説明

光パケット交換システムおよびピークパワー制御方法

【課題】好適に光パケット信号のピークパワーを制御する。
【解決手段】光パケット交換システム10は、光パケット送信装置14と、光パケットスイッチ装置12と、第1光増幅装置18と、光パケット送信装置14からパケット密度、時間平均パワー、および消光比を収集し、第1光増幅装置18からパケット密度、時間平均パワー、および雑音指数を収集し、光パケットスイッチ装置12からパケット密度、時間平均パワー、スイッチON/OFF時間比、および消光比を収集し、光パケット受信装置16からパケット密度および時間平均パワーを収集する情報収集部24と、収集された情報に基づいて、各装置から出力された光パケット信号のピークパワーを算出するピークパワー算出部26と、算出されたピークパワーに基づいて、所定の光レベルダイアグラムに従ったピークパワーの光パケット信号が出力されるよう各装置を制御する装置制御部28とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パケット信号に付与された経路情報に従って光スイッチを切り替えることにより、光パケット単位でのパケット交換を可能とする光パケット交換方式に関する。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を用いた光伝送システムにおいて、波長選択スイッチ(WSS:wavelength selective switch)等を用いることで、波長単位のパス切替を行う技術が実用化されている。その次の技術として、切替を行う単位を例えばIPパケット(10GEther(10 Gigabit Ethernet(登録商標))信号等)一つ一つという細かい単位とし、各々を光パケットという形式に変換して、超高速の光スイッチで方路切り替えを行う光パケット交換方式が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
IPパケットはデータが存在しない間は有意な情報が転送されておらず、その分だけ帯域が無駄になっているが、光パケット交換方式が実現すれば、データが存在しない時間帯を別のパケットが占有できることになる。従って、光パケット交換方式は、伝送路の帯域利用効率を飛躍的に高める可能性があり、将来の技術として有望視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、光パワーメータに光パケット信号が入力された場合に、光パワーメータによりモニタされる値を説明するための図である。光パワーメータは、通常、時間平均パワーを検出する。従って、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)信号のような連続信号であれば、常時マーク率が50%となるよう制御されているため、光パワーメータによるモニタ値は一定である。
【0006】
これに対し、光パケット信号の場合、パケット毎にデータ量、パケット長が変化するため、光信号が存在する時間帯と、存在しない時間帯とがあり、パケット密度がリアルタイムに変化する。パケット密度とは、パケット長/パケット間隔で定義される値である。図1には、パケット密度が高い場合と、低い場合と、その中間の場合とが図示されている。それぞれの場合において、光パケット信号のピークパワーは同じである。しかしながら、光パワーメータにてモニタされる値は、光パワーメータに入力される光の時間平均パワーであるため、パケット密度に依存する。すなわち、パケット密度が高い場合には、モニタ値は高くなるが、パケット密度が低い場合には、モニタ値は低くなる。
【0007】
光パケット交換システムに限らず、光伝送システムでは信号品質を確保するために光レベルダイアグラムが設定される。SDH信号のような連続信号扱う光伝送システムであれば、時間平均パワーを用いて光レベルダイアグラムを設定すればよい。しかしながら、光パケット信号を扱う光パケット交換システムの場合、時間平均パワーを用いて光レベルダイアグラムを設定するためには、基準となるパケット密度、パケット長を設定する必要がある。しかしながら、常に変化するパケット密度、パケット長の変動範囲をばらつきとして定義する必要があるため、時間平均パワーを用いた光レベルダイアグラムの設定は容易ではない。そのため、光パケット交換システムにおいては、パケット密度、パケット長に依存しないピークパワーを用いて光レベルダイアグラムを設定することが望ましい。
【0008】
ピークパワーを用いて光レベルダイアグラムを設定した場合、設定した光レベルダイアグラム通りに光パケット信号のピークパワーを制御するために、光パケット信号のピークパワーを求める必要がある。光パケット信号のピークパワーを検出する方法としては、従来よりWDMモニタを用いる方法があるが、例えば10Gbpsの光パケット信号ごとにピークパワーを検出するためには、サブnsオーダで応答できるWDMモニタを用いる必要がある。このようなWDMモニタを光パケット交換システムで用いるのはコスト面などを考慮すると現実的ではない。
【0009】
また、光パケット信号のピークパワーを検出する方法として、オシロスコープを用いる方法がある。図2は、オシロスコープを用いて検出された光パケット信号を示す。図2に示すように、光パケット信号は、プリアンブルとデータとから構成されている。プリアンブルは符号‘1’と‘0’の交番パターンであり、このプリアンブルのピークパワーが光パケット信号の本来のピークパワーとなる。また、データにおいては、符号‘1’が連続している部分は、パワーが本来のピークパワーよりも高く見える。また、符号‘0’が連続している部分は、パワーが本来のピークパワーよりも低く見える。このように、オシロスコープを用いれば光パケット信号のピークパワーを検出することが可能であるが、システム運用中にオシロスコープを用いて測定を行わなければならないことや、システムに組み込むことを考慮すると現実的ではない。
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、光パケット交換システムにおいて、所定の光レベルダイアグラムに従って好適に光パケット信号のピークパワーを制御できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光パケット交換システムは、光パケット信号を送信する光パケット送信装置と、入力された光パケット信号の方路を切り替えて出力する光パケットスイッチ装置と、光パケットスイッチ装置の前段および/または後段に設けられ、入力された光パケット信号を増幅する光増幅装置と、光パケットスイッチ装置から出力された光パケット信号を受信する光パケット受信装置と、光パケット送信装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、および消光比情報を収集し、光増幅装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、および雑音指数情報を収集し、光パケットスイッチ装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、スイッチON/OFF時間比情報、および消光比情報を収集し、光パケット受信装置からパケット密度情報および時間平均パワー情報を収集する情報収集部と、収集された情報に基づいて、各装置において入力または出力された光パケット信号のピークパワーを算出するピークパワー算出部と、算出されたピークパワーに基づいて、所定の光レベルダイアグラムに従ったピークパワーの光パケット信号が入力または出力されるよう各装置を制御する制御部とを備える。
【0012】
光パケットスイッチ装置は、半導体光増幅器を用いた光パケットスイッチ装置であり、ピークパワー算出部はさらに半導体光増幅器の雑音指数情報に基づいてピークパワーを算出してもよい。
【0013】
情報収集部は、収集した情報を当該光パケット交換システムが接続された他の光パケット交換システムに転送するとともに、他の光パケット交換システムから該システムが収集した情報を受信し、ピークパワー算出部は、さらに他の光パケット交換システムからの情報に基づいてピークパワーを算出してもよい。
【0014】
情報収集部は、当該光パケット交換システムが接続されたROADM(Reconfigurable Add/Drop Multiplexer)装置から、ROADM装置に関する情報を受信し、ピークパワー算出部は、さらにROADM装置に関する情報に基づいてピークパワーを算出してもよい。
【0015】
光パケット信号は、一つの波長の光パケット信号または複数の波長の光パケット信号が合波された波長多重光パケット信号であってもよい。
【0016】
本発明の別の態様は、ピークパワー制御方法である。この方法は、光パケット信号を送信する光パケット送信装置と、入力された光パケット信号の方路を切り替えて出力する光パケットスイッチ装置と、光パケットスイッチ装置の前段および/または後段に設けられ、入力された光パケット信号を増幅する光増幅装置と、光パケットスイッチ装置から出力された光パケット信号を受信する光パケット受信装置と、を備える光パケット交換システムにおける光パケット信号のピークパワー制御方法である。この方法は、光パケット送信装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、および消光比情報を収集し、光増幅装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、および雑音指数情報を収集し、光パケットスイッチ装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、スイッチON/OFF時間比情報、および消光比情報を収集し、光パケット受信装置からパケット密度情報および時間平均パワー情報を収集するステップと、収集された情報に基づいて、各装置において入力または出力された光パケット信号のピークパワーを算出するステップと、算出されたピークパワーに基づいて、所定の光レベルダイアグラムに従ったピークパワーの光パケット信号が入力または出力されるよう各装置を制御するステップとを備える。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光パケット交換システムにおいて、所定の光レベルダイアグラムに従って好適に光パケット信号のピークパワーを制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】光パワーメータに光パケット信号が入力された場合に、光パワーメータによりモニタされる値を説明するための図である。
【図2】オシロスコープを用いて検出された光パケット信号を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図4】光パケットスイッチ装置から出力された光パケット信号のスペクトルを示す図である。
【図5】光パケットスイッチ装置から出力された光パケット信号を示す図である。
【図6】本発明の変形例を説明するための図である。
【図7】本発明のさらに別の変形例を説明するための図である。
【図8】本発明のさらに別の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る光パケット交換システム10を示す。図3に示すように、光パケット交換システム10は、光パケットスイッチ装置12と、光パケット送信装置14と、光パケット受信装置16と、第1光増幅装置18と、第2光増幅装置20と、監視制御部22とを備える。
【0022】
本実施形態に係る光パケット交換システム10において扱う光パケット信号は、一つの波長の光パケット信号であってもよいし、複数の波長の光パケット信号が合波された波長多重光パケット信号であってもよい。
【0023】
光パケット送信装置14は、クライアントネットワークからクライアント信号を受信する。そして、光パケット送信装置14は、クライアント信号に宛先情報などを付与することにより光パケット信号を生成し、送信する。
【0024】
光パケットスイッチ装置12は、入力された光パケット信号の方路を切り替えて出力する、N入力×N出力の光スイッチ装置である。光パケットスイッチ装置12は、半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)を用いた光パケットスイッチ装置である。
【0025】
光パケットスイッチ装置12の前段には第1光増幅装置18が設けられている。第1光増幅装置18は、入力された光パケット信号を増幅した後、光パケットスイッチ装置12の入力ポートに出力する。光パケットスイッチ装置12の1つの入力ポートには、光パケット送信装置14から出力された後、第1光増幅装置18で増幅された光パケット信号が入力される。また、光パケットスイッチ装置12の他の入力ポートには、WDMネットワークからの光パケット信号が第1光増幅装置18で増幅された後、入力される。
【0026】
光パケットスイッチ装置12の後段には第2光増幅装置20が設けられている。第2光増幅装置20は、光パケットスイッチ装置12の出力ポートから出力された光パケット信号を増幅する。光パケットスイッチ装置12の1つの出力ポートから出力された光パケット信号は、第2光増幅装置20で増幅された後、光パケット受信装置16に入力される。光パケット受信装置16は、受信した光パケット信号からクライアント信号を生成し、クライアントネットワークに出力する。また、光パケットスイッチ装置12の他の出力ポートから出力された光パケット信号は、第2光増幅装置20で増幅された後、WDMネットワークに出力される。なお、本実施形態では、光パケットスイッチ装置12の前段および後段に光増幅装置が設けられているが、前後段のどちらか一方のみに設けられていてもよい。
【0027】
図4は、光パケットスイッチ装置12から出力された光パケット信号のスペクトルを示す。ここでは、波長多重光パケット信号のスペクトルを示している。
【0028】
本光パケット交換システム10における光パケットスイッチ装置12、光パケット送信装置14、光パケット受信装置16、第1光増幅装置18および第2光増幅装置20は、それぞれ、各装置を通過した光パケット信号の密度(パケット密度)と、入力または出力された光パケット信号の時間平均パワーをモニタするように構成されている。時間平均パワーのモニタは、例えば光パワーメータや、WDMモニタを用いて行うことができる。
【0029】
監視制御部22は、情報収集部24と、ピークパワー算出部26と、装置制御部28とを備える。
【0030】
情報収集部24は、光パケットスイッチ装置12から、パケット密度Dsw、出力された光パケット信号の時間平均パワーPasw、スイッチON/OFF時間比TRsw、雑音指数NFsw、および消光比ERswを収集する。図5は、光パケットスイッチ装置から出力された光パケット信号のスペクトルを示す。スイッチON/OFF時間比TRswとは、図5に示すように、光パケット信号を通過させるために光パケットスイッチ装置12をON状態にしている時間と、OFF状態にしている時間の比である。光パケットスイッチ装置12をON状態にしているとき、図5に示すように、光パケット信号本体にASE(Amplified Spontaneous Emission)光が付加された信号が出力される。光パケットスイッチ装置12がOFF状態のとき、ASE光は遮断される。雑音指数NFswおよび消光比ERswは、光パケットスイッチ装置12に固有の情報である。
【0031】
また、情報収集部24は、光パケット送信装置14から、パケット密度Dos、出力された光パケット信号の時間平均パワーPaos、および消光比ERosを収集する。消光比ERosは、光パケット送信装置14に固有の情報である。
【0032】
また、情報収集部24は、光パケット受信装置16から、パケット密度Dor、および入力された光パケット信号の時間平均パワーPaorを収集する。
【0033】
また、情報収集部24は、第1光増幅装置18から、パケット密度Damp1、出力された光パケット信号の時間平均パワーPaamp1、雑音指数NFamp1を収集する。雑音指数NFamp1は、第1光増幅装置18に固有の情報である。
【0034】
また、情報収集部24は、第2光増幅装置20から、パケット密度Damp2、出力された光パケット信号の時間平均パワーPaamp2、雑音指数NFamp2を収集する。雑音指数NFamp2は、第2光増幅装置20に固有の情報である。
【0035】
また、情報収集部24は、光パケット受信装置16から、パケット密度Dor、入力された光パケット信号の時間平均パワーPaorを収集する。
【0036】
ピークパワー算出部26は、各装置から収集された情報に基づいて、各装置において入力または出力された光パケット信号のピークパワーを算出する。以下、各装置ごとにピークパワーの算出式を示す。
【0037】
下記の(1)式は、光パケット送信装置14から出力された光パケット信号のピークパワーPposを算出するための式である。
Ppos=Paos/(MR×Dos) ・・・(1)
なお、MRは光パケット信号のマーク率であり、クライアントネットワークから送信されるクライアント信号により定まる。
【0038】
下記の(2)式は、第1光増幅装置18から出力された光パケット信号のピークパワーPpamp1を算出するための式である。
Ppamp1=Paamp1/(MR×Damp1) ・・・(2)
【0039】
下記の(3)式は、光パケットスイッチ装置12から出力された光パケット信号のピークパワーPpswを算出するための式である。
Ppsw=(Pasw−ASE1−ASEsw)/(MR×Dsw) ・・・(3)
ASE1は以下の(4)式で表される。
ASE1=(ASEamp1+ERos+ASEacc)×TRsw ・・・(4)
なお、ASEamp1は、第1光増幅装置18で発生するASEであり、ASEaccは、光パケットスイッチ装置12までの累積ASEである。TRswは、以下の(5)式で表される。
TRsw=(PL+Ton)/(PL+PG) ・・・(5)
なお、PLはパケット長(ns)であり、Tonはパケット信号の前後のスイッチON幅(ns)であり、PGはパケット間隔(ns)である。
また、ASEswは、光パケットスイッチ装置12で発生するASEである。
【0040】
下記の(6)式は、第2光増幅装置20から出力された光パケット信号のピークパワーPpamp2を算出するための式である。
Ppamp2=(Paamp2−ASE1−ASE2)/(MR×Damp2) ・・・(6)
ASE2は下記の(7)式で表される。
ASE2=ASEsw+ASEamp2 ・・・(7)
なお、ASEamp2は、第2光増幅装置20で発生するASEである。
【0041】
下記の(8)式は、光パケット受信装置16で受信される光パケット信号のピークパワーPporを算出するための式である。
Ppor=(Paor−ASE1−ASE2)/(MR×Dor) ・・・(8)
【0042】
装置制御部28は、ピークパワー算出部26によって算出された各装置におけるピークパワーに基づいて、所定の光レベルダイアグラムに従ったピークパワーの光パケット信号が入力または出力されるよう各装置を制御する。所定の光レベルダイアグラムとは、例えば光パケット交換システム10の設計時や製造時に定められた光レベルダイアグラムである。例えば、光パケット送信装置14から出力された光パケット信号のピークパワーが光レベルダイアグラムで設定された値よりも低い場合、装置制御部28は、出力パワーを高くするよう光パケット送信装置14に指示を出す。また、例えば第1光増幅装置18から出力された光パケット信号のピークパワーが光レベルダイアグラムで設定された値よりも低い場合、装置制御部28は、増幅率を高くするよう第1光増幅装置18に指示を出す。これにより、設定された光レベルダイアグラム通りに光パケット信号のレベルを調整することができる。
【0043】
光パケット交換システムにおいては、パケット密度およびパケット長がリアルタイムで変化するため、時間平均パワーに基づいて光パケット信号のレベルを調整することは容易ではない。本実施形態に係る光パケット交換システム10によれば、ピークパワーに基づいて光パケット信号のレベルを調整できるので、パケット密度、パケット長に依存しない安定した光レベルダイアグラム調整を行うことができる。
【0044】
図6は、本発明の変形例を説明するための図である。本変形例においては、第1光パケット交換システム10aと第2光パケット交換システム10bとがWDMネットワークを介して接続されている。第1光パケット交換システム10aおよび第2光パケット交換システム10bは、図3に示す光パケット交換システム10と同様の構成であってよい。図6に示すように、第1光パケット交換システム10aは、第1監視制御部22aを備え、第2光パケット交換システム10bは、第2監視制御部22bを備える。
【0045】
本変形例においては、第1監視制御部22aの情報収集部は、収集した各種の情報を第2監視制御部22bの情報収集部に転送するとともに、第2監視制御部22bの情報収集部から転送された情報を受信する。そして、第1監視制御部22aのピークパワー算出部は、自システムで収集された情報と、転送された情報とに基づいて、ピークパワーを算出する。例えば、第2光パケット交換システム10bから第1光パケット交換システム10aに送られてきた光パケット信号には、第2光パケット交換システム10bの光増幅装置によるASE光も付加されている。このような場合、第2光パケット交換システム10bからの情報も考慮することにより、より正確にピークパワーを算出でき、より適切に光パケット信号のレベルを調整できる。
【0046】
図7は、本発明のさらに別の変形例を説明するための図である。図6で説明した実施例では、第1監視制御部22aと第2監視制御部22bが直接情報をやり取りする構成としたが、本変形例では、第1光パケット交換システム10aと第2光パケット交換システム10bを統合して監視する統合監視制御部30を介して情報をやり取りする構成となっている。
【0047】
図8は、本発明のさらに別の変形例を説明するための図である。本変形例においては、光パケット交換システム10にROADM装置32が接続されている。ROADM装置32は、波長多重光パケット信号から任意の波長の光パケット信号を分岐し、また、任意の波長の光パケット信号を波長多重光パケット信号に挿入するために、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)を備える。波長選択スイッチでは、フォトダイオードで時間平均パワーをモニタし、可変光減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)の減衰量を制御して、各波長間のレベルのばらつきをなくすよう制御を行っている。また、ROADM装置32は、光増幅装置を備える。
【0048】
本変形例において、光パケット交換システム10における監視制御部22の情報収集部は、ROADM装置32の波長選択スイッチからVOA調整値情報および時間平均パワー情報を受信し、ROADM装置32の光増幅装置から、雑音指数情報および時間平均パワー情報を受信する。これらの情報から、ROADM装置32で発生するASE情報やパワーの情報が分かるので、監視制御部22のピークパワー算出部は、ROADM装置32から入力された光パケット信号のピークパワーを算出でき、装置制御部28は、所定の光レベルダイアグラムに従ったピークパワーの光パケット信号が入力または出力されるよう各装置を制御できる。
【0049】
また、所定の光レベルダイアグラムを実現するために、光パケット交換システム10の監視制御部22からROADM装置32のVOAを調整したり、光増幅装置のゲインを調整するといった制御も可能である。
【0050】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せによりいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
例えば、上述の実施形態では、光パケットスイッチ装置12として半導体光増幅器を用いたものを例示したが、光パケットスイッチ装置12はこれに限定されず、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いたものであってもよい。この場合、光パケットスイッチ装置12からの雑音指数の収集は不要となる。
【符号の説明】
【0052】
10 光パケット交換システム、 12 光パケットスイッチ装置、 14 光パケット送信装置、 16 光パケット受信装置、 18 第1光増幅装置、 20 第2光増幅装置、 22 監視制御部、 24 情報収集部、 26 ピークパワー算出部、 28 装置制御部、 32 ROADM装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光パケット信号を送信する光パケット送信装置と、
入力された光パケット信号の方路を切り替えて出力する光パケットスイッチ装置と、
前記光パケットスイッチ装置の前段および/または後段に設けられ、入力された光パケット信号を増幅する光増幅装置と、
前記光パケットスイッチ装置から出力された光パケット信号を受信する光パケット受信装置と、
前記光パケット送信装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、および消光比情報を収集し、前記光増幅装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、および雑音指数情報を収集し、前記光パケットスイッチ装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、スイッチON/OFF時間比情報、および消光比情報を収集し、前記光パケット受信装置からパケット密度情報および時間平均パワー情報を収集する情報収集部と、
収集された情報に基づいて、各装置において入力または出力された光パケット信号のピークパワーを算出するピークパワー算出部と、
算出されたピークパワーに基づいて、所定の光レベルダイアグラムに従ったピークパワーの光パケット信号が入力または出力されるよう各装置を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする光パケット交換システム。
【請求項2】
前記光パケットスイッチ装置は、半導体光増幅器を用いた光パケットスイッチ装置であり、
前記ピークパワー算出部はさらに前記半導体光増幅器の雑音指数情報に基づいてピークパワーを算出することを特徴とする請求項1に記載の光パケット交換システム。
【請求項3】
前記情報収集部は、収集した情報を当該光パケット交換システムが接続された他の光パケット交換システムに転送するとともに、前記他の光パケット交換システムから該システムが収集した情報を受信し、
前記ピークパワー算出部は、さらに前記他の光パケット交換システムからの情報に基づいてピークパワーを算出することを特徴とする請求項1または2に記載の光パケット交換システム。
【請求項4】
前記情報収集部は、当該光パケット交換システムが接続されたROADM装置から、前記ROADM装置に関する情報を受信し、
前記ピークパワー算出部は、さらに前記ROADM装置に関する情報に基づいてピークパワーを算出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項5】
前記光パケット信号は、一つの波長の光パケット信号または複数の波長の光パケット信号が合波された波長多重光パケット信号であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項6】
光パケット信号を送信する光パケット送信装置と、
入力された光パケット信号の方路を切り替えて出力する光パケットスイッチ装置と、
前記光パケットスイッチ装置の前段および/または後段に設けられ、入力された光パケット信号を増幅する光増幅装置と、
前記光パケットスイッチ装置から出力された光パケット信号を受信する光パケット受信装置と、
を備える光パケット交換システムにおける光パケット信号のピークパワー制御方法であって、
前記光パケット送信装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、および消光比情報を収集し、前記光増幅装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、および雑音指数情報を収集し、前記光パケットスイッチ装置からパケット密度情報、時間平均パワー情報、スイッチON/OFF時間比情報、および消光比情報を収集し、前記光パケット受信装置からパケット密度情報および時間平均パワー情報を収集するステップと、
収集された情報に基づいて、各装置において入力または出力された光パケット信号のピークパワーを算出するステップと、
算出されたピークパワーに基づいて、所定の光レベルダイアグラムに従ったピークパワーの光パケット信号が入力または出力されるよう各装置を制御するステップと、
を備えることを特徴とするピークパワー制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−55484(P2013−55484A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191907(P2011−191907)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】