説明

光クロージャ

【課題】光ファイバケーブルから光ドロップケーブルを分岐する光クロージャにおいて、多数本の光ドロップケーブルの導入作業や取り出し作業を効率良く行える技術を提供する。
【解決手段】光クロージャは、開閉自在のクロージャスリーブ20と軸方向端部の内側に設けられた端面板30とを具備し、端面板30には光ファイバケーブル導入用の主ケーブル導入孔33に加えて、光ドロップケーブル導入用のドロップケーブル挿通溝34が複数並列に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光クロージャに係り、特に、光ファイバケーブルと該光ファイバケーブルから分岐する光ドロップケーブルとの接続部を収納する光クロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブル(主ケーブル)と該光ファイバケーブルから分岐する光ドロップケーブルとの接続点に設けられる光クロージャとしては、筒状のクロージャスリーブの軸方向端部を塞ぐように設けられる端面板として、光ファイバケーブルの導入孔の他に、光ドロップケーブルの導入孔として機能する小孔(貫通孔。以下、ドロップケーブル導入孔とも言う)を持つ端面板を採用した構造のものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。
この構造の光クロージャでは、光ドロップケーブルを、ドロップケーブル導入孔に押し込むようにして導入できる。
また、特許文献3のように、光ファイバケーブル用の導入孔を形成するシール部材(第1のシール部材7)が組み込まれた端壁部5dを有する第1スリーブ5と、光ドロップケーブルの導入用のシール部材(第2のシール部材8)が組み込まれた端壁部6dを有する第2スリーブ6とからなる、二つ割り構造のクロージャスリーブを具備し、第1、第2スリーブ5、6を分離した状態で、第2スリーブ6の第1スリーブ5との合わせ面に露出する第2のシール部材8のスリット8aに光ドロップケーブル3を押し込むようにして挟み込めるようにした構造の光クロージャも知られている。
【特許文献1】特開平6−201953号公報
【特許文献2】特開2005−70293号公報
【特許文献3】特開2002−243978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の特許文献1、2のような、光クロージャでは、光ドロップケーブルを、光ドロップケーブルの導入孔として機能する小孔(以下、ドロップケーブル導入孔)に突き刺すようにして端面板を貫通させて導入する。しかしながら、光ファイバケーブル(主ケーブル)の導入孔のシール用のパッキンが組み込まれる端面板は、厚さ寸法が大きく、ドロップケーブル導入孔が長いため、刺し通し作業の途中で光ドロップケーブルがドロップケーブル導入孔内で引っ掛かることもあり、作業に手間が掛かる場合がある。
また、端面板に、多数本の光ドロップケーブルの導入に対応するために、例えば、多数のドロップケーブル導入孔を縦横に配列させて高密度に形成する(但し、ドロップケーブル導入孔を避ける)と、光ドロップケーブルをドロップケーブル導入孔に刺し通す作業の作業性が低下する、といった問題が生じる。
特許文献3のような光クロージャは、第2スリーブ6の第2のシール部材8のスリット8aに光ドロップケーブル3を押し込むようにして挟み込む構成であり、刺し通しに比べて、光ドロップケーブルの導入は容易ではない。また、構造上、多数本の光ドロップケーブルの導入に対応することは容易ではない。
また、特許文献1−3に係る技術は、いずれも、導入済みの光ドロップケーブルの取り出しに手間が掛かる構造である。
【0004】
本発明は、前記課題に鑑みて、光ドロップケーブルの導入作業、導入済みの光ドロップケーブルの取り出し作業を簡単かつ確実に行うことができ、しかも、ドロップケーブル挿通溝を多数形成することで多数本の光ドロップケーブルの導入にも容易に対応できる、光クロージャの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、光ファイバケーブルと該光ファイバケーブルから分岐する光ドロップケーブルとの接続部を収納する光クロージャであって、開閉自在のクロージャスリーブと、前記光ファイバケーブルの導入用の主ケーブル導入孔が形成され、前記クロージャスリーブの軸方向端部の内側に設けられる端面板とを具備し、前記端面板の側面に、前記光ドロップケーブルの導入用のドロップケーブル挿通溝が、複数並列に形成されていることを特徴とする光クロージャを提供する。
第2の発明は、前記端面板は、左右一対の端面板半体からなる半割り構造であり、前記ドロップケーブル挿通溝が、端面板半体における、端面板半体同士の合わせ面とは反対側の側面に形成されていることを特徴とする第1の発明の光クロージャを提供する。
第3の発明は、前記端面板の左右両側あるいは片側の側部に、前記端面板の側面から窪む凹部である防滴凹部と、該防滴凹部を介して前記端面板の厚み方向両側に突設され、前記クロージャスリーブの内面が当接されるリブ状突壁と、前記防滴凹部内に突設された薄板状の遮蔽フィンとを有し、前記防滴凹部を介して両側の前記リブ状突壁のそれぞれに形成され前記ドロップケーブル挿通溝の両端として機能するスロット溝同士が、前記防滴凹部を介して連通され、前記遮蔽フィンは、前記ドロップケーブル挿通溝の両端の前記スロット溝の間を遮るように設けられ、クロージャ外側から前記ドロップケーブル挿通溝に挿入した光ドロップケーブルによって押し倒されるようになっていることを特徴とする第1又は第2の発明の光クロージャを提供する。
第4の発明は、前記防滴凹部が、前記端面板の側部に上下方向に延在する溝状に形成され、該防滴凹部に沿って延在する前記防滴凹部の両側の前記リブ状突壁に、前記ドロップケーブル挿通溝が上下多段に形成され、前記遮蔽フィンが、前記防滴凹部を介して対をなすドロップケーブル挿通溝毎に、上下多段に設けられていることを特徴とする第3の発明の光クロージャを提供する。
第5の発明は、さらに、前記ドロップケーブル挿通溝に通された光ドロップケーブルを係脱可能に係止して前記ドロップケーブル挿通溝からの脱落を防止するための係止片が、前記防滴凹部内に突設されていることを特徴とする第3又は第4の発明の光クロージャを提供する。
第6の発明は、前記端面板は、左右一対の端面板半体からなる半割り構造であり、前記ドロップケーブル挿通溝が、端面板半体における、端面板半体同士の合わせ面とは反対側の側面に形成され、前記ドロップケーブル挿通溝が形成された前記端面板半体は、前記リブ状突壁及び前記遮蔽フィンが一体に形成された合成樹脂製の一体成形品であることを特徴とする第3〜5のいずれかの発明の光クロージャを提供する。
第7の発明は、前記遮蔽フィンが、弾性変形可能な薄板であることを特徴とする第1〜第6のいずれかの発明の光クロージャを提供する。
第8の発明は、前記端面板に、前記主ケーブル導入孔を開閉する蓋が設けられていることを特徴とする第1〜第7のいずれかの発明の光クロージャを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、端面板の側部のドロップケーブル挿通溝に、クロージャ外側から光ドロップケーブルを刺し通すようにして、導入できる。
クロージャスリーブを取り外した状態であれば露出させることができる端面板の側部のドロップケーブル挿通溝に光ドロップケーブルを挿通するので、挿通作業途中で光ドロップケーブルに引っ掛かりが生じても、引っ掛かりを簡単に解消することができ、光ドロップケーブルをドロップケーブル挿通溝に刺し通す作業を確実に行える。しかも、導入済みの光ドロップケーブルの取り出し作業も簡単に行えるといった利点がある。
また、端面板の側部にドロップケーブル挿通溝を形成する構成であれば、光ファイバケーブル(主ケーブル)の導入孔を避ける必要が無く、端面板の側部の広範囲にわたって、多数のドロップケーブル挿通溝を形成できるため、ドロップケーブル挿通溝の形成数、光ドロップケーブルの導入本数の増大を容易に実現できる。しかも、端面板の側部に、多数のドロップケーブル挿通溝を高密度に形成しても、ドロップケーブル導入孔を縦横に配列形成した場合に比べて、光ドロップケーブルの導入作業、導入済みの光ドロップケーブルの取り出し作業の作業性の確保は容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施した光クロージャについて、図面を参照して説明する。
図1は光クロージャ10の内部構造を示す正面図、図2は図1の光クロージャ10を軸方向両端の端面板30の片方の側から見た側面図、図3は光クロージャ10の軸方向端部付近の平断面図、図4は光クロージャ10の二つ割り構造の端面板30の片方の端面板半体31の構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、図5(a)、(b)は図4(a)−(c)の端面板半体31の構造を示す斜視図である。
なお、図1、図2、図4(b)、(c)、図5において、上側を上、下側を下として説明する。
【0008】
図1、図2において、光クロージャ10は、架空用の光クロージャであり、筒状のクロージャスリーブ20と、このクロージャスリーブ20の軸方向両端に設けられた端面板30と、前記クロージャスリーブ20及び該クロージャスリーブ20の両端の端面板30とによって構成される外装ケース40内に収納される内部ユニット50とを具備して構成されている。
【0009】
図2に示すように、図示例の光クロージャ10のクロージャスリーブ20は、断面矩形の直筒状に形成されている。
このクロージャスリーブ20は、具体的には、合成樹脂製の一体成形品であり、図1、図2に示すように、クロージャスリーブ20の軸方向全長にわたって延在する細長の上板部21と、該上板部21の左右(図2左右)両側に、ヒンジ部22として機能する薄肉部を介して連続して設けられた開閉自在の両側板部23、24とを具備して構成されている。
両側板部23、24は、ヒンジ部22を中心として上板部21に対して回転自在であり、この回転によって、個別に開閉操作できる。
【0010】
この光クロージャ10では、クロージャスリーブ20は、上板部21が上となる向きで設けられる。両側板部23、24を閉じ合わせると、断面矩形のクロージャスリーブ20が組み立てられる。また、両側板部23、24を閉じ合わせて、クロージャスリーブ20の軸方向両端内側に端面板30を、クロージャスリーブ20の中心軸線に垂直の向きで保持することで、外装ケース40が組み立てられる。
図2中、符号25は、両側板部23、24の下端同士を閉じ合わせる締結具である。両側板部23、24は、クロージャスリーブ20の下部にて、締結具25によって締結することで、しっかりと閉じ合わされる。締結具25による締結を解除すると、両側板部23、24の開閉操作を自由に行えるようになる。
なお、図2では、一方の側板部23の下部に設けられたレバー付き爪片25aと、他方の側板部24の下部に突設され前記レバー付き爪片25aが係脱可能に係合される係止爪25bとなる構造の締結具25を例示したが、本発明に係る光クロージャにおいて締結具はこれに限定されず、様々な構成のものを採用できる。
【0011】
内部ユニット50は、クロージャスリーブ20の軸方向に沿って延在する細長の連結部材51と、この連結部材51の両端に立設された縦支持材51aに設けられ、外装ケース40内に引き込まれた光ファイバケーブル1を把持固定するケーブル把持部品52と、前記連結部材51の長手方向中央部に設けられた余長収納トレー53と、外装ケース40の上部にてクロージャスリーブ20の軸方向に沿って延在配置され、連結部材51の両端の縦支持材51aの上端同士を連結する上部連結部材54とを具備して構成されている。
外装ケース40の下部に配置された連結部材51と、両端に立設された縦支持材51aと、上部連結部材54とは、四角枠状の剛性フレームを構成している。
前記ケーブル把持部品52は、端面板30の主ケーブル導入孔33(後述)から外装ケース40内に導入された光ファイバケーブル1を把持固定する。
余長収納トレー53は、光ファイバケーブル1から導出された光ファイバ1a(例えば、光ファイバ心線)と、端面板30のドロップケーブル挿通溝34から外装ケース40内に導入された光ドロップケーブル2の端末に露出された光ファイバ2a(例えば、光ファイバ素線)との接続部3(例えば、融着接続部)を、光ファイバ1a、2aの余長とともに収納するものである。
図1において、余長収納トレー53は、連結部材51上に複数多段に積層して設けられている。
【0012】
次に、端面板30を説明する。
図2に示すように、端面板30は、左右一対の端面板半体31、32からなる半割り構造になっている。
この端面板30は、断面矩形のクロージャスリーブ20の軸方向両端部内側に収納される、矩形板状になっている。
クロージャスリーブ20の両側板部23、24を閉じ合わせると、クロージャスリーブ20の内周面が端面板30の外周面に圧接して、防水性(ここでは、詳しくは防滴性)が確保される。
【0013】
但し、図3に示すように、端面板30の左右両側部、つまり、左右一対の端面板半体31、32における、互いに接合される合わせ面31a、32aとは反対側の側部では、クロージャスリーブ20の両側板部23、24の内面に突設された当接壁23a、24aが、一対の端面板半体31、32の厚み方向両端に突設されたリブ状突壁39a、39bに当接される。
クロージャスリーブ20の両側板部23、24の内面の当接壁23a、24aは、クロージャスリーブ20の軸方向に互いに離隔した2箇所に突設されている。当接壁23a、23a間、当接壁24a、24a間には、凹所23b、24bが確保されている。
【0014】
図2に示すように、端面板30には、光クロージャ10に引き込む光ファイバケーブル1の導入用の主ケーブル導入孔33と、光ドロップケーブル2の導入用のドロップケーブル挿通溝34とが形成されている。
【0015】
主ケーブル導入孔33は、該端面板30を、該端面板30の厚み方向に貫通する貫通孔である。この主ケーブル導入孔33は、左右一対の端面板半体31、32を閉じ合わせた際の接合境界に形成されており、左右の端面板半体31、32の開閉により開閉できる。 図2等に例示した光クロージャ10の端面板30においては、前記主ケーブル導入孔33は、各端面板半体31、32の合わせ面31a、32aから窪む半円状の切欠31c、32c同士が合体して形成される断面円形の孔であり、端面板半体31、32の接合境界に沿った複数箇所(つまり、上下方向の複数箇所)に形成されている。
クロージャスリーブ20の左右の側板部23、24を閉じ合わせて、左右一対の端面板半体31、32の間に光ファイバケーブル1を該光ファイバケーブル1の外周に配置したパッキン4とともに保持した端面板30を左右両側から挟み込み、側板部23、24の下端同士を締結具25で締結することで、パッキン4によって、主ケーブル導入孔33の防水性(あるいは防滴性)が確保される。
【0016】
また、図2において、符号37は支持線挿通孔であり、端面板30に形成されている。
この支持線挿通孔37は、端面板30の上部にて、主ケーブル導入孔33よりも上側に形成されている。また、この支持線挿通孔37は、主ケーブル導入孔33と同様に、左右の端面板半体31、32の合わせ面31a、32aから窪む凹部を一体化して形成されるものであり、左右の端面板半体31、32の開閉により開閉される。
この光クロージャ10は、クロージャスリーブ20の軸方向両端の端面板30の支持線挿通孔37に貫通させて引き通した支持線5に吊支して、架空設置される。
【0017】
ドロップケーブル挿通溝34は、片方の端面板半体(ここでは、図2中、左側の端面板半体31)の、合わせ面31aとは反対側の側部に上下多段に形成されている。
具体的には、図4(a)−(c)、図5(b)に示すように、端面板半体31の側部には、該端面板半体31の側面31d(合わせ面31aとは反対側の側面)から窪む凹部である防滴凹部31eと、該防滴凹部31eを介して前記端面板30の厚み方向両側に突設されたリブ状突壁39a、39bと、前記防滴凹部31e内に突設された薄板状の遮蔽フィン31h及び係止片31i、31jとが形成されている。前記防滴凹部31eを介して両側の前記リブ状突壁39a、39bのそれぞれには、前記ドロップケーブル挿通溝34の両端として機能するスロット溝39a1、39b1が形成されている。
【0018】
なお、ここで例示した端面板半体31は、リブ状突壁39a、39b、遮蔽フィン31h(詳細には、複数の遮蔽フィン31hに分割されている縦フィン31H)、係止片31i、31jを含む全体が、合成樹脂で一体に形成された一体成形品になっている。
リブ状突壁39a、39b、遮蔽フィン31h、係止片31i、31jは、切欠31cが形成されているブロック状の半体ブロック部31qの側部に突設された突片である。
但し、端面板半体31は、必ずしも、樹脂一体成形品である構成に限定されない。例えば、半体ブロック部31qの側部に、半体ブロック部31qとは別体の遮蔽フィンを取り付けた構成等も採用可能である。
【0019】
前記端面板半体31の厚み方向両側のリブ状突壁39a、39bについて、端面板30(端面板半体31)の厚み方向両側の端面の内、光クロージャ10の外面側の端面(以下、外端面とも言う)の側にあるリブ状突壁39aを、以下、第1リブ状突壁39a、端面板30(端面板半体31)の厚み方向両側の端面の内、光クロージャ10(詳細には外装ケース40)の内部空間Sに臨む側の端面(以下、内端面とも言う)の側にあるリブ状突壁39bを、以下、第2リブ状突壁32gと言う場合がある。
【0020】
図7は、光ドロップケーブル2の断面構造の一例を示す。
図7において、光ドロップケーブル2は、光ファイバ2a及び該光ファイバ2aの両脇に配置した抗張力体2bを被覆樹脂2c中に埋設して一括被覆した断面矩形状の光ファイバエレメント部2dと、この光ファイバエレメント部2dの側部に添設された金属線2eを前記光ファイバエレメント部2dから延長した前記被覆樹脂2cによって被覆した支持線部2fとを具備している。
光ファイバエレメント部2dと支持線部2fとの間は、前記被覆樹脂2cの薄肉部2gを介して繋がっており、薄肉部2gを切り裂くように切断することで、支持線部2fを光ファイバエレメント部2dから分離できる。支持線部2fは、本発明に係る支持線として機能する。
光ファイバ2aは、光ファイバエレメント部2dの断面中央部に埋設されており、光ファイバエレメント部2dを、前記光ファイバ2aを介して両側に形成されたノッチ2hから、それぞれ抗張力体2bを埋設した2つのエレメント半体に分割することで、光ファイバ2aを露出させることができる。
【0021】
前記光ファイバ2aとしては、ここでは、光ファイバ素線であるが、例えば、単心の光ファイバ心線、多心の光ファイバテープ心線などであっても良い。また、被覆樹脂2c中に埋設する光ファイバ2aの本数は1本(図示例では1本の光ファイバ素線)に限定されず、複数本であっても良い。
抗張力体2bは、光ファイバ2aに沿って縦添えされた線条体であり、その材質は、例えばFRP等である。
支持線部2fの金属線2eとしては、例えば鋼線等が用いられる。但し、支持線部2fとしては、被覆樹脂2cで被覆する芯材として金属線2eを採用したものに限定されず、前記芯材としては、例えば、FRP製線材等、様々なものを採用できる。
なお、光ドロップケーブル2としては、光ファイバエレメント部から支持線部を分離できるものであれば良く、上述の構成のものに限定されず、周知の各種構成のものを採用できる。
【0022】
この光ドロップケーブル2は、全体として、断面形状が扁平の細い光ファイバケーブルであり、リブ状突壁39a、39bのスロット溝39a1、39b1に通すと、スロット溝39a1、39b1を塞いで、防滴性を確保できる。
スロット溝39a1、39b1は、光ドロップケーブル2を通したときに、防滴性が確保できるように、光ドロップケーブル2の断面形状に近い、断面矩形に形成された溝である。
【0023】
図4(a)−(c)、図5(b)等に示すように、前記防滴凹部31eは、前記ドロップケーブル挿通溝34の内、両端のスロット溝39a1、39b1の間に位置する部分を拡張した挿通溝拡張部として機能する。但し、図示例の端面板半体31では、前記防滴凹部31eは、上下多段の各ドロップケーブル挿通溝34の防滴凹部同士が連続して、端面板半体31の側部に上下方向に延在する1本の溝状に形成されている。
1本のドロップケーブル挿通溝34の両端のスロット溝39a1、39b1は、リブ状突壁39a、39bの前記防滴凹部31eを介して対応する位置に形成されており、防滴凹部31eを介して互いに連通されている。
【0024】
図示例の端面板半体31において、前記防滴凹部31e内には、該防滴凹部31eに沿って上下に延びる縦フィン31Hが突設されており、前記縦フィン31Hが、長手方向複数箇所に形成したスリット31h1によって、複数の前記遮蔽フィン31hに分割されている。
各遮蔽フィン31hは、ドロップケーブル挿通溝34の両端の前記スロット溝39a1、39b1間を結ぶ直線を横切るように設けられている。また、各遮蔽フィン31hは、1本のドロップケーブル挿通溝34の両端として機能する前記スロット溝39a1、39b1の間に1つづつ設けられている。
各遮蔽フィン31hは、薄い板状の弾性片であり、第1リブ状突壁39aのスロット溝31a1から光クロージャ10の内部空間Sに向けて挿入した光ドロップケーブル2によって、押し倒すように弾性変形させることができる。
【0025】
前記縦フィン31Hは、端面板半体31の側部にて上下に延在形成された溝状の防滴凹部31eの溝幅方向中央部、換言すれば、防滴凹部31eにおける端面板半体31の厚み方向の中央部(さらに言えば、ドロップケーブル挿通溝34の両端のスロット溝39a1、39b1)に、防滴凹部31eを、クロージャスリーブ20の軸方向において、クロージャ内側とクロージャ外側とに区分けするように設けられている。
【0026】
係止片31i、31jは、防滴凹部31e内にて、縦フィン31Hを介して、端面板30(端面板半体31)の厚み方向両側に、それぞれ設けられている。また、係止片31i、31jは、1本のドロップケーブル挿通溝34の両端として機能する前記スロット溝39a1、39b1の組に対応して、上下多段に設けられている。縦フィン31Hを介して、端面板30(端面板半体31)の厚み方向両側に設けられた係止片31i、31jの組は、縦フィン31Hの上下多段の遮蔽フィン31hに対応して、上下多段になっている。
【0027】
図3、図4(a)−(c)に示すように、前記係止片31i、31jは、第1、第2リブ状突壁39a、39bの間にて、端面板半体31の側部に突設された弾性爪である。
図6に示すように、前記係止片31i、31jは、端面板半体31の半体ブロック部31qから突出する板状の弾性片31kと、この弾性片31kの端面板半体31からの突出先端に該弾性片31kの側部に張り出すように突出する突起状の係止突爪31mとを具備している。
【0028】
端面板半体31の側部に上下多段に設けられている係止片31i、31jの弾性片31kは、リブ状突壁39a、39bのスロット溝39a1、39b1を避けた位置に突設されており、上下に隣り合う係止片31iの弾性片31k間、並びに、上下に隣り合う係止片31jの弾性片31k間、に確保された隙間が、リブ状突壁39a、39bのスロット溝39a1、39b1と連通する溝状になっている。
この係止片31iの弾性片31k同士間、係止片31jの弾性片31k同士間に確保された溝状の隙間を、以下、ドロップケーブル用補助溝とも言う。なお、このドロップケーブル用補助溝について、区別のため、係止片31iの弾性片31k同士間に位置するものに符号31n、係止片31jの弾性片31k同士間に位置するものに符号31oを付すこととする。
このドロップケーブル用補助溝31n、31oも、ドロップケーブル挿通溝34の一部として機能する。
【0029】
なお、係止片31i、31jとしては、板状の弾性片31kの先端に係止突爪31mを具備する構成に限定されず、例えば、円柱状、角柱状の柱状の突起状の弾性片31kの先端に係止突爪31mを具備する構成等も採用可能である。
【0030】
各係止片31i、31jの係止突爪31mは、図4(b)、(c)に示すように、弾性片31kからの突出方向が揃えられており(ここでは、下向きに揃えている)、弾性片31kからの突出先端が、下側の係止片31i,31jの弾性片31kに近接されている。
但し、図4(b)、(c)、図5(b)に示すように、最下段の係止片31i、31jの係止突爪31mの弾性片31kからの突出先端は、最下段のスロット溝39a1、39b1の下側(図4(b)、(c)、図5(b)下側)にて、端面板半体31の半体ブロック部31qから突出された突壁31pに近接されている。突壁31pは、半体ブロック部31qから突出された板状突片であり、最下段の係止片31i、31jの下側に間隔を空けて突設されている。
最下段の係止片31i、31jについては、当該係止片31i、31jの弾性片31kと突壁31pとの間に、最下段のスロット溝39a1、39b1に連通するドロップケーブル用補助溝31n、31oとして機能する隙間が確保されており、本明細書では、この隙間についてもドロップケーブル用補助溝31n、31oとして扱うこととする。
【0031】
各係止片31i、31jは、防滴凹部31e内にドロップケーブル用補助溝31nを形成するとともに、ドロップケーブル用補助溝31nに挿入された光ドロップケーブル2を、係止突爪31mによって、ドロップケーブル用補助溝31nから離脱しないように引き留める脱落防止機能を果たす。
また、係止片31i、31jは、遮蔽フィン31hを押圧する光ドロップケーブル2を大きく湾曲させず、ほぼ直線状(直線状を含む)の状態を保つようにする機能も果たす。
【0032】
つまり、端面板30の外端面側のリブ状突壁39aのスロット溝39a1からの押し込みによって、ドロップケーブル挿通溝34に導入された光ドロップケーブル2は、係止片31iに係るドロップケーブル用補助溝31nを通り、縦フィン31Hの上下多段の遮蔽フィン31hの内、当該光ドロップケーブル2を通したドロップケーブル用補助溝31nに対応する遮蔽フィン31hを押圧して押し倒して、係止片31jに係るドロップケーブル用補助溝31o、スロット溝39b1の順に通されて、光クロージャ10の外装ケース40の内部空間Sに導入されるが、外端面側のリブ状突壁39aのスロット溝39a1から押し込んだ光ドロップケーブル2は、その先端が遮蔽フィン31hを押圧する際の押圧力によって曲げ応力を受ける。係止片31i先端の係止突爪31mは、光ドロップケーブル2が、遮蔽フィン31hを押圧する際の押圧力によって作用する曲げ応力で、ドロップケーブル挿通溝34(詳細にはドロップケーブル用補助溝31o)から大きく浮き上がるように湾曲してしまうことを防止する。
これにより、光ドロップケーブル2の座屈を防止できるとともに、外装ケース40外側からドロップケーブル挿通溝34への光ドロップケーブル2の押し込み力が、遮蔽フィン31hの押し倒しに効率良く働くようになる。
【0033】
外装ケース40を組み立てると、図3に示すように、クロージャスリーブ20の側板部23の当接壁23a、23a間に確保された凹所23bと前記防滴凹部31eとによって、クロージャスリーブ20の側板部23と端面板半体31とに囲まれた防滴空間S1が構成される。
リブ状突壁39a、39bよりも端面板半体31の外側へ張り出すように突出している縦フィン31Hと係止片31i、31jとは、端面板半体31からの突出先端が、クロージャスリーブ20の側板部23の当接壁23a、23a間の前記凹所23bに収納される。
【0034】
但し、図示例の光クロージャ10では、端面板半体31を収納する側板部23の当接壁23a、23a間において、クロージャスリーブ20の軸方向に互いに離隔した2箇所に突設された突壁23c1、23c2によって、凹所23bが、3つの分割凹所23b1、23b2、23b3に分割されている。
そして、中央の分割凹所23b2に縦フィン31H(遮蔽フィン31h)の先端が収納され、中央の分割凹所23b2の両側の分割凹所23b1、23b3に係止片31i、31jの先端が収納される。2つの突壁23c1、23c2は、縦フィン31Hと該縦フィン31Hの両側の係止片31i、31jとの間の隙間に差し込むようにして介挿される。
【0035】
縦フィン31Hは、一対の係止片31i、31j間にて、第1リブ状突壁39a側の係止片31i寄りに設けられており、2つの突壁23c1、23c2の内、第1リブ状突壁39a、係止片31iに近い側の突壁23c1に近接配置される。
このため、端面板半体31の半体ブロック部31qと突壁23c1との間の隙間が、縦フィン31Hによって塞がれるようになり、第1リブ状突壁39aのスリット溝39a1からの浸水が遮断され、外装ケース40の内部空間Sの防水性(防滴性)が確保される。
【0036】
縦フィン31Hと突壁23c2との間には、第1リブ状突壁39a(端面板30の外端面側のリブ状突壁39a)のスロット溝39a1から挿入された光ドロップケーブル2に押圧されて押し倒された遮蔽フィン31hが突壁23c2との接触を回避できるクリアランスが確保され、これにより、光ドロップケーブル2による遮蔽フィン31hの押し倒しが可能になっている。
なお、光ドロップケーブル2によって押し倒された遮蔽フィン31hは、自身の弾性によって、光ドロップケーブル2との接触状態を保つため、これにより、光クロージャ10の防滴性の確保にも寄与する。
【0037】
図3では、縦フィン31H及び係止片31i、31jの、端面板半体31からの突出先端が、クロージャスリーブ20の内面に接触しない構成を例示したが、クロージャスリーブ20の内面に接触する構成を排除するものでは無い。
また、縦フィン31Hについては、端面板半体31からの突出先端が、クロージャスリーブ20内面に接触していれば、防滴空間S1の、端面板30の外端面側のスリット溝39a1からの浸水を遮断して、外装ケース40の内部空間Sの防水性(防滴性)を確保する機能の点で好ましい。但し、この場合、縦フィン31Hの端面板半体31からの突出先端とクロージャスリーブ20内面との接触は、光ドロップケーブル2による遮蔽フィン31hの押圧によって簡単に解除でき、光ドロップケーブル2による遮蔽フィン31hの押し倒しの支障にならないようにすることは言うまでも無い。
【0038】
端面板30を構成する反対側の端面板半体32については、図3に示すように、クロージャスリーブ20の側板部24の内面に突設された当接壁23a、24aが当接される、リブ状突壁39a、39bが厚み方向両端に突設されていることは端面板半体31と同様であるが、リブ状突壁39a、39bにはスロット溝は形成されていない。また、遮蔽フィン、係止片も形成されていない。
但し、本発明においては、端面板半体31と同様に、スロット溝、遮蔽フィン、係止片を具備する左右一対の端面板半体同士を接合してなる構成の端面板も採用可能である。
【0039】
図5(a)、(b)に示すように、端面板半体31の外端面側には、端面板30の主ケーブル導入孔33を塞ぐための、開閉自在の蓋35が設けられている。この蓋35は、該端面板半体31を構成する成形樹脂を薄肉に形成したヒンジ部36によって、端面板半体ブロック31qに対して回転自在に設けられ、主ケーブル導入孔33を開閉できる。
この蓋35は、例えば、粘着テープ等を利用して主ケーブル導入孔33を塞いだ状態を維持するようにしても良いが、主ケーブル導入孔33を塞いだ状態を維持するための構成としては、例えば、主ケーブル導入孔33の開口部への離脱可能な嵌め込み、係合爪による係脱可能な係合、等も採用できる。
この実施形態では、蓋35及びヒンジ部36も一体成形された合成樹脂製の端面板半体31を例示しているが、本発明はこれに限定されず、蓋35及びヒンジ部36の内の少なくとも蓋35が、端面板半体31とは別体になっている構成も採用可能である。
【0040】
この光クロージャ10にあっては、光ドロップケーブル2の導入作業(導入方法)は、既述のように、端面板30の外端面側からスリット溝39a1への光ドロップケーブル2の押し込みによって実現されるが、この押し込み作業を、クロージャスリーブ20の取り外しによって端面板半体31の側部を露出させた状態で行う場合は、端面板半体31の側部のドロップケーブル挿通溝34に手指や工具を挿入できるため、ドロップケーブル挿通溝34の途中での光ドロップケーブル2の引っ掛かりを解消するといったことも容易に行える。このため、ドロップケーブル挿通溝34に光ドロップケーブル2を挿通する作業を、効率良く、確実に実現できる。
【0041】
また、この光クロージャ10によれば、弾性爪である係止片31i、31jを弾性変形させることで、端面板半体31の側部のドロップケーブル挿通溝34に対する光ドロップケーブル2の出し入れが可能である。
このため、端面板半体31の側部からクロージャスリーブ20を離脱してドロップケーブル挿通溝34を開放した状態において、上下多段のドロップケーブル挿通溝34に対する光ドロップケーブル2の取り出し、入れ替え等の作業を効率良く行える、といった利点がある。
【0042】
図4(c)、図5(b)、図6に示すように、係止片31i、31jの係止突爪31mは、端面板半体31の半体ブロック部31qに臨む側面(係止面31m1)が、弾性片31kの側面から垂直に立ち上がる垂直面、あるいは、弾性片31kの側面から半体ブロック部31qの側へ斜めに立ち上がる傾斜面になっているが(図示例では垂直面)、この係止面31m1とは反対の側は、弾性片31kの端面板半体31からの突出先端から突出基端側に行くに従って、弾性片31kの側面からの突出量が次第に増大するテーパ状に形成されている。このため、光ドロップケーブル2を端面板半体31の側方からドロップケーブル挿通溝34に押し込む作業を、弾性片31kの突出先端から係止突爪31mの弾性片31kからの突出先端までのテーパ部分が形成する傾斜面31m2に沿った押し込みによって、係止片31i、31jを弾性変形させながら、円滑に行える。
【0043】
端面板半体31の外端面側のリブ状突壁39aのスロット溝39a1は、外装ケース40全体、光クロージャ10全体を組み立てたときには、クロージャスリーブ20と端面板半体31との間に確保された小孔になる。
光ドロップケーブル2を挿通していない空きのドロップケーブル挿通溝34は、遮蔽フィン31hによって浸水が防止され、防水性(ここでは防滴性)が確保される。
光ドロップケーブル2を挿通済みのドロップケーブル挿通溝34は、端面板半体31の外端面側のリブ状突壁39aのスロット溝39a1が光ドロップケーブル2自体によって塞がれるため、防水性(防滴性)が確保される。また、光ドロップケーブル2によって押し倒された遮蔽フィン31hが光ドロップケーブル2に接触した状態を保つことも、防水性(防滴性)の向上に寄与する。
【0044】
端面板半体31の外端面側のリブ状突壁39aの空きのスロット溝39a1からドロップケーブル挿通溝34に進入した水は、防滴空間S1に到達したところで、防滴空間S1内を下降して、上下多段のスロット溝39a1、39b1の最下段の下側に確保された水受け空間38に流れ落ちる。
このため、各ドロップケーブル挿通溝34では、雨水等の水の滞留が防止され、例えば、空きのドロップケーブル挿通溝34への光ドロップケーブル2の挿通時に、ドロップケーブル挿通溝34内に滞留していた水が、光ドロップケーブル2とともに、外装ケース40の内部空間Sに入り込むといった不都合も防止できる。
【0045】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、適宜、変更が可能である。
本発明の適用対象の光クロージャとしては、上述の実施形態のように、断面矩形の筒状に組み立てられるクロージャスリーブと、このクロージャスリーブの両端に設けられた端面板とで構成される外装ケース内に、光ファイバケーブルの光ファイバと光ドロップケーブルの光ファイバとを接続した接続部を収納する構成の光クロージャに限定されず、例えば、軸方向一端側に有底部、他端側に開口部を具備する有底筒状に組み立てられる半割り構造のクロージャスリーブと、このクロージャスリーブの開口部に設けられる端面板とで構成される外装ケースを具備する構成の、いわゆるポット形の光クロージャにも適用可能である。
クロージャスリーブとしては、上述の実施形態に例示した樹脂一体成形品に限定されず、例えば、互いに別体の2つのスリーブ半体からなる、半割り構造のものであっても良い。
また、外装ケースとしては、断面矩形のものに限定されず、例えば、断面円形のクロージャスリーブと、円板状の端面板とで構成されるもの等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の1実施形態の光クロージャの内部構造を示す正面図である。
【図2】図1の光クロージャを軸方向両端の端面板の片方の側から見た側面図である。
【図3】図1の光クロージャを軸方向端部付近の平断面図である。
【図4】図2の二つ割り構造の端面板の片方の端面板半体の構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図5】(a)、(b)は、図4(a)−(c)の端面板半体の構造を示す斜視図である。
【図6】図4(a)−(c)の端面板半体のドロップケーブル挿通溝付近を示す拡大斜視図である。
【図7】光ドロップケーブルの断面構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1…光ファイバケーブル、1a…光ファイバ、2…光ドロップケーブル、2a…光ファイバ、3…接続部、10…光クロージャ、30…端面板、31、32…端面板半体、31a、32a…合わせ面、31d…側面、31e…防滴凹部、39a、39b…リブ状突壁、39a1、39b1…スロット溝、31H…縦フィン(遮蔽フィン)、31h…遮蔽フィン、31i、31j…係止片、33…主ケーブル導入孔、34…ドロップケーブル挿通孔、35…蓋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブル(1)と該光ファイバケーブルから分岐する光ドロップケーブル(2)との接続部(3)を収納する光クロージャであって、
開閉自在のクロージャスリーブ(20)と、前記光ファイバケーブルの導入用の主ケーブル導入孔(33)が形成され、前記クロージャスリーブの軸方向端部の内側に設けられる端面板(30)とを具備し、
前記端面板の側面(31d)に、前記光ドロップケーブルの導入用のドロップケーブル挿通溝(34)が、複数並列に形成されていることを特徴とする光クロージャ(10)。
【請求項2】
前記端面板は、左右一対の端面板半体(31、32)からなる半割り構造であり、
前記ドロップケーブル挿通溝が、端面板半体における、端面板半体同士の合わせ面(31a、32a)とは反対側の側面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光クロージャ。
【請求項3】
前記端面板の左右両側あるいは片側の側部に、前記端面板の側面から窪む凹部である防滴凹部(31e)と、該防滴凹部を介して前記端面板の厚み方向両側に突設され、前記クロージャスリーブの内面が当接されるリブ状突壁(39a、39b)と、前記防滴凹部内に突設された薄板状の遮蔽フィン(31h)とを有し、前記防滴凹部を介して両側の前記リブ状突壁のそれぞれに形成され前記ドロップケーブル挿通溝の両端として機能するスロット溝(39a1、39b1)同士が、前記防滴凹部を介して連通され、
前記遮蔽フィンは、前記ドロップケーブル挿通溝の両端の前記スロット溝の間を遮るように設けられ、クロージャ外側から前記ドロップケーブル挿通溝に挿入した光ドロップケーブルによって押し倒されるようになっていることを特徴とする請求項1又は2記載の光クロージャ。
【請求項4】
前記防滴凹部が、前記端面板の側部に上下方向に延在する溝状に形成され、
該防滴凹部に沿って延在する前記防滴凹部の両側の前記リブ状突壁に、前記ドロップケーブル挿通溝が上下多段に形成され、
前記遮蔽フィンが、前記防滴凹部を介して対をなすドロップケーブル挿通溝毎に、上下多段に設けられていることを特徴とする請求項3記載の光クロージャ。
【請求項5】
さらに、前記ドロップケーブル挿通溝に通された光ドロップケーブルを係脱可能に係止して前記ドロップケーブル挿通溝からの脱落を防止するための係止片(31i、31j)が、前記防滴凹部内に突設されていることを特徴とする請求項3又は4記載の光クロージャ。
【請求項6】
前記端面板は、左右一対の端面板半体(31、32)からなる半割り構造であり、
前記ドロップケーブル挿通溝が、端面板半体における、端面板半体同士の合わせ面(31a、32a)とは反対側の側面に形成され、
前記ドロップケーブル挿通溝が形成された前記端面板半体は、前記リブ状突壁及び前記遮蔽フィンが一体に形成された合成樹脂製の一体成形品であることを特徴とする請求項3−5のいずれかに記載の光クロージャ。
【請求項7】
前記遮蔽フィンが、弾性変形可能な薄板であることを特徴とする請求項1−6のいずれかに記載の光クロージャ。
【請求項8】
前記端面板に、前記主ケーブル導入孔を開閉する蓋(35)が設けられていることを特徴とする請求項1−7のいずれかに記載の光クロージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−26388(P2008−26388A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195793(P2006−195793)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】