説明

光ディスクプレーヤの光ヘッド装置

【課題】コンパクトで安価な、2つの光源を有する光ヘッド装置を提供する。
【解決手段】光ディスクプレーヤ10の光ヘッド装置22は、固定光学部26の第1及び第2光源52、54から可動光学部24の対物レンズ32へレーザビームが送出されるように構成される。第1及び第2光源52、54は650nm、780nmの波長のレーザビームを夫々発振する。固定光学部26には、更に、反射レーザビームを電気信号に変換するための光検出器56、光ディスクに向かう光ビームを反射すると共に、光ディスクからの反射光ビームを透過するためのプリズム面58aを有する偏光ビームスプリッタユニット58が配設される。偏光ビームスプリッタユニット58は回転可能で、プリズム面58aの向きを変えることにより、第1及び第2光源52、54が択一的に使用される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ディスクに対して情報の再生及び/または記録処理を行うための光ディスクプレーヤに使用される光ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクに記録された情報を光学的に読み取って再生したり、光ディスクに情報を光学的に記録するため、光ディスクプレーヤが使用される。この種の光ディスクプレーヤは、光ディスクを回転駆動するためのターンテーブルと、ターンテーブル上の光ディスクに光ビームを照射すると共に光ディスクからの反射光ビームを取込むための光ヘッド装置とを有する。
【0003】光ディスクプレーヤとして、互いに異なる波長の光ビームを発振する2つの光源を有する構造が既に提案されている。この様な構造は、例えば、DVD及びCDのように、互いに記録密度の異なる2種類の光ディスクに記録された情報を再生する場合に好ましい構造となる。特に、DVD及びCD−R(一度書替え可能なCD)の相互の再生に対して互換性が要求される場合、DVDを再生するための光源の発光波長は700nm以下であるのに対して、CD−Rを再生するための光源の発光波長は780nm程度とする必要がある。このことは、CD−Rが、記録を書替え可能とするために有機色素系の記録膜を使用し、図2図示の如く、非常に波長依存性の高いメディアであることに起因する。このため、吸収率が高い700nm以下の光ビームでは、低パワーの再生光量であっても、CD−Rの記録膜を変化させ、記録情報を破壊してしまう可能性がある。
【0004】DVDとCDとの互換性を得るための2つの光源を有する光ディスクプレーヤとして、DVD用及びCD用の2つの光ヘッド装置を有する構造が既に提案されている。しかし、この構造の場合、光ヘッド装置が2つあることに加えて、それらの搬送機構も2つ配設する必要があるため、装置寸法が非常に大きくなると共にコストアップを招くという問題がある。
【0005】この様な問題点に対応するため、1つの光ヘッド装置内に2つの光源が配設され、2つの光源からの光ビームが合成されて1つの光学系に導かれる構造が提案されている。この構造の場合、その合成用の光学素子としてダイクロイックプリズムが一般的に使用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ダイクロイックプリズムは、高価な上に、波長依存性や入射角依存性等の特性から、光学ヘッド装置に使用するにあたって下記のように使い勝手がよくない面がある。また、2つの光源からの光ビームをダイクロイックプリズムで合成する場合、光学系の大部分は2つの光源に対応して2系統設ける必要があるという問題もある。
【0007】即ち、ダイクロイックプリズムは:(1)波長により光ビームの合成及び分離を行うため、フォーカス、トラック、データ等の検出には夫々別系統の光学系が必要となる。
【0008】(2)波長依存性が高いため、図3(a)、(b)図示の如く、温度、出力等の条件により15nm以上も波長が変化する半導体レーザを光源として用いる場合には不都合となる。
【0009】(3)入射角依存性が高いため、光ビームを平行光にして入射させる必要がある。本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、2つの光源を択一的に使用することを前提として、コンパクトで安価な、2つの光源を有する光ディスクプレーヤの光ヘッド装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の視点は、光ディスクに記録された情報を、互いに異なる波長の光ビームを発振する第1及び第2光源のいずれか一方を用いて再生するための光ディスクプレーヤの光ヘッド装置であって、前記光ディスクに向かう光ビームと前記光ディスクからの反射光ビームとを分離する分離位置に対して前記第1及び第2光源を夫々繋ぐ第1及び第2光学系部分と、ここで、前記第1及び第2光学系部分は前記分離位置を挟んで互いに逆方向に延びることと、前記分離位置と前記光ディスク及び光検出器とを夫々繋ぐ第3及び第4光学系部分と、ここで、前記第3及び第4光学系部分は前記分離位置を挟んで互いに逆方向に延びると共に前記第1及び第2光学系部分の光軸を含む面内で互いに整一する光軸を有することと、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角で且つ前記分離位置を含む面により規定され、前記光ディスクに向かう光ビームを反射すると共に、前記光ディスクからの反射光ビームを透過するためのプリズム面を有する偏光ビームスプリッタユニットと、前記プリズム面により前記第1光源からの光ビームを前記第3光学系部分に導く第1状態と、前記プリズム面により前記第2光源からの光ビームを前記第3光学系部分に導く第2状態との間で切替えることができるように、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と平行に前記分離位置を中心として前記偏光ビームスプリッタユニットを回転可能に支持する手段と、を具備することを特徴とする。
【0011】本発明の第2の視点は、第1の視点の光ディスクプレーヤの光ヘッド装置において、前記第1及び第2光学系部分は、前記第3及び第4光学系部分の光軸に対して直角で且つ互いに整一する光軸を有し、前記第1及び第2状態間で、前記偏光ビームスプリッタユニットが90度回転されることを特徴とする。
【0012】本発明の第3の視点は、光ディスクに記録された情報を、互いに異なる波長の光ビームを発振する第1及び第2光源のいずれか一方を用いて再生するための光ディスクプレーヤの光ヘッド装置であって、前記光ディスクに向かう光ビームと前記光ディスクからの反射光ビームとを分離する分離位置に対して前記第1及び第2光源を夫々繋ぐ第1及び第2光学系部分と、ここで、前記第1及び第2光学系部分は前記分離位置を挟んで互いに逆方向に延びることと、前記分離位置と前記光ディスク及び光検出器とを夫々繋ぐ第3及び第4光学系部分と、ここで、前記第3及び第4光学系部分は前記分離位置を挟んで互いに逆方向に延びると共に前記第1及び第2光学系部分の光軸を含む面内で互いに整一する光軸を有することと、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角で、且つ前記第1光源からの前記光ディスクに向かう光ビームを反射すると共に、前記光ディスクからの反射光ビームを透過する第1プリズム面と、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角で、且つ前記第2光源からの前記光ディスクに向かう光ビームを反射すると共に、前記光ディスクからの反射光ビームを透過する第2プリズム面と、を有する偏光ビームスプリッタユニットと、前記第1プリズム面を前記分離位置に配置して前記第1光源からの光ビームを前記第3光学系部分に導く第1状態と、前記第2プリズム面を前記分離位置に配置して前記第2光源からの光ビームを前記第3光学系部分に導く第2状態との間で切替えることができるように、前記偏光ビームスプリッタユニットを直線移動可能に支持する手段と、を具備することを特徴とする。
【0013】本発明の第4の視点は、第3の視点の光ディスクプレーヤの光ヘッド装置において、前記第1及び第2プリズム面は前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面に沿って背中合わせに並設され、前記偏光ビームスプリッタユニットは、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と平行で且つ前記第3及び第4光学系部分の光軸に対して直角な方向に直線移動可能であることを特徴とする。
【0014】本発明の第5の視点は、第3の視点の光ディスクプレーヤの光ヘッド装置において、前記第1及び第2プリズム面は前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角な方向に積み重ねられ、前記偏光ビームスプリッタユニットは、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角な方向に直線移動可能であることを特徴とする。
【0015】本発明の第6の視点は、第3乃至5の視点のいずれかに係る光ディスクプレーヤの光ヘッド装置において、前記第1及び第2光学系部分は、前記第3及び第4光学系部分の光軸に対して直角で且つ互いに整一する光軸を有することを特徴とする。
【0016】本発明の第7の視点は、第1乃至6の視点のいずれかに係る光ディスクプレーヤの光ヘッド装置において、対物レンズを含む可動光学部と前記第1及び第2光源及び前記光検出器を含む固定光学部とを具備し、前記前記偏光ビームスプリッタユニットが前記固定光学部に配設されることを特徴とする。
【0017】本発明の第8の視点は、第1乃至7の視点のいずれかに係る光ディスクプレーヤの光ヘッド装置において、前記第1及び第2光源が互いに記録密度の異なる光ディスクに記録された情報を再生するために夫々使用されることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】図4は本発明の実施の形態に係る光ヘッド装置を有し、光ディスクに対して情報の再生及び記録処理を行うための光ディスクプレーヤを示す斜視図である。図1は本実施の形態に係る光ヘッド装置の光学系を、2つの異なる動作状態で示す平面図である。
【0019】この光ディスクプレーヤ10は、光ディスクを回転駆動するためのターンテーブル12とターンテーブル12上の光ディスクにレーザビームを照射すると共に光ディスクからの反射レーザビームを取込むための光ヘッド装置22とを有する。ターンテーブル12は、ベースプレート14に支持されたスピンドルモータ16により駆動される。光ヘッド装置22はベースプレート14上を移動可能なピックアップ即ち可動光学部24と、ベースプレート14に固定された固定光学部26とを有する。
【0020】より具体的には、ピックアップ24には、立上げミラー30及び対物レンズ32(図1、図5及び図6参照)が配設される。対物レンズ32により、固定光学部26からのレーザビームが光ディスクの記録面上に結像されると共に記録面で反射された反射レーザビームが取り込まれる。対物レンズ32はレンズホルダ34に保持され、レンズホルダ34はアクチェータ36に取付けられる。アクチェータ36にはフォーカシングコイル及びトラッキングコイルが配設される。フォーカシングコイルにより、光ディスクの記録面と直交する方向即ち対物レンズ32の光軸方向に対物レンズ32が位置調節可能となる。トラッキングコイルにより、光ディスクの記録面上のトラック(グルーブ)を横切る方向に対物レンズ32が位置調節可能となる。
【0021】アクチェータ36はキャリッジ38に搭載され、キャリッジ38は一対のガイド42に摺動可能に取付けられる。ガイド42は、ターンテーブル12と固定光学部26との間で、ターンテーブル12上の半径方向に沿って延設される。また、ガイド42を挟んで一対のリニアモータ44が配設され、リニアモータ44によりピックアップ24がガイド42に沿って駆動される。従って、光ディスクの回転とピックアップ24の直線移動とにより、光ディスクの全記録面を対物レンズ32により走査することが可能となる。
【0022】ピックアップ24にレーザビームを送出すための固定光学部26には、互いに異なる波長のレーザビームを発振する第1及び第2光源52、54、反射レーザビームを電気信号に変換するための光検出器56等が配設される(図1参照)。固定光学部26の光源52、54は、夫々、例えば、650nm、780nmの波長のレーザビームを発振する半導体レーザからなる。各レーザビームは、断面形状が楕円形で且つ発散性であると共に、一方向に振動する即ち直線偏光のビームからなる。光源52、54から発振されたレーザビームは、偏光ビームスプリッタユニット58、コリメータレンズ60、1/4波長板62、ビーム整形プリズム64を順に通過し、ピックアップ24に向けて送出される(図1参照)。
【0023】偏光ビームスプリッタユニット58は、1/4波長板62と協働して、光源52、54から光ディスクに向かうレーザビームと、光ディスクからの反射レーザビームとを分離する。例えば、光源52、54からのレーザビームの直線偏光がS偏光からなり、光ディスクからの反射レーザビームの直線偏光がP偏光からなるとすると、偏光ビームスプリッタユニット58は、P偏光成分を透過し、S偏光成分を反射する特性を有するように設定される。即ち、偏光ビームスプリッタユニット58のプリズム面58aは、光源52、54からのレーザビームを反射し、90度方向を変えて光ディスクに向けて案内する一方、光ディスクからの反射レーザビームを透過させる。
【0024】1/4波長板62は直線偏光のレーザビームを楕円偏光に、また楕円偏光のレーザビームを直線偏光に変える。即ち、偏光ビームスプリッタユニット58から光ディスクに向かうS偏光のレーザビームは、1/4波長板62を通過すると右旋回の楕円偏光となる。右旋回の楕円偏光のレーザビームは光ディスクで反射され、左旋回の反射レーザビームとして戻ってくる。左旋回の反射レーザビームは、1/4波長板62を通過すると、P偏光となる。従って、偏光ビームスプリッタユニット58において、光源52、54からのS偏光のレーザビームと、光ディスクからのP偏光の反射レーザビームとを分離することが可能となる。
【0025】コリメータレンズ60は、光源52、54からの発散性のレーザビームを平行レーザビームに変換する。ビーム整形プリズム64は、光源52、54からのレーザビームのビーム断面形状を楕円面から概ね円形に整える。
【0026】偏光ビームスプリッタユニット58と光検出器56との間には、回折素子66が配設される。光検出器56は、複数の検出領域に分割された検出面を有し、ここで検出された信号が、光ディスクの記録面上に記録された情報の再生、記録面上において光スポットとトラックとを整合させるためのトラッキング制御、記録面上に光スポットを結像させるためのフォーカシング制御、等に使用される。
【0027】トラッキング制御は、アクチェータ36のトラッキングコイルを介して、対物レンズ32を、光ディスクの記録面上のトラックを横断する方向に位置調節することにより行われる。フォーカシング制御は、アクチェータ36のフォーカシングコイルを介して、対物レンズ32をその光軸方向に位置調節することにより行われる。
【0028】光検出器56には、レーザビームの光強度の変化をモニタするためのモニタ光検出器(図示せず)が組込まれる。モニタ光は、光源52、54からのレーザビームの一部をビーム整形プリズム64の入射面で反射させることにより得られる。モニタ光検出器の検出信号は、光源52、54から発振されるレーザビームの光強度を一定に維持するためのオートパワー制御(APC)に使用される。
【0029】なお、トラッキング制御とフォーカシング制御とを、夫々別の光検出器を用いて行うようにすることもできる。この場合、偏光ビームスプリッタユニット58と光検出器56との間にハーフミラー(図示せず)を配設し、反射レーザビームを、各光検出器に向けて分割する。
【0030】図1図示の如く、偏光ビームスプリッタユニット58と第1及び第2光源52、54とは夫々第1及び第2光学系部分72、74により繋がれる。第1及び第2光学系部分72、74は偏光ビームスプリッタユニット58を挟んで互いに逆方向に延び且つ互いに整一する光軸を有する。また、偏光ビームスプリッタユニット58と光ディスク及び光検出器56とは夫々第3及び第4光学系部分76、78により繋がれる。第3及び第4光学系部分72、74は偏光ビームスプリッタユニット58を挟んで互いに逆方向に延びると共に且つ互いに整一する光軸を有する。第1及び第2光学系部分72、74の光軸と、第3及び第4光学系部分76、78の光軸とは、同一平面上で互いに直角となる。
【0031】偏光ビームスプリッタユニット58のプリズム面58aは、第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角となるように配置される。第1及び第2光学系部分72、74の光軸と第3及び第4光学系部分76、78の光軸との交点、即ち光ディスクに向かう光ビームと光ディスクからの反射光ビームとが分離される分離位置の中心SPは、プリズム面58a上に存在する。偏光ビームスプリッタユニット58は、分離位置中心SPを中心としてプリズム面58aと直角な面上で回転可能となるように、回転ホルダ68に支持される。
【0032】図5は、光ディスクプレーヤ10にDVDが装着され、第1光源52の波長650nmのレーザビームが使用される場合の光学系の動作状態を示す。同図(a)、(b)は送光系光路の平面及び側面を示し、同図(c)、(d)は検出系光路の平面及び側面を示す。ここで、偏光ビームスプリッタユニット58のプリズム面58aは第1光学系部分72に対して45度の角度で対面する。また、第1光源52がONで、第2光源54がOFFとなる。従って、プリズム面58aは、第1光源52からのレーザビームを反射し、90度方向を変えて光ディスクに向けて案内すると共に、光ディスクからの反射レーザビームを、光検出器56に向けて透過させる。
【0033】図6は、光ディスクプレーヤ10にCD−R等のCDが装着され、第2光源54の波長780nmのレーザビームが使用される場合の光学系の動作状態を示す。同図(a)、(b)は送光系光路の平面及び側面を示し、同図(c)、(d)は検出系光路の平面及び側面を示す。ここで、偏光ビームスプリッタユニット58は、図5図示の状態から、分離位置中心SPを中心としてプリズム面58aと直角な面上で90度回転される。即ち、偏光ビームスプリッタユニット58のプリズム面58aは第2光学系部分74に対して45度の角度で対面する。また、第1光源52がOFFで、第2光源54がONとなる。従って、プリズム面58aは、第2光源54からのレーザビームを反射し、90度方向を変えて光ディスクに向けて案内すると共に、光ディスクからの反射レーザビームを、光検出器56に向けて透過させる。
【0034】この様に、図1図示の実施の形態に係る光ヘッド装置によれば、1つのプリズム面58aを有する偏光ビームスプリッタユニット58を回転させることにより、第1及び第2光源52、54を択一的に使用することができる。第1及び第2光源52、54と光ディスクとの間の光学系の殆どは、第1及び第2光源52、54で共有できるため、装置はコンパクトで安価なものとなる。
【0035】図7は本発明の別の実施の形態に係る光ヘッド装置の光学系を、2つの異なる動作状態で示す平面図である。図中、図1図示の光ヘッド装置と共通する部分には、共通の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
【0036】この実施の形態に係る光ヘッド装置には、第1及び第2の2つのプリズム面82a、82bを有する偏光ビームスプリッタユニット82が配設される。第1及び第2プリズム面82a、82bは、第1乃至第4光学系部分72〜78の光軸を含む面と直角で且つ夫々第1及び第2光学系部分72、74の光軸に対して45度の角度をなす様に、第1及び第2光学系部分72、74の光軸方向に沿って背中合わせに並設される。偏光ビームスプリッタユニット82は、第1及び第2光学系部分72、74の光軸方向に沿って直線移動可能となるように、スライドホルダ84に支持される。更に、偏光ビームスプリッタユニット82の移動方向の両側には、スライドホルダ84と当接して偏光ビームスプリッタユニット82を位置決めするための第1及び第2ストッパ86a、86bが配設される。
【0037】図7(a)は、光ディスクプレーヤ10にDVDが装着され、第1光源52の波長650nmのレーザビームが使用される場合の光学系の動作状態を示す。ここで、偏光ビームスプリッタユニット82の第1プリズム面82aが分離位置中心SPと整合するように、スライドホルダ84が第1ストッパ86aに当接するまで移動される。即ち、第1プリズム面82aが第1光学系部分72に対して45度の角度で対面する。また、第1光源52がONで、第2光源54がOFFとなる。従って、第1プリズム面82aは、第1光源52からのレーザビームを反射し、90度方向を変えて光ディスクに向けて案内すると共に、光ディスクからの反射レーザビームを、光検出器56に向けて透過させる。
【0038】図7(b)は、光ディスクプレーヤ10にCD−R等のCDが装着され、第2光源54の波長780nmのレーザビームが使用される場合の光学系の動作状態を示す。ここで、偏光ビームスプリッタユニット82の第2プリズム面82bが分離位置中心SPと整合するように、スライドホルダ84が第2ストッパ86bに当接するまで移動される。即ち、偏光ビームスプリッタユニット82の第2プリズム面82bが第2光学系部分74に対して45度の角度で対面する。また、第1光源52がOFFで、第2光源54がONとなる。従って、第2プリズム面82bは、第2光源54からのレーザビームを反射し、90度方向を変えて光ディスクに向けて案内すると共に、光ディスクからの反射レーザビームを、光検出器56に向けて透過させる。
【0039】この様に、図7図示の実施の形態に係る光ヘッド装置によれば、2つのプリズム面82a、82bを有する偏光ビームスプリッタユニット82を横方向に直線移動させることにより、第1及び第2光源52、54を択一的に使用することができる。第1及び第2光源52、54と光ディスクとの間の光学系の殆どは、第1及び第2光源52、54で共有できるため、装置はコンパクトで安価なものとなる。
【0040】また、本光ヘッド装置は偏光ビームスプリッタユニット82を直線移動させると共に、その位置決めを、スライドホルダ84とストッパ86a、86bとの当接によっているため、図1図示の回転式切替え構造に比べて、簡単で且つ信頼性の高い切替え構造が得られる。即ち、図1図示の回転式切替え構造においては、偏光ビームスプリッタユニット58の切替え回転角度に高い精度が必要となる。また、偏光ビームスプリッタユニット58の回転中心とプリズム面58aとがずれていると、プリズム面58aの向きを変えた際に光ビームがシフトし、エラーを生じさせる原因となる。
【0041】図8は本発明の更に別の実施の形態に係る光ヘッド装置の光学系を、2つの異なる動作状態で示す側面図(a)、(b)と、その偏光ビームスプリッタユニットを示す平面図(c)である。図中、図1図示の光ヘッド装置と共通する部分には、共通の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
【0042】この実施の形態に係る光ヘッド装置には、第1及び第2の2つのプリズム面92a、92bを有する偏光ビームスプリッタユニット92が配設される。第1及び第2プリズム面92a、92bは、第1乃至第4光学系部分72〜78の光軸を含む面と直角で且つ夫々第1及び第2光学系部分72、74の光軸に対して45度の角度をなす様に、第1乃至第4光学系部分72〜78の光軸を含む面と直角な方向に積み重ねられる。偏光ビームスプリッタユニット92は、第1乃至第4光学系部分72〜78の光軸を含む面と直角な方向に沿って直線移動可能となるように、スライドホルダ94に支持される。更に、偏光ビームスプリッタユニット92の移動方向の両側には、スライドホルダ94と当接して偏光ビームスプリッタユニット92を位置決めするための第1及び第2ストッパ96a、96bが配設される。
【0043】図8(a)は、光ディスクプレーヤ10にDVDが装着され、第1光源52の波長650nmのレーザビームが使用される場合の光学系の動作状態を示す。ここで、偏光ビームスプリッタユニット92の第1プリズム面92aが分離位置中心SPと整合するように、スライドホルダ94が第1ストッパ96aに当接するまで移動される。即ち、第1プリズム面92aが第1光学系部分72に対して45度の角度で対面する。また、第1光源52がONで、第2光源54がOFFとなる。従って、第1プリズム面92aは、第1光源52からのレーザビームを反射し、90度方向を変えて光ディスクに向けて案内すると共に、光ディスクからの反射レーザビームを、光検出器56に向けて透過させる。
【0044】図8(b)は、光ディスクプレーヤ10にCD−R等のCDが装着され、第2光源54の波長780nmのレーザビームが使用される場合の光学系の動作状態を示す。ここで、偏光ビームスプリッタユニット92の第2プリズム面92bが分離位置中心SPと整合するように、スライドホルダ94が第2ストッパ96bに当接するまで移動される。即ち、偏光ビームスプリッタユニット92の第2プリズム面92bが第2光学系部分74に対して45度の角度で対面する。また、第1光源52がOFFで、第2光源54がONとなる。従って、第2プリズム面92bは、第2光源54からのレーザビームを反射し、90度方向を変えて光ディスクに向けて案内すると共に、光ディスクからの反射レーザビームを、光検出器56に向けて透過させる。
【0045】この様に、図8図示の実施の形態に係る光ヘッド装置によれば、2つのプリズム面92a、92bを有する偏光ビームスプリッタユニット92を縦方向に直線移動させることにより、第1及び第2光源52、54を択一的に使用することができる。第1及び第2光源52、54と光ディスクとの間の光学系の殆どは、第1及び第2光源52、54で共有できるため、装置はコンパクトで安価なものとなる。
【0046】また、本光ヘッド装置は偏光ビームスプリッタユニット92を縦方向に直線移動させているため、図1図示の回転式切替え構造に比べて、構造が簡単になるだけでなく、図7図示の横方向切替え構造に比べて、位置決めをラフにすることができる。この理由は、偏光ビームスプリッタユニットは、その構造上、上下方向にかなりの位置ずれマージンを稼ぐことができるからである。
【0047】なお、図1、図7及び図8図示の実施の形態においては、第1及び第2光学系部分72、74の夫々の光軸は、第3及び第4光学系部分76、78の光軸に対して直角となっている。しかし、第1及び第2光学系部分72、74の夫々の光軸が、第3及び第4光学系部分76、78の光軸に対して直角でない場合でも、偏光ビームスプリッタユニット58(図1)の回転角度、或いは第1及び第2プリズム面82a、82b(図7R>7)、92a、92b(図8)の角度を調整すれば、これ等の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0048】以上、本発明を添付の図面に示す実施の形態を参照して述べたが、本発明は、その思想の範囲において、図示の実施の形態以外の種々態様で実施することが可能である。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、1つのプリズム面を有する偏光ビームスプリッタユニットを回転させるか、2つのプリズム面を有する偏光ビームスプリッタユニットを直線移動させることにより、2つの光源を択一的に使用することができる。2つの光源を択一的に使用するため、光学系の殆どを2つの光源で共有することができる。また、偏光ビームスプリッタユニットを直線移動させる構造によれば、プリズム面の位置決めを簡単且つ確実に行うことができる。特に、偏光ビームスプリッタユニットを、光軸を含む面と直角な方向に直線移動させる構造によれば、プリズム面の位置決めをラフにすることができる。従って、本発明によれば、コンパクトで安価な、2つの光源を有する光ディスクプレーヤの光ヘッド装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る光ヘッド装置の光学系を、2つの異なる動作状態で示す平面図。
【図2】CD−Rの反射率及び吸収率の波長依存性を示すグラフ。
【図3】半導体レーザの波長の温度依存性及び出力依存性を示すグラフ。
【図4】本発明の実施の形態に係る光ヘッド装置を有し、光ディスクに対して情報の再生及び記録処理を行うための光ディスクプレーヤを示す斜視図。
【図5】光ディスクプレーヤにDVDが装着され、第1光源の波長650nmのレーザビームが使用される場合の、図1図示の光ヘッド装置の光学系の動作状態を示す図。
【図6】光ディスクプレーヤにCD−R等のCDが装着され、第1光源の波長780nmのレーザビームが使用される場合の、図1図示の光ヘッド装置の光学系の動作状態を示す図。
【図7】本発明の別の実施の形態に係る光ヘッド装置の光学系を、2つの異なる動作状態で示す平面図。
【図8】本発明の更に別の実施の形態に係る光ヘッド装置の光学系を、2つの異なる動作状態で示す側面図と、その偏光ビームスプリッタユニットを示す平面図。
【符号の説明】
10…光ディスクプレーヤ、12…ターンテーブル、22…光ヘッド装置、24…ピックアップ(可動光学部)、26…固定光学部、30…立上げミラー、32…対物レンズ、42…ガイド、44…リニアモータ、52、54…第1及び第2光源、56…光検出器、58…偏光ビームスプリッタユニット、58a…プリズム面、60…コリメータレンズ、62…1/4波長板、64…ビーム整形プリズム、66……回折素子、68…回転ホルダ、72〜78…第1乃至第4光学系部分、82、92…偏光ビームスプリッタユニット、82a、92a…第1プリズム面、82b、92b…第2プリズム面、84、94…スライドホルダ、86a、96a…第1ストッパ、86b、96b…第2ストッパ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】光ディスクに記録された情報を、互いに異なる波長の光ビームを発振する第1及び第2光源のいずれか一方を用いて再生するための光ディスクプレーヤの光ヘッド装置であって、前記光ディスクに向かう光ビームと前記光ディスクからの反射光ビームとを分離する分離位置に対して前記第1及び第2光源を夫々繋ぐ第1及び第2光学系部分と、ここで、前記第1及び第2光学系部分は前記分離位置を挟んで互いに逆方向に延びることと、前記分離位置と前記光ディスク及び光検出器とを夫々繋ぐ第3及び第4光学系部分と、ここで、前記第3及び第4光学系部分は前記分離位置を挟んで互いに逆方向に延びると共に前記第1及び第2光学系部分の光軸を含む面内で互いに整一する光軸を有することと、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角で且つ前記分離位置を含む面により規定され、前記光ディスクに向かう光ビームを反射すると共に、前記光ディスクからの反射光ビームを透過するためのプリズム面を有する偏光ビームスプリッタユニットと、前記プリズム面により前記第1光源からの光ビームを前記第3光学系部分に導く第1状態と、前記プリズム面により前記第2光源からの光ビームを前記第3光学系部分に導く第2状態との間で切替えることができるように、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と平行に前記分離位置を中心として前記偏光ビームスプリッタユニットを回転可能に支持する手段と、を具備することを特徴とする光ディスクプレーヤの光ヘッド装置。
【請求項2】前記第1及び第2光学系部分は、前記第3及び第4光学系部分の光軸に対して直角で且つ互いに整一する光軸を有し、前記第1及び第2状態間で、前記偏光ビームスプリッタユニットが90度回転されることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクプレーヤの光ヘッド装置。
【請求項3】光ディスクに記録された情報を、互いに異なる波長の光ビームを発振する第1及び第2光源のいずれか一方を用いて再生するための光ディスクプレーヤの光ヘッド装置であって、前記光ディスクに向かう光ビームと前記光ディスクからの反射光ビームとを分離する分離位置に対して前記第1及び第2光源を夫々繋ぐ第1及び第2光学系部分と、ここで、前記第1及び第2光学系部分は前記分離位置を挟んで互いに逆方向に延びることと、前記分離位置と前記光ディスク及び光検出器とを夫々繋ぐ第3及び第4光学系部分と、ここで、前記第3及び第4光学系部分は前記分離位置を挟んで互いに逆方向に延びると共に前記第1及び第2光学系部分の光軸を含む面内で互いに整一する光軸を有することと、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角で、且つ前記第1光源からの前記光ディスクに向かう光ビームを反射すると共に、前記光ディスクからの反射光ビームを透過する第1プリズム面と、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角で、且つ前記第2光源からの前記光ディスクに向かう光ビームを反射すると共に、前記光ディスクからの反射光ビームを透過する第2プリズム面と、を有する偏光ビームスプリッタユニットと、前記第1プリズム面を前記分離位置に配置して前記第1光源からの光ビームを前記第3光学系部分に導く第1状態と、前記第2プリズム面を前記分離位置に配置して前記第2光源からの光ビームを前記第3光学系部分に導く第2状態との間で切替えることができるように、前記偏光ビームスプリッタユニットを直線移動可能に支持する手段と、を具備することを特徴とする光ディスクプレーヤの光ヘッド装置。
【請求項4】前記第1及び第2プリズム面は前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面に沿って背中合わせに並設され、前記偏光ビームスプリッタユニットは、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と平行で且つ前記第3及び第4光学系部分の光軸に対して直角な方向に直線移動可能であることを特徴とする請求項3に記載の光ディスクプレーヤの光ヘッド装置。
【請求項5】前記第1及び第2プリズム面は前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角な方向に積み重ねられ、前記偏光ビームスプリッタユニットは、前記第1乃至第4光学系部分の光軸を含む面と直角な方向に直線移動可能であることを特徴とする請求項3に記載の光ディスクプレーヤの光ヘッド装置。
【請求項6】前記第1及び第2光学系部分は、前記第3及び第4光学系部分の光軸に対して直角で且つ互いに整一する光軸を有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の光ディスクプレーヤの光ヘッド装置。
【請求項7】対物レンズを含む可動光学部と前記第1及び第2光源及び前記光検出器を含む固定光学部とを具備し、前記前記偏光ビームスプリッタユニットが前記固定光学部に配設されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光ディスクプレーヤの光ヘッド装置。
【請求項8】前記第1及び第2光源が互いに記録密度の異なる光ディスクに記録された情報を再生するために夫々使用されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光ディスクプレーヤの光ヘッド装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate