説明

充電回路の断線検出装置

【課題】充電回路の断線を検出できる断線検出装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置(20)と、車両の駆動力源(E)又は回生動力により回転されて発電し蓄電装置(20)を充電する発電装置(10)と、を接続する充電回路(1)の断線検出装置であって、発電装置(10)の出力端子(A)と蓄電装置(20)の入力端子(C)との間に電位差が生じた場合に信号を出力するオペアンプ(40)と、オペアンプ(40)が出力した信号によって発光する発光素子(41)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電回路の断線を検出できる断線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される蓄電装置(二次電池、キャパシタ等)は、オルタネータ等の発電装置によって充電される。オルタネータと充電回路との間の充電回路には、一般的に、電源装置への充電及び電源装置からの放電を許可するリレー、ハーネスのコネクタ、安全装置としてのヒューズ等が接続される。
【0003】
このような充電回路の断線や故障を検出する手法として、回路の電圧を検出し、検出された電圧が所定電圧閾値より小さいとき、充電線が断線しているかを判定するバッテリ充電装置の充電線断線検出方法(特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−180682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、断線を検出する場合は、電圧値を検出するセンサや、検出値に基づいて演算を行うマイコン等の回路が必要となるので、回路構成が複雑であり、部品点数が増加するためにコストが上昇する。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、部品点数を少なくして、コストを抑制できる充電回路の断線検出装置を提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、蓄電装置と、車両の駆動力源又は回生動力により回転されて発電し蓄電装置を充電する発電装置と、を接続する充電回路の断線検出装置であって、発電装置の出力端子と蓄電装置の入力端子との間に電位差が生じた場合に信号を出力するオペアンプと、オペアンプが出力した信号によって発光する発光素子と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電圧を検出するセンサや電位差を演算するためのマイコン等の複雑な回路を必要とせずに充電回路の断線を検出することができるので、断線検出装置のコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態の充電回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態の充電回路1の説明図である。
【0012】
本実施形態の充電回路1は、車両に搭載され、エンジン又はモータからなる駆動力源E又は車両の回生動力によって発電し、発電された電力をバッテリ20に充電する回路である。
【0013】
充電回路1は、オルタネータ10とバッテリ20とを接続する回路30に、リレー31、コネクタ32、ヒューズ33が接続されている。
【0014】
なお、図1ではコネクタ32は1カ所のみ示されている。充電回路1が搭載される車両において、回路を形成する上で複数のコネクタ32を備えることが通常であるが、ここでは簡単のため一つのみを示す。また、リレー31及びヒューズ33は、ソケット等によって充電回路1に接続されるが、ここではソケットをコネクタ32に含める。
【0015】
オルタネータ10は、駆動力源又は回生動力によって回転されて発電する。回路30に接続されたリレー31が閉成しているときに、オルタネータ10が発電した電力は、直流電力として回路30によってしてバッテリ20を充電する。ヒューズ33は、回路30に過電流が発生した場合などに溶断して、バッテリ20を保護する。
【0016】
回路30は、車両に搭載される他の回路(例えばエンジンの点火回路、モータの駆動回路、制御回路等)が接続する回路に端子Bを介して接続する。他の回路には、オルタネータ10が発電した電力又はバッテリ20に充電された電力が供給される。
【0017】
充電回路1には、断線検出回路2が接続されている。
【0018】
断線検出回路2は、オペアンプ40、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3及びLED41によって構成される。
【0019】
断線検出回路40は、一端が、充電回路1のオルタネータ10の出力端子である端子Aに接続される。断線検出回路40のもう一端は、充電回路1のバッテリ20の入力端子である端子Cに接続される。これら端子Aと端子Cとの間には、充電回路1のリレー31、コネクタ32及びヒューズ33が接続されている。
【0020】
第1抵抗R1及び第2抵抗R2は、それぞれ同一の抵抗値を持つ。第1抵抗R1は端子Cとオペアンプ40との間に接続され、第2抵抗R2は端子Aとオペアンプ40との間に接続される。
【0021】
オペアンプ40は、二つの入力端子と一つの出力端子を備える。入力端子の一方は第1抵抗R1に接続し、他方は第2抵抗R2に接続する。なお、オペアンプ40は端子Cから供給される電力により駆動する。
【0022】
オペアンプ40の出力端子は、第3抵抗R3を介して発光素子としてのLED41のアノード側に接続される。LED41のカソード側はグランドに接続されている。
【0023】
このように構成された断線検出回路2は、次のように動作する。
【0024】
充電回路1が正常である場合、すなわち、回路30、リレー31、コネクタ32及びヒューズ33のいずれにも断線や開放モードでの故障等が発生していない場合は、接続点Aと接続点Cとの間に電位差は生じない。
【0025】
この状態では、第1抵抗R1に発生する電圧と第2抵抗R2に発生する電圧は同一であるため、オペアンプ40は信号を出力しない。そのため、第3抵抗R3及びLED41には電流が流れず、LED41は点灯しない。
【0026】
充電回路1に断線が発生した場合、すなわち、回路30、リレー31、コネクタ32及びヒューズ33の少なくとも一つに断線や開放モードでの故障、ヒューズ33の溶断などが発生した場合は、接続点Aと接続点Cとの間で電位差が生ずる。
【0027】
これにより、オペアンプ40の二つの入力端子間に電位差が生じ、オペアンプ40は出力端子に信号を発生する。この信号によって、出力端子に接続された第3抵抗R3及びLED41に電流が流れ、LED41が点灯する。
【0028】
より具体的には、オルタネータ10が駆動力源によって回転され発電しているときは、オルタネータ10の出力電圧は、バッテリ20の出力電圧よりも大きい電圧であり、例えば28Vである。また、駆動力源が停止してオルタネータ10が発電していない場合は、オルタネータ10の出力電圧は0Vである。また、バッテリ20の出力電圧は、例えば24Vである。
【0029】
回路30に断線等が発生していない場合は、端子A及び端子Cの間には、オルタネータ10の出力電圧が印加される。一方、オルタネータ10が発電していない場合は、端子A及び端子Cの間には、バッテリ20の出力電圧が印加される。
【0030】
回路30において断線等が発生した場合は、端子Aにはオルタネータの出力電圧が印加されるが、端子Cにはバッテリ20の出力電圧が印加される。これらの電圧は異なるため、端子Aと端子Cとの間に電位差が生じる。また、オルタネータ10が発電していない場合は端子Aの電圧はゼロとなり、同様に端子Aと端子Cとの間に電位差が生じる。
【0031】
この結果、オペアンプ40の二つの入力端子間に電位差が生じ、オペアンプ40が出力端子に信号を発生する。
【0032】
なお、回路30に断線等が発生していない場合でも、リレー31、コネクタ32及びヒューズ33における接触抵抗や回路30が有する抵抗によって電圧降下が発生するために、厳密には端子Aと端子Cとに僅かな電位差が生じ得る。そのため、オペアンプ40が、回路30の断線が発生した場合にのみ信号を発生させるように、ヒステリシスや作動特性を選定する。
【0033】
LED41は、例えば、車両の運転席のメーターパネル内に設置することが好適である。LED41を充電回路断線警告灯としてメーターパネル内に実装し、断線検出回路2によって充電回路1の断線が検出されたときに充電回路断線警告灯が点灯する。充電回路断線警告灯を点灯させることで、運転手に対して、速やかに最寄りの営業所に車両を持ち込むことを促すことができる。
【0034】
なお、本発明の実施形態のバッテリ20は、二次電池(鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等)により構成される。なお、二次電池ではなく、電気二重層キャパシタ等のキャパシタであってもよい。バッテリ20は、単一のセルではなく、複数のセルを組み合わせたものであってもよい。
【0035】
また、本実施形態では、オペアンプ40によって電位差を検出する構成を示したが、コンパレータによって電位差を検出してもよい。
【0036】
また、本実施形態では断線を検出したときにLED41を点灯させるように構成したが、ランプ等の他の発光手段でもよい。また、ブザーによって断線を通報するように構成してもよい。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施形態では、オルタネータ10とバッテリ20とを接続する充電回路1において、オルタネータ10の出力端子である端子Aと、バッテリの入力端子である端子Cとの間の電位差を検出した場合に信号を出力するペアンプ40と、出力された信号により点灯するLED41とにより構成される断線検出回路2を備えた。
【0038】
このような構成によって、電圧を検出するセンサや、電位差を演算するためのマイコン等の複雑な回路を必要とせず、数個の素子によって充電回路1の断線を検出することができるので、断線検出回路2を装備するためのコストを抑えることができる。
【0039】
また、断線検出回路2は、断線を検出したときに直ちにLED41を発光して運転者に通報することができるので、車両が重大な故障となる前に、速やかに最寄りの営業所に車両を持ち込むことを促すことができる。
【0040】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1 充電回路
2 断線検出回路
10 オルタネータ
20 バッテリ(蓄電装置)
30 回路
41 オペアンプ
42 LED(発光素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と、車両の駆動力源又は回生動力により回転されて発電し前記蓄電装置を充電する発電装置と、を接続する充電回路の断線検出装置であって、
前記発電装置の出力端子と前記蓄電装置の入力端子との間に電位差が生じた場合に信号を出力するオペアンプと、
前記オペアンプが出力した信号によって発光する発光素子と、
を備えることを特徴とする充電回路の断線検出装置。
【請求項2】
前記発光素子は、前記充電回路が搭載される車両の運転席に備えられることを特徴とする請求項1に記載の充電回路の断線検出装置。
【請求項3】
前記オペアンプは、前記発電装置の出力端子に第1の抵抗を介して接続する第1の入力端子と、前記蓄電装置の入力端子に第2の抵抗を介して接続する第2の入力端子と、前記発光素子に信号を出力する出力端子と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の充電回路の断線検出装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−130186(P2012−130186A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280619(P2010−280619)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】