説明

光ケーブル機器筐体の光ケーブル収容部

【課題】 フィルタやメカニカルスプライスなどの付属部材の形状や大きさの変化に広範囲に対応でき、また多少の大きさの変更があってもそのまま対応でき、さらに付属部材の形状や大きさが大幅に変更された場合にもリブ側だけの変更で対応でき、構造が簡単で製造が容易な光ケーブル機器筐体の光ケーブル収容部を提供する。
【解決手段】 光ケーブルをループ状に巻装して収容可能な光ケーブル収容部3において、前記収容部3の光ケーブルの巻装用ガイド溝部の途中に、光ケーブル同士を繋ぐ接続具または光ケーブルに接続されるフィルタを挟持可能に、直線状に延びるガイド溝部の片方のガイド壁36より相対向するガイド壁37に向けて同ガイド壁37に対し所定の間隔が空くようにバネ片41を設けるとともに、前記バネ片41との間で前記間隔が上側から下側に向けて段階的に狭まるように相対向する前記ガイド壁37に対し直交するリブ37aを突設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ファイバーケーブル(以下、光ケーブルという)によって映像信号などの受信や送信などを行う光ケーブル機器の筐体に関するもので、特に、光ケーブルを送受信機器やO/E変換器などと接続する際に余長部分や終端部分をループ状に巻装して収容する収容部において、光ケーブルを繋ぐ接続具や光ケーブルに接続されるフィルタなどの付属部材を挟持して保持する構造を備えた光ケーブル収容部(光ケーブルトレイ)に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光ケーブル機器筐体では、光ケーブル同士の接合にメカニカルスプライスと称する接続具を用いたり、光ケーブルを突き合わせて溶着し、その溶着部の周囲を熱収縮性の保護チューブで被覆したりしているが、それらの接続具や保護チューブが多種多形で、しかも断面形状に角形と円形とがあり、大きさも2mm〜5mm前後と広範囲に及んでいる。また、通信用とTV映像用とでは光信号の波長が異なることから、波長の異なる複数の信号から特定の信号を分波したり、逆に複数の信号を合成したりするためにWDM(Wavelength Division Multiplexing;波長分割多重)フィルタの装着が必要になり、光ケーブルの途中にそうしたフィルタを介設しているが、フィルタの断面形状も角形と円形とがあり、大きさも2.5mm〜5.5mmあるいはそれ以上の製品もある。
【0003】
したがって、光ケーブル収容部において、光ケーブルのガイド溝部の途中に、光ケーブルの接続具や保護チューブおよびフィルタなどの付属部材の断面形状や大きさに対応した保持構造を設けることが要望される。
【0004】
また、従来の光ケーブル収容部においては、通常、光ケーブルの接続具にはメカニカルスプライスが使用され、また使用されるフィルタについても定形化され、大きさも限定されていることから、メカニカルスプライスあるいは特定のフィルタに対応した一定規格の保持構造を備えておけばよかった。
【0005】
しかし、最近の光ケーブルの接続具やフィルタの多種多形状化に伴って、広範囲の大きさや形状の付属部材(例えば、直径2mm〜5.5mm)に対応する光ケーブル収容部を備えた光受信機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この光受信機の光ケーブル収容部には、基板上面から第1の所定間隔を隔てて対向配置するように突設した一対の係止片によって,第1のWDMフィルタを着脱自在に挟着保持するための支持部を,第1の所定間隔における中心線上に所定の間隔を隔て2組配設した第1の支持部と,基板上面から第1の所定間隔より広い第2の所定間隔を隔てて対向配置するとともに,第1の支持部より基板上面から高く突設した一対の係止片によって,第2のWDMフィルタを着脱自在に挟着保持するための支持部を,第2の所定間隔における中心線上に所定の間隔を隔て2組配設した第2の支持部とから成り,第1の支持部の中心線と第2の支持部の中心線とは同一線上にあり,第1のWDMフィルタと第2のWDMフィルタは,前記基板上に重合しないで配設する構造からなる。
【特許文献1】特開2007−57806号公報(2・3頁、6・7頁および図1・図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に記載の光ケーブル収容部におけるフィルタホルダの構造については、以下のような点で改良すべき余地がある。すなわち、
光ケーブル収容部の基板上に中心線を挟んでフィルタを両側から挟持可能な一対の係止片を長手方向に間隔をあけて2組対向して突設し、それらの係止片の間隔よりも間隔が広く且つ高さを高くした一対の係止片を前記係止片と重合しないように前後にずらし、共通の中心線を挟んで2組対向して突設しているので、幅の狭いフィルタと幅の広いフィルタの2種類のフィルタについては挟持して保持できる。なお、フィルタはTV信号や通信信号のうちから特定周波数の信号を除去するのに使用される。しかし、フィルタの種類が増えたり、光ケーブル接続具の保護チューブやメカニカルスプライスなどの接続具についても挟持して保持したり、あるいはフィルタや接続具の大きさ(特に幅寸法)が変更されたり、さらに挟持すべきフィルタ等の大きさが広範囲になったりすると、各係止片が樹脂製で可撓性を具備しているとしても、フィルタ等の各付属部材を両側から全体的に挟むように保持するため、許容範囲が小さい。したがって、各付属部材の大きさや形状に応じて一対の係止片について幅方向の間隔と高さとをそれぞれ変更する必要がある。また、構造上から光ケーブル収容部を成型するための既存の金型を簡単に変更して対応するのが困難であるため、金型を最初から設計して新しく作り直す必要があり、コストおよび手間がかかる。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、フィルタやメカニカルスプライスなどの付属部材の形状や大きさ(寸法)の変化に広範囲に対応でき、また多少の大きさ(寸法)の変更があってもそのまま対応でき、さらに付属部材の形状や大きさが大幅に変更された場合にも片方(リブ側)だけの変更で対応できるとともに、金型を変更する場合にも既存の金型の簡単な修正で対応でき、しかも付属部材を強固に挟持せずに定位置に安定して保持でき、構造が簡単で製造が容易な光ケーブル機器筐体の光ケーブル収容部を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明に係る光ケーブル機器筐体の光ケーブル収容部は、光ケーブルをループ状に巻装して収容可能な光ケーブル収容部を備えた光ケーブル機器筐体において、前記収容部の光ケーブル巻装用ガイド溝部の途中の少なくとも一箇所に、光ケーブルを繋ぐ接続具または光ケーブルに接続されるフィルタなどの付属部材を挟持可能に、直線状に延びるガイド溝部の片方のガイド壁よりバネ部材を相対向するガイド壁に向けて同ガイド壁に対し所定の間隔が空くように設けるとともに、前記バネ部材との間で前記間隔が上側から下側に向けて段階的に狭まるように相対向する前記ガイド壁に対しリブを突設したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のように、前記バネ部材を、前記ガイド溝部の前後方向に沿って上方より見て略くの字状に片方の前記ガイド壁から一体に延設される一対の可撓性を有する樹脂製バネ片から形成し、前後の前記各バネ片の先端部との間で間隔が上側から下側に向けて段階的に狭まるように相対向する前記ガイド壁に対しリブをそれぞれ直交させて突設することが好ましい。
【0010】
請求項3に記載のように、前記バネ片に相対向するガイド壁を、前後方向に沿って断続的に立設された一対の板状壁から形成し、前後の板状壁間に少なくとも1本の指が入る空所を設けることがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る光ケーブル機器筐体の光ケーブル収容部は、上記の構成からなるから、次のような優れた効果がある。
【0012】
・請求項1の発明によれば、片方のガイド壁よりバネ部材を相対向するガイド壁に向けて同ガイド壁に対し所定の間隔が空くように設けるとともに、前記バネ部材との間で前記間隔が上側から下側に向けて段階的に狭まるように相対向する前記ガイド壁に対しリブを突設したので、光ケーブルに介設されるフィルタやメカニカルスプライスなどの付属部材を一方からバネ部材で他方のガイド壁に対し全体的に押し付けて挟持するから、付属部材の大きさや形状の変化があっても十分に対応できる。また、同様の理由で、バネ部材と対向するガイド壁に突設するリブは、最大間隔が例えば5mmで、直径3mmの付属部材を挟持させるには、2mmの突出量で済むことになる。
【0013】
・請求項2の発明によれば、バネ部材が片方のガイド壁と一体成形による略くの字状の樹脂製バネ片からなるので、光ケーブルに介設されるフィルタやメカニカルスプライスなどの付属部材を前後(長手方向)に間隔をあけて2箇所で押圧支持でき、同付属部材を一直線状に保持できるから、長期間安定して確実に保持し得る。しかも、バネ片の先端部との間にリブを上側から下側にかけて段階的に間隔が狭まるように突設したので、非常に広範囲で付属部材の大きさや形状の変更に対応できるとともに、大きさや形状の異なる複数種類の付属部材を挟持して確実に保持できる。
【0014】
・請求項3の発明のよれば、請求項2の発明においてフィルタやメカニカルスプライスなどの付属部材を、バネ片の前後両側先端部とガイド壁あるいはリブ間に挿入して挟持したりあるいは挟持した状態から引き抜いて取り外したりする際に、例えば親指と人差し指で上下から挟み持った状態で、前記空所を利用して押し込んだり引き上げたりできるので、スムーズで簡単に且つ確実に作業を遂行し得る。この結果、部材の着脱の際に付属部材やその前後の光ケーブルに無理な力を作用させることもなくなるので、付属部材や光ケーブルを損傷させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の光ケーブル機器筐体の光ケーブル収容部について実施の形態を挙げて図面に基づき説明する。
【0016】
図1は本発明の実施例に係る光ケーブル収容部を備えた光ケーブル機器筐体を示す外観の斜視図で、蓋を開放した状態を表す。図2・図3はそれぞれ図1の光ケーブル機器筐体の一方の光ケーブル収容部を示す斜視図と平面図であり、図4(a)は図2において本発明の要部を円で囲んで示し、図4(b)はその拡大図を示す斜視図である。図5(a)は図4の要部を拡大して表した広い幅(太い)のフィルタを挟着して保持した状態を示す平面図、図5(b)は狭い幅(細い)のフィルタを挟着して保持した状態を示す平面図である。図6(a)は図5(a)の正面方向矢視図、図6(b)は図5(b)の正面方向矢視図、図6(c)は別の実施例を示す正面方向矢視図である。
【0017】
図1に示すように、光ケーブル機器筐体1は本実施例では光受信機の筐体からなり、筐体1は樹脂製で一面(上面)1aが開放され、この開放面1a側に開閉自在な樹脂製の蓋2が備えられている。この筐体1は、蓋2の両側ヒンジ部2aを上側に向けてビルやマンションなどの光ケーブルの引き込み口や光信号変換後のTV出力信号用ケーブルの引き込み口近くの建物壁面に取付片1fを用いて固定用ねじで取り付けられる。
【0018】
図1に示すように、筐体1の開放面1aには、浅くて上端が開放されたトレイ状で樹脂製の光ケーブル収容部3の左右一対がそれぞれ取り外し可能に嵌め込まれている。一方、右側の光ケーブル収容部3下方の筐体1内には、本例の場合、図示を省略するが、光信号を電気信号に変換するO/E変換器、変換された電気信号を増幅する増幅器が1の機器ユニット21として、左側の光ケーブル収容部3下方の筐体1内には、光信号を増幅する増幅器が他の1の機器ユニット22としてそれぞれ収容されている。筐体1の前面1b(取付状態で下面に位置する側)には、TV電気信号の出力端子21aの孔部1cと、出力端子から出力されるTV電気信号をモニターするためのモニター端子21bの孔部1dとが間隔をあけて穿設されている。また、蓋2の開放端側枠2bの前端部に係止板4が直角方向に突設され、この係止板4に対応して係止される係止片4aが筐体1の両側面上端縁に一体に形成されている。さらに、蓋2の開放端前枠2aの両側部に留め具5がそれぞれ直角方向に突設され、筐体1の前面1bで留め具5に対応する位置にそのねじ孔部5aがそれぞれ一体に形成されている。
【0019】
図2・図3に示すように左右の各光ケーブル収容部3は全周囲にわたり枠壁31・32が立設され、図2に示すように光ケーブルの出入り口33(前面側右端部)および増幅した光ケーブルの出入口33(前面側中央部)に位置する枠壁31の一部がそれぞれ切り欠かれて開口されている。この切り欠き開口31aに一致するように、筐体1の前面1bにも開口(図示せず)が設けられている。なお、図1中の符号1fは筐体1の壁面取付片で止めねじ用貫通孔を備えているが、この取付片1fは下端縁の両側部のほか、上端縁の中央部に設けられている。
【0020】
図2および図3に示すように、各光ケーブル収容部3は上方より見て長方形状の枠体で、光ケーブルの出入り口33は前部の左右両側にそれぞれ設けられている。本例では光ケーブルを挟持可能な弾性体ホルダー7(図1)の装着部33aに形成され、この装着部33aは側方の枠壁32とこれに対向しかつ平行に立設された内側の枠壁33bとで構成されている。弾性体ホルダー7は全体がゴムやエラストマーなどの弾力性を具備した材料で成形されており、光ケーブル挿入溝(図示せず)が等間隔で平行に貫通して形成され、各挿入溝の上面の中心位置に切り込みが長手方向に入れられている。
【0021】
光ケーブル収容部3の出入り口33には、弾性体ホルダー7の切欠き部に対応する2本のリブ8と弾性体ホルダー7の両側の縦溝に対応するリブ9とが所定の間隔をあけて立設されている。各リブ8・9の相対向する面(挟持面)は、基端から先端側の切欠き開口31aに向けて漸次間隔が狭くなるテーパー面にそれぞれ形成されている。さらに、各リブ8・9の上端には、長方形板状の抜止め片が一体に形成されている。
【0022】
光ケーブル収容部3の出入り口33と反対側の背面寄り隅角部には、光ケーブル内に光ファイバーと平行に入れたサポートメンバーを巻き付けて固定するための固定用ねじのねじ孔部12が設けられている。
【0023】
また、各光ケーブル収容部3はその中央部分に長円形状の開口部3aが設けられており、開口部3a周囲で4隅の円弧状周縁部に直線状部と円弧状部との組み合わせからなるガイド壁35が基板3b上に立設され、前部左側円弧部と後部右側円弧部には半径方向に間隔をあけて二重に、後部左側円弧部には半径方向に間隔をあけて三重にそれぞれガイド壁35が基板3b上に立設されている。これらのガイド壁35で構成されるガイド溝部(またはガイド部)34に沿って出入口33から内部に引き込まれ、あるいは内部から送り出される光ケーブルの余長部分をループ状に巻装するために通す経路(ガイド溝部)34が形成されている。すなわち、図2・図3に示すように、本例では、外周側から内周側にかけて順に複数のガイド壁35に沿って光ケーブルを半径方向に一定間隔をあけてループ状に巻き付けることにより、余長部分を収容することができる。なお、ガイド壁35の上端には、長手方向に間隔をあけて光ケーブルの抜け止め片35aが一体に形成されている。
【0024】
さらに、開口部3a周囲の両側の直線状縁部には、前後の円弧状コーナのガイド壁35・35間を断続的に接続する一直線状ガイド壁36を基板3b上に立設している。図2・図3に示すように左側の直線状部では、開口部3a内へ張り出して部分基板3cが基板3bより1段高い位置に形成され、この部分基板3cの内側直線部には前後一対の一直線状ガイド壁37・37が前後方向に間隔をあけて立設され、ガイド壁37・37間に2本〜3本の指が入る空所(空間部)37cが設けられている。この空所37cはフィルタの着脱を確実に且つ容易にするためのものである。また、左右の連続する一直線状ガイド壁36の外側には、前後一対の一直線状ガイド壁38・38が前後方向に間隔をあけて基板3b上に立設されている。さらに、図の左側の一直線状ガイド壁36の内側と外側に上方より見て略くの字状のバネ片41・42が相対向する前後のガイド壁37またはガイド壁38へ向けて漸次間隔(ガイド溝部34の溝幅)が狭まるように一体に延設され、また図の右側の一直線状ガイド壁35の外側にも上方より見て略くの字状のバネ片41が相対向する前後のガイド壁37・37へ向け漸次間隔(ガイド溝部34の溝幅)が狭まるように一体に延設されている。
【0025】
図4〜図6に示すように、一直線状ガイド壁36の略くの字状バネ片41の先端部と各ガイド壁37との間において、ガイド壁37の下部で基板3cとの隅角部に上端隅角部を内側下向きに傾斜させた板状のリブ37aを、ガイド壁37に対し直交させ且つバネ片41の先端部に向けて一体に突設している。これにより、本発明の要部である、実施例に係るフィルタの挟持保持構造30が構成される。本例の挟持保持構造30の場合、一辺が5.5mm角筒形のフィルタXと同3.0mm角筒形のフィルタYとを挟持して保持可能に構成している。すなわち、フィルタXは、図6(a)のようにリブ37a上でバネ片41の両側先端部と前後のガイド壁37との間で、バネ片41の先端部でガイド壁37に押し付けるように挟持して保持する一方、フィルタYは図6(b)のように基板3c上でバネ片41の両側先端部と前後のリブ37aとの間で、バネ片41の先端部でリブ37aに押し付けるように挟持して保持する。いずれの場合にも、バネ片41の両側先端部でバネ片41の付勢力によりフィルタX(Y)の前後部の2箇所を押圧・挟持するので、一直線状に保って保持できる。
【0026】
図6(c)は他の実施例に係るフィルタの挟持保持構造30’を示すもので、一直線状ガイド壁36の略くの字状バネ片41の先端部と各ガイド壁37との間において、ガイド壁37の高さ方向の中間部から下端部にかけ上端隅角部と中間部とをそれぞれ内側下向きに傾斜させて角部を除去した板状のリブ37bを、ガイド壁37に対し直交させ且つバネ片41の先端部に向けて一体に突設している。本例の場合、前後の各ガイド壁37の上側から下側にかけてバネ片41の先端部との間隔が段階的に狭くなるように構成されている。したがって、例えば一辺が7.0mm角筒形(または直径7mm円筒形)のフィルタ〜同2.0mm角筒形(または直径2mm円筒形)のフィルタを挟持可能で、さらに4mm角筒形のメカニカルスプライスや直径2mmの熱収縮性保護チューブなども挟持可能である。なお、図4〜図6に示すリブ37a・37bを設けた第1・第2実施例の挟持保持構造30・30’は、図2・図3に示すバネ片42先端部と一対の一直線状ガイド壁38・38との間にも設けることができるのは言うまでもない。
【0027】
また図1〜図3に示すように、各図の右側の直線状部では、長方形状の基板部分3dが基板3bより開口部3a内へ張り出して形成され、この部分基板3d上に左右一対の板状ガイド壁43・44が幅方向に間隔をあけて立設されている。これにより、ガイド壁43とガイド壁44との間およびガイド壁44と一直線状ガイド壁36との間が、それぞれ光中継用アダプタ50(図1)を両側から挟持して支持可能な支持部45・46に構成されている。図示は省略するが、光中継用アダプタ50を介して入力される光信号は、機器ユニット21内のO/E変換器で電気信号に変換され、変換された電気信号が増幅されて出力端子およびモニター端子から出力される。
【0028】
ところで、図1の右側の光ケーブル収容部3とその下方の筐体1内の機器ユニット21について例示したが、図1の左側の光ケーブル収容部3についても右側の光ケーブル収容部3と同一の構造にしている。ただし、左側の光ケーブル収容部3の下方の筐体1内に収容される機器ユニット22は、本例の場合、光ケーブルで送信される光信号を増幅する増幅器を内蔵しており、光ケーブルにより光中継用アダプタ50を介して入力される光信号を左側の機器ユニット21内の増幅器で増幅し、左側の光ケーブル収容部3の光ケーブル出入口33から取り出される光ケーブルにより再び遠方へ送信することができる。なお、上記の光ケーブルの余長部分の巻き付け構造(ガイド溝部34)については、上記したフィルタやメカニカルスプライスのような接続具などの付属部材の挟持保持構造30・30’を除き公知の構造であり、とくに限定するものではないので、詳しい説明は省略する。
【0029】
以上のようにして、本発明の実施例にかかる光受信機の筐体1が構成されるが、続いて使用態様について説明する。
【0030】
図示は省略するが、光ケーブルにはサポートメンバー入り光ケーブルを使用するもので、通常、筐体1を建物の壁面に取り付けた状態で、光ケーブル収容部3を取り外して光ケーブルの処理が行われる。弾性体ホルダー7は収容部3の出入り口33に装着された状態で、光ケーブルを切り込みから挿入溝内に挿入する。このとき、各挿入溝はリブ8・9間で挟持されていない位置にある。そして、各挿入溝に光ケーブルがそれぞれ挿入された状態で、弾性体ホルダー7を下向きにスライドさせることにより、対向するリブ8・9間の下向きに間隔が狭まった挟持面にてホルダー7の挿入溝(上端開放溝)が挟持され、挿入溝内の光ケーブルがホルダー7ごと締め付けられて固定される。
【0031】
光ケーブルは、図3に示すようにあらかじめカバーチューブから光ファイバーとサポートメンバーとを剥き出し、出入り口33の弾性体ホルダー7に光ケーブルを固定した状態で、サポートメンバーを適当な長さで切断した後、ネジ孔部12の固定用ねじにサポートメンバーの端部を巻き付け、固定用ねじを螺着部に螺合して締付方向に回転させることにより、サポートメンバーを緊張状態に締め付ける。そして、光ケーブルの途中にフィルタX(Y)を介設したり、光ケーブルを繋ぐメカニカルスプライスなどの接続具(図示せず)を介設している場合には、それらの付属部材(フィルタXなど)をガイド溝部34の直線部に設けた挟持保持構造30(30’)で挟持して保持する。この場合、上記したとおり、付属部材の大きさ(幅)に適合する箇所(バネ片41とガイド壁37またはリブ37a・37bとの間)で挟持させ保持する。また、たとえ付属部材の形状や寸法が既存の製品と変更になった場合でもバネ片41の先端部で、ガイド壁37およびリブ37a・37bを含めて全体を押圧するので、上下方向の位置を変えることによって対応できることがある。しかし、上下方向のいずれの位置でも対応できない場合には、リブ37a・37bの突出量を変更して対応することになるが、片側はバネ片41であるため、このバネ片41は比較的大きく変形して広範囲に対応する。
【0032】
こうして光ケーブルは収容部3の一側方(右側)の枠壁32に沿って固定されるので、この状態で、光ファイバーの余長部分を巻き付けて収容したり、光ファイバーを収容部3の開口部3aから筐体1側へ引き込み,O/E変換器などの電子機器に接続したりする。なお、光ケーブルの処理が済み、収容部3内に収容した状態で、筐体1の開放面1a内に収容部3を嵌め込む。そして、蓋2を閉じた後に留め具5を締め付ければ、作業が終了する。
【0033】
以上に本発明の光ケーブル収容部の実施例について説明したが、本発明の光ケーブル機器筐体は次のように実施することができる。
【0034】
・上記実施例では、バネ部材を略くの字状のバネ片41とし、ガイド壁36と一体構造にしたが、バネ片41をガイド壁36と別体に形成してガイド壁36に取り外し可能に嵌着することができる。
【0035】
・バネ部材を弾力性に富む合成ゴムや非金属製の板バネ構造やコイルバネ構造にし、前後のガイド壁37・37に対向するように反対側のガイド壁36に装着することができる。
【0036】
・バネ部材を金属製の板バネやコイルバネの、フィルタとの当接部に、樹脂製の押圧板を取り付けて構成してもよい。
【0037】
・バネ片41の先端部と対向するガイド壁37を前後に分離し、空所37cを形成したが、前後のガイド壁37・37を一連に連続するガイド壁に形成することができる。
【0038】
・板状のリブ37a・37bをガイド壁37と別体にし、あらかじめ突出長さの異なる複数種類の板状リブを形成し、例えばガイド壁37に嵌合溝を設けてリブ37a・37bを着脱可能にして交換できるようにしてもよい。このようにすれば、突出長さの異なる複数種類の板状リブをあらかじめ準備しておくことで、付属部材の大きさや形状の変化に対応して適合する板状リブを装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例に係る光ケーブル収容部を備えた光ケーブル機器筐体を示す外観の斜視図で、蓋を開放した状態を表す。
【図2】図1の光ケーブル機器筐体の一方の光ケーブル収容部を示す斜視図である。
【図3】図1の光ケーブル機器筐体の一方の光ケーブル収容部を示す平面図である。
【図4】図4(a)は図2とは方向を変えた斜視図で本発明の要部を円で囲て示し、図4(b)はその拡大図を示す斜視図である。
【図5】図5(a)は図3の要部を拡大して表した、広い幅(太い)のフィルタを挟着して保持した状態を示す平面図、図5(b)は狭い幅(細い)のフィルタを挟着して保持した状態を示す平面図である。
【図6】図6(a)は図5(a)の正面方向矢視図、図6(b)は図5(b)の正面方向矢視図、図6(c)は別の実施例を示す正面方向矢視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 光ケーブル機器筐体
2 蓋
3 光ケーブル収容部
3a 開口部
3b 基板
3c 部分基板
4 係止板
5 留め具
7 弾性体ホルダー
8・9 リブ
12 固定用ねじ孔
31・32 枠壁
33 光ケーブルの出入り口
30・30’挟持保持構造
34 経路(ガイド溝部)
35 ガイド壁
36 一直線状ガイド壁
37 一直線状ガイド壁
37a・37bリブ
37c空所(空間部)
38 一直線状ガイド壁
41 バネ片(バネ部材)
42 バネ片(バネ部材)
43・44 板状ガイド壁
45・46 支持部
X・Y フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルをループ状に巻装して収容可能な光ケーブル収納部を備えた光ケーブル機器筐体において、
前記収容部の光ケーブル巻装用ガイド溝部の途中の少なくとも一箇所に、光ケーブルを繋ぐ接続具または光ケーブルに接続されるフィルタなどの付属部材を挟持可能に、直線状に延びるガイド溝部の片方のガイド壁よりバネ部材を相対向するガイド壁に向けて同ガイド壁に対し所定の間隔が空くように設けるとともに、
前記バネ部材との間で前記間隔が上側から下側に向けて段階的に狭まるように相対向する前記ガイド壁に対しリブを突設したこと
を特徴とする光ケーブル機器筐体の光ケーブル収容部。
【請求項2】
前記バネ部材は、前記ガイド溝部の前後方向に沿って上方より見て略くの字状に片方の前記ガイド壁から一体に延設される一対の可撓性を有する樹脂製バネ片からなり、前後の前記各バネ片の先端部との間で間隔が上側から下側に向けて段階的に狭まるように相対向する前記ガイド壁に対しリブをそれぞれ直交させて突設したこと
を特徴とする請求項1に記載の光ケーブル機器筐体の光ケーブル収容部。
【請求項3】
前記バネ片に相対向するガイド壁が、前後方向に沿って断続的に立設された一対の板状壁からなり、前後の板状壁間に少なくとも1本の指が入る空所が設けられていること
を特徴とする請求項2に記載の光ケーブル機器筐体の光ケーブル収容部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−47867(P2009−47867A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213195(P2007−213195)
【出願日】平成19年8月18日(2007.8.18)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】