説明

光コネクタフェルール用スリーブ及びその製造方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバの接続に用いられる光コネクタ(光ファイバコネクタと称することもある)用フェルール同士を突き合わせ整列して保持するスリーブ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、光コネクタにおける接続部は、光ファイバ素線の外周に外被が被着された光ファイバが接続されたフェルールと、このフェルール同士を嵌挿して整列させる中空円筒状のスリーブとから構成される。特に電気コネクタと異なり、接続すべき2本の光ファイバの相対位置は正確に合わせることが要求される。そのため、光ファイバを外径及び光ファイバ素線挿通部内径が規定寸法に仕上げられたフェルールの中心に一致させて固定し、次いで一対のこのフェルールをスリーブの両端から挿入して突き合わせ、光ファイバの軸線を合わせる芯出しが必要となる。この芯出しの方法には、調整機構により微細調整する方法、いわゆる調整型と、フェルールやスリーブの寸法精度を高める方法、すなわち無調整型とがあるが、最近では無調整型が主流となっている。
【0003】従来、フェルールとしてはジルコニア等のセラミック製のものが多用され、また、スリーブとしてもジルコニア等のセラミック製のスリーブが用いられている。例えば、特開平6−27348号には、円筒体の内周面の少なくとも3箇所に長手方向の一端から他端に至る凸部が設けられ、該凸部はその上面が円筒体の軸線を中心とした円弧状、即ち上面が円筒体の軸線に向って凹の円弧状で、さらに上記凸部と内周面とのつなぎ部がゆるやかなR形状にされているセラミック製のスリーブが開示されている。また、上記特許公報には上記スリーブの製造方法も開示されており、その方法は、上記のような幾何学的形状となるようにジルコニア、アルミナ等のセラミック原料を円筒体に成形する工程と、成形した円筒体を焼成する工程と、焼成した円筒体の内径部の上記凸部の上面を研磨する工程とからなる。また、割スリーブの場合には、さらに研磨工程終了後の円筒体に長手方向全長に亘ってスリットを形成する工程を含んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のようなセラミック製スリーブの場合、一般に粉末押出、射出成形等によって円筒状に一次成形した後、脱脂、焼結、外周研削加工や内周部研磨加工等の機械加工などを行って製造されている。そのため、製造工程が長大で、コストの増大を余儀なくされているとともに、材料が脆弱かつ硬いために欠け等の問題や、表面の研磨仕上がりが結晶粒度に依存する等の問題がある。また、セラミック製のスリーブは硬くて弾性が低いため、スリーブ内周面に凸部を形成した場合、この凸部によってフェルール外周面を傷付け易く、またスリーブとフェルールの着脱を繰り返すとガタが生じ易く、光ファイバの軸線にずれを生じる問題が懸念される。従って、セラミックスはフェルールの着脱が頻繁に行われる光コネクタのスリーブ用材料としては必ずしも適していない。
【0005】また、セラミック製スリーブの場合、一次成形後焼結することによって収縮を生ずるため、焼結後、必ず所定の寸法となるように研磨加工を行う必要がある。そのため、円筒体の内周面に長手方向に延在する凸部(凸条)を形成した場合、この凸条の上面は、前記特開平6−27348号に記載されているように、同筒体の軸線に向って凹の円弧状に研磨加工される。このような凸条が円筒体の内周面3箇所に形成された場合、スリーブに嵌挿されたフェルールの外周面と接触する箇所は、実際上、上記凹の円弧状面ではなくてその長手方向の両側縁となる。従って、スリーブの各凸条の寸法が正確に一致する場合には、3箇所の凸条の円弧状上面の両側縁(合計6点)がスリーブ外周面に接触した状態で固定することになるが、僅かでも寸法に誤差があれば、上記各点のいずれか数点で接触し、対向してスリーブ内に嵌挿された各フェルールとの接触・固定点にずれを生じ、接続される光ファイバ同士の軸線がずれてしまうという問題がある。
【0006】従って、本発明の目的は、接続する光ファイバ同士の軸線のずれや、スリーブの欠け等、前記したような問題を生ずることが殆どなく、光コネクタのフェルール同士を正確に突き合わせ整列して保持できる光コネクタフェルール用スリーブを提供することにある。さらに本発明の目的は、従来の金型鋳造法又は金型成形法をベースにした技術とガラス遷移領域を示す非晶質合金の組み合わせによって、所定の形状、寸法精度、及び表面品質を満足する光コネクタフェルール用スリーブを単一のプロセスで量産性良く製造でき、従って研磨等の機械加工工程を省略又は大幅に削減できる方法を提供し、もってスリーブに要求される耐久性、強度、耐衝撃性、弾性等に優れた安価な光コネクタフェルール用スリーブを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の第1の側面によれば、光コネクタフェルール同士を突き合わせ整列して保持する円筒状の光コネクタフェルール用スリーブにおいて、従来用いられているセラミックスや金属とは異なり、非晶質合金から作製したことを特徴とするスリーブが提供される。その第1の態様においては、度幅30K以上のガラス遷移領域を有する下記一般式で示される非晶質合金からなり、かつ光コネクタフェルールよりも弾性変形し易い実質的に非晶質の合金からなると共に、円筒体の長手方向に全長に亘ってスリットを設けたことを特徴とする光コネクタフェルール用スリーブが提供される。
一般式:XaMbAlc但し、XはZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、MはMn、Fe、Co、Ni及びCuよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、cは原子%で、25≦a≦85、5≦b≦70、0<c≦35で示される組成を有し、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含む非晶質合金。
【0008】本発明の第2の態様によれば、光コネクタフェルール同士を突き合わせ整列して保持するに適した幾何学的形状とし、またフェルールを傷付けないようにするために、円筒体の内周面の3箇所に長手方向の一端から他端に至る凸部が設けられ、該凸部はその上面が円筒体の軸線に向って凸の円弧状の断面形状を有することを特徴とするスリーブが提供される。この態様のスリーブにおいて、光コネクタフェルールを弾性的に保持し、スリーブとフェルールの着脱を繰り返してもガタが生じないようにするために、上記円筒体の長手方向に全長に亘ってスリットが設けられている。
【0009】さらに本発明の他の側面によれば、前記のような光コネクタフェルール用スリーブの製造方法も提供される。その一つの方法は、上面が開放された溶解用容器で、前記一般式で示される組成を有し、温度幅30K以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解し、容器の上部に配置された製品成形用キャビティを持つ強制冷却鋳型内に合金溶湯を強制移動させ、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含み、かつ光コネクタフェルールよりも弾性変形し易い実質的に非晶質の合金からなると共に、円筒体の長手方向に全長に亘ってスリットを設けた製品を得ることを特徴としている。好適な態様においては、上記溶解用容器内に合金溶湯を上方に強制移動させるための溶湯移動具が配設されていると共に、上記強制冷却鋳型が2個以上の同一形状の製品成形用キャビティと各キャビティに連通する湯道を持ち、該湯道が上記溶湯移動具の移動ライン上に配設されている。
【0010】他の方法は、温度幅30K以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を生じ得る合金材料を溶融、保持する容器と、例えばその下部又は上部に製品形状のキャビティを設けた金型を配置し、該容器の下部又は上部に設けた孔と金型注湯口を結合させた後、容器内の合金溶湯に圧力を加え、容器の孔を通じて所定量の合金溶湯を金型内に充填せしめ、10K/s以上の冷却速度で凝固させ、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含み、かつ光コネクタフェルールよりも弾性変形し易い実質的に非晶質の合金からなると共に、円筒体の長手方向に全長に亘ってスリットを設けた製品を得ることを特徴としている。前記いずれの方法においても、前記合金材料として、前記一般式:XaMbAlcで示される組成を有し、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含む実質的に非晶質の合金からなる製品を得ることができる材料が用いられる。本発明のさらに他の方法は、温度幅30K以上のガラス遷移領域を有する前記一般式で示される合金からなる非晶質材料を過冷却液体領域温度まで加熱し、同一温度に保持されたコンテナに挿入し、製品形状のキャビティを設けた金型をコンテナに連結し、所定量の合金を過冷却液体の粘性流動を利用して金型内に圧入、成形することにより、光コネクタフェルールよりも弾性変形し易い実質的に非晶質の合金からなると共に、円筒体の長手方向に全長に亘ってスリットを設けた製品を得ることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の第1の側面によれば、前記のように光コネクタのフェルール同士を突き合わせ整列して保持するスリーブを非晶質合金から作製する。非晶質合金は、セラミックスに比べて硬度が低いと共に弾性が高く、また、引張強度や曲げ強度が高く、耐久性、耐衝撃性、表面平滑性等に優れているため、光コネクタのフェルール同士を突き合わせ、軸線のずれを生ずることなく整列して保持するスリーブの材質として最適である。このような特性を有する非晶質合金から作製したスリーブは、その内周面に例えば断面半円形状の凸条を形成しても、この凸条によってフェルール外周面を傷付け難く、またスリーブに対してフェルールの着脱を繰り返してもガタを生じ難く、フェルール同士の安定した接続が可能となる。
【0012】また、非晶質合金は、高精度の鋳造性及び加工性を有し、金型鋳造法や金型成形法によって金型のキャビティ形状を忠実に再現した表面平滑なスリーブを製造できる。前記したように、セラミック製スリーブの場合、一次成形後焼結することによって収縮を生ずるため、焼結後、必ず所定の寸法となるように研磨加工を行う必要がある。これに対して、非晶質合金製スリーブの場合、焼結工程が不要であり、焼結によって製品に収縮を生ずるということがないため、その後の寸法調整又は表面粗さ調整の工程を省略でき、あるいは大巾に短縮できる。従って、所定の形状、寸法精度、表面品質を満足したスリーブを単一プロセスで量産性良く製造できる。
【0013】本発明のスリーブの材質としては、実質的に非晶質の合金からなる製品を得ることができる材料であれば全て使用可能であり、特定の材料に限定されるものではないが、中でも、ガラス遷移温度(Tg)と結晶化温度(Tx)の温度差が極めて広いZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系(TM:遷移金属)非晶質合金(特公平7−122120号参照)は、高強度、高耐食性であると共に、過冷却液体領域(ガラス遷移領域)ΔTx=Tx−Tgが30K以上、特にZr−TM−Al系非晶質合金は60K以上と極めて広く、この温度領域では粘性流動により数10MPa以下の低応力でも非常に良好な加工性を示す。また、冷却速度が数10K/s程度の鋳造法によっても非晶質バルク材が得られるなど、非常に安定で製造し易い特徴を持っている。これらの合金の用途研究の結果、溶湯からの金型鋳造によっても、またガラス遷移領域を利用した粘性流動による成形加工によっても、非晶質材料ができると同時に、金型形状及び寸法を極めて忠実に再現し、これらの合金の物性も相俟って光コネクタフェルール及びそれらを接続するスリーブの材料として適していることが判明した。
【0014】本発明に利用されるこのZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系非晶質合金は、合金組成、測定法によっても異なるが、非常に大きなΔTxの範囲を持っている。例えばZr60Al15Co2.5 Ni7.5 Cu15合金(Tg:652K、Tx:768K)のΔTxは116Kと極めて広い。耐酸化性も極めて良く、空気中でTgまでの高温に熱してもほとんど酸化されない。硬度は室温からTg付近までビッカース硬度(Hv)で460(DPN)、引張強度は1,600MPa、曲げ強度は3,000MPaに達する。熱膨張率αは室温からTg付近まで1×10-5/Kと小さく、ヤング率は91GPa、圧縮時の弾性限界は4〜5%を超える。さらに靭性も高く、シャルピー衝撃値で6〜7J/cm2 を示す。このように非常に高強度の特性を示しながら、ガラス遷移領域まで加熱されると、流動応力は10MPa程度まで低下する。このため極めて加工が容易で、低応力で複雑な形状の微小部品や高精度部品に成形できるのが本合金の特徴である。しかも、いわゆるガラス(非晶質)としての特性から加工(変形)表面は極めて平滑性が高く、結晶合金を変形させたときのように滑り帯が表面に現われるステップなどは実質的に発生しない特徴を持っている。
【0015】一般に、非晶質合金はガラス遷移領域まで加熱すると長時間の保持によって結晶化が始まるが、本合金のようにΔTxが広い合金は非晶質相が安定であり、ΔTx内の温度を適当に選べば2時間程度までは結晶が発生せず、通常の成形加工においては結晶化を懸念する必要はない。また、本合金は溶湯からの凝固においてもこの特性を如何なく発揮する。一般に非晶質合金の製造には急速な冷却が必要とされるが、本合金は冷却速度10K/s程度の冷却で溶湯から容易に非晶質単相からなるバルク材を得ることができる。その凝固表面はやはり極めて平滑であり、金型表面のミクロンオーダーの研磨傷でさえも忠実に再現する転写性を持っている。従って、スリーブ材料として本合金を適用すれば、金型表面がスリーブの要求特性を満たす表面品質を持っておれば、成形材においても金型の表面特性をそのまま再現し、従来の金型鋳造法、金型成形法においても寸法調整、表面粗さ調整の工程を省略又は短縮することができる。
【0016】以上のように、比較的低い硬度、高い引張強度及び高い曲げ強度、比較的低いヤング率、高弾性限界、高耐衝撃性、表面の平滑性、高精度の鋳造又は加工性を併せ持った特徴は、光コネクタフェルール用スリーブの材料として適しているばかりでなく、従来の成形加工方法を適用でき、量産を可能にする。なお、前記一般式XaMbAlcで示される非晶質合金は、5原子%以下の割合でTi、C、B、Ge、Biなどの元素を含有する場合でも、上記と同様の特性を示す非晶質合金が得られる。
【0017】本合金をスリーブに適用する利点を、以下にもう少し具体的に述べる。第1に高精度の製品を量産化できることが挙げられる。光コネクタのフェルールを直接保持するスリーブの内径又はフェルールとの接触点(凸部上端)を通る円の径は、できるだけフェルールの外径に等しいことが要求される。従来、セラミック材料の射出、脱脂、焼結を経て製造される成形材は、スリーブとしての寸法精度、表面品質を満足できないため、予め加工代を考慮した寸法の成形材として製造し、後でダイヤモンド砥粒ペーストを用いたワイヤラッピング内径研磨加工、外径研磨加工の複雑な加工によって仕上げられるのが普通である。本発明においては、適切に準備された金型を用いれば、鋳造によっても、粘性流動加工(ガラス成形加工)によっても、仕上げ研磨の必要がない又は補足的で簡易な仕上げ加工で量産でき、特にスリーブの貫通孔の真円度、孔内表面の仕上がりの効果が大きい。従って、製造工程を大幅に短縮することができる。第2はスリーブの強度及び靭性などの機械的性質である。フェルールの着脱が頻繁に繰り返されるスリーブは、へたり、摩耗、欠けがあってはならない。前述した硬度、強度、靭性は十分にそれに耐え得る値である。以上の特性を有する非晶質合金は、スリーブに限らず、フェルール等の光コネクタの他の構成部品、マイクロマシン等の精密部品などにも有利に適用できる。
【0018】また、本発明の他の態様においては、光コネクタのフェルールよりも弾性変形し易い非晶質合金、例えばヤング率で3〜30GPa程度、好ましくは5〜15GPa程度低い非晶質合金からスリーブを作製する。それによって、スリーブに対してフェルールの着脱を繰り返しても、フェルールを傷付けたりガタを生じたりすることなく、軸線を整列させた状態で安定して保持し易くなる。用いるフェルールの材質としては、セラミックス、金属などを用いることができるが、非晶質合金、特に前記したような機械的性質や鋳造性、加工性等の点から、前記一般式XaMbAlcの組成を有し、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含む非晶質合金を用いることが好ましい。このような非晶質合金を用いることにより、金型鋳造法によっても、金型成形法(ガラス成形加工)によっても、仕上げ研磨の必要がない又は補足的で簡易な仕上げ加工でフェルールを量産でき、特にファイバ挿通用細孔断面の真円度、孔内表面の仕上がりの効果が大きい。また、ガラスファイバを密着させるため通常行なわれるフェルール先端凸球面加工のPC研磨も不要であり、光ファイバ固定後の最終研磨のみでよい。従って、金属やセラミックスの場合に必要であった長大な製造工程を大幅に短縮することができる。フェルールの外径やフェルールの外径軸線とファイバ挿通用細孔軸線の整合についても同様である。
【0019】本発明の第2の側面によれば、スリーブは、フェルールを傷付けることなく、フェルール同士の軸線を整合して保持するに適した幾何学的形状を有する。以下、添付図面を参照しながら本発明のスリーブの形状について説明する。図1及び図2は本発明のスリーブの好適な一実施形態を示し、図1はその平面図、図2は斜視図である。このスリーブ1は、円筒体2の内周面の3箇所にその長手方向の一端から他端に至る凸部(凸条)3が形成されていると共に、長手方向に全長に亘ってスリット4が形成されている。
【0020】上記凸部3は、フェルールを傷付けないように、その上面が円筒体2の軸線に向って凸の断面略半円形状、略楕円形状、上端が丸みを帯びた三角形状等の円弧状である必要があり、好ましくは図1に示されるように断面が略半円形状の凸部3とする。このような凸部3を円筒体2の内周面3箇所に長手方向に設けることにより、スリーブ1内に保持するフェルールの外周面と3箇所で点接触した状態にフェルールを挟持することになる。従って、突き合わされるフェルール同士の軸線(従って、光ファイバ同士)を整列させて保持することができる。但し、点接触の場合でも、上記凸部が鋭角な角部を有する場合、集中荷重がかかってフェルール外周面を傷付け易くなるので好ましくない。また、スリーブの内周面に4箇所以上の凸部を設けた場合、スリーブ内に嵌挿された対向するフェルールの接触・固定点にずれを生じ易く、接続される光ファイバ同士の軸線がずれ易くなる。なお、凸部3は円筒体2の内周面3箇所に等間隔に設けることが好ましいが、多少ずれていても構わない。また、凸部3の高さはフェルールを安定して保持できる程度であればよいが、一般に0.1〜1.0mm(断面半円形の場合、0.1〜1.0mmR)の範囲内が好ましい。さらに、凸部3は連続した突条であることが好ましいが、断続していても構わない。
【0021】前記したように、スリーブ1には長手方向に全長に亘ってスリット4が形成されている。本発明では、このようなスリットを設けない精密スリーブでも、前記したような非晶質合金材使用による効果及び前記した凸部形成による効果は得られる。しかしながら、スリット4を設けることにより、スリーブ1の弾力性が向上し、多少寸法精度にばらつきがあってもフェルール同士の軸線を整列させてより安定して弾力的に挟持でき、また、スリーブとフェルールの着脱を繰り返しても保持状態にガタを生じ難くなるので有利である。また、スリーブ1の材料自体の機械的性質としては、ヤング率が90〜99GPa程度、弾性限が約1%から数%程度が好ましい。従来のスリーブ材料として用いられているセラミックス、例えば、ジルコニアは弾性を殆ど有しないのに比べ、非晶質合金から作製した本発明のスリーブはばね特性に優れ、フェルールの繰返し脱着に充分に耐えることができる。
【0022】図3及び図4は、光コネクタにおける本発明のスリーブ1の使用状態の一実施形態を示しており、フェルール10としてはキャピラリー部11とフランジ部12が一体型のものが用いられている。すなわち、フェルール10は、光ファイバ17(もしくは光ファイバ素線)を挿入するための小径の貫通孔13が中心軸線に沿って形成されたキャピラリー部11と、中心軸線に沿って光ファイバ心線16(光ファイバの外周に外被18が被着されたもの)挿通用の大径の貫通孔14が形成されたフランジ部12とからなり、小径の貫通孔13と大径の貫通孔14はテーパ径部15を介して接続されている。このようなフェルール10に光ファイバを取り付ける場合、光ファイバー心線16の先端部の外被18を剥がして所定の長さだけ光ファイバ17を露出させ、露出した光ファイバ及び光ファイバ心線先端部に接着剤を塗布した後、フェルール10の小径の貫通孔13に露出した光ファイバ17をフランジ部側から挿入し、光ファイバ17及び光ファイバ心線16の先端部を接着剤によりフェルール10の貫通孔13及び14内に固着させることにより行われる。
【0023】一対の光ファイバ17,17の接続は、それらが挿入・接合された各フェルール10,10をスリーブ1の両端から挿入し、フェルール10,10同士の端部を突き合わせることにより行われ、これによって光ファイバ17,17の軸線が整列した状態で先端部が突き合わせ接続される。スリーブ1の3箇所の凸部3上端を通る円5(図1参照)の径は、フェルール10のキャピラリー部11の外径よりも僅かに小さめの寸法とされている。従って、フェルール10,10を両端から挿入したときにスリーブ1は若干押し拡げられ、キャピラリー部11,11を弾力的に挟持した状態に保持することになる。
【0024】図5は、光コネクタにおける本発明のスリーブ1の使用状態の他の実施形態を示しており、フェルール10aとしてキャピラリー部11aとフランジ部12aが別体のものが用いられている。すなわち、このフェルール10aは、光ファイバ17を挿入するための小径の貫通孔13aが中心軸線に沿って形成されたキャピラリー11aと、中心軸線に沿って光ファイバ心線16挿通用の大径の貫通孔14aが形成されたフランジ12aとからなる。キャピラリー11aのテーパ孔部15aが形成された端部を、フランジ12aの前端穴部19に締り嵌め又は接着等により固着することにより組み立てられ、キャピラリー11aの小径の貫通孔13aとフランジ12aの大径の貫通孔14aはテーパ孔部15aを介して接続される。フェルール10aへの光ファイバの接合方法及びスリーブ1とフェルール10a,10aの取付態様は、前記図3及び図4に示す実施形態と同様である。
【0025】図6は、金型鋳造法により本発明のスリーブを製造する装置及び方法の一実施形態の概略構成を示している。強制冷却鋳型20は上型21と下型26とからなり、上型21にはスリーブの外径寸法を規制する一対の製品成形用キャビティ22a,22bが形成されており、これらのキャビティ22a,22b内にはそれぞれスリーブの内径寸法を規制する中子25a,25bが配設される。これらのキャビティ22a,22bは湯道23によって連通されており、キャビティ22a,22bの周囲をそれぞれ所定間隔を置いて半周する湯道の部分24a,24bの先端部からキャビティ22a,22b内に溶湯が流入されるように構成されている。一方、下型26の所定箇所には上記湯道23と連通する注湯口(貫通孔)27が形成され、その下部には溶解用容器30の円筒状原料収容部32の上端部と対応する形状の凹部28が形成されている。なお、中子25a,25bは下型26と一体に形成してもよい。また、強制冷却鋳型20は、銅、銅合金、超硬合金その他の金属材料から作製することができるが、キャビティ22a,22b内に注入された溶湯の冷却速度を速くするために、熱容量が大きくかつ熱伝導率の高い材料、例えば銅製、銅合金製等とすることが好ましい。また、上型には冷却水、冷媒ガス等の冷却媒体を流通させる流路を配設することもできる。
【0026】溶解用容器30は、本体31の上部に円筒状の原料収容部32を有し、前記下型26の注湯口27の真下に昇降自在に配設されている。原料収容部32の原料収容孔33内には、該原料収容孔33と略等しい径を有する溶湯移動具34が摺動自在に配置されており、該溶湯移動具34は図示しない油圧シリンダ(又は空圧シリンダ)のプランジャー35により上下動される。また、溶解用容器30の原料収容部32の周囲には、加熱源として誘導コイル36が配設されている。加熱源としては、高周波誘導加熱の他、抵抗加熱等の任意の手段を採用できる。上記原料収容部32及び溶湯移動具34の材質としては、セラミックス、耐熱皮膜コーティング金属材料などの耐熱性材料が好ましい。なお、溶湯の酸化皮膜形成を防止するために、装置全体を真空中又はArガス等の不活性ガス雰囲気中に配置するか、あるいは少なくとも下型26と溶解用容器30の原料収容部32上部との間に不活性ガスを流すことが好ましい。
【0027】本発明のスリーブの製造に際しては、まず、溶解用容器30が強制冷却鋳型20の下方に離間した状態において、原料収容部32内の溶湯移動具34上の空間内に前記したような非晶質合金を生じ得る組成の合金原料Aを装填する。合金原料Aとしては棒状、ペレット状、粉末状等の任意の形態のものを使用できる。次いで、誘導コイル36を励磁して合金原料Aを急速に加熱する。合金原料Aが溶解したかどうかを溶湯温度を検出して確認した後、誘導コイル36を消磁し、溶解用容器30をその上端部が下型26の凹部28に嵌挿されるまで上昇させ、次いで油圧シリンダを作動させて溶湯移動具34を急速に上昇させ、溶湯を強制冷却鋳型20の注湯口27から射出する。射出された溶湯は湯道23を経て各製品成形用キャビティ22a,22b内に注入、加圧され、急速に凝固される。この際、射出温度、射出速度等を適宜設定することにより、103 K/s以上の冷却速度が得られる。その後、溶解用容器30を下降させ、上型21と下型26を分離して製品を取り出す。
【0028】前記の方法で製造された鋳造後の製品形状を図7に示す。鋳造品40のスリーブ部分41a,41bから湯道部分42a,42bを切断・分離し、その切断面を研磨することにより、鋳型のキャビティ面を忠実に再現した平滑な表面を有する図1及び図2に示すようなスリーブ1が得られる。前記のような高圧ダイカスト法によれば、鋳造圧力が約100MPaまで、射出速度が数m/sまで可能であり、以下のような利点が得られる。
(1)溶湯の金型への充填が数ms以内で完了し、急冷作用が大きい。
(2)溶湯の金型との高密着性による冷却速度の増大とともに、精密成形が可能である。
(3)鋳造品の凝固収縮時における引け巣などの欠陥を低減できる。
(4)複雑な形状の成形品の作製が可能になる。
(5)高粘度の溶湯の鋳込みが可能になる。
【0029】図8は本発明のスリーブを製造する装置及び方法の他の実施形態の概略構成を示している。図8において、符号60は前記したような非晶質合金を生じ得る合金材料を溶融、保持するための容器であり、該容器60の下部には製品形状のキャビティ52a,52bを有する分割金型50が配置される。容器60の加熱手段(図示せず)としては、高周波誘導加熱、抵抗加熱等、任意の手段が採用できる。金型50の構造は、上下関係が逆である以外は前記図6に示す金型20と実質的に同一である。すなわち、上型56は注湯口(貫通孔)57の上部に容器60の下端部を収容する凹部58が形成されており、図6に示す下型26に対応している。一方、下型51は、製品成形用キャビティ52a,52b、湯道53,54a,54b、中子55a,55bの形状及び配置態様が上下逆な以外は図6に示す上型21と同一である。なお、この金型50の場合にも、中子55a,55bは上型56と一体成形されたものであってもよい。
【0030】スリーブの製造に際しては、容器60の底部に形成されている細孔61を金型50の注湯口57に接続した後、容器60内の合金溶湯A’に例えば不活性ガスを介して圧力を加え、容器60底部の細孔61から湯道53,54a,54bを経て所定量の合金溶湯A’を各キャビティ52a,52b内に充填せしめ、好ましくは10K/s以上の冷却速度で凝固させ、実質的に非晶質相からなる合金製スリーブを得る。
【0031】前記したような方法により、寸法精度L±0.0005〜0.001mm、表面精度0.2〜0.4μmでスリーブを製造できる。なお、前記した方法では、一対の製品成形用キャビティを形成した金型を用い、単一の工程で2個の製品を製造する2個取りの例を説明したが、3個以上のキャビティを形成した金型を用い、多数個取りとすることも勿論可能である。また、前記したような合金鋳造法の他に、押出成形も可能である。すなわち、前記したような非晶質合金は、大きな過冷却液体領域ΔTxを持っているため、このような非晶質合金からなる材料を過冷却液体領域温度まで加熱して同一温度に保持されたコンテナに挿入し、該コンテナをスリーブ製品形状のキャビティを設けた金型に連結し、所定量の合金を過冷却液体の粘性流動を利用して金型キャビティ内に圧入、成形して所定の形状のスリーブを得ることもできる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の効果を具体的に確認した実施例を示し、本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。
【0033】実施例1図6に示す装置を用い、射出温度1273K、射出速度1m/s、鋳造圧力1MPa、充填時間100msの条件で、内径2.5mm、外径3.1mm、凸部曲率半径0.3mmのZr65Al10Ni10Cu15の組成を有する図1及び図2に示す形状の非晶質合金からなるスリーブを作製した。得られたスリーブは金型キャビティ面を忠実に再現した表面平滑性に優れた製品であり、ヤング率80GPa、曲げ強度2,970MPa、ビッカース硬度400(DPN)、熱膨張率α=0.95×10-5/Kの特性を有していた。また、同様の方法により、Zr60Al15Co2.5 Ni7.5 Cu15の組成を有し、ヤング率91GPaの図3に示すようなキャピラリー部とフランジ部が一体型の非晶質合金からなるフェルールを作製した。作製した2つのフェルールに光ファイバを接合し、上記スリーブに両端から嵌め込んだところ、光ファイバ同士を軸線のずれを生ずることなく安定して接続することができた。
【0034】実施例2予め溶製したZr60Al15Co2.5 Ni7.5 Cu15、その他表1に示す各合金をそれぞれ石英るつぼに入れ、高周波誘導加熱によって完全に溶解し、この溶湯を2kgf/cm2 の気体加圧によって、るつぼ下部に設けられた細孔から直径2mm、長さ30mmの棒状キャビティを有する室温の銅製鋳型に注入して、機械的性質測定用棒状試料を得た。機械的性質の評価結果を表1に示す。
【表1】


表1に示すように、得られた非晶質合金材料は、曲げ強度がこれまでスリーブ材料として用いられている部分安定化ジルコニアの値(約1,000MPa)を大きく上回り、ヤング率は約1/2、硬度は約1/3であり、スリーブの材料として必要な特性を備えていることがわかる。
【0035】実施例3図6に示すような鋼製金型と金属押出機を連結し、実施例1と同じ合金の押出しによってスリーブの製造を行なった。押出用素材は別途鋳造によって製造された同合金の非晶質ビレット(直径25mm,長さ40mm)である。ビレットは730Kに予熱し、押出機のコンテナ、流入部、成形部の金型も同じく730Kに予熱した。このビレットを押出機のコンテナに挿入し、金型内に射出した。金型を冷却後、成形材を取り出し、流入部を除去後、検査を行なった。外観、寸法精度、表面粗さなど実施例1で得られたスリーブとほぼ同等の品質を得ることができた。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ガラス遷移領域の広い例えばZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系などの非晶質合金の金型鋳造法、金型成形法によって、光コネクタフェルール用スリーブに要求される寸法精度、表面品質を満足するスリーブを生産性よく低コストで製造することができる。しかも、本発明に利用される非晶質合金は強度、靭性、耐食性に優れ、スリーブとして摩耗、変形、欠け等が発生し難く長期間の使用に耐えることができる。また、光コネクタのフェルールよりも弾性変形し易い非晶質合金からスリーブを作製することにより、スリーブに対してフェルールの着脱を繰り返しても、フェルールを傷付けたりガタを生じたりすることなく、軸線を整列させた状態で安定して保持し易くなる。
【0037】さらに本発明のスリーブは、その上面が軸線に向って凸の円弧状の断面形状を有する凸部を内周面3箇所に長手方向に設けた形状を有するため、スリーブ内に保持するフェルールの外周面と3箇所で点接触した状態にフェルールを挟持することになり、突き合わされるフェルール同士の軸線(従って、光ファイバ同士)を整列させて安定して保持することができると共に、フェルール外周面を傷付けることもない。また、スリーブの長手方向に全長に亘ってスリットを形成することにより、スリーブの弾力性が向上し、多少寸法精度にばらつきがあってもフェルール同士の軸線を整列させてより安定して弾力的に挟持でき、また、スリーブとフェルールの着脱を繰り返しても保持状態にガタを生じ難くなるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスリーブの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すスリーブの斜視図である。
【図3】本発明のスリーブの使用状態の一実施形態を示す部分断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】本発明のスリーブの使用状態の他の実施形態を示す部分断面図である。
【図6】本発明のスリーブの製造に用いる装置の一実施形態の概略部分断面図である。
【図7】図6に示す装置で製造された鋳造品の斜視図である。
【図8】本発明のスリーブの製造に用いる装置の他の実施形態の概略部分断面図である。
【符号の説明】
1 スリーブ
2 円筒体
3 凸部
4 スリット
10,10a フェルール
17 光ファイバ
20 強制冷却鋳型
22a,22b 製品成形用キャビティ
23 湯道
27 注湯口
30 溶解用容器
32 原料収容部
33 原料収容孔
34 溶湯移動具
40 鋳造品
50 金型
52a,52b 製品成形用キャビティ
53 湯道
57 注湯口
60 容器
61 細孔
A 合金原料
A’ 合金溶湯

【特許請求の範囲】
【請求項1】 光コネクタフェルール同士を突き合わせ整列して保持する円筒状の光コネクタフェルール用スリーブにおいて、該スリーブが温度幅30K以上のガラス遷移領域を有する下記一般式で示される非晶質合金からなり、かつ光コネクタフェルールよりも弾性変形し易い実質的に非晶質の合金からなると共に、円筒体の長手方向に全長に亘ってスリットを設けたことを特徴とするスリーブ。
一般式:XaMbAlc但し、XはZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、MはMn、Fe、Co、Ni及びCuよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、cは原子%で、25≦a≦85、5≦b≦70、0<c≦35で示される組成を有し、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含む非晶質合金。
【請求項2】 前記スリーブが、円筒体の内周面の3箇所に長手方向の一端から他端に至る凸部が設けられ、該凸部はその上面が円筒体の軸線に向って凸の円弧状の断面形状を有することを特徴とする請求項に記載のスリーブ。
【請求項3】 上面が開放された溶解用容器で、下記一般式で示される組成を有し、温度幅30K以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解し、容器の上部に配置された製品成形用キャビティを持つ強制冷却鋳型内に合金溶湯を強制移動させ、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、なくとも体積率50%以上の非晶質相を含み、かつ光コネクタフェルールよりも弾性変形し易い実質的に非晶質の合金からなると共に、円筒体の長手方向に全長に亘ってスリットを設けた製品を得ることを特徴とする光コネクタフェルール用スリーブの製造方法。
一般式:XaMbAlc但し、XはZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、MはMn、Fe、Co、Ni及びCuよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、cは原子%で、25≦a≦85、5≦b≦70、0<c≦35である。
【請求項4】 前記溶解用容器内に合金溶湯を上方に強制移動させるための溶湯移動具が配設されていると共に、前記強制冷却鋳型が2個以上の同一形状の製品成形用キャビティと各キャビティに連通する湯道を持ち、該湯道が上記溶湯移動具の移動ライン上に配設されていることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】 下記一般式で示される組成を有し、温度幅30K以上のガラス遷移領域を有する非晶質合金を生じ得る合金材料を溶融、保持する容器と、製品形状のキャビティを設けた金型を配置し、該容器に設けた孔と金型注湯口を結合させた後、容器内の合金溶湯に圧力を加え、容器の孔を通じて所定量の合金溶湯を金型内に充填せしめ、10K/s以上の冷却速度で凝固させ、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含み、かつ光コネクタフェルールよりも弾性変形し易い実質的に非晶質の合金からなると共に、円筒体の長手方向に全長に亘ってスリットを設けた製品を得ることを特徴とする光コネクタフェルール用スリーブの製造方法。
一般式:XaMbAlc但し、XはZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、MはMn、Fe、Co、Ni及びCuよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、cは原子%で、25≦a≦85、5≦b≦70、0<c≦35である。
【請求項6】 温度幅30K以上のガラス遷移領域を有する下記一般式で示される合金からなる非晶質材料を過冷却液体領域温度まで加熱し、同一温度に保持されたコンテナに挿入し、製品形状のキャビティを設けた金型をコンテナに連結し、所定量の合金を過冷却液体の粘性流動を利用して金型内に圧入、成形することにより、光コネクタフェルールよりも弾性変形し易い実質的に非晶質の合金からなると共に、円筒体の長手方向に全長に亘ってスリットを設けた製品を得るすることを特徴とする光コネクタフェルール用スリーブの製造方法。
一般式:XaMbAlc但し、XはZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、MはMn、Fe、Co、Ni及びCuよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、cは原子%で、25≦a≦85、5≦b≦70、0<c≦35で示される組成を有し、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含む非晶質合金。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【特許番号】特許第3400296号(P3400296)
【登録日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【発行日】平成15年4月28日(2003.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−135756
【出願日】平成9年5月12日(1997.5.12)
【公開番号】特開平10−311923
【公開日】平成10年11月24日(1998.11.24)
【審査請求日】平成12年9月8日(2000.9.8)
【出願人】(000006828)ワイケイケイ株式会社 (263)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【参考文献】
【文献】特開 平3−158446(JP,A)
【文献】特開 平3−253525(JP,A)
【文献】特開 平5−104127(JP,A)
【文献】特開 平5−253656(JP,A)
【文献】特開 平5−309427(JP,A)
【文献】特開 平6−27348(JP,A)
【文献】特開 平8−201653(JP,A)
【文献】特開 昭64−32210(JP,A)