説明

光ディスク装置および光ディスクのデータ一時記憶方法

【課題】光ディスクの代替領域から読み出したデータをホスト側へ送信する際の速度を向上させることができる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスク上の主たるデータ書き込み領域である主領域から読み取ったデータを一時記憶するメインバッファ21と、主領域に欠陥があって使えない場合にデータを代替して記録する代替領域から読み取ったデータを一時記憶する代替領域用バッファ22と、代替領域用バッファ22のデータをCPU25からの指示でメインバッファ21に移動するとメモリコントローラ23と、を有することで、ホストへのデータ送信をメインバッファ21のみから行う光ディスク装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置および光ディスクのデータ一時記憶方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、ディスク上の欠陥ブロック対策として、欠陥ブロックを検出して登録し、それの代替ブロックを代替領域(代替セクタ)に書き込むディフェクトマネージメントを採用したものがある。
【0003】
従来、このディフェクトマネージメントを採用した光ディスク装置において、通常の領域を読み取って一時記憶(キャッシュ)する転送用バッファのほかに、代替領域の内容だけを一時記憶するための代替セクタ用バッファを有しているものがある。その装置によれば、転送用バッファがフルの状態となったときに、欠陥セクタに至る前であっても、代替領域の内容を代替セクタ用バッファに読み取ることで、読み取り速度の向上を図っている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−184117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、代替領域の内容を転送用バッファとは異なる代替セクタ用バッファに一時記憶しているため、欠陥領域のデータを送信するように上位装置(ホスト)から要求されたときには、転送用バッファからの送信から代替セクタ用バッファからの送信に切り替えなければならない。
【0006】
このため、一時記憶しているデータを、読み出し要求した上位装置へ送り出す際に時間的なロスが発生するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、光ディスクの代替領域から読み出したデータをホスト側へ送信する際の速度を向上させることができる光ディスク装置および光ディスクの一時記憶方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明による光ディスク装置は、光ディスク上の主たるデータ書き込み領域である主領域から読み取ったデータを一時記憶する第1バッファと、前記主領域に欠陥が存在して使えない部分がある場合に、当該使えない部分に記録すべきデータを代替して記録する代替領域から読み取ったデータを一時記憶する第2バッファと、前記第2バッファのデータを前記第1バッファに移動する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するための本発明による光ディスクの一時記憶方法は、光ディスク上の主たるデータ書き込み領域である主領域から読み取ったデータを第1バッファに一時記憶する段階と、前記第1バッファが予め決められた容量までいっぱいになった場合、または主領域からのデータの読み取り位置が欠陥が存在して使えないことを示す欠陥アドレスに到達した場合に、前記欠陥アドレスに代替してデータを記録した代替領域からデータを読み取って第2バッファに一時記憶する段階と、前記第2バッファのデータを前記第1バッファに移動する段階と、を有することを特徴とする光ディスクのデータ一時記憶方法
以上構成された本発明では、一旦第2バッファに読み出したデータも、第1バッファに移動される。このため、ホストへのデータ送信は第1バッファからのみ行えばよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上位装置へのデータ送信は第1バッファからのみ行えばよいので、代替領域から読み出したデータを含めて、ホスト側へのデータ送り出し速度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の光ディスク装置を示すブロック図である。
【図2】ディフェクトマネージメントを説明するための光ディスクの記録領域を説明するための説明図である。
【図3】ディフェクトマネージメントで使用されるDFLの一例を示す説明図である。
【図4】本実施形態による光ディスク装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】図4に続き本実施形態による光ディスク装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】図4および5で示した手順による処理を光ディスク上のアドレスを例に説明するための説明図である。
【図7】光ディスク上の欠陥に達する前にメインバッファがフルになった場合を説明する説明図である。
【図8】図6の例による光ディスク上のアドレスのデータがメインバッファに一時記憶された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態における光ディスク装置は、記録可能なブルーレイディスク(以下BDという。BDにはBD−RE,BD−Rなどが含まれる)、コンパクトディスク(以下CDという。CDにはCD−ROM,CD−R,CD−RWなどが含まれる)、デジタル多目的ディスク(以下DVDという。DVDにはDVD−ROM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD−RAMなどが含まれる)などにおいて、代替領域を用いたディフェクトマネージメントを採用したものに適用可能である。
【0014】
図1は、本実施形態の光ディスク装置を示すブロック図である。なお、ここに示した以外の記録/再生のための制御装置構成は、上述した各光ディスクへの記録や再生のための装置構成と同じでよく、周知の構成であるため説明を省略する。
【0015】
図1に示した光ディスク装置は、まず基本的な読み出しに関係する部分として、光ディスクから反射光からの信号を取り出すRF部(不図示)からの信号を復調するデコーダ11、読み取ったデータのアドレスを一時記憶するアドレスレジスタ12、読み取ったアドレスと欠陥アドレスを比較するコンパレータ13(比較器)、欠陥のあるアドレス(欠陥アドレス)を一時記憶する欠陥アドレスバッファ14、ホストとの通信を行うインターフェース15、ディフェクトマネージメントのための欠陥リスト(DFL;Defect List)を記録したDFLメモリ16を有する。そして一時記憶に関係する部分として、先読みしたデータを順に一時記憶するメインバッファ21(第1バッファ)、代替領域のデータを一時記憶する代替領域用バッファ22(第2バッファ)、これらのバッファメモリへのデータの出し入れを制御するメモリコントローラ23、を有し、これら全体の制御を行うCPU25を有する。ここでメインバッファ21および代替領域用バッファ22は、たとえばリングバッファが用いられる。またこの装置においてはCPU25およびメモリコントローラ23が制御手段となる。
【0016】
この光ディスク装置の概略動作は以下の通りである。
【0017】
光ディスクからRF信号として取り出された信号は、デコーダ11により復調される。このときエラーがなければ、メモリコントローラ23にデコーダ11から一時記憶要求を出し、CPU25の指定によりメインバッファ21または代替領域用バッファ22に復調されたデータが転送される。ここでのCPU25の動作については後述する。またRF信号からはアドレスデータも復調されて、エラーがなければアドレスレジスタ12に格納される。これらの動作は、バッファの指定以外はCPU25の介在なしに実行される。
【0018】
アドレスレジスタ12のアドレスは、欠陥アドレスバッファ14内のアドレスとコンパレータ13により比較される(実際には欠陥アドレスバッファ14内のアドレスの一つ前のアドレスである。詳細後述)。なお、欠陥アドレスバッファ14は、CPU25によりDFLメモリ16内のDFLに基づきDFLに記載されている欠陥アドレスが一時的に格納される。比較の結果一致した場合は、CPU25の指令により2通りの動作が行われる。1つ目は欠陥アドレス到達時に復調を停止する復調停止モードである。このときCPU25にインターラプト(Interrupt)を発行し、一時停止を知らせて、即座に代替領域(後述)内のデータを読み出す。2つ目は、欠陥アドレス到達時でも復調を停止せずに復調動作を継続する復調非停止モードである。これは復調動作を停止させないことでピックアップをユーザ領域上からはずさずにトレースさせておくためのモードである。これにより欠陥箇所以降の読み出しを即座に継続することができるようになる。
【0019】
そして代替領域用バッファ22に記憶したデータはユーザ領域(後述)の欠陥箇所からデータを読み出そうとしたタイミングでメインバッファ21へ移動(またはコピー)する。
【0020】
ホストからデータ要求されると、インターフェース15を介して、その要求がCPU25に通達され、CPU25はインターフェース15を介して、メインバッファ21から要求されたデータをホストに送信する。したがって、ホストへ送信するデータはすべてメインバッファ21からの送信となる。このためホストへのデータ送信に際して送信するバッファの切り替えや、代替領域用バッファ22内から送信するデータを探し出すことが不要となり、その分の時間的ロスがなくなり、高速でデータを送り出すことができる。
【0021】
なお、ここでホストとは、光ディスクからのデータの読み出しを要求した上位装置を云い、特に限定されない。
【0022】
以下さらにこの光ディスク装置の動作について説明するが、動作説明の前に、ディフェクトマネージメントについて簡単に説明する。本実施形態で利用するディフェクトマネージメントは従来から行われているものである。図2はディフェクトマネージメントを説明するための光ディスクの記録領域を説明するための説明図である。図3はディフェクトマネージメントで使用されるDFLの一例を示す説明図である。
【0023】
ディフェクトマネージメントを採用した光ディスクでは、記録領域として主たるデータ書き込み領域であるユーザ領域(主領域)と、ユーザ領域において欠陥があって使えない部分に記録すべきデータを代替して記録する代替領域(交替エリアと云われることもある)とがある。
【0024】
たとえば図2に示すように、ユーザ領域のアドレスが35000,35050,35020,35030,35040、代替領域のアドレスが300E0,300F0,30100とする。ここで35010および35030に欠陥があったとする(図中、欠陥のあるアドレスを×印で示した)。そうすると、この欠陥のあるアドレスに書き込むべきデータは代替領域のアドレス30100,300F0が指定されて書き込まれる。本来書き込むべきユーザ領域のアドレス(欠陥アドレス)とその代わりにデータが書き込まれた代替領域のアドレス(代替アドレス)の関係は、図3に示すようなDFLに記述されて光ディスクに書き込まれている。
【0025】
このような欠陥のある光ディスクを読み取る場合、ユーザ領域のアドレスが順に読み込まれて行き、DFLにある欠陥アドレスに差し掛かったところで、代替領域を読み込むためのシークが行われて代替アドレスのデータが読み込まれる。このため欠陥アドレスの位置に来るたびに代替アドレスを読むとすると、この例では4回の大きなシーク動作が必要となる。35000から30100へのシーク、30100から35020へのシーク、35020から300F0へのシーク、300F0から35040へのシークである。このためデータの読み出しに時間がかかる。
【0026】
次に、本実施形態の動作を詳しく説明する。図4および5は、本実施形態による光ディスクの動作手順を示すフローチャートである。
【0027】
まず、ホストから読み取りコマンドが来ると、CPU25はそのコマンドで指定されたアドレスから直近の欠陥アドレスをDFLから見つけ出す。見つけ出した欠陥アドレスは欠陥アドレスバッファ14に設定する。さらに機能設定を欠陥アドレスに来たら復調を停止する復調停止モードを設定する(S1)。これによりユーザ領域の欠陥アドレスに到達した時点で復調動作が停止するようになる。
【0028】
そして読み取りコマンドで指令されたユーザ領域のアドレスにピックアップをシークさせ読み取り位置に移動させ、そこでから読み取った信号を復調して、復調されたデータをメインバッファ21に蓄えて行く(S2)。これは、ホストから最初に読み出し指令があったアドレスから順に、ホストから読み出し指令されたアドレスから先のアドレスのデータを先読みしてゆくのである。
【0029】
途中で復調動作が停止した場合は(S3:Yes)、メインバッファ21がフル(容量いっぱい、あるいは予め決められた容量値に達したとき)となったか否かを判断する(S11)。ここでバッファフルの状態となれば(S11:Yes)、メインバッファ21にそれ以上書き込めないので、ユーザ領域をそれ以上読み取ることができなくなる。このため復調動作が停止するのである。そしてこのままでは読み取り動作に空きができる(空き時間ができる)。本実施形態ではこのような状態となったときの空き時間を利用して代替領域のデータを先読みする。
【0030】
このためにCPU25は代替領域用バッファ22(図中「代替用バッファ」と略記する)に空きがあるか否かを判断する(S12)。ここで代替領域用バッファ22に空きがなければS15へ処理が移ることになる。
【0031】
代替領域用バッファ22が空であれば(S12:Yes)、蓄えられるだけの代替領域のデータを代替領域から読み出して復調し、代替領域用バッファ22に蓄える(S13)。蓄えられるだけ蓄えたかどうかの判断は、代替領域用バッファ22がフルになること、またはメインバッファ21に予め決められた以上の空きができること(つまりメインバッファ21への先読みによる蓄積が再開可能となること)、またはホストから要求されたデータのアドレスがメインバッファ21に蓄積されたアドレスの直前まで来たことなどである。
【0032】
その後CPU25は、代替領域用バッファ22に蓄えたデータに対してメインバッファ21の移動先アドレスを設定すると共に、欠陥アドレスに到達しても復調を停止しない復調非停止モードを設定する(S14)。この処理のうちは、前者はDFLを参照して代替領域用バッファ22に読み取った代替アドレスのデータをメインバッファ21に移動させる際に、元のユーザ領域の欠陥アドレスを代替アドレスのデータに対して関連付けしておくのである。これにより、代替領域用バッファ22に記憶されたデータをメインバッファ21に移動する際にどの位置に移動すべきかが設定されることになる。また、S14の後者の処理は、この段階で代替領域用バッファ22にデータが蓄積されるようになるので、今後欠陥アドレスに到達しても、代替領域にピックアップをシークする必要がなくなるため、復調を停止しないようにして、欠陥アドレスの次のアドレスのデータを即座に読み込むことができるようにするのである。
【0033】
続いて、S11でユーザ領域からピックアップが離れた際のユーザ領域の元のアドレスの次のアドレスにシークしてメインバッファ21に空きができるのを待って(S15)、S2へ戻る。なお、S15においてメインバッファ21に空きができるまで待っている間、復調動作も停止することになるが、この停止原因は欠陥アドレスによるものではないため、ここでの手順は先へ進まなくてもよい。また、S12がNoでこのS15にきた場合には、ピックアップは代替領域にシークしていないので、メインバッファ21に空きができるのを待つだけでシーク動作は発生しない。
【0034】
S11において、メインバッファ21がフルではない場合(S11:No)、シーク位置が欠陥アドレスに到達したか否か判断する(S21)。欠陥アドレスに到達したか否か判断はコンパレータ13により行われる。実際には欠陥アドレス自体からはアドレスも復調できない可能性が高い。このためコンパレータ13では欠陥アドレスバッファ14に格納されている欠陥アドレスの一つ前のアドレスと、アドレスレジスタ12のアドレスを比較することで欠陥アドレスに到達したか否か判断している。
【0035】
ここで(S11のメインバッファ21がフルか否か判断後)、シーク位置が欠陥アドレスに到達したと判断された場合(S21:Yes)、代替領域用バッファ22に空きがある場合は(S22:Yes)、欠陥が見つかったアドレスを代替する代替アドレスを含む代替領域を代替領域用バッファ22の空き分だけ読み込む(S23)。これにより代替領域用バッファ22への読み込みが、S21で一致した欠陥アドレスに対応した代替アドレスのデータ以外のデータも次々に代替領域から読み込まれることになる。光ディスクにおいては代替領域は光ディスクの最内周または最外周にあるため、ユーザ領域と代替領域を頻繁に移動するシーク動作を行うと読み取りに時間がかかるようになる。そこで、本実施形態では代替領域にシークする必要が生じたなら、できるだけ多くのデータを代替領域から先読みしてしまうのである。これにより欠陥アドレスにぶつかるたびにユーザ領域と代替領域を移動するシーク動作が少なくなって読み取り動作の高速化を図ることができる。
【0036】
そして、CPU25からの指示で欠陥アドレスの代わりに読み込んだ代替アドレスのデータは、代替領域用バッファ22からメインバッファ21へ移動させる(S24)。データの移動自体はメモリコントローラからの指示で代替領域用バッファ22からメインバッファ21へ移動する。
【0037】
その後CPU25は、前記S14同様に、代替領域用バッファ22に蓄えたデータに対してメインバッファ21の移動先アドレスを設定すると共に、欠陥アドレスに到達しても復調を停止しない復調非停止モードを設定する(S25)。そしてS2へ戻る。
【0038】
なお、S21がNoの場合は、復調停止原因がほかにあるので、そのための処理(図示「その他の処理」)を行って、復調停止が解消できればS2へ戻るが復帰できなければ処理は読み取り不良などの異常による終了となる。
【0039】
一方、S3において復調が停止しない場合、すなわち、S14または25において復調非停止モードが設定された後の動作ということになる。この場合、読み出し位置が欠陥アドレスに到達したか否かを判断する(S31)。この処理はコンパレータ13により判断される。ここでも実際にはS21と同様に、アドレスレジスタ12内のアドレスと、欠陥アドレスバッファ14に格納されているアドレスの一つ前のアドレスが比較されて判断される。ここで欠陥アドレスに到達していなければ、手順はS2へ戻りそのままメインバッファ22へデータの蓄積を継続することになる。
【0040】
欠陥アドレスに到達していれば(S31:Yes)、コンパレータ13からその旨の信号がCPU25に出される。そしてCPU25はメモリコントローラ23に指示して、代替領域用バッファ22内のデータをメインバッファ21へ移動させる(S32)。このとき代替領域用バッファ22内のデータは、S14またはS25で関連付けされているユーザ領域の欠陥アドレスが参照されて、メインバッファ21におけるその欠陥アドレスのデータを格納するべき位置へ移動される。ここでは欠陥アドレスに到達した時点でそれを判断した欠陥アドレスの一つ前のアドレスのデータはメインバッファ21に格納されていて、その次に来る欠陥アドレスのデータが来るべきメインバッファの位置が空いているので、そこに代替領域用バッファ22内の対応するデータを移動することになる。
【0041】
これにより、メインバッファ21が読み込むべきデータは代替領域用バッファ22からメインバッファ21へ移動されることになる。そしてピックアップのシーク位置はユーザ領域から離れていないので、欠陥アドレスを読み飛ばしてその次のアドレスを即座に読み込むことができるようになる。つまりこの場合は欠陥アドレスがあっても代替領域へのシークが発生しないのである。
【0042】
その後、CPU25は欠陥アドレスバッファ14にDFLから次の欠陥アドレスを設定する(S33)。
【0043】
その後、代替領域用バッファ22に他のデータがあるか否かを判断して(S34)、他のデータがあれば(S34:Yes)、すなわち代替領域用バッファ22に別な代替アドレスのデータがあれば、そのまま手順はS2へ戻る。したがって、この場合は、復調非停止モードが継続されることになる。
【0044】
一方、代替領域用バッファ22に他のデータがなければ(S34:No)、復調停止モードを設定して(S35)、手順はS2へ戻る。これは、代替領域用バッファ22に他のデータがないので、次回欠陥アドレスに到達したときに復調を停止して代替領域のデータを読み込むようにするためである(S21〜S25の処理を実行させるため)。
【0045】
以上の処理による動作を光ディスク上のアドレスを例に説明する。図6は上記手順による処理を光ディスク上のアドレスを例に説明するための説明図である。
【0046】
まず、最初のシークにより要求された35000を読む。またDFLより欠陥アドレスバッファ14に35010を設定し、復調停止モードにする。
【0047】
続いて、次のアドレス(35010)を取得して欠陥アドレスバッファ14のアドレスと比較する(実際には一つ前のアドレスと比較)。図6の例では、一致するので復調が停止する。ここで代替領域にシークして代替アドレスのデータを読み込む。このとき代替領域用バッファ22に3アドレス分の空きがあれば、本来必要な30100を読み込んで、さらにその後の300F0,300E0も同時に読み込んでしまう。
【0048】
そして、入れ替えなければならない30100のデータをメインバッファ21に移動する。また、復調非停止モードを設定して、アドレス35020にシークして復調を再開する。
【0049】
続いてアドレス35020は、通常どおりメインバッファ21に読み込む。続いてアドレス35030は、欠陥アドレスバッファ14のアドレスと一致するので、データ移動機能が働き、代替領域用バッファ22から300F0がメインバッファ21に移動されると同時にCPU25にインターラプトが通知されて、次の欠陥アドレス35100を設定する。そして35030に続く35040は通常どおりに復調されてメインバッファ21に蓄えられてゆく。
【0050】
次に、光ディスク上の欠陥に達する前にメインバッファ21がフルになった場合を説明する(ここでは代替領域用バッファ22の空きが2アドレス分あった場合を例にする)。図7は、光ディスク上の欠陥に達する前にメインバッファ21がフルになった場合を説明する説明図である。
【0051】
図7では、アドレス34FF0のデータを読み込んだ時点で、メインバッファ21がフルになったとする。そうする次のアドレス35000を読み込まずに、代替領域用バッファ22の空き分だけ代替領域のデータを読み込む。ここでは300F0,30100である。なお、メインバッファ21にデータを読む際には、直近の欠陥アドレス(この例では35010)を欠陥アドレスバッファ14に設定している。
【0052】
その後、次回メインバッファ21に空きができれば一時記憶動作を再開し、アドレス3500が読み込まれ、続いてアドレス35010に達した際には、アドレス30100がメインバッファ21に移動される。なお、移動した後の代替領域用バッファ22のデータは消去する。
【0053】
以上の処理により、メインバッファ21には、必ず論理的にデータが並ぶことになる。図8は、図6の例による光ディスク上のアドレスのデータがメインバッファ21に一時記憶された状態を示す説明図である。図示するように、メインバッファ21に一時記憶されたデータのアドレスは、35000,30100(35010の代替アドレス),35020,300F0(35030の代替アドレス),35040となる。
【0054】
したがって、ホストからの要求に対してはメインバッファ21内のデータを送信すればよい。このためホストへのデータ送信時には代替領域用バッファ22内を検索したり、送信元バッファを切り替えたりするなどの処理が不要となるので、送信動作を高速にすることができる。
【0055】
以上説明したように本実施形態によれば、一旦代替領域用バッファ22に読み出したデータも、メインバッファ21に移動されるため、メインバッファ21内からホストへ送信する際には、メインバッファ21からのみデータを送信すればよい。このためホスト側への送り出しについても高速化することができる。
【0056】
以上本発明を適用した実施形態を説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載した技術思想の範囲でさまざまな変形形態が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
11 デコーダ、
12 レジスタ、
13 コンパレータ、
14 欠陥代替アドレスバッファ、
15 インターフェース、
16 DFLメモリ、
21 メインバッファ、
22 代替領域用バッファ、
23 メモリコントローラ、
25 CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク上の主たるデータ書き込み領域である主領域から読み取ったデータを一時記憶する第1バッファと、
前記主領域に欠陥が存在して使えない箇所がある場合に、当該使えない箇所に記録すべきデータを代替して記録する代替領域から読み取ったデータを一時記憶する第2バッファと、
前記第2バッファのデータを前記第1バッファに移動する制御手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記光ディスクからのデータの読み取り位置が、前記欠陥の存在する箇所を示す欠陥アドレスに達した時点で、当該欠陥アドレスに対応した前記代替領域内の代替アドレスのデータを読み出すと共に、前記欠陥領域に記録されている他のデータを続けて読み出して前記第2バッファに蓄積することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記制御手段は、さらに前記第1バッファが予め決められた容量までいっぱいになったときに、前記第2バッファへのデータの蓄積を行うことを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク装置。
【請求項4】
光ディスク上の主たるデータ書き込み領域である主領域から読み取ったデータを第1バッファに一時記憶する段階と、
前記第1バッファが予め決められた容量までいっぱいになった場合、または主領域からのデータの読み取り位置が欠陥が存在することを示す欠陥アドレスに到達した場合に、前記欠陥アドレスに代替してデータを記録した代替領域からデータを読み取って第2バッファに一時記憶する段階と、
前記第2バッファのデータを前記第1バッファに移動する段階と、
を有することを特徴とする光ディスクのデータ一時記憶方法。
【請求項5】
前記第2バッファに一時記憶する段階において、前記光ディスクからのデータの読み取り位置が前記欠陥アドレスに達した時点で当該欠陥アドレスに対応した代替アドレスのデータのほかに、前記代替領域に記録されている他のデータを読み出して前記第2バッファに蓄積することを特徴とする請求項4記載の光ディスクのデータ一時記憶方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図6】
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