説明

充電器

【課題】 電力を効率良く利用可能であり、安全性が高く簡素な構成の充電器を提供する。
【解決手段】 充電器1は、電力供給線Dを介して供給される供給電力を用いて、蓄電池に充電する充電電力を生成する充電動作を行う。充電器1は、充電動作時に蓄電池と並列に接続される容量素子を備える。さらに充電器1は、蓄電池が充電器1と電気的に接続されない状態で、容量素子を放電して得られる容量電力を用いて、電力供給線Dに供給する回生電力を生成する回生動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の放電により得られる電力を用いて駆動する車両(以下、電動車両とする)等に備えられる蓄電池を充電する充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の削減や省エネルギー化を図るべく、電動車両が普及してきている。そのような中で、効率良く電力を利用するとともに安全性が高い充電器が、求められている。
【0003】
例えば、特許文献1では、高電圧バッテリの充電停止後に、回路内のコンデンサに充電されている電力を低電圧バッテリに充電し、低電圧バッテリに充電できなかった電力を抵抗等の素子を用いて消費する充電器が、提案されている。この充電器によれば、蓄電池を充電した後、回路に充電されている電力を回収することができるため、効率良く電力を利用することができる。また、当該回路に充電されている電力を消費することで、感電などを防止することができるため、安全性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−213500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の充電器では、低電圧バッテリに充電できなかった電力が、抵抗等の素子を用いて大量に消費される場合がある。このような場合、電力の利用効率が悪くなるともに、充電器内部の発熱など感電以外の危険も生じるため、問題となる。また、電力を消費するための素子を回路内に別途設ける必要があることから、回路構成が複雑化するため、問題となる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、電力を効率良く利用可能であり、安全性が高く簡素な構成の充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、電力供給線を介して供給される供給電力を用いて、蓄電池に充電する充電電力を生成する充電動作を行う充電器であって、
前記充電動作時に前記蓄電池と並列に接続される容量素子を備え、
前記蓄電池が前記充電器と電気的に接続されない状態で、前記容量素子を放電して得られる容量電力を用いて、前記電力供給線に供給する回生電力を生成する回生動作を行うことを特徴とする充電器を提供する。
【0008】
さらに、上記特徴の充電器は、前記充電動作時に、前記供給電力を用いて充電一次電力を生成し、前記回生動作時に、回生二次電力を用いて前記回生電力を生成する第1電力生成部と、
前記容量素子を備え、前記充電動作時に、充電二次電力を用いて前記充電電力を生成し、前記回生動作時に、前記容量電力を用いて回生一次電力を生成する第2電力生成部と、
前記充電動作時に、前記充電一次電力を用いて前記充電二次電力を生成し、前記回生動作時に、前記回生一次電力を用いて前記回生二次電力を生成する電力変換部と、
を備えると、好ましい。
【0009】
さらに、上記特徴の充電器は、前記供給電力、前記充電電力、前記容量電力及び前記回生電力のそれぞれが直流電力であり、
前記充電一次電力、前記充電二次電力、前記回生一次電力及び前記回生二次電力のそれぞれが交流電力であり、
前記第1電力生成部が、前記供給電力をスイッチングして前記充電一次電力を生成するとともに、前記回生二次電力を整流して前記回生電力を生成するものであり、
前記第2電力生成部が、前記充電二次電力を整流後に前記容量素子で平滑化することにより前記充電電力を生成するとともに、前記容量電力をスイッチングして前記回生一次電力を生成するものであり、
前記電力変換部が、前記充電一次電力を変圧して前記充電二次電力を生成するとともに、前記回生一次電力を変圧して前記回生二次電力を生成するものであると、好ましい。
【0010】
さらに、上記特徴の充電器は、前記充電電力及び前記容量電力のそれぞれが直流電力であり、
前記供給電力、前記充電一次電力、前記充電二次電力、前記回生一次電力、前記回生二次電力及び前記回生電力のそれぞれが交流電力であり、
前記第1電力生成部が、前記供給電力を整流後にスイッチングして前記充電一次電力を生成するとともに、前記回生二次電力を整流後にスイッチングして前記回生電力を生成するものであり、
前記第2電力生成部が、前記充電二次電力を整流後に前記容量素子で平滑化することにより前記充電電力を生成するとともに、前記容量電力をスイッチングして前記回生一次電力を生成するものであり、
前記電力変換部が、前記充電一次電力を変圧して前記充電二次電力を生成するとともに、前記回生一次電力を変圧して前記回生二次電力を生成するものであると、好ましい。
【0011】
さらに、上記特徴の充電器は、前記電力供給線の電圧の大きさを検出する検出部をさらに備え、
前記検出部で検出される電圧が所定の大きさ以下になるように、前記回生動作を行うと、好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記特徴の充電器では、電力供給線から供給される供給電力を用いて充電電力を生成するとともに、当該充電電力を生成する際に容量素子に充電された容量電力を用いて、電力供給線に供給する回生電力を生成する。そのため、容量素子に充電された容量電力が無用に消費されることを抑制するとともに、当該容量電力の消費に伴う充電器内部の発熱や、感電等の危険を防止し、かつ当該容量電力を消費するための素子を別途設ける必要を無くすことができる。したがって、電力を効率良く利用可能であり、安全性が高く簡素な構成の充電器を、実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る充電器の利用態様の一例を示すブロック図
【図2】本発明の第1実施形態に係る充電器の構成の一例を示すブロック図
【図3】図2に示す充電器が備える電力生成部の構成の一例を示す回路図
【図4】本発明の第1実施形態に係る充電器の動作の一例を示すフローチャート
【図5】図2に示す充電器が充電動作を行う場合における図3に示す電力生成部の動作の一例を示すタイミングチャート
【図6】図2に示す充電器が回生動作を行う場合における図3に示す電力生成部の動作の一例を示すタイミングチャート
【図7】本発明の第2実施形態に係る充電器の利用態様の一例を示すブロック図
【図8】本発明の第2実施形態に係る充電器の構成の一例を示すブロック図
【図9】図8に示す充電器が備える電力生成部の構成の一例を示す回路図
【図10】図8に示す充電器が充電動作を行う場合における図9に示す電力生成部の動作の一例を示すタイミングチャート
【図11】図8に示す充電器が回生動作を行う場合における図9に示す電力生成部の動作の一例を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る充電器について、図面を参照して説明する。なお、以下では説明の具体化のため、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る充電器のそれぞれが、電動車両に備えられる蓄電池を充電するものである場合について例示するが、本発明はこれ以外の充電器にも適用可能である。
【0015】
<第1実施形態>
最初に、本発明の第1実施形態に係る充電器の利用態様の一例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る充電器の利用態様の一例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、例えば電力系統30から供給される交流電力(系統電力)をAC/DCコンバータ31により変換して得られる直流電力や、定置蓄電池40の放電により得られる直流電力をDC/DCコンバータ41により変換して得られる直流電力や、太陽光発電部(ソーラーパネル)50の発電により得られる直流電力をDC/DCコンバータ51により変換して得られる直流電力が供給される直流電力供給線Dが、本実施形態に係る充電器1に接続されている。
【0017】
充電器1は、直流電力供給線Dから供給される直流電力を用いて、電動車両に備えられる蓄電池(図1では不図示)を充電する充電電力を生成する。充電器1は、充電電力を生成する際に蓄電池と並列に接続される容量素子(図1では不図示)を有する。そのため、充電器1が充電電力を生成すると、この容量素子が充電される。
【0018】
そこで、本実施形態に係る充電器1は、この容量素子を放電して得られる容量電力を用いて、直流電力供給線Dに供給する直流の回生電力を生成する。なお、充電器1による、充電電力の具体的な生成動作(以下、充電動作とする)及び回生電力の具体的な生成動作(以下、回生動作とする)の詳細については、後述する。
【0019】
そして、例えば家庭の電気機器等である負荷60は、直流電力供給線Dを介して供給される直流電力を消費する。負荷60が消費する直流電力の中には、充電器1が供給する回生電力が含まれ得る。なお、負荷60の他に、充電器1を構成する一部の機器(例えば、後述する電力生成動作制御部や一般動作制御部などの制御を行う機器や、ファンなどの温度調整を行う機器等)や、直流電力供給線Dを介さずに充電器1に直接的に接続する機器等が、充電器1が生成する回生電力を消費しても良い。
【0020】
以上のように、本実施形態に係る充電器1は、充電動作によって容量素子に充電された容量電力が無用に消費されることを抑制するとともに、当該容量電力の消費に伴う充電器1内部の発熱や、感電等の危険を防止し、かつ当該容量電力の消費を行うための素子を別途設ける必要を無くすことができる。したがって、電力を効率良く利用可能であり、安全性が高く簡素な構成の充電器1を、実現することができる。
【0021】
なお、DC/DCコンバータ41,51の少なくとも一方を設けず、発電や放電により得られた直流電力が、直流電力供給線Dに対して直接的に供給される構成としても良い。また、DC/DCコンバータ41,51を、共通化しても良い。また、電力系統30及びAC/DCコンバータ31、定置蓄電池40及びDC/DCコンバータ41、太陽光発電部50及びDC/DCコンバータ51の、少なくとも1組を備えない構成としても良い。ただし、直流電力供給線Dに直流電力を供給する装置が、少なくとも1つ(1組)存在するものとする。
【0022】
次に、本発明の第1実施形態に係る充電器の構成の一例について、図面を参照して説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る充電器の構成の一例を示すブロック図である。図3は、図2に示す充電器が備える電力生成部の構成の一例を示す回路図である。なお、図2では、図1において1本の線で簡略的に示していた直流電力供給線Dを、2本の線(Daが高電圧側、Dbが低電圧側)で示している。
【0023】
図2に示すように、充電器1は、充電電力及び回生電力を生成する電力生成部10と、電力生成部10の動作を制御する電力生成動作制御部11と、電力生成部10が充電電力を供給する充電線12a,12b(12aが高電圧側、12bが低電圧側)と、充電線12a,12bに印加される電圧の大きさを検出して電力生成動作制御部11に通知する充電側検出部13と、電動車両EVに備えられる蓄電池EVBと電気的に接続し得るとともに電動車両EVと物理的に接続し得る充電コネクタ14と、直流電力供給線Da,Dbから供給される供給電力を電力生成部10に供給するとともに電力生成部10が生成する回生電力が供給される電力供給線15a,15b(15aが高電圧側、15bが低電圧側)と、電力供給線15a,15bに印加される電圧の大きさを検出して電力生成動作制御部11に通知する回生側検出部16と、充電線12a,12bと充電コネクタ14とを電気的に接続するか否かを切替制御するコンダクタ部17と、ユーザ(具体的に例えば、電動車両EVの使用者、以下同じ)に操作されることで当該ユーザの指示が入力される操作部18と、操作部18に入力されるユーザの指示に応じて電力生成動作制御部11と充電コネクタ14とコンダクタ部17との動作を制御する一般動作制御部19と、を備える。なお、本実施形態に係る充電器1における電力供給線15a,15bは、直流電力供給線Da,Dbの一部としても解釈され得る。
【0024】
また、図3に示すように、電力生成部10は、1つのコンデンサC1とブリッジ回路を構成する4つのトランジスタT1〜T4とを備える第1電力生成部10Aと、1つのコンデンサC2(上述の容量素子に相当)とブリッジ回路を構成する4つのトランジスタT5〜T8とを備える第2電力生成部10Bと、トランスを構成する2つのコイルL1,L2を備え第1電力生成部10Aが生成する電力を変換して第2電力生成部10Bに供給するとともに第2電力生成部10Bが生成する電力を変換して第1電力生成部10Aに供給する電力変換部10Cと、を備える。なお、以下では説明の具体化のため、トランジスタT1〜T8が、NチャネルのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である場合について例示する。
【0025】
コンデンサC1は、一端が電力供給線15aに接続され、他端が電力供給線15bに接続される。トランジスタT1は、ドレインが電力供給線15aに接続される。トランジスタT2は、ドレインがトランジスタT1のドレイン及び電力供給線15aの接続ノードに接続される。トランジスタT3は、ドレインがトランジスタT2のソースに接続され、ソースが電力供給線15bに接続される。トランジスタT4は、ドレインがトランジスタT1のソースに接続され、ソースがトランジスタT3のソース及び電力供給線15bの接続ノードに接続される。また、トランジスタT1〜T4のゲートに印加されるゲート電圧は、電力生成動作制御部11によって制御される。
【0026】
コンデンサC2は、一端が充電線12aに接続され、他端が充電線12bに接続される。トランジスタT5は、ドレインが充電線12aに接続される。トランジスタT6は、ドレインがトランジスタT5のドレイン及び充電線12aの接続ノードに接続される。トランジスタT7は、ドレインがトランジスタT6のソースに接続され、ソースが充電線12bに接続される。トランジスタT8は、ドレインがトランジスタT5のソースに接続され、ソースがトランジスタT7のソース及び充電線12bの接続ノードに接続される。また、トランジスタT5〜T8のゲートに印加されるゲート電圧は、電力生成動作制御部11によって制御される。
【0027】
コイルL1は、一端L1aがトランジスタT2のソース及びトランジスタT3のドレインの接続ノードに接続され、他端L1bがトランジスタT1のソース及びトランジスタT4のドレインの接続ノードに接続される。コイルL2は、一端L2aがトランジスタT6のソース及びトランジスタT7のドレインの接続ノードに接続され、他端L2bがトランジスタT5のソース及びトランジスタT8のドレインの接続ノードに接続される。また、コイルL1,L2は、一端L1a,L2a及び他端L1b,L2bのそれぞれが同じ側になるように、対向して配置される。
【0028】
次に、本実施形態に係る充電器1が電動車両EVに備えられる蓄電池EVBを充電する一連の動作の一例について、図面を参照して説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る充電器の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、図2に示す充電器が充電動作を行う場合における図3に示す電力生成部の動作の一例を示すタイミングチャートである。図6は、図2に示す充電器が回生動作を行う場合における図3に示す電力生成部の動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図5及び図6に示すゲート電圧のHは、トランジスタT1〜T8をON(ドレイン及びソース間が導通状態、以下同じ)にする電圧を示し、ゲート電圧のLは、トランジスタT1〜T8をOFF(ドレイン及びソース間が非導通状態、以下同じ)にする電圧を示す。
【0029】
図4に示す一連の動作が行われる前に、ユーザは、電動車両EVに充電コネクタ14を物理的に接続する。これにより、充電コネクタ14と蓄電池EVBとが電気的に接続され、充電器1が蓄電池EVBを充電可能な状態になる。そして、図4に示すように、ユーザが、操作部18を操作して、充電器1に対して充電を行う旨の指示を入力するまで、待機する(ステップ#1、NO)。
【0030】
ユーザが、操作部18を操作して、充電器1に対して充電を行う旨の指示を入力し(ステップ#1、YES)、当該指示を一般動作制御部19が確認すると、一般動作制御部19は、コンダクタ部17を制御して充電線12a,12b及び充電コネクタ14を電気的に接続する(ステップ#2)。
【0031】
このとき、一般動作制御部19は、充電コネクタ14を制御して、充電コネクタ14及び電動車両EVの物理的な接続状態が解除されない状態(具体的に例えば、電動車両EVに挿入されている充電コネクタ14を、ユーザが引き抜くことができない状態。以下、ロック状態とする。)を実現する。これにより、充電動作中における充電コネクタ14を介した感電を、防止することが可能になる。なお、充電コネクタ14がロック状態を実現するための構成は、どのようなものであっても良い。
【0032】
次に、一般動作制御部19は、充電動作を開始する旨の指示を電力生成動作制御部11に入力する。これにより、電力生成動作制御部11が、電力生成部10の充電動作の制御を開始する(ステップ#3)。
【0033】
電力生成部11の充電動作について、図3及び図5を参照して説明する。図5に示すように、電力生成部11の充電動作では、トランジスタT1,T3のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。また、トランジスタT2,T4のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。特に、トランジスタT1,T3のゲートにHのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT2,T4のゲートにはLのゲート電圧が印加される(以下、充電第1状態とする)。一方、トランジスタT1,T3のゲートにLのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT2,T4のゲートにはHのゲート電圧が印加される(以下、充電第2状態とする)。また、充電第1状態及び充電第2状態の双方において、トランジスタT5〜T8のそれぞれのゲートには、Lのゲート電圧が印加される。
【0034】
電力生成動作制御部11は、充電第1状態及び充電第2状態が交互に繰り返されるように、トランジスタT1〜T8のゲートに印加されるゲート電圧を制御する。これにより、以下説明するように、電力生成部10が、電力供給線15a,15bを介して供給される供給電力を用いて、充電電力を生成する。
【0035】
充電第1状態では、トランジスタT1,T3のそれぞれがONになる。一方、トランジスタT2,T4のボディダイオード(寄生ダイオード)は逆バイアスになるため、略OFFとなる。その結果、コイルL1の他端L1bから一端L1aに向かって、電流が流れる。すると、対向するコイルL2の一端L2aから他端L2bに向かって、電流が流れる。このとき、トランジスタT5,T7のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。一方、トランジスタT6,T8のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。さらにこのとき、コンデンサC2は、充電線12a,12bに供給する電力を平滑化する。
【0036】
充電第2状態では、トランジスタT2,T4のそれぞれがONになる。一方、トランジスタT1,T3のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。その結果、コイルL1の一端L1aから他端L1bに向かって、電流が流れる。すると、対向するコイルL2の他端L2bから一端L2aに向かって、電流が流れる。このとき、トランジスタT6,T8のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。一方、トランジスタT5,T7のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。さらにこのとき、コンデンサC2は、充電線12a,12bに供給する電力を平滑化する。
【0037】
上記の充電第1状態及び充電第2状態を交互に繰り返すと、第1電力生成部10Aが直流の供給電力をスイッチングすることになり、コイルL1に交流の電力(以下、充電一次電力とする)が発生する。また、電力変換部10Cは、コイルL2に、充電一次電力を変圧して得られる交流の電力(以下、充電二次電力とする)を発生させる。さらに、第2電力生成部10Bは、充電二次電力を(全波)整流及び平滑化することで、直流の充電電力を生成する。ただし、この平滑化により、コンデンサC2が充電される。
【0038】
なお、説明の簡略化のため、図5に示すタイミングチャートでは、充電第1状態及び充電第2状態のそれぞれの時間が変動しないように図示しているが、これらは充電動作中に変動し得る。例えば、電力生成動作制御部11は、充電側検出部13が検出する充電電力の電圧の大きさを確認して、電力生成部10が生成する充電電力の電圧が目標とする電圧に近づくように、充電第1状態及び充電第2状態の時間を制御する。
【0039】
電力生成動作制御部11は、充電動作終了条件が達成されるまで、上述の充電動作を継続する(ステップ#4、NO)。充電動作終了条件が達成されるとは、具体的に例えば、電動車両EVに備えられる蓄電池EVBが満充電に十分近づいたこと(例えば、蓄電池EVBの電圧が所定の大きさよりも大きくなったり、蓄電池EVBに充電する電流が所定の大きさよりも小さくなったりすること)や、ユーザが操作部18を操作して充電動作を終了する旨の指示を入力したことなどを、一般動作制御部19が確認することである。
【0040】
充電動作終了条件が達成されると(ステップ#4、YES)、一般動作制御部19は、充電動作を終了する旨の指示を電力生成動作制御部11に入力する。これにより、電力生成動作制御部11が、電力生成部10の充電動作の制御を終了する(ステップ#5)。また、一般動作制御部19は、コンダクタ部17を制御して、充電線12a,12b及び充電コネクタ14の電気的な接続を解除する(ステップ#6)。
【0041】
次に、一般動作制御部19は、回生動作を開始する旨の指示を電力生成動作制御部11に入力する。これにより、電力生成動作制御部11が、電力生成部10の回生動作の制御を開始する(ステップ#7)。
【0042】
電力生成部11の回生動作について、図3及び図6を参照して説明する。図6に示すように、電力生成部11の回生動作では、トランジスタT5,T7のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。また、トランジスタT6,T8のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。特に、トランジスタT5,T7のゲートにHのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT6,T8のゲートにはLのゲート電圧が印加される(以下、回生第1状態とする)。一方、トランジスタT5,T7のゲートにLのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT6,T8のゲートにはHのゲート電圧が印加される(以下、回生第2状態とする)。また、回生第1状態及び回生第2状態の双方において、トランジスタT1〜T4のそれぞれのゲートには、Lのゲート電圧が印加される。
【0043】
電力生成動作制御部11は、回生第1状態及び回生第2状態が交互に繰り返されるように、トランジスタT1〜T8のゲートに印加されるゲート電圧を制御する。これにより、以下説明するように、電力生成部10が、コンデンサC2を放電して得られる容量電力を用いて、回生電力を生成する。
【0044】
回生第1状態では、トランジスタT5,T7のそれぞれがONになる。一方、トランジスタT6,T8のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。その結果、コイルL2の他端L2bから一端L2aに向かって、電流が流れる。すると、対向するコイルL1の一端L1aから他端L1bに向かって、電流が流れる。このとき、トランジスタT1,T3のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。一方、トランジスタT6,T8のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。さらにこのとき、コンデンサC1は、電力供給線15a,15bに供給する電力を平滑化する。
【0045】
回生第2状態では、トランジスタT6,T8のそれぞれがONになる。一方、トランジスタT5,T7のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。その結果、コイルL2の一端L2aから他端L2bに向かって、電流が流れる。すると、対向するコイルL1の他端L1bから一端L1aに向かって、電流が流れる。このとき、トランジスタT2,T4のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。一方、トランジスタT1,T3のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。さらにこのとき、コンデンサC1は、電力供給線15a,15bに供給する電力を平滑化する。
【0046】
上記の回生第1状態及び回生第2状態を交互に繰り返すと、第2電力生成部10Bが直流の容量電力をスイッチングすることになり、コイルL2に交流の電力(以下、回生一次電力とする)が発生する。また、電力変換部10Cは、コイルL1に、回生一次電力を変圧して得られる交流の電力(以下、回生二次電力とする)を発生させる。さらに、第1電力生成部10Aは、回生二次電力を(全波)整流及び平滑化することで、直流の充電電力を生成する。
【0047】
なお、説明の簡略化のため、図6に示すタイミングチャートでは、回生第1状態及び回生第2状態のそれぞれの時間が変動しないように図示しているが、これらは回生動作中に変動し得る。例えば、電力生成動作制御部11は、回生側検出部16が検出する回生電力の電圧の大きさを確認して、電力供給線15a,15bに印加される電圧が所定の大きさ(例えば、電力供給線15a,15bの定格電圧)以下になるように、回生第1状態及び回生第2状態の時間を制御する。これにより、電力供給線15a,15bに印加される電圧が過度に大きくなることが抑制されるため、充電器1の安全性を高くすることができる。
【0048】
電力生成動作制御部11は、回生動作終了条件が達成されるまで、上述の回生動作を継続する(ステップ#8、NO)。回生動作終了条件が達成されるとは、具体的に例えば、コンデンサC2が十分に放電したこと(例えば、コンデンサC2が放電する電圧が所定の大きさよりも小さくなったこと)などを、一般動作制御部19が確認することである。
【0049】
回生動作終了条件が達成されると(ステップ#8、YES)、一般動作制御部19は、回生動作を終了する旨の指示を電力生成動作制御部11に入力する。これにより、電力生成動作制御部11が、電力生成部10の回生動作の制御を終了する(ステップ#9)。
【0050】
さらにこの後、一般動作制御部19が、充電コネクタ14を制御して充電コネクタ14及び電動車両EVのロック状態を解除することで、本実施形態に係る充電器1が電動車両EVに備えられる蓄電池EVBを充電する一連の動作が終了する。なお、充電コネクタ14及び電動車両EVのロック状態の解除は、ステップ#6の後に行っても良いが、ステップ#9の後に行うことで、回生動作中における充電コネクタ14を介した感電を、より確実に防止することが可能になる。
【0051】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る充電器の利用態様の一例について、図面を参照して説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る充電器の利用態様の一例を示すブロック図である。
【0052】
図7に示すように、例えば電力系統130から供給される交流電力(系統電力)や、定置蓄電池140の放電により得られる直流電力をDC/ACコンバータ141により変換して得られる交流電力や、太陽光発電部(ソーラーパネル)150の発電により得られる直流電力をDC/ACコンバータ151により変換して得られる交流電力が供給される交流電力供給線Aが、本実施形態に係る充電器101に接続されている。
【0053】
充電器101は、交流電力供給線Aから供給される交流電力を用いて、電動車両に備えられる蓄電池(図1では不図示)を充電する充電電力を生成する。充電器101は、充電電力を生成する際に蓄電池と並列に接続される容量素子(図7では不図示)を有する。そのため、充電器101が充電電力を生成すると、この容量素子が充電される。
【0054】
そこで、本実施形態に係る充電器101は、この容量素子を放電して得られる容量電力を用いて、交流電力供給線Aに供給する交流の回生電力を生成する。なお、充電器101による、充電電力の具体的な生成動作(充電動作)及び回生電力の具体的な生成動作(回生動作)の詳細については、後述する。
【0055】
そして、例えば家庭の電気機器等である負荷160は、交流電力供給線Aを介して供給される交流電力を消費する。負荷160が消費する交流電力の中には、充電器101が供給する回生電力が含まれ得る。なお、負荷160の他に、充電器101を構成する一部の機器(例えば、後述する電力生成動作制御部や一般動作制御部などの制御を行う機器や、ファンなどの温度調整を行う機器など)や、交流電力供給線Aを介さずに充電器101に直接的に接続する機器等が、充電器101が生成する回生電力を消費しても良い。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る充電器101は、充電動作によって容量素子に充電された容量電力が無用に消費されることを抑制するとともに、当該容量電力の消費に伴う充電器101内部の発熱や、感電等の危険を防止し、かつ当該容量電力の消費を行うための素子を別途設ける必要を無くすことができる。したがって、電力を効率良く利用可能であり、安全性が高く簡素な構成の充電器101を、実現することができる。
【0057】
なお、電力系統130から得られる交流電力を変換するAC/ACコンバータをさらに設け、当該AC/ACコンバータから得られる交流電力が、交流電力供給線Aに対して供給される構成としても良い。また、DC/ACコンバータ141,151を、共通化しても良い。また、電力系統130、定置蓄電池140及びDC/ACコンバータ141、太陽光発電部150及びDC/ACコンバータ151の、少なくとも1組を備えない構成としても良い。ただし、交流電力供給線Aに交流電力を供給する装置が、少なくとも1つ(1組)存在するものとする。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態に係る充電器の構成の一例について、図面を参照して説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る充電器の構成の一例を示すブロック図である。図9は、図8に示す充電器が備える電力生成部の構成の一例を示す回路図である。なお、図8では、図7において1本の線で簡略的に示していた交流電力供給線Aを、2本の線(Aa,Ab)で示している。
【0059】
図8に示すように、充電器101は、充電電力及び回生電力を生成する電力生成部110と、電力生成部110の動作を制御する電力生成動作制御部111と、電力生成部110が充電電力を供給する充電線112a,112b(112aが高電圧側、112bが低電圧側)と、充電線112a,112bに印加される電圧の大きさを検出して電力生成動作制御部111に通知する充電側検出部113と、電動車両EVに備えられる蓄電池EVBと電気的に接続し得るとともに電動車両EVと物理的に接続し得る充電コネクタ114と、交流電力供給線Aa,Abから供給される供給電力を電力生成部10に供給するとともに電力生成部10が生成する回生電力が供給される第1電力供給線115a,115bと、第1電力供給線115a,115bに印加される電圧の大きさを検出して電力生成動作制御部111に通知する回生側検出部116と、充電線112a,112bと充電コネクタ114とを電気的に接続するか否かを切替制御するコンダクタ部117と、ユーザに操作されることで当該ユーザの指示が入力される操作部118と、操作部118に入力されるユーザの指示に応じて電力生成動作制御部111と充電コネクタ114とコンダクタ部117との動作を制御する一般動作制御部119と、を備える。なお、本実施形態に係る充電器101における第1電力供給線115a,115bは、交流電力供給線Aa,Abの一部としても解釈され得る。
【0060】
また、図9に示すように、電力生成部110は、2つのコンデンサC11,C21とブリッジ回路を構成する4つのトランジスタT11〜T14とブリッジ回路を構成する4つのトランジスタT21〜T24と2つのコイルL21,L22とを備える第1電力生成部110Aと、1つのコンデンサC12(上述の容量素子に相当)とブリッジ回路を構成する4つのトランジスタT15〜T18とを備える第2電力生成部110Bと、トランスを構成する2つのコイルL11,L12を備え第1電力生成部110Aが生成する電力を変換して第2電力生成部110Bに供給するとともに第2電力生成部110Bが生成する電力を変換して第1電力生成部110Aに供給する電力変換部110Cと、を備える。なお、以下では説明の具体化のため、トランジスタT11〜T18,T21〜T24が、NチャネルのMOSFETである場合について例示する。
【0061】
コンデンサC11は、一端が第2電力供給線115cに接続され、他端が第2電力供給線115dに接続される(115cが高電圧側、112dが低電圧側)。トランジスタT11は、ドレインが第2電力供給線115cに接続される。トランジスタT12は、ドレインがトランジスタT11のドレイン及び第2電力供給線115cの接続ノードに接続される。トランジスタT13は、ドレインがトランジスタT12のソースに接続され、ソースが第2電力供給線115dに接続される。トランジスタT14は、ドレインがトランジスタT11のソースに接続され、ソースがトランジスタT13のソース及び第2電力供給線115dの接続ノードに接続される。また、トランジスタT11〜T14のゲートに印加されるゲート電圧は、電力生成動作制御部111によって制御される。
【0062】
トランジスタT21は、ドレインが第2電力供給線115cに接続される。トランジスタT22は、ドレインがトランジスタT21のドレイン及び第2電力供給線115cの接続ノードに接続される。トランジスタT23は、ドレインがトランジスタT22のソースに接続され、ソースが第2電力供給線115dに接続される。トランジスタT24は、ドレインがトランジスタT21のソースに接続され、ソースがトランジスタT23のソース及び第2電力供給線115dの接続ノードに接続される。また、トランジスタT21〜T24のゲートに印加されるゲート電圧は、電力生成動作制御部111によって制御される。
【0063】
コンデンサC21は、一端が第1電力供給線115aに接続され、他端が第1電力供給線115bに接続される。コイルL21は、一端が第1電力供給線115aに接続され、他端がトランジスタT22のソース及びトランジスタT23のドレインの接続ノードに接続される。コイルL22は、一端が第1電力供給線115bに接続され、他端がトランジスタT21のソース及びトランジスタT24のドレインの接続ノードに接続される。
【0064】
コンデンサC12は、一端が充電線112aに接続され、他端が充電線112bに接続される。トランジスタT15は、ドレインが充電線112aに接続される。トランジスタT16は、ドレインがトランジスタT15のドレイン及び充電線112aの接続ノードに接続される。トランジスタT17は、ドレインがトランジスタT16のソースに接続され、ソースが充電線112bに接続される。トランジスタT18は、ドレインがトランジスタT15のソースに接続され、ソースがトランジスタT17のソース及び充電線112bの接続ノードに接続される。また、トランジスタT15〜T18のゲートに印加されるゲート電圧は、電力生成動作制御部111によって制御される。
【0065】
コイルL11は、一端L11aがトランジスタT12のソース及びトランジスタT13のドレインの接続ノードに接続され、他端L11bがトランジスタT11のソース及びトランジスタT14のドレインの接続ノードに接続される。コイルL12は、一端L12aがトランジスタT16のソース及びトランジスタT17のドレインの接続ノードに接続され、他端L12bがトランジスタT15のソース及びトランジスタT18のドレインの接続ノードに接続される。また、コイルL11,L12は、一端L11a,L12a及び他端L11b,L12bのそれぞれが同じ側になるように、対向して配置される。
【0066】
次に、本実施形態に係る充電器101が電動車両EVに備えられる蓄電池EVBを充電する一連の動作の一例について、説明する。ただし、充電動作及び回生動作を除く全体的な動作については、第1実施形態に係る充電器1の動作例(図4参照)と同様であっても良いため、第1実施形態に係る充電器1の動作例の説明を適宜参酌するものとして、説明を省略する。したがって、以下では、本実施形態に係る充電器101(特に、電力生成部110)の充電動作及び回生動作について、それぞれ図面を参照して説明する。
【0067】
図10は、図8に示す充電器が充電動作を行う場合における図9に示す電力生成部の動作の一例を示すタイミングチャートである。図11は、図8に示す充電器が回生動作を行う場合における図9に示す電力生成部の動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図10及び図11に示すゲート電圧のHは、トランジスタT11〜T18,T21〜T24をONにする電圧を示し、ゲート電圧のLは、トランジスタT11〜T18,T21〜T24をOFFにする電圧を示す。
【0068】
電力生成部110の充電動作について、図9及び図10を参照して説明する。図10に示すように、電力生成部110の充電動作では、トランジスタT11,T13のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。また、トランジスタT12,T14のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。特に、トランジスタT11,T13のゲートにHのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT12,T14のゲートにはLのゲート電圧が印加される(充電第1状態)。一方、トランジスタT11,T13のゲートにLのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT12,T14のゲートにはHのゲート電圧が印加される(充電第2状態)。また、充電第1状態及び充電第2状態の双方において、トランジスタT15〜T18のそれぞれのゲートには、Lのゲート電圧が印加される。
【0069】
また、充電第1状態及び充電第2状態に関係なく、トランジスタT21〜T24のそれぞれのゲートには、Lのゲート電圧が印加される。
【0070】
電力生成動作制御部111は、充電第1状態及び充電第2状態が交互に繰り返されるように、トランジスタT11〜T18のゲートに印加されるゲート電圧を制御する。さらに、電力生成動作制御部111は、充電第1状態及び充電第2状態に関係なく、トランジスタT21〜T24のゲートに印加されるゲート電圧を制御する。これにより、以下説明するように、電力生成部110が、第1電力供給線115a,115bを介して供給される供給電力を用いて、充電電力を生成する。
【0071】
充電第1状態及び充電第2状態に関係なく、第1電力供給線115a,115bには、交流の供給電力が供給される。第1電力供給線115aの電圧が第1電力供給線115bの電圧よりも大きいとき、トランジスタT22,T24のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。さらに、トランジスタT6,T8のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。一方、第1電力供給線115bの電圧が第1電力供給線115aの電圧よりも大きいとき、トランジスタT21,T23のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。さらに、トランジスタT22,T24のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。さらにこのとき、コンデンサC11は、第2電力供給線115c,115dに供給する電力を平滑化する。したがって、第2電力供給線115c,115dには、供給電力を(全波)整流及び平滑化して得られる直流電力が、供給される。なお、上述のように、第2電力供給線115cが高電圧側であり、第2電力供給線115dが低電圧側である。
【0072】
充電第1状態では、トランジスタT11,T13のそれぞれがONになる。一方、トランジスタT12,T14のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。その結果、コイルL11の他端L11bから一端L11aに向かって、電流が流れる。すると、対向するコイルL12の一端L12aから他端L12bに向かって、電流が流れる。このとき、トランジスタT15,T17のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。一方、トランジスタT16,T18のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。さらにこのとき、コンデンサC12は、充電線112a,112bに供給する電力を平滑化する。
【0073】
充電第2状態では、トランジスタT12,T14のそれぞれがONになる。一方、トランジスタT11,T13のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。その結果、コイルL11の一端L11aから他端L11bに向かって、電流が流れる。すると、対向するコイルL12の他端L12bから一端L12aに向かって、電流が流れる。このとき、トランジスタT16,T18のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。一方、トランジスタT15,T17のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。さらにこのとき、コンデンサC12は、充電線112a,112bに供給する電力を平滑化する。
【0074】
上記の充電第1状態及び充電第2状態を交互に繰り返すと、第1電力生成部110Aが、交流の供給電力を(全波)整流及び平滑化して得られる直流の電力をスイッチングすることになり、コイルL11に交流の電力(充電一次電力)が発生する。また、電力変換部110Cは、コイルL12に、充電一次電力を変圧して得られる交流の電力(充電二次電力)を発生させる。さらに、第2電力生成部110Bは、充電二次電力を(全波)整流及び平滑化することで、直流の充電電力を生成する。ただし、この平滑化により、コンデンサC12が充電される。
【0075】
なお、説明の簡略化のため、図10に示すタイミングチャートでは、充電第1状態及び充電第2状態のそれぞれの時間が変動しないように図示しているが、これらは充電動作中に変動し得る。例えば、電力生成動作制御部111は、充電側検出部113が検出する充電電力の電圧の大きさを確認して、電力生成部110が生成する充電電力の電圧が目標とする電圧に近づくように、充電第1状態及び充電第2状態の時間を制御する。
【0076】
電力生成部111の回生動作について、図9及び図11を参照して説明する。図11に示すように、電力生成部11の回生動作では、トランジスタT15,T17のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。また、トランジスタT16,T18のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。特に、トランジスタT15,T17のゲートにHのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT16,T18のゲートにはLのゲート電圧が印加される(回生第1状態)。一方、トランジスタT15,T17のゲートにLのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT16,T18のゲートにはHのゲート電圧が印加される(回生第2状態)。また、回生第1状態及び回生第2状態の双方において、トランジスタT11〜T14のそれぞれのゲートには、Lのゲート電圧が印加される。
【0077】
また、回生第1状態及び回生第2状態に関係なく、トランジスタT21,T23のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。また、トランジスタT22,T24のゲートに、同じタイミングでHまたはLのゲート電圧が印加される。特に、トランジスタT21,T23のゲートにHのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT22,T24のゲートにはLのゲート電圧が印加される。一方、トランジスタT21,T23のゲートにLのゲート電圧が印加されるとき、トランジスタT22,T24のゲートにはHのゲート電圧が印加される。なお、図11に示すタイミングチャートでは、トランジスタT21〜T24のゲート電圧が変動する周期が、トランジスタT11〜T18のゲート電圧が変動する周期より長くなる場合を図示しているが、これは例示に過ぎない。即ち、トランジスタT21〜T24のゲート電圧が変動する周期が、トランジスタT11〜T18のゲート電圧が変動する周期以下となっても良い。
【0078】
電力生成動作制御部111は、回生第1状態及び回生第2状態が交互に繰り返されるように、トランジスタT11〜T18のゲートに印加されるゲート電圧を制御する。さらに、電力生成動作制御部111は、充電第1状態及び充電第2状態に関係なく、トランジスタT21〜T24のゲートに印加されるゲート電圧を制御する。これにより、以下説明するように、電力生成部110が、コンデンサC2を放電して得られる容量電力を用いて、回生電力を生成する。
【0079】
回生第1状態では、トランジスタT15,T17のそれぞれがONになる。一方、トランジスタT16,T18のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。その結果、コイルL12の他端L12bから一端L12aに向かって、電流が流れる。すると、対向するコイルL11の一端L11aから他端L11bに向かって、電流が流れる。このとき、トランジスタT11,T13のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。一方、トランジスタT16,T18のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。さらにこのとき、コンデンサC11は、第2電力供給線115c,115dに供給する電力を平滑化する。
【0080】
回生第2状態では、トランジスタT16,T18のそれぞれがONになる。一方、トランジスタT15,T17のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。その結果、コイルL12の一端L12aから他端L12bに向かって、電流が流れる。すると、対向するコイルL11の他端L11bから一端L11aに向かって、電流が流れる。このとき、トランジスタT12,T14のボディダイオードは順バイアスになるため、それぞれのソースからドレインに向かって電流が流れる。一方、トランジスタT11,T13のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。さらにこのとき、コンデンサC11は、第2電力供給線115c,115dに供給する電力を平滑化する。
【0081】
上記の回生第1状態及び回生第2状態を交互に繰り返すと、第2電力生成部110Bが直流の容量電力をスイッチングすることになり、コイルL12に交流の電力(回生一次電力)が発生する。また、電力変換部110Cは、コイルL11に、回生一次電力を変圧して得られる交流の電力(回生二次電力)を発生させる。さらに、第1電力生成部110AのトランジスタT11〜T14及びコンデンサC11は、回生二次電力を(全波)整流及び平滑化することで、第2電力供給線115c,115dに直流の電力を供給する。なお、充電動作時と同様に回生動作時も、第2電力供給線115cが高電圧側であり、第2電力供給線115dが低電圧側である。
【0082】
また、回生第1状態及び回生第2状態に関係なく、トランジスタT21,T23のそれぞれと、トランジスタT22,T24のそれぞれと、が交互にONになる。トランジスタT21,T23がONになる場合、トランジスタT22,T24のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。また、トランジスタT22,T24がONになる場合、トランジスタT21,T23のボディダイオードは逆バイアスになるため、略OFFとなる。即ち、第1電力生成部110AのトランジスタT21〜T24は、第2電力供給線115c,115dをスイッチングすることで、交流の電力を生成する。
【0083】
第1電力生成部110AのトランジスタT21〜T24が生成する上記の交流の電力は、方形波である。そこで、コイルL21,L22及びコンデンサC21を用いて波形を整形する。これにより、正弦波の交流電力である回生電力が生成され、第1電力供給線115a,115bに供給される。
【0084】
なお、説明の簡略化のため、図11に示すタイミングチャートでは、回生第1状態及び回生第2状態のそれぞれの時間が変動しないように図示しているが、これらは回生動作中に変動し得る。例えば、電力生成動作制御部111は、回生側検出部116が検出する回生電力の電圧の大きさを確認して、第1電力供給線115a,115bに印加される電圧が所定の大きさ(例えば、第1電力供給線115a,115bの定格電圧)以下になるように、回生第1状態及び回生第2状態の時間を制御する。これにより、第1電力供給線115a,115bに印加される電圧が過度に大きくなることが抑制されるため、充電器101の安全性を高くすることができる。
【0085】
また、トランジスタT21〜T24のゲートに印加されるゲート電圧が変動するタイミングが、回生第1状態及び回生第2状態が変動するタイミング(即ち、トランジスタT11〜T18のゲートに印加されるゲート電圧が変動するタイミング)に関係ないと説明したが、回生第1状態及び回生第2状態が変動するタイミングに応じた(同期した)タイミングとしても良い。
【0086】
<<変形例>>
[1] 図3及び図9に示す回路図は一例に過ぎず、上述した充電動作及び回生動作と同様の動作が行われる限り、種々の変更を加えても良い。例えば、上述のトランジスタT1〜T8,T11〜T18,T21〜T24の少なくとも一つを、PチャネルのMOSFET(ゲート電圧が上述のHでOFFになり、ゲート電圧が上述のLでONになるトランジスタ)としても良い。この場合、図5、図6、図10及び図11に示すゲート電圧のH及びLを逆にすることで、上述した充電動作及び回生動作と同様の動作が行われ得る。
【0087】
[2] 図2及び図8において、電力生成動作制御部11,111及び一般動作制御部19,119を別体のように図示したが、これらは一体であっても良い。また同様に、コンダクタ部14及び充電コネクタ17が、一体であっても良い。
【0088】
[3] 第2実施形態に係る充電器101において、交流の回生電力に代えて(または加えて)、直流の回生電力が消費される構成にしても良い。具体的に例えば、第2電力供給線115c,115dに印加される直流電力が、直流の回生電力として消費される構成にしても良い。この場合、負荷160や充電器101の一部の機器が、交流の回生電力に代えて(または加えて)、直流の回生電力を消費しても良い。またこの場合、回生側検出部116に代えて(または加えて)、第2電力供給線115c,115dに印加される電圧の大きさを検出して電力生成動作制御部111に通知する回生側検出部を設けても良い。さらにこの場合、電力生成動作制御部111が、この回生側検出部が検出する第2電力供給線115c,115dの電圧の大きさに応じて、第1実施形態に係る充電器1の電力生成動作制御部11(図2参照)と同様に、電力生成部110の動作を制御しても良い。
【0089】
[4] 本発明に係る充電器の一例として、電動車両EVと別体である充電器(第1実施形態に係る充電器1及び第2実施形態に係る充電器101)について説明したが、本発明の充電器は、電量車両EVに備えられる内蔵の充電器にも適用可能である。この場合、充電コネクタ14,114を不要としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、電動車両等に備えられる蓄電池を充電する充電器に利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1,101 : 充電器
10,110 : 電力生成部
10A,110A : 第1電力生成部
10B,110B : 第2電力生成部
10C,110C : 電力変換部
11,111 : 電力生成動作制御部
12a,12b,112a,112b : 充電線
13,113 : 充電側検出部
14,114 : 充電コネクタ
15a,15b : 電力供給線
115a,115b : 第1電力供給線
115c,115d : 第2電力供給線
16,116 : 回生側検出部
17,117 : コンダクタ部
18,118 : 操作部
19,119 : 一般動作制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給線を介して供給される供給電力を用いて、蓄電池に充電する充電電力を生成する充電動作を行う充電器であって、
前記充電動作時に前記蓄電池と並列に接続される容量素子を備え、
前記蓄電池が前記充電器と電気的に接続されない状態で、前記容量素子を放電して得られる容量電力を用いて、前記電力供給線に供給する回生電力を生成する回生動作を行うことを特徴とする充電器。
【請求項2】
前記充電動作時に、前記供給電力を用いて充電一次電力を生成し、前記回生動作時に、回生二次電力を用いて前記回生電力を生成する第1電力生成部と、
前記容量素子を備え、前記充電動作時に、充電二次電力を用いて前記充電電力を生成し、前記回生動作時に、前記容量電力を用いて回生一次電力を生成する第2電力生成部と、
前記充電動作時に、前記充電一次電力を用いて前記充電二次電力を生成し、前記回生動作時に、前記回生一次電力を用いて前記回生二次電力を生成する電力変換部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記供給電力、前記充電電力、前記容量電力及び前記回生電力のそれぞれが直流電力であり、
前記充電一次電力、前記充電二次電力、前記回生一次電力及び前記回生二次電力のそれぞれが交流電力であり、
前記第1電力生成部が、前記供給電力をスイッチングして前記充電一次電力を生成するとともに、前記回生二次電力を整流して前記回生電力を生成するものであり、
前記第2電力生成部が、前記充電二次電力を整流後に前記容量素子で平滑化することにより前記充電電力を生成するとともに、前記容量電力をスイッチングして前記回生一次電力を生成するものであり、
前記電力変換部が、前記充電一次電力を変圧して前記充電二次電力を生成するとともに、前記回生一次電力を変圧して前記回生二次電力を生成するものである
ことを特徴とする請求項2に記載の充電器。
【請求項4】
前記充電電力及び前記容量電力のそれぞれが直流電力であり、
前記供給電力、前記充電一次電力、前記充電二次電力、前記回生一次電力、前記回生二次電力及び前記回生電力のそれぞれが交流電力であり、
前記第1電力生成部が、前記供給電力を整流後にスイッチングして前記充電一次電力を生成するとともに、前記回生二次電力を整流後にスイッチングして前記回生電力を生成するものであり、
前記第2電力生成部が、前記充電二次電力を整流後に前記容量素子で平滑化することにより前記充電電力を生成するとともに、前記容量電力をスイッチングして前記回生一次電力を生成するものであり、
前記電力変換部が、前記充電一次電力を変圧して前記充電二次電力を生成するとともに、前記回生一次電力を変圧して前記回生二次電力を生成するものである
ことを特徴とする請求項2に記載の充電器。
【請求項5】
前記電力供給線の電圧の大きさを検出する検出部をさらに備え、
前記検出部で検出される電圧が所定の大きさ以下になるように、前記回生動作を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−244868(P2012−244868A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115562(P2011−115562)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【特許番号】特許第5069363号(P5069363)
【特許公報発行日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】