光クロージャ
【課題】小型化を図りつつ、作業性を確保することができる光クロージャを提供する。
【解決手段】光クロージャ1は、光幹線ケーブル2を収容する筐体3と、筐体3の両端部に取り付けられ、光幹線ケーブル2を固定する光幹線ケーブル固定具6と、筐体3の上側に配置され、光幹線ケーブル2の内部から取り出された光ファイバ12の余長を収納する収納トレイ9と、筐体3の下側に配置され、複数本のドロップケーブル20を保持するドロップケーブルホルダ10と、筐体3の正面側に配置され、光ファイバ12とドロップケーブル20とを接続するための光アダプタ23を保持するアダプタホルダ11とを備えている。収納トレイ9及びドロップケーブルホルダ10は、筐体3の背面部に回動可能に取り付けられている。アダプタホルダ11は、収納トレイ9の前面部に回動可能に取り付けられている。
【解決手段】光クロージャ1は、光幹線ケーブル2を収容する筐体3と、筐体3の両端部に取り付けられ、光幹線ケーブル2を固定する光幹線ケーブル固定具6と、筐体3の上側に配置され、光幹線ケーブル2の内部から取り出された光ファイバ12の余長を収納する収納トレイ9と、筐体3の下側に配置され、複数本のドロップケーブル20を保持するドロップケーブルホルダ10と、筐体3の正面側に配置され、光ファイバ12とドロップケーブル20とを接続するための光アダプタ23を保持するアダプタホルダ11とを備えている。収納トレイ9及びドロップケーブルホルダ10は、筐体3の背面部に回動可能に取り付けられている。アダプタホルダ11は、収納トレイ9の前面部に回動可能に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばFTTHユーザー宅内へ光ケーブルを引き込むための架空用の光クロージャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光クロージャとしては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の光クロージャは、連結棒の両端部に取り付けられたケーブル把持金具及びドロップケーブル把持部と、連結棒の両端部間に取り付けられた接続部収納トレイとを備え、接続部収納トレイには、幹線光ケーブルから取り出した光ファイバとドロップケーブルの光ファイバとをコネクタ接続するための4つのアダプタが幅方向に並べて取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−8960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、光クロージャの幅寸法が大きくならざるを得ない。このため、光クロージャを架空に設置したときに、光クロージャがFTTHユーザー宅内からの景観を損ねることがある。
【0005】
本発明の目的は、小型化を図りつつ、作業性を確保することができる光クロージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光クロージャは、複数の光ファイバを内蔵した光幹線ケーブルを収容する筐体と、光幹線ケーブルを筐体に固定する光幹線ケーブル固定部と、筐体の上側に配置され、光幹線ケーブルの内部から取り出された光ファイバの余長を収納する収納トレイと、筐体の下側に配置され、光ファイバと接続される引き込みケーブルを保持する引き込みケーブルホルダと、筐体の正面側に配置され、光ファイバと引き込みケーブルとを接続するためのアダプタを保持するアダプタホルダとを備え、アダプタホルダは、収納トレイに回動可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明の光クロージャにおいては、収納トレイを筐体の上側に配置し、引き込みケーブルホルダを筐体の下側に配置し、アダプタホルダを筐体の正面側に配置することにより、光クロージャの幅寸法及び高さ寸法を必要以上に大きくしなくて済み、光クロージャを小型化することができる。
【0008】
また、収納トレイを筐体の上側に配置することで、光幹線ケーブルの内部から取り出された光ファイバの余長を収納トレイに収納しやすくなる。引き込みケーブルホルダを筐体の下側に配置することで、ユーザー宅内に向けて引き込みケーブルを引き出しやすくなる。アダプタホルダを筐体の正面側に配置することで、アダプタに対するコネクタの挿抜が行いやすくなる。さらに、アダプタホルダを収納トレイに回動可能に取り付けることにより、アダプタホルダを筐体の上側に向けて回動させることで、筐体の正面側から見て筐体の内部全体が露出されるようになるため、筐体内に収容された光幹線ケーブルの光ファイバへのアクセスが行いやすくなる。以上により、光クロージャに対する作業性を確保することができる。
【0009】
好ましくは、収納トレイは、筐体の背面部に回動可能に取り付けられている。この場合には、収納トレイを筐体の上側に向けて回動させることで、筐体の正面側からの筐体内に対する作業スペースが広くなるため、筐体内に収容された光幹線ケーブルの光ファイバへのアクセスが更に行いやすくなる。これにより、光クロージャに対する作業性を十分確保することができる。
【0010】
また、好ましくは、引き込みケーブルホルダは、筐体の背面部に回動可能に取り付けられている。この場合には、引き込みケーブルホルダを筐体の下側に向けて回動させることで、筐体の正面側からの筐体内に対する作業スペースが広くなるため、筐体内に収容された光幹線ケーブルの光ファイバへのアクセスが更に行いやすくなる。また、引き込みケーブルホルダにおける引き込みケーブルの引き回しも行いやすくなる。以上により、光クロージャに対する作業性を十分確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光クロージャの小型化を図りつつ、光クロージャに対する作業性を確保することができる。このように光クロージャの小型化が図れるので、架空に設置された光クロージャがユーザー宅内からの景観を損ねることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係わる光クロージャの一実施形態の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した光クロージャを反対側から見たときの外観を示す斜視図である。
【図3】図1に示した光クロージャの正面図である。
【図4】図1に示した光クロージャの平面図である。
【図5】図1に示した光クロージャの底面図である。
【図6】図1に示した収納トレイの蓋部が開いた状態の外観を示す斜視図である。
【図7】図1に示した光クロージャの各状態を示す側面図である。
【図8】図1に示した収納トレイが筐体に対して上方に回動した状態の外観を示す斜視図である。
【図9】図8に示した光クロージャを反対側から見たときの外観を示す斜視図である。
【図10】図1に示したアダプタホルダが収納トレイに対して上方に回動すると共にドロップケーブルホルダが筐体に対して下方に回動した状態の外観を示す斜視図である。
【図11】図10に示した光クロージャを反対側から見たときの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係わる光クロージャの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係わる光クロージャの一実施形態の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示した光クロージャを反対側から見たときの外観を示す斜視図である。図3は、図1に示した光クロージャの正面図であり、図4は、図1に示した光クロージャの平面図であり、図5は、図1に示した光クロージャの底面図である。各図において、本実施形態の光クロージャ1は、FTTHユーザー宅内へドロップケーブルを引き込むための架空用ドロップクロージャである。
【0015】
光クロージャ1は、光幹線ケーブル2を収容する断面略U字状の筐体3を備えている。筐体3の背面部(開放側とは反対側の部位)には、2つの突出部4及び2つの突出部5が設けられている。
【0016】
筐体3の両端部には、光幹線ケーブル2を固定する光幹線ケーブル固定具6がそれぞれ取り付けられている。光幹線ケーブル固定具6は、下部ネジ部7の上端に取り付けられた基台部(図示せず)と、上部ネジ部8の下端に取り付けられたケーブル押さえ部(図示せず)とを有し、基台部に光幹線ケーブル2を載せた状態で、上部ネジ部8を下方にねじ込んでケーブル押さえ部により光幹線ケーブル2を基台部7に対して押し付けることで、光幹線ケーブル2を筐体3に固定する。
【0017】
また、光クロージャ1は、筐体3の上側に配置された収納トレイ9と、筐体3の下側に配置されたドロップケーブルホルダ10と、筐体3の正面側(開放側)に配置された2つのアダプタホルダ11とを備えている。
【0018】
収納トレイ9は、図6に示すように、光幹線ケーブル2の内部から取り出された光ファイバ12の余長を収納する箱型のトレイ本体13と、このトレイ本体13にヒンジ部14を介して開閉可能に設けられ、トレイ本体13の内部を覆う蓋部15とを有している。収納トレイ9は、例えば半透明材料で形成されている。トレイ本体13には、光ファイバ12の余長を押さえるための複数の舌片16が設けられている。蓋部15の先端には、トレイ本体13の底面に引っ掛かる3つのフック部17が設けられている。
【0019】
トレイ本体13の底面には、筐体3の各突出部4に回転軸を介して連結された2つの突出部18が設けられている。従って、収納トレイ9は、図7〜図9に示すように、筐体3の背面部に回動可能に取り付けられていることとなる。また、トレイ本体13の前面には、1対の突出部19が左右両側に2組ずつ設けられている。
【0020】
ドロップケーブルホルダ10は、複数本(ここでは4本)のドロップケーブル20を引き回すように保持する断面略U状の部材である。ドロップケーブルホルダ10には、ドロップケーブル20を押さえるための複数の舌片21が設けられている。
【0021】
ドロップケーブルホルダ10の背面部には、上方に延びる2つの突出部22が設けられている。これらの突出部22は、筐体3の各突出部5に回転軸を介して連結されている。従って、ドロップケーブルホルダ10は、図7、図10及び図11に示すように、筐体3の背面部に回動可能に取り付けられていることとなる。
【0022】
アダプタホルダ11は、4つのコネクタ差込部23a(図7参照)を有する2連の光アダプタ23を保持する部材である。光アダプタ23は、光幹線ケーブル2の内部から取り出された光ファイバ12が組み付けられた光コネクタプラグ24と、ドロップケーブル20が組み付けられた光コネクタプラグ25とを接続するコネクタ部品である。
【0023】
アダプタホルダ11の上部には、トレイ本体13の各突出部19に回転軸を介して連結された1対の突出部26が設けられている。従って、アダプタホルダ11は、図7、図10及び図11に示すように、収納トレイ9の前面部に回動可能に取り付けられていることとなる。
【0024】
以上のような光クロージャ1においては、光幹線ケーブル2の外被が除去されて複数本の光ファイバ12が露出した状態となっている。これらの光ファイバ12の余長は、収納トレイ9に収納される。そして、光ファイバ12の端部に組み付けられた光コネクタプラグ24が光アダプタ23の一方側のコネクタ差込部23aに差し込まれる。
【0025】
一方、複数本(ここでは4本)のドロップケーブル20は、光クロージャ1の一方側から導入され、ドロップケーブルホルダ10に引き回された状態で保持される。そして、ドロップケーブル20の端部に組み付けられた光コネクタプラグ25が光アダプタ23の他方側のコネクタ差込部23aに差し込まれる。これにより、光ファイバ12とドロップケーブル20とが光アダプタ23を介して接続されるようになる。
【0026】
このとき、光幹線ケーブル2から取り出された光ファイバ12に組み付けられた光コネクタプラグ24は、光アダプタ23における光クロージャ1の内側に対応するコネクタ差込部23aに差し込まれ、ドロップケーブル20に組み付けられた光コネクタプラグ25は、光アダプタ23における光クロージャ1の外側に対応するコネクタ差込部23aに差し込まれる。これにより、光クロージャ1内において光ファイバ12及びドロップケーブル20の引き回しが行いやすくなる。
【0027】
このような光クロージャ1は、保護用のカバーケース(図示せず)に覆われた状態で、架空に設置される。
【0028】
以上のように本実施形態にあっては、筐体3の上側に収納トレイ9を配置し、筐体3の下側にドロップケーブルホルダ10を配置し、筐体3の正面側にアダプタホルダ11を配置する。つまり、収納トレイ9、ドロップケーブルホルダ10及びアダプタホルダ11を筐体3の周りにスペース効率良く配置するようにしたので、光クロージャ1の小型化を図ることができる。これにより、光クロージャ1が架空に設置されたときに、光クロージャ1がユーザー宅内からの景観を損うことを抑制できる。
【0029】
このとき、収納トレイ9を筐体3の上側に配置することにより、光幹線ケーブル2から取り出された光ファイバ12の余長を収納トレイ9に収納する作業が行いやすくなる。また、ドロップケーブルホルダ10を筐体3の下側に配置することにより、ドロップケーブル20の引き出し位置が光幹線ケーブル2の下側となるため、ユーザー宅内へ向けてドロップケーブル20の引き出し作業が行いやすくなる。また、アダプタホルダ11を筐体3の正面側に配置することにより、光コネクタプラグ24,25を光アダプタ23に挿入・抜去する作業が行いやすくなる。
【0030】
また、アダプタホルダ11を収納トレイ9の前面部に回動可能に取り付け、収納トレイ9及びドロップケーブルホルダ10を筐体3の背面部に回動可能に取り付けることにより、追加工事を実施する際にも作業が行いやすくなる。
【0031】
具体的には、図10に示すように、アダプタホルダ11を収納トレイ9に対して上方に回動させることで、筐体3の正面側から見て筐体3の内部全体があらわになるため、筐体3内に存在する光ファイバ12が取り扱いやすくなる。また、例えば筐体3の真上に障害物等が無い場合には、図8に示すように、収納トレイ9を筐体3に対して上方に回動させることで、筐体3の正面側から見て筐体3の内部全体があらわになると共に、筐体3内に対する作業スペースが広くなるため、光ファイバ12の取り扱いを容易に行うことができる。さらに、ドロップケーブルホルダ10を筐体3に対して下方に回動させることで、筐体3内に対する作業スペースが広くなるため、光ファイバ12の取り扱いが容易に行えると共に、ドロップケーブルホルダ10においてドロップケーブル20を引き回す作業が行いやすくなる。
【0032】
また、アダプタホルダ11を収納トレイ9の前面部に回動可能に取り付けることにより、アダプタホルダ11の回動時に収納トレイ9から引き出されて光アダプタ23に接続された光ファイバ12の張力を最小限に抑えることができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、収納トレイ9及びドロップケーブルホルダ10が筐体3の背面部に回動可能に取り付けられた構造となっているが、特にそのような構成には限られず、収納トレイ9及びドロップケーブルホルダ10のいずれか一方のみが筐体3に対して回動可能であっても良いし、あるいは両者ともに筐体3に対して回動可能でなくても良い。
【0034】
また、上記実施形態では、幹線光ケーブル2から取り出された光ファイバ12とドロップケーブル20とを接続しているが、ユーザー宅内へ引き込まれる引き込みケーブルとしては、特にドロップケーブルには限られない。
【符号の説明】
【0035】
1…光クロージャ、2…光幹線ケーブル、3…筐体、6…光幹線ケーブル固定具(光幹線ケーブル固定部)、9…収納トレイ、10…ドロップケーブルホルダ(引き込みケーブルホルダ)、11…アダプタホルダ、12…光ファイバ、20…ドロップケーブル(引き込みケーブル)、23…光アダプタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばFTTHユーザー宅内へ光ケーブルを引き込むための架空用の光クロージャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光クロージャとしては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の光クロージャは、連結棒の両端部に取り付けられたケーブル把持金具及びドロップケーブル把持部と、連結棒の両端部間に取り付けられた接続部収納トレイとを備え、接続部収納トレイには、幹線光ケーブルから取り出した光ファイバとドロップケーブルの光ファイバとをコネクタ接続するための4つのアダプタが幅方向に並べて取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−8960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、光クロージャの幅寸法が大きくならざるを得ない。このため、光クロージャを架空に設置したときに、光クロージャがFTTHユーザー宅内からの景観を損ねることがある。
【0005】
本発明の目的は、小型化を図りつつ、作業性を確保することができる光クロージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光クロージャは、複数の光ファイバを内蔵した光幹線ケーブルを収容する筐体と、光幹線ケーブルを筐体に固定する光幹線ケーブル固定部と、筐体の上側に配置され、光幹線ケーブルの内部から取り出された光ファイバの余長を収納する収納トレイと、筐体の下側に配置され、光ファイバと接続される引き込みケーブルを保持する引き込みケーブルホルダと、筐体の正面側に配置され、光ファイバと引き込みケーブルとを接続するためのアダプタを保持するアダプタホルダとを備え、アダプタホルダは、収納トレイに回動可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明の光クロージャにおいては、収納トレイを筐体の上側に配置し、引き込みケーブルホルダを筐体の下側に配置し、アダプタホルダを筐体の正面側に配置することにより、光クロージャの幅寸法及び高さ寸法を必要以上に大きくしなくて済み、光クロージャを小型化することができる。
【0008】
また、収納トレイを筐体の上側に配置することで、光幹線ケーブルの内部から取り出された光ファイバの余長を収納トレイに収納しやすくなる。引き込みケーブルホルダを筐体の下側に配置することで、ユーザー宅内に向けて引き込みケーブルを引き出しやすくなる。アダプタホルダを筐体の正面側に配置することで、アダプタに対するコネクタの挿抜が行いやすくなる。さらに、アダプタホルダを収納トレイに回動可能に取り付けることにより、アダプタホルダを筐体の上側に向けて回動させることで、筐体の正面側から見て筐体の内部全体が露出されるようになるため、筐体内に収容された光幹線ケーブルの光ファイバへのアクセスが行いやすくなる。以上により、光クロージャに対する作業性を確保することができる。
【0009】
好ましくは、収納トレイは、筐体の背面部に回動可能に取り付けられている。この場合には、収納トレイを筐体の上側に向けて回動させることで、筐体の正面側からの筐体内に対する作業スペースが広くなるため、筐体内に収容された光幹線ケーブルの光ファイバへのアクセスが更に行いやすくなる。これにより、光クロージャに対する作業性を十分確保することができる。
【0010】
また、好ましくは、引き込みケーブルホルダは、筐体の背面部に回動可能に取り付けられている。この場合には、引き込みケーブルホルダを筐体の下側に向けて回動させることで、筐体の正面側からの筐体内に対する作業スペースが広くなるため、筐体内に収容された光幹線ケーブルの光ファイバへのアクセスが更に行いやすくなる。また、引き込みケーブルホルダにおける引き込みケーブルの引き回しも行いやすくなる。以上により、光クロージャに対する作業性を十分確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光クロージャの小型化を図りつつ、光クロージャに対する作業性を確保することができる。このように光クロージャの小型化が図れるので、架空に設置された光クロージャがユーザー宅内からの景観を損ねることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係わる光クロージャの一実施形態の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した光クロージャを反対側から見たときの外観を示す斜視図である。
【図3】図1に示した光クロージャの正面図である。
【図4】図1に示した光クロージャの平面図である。
【図5】図1に示した光クロージャの底面図である。
【図6】図1に示した収納トレイの蓋部が開いた状態の外観を示す斜視図である。
【図7】図1に示した光クロージャの各状態を示す側面図である。
【図8】図1に示した収納トレイが筐体に対して上方に回動した状態の外観を示す斜視図である。
【図9】図8に示した光クロージャを反対側から見たときの外観を示す斜視図である。
【図10】図1に示したアダプタホルダが収納トレイに対して上方に回動すると共にドロップケーブルホルダが筐体に対して下方に回動した状態の外観を示す斜視図である。
【図11】図10に示した光クロージャを反対側から見たときの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係わる光クロージャの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係わる光クロージャの一実施形態の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示した光クロージャを反対側から見たときの外観を示す斜視図である。図3は、図1に示した光クロージャの正面図であり、図4は、図1に示した光クロージャの平面図であり、図5は、図1に示した光クロージャの底面図である。各図において、本実施形態の光クロージャ1は、FTTHユーザー宅内へドロップケーブルを引き込むための架空用ドロップクロージャである。
【0015】
光クロージャ1は、光幹線ケーブル2を収容する断面略U字状の筐体3を備えている。筐体3の背面部(開放側とは反対側の部位)には、2つの突出部4及び2つの突出部5が設けられている。
【0016】
筐体3の両端部には、光幹線ケーブル2を固定する光幹線ケーブル固定具6がそれぞれ取り付けられている。光幹線ケーブル固定具6は、下部ネジ部7の上端に取り付けられた基台部(図示せず)と、上部ネジ部8の下端に取り付けられたケーブル押さえ部(図示せず)とを有し、基台部に光幹線ケーブル2を載せた状態で、上部ネジ部8を下方にねじ込んでケーブル押さえ部により光幹線ケーブル2を基台部7に対して押し付けることで、光幹線ケーブル2を筐体3に固定する。
【0017】
また、光クロージャ1は、筐体3の上側に配置された収納トレイ9と、筐体3の下側に配置されたドロップケーブルホルダ10と、筐体3の正面側(開放側)に配置された2つのアダプタホルダ11とを備えている。
【0018】
収納トレイ9は、図6に示すように、光幹線ケーブル2の内部から取り出された光ファイバ12の余長を収納する箱型のトレイ本体13と、このトレイ本体13にヒンジ部14を介して開閉可能に設けられ、トレイ本体13の内部を覆う蓋部15とを有している。収納トレイ9は、例えば半透明材料で形成されている。トレイ本体13には、光ファイバ12の余長を押さえるための複数の舌片16が設けられている。蓋部15の先端には、トレイ本体13の底面に引っ掛かる3つのフック部17が設けられている。
【0019】
トレイ本体13の底面には、筐体3の各突出部4に回転軸を介して連結された2つの突出部18が設けられている。従って、収納トレイ9は、図7〜図9に示すように、筐体3の背面部に回動可能に取り付けられていることとなる。また、トレイ本体13の前面には、1対の突出部19が左右両側に2組ずつ設けられている。
【0020】
ドロップケーブルホルダ10は、複数本(ここでは4本)のドロップケーブル20を引き回すように保持する断面略U状の部材である。ドロップケーブルホルダ10には、ドロップケーブル20を押さえるための複数の舌片21が設けられている。
【0021】
ドロップケーブルホルダ10の背面部には、上方に延びる2つの突出部22が設けられている。これらの突出部22は、筐体3の各突出部5に回転軸を介して連結されている。従って、ドロップケーブルホルダ10は、図7、図10及び図11に示すように、筐体3の背面部に回動可能に取り付けられていることとなる。
【0022】
アダプタホルダ11は、4つのコネクタ差込部23a(図7参照)を有する2連の光アダプタ23を保持する部材である。光アダプタ23は、光幹線ケーブル2の内部から取り出された光ファイバ12が組み付けられた光コネクタプラグ24と、ドロップケーブル20が組み付けられた光コネクタプラグ25とを接続するコネクタ部品である。
【0023】
アダプタホルダ11の上部には、トレイ本体13の各突出部19に回転軸を介して連結された1対の突出部26が設けられている。従って、アダプタホルダ11は、図7、図10及び図11に示すように、収納トレイ9の前面部に回動可能に取り付けられていることとなる。
【0024】
以上のような光クロージャ1においては、光幹線ケーブル2の外被が除去されて複数本の光ファイバ12が露出した状態となっている。これらの光ファイバ12の余長は、収納トレイ9に収納される。そして、光ファイバ12の端部に組み付けられた光コネクタプラグ24が光アダプタ23の一方側のコネクタ差込部23aに差し込まれる。
【0025】
一方、複数本(ここでは4本)のドロップケーブル20は、光クロージャ1の一方側から導入され、ドロップケーブルホルダ10に引き回された状態で保持される。そして、ドロップケーブル20の端部に組み付けられた光コネクタプラグ25が光アダプタ23の他方側のコネクタ差込部23aに差し込まれる。これにより、光ファイバ12とドロップケーブル20とが光アダプタ23を介して接続されるようになる。
【0026】
このとき、光幹線ケーブル2から取り出された光ファイバ12に組み付けられた光コネクタプラグ24は、光アダプタ23における光クロージャ1の内側に対応するコネクタ差込部23aに差し込まれ、ドロップケーブル20に組み付けられた光コネクタプラグ25は、光アダプタ23における光クロージャ1の外側に対応するコネクタ差込部23aに差し込まれる。これにより、光クロージャ1内において光ファイバ12及びドロップケーブル20の引き回しが行いやすくなる。
【0027】
このような光クロージャ1は、保護用のカバーケース(図示せず)に覆われた状態で、架空に設置される。
【0028】
以上のように本実施形態にあっては、筐体3の上側に収納トレイ9を配置し、筐体3の下側にドロップケーブルホルダ10を配置し、筐体3の正面側にアダプタホルダ11を配置する。つまり、収納トレイ9、ドロップケーブルホルダ10及びアダプタホルダ11を筐体3の周りにスペース効率良く配置するようにしたので、光クロージャ1の小型化を図ることができる。これにより、光クロージャ1が架空に設置されたときに、光クロージャ1がユーザー宅内からの景観を損うことを抑制できる。
【0029】
このとき、収納トレイ9を筐体3の上側に配置することにより、光幹線ケーブル2から取り出された光ファイバ12の余長を収納トレイ9に収納する作業が行いやすくなる。また、ドロップケーブルホルダ10を筐体3の下側に配置することにより、ドロップケーブル20の引き出し位置が光幹線ケーブル2の下側となるため、ユーザー宅内へ向けてドロップケーブル20の引き出し作業が行いやすくなる。また、アダプタホルダ11を筐体3の正面側に配置することにより、光コネクタプラグ24,25を光アダプタ23に挿入・抜去する作業が行いやすくなる。
【0030】
また、アダプタホルダ11を収納トレイ9の前面部に回動可能に取り付け、収納トレイ9及びドロップケーブルホルダ10を筐体3の背面部に回動可能に取り付けることにより、追加工事を実施する際にも作業が行いやすくなる。
【0031】
具体的には、図10に示すように、アダプタホルダ11を収納トレイ9に対して上方に回動させることで、筐体3の正面側から見て筐体3の内部全体があらわになるため、筐体3内に存在する光ファイバ12が取り扱いやすくなる。また、例えば筐体3の真上に障害物等が無い場合には、図8に示すように、収納トレイ9を筐体3に対して上方に回動させることで、筐体3の正面側から見て筐体3の内部全体があらわになると共に、筐体3内に対する作業スペースが広くなるため、光ファイバ12の取り扱いを容易に行うことができる。さらに、ドロップケーブルホルダ10を筐体3に対して下方に回動させることで、筐体3内に対する作業スペースが広くなるため、光ファイバ12の取り扱いが容易に行えると共に、ドロップケーブルホルダ10においてドロップケーブル20を引き回す作業が行いやすくなる。
【0032】
また、アダプタホルダ11を収納トレイ9の前面部に回動可能に取り付けることにより、アダプタホルダ11の回動時に収納トレイ9から引き出されて光アダプタ23に接続された光ファイバ12の張力を最小限に抑えることができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、収納トレイ9及びドロップケーブルホルダ10が筐体3の背面部に回動可能に取り付けられた構造となっているが、特にそのような構成には限られず、収納トレイ9及びドロップケーブルホルダ10のいずれか一方のみが筐体3に対して回動可能であっても良いし、あるいは両者ともに筐体3に対して回動可能でなくても良い。
【0034】
また、上記実施形態では、幹線光ケーブル2から取り出された光ファイバ12とドロップケーブル20とを接続しているが、ユーザー宅内へ引き込まれる引き込みケーブルとしては、特にドロップケーブルには限られない。
【符号の説明】
【0035】
1…光クロージャ、2…光幹線ケーブル、3…筐体、6…光幹線ケーブル固定具(光幹線ケーブル固定部)、9…収納トレイ、10…ドロップケーブルホルダ(引き込みケーブルホルダ)、11…アダプタホルダ、12…光ファイバ、20…ドロップケーブル(引き込みケーブル)、23…光アダプタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバを内蔵した光幹線ケーブルを収容する筐体と、
前記光幹線ケーブルを前記筐体に固定する光幹線ケーブル固定部と、
前記筐体の上側に配置され、前記光幹線ケーブルの内部から取り出された前記光ファイバの余長を収納する収納トレイと、
前記筐体の下側に配置され、前記光ファイバと接続される引き込みケーブルを保持する引き込みケーブルホルダと、
前記筐体の正面側に配置され、前記光ファイバと前記引き込みケーブルとを接続するためのアダプタを保持するアダプタホルダとを備え、
前記アダプタホルダは、前記収納トレイに回動可能に取り付けられていることを特徴とする光クロージャ。
【請求項2】
前記収納トレイは、前記筐体の背面部に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の光クロージャ。
【請求項3】
前記引き込みケーブルホルダは、前記筐体の背面部に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の光クロージャ。
【請求項1】
複数の光ファイバを内蔵した光幹線ケーブルを収容する筐体と、
前記光幹線ケーブルを前記筐体に固定する光幹線ケーブル固定部と、
前記筐体の上側に配置され、前記光幹線ケーブルの内部から取り出された前記光ファイバの余長を収納する収納トレイと、
前記筐体の下側に配置され、前記光ファイバと接続される引き込みケーブルを保持する引き込みケーブルホルダと、
前記筐体の正面側に配置され、前記光ファイバと前記引き込みケーブルとを接続するためのアダプタを保持するアダプタホルダとを備え、
前記アダプタホルダは、前記収納トレイに回動可能に取り付けられていることを特徴とする光クロージャ。
【請求項2】
前記収納トレイは、前記筐体の背面部に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の光クロージャ。
【請求項3】
前記引き込みケーブルホルダは、前記筐体の背面部に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の光クロージャ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−78411(P2012−78411A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221037(P2010−221037)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(598069423)株式会社ケイ・オプティコム (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(598069423)株式会社ケイ・オプティコム (9)
【Fターム(参考)】
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