説明

光ディスク印刷システム

【課題】光ディスクのメディア情報を正確に検出でき、検出したメディア情報に応じた印刷処理が可能な光ディスク印刷システムを得る。
【解決手段】規格が異なる複数種類の光ディスク10と、これら異種ディスクを挿入可能なディスク挿入口を有し、ディスク挿入口から挿入された光ディスクのラベル面に印刷処理を施すラベルプリンタ30とを備えた光ディスク印刷システムであって、光ディスクにはディスクのメディア情報を示す磁性パターン20を付与する。ラベルプリンタには、光ディスクの搬入過程で光ディスクの磁性パターンを読み出す磁気センサ32と、プリンタ内部に格納された光ディスクのラベル面に印刷を行うプリンタ33と、磁気センサの出力に基づいて光ディスクのメディア情報を判別し、ディスク情報に応じた印刷処理をプリンタに実行させる制御手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクのラベル面に印刷処理を施す光ディスク印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、光ディスクのラベル面に文字や画像を直接印刷できるラベルプリンタが種々開発されている。このようなラベルプリンタでは、印刷対象である光ディスクの種類(規格)が多様化していることから、個々の光ディスクに応じた印刷処理を行いたいという要望がある。
【0003】
例えば特許文献1には、CD−RやDVD−R等の追記型光ディスクにおいて、ラベル面の印刷済み領域にマーカーを付し、このマーカーが付されていない空き領域を選択して印刷できるプリンタが開示されている。また、特許文献2には、ディスク媒体の大きさにかかわらず印刷できるように8cmのディスク媒体と12cmのディスク媒体を選択的に収納可能なディスクトレイが開示され、特許文献3には、レーベル面への印刷位置を調整する技術が開示されている。さらに、特許文献4には、上記追記型であるか否か、ディスク径が8cmであるか否か等の光ディスクの種類を判別するための種類判別用シールを光ディスクに貼り付け、この種類判別用シールに印字した黒ラインの有無を反射型フォトセンサにより検出して、光ディスクの種類を判別する技術が開示されている。この判別方法により光ディスクの種類を特定できれば、ディスク種別に応じた印刷処理を実現可能である。
【特許文献1】特開2002−292939号公報
【特許文献2】特開2004−74528号公報
【特許文献3】特開2004−114357号公報
【特許文献4】特開2005−317102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献4においては、上述したように種類判別用シールに印字した黒ラインの有無を反射型フォトセンサにより検出しているため、光ディスク上に付着したゴミ等により誤検出が生じやすく、正確なディスク種別を得られない場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、光ディスクのメディア情報を正確に検出でき、検出したメディア情報に応じた印刷処理が可能な光ディスク印刷システムを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光ディスクのメディア情報を磁気的に検出すれば、光ディスク上に付着したゴミの影響を受けず、メディア情報を正確に検出できることに着目して完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、規格が異なる複数種類の光ディスクと、これら異種ディスクを挿入可能なディスク挿入口を有し、該ディスク挿入口から挿入された光ディスクのラベル面に印刷処理を施すラベルプリンタとを備えた光ディスク印刷システムにおいて、光ディスクは、該ディスクのメディア情報を示す磁性パターンを有すること、ラベルプリンタは、ディスク挿入口から挿入された光ディスクがプリンタ内部に格納される搬入経路上に配置され、光ディスクの搬入過程で、該光ディスクの磁性パターンを読み出す磁気センサと、プリンタ内部に格納された光ディスクのラベル面に印刷を行うプリンタと、磁気センサの出力に基づいて光ディスクのメディア情報を判別し、ディスク情報に応じた印刷処理を前記プリンタに実行させる制御手段とを有することを特徴としている。
【0008】
磁性パターンで示されるメディア情報は、具体的に、光ディスクの種別情報、中心位置情報、回転位相情報の1以上とすることができる。
【0009】
磁性パターンは、光ディスクの中心孔の周囲に設けられたクランプエリアに形成されていることが好ましい。この態様によれば、光ディスクのデータ記録領域及びラベル印刷領域に影響を及ぼさずに済む。
【0010】
磁性パターンは、光ディスクの中心孔と同心円をなす複数の円環パターンで形成され、該円環パターンの有無によりメディア情報を示すことが好ましい。円環パターンとすることで、光ディスクの回転位相にかかわらず、メディア情報を検出できる。より具体的には、最外周の円環パターンが光ディスクの中心位置情報とヘッダー及びフッター情報を示し、この最外周円環パターンより内周の円環パターンが光ディスクの種別情報を示していることが好ましい。
【0011】
磁性パターンは、別の態様によれば、光ディスクの中心孔と同心円をなす円環パターンと、この円環パターンに内周側で接続し、該円環パターンとの距離間隔を前記光ディスクの中心孔に対する回転角度に応じて異ならせた螺旋パターンとにより形成され、円環パターンと螺旋パターンとの間隔により光ディスクの回転位相情報を示していることが好ましい。より具体的には、円環パターンは、光ディスクの中心位置情報とヘッダー及びフッター情報を示しているのがよい。円環パターンは複数備えることができる。複数の円環パターンを備えている場合、螺旋パターンは最内周の円環パターンに接続し、最外周の円環パターンが光ディスクの中心位置情報とヘッダー及びフッター情報を示し、該最外周円環パターンより内周の円環パターンが光ディスクの種別情報を示していることが好ましい。
【0012】
磁性パターンは、厚み方向に着磁されていることが好ましい。この態様によれば、光ディスクの回転位相にかかわらず、メディア情報を検出できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光ディスク印刷システムによれば、光ディスクのメディア情報を磁気的に検出するので、光ディスク上にゴミが付着していてもメディア情報を正確に自動検出でき、メディア情報に応じた印刷処理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明を適用した光ディスク印刷システムの全体構成図である。本光ディスク印刷システム1は、ディスク径やデータ記録方式等の規格が異なる複数種類の光ディスク10と、この複数種類の光ディスク10に対して印刷可能なラベルプリンタ30とを有する。
【0015】
光ディスク10は、デジタルデータを記録可能な記録媒体であって、具体的に例えばCD(CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW)やDVD(DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD±R、DVD±RW)、BD(BD、BD−ROM、BD−R、BD−RE)等である。
【0016】
図2は、光ディスク10の平面図を示している。光ディスク10は、デジタルデータを記録可能なデータ記録面11(図2(a))と文字情報や画像情報を印刷可能なラベル面12(図2(b))により表裏面が構成され、中央に中心孔13を有している。光ディスク10のラベル面12には、中心孔13から外周側に向かって順に、中心孔13の周囲を囲む環状のクランプエリア14と印刷可能領域であるラベルエリア15とが形成され、上記クランプエリア14に、メディア情報を示す磁性パターン20(図5)が付与されている。なお、クランプエリア14とラベルエリア15の間には、凹条または凸条のスタックリングが形成されている場合もある。
【0017】
ラベルプリンタ30は、スロットイン方式のディスク挿入口30a(図1)を有し、このディスク挿入口30aから異種の光ディスク10を挿入可能に構成されている。
【0018】
図3は、ラベルプリンタ30の制御系を示すブロック図である。ラベルプリンタ30の制御系には、ディスク挿入口30aに挿入された光ディスク10をプリンタ内の格納位置まで搬入し、また、格納位置からディスク挿入口30aの外部へ排出するローディング機構31と、光ディスク10に付与された磁性パターン20を読み出す磁気センサ32と、光ディスク10のラベルエリア15に印刷するプリンタ33と、光ディスク10に印刷する文字情報や画像情報を入力する印刷情報入力部34と、磁気センサ32の出力に基づいて光ディスク10のメディア情報を判別し、判別結果に応じた印刷処理をプリンタ33に実行させる制御回路35とが含まれている。プリンタ33には、インクジェットプリンタやサーマルヘッドプリンタを用いることができ、その印字方式は問わない。印刷情報入力部34は、例えば、ラベルプリンタ30に着脱自在なメモリーカードやラベルプリンタ30に有線接続または無線接続可能な補助記録媒体で構成できる。
【0019】
磁気センサ32は、磁気抵抗効果を利用して外部磁界変化を検出する素子であり、光ディスク10の搬入経路上、より厳密に言えば、光ディスク10の中心位置(中心孔13の中心)が通過する軌跡上に、ディスク挿入口30a側に寄せて、配置されている。図4は、装置内部へ搬入される光ディスク10と磁気センサ32との位置関係を示す模式図であって、(A)光ディスク10がディスク挿入口30aに差し込まれた様子を、(B)光ディスク10の半分がラベルプリンタ30内に搬入された様子を、(C)光ディスク10がラベルプリンタ30内に完全に搬入されて格納位置で保持されている様子をそれぞれ示している。図4中の破線は、光ディスク10の中心位置が通過する軌跡を示す。この磁気センサ32は、ローディング機構31により光ディスク10が装置内部の格納位置(図4(C))まで搬入される過程において、光ディスク10の中心ラインC上を走査し、光ディスク10に付与された磁性パターン20による外部磁界変化を検出して制御回路35へ出力する。
【0020】
図5は、光ディスク10に付与された磁性パターン20を示している。磁性パターン20は、光ディスク10のクランプエリア14に磁性インクを塗布(印刷)した後、該磁性インクの厚み方向に着磁して形成したパターンである。厚み方向に着磁することで、光ディスク10の回転位相位置によらず、磁性パターン20から生じる外部磁界は一様な大きさとなる。磁性インクには、飽和磁束密度が0.2〜0.3[T](=2000〜3000[G])程度で、保磁力が(0.2〜0.3)×107/(4π)[A/m](=2000〜3000[Oe])程度となる磁性材料、具体的にはフェライト用いる。この磁性パターン20は、クランプエリア14の表面または裏面に形成することも、クランプエリア14の内部に埋め込んで形成することも可能である。
【0021】
この磁性パターン20は、光ディスク10の中心孔13と同心円をなし、かつ、中心孔13から外周側に所定間隔をあけて順次配置した複数の円環パターンであって、本実施形態では基本的には三重の円環パターン21、22、23で構成されている。円環パターン21、22、23は、各々の径寸法は異なるが、幅寸法、厚さ寸法及びパターン間隔(隣接するパターン間の距離間隔)はそれぞれ同一である。円環パターンとすることで、光ディスク10のどの回転位相位置においても同一条件で磁気センサ32により検出可能となっている。
具体的に円環パターン21、22、23の幅寸法は1mm程度、厚さ寸法は0.15mm程度、パターン間隔は1mmとしてある。図5に示す光ディスク10は、径120mm、中心孔13の径15mm、クランプエリア14の径33mmである。
【0022】
以下では、三重の円環パターン21、22、23を、光ディスク10の中心孔13に遠い側から順に、外周円環パターン(最外周円環パターン)21、中間円環パターン22、内周円環パターン23と定義して説明する。
【0023】
外周円環パターン21は、三重の円環パターン21、22、23のうち最大径を有し、磁性パターン20の開始位置と終了位置を識別するためのヘッダー/フッター情報と、光ディスク10の中心位置を識別するための中心位置情報とを示している。本実施形態の外周円環パターン21の径は32mmである。
【0024】
中間円環パターン22と内周円環パターン23は、外周円環パターン21より光ディスク10の中心孔13側に位置する内周パターンであって、メディア種別を示している。ここで、中間円環パターン22及び内周円環パターン23がある場合を「1」、ない場合を「0」として考えると、中間円環パターン22及び内周円環パターン23の有無により、2ビットのメディア種別情報を示すことができる。つまり、4種類のメディアを識別できる。図5において、(A)は中間円環パターン22及び内周円環パターン23の両方を有する場合(メディア種別情報「11」)、(B)は中間円環パターン22を有し、内周円環パターン23を有さない場合(メディア種別情報「10」)、(C)は中間円環パターン22を有さず、内周円環パターン23を有さない場合(メディア種別情報「01」)、(D)は中間円環パターン22及び内周円環パターン23の両方を有さない場合(メディア種別情報「00」)をそれぞれ示している。図5中のグラフは、磁気センサ32の検知強度(磁性パターン20の漏れ磁界強度)と光ディスク10の中心位置からの距離との関係を示している。メディア種別情報「00」〜「11」には、識別したい所望のメディア種別を適宜設定可能である。
【0025】
上記外周円環パターン21は必須であり、中間円環パターン22及び内周円環パターン23はメディア種別情報に応じて適宜付与されるから、実際の磁性パターン20は図5(A)〜(D)に示される一重〜三重の円環パターンとなる。本実施形態ではメディア種別情報を二重の内周パターンで示しているが、内周パターン数n(nは自然数)を増やせば、2n種類のディスク種別を識別可能である。
【0026】
次に、図5を参照し、磁性パターン20付き光ディスク10とラベルプリンタ30を有する本光ディスク印刷システムの動作について説明する。
【0027】
使用者によって光ディスク10がラベルプリンタ30のディスク挿入口30aに差し込まれると、該光ディスク10はローディング機構31によってラベルプリンタ30内の格納位置(図4(C))まで搬入(搬送)される。この搬入中、光ディスク10の中心孔13の中心位置が磁気センサ32を横断するから、磁気センサ32は、光ディスク10の中心孔13の中心位置を通る中心ラインC−C’をC点からC’点に向かって走査し、光ディスク10上の磁性パターン20に応じた検知信号を制御回路35へ出力する。
【0028】
光ディスク10に付与された磁性パターン20が例えば図5(A)に示すように三重パターンである場合、磁気センサ32は、先ず外周円環パターン21の第1点21Aを読み出し、続いて中間円環パターン22の第1点22A、内周円環パターン23の第1点23A、内周円環パターン23の第2点23B、中間円環パターン22の第2点22Bを順次読み出し、最後に外周円環パターン21の第2点21Bを読み出す。磁気センサ32の検知信号(出力信号)は、磁性パターン20を読み出したとき「1」となり、読み出していないとき「0」となる。
【0029】
制御回路35は、磁気センサ32の検知信号「1」を入力したときの時間をその都度メモリし、この入力時間間隔(磁気センサ32の読出タイミング)に応じてメディア情報を判別する。具体的に制御回路35は、磁気センサ32の最初の検知信号「1」を入力したとき、磁性パターン20のヘッダー情報であることを認識する。ヘッダー情報の入力後は、検知信号「1」の入力時間間隔で中間円環パターン22及び内周円環パターン23の有無を判別し、メディア種別情報を判別する。実際には例えば、ヘッダー情報を検知してから規定時間以内に磁気センサ32から検知信号「1」を入力したか否かを判別し、入力があれば「1」(パターンあり)、入力がなければ「0」(パターンなし)と認識する。上記規定時間は、外周円環パターン21を検知してから中間円環パターン22及び内周円環パターン23を検知するまでの間隔時間(t2−t1、t3−t1、t4−t1、t5−t1)に対応させる。そして、磁気センサ32の最後の検知信号「1」を入力したとき、磁性パターン20のフッター情報であることを認識する。フッター情報を入力したら、外周円環パターン21の第1点21Aを検知した時間t1(第1点21Aを検知した検知信号「1」を入力した時間)と第2点21Bを検知した時間(第2点21Bを検知した検知信号「1」を入力した時間)t6の中間を算出し、この算出時間に対応する位置を光ディスク10の中心位置として判別する。
【0030】
制御回路35は、以上のようにして磁性パターン20からメディア情報を判別したら、メディア情報に応じた印刷処理をプリンタ33に実行させる。ここで、メディア情報に応じた印刷処理とは、例えば、中心位置情報を利用して、印刷情報入力部を介して入力した印刷情報(文字、画像)の中心位置と光ディスク10の中心位置を合致させて印刷したり、ディスク種別情報を利用して、ディスク径に合わせて印刷情報を拡大・縮小して印刷したり、ディスク種別情報を印刷情報に付加して印刷したり、例えば光ディスク10が追記型光ディスクである場合には光ディスク10のラベル領域15の空き領域に印刷情報を印刷したり等である。
【0031】
図6は、本発明を適用した光ディスク印刷システムの第2実施形態を示している。この第2実施形態は、光ディスク10に付与された磁性パターン220が第1実施形態とは異なる。磁性パターン220以外の構成は第1実施形態と同様であるから、以下では、磁性パターン220と該磁性パターン20を用いたメディア情報判別制御について説明する。
【0032】
磁性パターン220は、光ディスク10の中心孔13の外周を囲む一重の円環パターン221(ハッチングを付した領域)と、この円環パターン221の内周側に接続し、光ディスク10の中心孔13からの距離を左回り方向にいくほど大きくした螺旋パターン222(ハッチングを付した領域)とにより構成されている。円環パターン221は、磁性パターン220の最外周パターンであって、磁性パターン20の開始位置と終了位置を識別するためのヘッダー/フッター情報と、光ディスク10の中心位置を識別するための中心位置情報とを示している。この円環パターン221は、第1実施形態の外周円環パターン21に相当する。螺旋パターン222は、光ディスク10の中心孔13の中心位置に対する回転角度(回転位相位置)に応じて円環パターン221との距離間隔が徐々に変化しており、この距離間隔で光ディスク10の回転位相情報を示している。図6(A)は光ディスク10が正位置(回転角度θ=0°、360°)で挿入された場合、(B)は光ディスク10が正位置から90°回転して挿入された場合(回転角度θ=90°)、(C)は光ディスク10が正位置から180°回転して挿入された場合(回転角度θ=180°)、(D)は光ディスク10が正位置から270°回転して挿入された場合(回転角度θ=270°)をそれぞれ示している。図6に示す光ディスク10は、径120mm、中心孔13の径15mm、クランプエリア14の径33mmであり、円環パターン221及び螺旋パターン222の幅寸法は1mm程度、厚さ寸法は0.15mm程度、パターン間隔は0.1〜4mmとしてある。
【0033】
使用者によって光ディスク10が任意の回転位相をもってラベルプリンタ30のディスク挿入口30aに差し込まれると、該光ディスク10はローディング機構31によってラベルプリンタ30内の格納位置(図4(C))まで搬入(搬送)される。この搬入中、光ディスク10の中心孔13の中心位置が磁気センサ32を横断するから、磁気センサ32は、光ディスク10の中心孔13の中心位置を通る中心ラインC−C’をC点からC’点に向かって走査し、光ディスク10上の磁性パターン20に応じた検知信号を制御回路35へ出力する。
【0034】
磁気センサ32は、先ず円環パターン221の第1点221Aを読み出し、続いて螺旋パターン222の第1点222A、第2点222Bを順次読み出し、最後に円環パターン221の第2点221Bを読み出す。磁気センサ32の検知信号(出力信号)は、磁性パターン20を読み出したとき「1」となり、読み出していないとき「0」となる。
【0035】
制御回路35は、磁気センサ32の検知信号「1」を入力したときの時間をその都度メモリし、この入力時間間隔(磁気センサ32の読出タイミング)に応じてメディア情報を判別する。具体的に制御回路35は、磁気センサ32の最初の検知信号「1」を入力したとき、磁性パターン20のヘッダー情報であることを認識する。ヘッダー情報の入力後は、螺旋パターン222に対応する磁気センサ32の検知信号「1」を入力し、磁気センサ32の最後の検知信号「1」を入力したとき、磁性パターン20のフッター情報であることを認識する。フッター情報を入力したら、外周円環パターン21の第1点21Aを検知した時間t1と螺旋パターン222の第1点221Aを検知した時間t2の第1間隔a(t2−t1)を算出し、続いて、螺旋パターン222の第2点221Bを検知した時間t3と円環パターン221の第2点221Bを検知した時間t4との第2間隔b(t4−t3)を算出して、この第1間隔aと第2間隔bの比率から光ディスク10の回転位相情報を判別する。同時に、外周円環パターン21の第1点21Aを検知した時間t1と第2点21Bを検知した時間t4の中間を算出し、この算出時間に対応する位置を光ディスク10の中心位置として判別する。
【0036】
制御回路35は、以上のようにして磁性パターン20からメディア情報を判別したら、メディア情報に応じた印刷処理をプリンタ33に実行させる。ここで、メディア情報に応じた印刷処理とは、例えば、中心位置情報を利用して、印刷情報入力部を介して入力した印刷情報(文字、画像)の中心位置と光ディスク10の中心位置を合致させて印刷したり、回転位相情報を利用して、光ディスク10の回転位相に応じて印刷情報(文字、画像)を回転させて印刷したり等である。
【0037】
図7は、本発明を適用した光ディスク印刷システムの第3実施形態を示している。この第3実施形態は、基本的には三重の円環パターン321(ハッチングを付した領域)と、この円環パターン321の最内周円環パターン321Cに接続された螺旋パターン322からなる磁性パターン320を光ディスク10に付与した実施形態である。円環パターン321は第1実施形態の磁性パターン20と同一であり、螺旋パターン322(ハッチングを付した領域)は第2実施形態の螺旋パターン222と同一であって、磁性パターン320以外の構成は第1及び第2実施形態と同一である。図7に示す光ディスク10は、径120mm、中心孔13の径15mm、クランプエリア14の径33mmである。また、円環パターン321の幅寸法は1mm程度、厚さ寸法は0.15mm程度、パターン間隔は0.1〜4mm程度とし、螺旋パターン222の幅寸法は1mm程度、厚さ寸法は0.15mm程度、パターン間隔は0.1〜4mm程度としてある。
【0038】
制御回路35は、上述したように、円環パターン321の最外周円環パターン321Aにより磁性パターン20のヘッダー/フッター情報及び中心位置情報を判別し、円環パターン321の中間円環パターン321B及び内周円環パターン321Cの有無によりメディア種別情報を判別し、螺旋パターン322により光ディスク10の回転位相情報を判別して、判別結果に応じた印刷処理をプリンタ33に実行させる。
【0039】
以上の各実施形態によれば、メディア情報に対応する磁性パターン20を光ディスク10に付与し、この磁性パターン20を光ディスク10の搬入過程でラベルプリンタ30内の磁気センサ32で検出することにより、メディア情報を磁気的に検出するので、光ディスク10上に付着したゴミの影響を受けるおそれがなくメディア情報を正確に判別でき、メディア情報に応じた印刷処理を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した光ディスク印刷システムの全体構成図である。
【図2】図1の光ディスクを示す平面図である。
【図3】図1のラベルプリンタの制御系を示すブロック図である。
【図4】光ディスクと磁気センサの位置関係を示す模式図である。
【図5】光ディスクに付与した磁性パターンの第1実施例を示す模式図である。
【図6】光ディスクに付与した磁性パターンの第2実施例を示す模式図である。
【図7】光ディスクに付与した磁性パターンの第3実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
10 光ディスク
11 データ記録面
12 ラベル面
13 中心孔
14 クランプエリア
15 ラベル領域
20、220、320 磁性パターン
21 外周円環パターン(最外周円環パターン)
22 中間円環パターン
23 内周円環パターン(最内周円環パターン)
30 ラベルプリンタ
31 ローディング機構
32 磁気センサ
33 プリンタ
34 印刷情報入力部
35 制御回路
221、321 円環パターン
222、322 螺旋パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
規格が異なる複数種類の光ディスクと、これら異種ディスクを挿入可能なディスク挿入口を有し、該ディスク挿入口から挿入された光ディスクのラベル面に印刷処理を施すラベルプリンタとを備えた光ディスク印刷システムにおいて、
前記光ディスクは、該ディスクのメディア情報を示す磁性パターンを有すること、
前記ラベルプリンタは、
前記ディスク挿入口から挿入された光ディスクがプリンタ内部に格納される搬入経路上に配置され、光ディスクの搬入過程で、該光ディスクの磁性パターンを読み出す磁気センサと、
プリンタ内部に格納された光ディスクのラベル面に印刷を行うプリンタと、
前記磁気センサの出力に基づいて前記光ディスクのメディア情報を判別し、ディスク情報に応じた印刷処理を前記プリンタに実行させる制御手段と、
を有すること、
を特徴とする光ディスク印刷システム。
【請求項2】
請求項1記載の光ディスク印刷システムにおいて、前記磁性パターンで示されるメディア情報は、光ディスクの種別情報、中心位置情報、回転位相情報の1以上である光ディスク印刷システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の光ディスク印刷システムにおいて、前記磁性パターンは、前記光ディスクの中心孔の周囲に設けられたクランプエリアに形成されている光ディスク印刷システム。
【請求項4】
請求項3記載の光ディスク印刷システムにおいて、前記磁性パターンは、光ディスクの中心孔と同心円をなす複数の円環パターンで形成され、該円環パターンの有無により前記メディア情報を示している光ディスク印刷システム。
【請求項5】
請求項4記載のラベルプリンタにおいて、前記複数の円環パターンは、最外周の円環パターンが光ディスクの中心位置情報とヘッダー及びフッター情報を示し、この最外周円環パターンより内周の円環パターンが光ディスクの種別情報を示している光ディスク印刷システム。
【請求項6】
請求項3記載の光ディスク印刷システムにおいて、前記磁性パターンは、光ディスクの中心孔と同心円をなす円環パターンと、この円環パターンに内周側で接続し、該円環パターンとの距離間隔を前記光ディスクの中心孔に対する回転角度に応じて異ならせた螺旋パターンとを有し、この円環パターンと螺旋パターンとの間隔により前記光ディスクの回転位相情報を示している光ディスク印刷システム。
【請求項7】
請求項6記載の光ディスク印刷システムにおいて、前記円環パターンは、光ディスクの中心位置情報とヘッダー及びフッター情報を示している光ディスク印刷システム。
【請求項8】
請求項6記載の光ディスク印刷システムにおいて、前記円環パターンは複数備えられ、前記螺旋パターンは最内周の円環パターンに接続しており、最外周の円環パターンが光ディスクの中心位置情報とヘッダー及びフッター情報を示し、該最外周円環パターンより内周の円環パターンが光ディスクの種別情報を示している光ディスク印刷システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の光ディスク印刷システムにおいて、前記磁性パターンは、厚み方向に着磁されている光ディスク印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−225185(P2010−225185A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188313(P2007−188313)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】