終了を確認することで(STEP23、YES)、蓄電部14の充電を終了する。一方、制御部15が所定時間内に充電の終了を確認しなければ、STEP22に戻り充電を継続する。
【0052】
STEP23において充電が終了する場合とは、例えば、蓄電部14に充電されている電力量が所定の大きさ以上となった場合(十分に充電された場合)や、指定時間帯ではなくなった場合、管理者などが充電の停止を指示した場合などである。なお、所定の理由(例えば、指定時間帯ではなくなった)で充電を終了する場合、STEP21に戻り、制御部15が指定時間帯であるか否かの監視を行うこととしても構わない。
【0053】
なお、図2及び図3に示す制御を、蓄電部14に充電されている電力量が所定の大きさよりも小さくなった場合に行うこととしても構わない。
【0054】
<電動車両のバッテリの充電制御>
次に、電動車両Eのバッテリの充電の制御例について、図面を参照して説明する。図4は、電動車両のバッテリを充電する場合の制御例を示すフローチャートである。
【0055】
図4に示すように、電動車両Eのバッテリを充電する場合、まず制御部15が、充電電力供給部11から充電の開始を示す情報が入力されるか否かを確認する(STEP31)。制御部15は、充電電力供給部11から充電の開始を示す情報が入力されるまで、この確認を継続する(STEP31、NO)。
【0056】
制御部15が、充電電力供給部11から充電の開始を示す情報が入力されたことを確認すると(STEP31、YES)、蓄電部14に充電されている電力量が、電動車両Eのバッテリの充電に利用できる程度に十分残っているか否かを確認する(STEP32)。例えば、蓄電部14に充電されている電力量が、所定の大きさ以上であるか否かを確認する。また、制御部15は、蓄電部14が負荷部Rに電力を供給しているか否かを確認する(STEP33)。
【0057】
さらに、制御部15は、充電の開始を示す情報だけでなく、充電を開始する充電電力供給部11を識別する情報をも取得し、どの充電電力供給部11が充電を開始するのかを把握する。
【0058】
制御部15が、蓄電部14に充電されている電力量が十分残っており(STEP32、YES)、かつ、蓄電部14が負荷部Rに電力を供給していない(STEP33、NO)ことを確認すると、次に、供給電力切替部13の設定を確認する(STEP34)。制御部15は、蓄電部14から供給される電力を充電電力供給部11に供給するように供給電力切替部13が設定されていないことを確認する場合(STEP34、NO)、蓄電部14から供給される電力が充電電力供給部11に供給されるように、供給電力切替部11を切り替える(STEP35)。
【0059】
蓄電部14から供給される電力が充電電力供給部11に供給されるように供給電力切替部13が設定されていることを制御部15が確認する(STEP34、YES)、または、STEP35で制御部15が供給電力切替部11を切り替えることで、蓄電部14から供給される電力による電動車両Eのバッテリの充電が行われる(STEP36)。また、制御部15は、所定時間内に充電電力供給部11から充電が終了したことを示す情報が入力されるか否かを確認する(STEP37)。
【0060】
制御部15が、電動車両Eのバッテリの充電が所定時間内に終了したことを確認すると(STEP37、YES)、報知部16を制御して、例えば店舗内のユーザに充電が終了したことを報知し、終了する。これに対して、制御部15が、電動車両Eのバッテリの充電が所定時間内に終了したことを確認しない場合(STEP37、NO)、STEP32に戻り蓄電部14の状態を確認する。
【0061】
STEP37において充電が終了する場合とは、例えば、電動車両Eのバッテリに充電されている電力量が所定の大きさ以上となった場合(十分に充電された場合)や、ユーザが指定した電力量または充電時間に到達した場合、ユーザが充電の停止を指示した場合などである。
【0062】
ところで、蓄電部14に充電されている電力量が十分残っていないこと(STEP32、NO)、または、蓄電部14が負荷部Rに電力を供給していること(STEP33、YES)を制御部15が確認する場合、蓄電部14から供給される電力で電動車両Eのバッテリを充電すると、充電が不安定となる可能性がある。そこで、制御部15は、購入電力で電動車両Eのバッテリを充電するべく、制御を行う。
【0063】
まず、制御部15は、供給電力切替部13の設定を確認する(STEP39)。制御部15は、購入電力を充電電力供給部11に供給するように供給電力切替部13が設定されていないことを確認する場合(STEP39、NO)、購入電力が充電電力供給部11に供給されるように、供給電力切替部11を切り替える(STEP40)。
【0064】
購入電力が充電電力供給部11に供給されるように供給電力切替部13が設定されていることを制御部15が確認する(STEP39、YES)、または、STEP40で供給電力切替部11が切り替えられることで、購入電力による電動車両Eのバッテリの充電が行われる(STEP41)。また、制御部15は、所定時間内に充電電力供給部11から充電が終了したことを示す情報が入力されるか否かを確認する(STEP42)。
【0065】
制御部15が、電動車両Eのバッテリの充電が所定時間内に終了したことを確認すると(STEP42、YES)、報知部16を制御して、例えば店舗内のユーザに充電が終了したことを報知し、終了する。これに対して、制御部15が所定時間内に電動車両Eのバッテリの充電が終了したことを確認しない場合(STEP42、NO)、STEP41に戻り電動車両Eのバッテリの充電を継続する。
【0066】
以上のように構成すると、購入電力だけではなく、蓄電部14から供給される電力を用いて電動車両Eのバッテリを充電することが可能となる。そのため、例えば供給可能な時間が限られている電力など供給条件が厳しい電力を蓄電部14に充電することで、当該電力をいつでも容易に電動車両Eのバッテリの充電に適用することが可能となる。
【0067】
また、蓄電部14には、太陽光発電部18が生成する電力や、電力単価が安い時間帯(例えば、夜間の時間帯)の購入電力など、昼間の購入電力と比較して電力料金が安く、二酸化炭素の排出量が少ない電力を充電することができる。したがって、電動車両Eのバッテリを充電する際のコストや二酸化炭素の排出量を低減することが可能となる。
【0068】
また、供給電力切替部13を備えることで、状況に応じて充電用電力供給部11に供給する電力を切り替えることが可能となる。特に、蓄電部14の電力の供給が不安定になると予想される場合に、購入電力で電動車両Eのバッテリの充電を行うことが可能となる。これにより、上記のようにコストや二酸化炭素の排出量の低減を図るとともに、電動車両Eのバッテリを安定かつ迅速に充電することが可能となる。
【0069】
なお、図4のSTEP37またはSTEP42で、例えばユーザが操作部12を操作することで充電を終了させた場合、STEP38のユーザへの報知を行うことなく、終了しても構わない。また、図4のSTEP42で充電を終了しない場合、そのまま充電を継続することとしたが、STEP32に戻り蓄電部14の状態を確認しても構わない。
【0070】
また、供給電力切替部13が、複数の充電電力供給部11のそれぞれに供給する電力を、個別に切替可能としても構わない。さらに、図4のSTEP33において、制御部15が、蓄電部14が負荷部Rに電力を供給していることを確認するだけでなく、既に他の充電電力供給部11に電力を供給しているか否かを確認することとしても構わない。
【0071】
<充電料金の算出>
上述の例のようにして充電される電動車両Eのバッテリについて、充電料金の算出方法の一例を、図面を参照して説明する。図5は、充電料金の算出方法の一例を示す表である。
【0072】
図5に示す値等は一例に過ぎず、どのような値に基づいて充電料金を算出しても構わない。ただし、制御部15は、ユーザの店舗に対する貢献度に応じて充電料金を算出する。具体的に例えば、図5に示すように、ユーザが店舗で購入した商品の金額(例えば、総額)に応じて、充電料金(例えば、充電料金の電力単価)を変動させる。特に、商品の購入金額が高いほど、充電料金が安くなるようにする。なお、商品の購入金額が安いほど、充電料金が高くなるとも解釈され得る。
【0073】
制御部15は、商品販売管理部17と通信することで、ユーザが店舗に支払った金額(例えば、当日の支払い総額)を認識することができる。このとき、商品販売管理部17及び制御部15において、ユーザが識別されて処理される必要があるが、どのような方法でユーザが識別されても構わない。例えば、商品購入時にユーザが使用するICカードやクレジットカードなどの支払手段や身分証明書で、ユーザが識別されても構わない。また例えば、ユーザが使用している充電電力供給部11の識別番号(または、充電電力供給部11を介して制御部15及び商品販売管理部17に取得される電動車両Eの識別番号)をユーザが店員などに直接的に伝え、当該店員がレジなどを介して商品販売管理部17に入力することで、ユーザが識別されても構わない。
【0074】
制御部15は、充電電力供給部11から出力される充電の終了を示す情報や、充電した電力量を示す情報を確認することで、上述のように充電料金を算出する。また、制御部15は、充電料金の算出後にユーザが商品を購入した場合、充電料金を再度算出することもできる。また、制御部15は、ユーザが充電料金を精算しようとする際に、充電料金を算出することもできる。
【0075】
ユーザは、報知部16に報知されることで充電が終了したことを確認し、上述のようにして算出された充電料金を支払う。ユーザは、例えば商品の購入と同時に充電料金を支払うことも可能である。この場合、制御部15が、充電料金の支払と同時に購入された商品の金額をも考慮して充電料金を算出すると、好ましい。また例えば、自動支払機などを介して充電料金を支払うことも可能であるし、クレジットカードの引き落としなどを利用して自動的に支払うことも可能である。
【0076】
以上のように構成すると、ユーザの店舗に対する貢献度に応じて、充電料金が算出される。そのため、充電時間や充電する電力量を、ユーザが自由に決定することが可能となる。また、ユーザの店舗に対する貢献度は、充電料金に即時的に反映される。そのため、ユーザは利益を得ていると実感しやすくなり、店舗の利用率が向上することを見込むことができる。さらに、充電時間が長くなることが抑制されるため、店舗の利用率が低下することを抑制することが可能となる。
【0077】
また、充電システム1は、上記のようにユーザによる店舗の利用を効果的に促進するものであるため、普及を見込むことができる。そして、充電システム1を普及させることで、電動車両の普及の促進、ひいては二酸化炭素の排出量の削減を図ることが可能となる。
【0078】
特に、ユーザが店舗から購入する商品の金額が高くなるほど、制御部15が充電料金を安くする。これにより、ユーザの購買意欲が刺激されるため、店舗の売上が向上することを見込むことができる。そのため、充電システム1を、店舗で採用されやすいものとすることが可能となる。したがって、充電システム1の普及をさらに促進することが可能となる。
【0079】
なお、電動車両Eのバッテリの充電が終了してないときに、ユーザが充電料金の支払いを望む場合、店員や充電料金の支払機などの指示で制御部15が充電電力供給部11を制御して、充電を終了させても構わない。これにより、充電料金が確定するため、ユーザが充電料金を支払うことが可能となる。
【0080】
また、説明の具体化のため、ユーザが店舗で支払った商品の金額に応じて充電料金が算出される場合について例示したが、充電料金の算出方法はこの限りではない。例えば、サービスに対してユーザが支払った金額に応じて充電料金を算出しても構わないし、ユーザの無償の行動(例えば、アンケートの回答など)に応じて充電料金を算出しても構わない。また、これらの複合的なユーザの貢献度に応じて、充電料金が算出されることとしても構わない。
【0081】
<変形例>
本発明の実施形態における充電システム1について、制御部15や商品販売管理部17などの一部または全部の動作を、マイコンなどの制御装置が行うこととしても構わない。さらに、このような制御装置によって実現される機能の全部または一部をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能の全部または一部を実現するようにしても構わない。
【0082】
また、上述した場合に限らず、図1に示す充電システム1は、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現可能である。また、ソフトウェアを用いて充電システムの一部を構成する場合、ソフトウェアによって実現される部位についてのブロックは、その部位の機能ブロックを表すこととする。
【0083】
以上、本発明における実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、電動車両に備えられるバッテリを充電する充電システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 充電システム
11 充電電力供給部
11P プラグ
12 操作部
13 供給電力切替部
13C コンセント
14 蓄電部
15 制御部
16 報知部
17 商品販売管理部
18 太陽光発電部
E 電動車両
R 負荷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に備えられるバッテリを充電する充電システムにおいて、
前記バッテリに電力を供給して充電する充電電力供給部と、
前記充電システムが備えられる店舗に対する前記電動車両の使用者の貢献度を記録する貢献度記録部と、
前記貢献度記録部から取得した前記貢献度に応じて充電料金を算出する制御部と、
を備えることを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記貢献度記録部が、前記電動車両の使用者が前記店舗で購入した商品の金額を記録するものであり、
前記制御部が、前記金額が高いほど充電料金を安くすることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
供給される電力を充電し、放電により電力を供給する蓄電部と、
前記蓄電部を含む複数の電力源から供給される電力を、選択的に前記充電電力供給部に供給する供給電力切替部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記蓄電部が、前記充電電力供給部以外に電力を供給しているとき、
前記供給電力切替部が、前記蓄電部以外の電力源から供給される電力を前記充電電力供給部に供給することを特徴とする請求項3に記載の充電システム。
【請求項5】
前記蓄電部に充電されている電力量が所定の大きさよりも小さいとき、
前記供給電力切替部が、前記蓄電部以外の電力源から供給される電力を前記充電電力供給部に供給することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の充電システム。
【請求項6】
前記蓄電部に、太陽光発電により生成される電力と、電力単価が安い時間帯に電力会社から購入する電力と、の少なくとも一方が充電されることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−101752(P2013−101752A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53269(P2010−53269)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】