先進のろ過装置およびろ過方法
フィルター材は、有害物質の捕獲および中和用の媒体で構成される。有害物質を捕獲するための低圧力、高い効率なフィルター材の製造方法によって、高性能な穴サイズ分散を有する人工的に作られた微細孔を持つフィルター材が生産されるが、これは単分散や均一な配列が可能である。中和する成分はフィルター材にコーティングして、有害な病原体、エアロゾル、微粒子、VOC、ガスおよび蒸気などのうち、少なくとも一つの有害物質の捕獲効率と中和の両方の改善を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の分野は、特にろ過で、有害な粒子、エアロゾル、蒸気およびガスの中和および修復を伴うろ過である。
【背景技術】
【0002】
毒素および病原体などの有害物質は、空気中に存在し、これが過度の濃度であれば病気の原因となることがある。これらの有害物質には数多くの発生源がある。長距離を運ばれるものや、屋内環境に閉じ込められたものがある。屋内大気汚染は、深刻な懸念である。例えば、有毒カビは、住宅所有者や事業主にとって、問題となってきた。さらに、最近の事件にあるとおり、病原体や毒素をテロ兵器として利用できる可能性があることも深刻な問題である。有害物質という用語は、塵埃、カビ毒素や花粉などの天然の物質、煙や揮発性有機化合物ならびにVX、サリン、リシンおよび炭疽菌などのテロ兵器などの人造の物質をも含めたものを意味する。4つの有害物質についての化学式を図1A〜1Dに示す。
【0003】
一部の有毒化学物質は、非常に反応性の高い極性化合物である。例えば、既知の4つの化学兵器の分類には、窒息剤、びらん剤、血液剤および神経剤がある。塩素やホスゲンなどの窒息剤は、肺を攻撃する。マスタードガス(HD)などのびらん剤は、皮膚上、眼の中、肺の内部で吸収されたときに、有機組織に水疱をもたらす揮発性液体である。シアン化水素(HCN)などの血液剤は、肺から、または腸を経て(水性のHCNの場合)血液中に吸収され、ヘモグロビンと不可逆的に結合して、酸素の摂取を妨げる。サリン(GB)、ソマン(GD)、およびVXなどの神経剤は、皮膚や肺を経由して吸入・吸収されると極めて強力で致命的である。塩素、ホスゲン、およびシアン化水素はガスである。GB、GD、VX、HDは、一般にエアロゾルとして、またはガスとエアロゾルの混合物として分散する半揮発性液体である。
【0004】
有害物質への暴露後の表面の除染について研究がなされてきた。優勢な除染方法は、吸収(その後で焼却)および化学反応による中和である。これらの有毒化学物質の構造や機能は非常に異なる(図1A〜1D)一方で、どれもが、反応性の高い物質であり、試薬との適切な組み合せにより、迅速に中和しうる。例えば、有毒化学物質は、酸化剤、アルカリ性溶液、またはその両方と急速に反応しうる。神経剤は、強力な酸化剤の存在下では、リン酸への急速な酸化に耐え、HDも酸化に耐えるが、実質的に毒性は低いがにもかかわらずなお危険性の高いスルホン誘導体への部分酸化を避けるような配慮が必要である。シアン化水素、塩素、ホスゲン、HD、サリン、ソマン、およびVXは、どれもアルカリ性溶液によって急激に作用し、比較的良性の生成物が産出される。
【0005】
揮発性有機化合物(VOC)は、住宅用および商用のビル全体に蔓延しており、居住者にとって重大な健康上の影響を引き起こすことがこれまでに分かっている。国のおよび国際的な健康関連機関は、多様な分類がある一方で、VOCは、ガス状であるかまたは室温で有意な蒸気圧のある化合物として認識されている。例えば、パーティクルボード、合板、織物、コーティング、および絶縁材などの物質は、かなりの量のガス体のホルムアルデヒド(一般的なVOCである)が放出される。住宅や職場のホルムアルデヒドのピーク濃度は、一般に0.04〜0.4 ppmの範囲である。0.06 ppmを超えるピーク濃度に定期的に暴露すると、粘膜の炎症、発疹、重症のアレルギー反応、疲労、頭痛、吐き気、うつ病などの重大な健康上の影響の原因となることが考えられ、また慢性的、長期にわたる暴露では咽喉癌のリスクが著しく高まる。住宅にある製品から一般的に放出されるその他のVOCには、ベンゼン、トルエン、スチレンアセトン、パラジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロルエチレン、アクリル酸エステル、および脂肪族ケトンやアルコールがある。さらに、ビルの居住者は、揮発性硫黄複合体、およびアンモニアガスなど低レベルのその他の有毒ガスに暴露することが頻繁にある。ほとんどのVOCは、酸化剤、アルカリ性溶液またはその両方によって中和させることができる。
【0006】
ビル、車両および個人用保護装備にある空気取り扱いシステムの空気ろ過システムは、我々が呼吸する空気の安全性および品質(あるいはそのいずれか)を改善する意図がある。ところが、暖房、換気、空調(HVAC)システムで使用されているなどのろ過システムには、有害濃度の細菌、粒子、蒸気およびガスが構造物全体に分散することを阻止する能力はもたない。いくつかの一般的な有害物質のサイズの比較については、表Iを参照のこと。
【0007】
車両の空気ろ過システムは、車両付近で有害物質の不測の放出があった場合にそれよりもずっと低いレベルであるが、通常の車両排気ガスを安全なレベルに低減する能力はもたない。有害物質への暴露を防止するようにデザインされた個人用保護装備でさえも、継続的な保護を保証するためにろ過要素の交換が必要となるまでに許容される暴露時間については、厳しい制限がある。
【0008】
一例としては、単に天然・人工の発生源からだけでも、ホルムアルデヒドの濃度は、人体の健康に害を及ぼしうるレベルを超える恐れがある。こうした物質を中和させる余裕のあるHVACシステムはほとんどない。実際に、HVACシステムは、居住者に保護を提供してくれるよりは、意図的に放出された毒素をビル全体に拡散させる可能性のほうが高い。
【0009】
高性能微粒子(HEPA)フィルターは、風媒性の病原体や粒子の捕捉には有効かもしれない。使用されている場合には、これらのフィルターでは、炭疽菌など一部の有害物質に対していくらかの限定的な消極防衛が提供される可能性がある。
【0010】
HEPAフィルターは、ほとんどの揮発性有機化合物(VOC)および蒸気、エアロゾルまたはガスの形態のその他の有害物質を含めたその他の数多くの有害物質に対しては効果的とはいえない。また、HEPAフィルターは、粒子の捕獲においては、非常に効率が高いが、HEPAフィルターでは、HEPAフィルター内を通過する気流の抵抗が高くなることに関連した付随的な運営(運転)コストが高くなる。圧力降下として測定しうるが、この空気の流れに対する抵抗は、フィルター内の空気の循環により多くのエネルギーを使用する必要があり、これが運営コストの増加をもたらす。その上、HEPAフィルター全体での圧力降下によって、高い背圧が生じ、これが、HVACコンジット内のリークにつながることがあり、システムの捕獲効率全体を著しく減少させる。
【0011】
従来のガスマスクで利用されている活性化炭素フィルターは、有害ガスに対する短期的な保護を提供してくれることが知られている。活性化炭素フィルターには、防護マスクのフィルターといったHVACの用途への広範な採用を阻み、個人保護の用途での効果を低減するいくつかの制限がある。特に、活性炭素における気体吸着のメカニズムは可逆的である。こうして、吸収されたガスが、空気の温度、湿度、または化学的組成の変化によって放出される可能性がある。例えば、粒状活性化炭素に対する親和性の高い第二のガスが存在すると、それまでに吸収されたガスが放出される原因となる可能性がある。さらに、極性のない活性炭素は、比較的極性ガスの吸収度が低いことがわかる。これらの制限は、比較的高密度の活性炭素であるほど必然的に合理的なフィルター寿命が得られることを意味する。HEPAフィルターに関連して述べたとおり、この高密度により、フィルター全体で大きな圧力降下となることになり、これはろ過系にとって望ましくない。最後に、フィルターベッドでルーズに保持されている粒状活性化炭素は、開かれた流路の形成の影響を受けやすく、フィルターの有効性を著しく低下させる。米国特許第6,435,184号を参照によりここに組み込むが、同特許では例えば、従来の防護マスクの構造が開示されている。
【0012】
1962年発行の米国特許第3,017,329号には、従来型の不織りのフィルター材を用いた殺菌性および殺真菌性のフィルターが開示されている。フィルター材は、有効成分を用いてフィルター材を塗布または浸すことで、従来のプロセスによりコーティングされる。有効成分は、中性pHを有するが哺乳類にとって非常に毒性の高い有機銀化合物または有機スズ化合物のうちどちらかが選択される。次に処置済フィルターは、加熱してコーティングプロセスで溶剤として使用された水を蒸発させ、有効成分をフィルター材に固定する接合剤を硬化させる。
【0013】
米国特許第3,116,969号には、アルキルアリール第四級アンモニウム塩化物殺菌化合物を有するフィルターが説明されているが、これは吸湿剤、増粘剤およびフィルム形成剤が含まれる粘着性の組成により保持される従来のフィルター繊維である。
【0014】
米国特許第3,820,308号には、殺菌消毒剤として第四級アンモニウム塩を含有する湿った油性コーティングを持つ滅菌フィルターが説明されている。
【0015】
M. Dever et al. Tappi Journal 1997, 80(3), 157には、メルトブローン法のポリプロピレンフィルター媒体のファイバーに組み込んだ抗菌剤の抗菌効力についての研究結果が開示されている。正体不明の3つの異なる薬剤をポリプロピリンと混合した後、従来的な方法でメルトブローンして、フィルター材が形成された。薬剤のうち2つのみが処理後にFTIRにより検知可能であって、その2つの薬剤では抗菌特性が得られた。ところが、その薬剤は、ポリプロピレンの物理特性にマイナスの影響を及ぼし、フィルター材のファイバーが厚くなり、未混合のポリプロピレンよりも回収の効率が低下することになった。
【0016】
K. K. Foard and J.T. Hanley, ASHRAE Trans., 2001, v.107, p.156では、3つの正体不明の抗菌剤のうち一つで処理したフィルターを用いた実地試験の結果が開示されている。既知の抗菌フィルター処理では、試験条件下であまり効果は得られず、未処理および処理済にかかわらずどちらも同様に成長が見られた。
【0017】
A. Kanazawa et al., J. Applied Polymer Sci., 1994, v.54, p.1305では、セルロ−ス基質に共有結合的に固定化した抗菌性ホスホニウム塩化物部分を使用した抗菌性フィルター材が開示されている。長いアルキル鎖を持つホスホニウム塩が、細菌の捕獲について高い能力を持つ傾向にあった。
【0018】
M. Okamoto, Proceedings of the Institute of Environmental Sciences and Technology, 1998, p.122では、空気処理フィルターでの抗菌剤として銀ゼオライトの使用が開示されている。銀ゼオライトは、フィルターの一方の側に接合剤により付けられた。
【0019】
米国特許公報第2001/0045398では、隙間に固定化された粒子を有する不織りの多孔質材料の調製のプロセスが開示されている。粒子は、材料を粒子の懸濁液に接触させ、懸濁液を材料に押し付け、多孔質材料の隙間に混入粒子を捕獲し、抗菌の障壁を提供することで追加される。
【0020】
国際公報第WO 00/64264号の英語版要約では、バックボーンおよびバックボーンに結合した高分子材料ペンダント基から構成されるポリマー塩基製のフィルター用の殺菌性の有機高分子物質が開示されている。材料は、N-アルキル-N-ビニルアルキルアミドか、高分子材料に固定されたトリヨージドイオンに由来するユニットで構成される。
【0021】
国際公報第WO 02/058812号では、抗菌剤の徐放性マイクロカプセルから成るフィルター材が開示されている。マイクロカプセルには、粘性の溶剤に懸濁した薬剤が含まれ、これがマイクロカプセルの多孔質のシェルから徐々に拡散する。マイクロカプセルは、粘着剤としてアラビアゴムを用いた従来のフィルター媒質に保持させることができる。
【0022】
風媒性の病原体を除去するその他の方法には、空気を液体の電気集塵に浸透させる方法(米国特許第5,993,738号など)、紫外線(米国特許第5,523,075号など)があるが、これらのいずれも、高用量のHVACの用途で許容されるよりもかなり多くのエネルギーを使用する。
【0023】
これまでのすべての例には、危険廃棄物処理問題が発生する、運営コストが高くなる、ろ過システムの製造・維持のコストが高いなど、空気フィルターリングシステムでの広範な採用に至らない欠点がある。こうして、低コストで効果的なフィルターの保護能力を実質的に改善する緊急の必要がある。低エネルギー消費は、有害な粒子、病原体 エアロゾル、蒸気およびガスの捕獲や中和において特に必要とされる。
【0024】
サブミクロンのパターンの生成は、写真平板のプロセスを用いて達成しうる。これは米国特許第5,110,697号によって開示されているプロセスなどの半導体素子製造技術で知られるが、これを参照し本書に組み込む。1〜50ミクロンのパターンの生成は、写真平板およびカラー印刷やエンボス加工入りシートプリンティングなどその他の従来の技術を用いて、よく知られた従来の工程で簡単に達成される。カラー印刷では、複数層の正確な位置決めの登録プロセスがよく知られている。また、融けた粘性流体または軟化した固体を処理する耐久性のあるパターン付きローラー表面が提供されたエンボス加工済シート生成が知られている。例えば、エンボス加工入りシートの形成においては、表面に特徴が埋め込まれたカレンダーロールセットのニップ部として知られるポリマー融解を狭いギャップに押し込む。これらのプロセスは、従来のフィルター媒質の製造とは無関係であるが、本書では従来の基質プリンティングとする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0025】
フィルターは、有害物質の捕獲および中和のための媒体から構成される。低圧力で高い効率プレフィルターを、粒子がフィルター材に入る前に捕獲するために使用することができる。先進のフィルター材は、ろ過成分および中和成分から構成される。中和成分は、基質上に薄膜フィルムのコーティングを施した粘性の有機成分と反応性成分の膜で、低い圧力降下、高生産性の有害物質の修復が提供される。
【0026】
一つの実施例において、中和成分は、ファイバーなどのろ過成分により保持され、これが中和成分を保持する。ファイバーは、フィルター内で分散され、フィルター内を通過する空気が繊維の周りの蛇行性のチャンネルを必ず通過するようになる。こうして、空気中に混入した有害物質は中和成分と接触し、これにより、1つまたは複数の有害物質が中和される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
一つの実施例において、フィルターは、ろ過成分および中和成分から構成される。ろ過成分は、複数の区別できる層のろ過材から、または連続的に構成されている。いずれであるかによらず、中和成分は、単一の活性剤、活性剤の組み合せにしたり、または多数の活性剤をろ過成分の別々の領域に線状にすることもできる。
【0028】
例えば、中和成分は、図2に示すとおり、ろ過成分によって保持され、これが中和成分のための基質の役割を果たす。従来のろ過材では、図7に示すとおり、絡み合った繊維やもつれた繊維をランダムに用いていたが、これにより空気がフィルターを通過して、繊維間にある蛇行状の風道を通過していた。繊維は、フィルター内に分布し、フィルターを通過する空気が繊維の周りの蛇行性のチャンネルを必ず通過するようにされている。こうして、空気に混入した有害物質は、中和成分と接触し、これにより、1つ以上の有害物質が中和される。
【0029】
一例において、有害物質の中和用のフィルターは、ポリマー繊維、修復層のある被膜など、従来型の非反応性フィルター材から構成される。修復層は、酸性、塩基性または酸化物質など1つ以上の中和する物質を取り込む主成分から構成される。この主成分は、粘性の表面を持つこともでき、粘性の表面に衝突する混入粒子がそこに貼り付き、粒子捕獲の効率を高め、病原体など粒子の中和反応の時間を延長することができる。
【0030】
繊維質のフィルターを修復層にある薄い層の粘性の有機成分でコーティングすると、有機ガスやエアロゾルを吸収することがわかっている。高生産性のフィルター材には、病原体、VOCおよびその他の化学薬品などの毒性または有害物質を効率よく捕獲・中和するようにされた反応性コーティングが備わっている。反応性コーティングは、毒性または有害物質を中和するための反応性の成分と、フィルター材に対する反応性の成分間で粘着性をもたせたコーティング用の基質で構成されている。
【0031】
反応性の成分の例としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、および過マンガン酸カリウムなどの酸化剤、アクリル酸誘導体およびスルホン酸誘導体などの酸性の複合体、ならびに、ナトリウムアルコキシド、第三アミン、および防護マスクなどの塩基複合体のほか、それらの適合性のある混合物がある。
【0032】
基質成分は、一般に、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(アクリル酸)(遊離酸または塩)、ポリ(スチレンスルホン酸)(遊離酸または塩)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニール アルコール)、ポリシロキサン、ポリアクリレート誘導体、カルボキシメチルセルロ−スなどの高分子材料のほか、その混合物や架橋剤などがある。ポリ(スチレンスルホン酸)などの一部のケースで、基質成分は、反応性の成分としての役割も果たすことがある。また、基質成分は、グリセロールやエチレングリコールオリゴマーなどの不揮発性で分子量の低い複合体で構成して、標的の毒性または有害物質に対する親和性を促進させることもできる。
【0033】
ポリマー成分は、架橋反応させて、極端な条件下で、反応性のコーティングをフィルターのファイバーから除去されないようにすることもできる。反応性コーティング技術は、ポリエステルやセルロ−ス誘導体など、ガラスおよび合成ポリマーファイバを含有する任意の繊維質のフィルター材に適用することができる。
【0034】
これらの非常に効率の高いフィルターの一つの利点は、毒性または有害物質の修復の確率が高いことである。これは、フィルター構造の機能で、毒性または有害物質とフィルター材との間で多数の衝突が起こることが望ましく、またフィルター材との各衝突の確率が、吸収または中和反応につながる。あらゆる物質について普遍的に適用できる一組の条件というものは存在しない。こうして、多相式のろ過について、例えば、図3に示すとおり、複数環境の広域スペクトルフィルターが望ましい。
【0035】
以下の中和する成分の例では、それぞれ報告されている特定の有害物質に対する保護が提供されているが、試験していないその他の有害物質についても中和できる可能性がある。例1
酸化ゲルコーティングの生成
水溶液の組成は、20 wt.%のテトラエトキシシラン、20 wt. %のビス(トリエトキシシリル)メタン、10 wt.%のグリセロール、および0.05 wt.%のクエン酸である。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸して、吸い取り紙で乾燥させ、蒸気加熱で6時間硬化させた。次にパッドを2%の次亜塩素酸ナトリウムと0.5%のシアヌル酸から成る水溶液に浸してから乾燥させた。結果としてのフィルターは、ジエチル硫化物の中和反応用に効果があった。例2
酸化コーティングの生成
水溶液は、10 wt%のポリ(ビニルピロリドン)から成る。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、吸い取り紙で乾燥させ、紫外線ランプ下で6時間照射し、ポリマーの架橋反応をさせた。次に、このパッドを2 wt%の次亜塩素酸カルシウムから成る水溶液に浸し、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。例3
酸化コーティングの生成
水溶液の組成は、10 wt%のポリ(ビニルピロリドン)と2 wt%の過マンガン酸カリウムである。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸した後、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。
【0036】
例4
酸化コーティングの生成
水溶液は、10 wt%のポリ(ビニルピロリドン)から成る。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、吸い取り紙で乾燥させ、紫外線ランプ下で6時間照射し、ポリマーの架橋反応をさせた。次にパッドを2 %のカリウムペルナンガナートの水溶液に浸し、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。
【0037】
例5
酸化コーティングの生成
水溶液の組成は、10 wt%のポリ(エチレングリコール)と2 wt%の次亜塩素酸カルシウムである。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。
【0038】
例6
酸化コーティングの生成
水溶液の組成は、10 wt%のポリ(アクリル酸)ナトリウム塩と2 wt%の次亜塩素酸カルシウムである。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。
【0039】
例7
アルカリ性被膜の形成
水溶液には、30 wt%のグリセロールと、5 wt%のポリエチレンイミンと0.25 wt%のグリセロールプロポキシレートトリグリシルエーテルが含まれる。ガラスパッドを溶液に浸し、吸い取り紙で乾燥させ、100°Cで6時間硬化させた。次に、ガラスパッドを30 wt%のグリセロールを含むpH 12以上の水溶性の水酸化ナトリウム溶液に浸し、溶液から取り出し、吸い取り紙で乾燥させ、50°Cで2時間乾燥させた。結果としてのフィルターはシアン化水素ガスの中和反応に効果があった。
【0040】
例8
酸性コーティングの生成
An 水溶液の組成は、30 wt%のグリセロール、5 wt%のスチレンスルホン酸、0.1 wt%のジビニルベンゼル、0.13 wt%の2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、0.02 wt%のカリウムペルスルファート、および0.5 wt%のナトリウムドデシル硫酸塩である。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、パッドで乾燥させたあと、85°Cで2時間硬化させた。結果としてのフィルターは、アンモニアガスの中和反応に有効であった。
【0041】
シートフィルター材を迅速に製造する方法
図10に、一様な矩形をした単分散の穴の網目のあるシートフィルター材の部分的拡大図を図示する。単分散とは、少なくともシートフィルター材のかなりの部分で穴のサイズが実質的に同じことを意味する。より一般的には、この方法により、希望する任意の微細孔の分布のあるフィルター材を製造することもできる。例えば、図8には、蜂の巣型の構造をした別のフィルター材を示しているが、シートフィルター材の迅速な製造方法によれば、任意の構造を形成しうる。
【0042】
技術を駆使して微細孔を分布させたフィルターを製造する一つの方法により、直接の成型およびインプリンティングによるシートフィルター材の迅速な製造が実現される。従来の基質のプリンティング方法が、二次元または三次元の多孔性のシートフィルター材の形成に使用されている。「直接の成型およびインプリンティング」とは、二次元または三次元のフィルター材の繊維が、希望するフィルター材構造の生成中に先駆物質から原位置でプリンティング方法により形成されることを意味する。プロセスは、サブミクロンの形成とより大きな多孔性構造が原位置での繊維パターン生成で形成されることで、例えば従来のエンボス加工や製紙とは区別される。結果としてのフィルター材の構造は、繊維が組織化・相互接続されたパターンとなっている。相互接続された繊維のパターンは、シートフィルター材に成型し直すこともでき、従来のフィルター材では、得られなかった強度と柔軟性の両方が備わっている。
【0043】
一つの表面張力のある畝の部分と、別の表面張力のある溝の部分のある基質での、例えば、ポリマー先駆物質および溶剤の2相からなる溶液またはエマルジョンの自発的な分離の発生は、表面張力によるものと考えられる。こうして、繊維質のフィルター材のパターンは、プリント基板上でのこの分離によってレイアウトすることができ、これは、写真平板、カラー印刷に類似したプロセスまたはエンボス加工入りシートプリンティングなど従来の基質プリンティング方法を使用してパターン化される。
【0044】
例えば、水溶性の先駆物質エマルジョンは、写真平板で準備したその表面に畝と溝のパターンのあるプリント基板と共に使用するために準備される。エマルジョンは、少なくとも一つの前駆物質の相が畝部分を囲み、水が溝を満たすように準備される。別の方法として、前駆物質の相と、水相もしくは前駆物質の相を含むその他の溶剤の向きを、複数相のエマルジョンまたは溶解における油中水または水中油の性質を制御することで反対にすることもできる。前駆物質の相には、重合、凝固、結晶化、蒸気からの触媒作用による成長、またはその他何らかの硬化プロセスにより繊維を形成する物質を含めることができ、そこで、プリント基板表面にある畝と溝のパターンにより与えられた向きが保持される。
【0045】
例えば、前駆物質の相は、基質表面の畝上での相分離中に原位置でポリマー繊維を形成するポリマー先駆物質で構成される。次に、水相または溶剤の除去は、例えば、蒸発により達成され、特定のサイズ、形状、分布のあるよく整った空隙が、ポリマーのストランドの間に残され、これは畝のパターンで相互接続される。相互接続された繊維の網が形成される。フィルター材に微細孔が定義される繊維は、有害物質の捕獲と中和を助けるために成分の中和によって被膜をすることができる。一つの例において、繊維は、成分の中和によりかなりコーティングされるが、これは、効率の良い粒子捕獲と揮発性有機化合物(VOC)などの適切な有害ガスの中和のために提供される。
【0046】
別の例において、前駆物質の相は、水溶液に溶解または温浸させたセルロース系ポリマーまたはタンパク質分解性ポリマーで、水溶液は、エマルジョン中で溶剤と混合し、これがプリント基板表面上の畝の部分に分離する。この例で、前駆物質の相は、溝の中に原位置で形成される。結果としてできる繊維では、溝のパターンが保たれ、どんなパターンでもよい。例えば、パターンとしては、網目、蜂の巣型、またはその他の二次元幾何学的図形がある。
【0047】
一つの実施例において、前駆物質の相の水相または溶媒相からの分離は、プリント基板の表面にある畝や溝での材質の違いによるものではない。そうではなく、この分離は、畝の部分と溝の内部での材料間の温度差により発生するもので、これにより自発的な前駆物質の相の集合が促進される。この具体的な例において、先駆物質の供給は多相システムである必要さえない。例えば、プレポリマーまたはポリマーは、準安定性の溶液から比較的冷たい形状の周辺に形成され、比較的暖かい点に溶剤が豊富で安定した溶液が残るように選択することができる。こうして、シートフィルター材は非水溶性のポリマー溶液から形成することもできる。
【0048】
また別の方法として、プリント基板の表面には、畝も溝もない。そうではなく、表面は実質的に平坦で、プリント基板の表面に印刷されたパターンなどの異なる材質によるパターンで構成される。材質が異なると、エマルジョンまたは溶解との表面張力も異なり、これにより、前駆物質の相と水相または溶媒相との分離が起こる。この様に、繊維のパターンは、前記のとおりプリント基板からも形成できる。
【0049】
さらに別の例において、前駆物質の相は、ベンジルアデニンとビスフェノール-A-ジアクリレートの混合物により可塑化したポリエチレンテラフタラートなどの、アクリル化した単量体/架橋剤/光重合開始剤に溶解したポリエステルで構成される。ローラー表面は、従来の基質プリンティング方法によりパターン化され、ローラー表面にあるパターンに従い、自発的に位相の移行と自己組織化が開始されるようにローラーが使用される。パターン化されたシートが形成され、それが、強力な紫外線源に露光され、それによってアクリル酸塩製剤が重合反応を起こし、ポリエステル繊維内部に相互に浸透する分子網が形成される。残留する水やその他の溶剤がある場合にそれを蒸発させると、強力に交叉結合し柔軟性のあるシートフィルター材に有機繊維が残る。
【0050】
ポリエステル繊維は、相互に浸透し合うアクリル系の網により、しっかりと定着し、これによって、ローラーによって形成された多孔性のパターンの安定性と永続性が確保される。こうして、シートフィルター材には、ローラー表面に供給されたパターンと有機ポリマーのストランドの厚みのみに基づき一定のサイズ、分布、間隔のある微細孔のパターンができる。ローラーのパターンには、フィルターリングの用途に合わせてサブミクロンのサイズから50ミクロンまでどんなパターンも持たせることができる。ストランドの厚みは、希釈剤または溶剤中の前駆物質の成分の量と前駆物質の成分の濃度で制御することができる。
【0051】
別の例において、部分重合させたフルオロカーボン(過フッ化炭化水素)の水中懸濁液を、ポリ(テトラフルオロエチレン)のエンボスパターンを持つローラーの表面に接触させる。フルオロカーボン物質は、ポリ(テトラフルオロエチレン)パターン周辺に蓄積し、水(または水溶液)がローラー表面の金属酸化物の領域に残る。パターン化されたフルオロカーボンは、熱または光(紫外光など)を適用することで重合反作用により重合される。このプロセスでは、非常に緻密なレース様のフルオロカーボン フィルター材が形成される。
【0052】
別の方法として、同じプロセスによりポリエステルまたはナイロンのシートが形成されるが、部分的に重合化された前駆物質(または、非活性ポリマーの混合物、さらには未反応もしくは部分的に反応した先駆物質などその他の前駆物質)が、ポリエステルまたはナイロンの形成に使用される点が異なる。ポリエステルとナイロンシートによって、レース様のフィルター材を形成することもできる。レース様の構造が形成されて重合が完了した後に、シートフィルター材を両方の垂直方向に同時に機械的に伸展させる。この伸展により、繊維が一様に引っ張られ、繊維質の直径が減少し、微細孔のサイズが大きくなる。この技法は、その他の先駆物質にも同様に適用できるが、これにより、繊維質の直径がサブミクロンのフィルター材の生産が可能となり、直径の大きめの繊維質と比較して捕獲の効率と圧力降下の性質の間の問題が改善される。
【0053】
また別の実施例において、複合的なプロセスで紡ぐ前の繊維が直接の成型およびインプリンティングと共に使用され、フィルター材が形成される。例えば、紡ぐ前の平行繊維を、平行な繊維質の移動方向に対して直角なエンボス加工した線のあるカレンダーに供給することができる。先駆物質を含む供給分が、エンボス加工入り表面と接触し、先駆物質材質のパターンを平行繊維上に形成する。先駆物質は、反応を起こし、紡ぐ前の繊維との組み合せでシートフィルター材を形成する。一例において、「縦糸」と「横糸」の間に広い空隙がある。つまり、原位置で形成された繊維と紡ぐ前の繊維である。新しい繊維は、紡ぐ前の繊維に付着し、ハイブリッドのフィルター材に強度を分け与える。さらに、重なった集中点により繊維は旋回ができ、材質に応じて十分な柔軟性が与えられる。上記と同様、新しい繊維は、多孔性または穴のないもの、合成または天然、単純な構造および複合構造などどれでもよい。新しい繊維には、コアシェルの幾何学があるが、これは少なくとも2相を持つ有機水溶性システムを使用するためで、どちらの相にもポリマーまたは先駆物質が含まれている。また、繊維のパターンには、紡ぐ前の繊維に沈着させた波状の線、湾曲した線、または連接的な線も含まれ、これは、キャスティングとインプリンティングのない従来の紡ぐ前の繊維を使用しては不可能である。
【0054】
さらに別の実施例において、水溶性-有機-水溶性という複合的なエマルジョンを多孔質の糸の設計に使用できる。これらの多孔質の糸は空隙を取り囲むが、ストランド内部にも空隙を有し、これは例えば水との化学的親和性や表面張力によりストランド内部に形成される水の蒸発時に形成されるものである。一例として、こうした多孔性のポリマーストランドの製造には、親水性および疎水性の部分が使用される。
【0055】
パターンは、本発明のプロセスを利用して生成することもでき、別の方法を利用してこれを低コストで大量生産のフィルター材で再現するのは困難または不可能である。例えば、シートフィルター材は、単分散の穴のサイズの少なくとも1つの領域を有して製造される。さらには、単分散の穴のサイズ、形状、および分布は、シートフィルター材の広い表面領域全体で一様であることが好ましい。穴のサイズが一様であると、従来の不均一なフィルター材と比較して、繊維質の量あたりのフィルター材の粒子捕獲の効率を非常に改善する能力がある。こうして、従来のフィルター材と比較して、本発明のシートフィルター材は、希望する粒子捕獲の効率に対して圧力降下が低くなるか、または希望の圧力降下に対して粒子捕獲の効率が高くなる。
【0056】
別の実施例において、親水性と疎水性の特性を持つ多くのポリマーの混合体を使用してシートフィルター材を2相または多相システムで形成することができる。ポリマー混合体としては、アモルファスまたは結晶ポリマー、ホモポリマーまたは架橋剤、反応性の成分(単量体、オリゴマー、架橋剤、その他)と混合した非活性ポリマー、ならびに粘性の反応性オリゴマーやマクロマーなどを混合することができる。例えば、繊維ネットワークの形成のための反応は、フリーラディカルまたは縮合の性質のものを利用できる。また、ポリマーやポリマー先駆物質は、合成または天然のどちらでもよい。合成ポリマーは、ポリオレフィンポリエステル、酢酸塩、アクリルおよびナイロンなどの炭化水素だけでなく、過フッ化炭化水素やシリコーンなども紡ぐことができる。
【0057】
薄い多孔性のシートフィルター材の形成に機械的な手段を採用するとき、ポリマー/先駆物質システムとローラーとの間の界面特性は、羊毛のような構造を作るために利用できる。強力ではあるが一時的な粘着が供給物質と形状を形成する基質表面との間にある場合には、細い糸やひげをフィルターシートから引き出すこともできる。材料の粘弾性によって基質表面と供給物質の間の細いひもを破断させるまで、こうして多くの糸やひげを羊毛のように製造することができる。一例において、その後で硬化することで、この羊毛のように房を三次元構造で製造することができる。また、故意にすり減らして(つまり粗くして)多数のナノスケールまたは微視的な瑕疵のある基質表面によって、糸の形成を促進させることで、非常にきめの細かいシートフィルター材を製造できる。別の方法として、規則性が高く清潔なシートフィルター材は、瑕疵のない表面を作り、離型剤を用いて、基質の表面と供給物質との間の表面張力を低減することで確保される。
【0058】
別の例において、対になった2つのローラーに、平行な溝がある。1つの組が最初のローラーの幅を横切るかたちであり、第二の組は第二のローラーの周辺部に入っている。前駆物質の成分が含まれる供給物質がニップ部に押し込まれるとき、交差した繊維質のパターンが生成される。一例において、線は、最初のローラーで幅全体、第二のローラーの周辺部にわたり連続的ではない。こうして、柔軟性の高いパターンが形成される。さらに、ローラー表面には、意図した溝の中の点を提供することもでき、その結果として隆起した点のあるシートフィルター材が生成され、触覚的な特性を向上させることができる。
【0059】
別の実施例において、溶解性フィルムなどの犠牲となる層またはキャリヤフィルムが使用される。パターンは、犠牲となる層またはキャリヤフィルムの片側または両側に、本発明の方法のどれかによりつけることができる。例えば、こうしたパターンは、多層でもよく、また犠牲となる層の反対側にあるパターン同士で、そこに既存の穴を形成することによるなど犠牲となる層により形成される「バイアス」の方法で、接続が形成されてもよい。シートフィルター材が形成された後で、犠牲となる層は溶かして、バイアスの場所に対応する特定の相互接続点でシートフィルター材間のみの相互接続を提供することもできる。こうして、複雑な三次元の幾何学が形成されるが、これは、従来のフィルター材を用いては不可能である。別の方法として、キャリヤフィルムは、フィルター材から単に剥がして再利用ができ、おそらく製造コストの削減が図れる。
【0060】
別の実施例において、少なくとも1つの先駆物質が含まれる半固体フィルムを、エンボス加工を施して、相互のローラーの表面にそれによるパターンがあるローラーの組に押し付ける。例えば、線や穴などのパターンを半固体フィルムに穿孔して開口部を生成し、それを半固体フィルムを注意深く伸展することにより改善することもできる。次に、半固体フィルムの先駆物質に重合、加硫、結晶化または凝固などの処理をし、完全な個体のシートフィルター材を生成し、開口部は保持されたままである。例えば、半固体フィルムは、加熱のほか、紫外光、X線、マイクロ波、電子ビーム、またはガンマ線などを照射して、半固体フィルムを完全に反応させ、個体のシートフィルター材を形成することができる。
【0061】
「半固体フィルム」という用語は、せん断力のない状態やせん断力の小さい状態で膜の特性を示しながらも、せん断力の高い状態では降伏することをいう。こうして、半固体フィルムは、固体の膜として取り扱うこともできるが、ローラーの隆起した表面によって、簡単に穿孔することができる。一例においては、半固体フィルムは、106 dynes/cm2〜107 dynes/cm2の弾性率を有する。別の例において、ローラーは、比較的大きな力をかけることができ、弾性率の上限を、1010 dynes/cm2を上回らない値に増大させる。例えば、半固体フィルムの弾性率は、高分子量のポリマーと低分子量のポリマーを混合することで、オプションとして希釈剤、可塑化したポリマーや部分的に増大させた(溶剤により)ポリマーにより修正ができる。これらの構成物質の1つ以上は、ペンダント官能基のある非活性ポリマー(交差結合をする構成物質や薬剤により架橋反応をする可能性がある)など、他の物質と反応性があってもよい。また、希釈剤や可塑剤は、完全または部分的に重合反応または架橋反応のいずれかを起こし、相互に浸透する高分子網(IPN)を形成させることができる。半固体フィルムもまた、反応性オリゴマーまたはマクロマーまたはその混合物のほか、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、フローエイド、生体活性薬剤、活性炭、ミクロフィブリル、その他の添加物、既存の天然・合成繊維などから構成しうる。
【0062】
別の実施例において、半固体フィルムは、ローラーによって機械的に穿孔する必要はない。そのかわり、膜の先駆物質を処理する前に、不透明な領域に半固体フィルムの片側または両側表面に沈着させて、紫外光を照射するなどにより膜を凝固化させることができる。次に、凝固化されていない不透明な領域を優先的に溶かし、シートフィルター材に穴を開けることができる。標準的な写真平板と同様に、マスクを使用して不透明な領域を得ることができる。マスクは、マイラフィルムでパターン付きの金属を覆うことで準備することができる。次にパターン付きのマイラフィルムにより、半固体フィルムに放射線を照射する間に、半固体フィルム上に影の部分ができる。例えば、コンベア上を移動中に、放射線源により、半固体フィルムのマスクのない部分が凝固化できる。別の方法として、迅速なレーザースキャニングは、半固体フィルムにパターンを生成するための別の方法である。
【0063】
別の実施例において、半固体フィルムは、独立的に開発してもよく、または半固体フィルムは多層ろ過材のうちの1つ以上の層でもよい。例えば、多層膜は、同時進行的または順次に反対側を照射することができる。層のうち一つが半固体フィルムである場合には、任意の基質の場合と同様に、他の層はその上に沈着させることができる。例えば、中央の半固体フィルムは、片側または両側を液状の先駆物質で覆い、積層化した開いたフィルター構造とするが、各層を独立的に形成するのに必要な手順よりも少ない手順で形成できる。一つの実施例において、穴のサイズは、多層膜の片方の側がもう一方よりも大きくなる。こうして、多層フィルターの最初の表面にある層の穴のサイズが最も大きく、反対側の表面にある層が最も小さくなる。中間の層の穴のサイズは、最初の表面から反対側の表面へと順に最大から最小の間で変化し、これは、最も大きな粒子をまず最初にろ過することができる進行性のミニふるいとして使用できる。こうした多層フィルターには、実質的に位置の揃った微細孔がある場合と、気流経路の蛇行性を高めるために、次の層とはズレのある微細孔がある場合とがある。経路が蛇行することで、粒子捕獲の効率が高まることが考えられるが、フィルター全体での圧力降下も大きくなる。具体的な用途にとって最適の配列の決定は、この分野において通常の技能の範囲内にある。
【0064】
また別の方法において、繊維質の先駆物質のパターンを、平坦な表面または湾曲した表面などの表面に沈着させるためにインクジェット印刷を使用する。一つの実施例において、複数のノズルを同時進行的に採用して、表面上に前駆の成分を迅速に沈着させる。考えられるいかなるパターンもこの方法で印刷でき、異なるノズルで、反応性・非反応性を問わず異なる先駆物質を沈着させることができる。さらに、この方法では、熱、光または触媒の添加などの使用により先駆物質を硬化させ、インクジェット印刷中や、インクジェット印刷の完了後に先駆物質の融合、重合化、さらなる重合化ができる。一つの実施例において、表面はノンスティック表面で、硬化したシートフィルター材は、表面からシートフィルター材を単に剥ぎ取るだけで取り外せる。例えば、テフロン(登録商標)(Teflon)表面、つまり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはノンスティック コーティングで覆った基質を使用することもできる。
【0065】
別の実施例において、ノズルは、振動したり、あらかじめ定めたとおりのパターンで移動し、繊維質材料を連続的にノズルから噴出させ、表面にパターンを沈着させる。例えば、パターンでは、ストランドが別のストランドを越えるようにさせて、ストランド同士を融合させることもできる。別の方法として、ストランドは、線を沈着させてから、ストランドの下のテーブルを回転させることもでき、また2回目の通過時には、第二の線のパターンが最初の線のパターンに交差するようにできる。その後、ストランドは、熱を用いて、または光重合による架橋反応など何らかの方法で、融合することができる。別の方法として、プロセスは、コンベアベルトを使用して一つの組のノズルから次の組のノズルへと沈着表面を移動させ、連続的なプロセスとすることもできる。異なる先駆物質材質を異なるノズルにより何層か(隣接しない層)に沈着させ、まとめて融合させることもできる。一例として、十字に交差した接続点は、いくつかの繋がる接続点とその他の繋がらない点とともに、二次元のシートフィルターが三次元に延長されることにより、三次元構造が形成されるようになる。この方法を用いてノズルにより沈着させた複数の層のあるフィルター材の交互の層の間で一定の点を選択的に融合することにより、非常に複雑な二次元および三次元のパターンが形成される。
【0066】
別の方法において、先駆物質を表面に沈着させるためにレーザー印刷技術を使用し、その後で重合化する。先駆物質は、プレートやローラーを使用して沈着し、静電気をトナーに与え、パターンを形成した後、移動表面に移動させる。トナーパターには、先駆物質を含めることや、先駆物質を以前に関連のあったパターンに形成するために使用することができる。
【0067】
また別の実施例において、供給物質には、膨張剤または発泡剤を含めることもできる。従来型の任意の膨張剤または発泡剤を繊維事態に組み込むことができる。レース様の構造がいったん形成されたら、繊維質のストランドを伸展させて、中空の繊維、多孔性の繊維、またはそれら2つの組み合せが生成される。
【0068】
本書で提示されている方法および先進のフィルター材により、特定の穴のサイズ、形状、分布を持ち、ランダムな向きの繊維の従来のフィルターに比較して圧力降下が低減され、捕獲効率が向上する高性能なマイクロフィルターやサブミクロンフィルターの生産ができる。また、ランダムな繊維の分布の従来のフィルターでは、同じレベルのフィルターリングを実現するには、より多くの材料を必要とし、フィルターコストが増大する。
【0069】
1つ以上のこれらのフィルター材を中和する成分でコーティングすることもでき、有害な微粒子、エアロゾル、ガス、蒸気および病原体など1つ以上の有害物質を中和することができる。
【0070】
本発明の先進フィルターは、HVAC、外科マスク、防護マスク、掃除機用集塵袋、ふるい、隔離、クリーンルーム、輸送および産業用途など、ありとあらゆるろ過システムでの使用ができる。
【0071】
シートフィルター材を形成するために使用できるすべての組み合せをリストすることは不可能である。本発明は、特定の実施例とその例に関連して説明したが、その他数多くの変形や修正およびその他の用途は、この技術分野の熟練者にとっては明らかである。それらは、請求した発明の範囲内に含まれることが意図される。よって、本発明は、本書にある具体的な開示内容には限定されず、発行された請求項によるものとすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1A】は、有害物質の化学式を示す。
【図1B】は、有害物質の化学式を示す。
【図1C】は、有害物質の化学式を示す。
【図1D】は、有害物質の化学式を示す。
【図2】は、修復層によりコーティングが施されたファイバーを有する発明の実施例を図示する。
【図3】は、多数の毒性または有害物質の修復用広域スペクトルフィルターの一つの実施例を図示する。
【図4】は、修復層のないフィルターファイバーを示す。
【図5】は、修復層でコーティングされたファイバーを図示し、カビ成長に適した温度および湿度で培養器に入れた後で、カビ胞子を含む溶液を塗布したものである。
【図6】は、図5を同様にコーティングをし培養した図4のファイバーを図示し、図5に図示した実施例に比較してかなりのカビ成長が見られる。
【図7】は、従来の技術によるフィルターの実際のファイバーを示す。
【図8】は、粗いプレフィルター、粗いプレフィルターにコーティングをする中和する成分、およびシートフィルター材から構成されるフィルターを図示する。
【図9】は、繊維包装の概念を図示するものである。機能性重合体の層をファイバーの表面上に配置して修復層を提供することを意味する。
【図10】は、シートフィルター材の一実施例を図示する。
【図11A】は、シートフィルター材の準備方法を示す。
【図11B】は、シートフィルター材の準備方法を示す。
【図11C】は、シートフィルター材の準備方法を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明の分野は、特にろ過で、有害な粒子、エアロゾル、蒸気およびガスの中和および修復を伴うろ過である。
【背景技術】
【0002】
毒素および病原体などの有害物質は、空気中に存在し、これが過度の濃度であれば病気の原因となることがある。これらの有害物質には数多くの発生源がある。長距離を運ばれるものや、屋内環境に閉じ込められたものがある。屋内大気汚染は、深刻な懸念である。例えば、有毒カビは、住宅所有者や事業主にとって、問題となってきた。さらに、最近の事件にあるとおり、病原体や毒素をテロ兵器として利用できる可能性があることも深刻な問題である。有害物質という用語は、塵埃、カビ毒素や花粉などの天然の物質、煙や揮発性有機化合物ならびにVX、サリン、リシンおよび炭疽菌などのテロ兵器などの人造の物質をも含めたものを意味する。4つの有害物質についての化学式を図1A〜1Dに示す。
【0003】
一部の有毒化学物質は、非常に反応性の高い極性化合物である。例えば、既知の4つの化学兵器の分類には、窒息剤、びらん剤、血液剤および神経剤がある。塩素やホスゲンなどの窒息剤は、肺を攻撃する。マスタードガス(HD)などのびらん剤は、皮膚上、眼の中、肺の内部で吸収されたときに、有機組織に水疱をもたらす揮発性液体である。シアン化水素(HCN)などの血液剤は、肺から、または腸を経て(水性のHCNの場合)血液中に吸収され、ヘモグロビンと不可逆的に結合して、酸素の摂取を妨げる。サリン(GB)、ソマン(GD)、およびVXなどの神経剤は、皮膚や肺を経由して吸入・吸収されると極めて強力で致命的である。塩素、ホスゲン、およびシアン化水素はガスである。GB、GD、VX、HDは、一般にエアロゾルとして、またはガスとエアロゾルの混合物として分散する半揮発性液体である。
【0004】
有害物質への暴露後の表面の除染について研究がなされてきた。優勢な除染方法は、吸収(その後で焼却)および化学反応による中和である。これらの有毒化学物質の構造や機能は非常に異なる(図1A〜1D)一方で、どれもが、反応性の高い物質であり、試薬との適切な組み合せにより、迅速に中和しうる。例えば、有毒化学物質は、酸化剤、アルカリ性溶液、またはその両方と急速に反応しうる。神経剤は、強力な酸化剤の存在下では、リン酸への急速な酸化に耐え、HDも酸化に耐えるが、実質的に毒性は低いがにもかかわらずなお危険性の高いスルホン誘導体への部分酸化を避けるような配慮が必要である。シアン化水素、塩素、ホスゲン、HD、サリン、ソマン、およびVXは、どれもアルカリ性溶液によって急激に作用し、比較的良性の生成物が産出される。
【0005】
揮発性有機化合物(VOC)は、住宅用および商用のビル全体に蔓延しており、居住者にとって重大な健康上の影響を引き起こすことがこれまでに分かっている。国のおよび国際的な健康関連機関は、多様な分類がある一方で、VOCは、ガス状であるかまたは室温で有意な蒸気圧のある化合物として認識されている。例えば、パーティクルボード、合板、織物、コーティング、および絶縁材などの物質は、かなりの量のガス体のホルムアルデヒド(一般的なVOCである)が放出される。住宅や職場のホルムアルデヒドのピーク濃度は、一般に0.04〜0.4 ppmの範囲である。0.06 ppmを超えるピーク濃度に定期的に暴露すると、粘膜の炎症、発疹、重症のアレルギー反応、疲労、頭痛、吐き気、うつ病などの重大な健康上の影響の原因となることが考えられ、また慢性的、長期にわたる暴露では咽喉癌のリスクが著しく高まる。住宅にある製品から一般的に放出されるその他のVOCには、ベンゼン、トルエン、スチレンアセトン、パラジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロルエチレン、アクリル酸エステル、および脂肪族ケトンやアルコールがある。さらに、ビルの居住者は、揮発性硫黄複合体、およびアンモニアガスなど低レベルのその他の有毒ガスに暴露することが頻繁にある。ほとんどのVOCは、酸化剤、アルカリ性溶液またはその両方によって中和させることができる。
【0006】
ビル、車両および個人用保護装備にある空気取り扱いシステムの空気ろ過システムは、我々が呼吸する空気の安全性および品質(あるいはそのいずれか)を改善する意図がある。ところが、暖房、換気、空調(HVAC)システムで使用されているなどのろ過システムには、有害濃度の細菌、粒子、蒸気およびガスが構造物全体に分散することを阻止する能力はもたない。いくつかの一般的な有害物質のサイズの比較については、表Iを参照のこと。
【0007】
車両の空気ろ過システムは、車両付近で有害物質の不測の放出があった場合にそれよりもずっと低いレベルであるが、通常の車両排気ガスを安全なレベルに低減する能力はもたない。有害物質への暴露を防止するようにデザインされた個人用保護装備でさえも、継続的な保護を保証するためにろ過要素の交換が必要となるまでに許容される暴露時間については、厳しい制限がある。
【0008】
一例としては、単に天然・人工の発生源からだけでも、ホルムアルデヒドの濃度は、人体の健康に害を及ぼしうるレベルを超える恐れがある。こうした物質を中和させる余裕のあるHVACシステムはほとんどない。実際に、HVACシステムは、居住者に保護を提供してくれるよりは、意図的に放出された毒素をビル全体に拡散させる可能性のほうが高い。
【0009】
高性能微粒子(HEPA)フィルターは、風媒性の病原体や粒子の捕捉には有効かもしれない。使用されている場合には、これらのフィルターでは、炭疽菌など一部の有害物質に対していくらかの限定的な消極防衛が提供される可能性がある。
【0010】
HEPAフィルターは、ほとんどの揮発性有機化合物(VOC)および蒸気、エアロゾルまたはガスの形態のその他の有害物質を含めたその他の数多くの有害物質に対しては効果的とはいえない。また、HEPAフィルターは、粒子の捕獲においては、非常に効率が高いが、HEPAフィルターでは、HEPAフィルター内を通過する気流の抵抗が高くなることに関連した付随的な運営(運転)コストが高くなる。圧力降下として測定しうるが、この空気の流れに対する抵抗は、フィルター内の空気の循環により多くのエネルギーを使用する必要があり、これが運営コストの増加をもたらす。その上、HEPAフィルター全体での圧力降下によって、高い背圧が生じ、これが、HVACコンジット内のリークにつながることがあり、システムの捕獲効率全体を著しく減少させる。
【0011】
従来のガスマスクで利用されている活性化炭素フィルターは、有害ガスに対する短期的な保護を提供してくれることが知られている。活性化炭素フィルターには、防護マスクのフィルターといったHVACの用途への広範な採用を阻み、個人保護の用途での効果を低減するいくつかの制限がある。特に、活性炭素における気体吸着のメカニズムは可逆的である。こうして、吸収されたガスが、空気の温度、湿度、または化学的組成の変化によって放出される可能性がある。例えば、粒状活性化炭素に対する親和性の高い第二のガスが存在すると、それまでに吸収されたガスが放出される原因となる可能性がある。さらに、極性のない活性炭素は、比較的極性ガスの吸収度が低いことがわかる。これらの制限は、比較的高密度の活性炭素であるほど必然的に合理的なフィルター寿命が得られることを意味する。HEPAフィルターに関連して述べたとおり、この高密度により、フィルター全体で大きな圧力降下となることになり、これはろ過系にとって望ましくない。最後に、フィルターベッドでルーズに保持されている粒状活性化炭素は、開かれた流路の形成の影響を受けやすく、フィルターの有効性を著しく低下させる。米国特許第6,435,184号を参照によりここに組み込むが、同特許では例えば、従来の防護マスクの構造が開示されている。
【0012】
1962年発行の米国特許第3,017,329号には、従来型の不織りのフィルター材を用いた殺菌性および殺真菌性のフィルターが開示されている。フィルター材は、有効成分を用いてフィルター材を塗布または浸すことで、従来のプロセスによりコーティングされる。有効成分は、中性pHを有するが哺乳類にとって非常に毒性の高い有機銀化合物または有機スズ化合物のうちどちらかが選択される。次に処置済フィルターは、加熱してコーティングプロセスで溶剤として使用された水を蒸発させ、有効成分をフィルター材に固定する接合剤を硬化させる。
【0013】
米国特許第3,116,969号には、アルキルアリール第四級アンモニウム塩化物殺菌化合物を有するフィルターが説明されているが、これは吸湿剤、増粘剤およびフィルム形成剤が含まれる粘着性の組成により保持される従来のフィルター繊維である。
【0014】
米国特許第3,820,308号には、殺菌消毒剤として第四級アンモニウム塩を含有する湿った油性コーティングを持つ滅菌フィルターが説明されている。
【0015】
M. Dever et al. Tappi Journal 1997, 80(3), 157には、メルトブローン法のポリプロピレンフィルター媒体のファイバーに組み込んだ抗菌剤の抗菌効力についての研究結果が開示されている。正体不明の3つの異なる薬剤をポリプロピリンと混合した後、従来的な方法でメルトブローンして、フィルター材が形成された。薬剤のうち2つのみが処理後にFTIRにより検知可能であって、その2つの薬剤では抗菌特性が得られた。ところが、その薬剤は、ポリプロピレンの物理特性にマイナスの影響を及ぼし、フィルター材のファイバーが厚くなり、未混合のポリプロピレンよりも回収の効率が低下することになった。
【0016】
K. K. Foard and J.T. Hanley, ASHRAE Trans., 2001, v.107, p.156では、3つの正体不明の抗菌剤のうち一つで処理したフィルターを用いた実地試験の結果が開示されている。既知の抗菌フィルター処理では、試験条件下であまり効果は得られず、未処理および処理済にかかわらずどちらも同様に成長が見られた。
【0017】
A. Kanazawa et al., J. Applied Polymer Sci., 1994, v.54, p.1305では、セルロ−ス基質に共有結合的に固定化した抗菌性ホスホニウム塩化物部分を使用した抗菌性フィルター材が開示されている。長いアルキル鎖を持つホスホニウム塩が、細菌の捕獲について高い能力を持つ傾向にあった。
【0018】
M. Okamoto, Proceedings of the Institute of Environmental Sciences and Technology, 1998, p.122では、空気処理フィルターでの抗菌剤として銀ゼオライトの使用が開示されている。銀ゼオライトは、フィルターの一方の側に接合剤により付けられた。
【0019】
米国特許公報第2001/0045398では、隙間に固定化された粒子を有する不織りの多孔質材料の調製のプロセスが開示されている。粒子は、材料を粒子の懸濁液に接触させ、懸濁液を材料に押し付け、多孔質材料の隙間に混入粒子を捕獲し、抗菌の障壁を提供することで追加される。
【0020】
国際公報第WO 00/64264号の英語版要約では、バックボーンおよびバックボーンに結合した高分子材料ペンダント基から構成されるポリマー塩基製のフィルター用の殺菌性の有機高分子物質が開示されている。材料は、N-アルキル-N-ビニルアルキルアミドか、高分子材料に固定されたトリヨージドイオンに由来するユニットで構成される。
【0021】
国際公報第WO 02/058812号では、抗菌剤の徐放性マイクロカプセルから成るフィルター材が開示されている。マイクロカプセルには、粘性の溶剤に懸濁した薬剤が含まれ、これがマイクロカプセルの多孔質のシェルから徐々に拡散する。マイクロカプセルは、粘着剤としてアラビアゴムを用いた従来のフィルター媒質に保持させることができる。
【0022】
風媒性の病原体を除去するその他の方法には、空気を液体の電気集塵に浸透させる方法(米国特許第5,993,738号など)、紫外線(米国特許第5,523,075号など)があるが、これらのいずれも、高用量のHVACの用途で許容されるよりもかなり多くのエネルギーを使用する。
【0023】
これまでのすべての例には、危険廃棄物処理問題が発生する、運営コストが高くなる、ろ過システムの製造・維持のコストが高いなど、空気フィルターリングシステムでの広範な採用に至らない欠点がある。こうして、低コストで効果的なフィルターの保護能力を実質的に改善する緊急の必要がある。低エネルギー消費は、有害な粒子、病原体 エアロゾル、蒸気およびガスの捕獲や中和において特に必要とされる。
【0024】
サブミクロンのパターンの生成は、写真平板のプロセスを用いて達成しうる。これは米国特許第5,110,697号によって開示されているプロセスなどの半導体素子製造技術で知られるが、これを参照し本書に組み込む。1〜50ミクロンのパターンの生成は、写真平板およびカラー印刷やエンボス加工入りシートプリンティングなどその他の従来の技術を用いて、よく知られた従来の工程で簡単に達成される。カラー印刷では、複数層の正確な位置決めの登録プロセスがよく知られている。また、融けた粘性流体または軟化した固体を処理する耐久性のあるパターン付きローラー表面が提供されたエンボス加工済シート生成が知られている。例えば、エンボス加工入りシートの形成においては、表面に特徴が埋め込まれたカレンダーロールセットのニップ部として知られるポリマー融解を狭いギャップに押し込む。これらのプロセスは、従来のフィルター媒質の製造とは無関係であるが、本書では従来の基質プリンティングとする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0025】
フィルターは、有害物質の捕獲および中和のための媒体から構成される。低圧力で高い効率プレフィルターを、粒子がフィルター材に入る前に捕獲するために使用することができる。先進のフィルター材は、ろ過成分および中和成分から構成される。中和成分は、基質上に薄膜フィルムのコーティングを施した粘性の有機成分と反応性成分の膜で、低い圧力降下、高生産性の有害物質の修復が提供される。
【0026】
一つの実施例において、中和成分は、ファイバーなどのろ過成分により保持され、これが中和成分を保持する。ファイバーは、フィルター内で分散され、フィルター内を通過する空気が繊維の周りの蛇行性のチャンネルを必ず通過するようになる。こうして、空気中に混入した有害物質は中和成分と接触し、これにより、1つまたは複数の有害物質が中和される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
一つの実施例において、フィルターは、ろ過成分および中和成分から構成される。ろ過成分は、複数の区別できる層のろ過材から、または連続的に構成されている。いずれであるかによらず、中和成分は、単一の活性剤、活性剤の組み合せにしたり、または多数の活性剤をろ過成分の別々の領域に線状にすることもできる。
【0028】
例えば、中和成分は、図2に示すとおり、ろ過成分によって保持され、これが中和成分のための基質の役割を果たす。従来のろ過材では、図7に示すとおり、絡み合った繊維やもつれた繊維をランダムに用いていたが、これにより空気がフィルターを通過して、繊維間にある蛇行状の風道を通過していた。繊維は、フィルター内に分布し、フィルターを通過する空気が繊維の周りの蛇行性のチャンネルを必ず通過するようにされている。こうして、空気に混入した有害物質は、中和成分と接触し、これにより、1つ以上の有害物質が中和される。
【0029】
一例において、有害物質の中和用のフィルターは、ポリマー繊維、修復層のある被膜など、従来型の非反応性フィルター材から構成される。修復層は、酸性、塩基性または酸化物質など1つ以上の中和する物質を取り込む主成分から構成される。この主成分は、粘性の表面を持つこともでき、粘性の表面に衝突する混入粒子がそこに貼り付き、粒子捕獲の効率を高め、病原体など粒子の中和反応の時間を延長することができる。
【0030】
繊維質のフィルターを修復層にある薄い層の粘性の有機成分でコーティングすると、有機ガスやエアロゾルを吸収することがわかっている。高生産性のフィルター材には、病原体、VOCおよびその他の化学薬品などの毒性または有害物質を効率よく捕獲・中和するようにされた反応性コーティングが備わっている。反応性コーティングは、毒性または有害物質を中和するための反応性の成分と、フィルター材に対する反応性の成分間で粘着性をもたせたコーティング用の基質で構成されている。
【0031】
反応性の成分の例としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、および過マンガン酸カリウムなどの酸化剤、アクリル酸誘導体およびスルホン酸誘導体などの酸性の複合体、ならびに、ナトリウムアルコキシド、第三アミン、および防護マスクなどの塩基複合体のほか、それらの適合性のある混合物がある。
【0032】
基質成分は、一般に、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(アクリル酸)(遊離酸または塩)、ポリ(スチレンスルホン酸)(遊離酸または塩)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニール アルコール)、ポリシロキサン、ポリアクリレート誘導体、カルボキシメチルセルロ−スなどの高分子材料のほか、その混合物や架橋剤などがある。ポリ(スチレンスルホン酸)などの一部のケースで、基質成分は、反応性の成分としての役割も果たすことがある。また、基質成分は、グリセロールやエチレングリコールオリゴマーなどの不揮発性で分子量の低い複合体で構成して、標的の毒性または有害物質に対する親和性を促進させることもできる。
【0033】
ポリマー成分は、架橋反応させて、極端な条件下で、反応性のコーティングをフィルターのファイバーから除去されないようにすることもできる。反応性コーティング技術は、ポリエステルやセルロ−ス誘導体など、ガラスおよび合成ポリマーファイバを含有する任意の繊維質のフィルター材に適用することができる。
【0034】
これらの非常に効率の高いフィルターの一つの利点は、毒性または有害物質の修復の確率が高いことである。これは、フィルター構造の機能で、毒性または有害物質とフィルター材との間で多数の衝突が起こることが望ましく、またフィルター材との各衝突の確率が、吸収または中和反応につながる。あらゆる物質について普遍的に適用できる一組の条件というものは存在しない。こうして、多相式のろ過について、例えば、図3に示すとおり、複数環境の広域スペクトルフィルターが望ましい。
【0035】
以下の中和する成分の例では、それぞれ報告されている特定の有害物質に対する保護が提供されているが、試験していないその他の有害物質についても中和できる可能性がある。例1
酸化ゲルコーティングの生成
水溶液の組成は、20 wt.%のテトラエトキシシラン、20 wt. %のビス(トリエトキシシリル)メタン、10 wt.%のグリセロール、および0.05 wt.%のクエン酸である。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸して、吸い取り紙で乾燥させ、蒸気加熱で6時間硬化させた。次にパッドを2%の次亜塩素酸ナトリウムと0.5%のシアヌル酸から成る水溶液に浸してから乾燥させた。結果としてのフィルターは、ジエチル硫化物の中和反応用に効果があった。例2
酸化コーティングの生成
水溶液は、10 wt%のポリ(ビニルピロリドン)から成る。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、吸い取り紙で乾燥させ、紫外線ランプ下で6時間照射し、ポリマーの架橋反応をさせた。次に、このパッドを2 wt%の次亜塩素酸カルシウムから成る水溶液に浸し、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。例3
酸化コーティングの生成
水溶液の組成は、10 wt%のポリ(ビニルピロリドン)と2 wt%の過マンガン酸カリウムである。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸した後、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。
【0036】
例4
酸化コーティングの生成
水溶液は、10 wt%のポリ(ビニルピロリドン)から成る。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、吸い取り紙で乾燥させ、紫外線ランプ下で6時間照射し、ポリマーの架橋反応をさせた。次にパッドを2 %のカリウムペルナンガナートの水溶液に浸し、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。
【0037】
例5
酸化コーティングの生成
水溶液の組成は、10 wt%のポリ(エチレングリコール)と2 wt%の次亜塩素酸カルシウムである。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。
【0038】
例6
酸化コーティングの生成
水溶液の組成は、10 wt%のポリ(アクリル酸)ナトリウム塩と2 wt%の次亜塩素酸カルシウムである。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、空気乾燥させた。結果としてのフィルターは、ホルムアルデヒドの中和反応に効果があった。
【0039】
例7
アルカリ性被膜の形成
水溶液には、30 wt%のグリセロールと、5 wt%のポリエチレンイミンと0.25 wt%のグリセロールプロポキシレートトリグリシルエーテルが含まれる。ガラスパッドを溶液に浸し、吸い取り紙で乾燥させ、100°Cで6時間硬化させた。次に、ガラスパッドを30 wt%のグリセロールを含むpH 12以上の水溶性の水酸化ナトリウム溶液に浸し、溶液から取り出し、吸い取り紙で乾燥させ、50°Cで2時間乾燥させた。結果としてのフィルターはシアン化水素ガスの中和反応に効果があった。
【0040】
例8
酸性コーティングの生成
An 水溶液の組成は、30 wt%のグリセロール、5 wt%のスチレンスルホン酸、0.1 wt%のジビニルベンゼル、0.13 wt%の2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、0.02 wt%のカリウムペルスルファート、および0.5 wt%のナトリウムドデシル硫酸塩である。繊維ガラスパッドを上述の溶液に浸し、パッドで乾燥させたあと、85°Cで2時間硬化させた。結果としてのフィルターは、アンモニアガスの中和反応に有効であった。
【0041】
シートフィルター材を迅速に製造する方法
図10に、一様な矩形をした単分散の穴の網目のあるシートフィルター材の部分的拡大図を図示する。単分散とは、少なくともシートフィルター材のかなりの部分で穴のサイズが実質的に同じことを意味する。より一般的には、この方法により、希望する任意の微細孔の分布のあるフィルター材を製造することもできる。例えば、図8には、蜂の巣型の構造をした別のフィルター材を示しているが、シートフィルター材の迅速な製造方法によれば、任意の構造を形成しうる。
【0042】
技術を駆使して微細孔を分布させたフィルターを製造する一つの方法により、直接の成型およびインプリンティングによるシートフィルター材の迅速な製造が実現される。従来の基質のプリンティング方法が、二次元または三次元の多孔性のシートフィルター材の形成に使用されている。「直接の成型およびインプリンティング」とは、二次元または三次元のフィルター材の繊維が、希望するフィルター材構造の生成中に先駆物質から原位置でプリンティング方法により形成されることを意味する。プロセスは、サブミクロンの形成とより大きな多孔性構造が原位置での繊維パターン生成で形成されることで、例えば従来のエンボス加工や製紙とは区別される。結果としてのフィルター材の構造は、繊維が組織化・相互接続されたパターンとなっている。相互接続された繊維のパターンは、シートフィルター材に成型し直すこともでき、従来のフィルター材では、得られなかった強度と柔軟性の両方が備わっている。
【0043】
一つの表面張力のある畝の部分と、別の表面張力のある溝の部分のある基質での、例えば、ポリマー先駆物質および溶剤の2相からなる溶液またはエマルジョンの自発的な分離の発生は、表面張力によるものと考えられる。こうして、繊維質のフィルター材のパターンは、プリント基板上でのこの分離によってレイアウトすることができ、これは、写真平板、カラー印刷に類似したプロセスまたはエンボス加工入りシートプリンティングなど従来の基質プリンティング方法を使用してパターン化される。
【0044】
例えば、水溶性の先駆物質エマルジョンは、写真平板で準備したその表面に畝と溝のパターンのあるプリント基板と共に使用するために準備される。エマルジョンは、少なくとも一つの前駆物質の相が畝部分を囲み、水が溝を満たすように準備される。別の方法として、前駆物質の相と、水相もしくは前駆物質の相を含むその他の溶剤の向きを、複数相のエマルジョンまたは溶解における油中水または水中油の性質を制御することで反対にすることもできる。前駆物質の相には、重合、凝固、結晶化、蒸気からの触媒作用による成長、またはその他何らかの硬化プロセスにより繊維を形成する物質を含めることができ、そこで、プリント基板表面にある畝と溝のパターンにより与えられた向きが保持される。
【0045】
例えば、前駆物質の相は、基質表面の畝上での相分離中に原位置でポリマー繊維を形成するポリマー先駆物質で構成される。次に、水相または溶剤の除去は、例えば、蒸発により達成され、特定のサイズ、形状、分布のあるよく整った空隙が、ポリマーのストランドの間に残され、これは畝のパターンで相互接続される。相互接続された繊維の網が形成される。フィルター材に微細孔が定義される繊維は、有害物質の捕獲と中和を助けるために成分の中和によって被膜をすることができる。一つの例において、繊維は、成分の中和によりかなりコーティングされるが、これは、効率の良い粒子捕獲と揮発性有機化合物(VOC)などの適切な有害ガスの中和のために提供される。
【0046】
別の例において、前駆物質の相は、水溶液に溶解または温浸させたセルロース系ポリマーまたはタンパク質分解性ポリマーで、水溶液は、エマルジョン中で溶剤と混合し、これがプリント基板表面上の畝の部分に分離する。この例で、前駆物質の相は、溝の中に原位置で形成される。結果としてできる繊維では、溝のパターンが保たれ、どんなパターンでもよい。例えば、パターンとしては、網目、蜂の巣型、またはその他の二次元幾何学的図形がある。
【0047】
一つの実施例において、前駆物質の相の水相または溶媒相からの分離は、プリント基板の表面にある畝や溝での材質の違いによるものではない。そうではなく、この分離は、畝の部分と溝の内部での材料間の温度差により発生するもので、これにより自発的な前駆物質の相の集合が促進される。この具体的な例において、先駆物質の供給は多相システムである必要さえない。例えば、プレポリマーまたはポリマーは、準安定性の溶液から比較的冷たい形状の周辺に形成され、比較的暖かい点に溶剤が豊富で安定した溶液が残るように選択することができる。こうして、シートフィルター材は非水溶性のポリマー溶液から形成することもできる。
【0048】
また別の方法として、プリント基板の表面には、畝も溝もない。そうではなく、表面は実質的に平坦で、プリント基板の表面に印刷されたパターンなどの異なる材質によるパターンで構成される。材質が異なると、エマルジョンまたは溶解との表面張力も異なり、これにより、前駆物質の相と水相または溶媒相との分離が起こる。この様に、繊維のパターンは、前記のとおりプリント基板からも形成できる。
【0049】
さらに別の例において、前駆物質の相は、ベンジルアデニンとビスフェノール-A-ジアクリレートの混合物により可塑化したポリエチレンテラフタラートなどの、アクリル化した単量体/架橋剤/光重合開始剤に溶解したポリエステルで構成される。ローラー表面は、従来の基質プリンティング方法によりパターン化され、ローラー表面にあるパターンに従い、自発的に位相の移行と自己組織化が開始されるようにローラーが使用される。パターン化されたシートが形成され、それが、強力な紫外線源に露光され、それによってアクリル酸塩製剤が重合反応を起こし、ポリエステル繊維内部に相互に浸透する分子網が形成される。残留する水やその他の溶剤がある場合にそれを蒸発させると、強力に交叉結合し柔軟性のあるシートフィルター材に有機繊維が残る。
【0050】
ポリエステル繊維は、相互に浸透し合うアクリル系の網により、しっかりと定着し、これによって、ローラーによって形成された多孔性のパターンの安定性と永続性が確保される。こうして、シートフィルター材には、ローラー表面に供給されたパターンと有機ポリマーのストランドの厚みのみに基づき一定のサイズ、分布、間隔のある微細孔のパターンができる。ローラーのパターンには、フィルターリングの用途に合わせてサブミクロンのサイズから50ミクロンまでどんなパターンも持たせることができる。ストランドの厚みは、希釈剤または溶剤中の前駆物質の成分の量と前駆物質の成分の濃度で制御することができる。
【0051】
別の例において、部分重合させたフルオロカーボン(過フッ化炭化水素)の水中懸濁液を、ポリ(テトラフルオロエチレン)のエンボスパターンを持つローラーの表面に接触させる。フルオロカーボン物質は、ポリ(テトラフルオロエチレン)パターン周辺に蓄積し、水(または水溶液)がローラー表面の金属酸化物の領域に残る。パターン化されたフルオロカーボンは、熱または光(紫外光など)を適用することで重合反作用により重合される。このプロセスでは、非常に緻密なレース様のフルオロカーボン フィルター材が形成される。
【0052】
別の方法として、同じプロセスによりポリエステルまたはナイロンのシートが形成されるが、部分的に重合化された前駆物質(または、非活性ポリマーの混合物、さらには未反応もしくは部分的に反応した先駆物質などその他の前駆物質)が、ポリエステルまたはナイロンの形成に使用される点が異なる。ポリエステルとナイロンシートによって、レース様のフィルター材を形成することもできる。レース様の構造が形成されて重合が完了した後に、シートフィルター材を両方の垂直方向に同時に機械的に伸展させる。この伸展により、繊維が一様に引っ張られ、繊維質の直径が減少し、微細孔のサイズが大きくなる。この技法は、その他の先駆物質にも同様に適用できるが、これにより、繊維質の直径がサブミクロンのフィルター材の生産が可能となり、直径の大きめの繊維質と比較して捕獲の効率と圧力降下の性質の間の問題が改善される。
【0053】
また別の実施例において、複合的なプロセスで紡ぐ前の繊維が直接の成型およびインプリンティングと共に使用され、フィルター材が形成される。例えば、紡ぐ前の平行繊維を、平行な繊維質の移動方向に対して直角なエンボス加工した線のあるカレンダーに供給することができる。先駆物質を含む供給分が、エンボス加工入り表面と接触し、先駆物質材質のパターンを平行繊維上に形成する。先駆物質は、反応を起こし、紡ぐ前の繊維との組み合せでシートフィルター材を形成する。一例において、「縦糸」と「横糸」の間に広い空隙がある。つまり、原位置で形成された繊維と紡ぐ前の繊維である。新しい繊維は、紡ぐ前の繊維に付着し、ハイブリッドのフィルター材に強度を分け与える。さらに、重なった集中点により繊維は旋回ができ、材質に応じて十分な柔軟性が与えられる。上記と同様、新しい繊維は、多孔性または穴のないもの、合成または天然、単純な構造および複合構造などどれでもよい。新しい繊維には、コアシェルの幾何学があるが、これは少なくとも2相を持つ有機水溶性システムを使用するためで、どちらの相にもポリマーまたは先駆物質が含まれている。また、繊維のパターンには、紡ぐ前の繊維に沈着させた波状の線、湾曲した線、または連接的な線も含まれ、これは、キャスティングとインプリンティングのない従来の紡ぐ前の繊維を使用しては不可能である。
【0054】
さらに別の実施例において、水溶性-有機-水溶性という複合的なエマルジョンを多孔質の糸の設計に使用できる。これらの多孔質の糸は空隙を取り囲むが、ストランド内部にも空隙を有し、これは例えば水との化学的親和性や表面張力によりストランド内部に形成される水の蒸発時に形成されるものである。一例として、こうした多孔性のポリマーストランドの製造には、親水性および疎水性の部分が使用される。
【0055】
パターンは、本発明のプロセスを利用して生成することもでき、別の方法を利用してこれを低コストで大量生産のフィルター材で再現するのは困難または不可能である。例えば、シートフィルター材は、単分散の穴のサイズの少なくとも1つの領域を有して製造される。さらには、単分散の穴のサイズ、形状、および分布は、シートフィルター材の広い表面領域全体で一様であることが好ましい。穴のサイズが一様であると、従来の不均一なフィルター材と比較して、繊維質の量あたりのフィルター材の粒子捕獲の効率を非常に改善する能力がある。こうして、従来のフィルター材と比較して、本発明のシートフィルター材は、希望する粒子捕獲の効率に対して圧力降下が低くなるか、または希望の圧力降下に対して粒子捕獲の効率が高くなる。
【0056】
別の実施例において、親水性と疎水性の特性を持つ多くのポリマーの混合体を使用してシートフィルター材を2相または多相システムで形成することができる。ポリマー混合体としては、アモルファスまたは結晶ポリマー、ホモポリマーまたは架橋剤、反応性の成分(単量体、オリゴマー、架橋剤、その他)と混合した非活性ポリマー、ならびに粘性の反応性オリゴマーやマクロマーなどを混合することができる。例えば、繊維ネットワークの形成のための反応は、フリーラディカルまたは縮合の性質のものを利用できる。また、ポリマーやポリマー先駆物質は、合成または天然のどちらでもよい。合成ポリマーは、ポリオレフィンポリエステル、酢酸塩、アクリルおよびナイロンなどの炭化水素だけでなく、過フッ化炭化水素やシリコーンなども紡ぐことができる。
【0057】
薄い多孔性のシートフィルター材の形成に機械的な手段を採用するとき、ポリマー/先駆物質システムとローラーとの間の界面特性は、羊毛のような構造を作るために利用できる。強力ではあるが一時的な粘着が供給物質と形状を形成する基質表面との間にある場合には、細い糸やひげをフィルターシートから引き出すこともできる。材料の粘弾性によって基質表面と供給物質の間の細いひもを破断させるまで、こうして多くの糸やひげを羊毛のように製造することができる。一例において、その後で硬化することで、この羊毛のように房を三次元構造で製造することができる。また、故意にすり減らして(つまり粗くして)多数のナノスケールまたは微視的な瑕疵のある基質表面によって、糸の形成を促進させることで、非常にきめの細かいシートフィルター材を製造できる。別の方法として、規則性が高く清潔なシートフィルター材は、瑕疵のない表面を作り、離型剤を用いて、基質の表面と供給物質との間の表面張力を低減することで確保される。
【0058】
別の例において、対になった2つのローラーに、平行な溝がある。1つの組が最初のローラーの幅を横切るかたちであり、第二の組は第二のローラーの周辺部に入っている。前駆物質の成分が含まれる供給物質がニップ部に押し込まれるとき、交差した繊維質のパターンが生成される。一例において、線は、最初のローラーで幅全体、第二のローラーの周辺部にわたり連続的ではない。こうして、柔軟性の高いパターンが形成される。さらに、ローラー表面には、意図した溝の中の点を提供することもでき、その結果として隆起した点のあるシートフィルター材が生成され、触覚的な特性を向上させることができる。
【0059】
別の実施例において、溶解性フィルムなどの犠牲となる層またはキャリヤフィルムが使用される。パターンは、犠牲となる層またはキャリヤフィルムの片側または両側に、本発明の方法のどれかによりつけることができる。例えば、こうしたパターンは、多層でもよく、また犠牲となる層の反対側にあるパターン同士で、そこに既存の穴を形成することによるなど犠牲となる層により形成される「バイアス」の方法で、接続が形成されてもよい。シートフィルター材が形成された後で、犠牲となる層は溶かして、バイアスの場所に対応する特定の相互接続点でシートフィルター材間のみの相互接続を提供することもできる。こうして、複雑な三次元の幾何学が形成されるが、これは、従来のフィルター材を用いては不可能である。別の方法として、キャリヤフィルムは、フィルター材から単に剥がして再利用ができ、おそらく製造コストの削減が図れる。
【0060】
別の実施例において、少なくとも1つの先駆物質が含まれる半固体フィルムを、エンボス加工を施して、相互のローラーの表面にそれによるパターンがあるローラーの組に押し付ける。例えば、線や穴などのパターンを半固体フィルムに穿孔して開口部を生成し、それを半固体フィルムを注意深く伸展することにより改善することもできる。次に、半固体フィルムの先駆物質に重合、加硫、結晶化または凝固などの処理をし、完全な個体のシートフィルター材を生成し、開口部は保持されたままである。例えば、半固体フィルムは、加熱のほか、紫外光、X線、マイクロ波、電子ビーム、またはガンマ線などを照射して、半固体フィルムを完全に反応させ、個体のシートフィルター材を形成することができる。
【0061】
「半固体フィルム」という用語は、せん断力のない状態やせん断力の小さい状態で膜の特性を示しながらも、せん断力の高い状態では降伏することをいう。こうして、半固体フィルムは、固体の膜として取り扱うこともできるが、ローラーの隆起した表面によって、簡単に穿孔することができる。一例においては、半固体フィルムは、106 dynes/cm2〜107 dynes/cm2の弾性率を有する。別の例において、ローラーは、比較的大きな力をかけることができ、弾性率の上限を、1010 dynes/cm2を上回らない値に増大させる。例えば、半固体フィルムの弾性率は、高分子量のポリマーと低分子量のポリマーを混合することで、オプションとして希釈剤、可塑化したポリマーや部分的に増大させた(溶剤により)ポリマーにより修正ができる。これらの構成物質の1つ以上は、ペンダント官能基のある非活性ポリマー(交差結合をする構成物質や薬剤により架橋反応をする可能性がある)など、他の物質と反応性があってもよい。また、希釈剤や可塑剤は、完全または部分的に重合反応または架橋反応のいずれかを起こし、相互に浸透する高分子網(IPN)を形成させることができる。半固体フィルムもまた、反応性オリゴマーまたはマクロマーまたはその混合物のほか、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、フローエイド、生体活性薬剤、活性炭、ミクロフィブリル、その他の添加物、既存の天然・合成繊維などから構成しうる。
【0062】
別の実施例において、半固体フィルムは、ローラーによって機械的に穿孔する必要はない。そのかわり、膜の先駆物質を処理する前に、不透明な領域に半固体フィルムの片側または両側表面に沈着させて、紫外光を照射するなどにより膜を凝固化させることができる。次に、凝固化されていない不透明な領域を優先的に溶かし、シートフィルター材に穴を開けることができる。標準的な写真平板と同様に、マスクを使用して不透明な領域を得ることができる。マスクは、マイラフィルムでパターン付きの金属を覆うことで準備することができる。次にパターン付きのマイラフィルムにより、半固体フィルムに放射線を照射する間に、半固体フィルム上に影の部分ができる。例えば、コンベア上を移動中に、放射線源により、半固体フィルムのマスクのない部分が凝固化できる。別の方法として、迅速なレーザースキャニングは、半固体フィルムにパターンを生成するための別の方法である。
【0063】
別の実施例において、半固体フィルムは、独立的に開発してもよく、または半固体フィルムは多層ろ過材のうちの1つ以上の層でもよい。例えば、多層膜は、同時進行的または順次に反対側を照射することができる。層のうち一つが半固体フィルムである場合には、任意の基質の場合と同様に、他の層はその上に沈着させることができる。例えば、中央の半固体フィルムは、片側または両側を液状の先駆物質で覆い、積層化した開いたフィルター構造とするが、各層を独立的に形成するのに必要な手順よりも少ない手順で形成できる。一つの実施例において、穴のサイズは、多層膜の片方の側がもう一方よりも大きくなる。こうして、多層フィルターの最初の表面にある層の穴のサイズが最も大きく、反対側の表面にある層が最も小さくなる。中間の層の穴のサイズは、最初の表面から反対側の表面へと順に最大から最小の間で変化し、これは、最も大きな粒子をまず最初にろ過することができる進行性のミニふるいとして使用できる。こうした多層フィルターには、実質的に位置の揃った微細孔がある場合と、気流経路の蛇行性を高めるために、次の層とはズレのある微細孔がある場合とがある。経路が蛇行することで、粒子捕獲の効率が高まることが考えられるが、フィルター全体での圧力降下も大きくなる。具体的な用途にとって最適の配列の決定は、この分野において通常の技能の範囲内にある。
【0064】
また別の方法において、繊維質の先駆物質のパターンを、平坦な表面または湾曲した表面などの表面に沈着させるためにインクジェット印刷を使用する。一つの実施例において、複数のノズルを同時進行的に採用して、表面上に前駆の成分を迅速に沈着させる。考えられるいかなるパターンもこの方法で印刷でき、異なるノズルで、反応性・非反応性を問わず異なる先駆物質を沈着させることができる。さらに、この方法では、熱、光または触媒の添加などの使用により先駆物質を硬化させ、インクジェット印刷中や、インクジェット印刷の完了後に先駆物質の融合、重合化、さらなる重合化ができる。一つの実施例において、表面はノンスティック表面で、硬化したシートフィルター材は、表面からシートフィルター材を単に剥ぎ取るだけで取り外せる。例えば、テフロン(登録商標)(Teflon)表面、つまり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはノンスティック コーティングで覆った基質を使用することもできる。
【0065】
別の実施例において、ノズルは、振動したり、あらかじめ定めたとおりのパターンで移動し、繊維質材料を連続的にノズルから噴出させ、表面にパターンを沈着させる。例えば、パターンでは、ストランドが別のストランドを越えるようにさせて、ストランド同士を融合させることもできる。別の方法として、ストランドは、線を沈着させてから、ストランドの下のテーブルを回転させることもでき、また2回目の通過時には、第二の線のパターンが最初の線のパターンに交差するようにできる。その後、ストランドは、熱を用いて、または光重合による架橋反応など何らかの方法で、融合することができる。別の方法として、プロセスは、コンベアベルトを使用して一つの組のノズルから次の組のノズルへと沈着表面を移動させ、連続的なプロセスとすることもできる。異なる先駆物質材質を異なるノズルにより何層か(隣接しない層)に沈着させ、まとめて融合させることもできる。一例として、十字に交差した接続点は、いくつかの繋がる接続点とその他の繋がらない点とともに、二次元のシートフィルターが三次元に延長されることにより、三次元構造が形成されるようになる。この方法を用いてノズルにより沈着させた複数の層のあるフィルター材の交互の層の間で一定の点を選択的に融合することにより、非常に複雑な二次元および三次元のパターンが形成される。
【0066】
別の方法において、先駆物質を表面に沈着させるためにレーザー印刷技術を使用し、その後で重合化する。先駆物質は、プレートやローラーを使用して沈着し、静電気をトナーに与え、パターンを形成した後、移動表面に移動させる。トナーパターには、先駆物質を含めることや、先駆物質を以前に関連のあったパターンに形成するために使用することができる。
【0067】
また別の実施例において、供給物質には、膨張剤または発泡剤を含めることもできる。従来型の任意の膨張剤または発泡剤を繊維事態に組み込むことができる。レース様の構造がいったん形成されたら、繊維質のストランドを伸展させて、中空の繊維、多孔性の繊維、またはそれら2つの組み合せが生成される。
【0068】
本書で提示されている方法および先進のフィルター材により、特定の穴のサイズ、形状、分布を持ち、ランダムな向きの繊維の従来のフィルターに比較して圧力降下が低減され、捕獲効率が向上する高性能なマイクロフィルターやサブミクロンフィルターの生産ができる。また、ランダムな繊維の分布の従来のフィルターでは、同じレベルのフィルターリングを実現するには、より多くの材料を必要とし、フィルターコストが増大する。
【0069】
1つ以上のこれらのフィルター材を中和する成分でコーティングすることもでき、有害な微粒子、エアロゾル、ガス、蒸気および病原体など1つ以上の有害物質を中和することができる。
【0070】
本発明の先進フィルターは、HVAC、外科マスク、防護マスク、掃除機用集塵袋、ふるい、隔離、クリーンルーム、輸送および産業用途など、ありとあらゆるろ過システムでの使用ができる。
【0071】
シートフィルター材を形成するために使用できるすべての組み合せをリストすることは不可能である。本発明は、特定の実施例とその例に関連して説明したが、その他数多くの変形や修正およびその他の用途は、この技術分野の熟練者にとっては明らかである。それらは、請求した発明の範囲内に含まれることが意図される。よって、本発明は、本書にある具体的な開示内容には限定されず、発行された請求項によるものとすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1A】は、有害物質の化学式を示す。
【図1B】は、有害物質の化学式を示す。
【図1C】は、有害物質の化学式を示す。
【図1D】は、有害物質の化学式を示す。
【図2】は、修復層によりコーティングが施されたファイバーを有する発明の実施例を図示する。
【図3】は、多数の毒性または有害物質の修復用広域スペクトルフィルターの一つの実施例を図示する。
【図4】は、修復層のないフィルターファイバーを示す。
【図5】は、修復層でコーティングされたファイバーを図示し、カビ成長に適した温度および湿度で培養器に入れた後で、カビ胞子を含む溶液を塗布したものである。
【図6】は、図5を同様にコーティングをし培養した図4のファイバーを図示し、図5に図示した実施例に比較してかなりのカビ成長が見られる。
【図7】は、従来の技術によるフィルターの実際のファイバーを示す。
【図8】は、粗いプレフィルター、粗いプレフィルターにコーティングをする中和する成分、およびシートフィルター材から構成されるフィルターを図示する。
【図9】は、繊維包装の概念を図示するものである。機能性重合体の層をファイバーの表面上に配置して修復層を提供することを意味する。
【図10】は、シートフィルター材の一実施例を図示する。
【図11A】は、シートフィルター材の準備方法を示す。
【図11B】は、シートフィルター材の準備方法を示す。
【図11C】は、シートフィルター材の準備方法を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害物質のフィルターリング用のフィルター材で、以下から構成されるもの。
相互に接続された繊維の網。
相互に接続された繊維の網によって、ランダムでなく人工的に作られた微細孔のサイズ分布を有する微細孔が定義されるもので、ここで、微細孔のサイズは50ミクロンを超えないもの。
【請求項2】
請求項1のフィルター材で、ここで微細孔のサイズ分布が単分散であるもの。
【請求項3】
請求項1のフィルター材で、ここで相互に接続された繊維の網により、蜂の巣型の微細孔パターンが定義されるもの。
【請求項4】
請求項1のフィルター材で、ここで相互に接続された繊維の網により、矩形の微細孔パターンが定義されるもの。
【請求項5】
有害物質のフィルターリング用のフィルター材で、以下により構成されるもの。
相互に接続された繊維。
中和する成分で、ここで中和する成分により、相互に接続された繊維の網の少なくとも一つの部分が覆われるもの。
【請求項6】
請求項5のフィルター材で、ここで、相互に接続された繊維の網が、実質的に中和する成分により覆われるもの。
【請求項7】
請求項5のフィルター材で、ここで中和する成分が以下から構成されるもの。
主成分。
1つ以上の中和する物質。
【請求項8】
請求項7のフィルターで、ここで1つ以上の中和する物質が、酸性物質、塩基物質および酸化物質から成る群より選択されるもの。
【請求項9】
請求項7のフィルターで、ここで主成分に粘性の表面があるもの。
【請求項10】
請求項7のフィルターで、ここで主成分は粘性の有機成分の薄い層であるもの。
【請求項11】
請求項7のフィルターで、ここで1つ以上の中和する成分が少なくとも1つの酸化剤から構成されるもの。
【請求項12】
請求項11のフィルターで、ここで酸化剤が、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過マンガン酸カリウムおよびその混合物などから成る群から選択されるもの。
【請求項13】
請求項7のフィルターで、ここで1つ以上の中和する成分が、アクリル酸誘導体、スルホン酸誘導体、およびその混合物から成る酸性の複合体の群から選択されるもの。
【請求項14】
請求項7のフィルターで、ここで、1つ以上の中和する成分が、ナトリウムアルコキシド、第三アミン、およびピリジンならびにその適合性のある混合物から成る塩基複合体の群から選択されるもの。
【請求項15】
請求項5のフィルターで、ここで、繊維が、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(アクリル酸) (遊離酸または塩)、ポリ(スチレンスルホン酸) (遊離酸または塩)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニール アルコール)、ポリシロキサン、ポリアクリレート誘導体、カルボキシメチルセルロ−ス、またはその混合物や架橋剤などの高分子材料からできているもの。
【請求項16】
フィルター材を製造する方法で、以下の手順から構成されるもの。
先駆物質のエマルジョンまたは溶液を準備する手順。
基質にパターンをつける手順。ここでパターンは基質の表面に形成される。
基質を先駆物質のエマルジョンまたは溶液と接触させる手順で、基質の表面につけたパターンでエマルジョンまたは溶液から少なくとも1つの先駆物質が分離されるもの。
先駆物質を反応させる手順。これによってエマルジョンまたは溶液から分離され、シートフィルター材が形成される。
シートフィルター材を基質から外す手順。
【請求項17】
請求項16の方法で、ここでパターン化の手順は、基質の表面での畝と溝の形成から構成される。
【請求項18】
請求項17の方法で、ここで分離が温度差によるもの。
【請求項19】
請求項16の方法で、ここで基質の表面が実質的に平坦で、パターン化の手順が、基質の表面に沈着される異なる材質により形成されるもの。
【請求項20】
請求項16の方法で、ここで反応の手順には先駆物質に紫外線を照射して先駆物質を重合化する手順が含まれるもの。
【請求項1】
有害物質のフィルターリング用のフィルター材で、以下から構成されるもの。
相互に接続された繊維の網。
相互に接続された繊維の網によって、ランダムでなく人工的に作られた微細孔のサイズ分布を有する微細孔が定義されるもので、ここで、微細孔のサイズは50ミクロンを超えないもの。
【請求項2】
請求項1のフィルター材で、ここで微細孔のサイズ分布が単分散であるもの。
【請求項3】
請求項1のフィルター材で、ここで相互に接続された繊維の網により、蜂の巣型の微細孔パターンが定義されるもの。
【請求項4】
請求項1のフィルター材で、ここで相互に接続された繊維の網により、矩形の微細孔パターンが定義されるもの。
【請求項5】
有害物質のフィルターリング用のフィルター材で、以下により構成されるもの。
相互に接続された繊維。
中和する成分で、ここで中和する成分により、相互に接続された繊維の網の少なくとも一つの部分が覆われるもの。
【請求項6】
請求項5のフィルター材で、ここで、相互に接続された繊維の網が、実質的に中和する成分により覆われるもの。
【請求項7】
請求項5のフィルター材で、ここで中和する成分が以下から構成されるもの。
主成分。
1つ以上の中和する物質。
【請求項8】
請求項7のフィルターで、ここで1つ以上の中和する物質が、酸性物質、塩基物質および酸化物質から成る群より選択されるもの。
【請求項9】
請求項7のフィルターで、ここで主成分に粘性の表面があるもの。
【請求項10】
請求項7のフィルターで、ここで主成分は粘性の有機成分の薄い層であるもの。
【請求項11】
請求項7のフィルターで、ここで1つ以上の中和する成分が少なくとも1つの酸化剤から構成されるもの。
【請求項12】
請求項11のフィルターで、ここで酸化剤が、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過マンガン酸カリウムおよびその混合物などから成る群から選択されるもの。
【請求項13】
請求項7のフィルターで、ここで1つ以上の中和する成分が、アクリル酸誘導体、スルホン酸誘導体、およびその混合物から成る酸性の複合体の群から選択されるもの。
【請求項14】
請求項7のフィルターで、ここで、1つ以上の中和する成分が、ナトリウムアルコキシド、第三アミン、およびピリジンならびにその適合性のある混合物から成る塩基複合体の群から選択されるもの。
【請求項15】
請求項5のフィルターで、ここで、繊維が、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(アクリル酸) (遊離酸または塩)、ポリ(スチレンスルホン酸) (遊離酸または塩)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニール アルコール)、ポリシロキサン、ポリアクリレート誘導体、カルボキシメチルセルロ−ス、またはその混合物や架橋剤などの高分子材料からできているもの。
【請求項16】
フィルター材を製造する方法で、以下の手順から構成されるもの。
先駆物質のエマルジョンまたは溶液を準備する手順。
基質にパターンをつける手順。ここでパターンは基質の表面に形成される。
基質を先駆物質のエマルジョンまたは溶液と接触させる手順で、基質の表面につけたパターンでエマルジョンまたは溶液から少なくとも1つの先駆物質が分離されるもの。
先駆物質を反応させる手順。これによってエマルジョンまたは溶液から分離され、シートフィルター材が形成される。
シートフィルター材を基質から外す手順。
【請求項17】
請求項16の方法で、ここでパターン化の手順は、基質の表面での畝と溝の形成から構成される。
【請求項18】
請求項17の方法で、ここで分離が温度差によるもの。
【請求項19】
請求項16の方法で、ここで基質の表面が実質的に平坦で、パターン化の手順が、基質の表面に沈着される異なる材質により形成されるもの。
【請求項20】
請求項16の方法で、ここで反応の手順には先駆物質に紫外線を照射して先駆物質を重合化する手順が含まれるもの。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【公表番号】特表2006−524569(P2006−524569A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513389(P2006−513389)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/013070
【国際公開番号】WO2005/023390
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(505402329)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/013070
【国際公開番号】WO2005/023390
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(505402329)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]