説明

光ファイバの被覆装置

【課題】 本発明の目的は、一次被覆光ファイバをダイス側に導くための導入孔の内壁やその周辺部への付着物の付着を減少せしめることができ、もって被覆光ファイバの製造速度の高速化、長尺化を可能にする光ファイバの被覆装置を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、二次被覆装置45が一次被覆光ファイバ17を二次被覆用樹脂へと導入する筒状導入孔14と筒状導入孔14の後端側にあって筒状導入孔14に連通し、これに同軸状に設けられかつ筒状導入孔14より内径大なる一次被覆光ファイバ案内孔13を有していて、筒状導入孔14はその内径が一次被覆光ファイバ17の外径の1.5倍以上2.0倍以下で、長さが1.0mm以上2.0mm以下であり、一次被覆光ファイバ案内孔13は深さが2.0mm以上9.0mm以下で、後端部の内径A、筒状導入孔14に繋がる先端部の内径BがB≦Aで、かつBが7mm以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ裸線に一次被覆及び二次被覆を施す被覆工程で用いられる光ファイバの被覆装置に関するものであり、特に二次被覆を施す二次被覆装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、石英ガラス製の光ファイバ裸線の表面に、通常では、まずヤング率の比較的低い一次被覆が被覆され、続いてこの一次被覆上に前記一次被覆に比してそのヤング率が比較的高い二次被覆が施される。この一次被覆用及び二次被覆用の樹脂として、通常、紫外線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂が用いられる。
図3はこのように光ファイバ裸線表面に一次被覆及び二次被覆を施す一般的な線引工程を示している。
【0003】
図3に示すように、光ファイバ母材41は加熱炉(線引炉)42に、その先端から順次所定の速度で送り込まれて加熱溶融され、長手方向に外径が一定の、例えば外径125μmの光ファイバ裸線16に線引きされる。
そしてこの光ファイバ裸線16の表面上には、一次被覆装置43により所定の被覆厚で、例えば紫外線硬化性樹脂が被覆され、被覆された樹脂は紫外線照射室44により紫外線が照射されて硬化され一次被覆が形成される。
続いて、この一次被覆の表面上に二次被覆装置45により所定の被覆厚で、例えばまた紫外線硬化性樹脂が被覆され、被覆された樹脂は紫外線照射室46により紫外線が照射されて硬化され二次被覆が形成される。
【0004】
二次被覆が施された被覆光ファイバは、図に示されているように引取り用のキャプスタンや、必要により所定数設けられるガイドロールによって案内され、巻取機に装着されているボビン47に所定の巻取速度で取られる。
尚、一次被覆用及び二次被覆用の樹脂としては、紫外線硬化性樹脂のほか熱硬化性樹脂を用いることもでき、その場合には紫外線照射室44、46に代えて焼付炉44、46が設けられる。
【0005】
ところで、昨今においては被覆光ファイバの生産性を向上させ、低価格化を図る等の観点から、図3に示す一連の線引工程の高速化や、一度に線引きする被覆光ファイバの長尺化が検討されている。しかしながらその際以下のような問題が生じている。
【0006】
その問題とは、図3における二次被覆装置45内にあって、一次被覆が施された一次被覆光ファイバ17をこの二次被覆装置45内に設けられている樹脂溜めに導入する導入孔、より具体的には一次被覆光ファイバ17をダイス方向へと導くニップルに形成されている導入孔の内壁あるいはその周辺部に付着物が付着し、これが時間の経過と共に成長する、というものである。
このようにニップルの導入孔の内壁あるいはその周辺部に付着物が付着し、これが成長すると、導入孔の内径が小さくなって、走行する一次被覆光ファイバ17の被覆表面を傷つけ、高品質の被覆光ファイバの製造を継続できなくなる、という問題がある。
【0007】
因みに、前述した付着物は、光ファイバ裸線表面に被覆された一次被覆用樹脂組成物が硬化する際に重合熱により発熱し、この熱で組成物中の比較的低分子量で重合しなかったものが揮発し、これが一次被覆光ファイバ17に随伴してニップルの前記導入孔に至り、その内壁等にて凝縮し、付着したものである。
この付着物の導入孔内壁やその周辺部への付着は、線引速度の高速化や、一度に線引きする被覆光ファイバの長さが長くなる、すなわち長尺化するに従って、より大きな問題になってくる。
【0008】
そこで従来にあっては、二次被覆装置45の一次被覆光ファイバ17の導入孔の先端部、具体的にはニップル先端部に、一次被覆光ファイバ17の進行方向に拡径するテーパ管状の導入孔を設け、一次被覆表面に随伴してくる揮発物を吹き飛ばし、付着物の付着を防止しよう、との試みも成されている(特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】特開平08−239246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されている二次被覆装置のように、ニップルの先端部に一次被覆光ファイバの進行方向に拡径するテーパ管状の導入孔を設けて実験してみたところ、一次被覆表面に随伴してくる揮発物を期待通りに充分吹き飛ばすことができないことがわかった。
その結果、付着物に起因する一次被覆表面の傷の発生を確実に防止できないため、被覆光ファイバの製造速度を高速化することができない。また長時間被覆工程を続けることもできないため、被覆光ファイバの長尺化もできない、という問題が依然として存在している。
【0011】
上記問題に鑑み本発明の目的は、二次被覆装置内にあって、一次被覆光ファイバを二次被覆用の樹脂の樹脂溜めに導く導入孔の内壁やその周辺部への付着物の付着をより減少せしめることができ、もって被覆光ファイバの製造速度の高速化、長尺化を可能にする光ファイバの被覆装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成すべく本発明の請求項1記載の光ファイバの被覆装置は、光ファイバ裸線に一次被覆及び二次被覆を施す被覆工程で使用される光ファイバの被覆装置であって、前記一次被覆が施された一次被覆光ファイバ表面に前記二次被覆を施す二次被覆装置は、前記一次被覆光ファイバを二次被覆装置内の樹脂溜めに導入する筒状導入孔と、該筒状導入孔の後端側に前記筒状導入孔に連通してかつ前記筒状導入孔と同軸状に設けられ、かつ前記筒状導入孔より内径が大きい一次被覆光ファイバ案内孔とを有していて、前記筒状導入孔はその内径が前記一次被覆光ファイバの外径の1.5倍以上2.0倍以下であり、その長さが1.0mm以上2.0mm以下であり、前記一次被覆光ファイバ案内孔はその深さが2.0mm以上9.0mm以下であり、後端部の内径をA、前記筒状導入孔に繋がる先端部の内径をBとしたときB≦Aであり、かつ内径Bは7mm以上であることを特徴とするものである。
【0013】
このようにしてなる本発明の請求項1記載の光ファイバの被覆装置によれば、前記筒状導入孔の後端側に、前記筒状導入孔に連通してかつ前記筒状導入孔と同軸状に設けられ、しかも前記筒状導入孔より内径が大きい一次被覆光ファイバ案内孔が形成されていて、前記筒状導入孔はその内径が前記一次被覆光ファイバの外径の1.5倍以上2.0倍以下であり、その長さが1.0mm以上2.0mm以下になるように形成されている。加えて前記一次被覆光ファイバ案内孔はその深さが2.0mm以上9.0mm以下であり、後端部の内径をA、前記筒状導入孔に繋がる先端部の内径をBとしたときB≦Aであり、かつ内径Bが7mm以上になるように形成されている。
その結果、一次被覆光ファイバの表面に随伴してきたガスが二次被覆装置内の一次被覆光ファイバ案内孔内に滞留することなく二次被覆装置外部へとより拡散され易くなる。
そのためガスに含まれる揮発分もガスと共に二次被覆装置外部に拡散し、前記筒状導入孔の内壁やその周辺部に凝縮し、付着することがより起こり難くなって、被覆光ファイバの高速化や長尺化が実現し易くなる。
【0014】
以上のように本発明の光ファイバの被覆装置によれば、一次被覆光ファイバを二次被覆用樹脂の樹脂溜めに導くための導入孔の内壁あるいはその周辺部への付着物の付着をより減少せしめることが可能になって、もって被覆光ファイバの製造速度の高速化、長尺化を可能にする光ファイバの被覆装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に図を用いて、本発明の光ファイバの被覆装置の実施例を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の光ファイバの被覆装置、より具体的には二次被覆装置の一例を示す縦断面であり、図2はその要部拡大図である。
図1、図2に示すようにこの二次被覆装置45は、基本的には、一次被覆光ファイバ17を二次被覆装置45に導入するニップル11と、このニップル11で案内され、図1及び図2において上方から下方に向かって進行する一次被覆光ファイバ17に樹脂を被覆するダイス12とで構成されている。
【0017】
前記ニップル11には、一次被覆光ファイバ17を二次被覆装置45に導入する部分に、一次被覆光ファイバ案内孔13が、そしてその先端側に筒状導入孔14が形成されている。ここでニップル11の先端側とは、一次被覆光ファイバ17の走行方向側、すなわち図においてニップル11の下方側をいう。
このようにニップル11には、その先端側に一次被覆光ファイバ17を二次被覆装置45内の樹脂溜め18に供給されている二次被覆用樹脂内に導入する筒状導入孔14が設けられている。そしてこの筒状導入孔14の後端に、必要により、例えばR面取りされた部分等を介して、筒状導入孔14に連通して、かつ筒状導入孔14と同軸状に、筒状導入孔14より大きな内径を有する一次被覆光ファイバ案内孔13が設けられている。
【0018】
前記ニップル11とダイス12とで構成される樹脂溜め18に、樹脂供給口15から所望の樹脂、例えば紫外線硬化性樹脂等を送り込み、二次被覆装置45を上方から下方に貫通して走行する一次被覆光ファイバ17の表面にこの樹脂を被覆する。
因みに、ニップル11とダイス12とで形成される樹脂溜め18の要部、すなわちダイス12に形成されている樹脂供給口15を含む樹脂供給路以外の部分は、基本的に、この二次被覆装置45を貫通して下方に走行する一次被覆光ファイバ17の軸心を対称軸とする略回転対称形状をしている。
【0019】
本発明の光ファイバの被覆装置、すなわち二次被覆装置45の特徴は前述したニップル11にあるが、これをニップル11の要部拡大図である図2で詳細に説明する。
図2に示すように、ニップル11の一次被覆光ファイバ案内孔13は、その先端側にこの一次被覆光ファイバ案内孔13と同軸状に形成されている筒状導入孔14に向かってその内径がテーパ状に縮小する形状をしている。具体的にはその縦断面が逆台形状をしている。そしてこの一次被覆光ファイバ案内孔13の先端側の内径をB、後端側の内径をAとしたときB≦Aになっている。またこの一次被覆光ファイバ案内孔13の深さはCとする。
【0020】
そしてこの一次被覆光ファイバ案内孔13の先端側に連通して、例えばR面取りされた部分等を介して、この一次被覆光ファイバ案内孔13と同軸状に筒状導入孔14が設けられている。
この筒状導入孔14は、一次被覆光ファイバ案内孔13の内径Bより小さな内径Dを有し、かつその長さがLになっている。尚、当然のことながら筒状導入孔14の内径Dは、この筒状導入孔14内を貫通する一次被覆光ファイバ17の外径dより大きく設定されている。
ここで筒状とは、その長さ方向の内径が同じ値であることを意味し、前述したR面取りされた部分等の内径の値が長さ方向に一定でない部分は筒状導入孔14の長さLには含まれないものとする。
【0021】
このニップル11における前記A、B、C、D及びLの値を変えた幾つかのニップル11を用意した。そして各ニップル11の筒状導入孔14の内壁あるいはその周辺部への付着物の付着を少なくできるA、B、C、D及びLの適正値を見出すべく以下のような実験を行った。
実験においては、二次被覆装置45として図1及び図2に示す二次被覆装置45を用い、それ以外の線引装置は図3に示すものと同じ装置を使用した。
そして光ファイバの線引速度を1000m/分とした。また光ファイバ母材41、1本当たりから被覆光ファイバ長300kmを線引きできた時点をもって一回の線引が完了としたものとした。
【0022】
また、ニップル11の筒状導入孔14の内壁やその周辺部に、一次被覆から発生するガスから生じる付着物が付着し、この付着物の成長により筒状導入孔14の内径が小さくなって、正常な線引き、被覆ができなくなったら被覆光ファイバの製造を中断することにした。そして被覆光ファイバ長が300kmになって線引工程が完了した際、及び被覆光ファイバの製造を中断した際得られた被覆光ファイバを観察し、一次被覆表面の傷の有無を調べた。尚、一次被覆表面の傷の有無は、得られた被覆光ファイバの端末部の横断面、または被覆光ファイバの横からの観察で調べることができる。
【0023】
以上の実験結果を、ニップル11の各寸法等の値と共に表1に示す。
尚、表1で導入孔、とは筒状導入孔14のことを意味し、その値は一次被覆光ファイバ17の外径をdとしたときのD/dの値を示している。
また、表1の最右欄にある(終了後観察)とは、前述したように一連の線引工程及び被覆工程が完了あるいは中断後に、得られた被覆光ファイバの端末部における横断面の観察結果を示すもので、一次被覆表面に付着物によると推測される傷が観察されたものを(認められる)と表現し、傷が発見できなかったものは(認められない)と表現してある。
【0024】
【表1】

【0025】
表1に示すように、筒状導入孔14の内径Dが一次被覆光ファイバ17の外径dの1.5倍以上2.0倍以下であり、その長さLが1.0mm以上2.0mm以下であり、さらに一次被覆光ファイバ案内孔13の深さCが2.0mm以上9.0mm以下であり、後端部の内径をA、筒状導入孔14に繋がる先端部の内径をBとしたときB≦Aであり、かつ内径Bが7mm以上であると、筒状導入孔14の内壁やその周辺部への付着物の付着が少なくなって、付着物の付着による一次被覆表面への傷も認められず、被覆光ファイバの300km連続線引も可能になっていることがわかる。
【0026】
その理由は、一次被覆光ファイバ案内孔13の深さCが2.0mm以上9.0mm以下であると、一次被覆光ファイバ17に随伴されてきた揮発成分を内包するガスが一次被覆光ファイバ案内孔13内に滞留し難くなって、二次被覆装置45外に拡散し易くなる、と推測される。
尚、深さCが2mm以下では、なんらかの理由で樹脂溜め18内の樹脂が筒状導入孔14内を上昇して溢れた場合、二次被覆装置45から樹脂が溢れ出し、線引工程の復旧に時間が掛かる、という問題がある。また、実験NO.2が示すように、深さCが9mm以上では一次被覆光ファイバ案内孔13が深くなり過ぎて、一次被覆光ファイバ17に随伴されてきたガスが一次被覆光ファイバ案内孔13内に滞留し易くなる、と推測される。その結果、筒状導入孔14の内壁やその周辺部に付着物がより付着し易くなって、筒状導入孔14の内径が経時的に小さくなり、次第に一次被覆光ファイバが通り難くなって、線引き、被覆作業を中断せざるを得なくなった、と考えられる。
【0027】
同様に内径Bの値が7mm未満であっても、実験NO.2及び実験NO.7が示すように筒状導入孔14の内壁及びその周辺部に付着物が付着して成長し易く、線引工程を中断せざるを得なくなったり、付着物と一次被覆表面が接触して、一次被覆表面に傷が認められたり、といった問題が生じている。
【0028】
さらにまた実験NO.1が示す結果からは、筒状導入孔14の長さLが2.0mmを越えると筒状導入孔14内を貫通し、走行する一次被覆光ファイバ17の線振れが大きくなって、筒状導入孔14の内壁あるいはその周辺部に付着した付着物が小さくともこれに一次被覆光ファイバ17が接触し易くなって、その表面に傷が発生し易くなった、との推測がなされる。それ故、筒状導入孔14の長さLは1.0mm以上2.0mm以下であることが好ましい。
【0029】
ところで筒状導入孔14の内径Dを、この部分を通過する一次被覆光ファイバ17の外径dの1.5倍以上2.0倍以下にしているが、この理由は以下のとおりである。
すなわち、D/dが1.5以下では線振れで筒状導入孔14の内壁に一次被覆光ファイバ17が直接接触したり、筒状導入孔14の内壁に付着した付着物がそれほど大きくなくとも一次被覆光ファイバ17の表面がこれに触れ易くなる、と考えられるからである。その結果、一次被覆光ファイバ17の表面に擦れ傷等の傷が発生し易くなって、製品不良を起こし易くなる。
一方、D/dが2.0を越えると、樹脂溜め18内の樹脂圧のバランスが崩れ、樹脂が筒状導入孔14内を上昇して溢れ出てしまう、という問題が生じ易くなる。このように樹脂が溢れ出てしまった場合、被覆光ファイバの被覆内に気泡が取り込まれる可能性が高くなる、という問題が生じる。
よって筒状導入孔14の内径Dは一次被覆光ファイバ17の外径dの1.5倍以上2.0倍以下にすることが好ましい。
【0030】
以上に述べたように本発明の光ファイバの被覆装置、より具体的には二次被覆装置によれば、二次被覆用の被覆装置内に形成されている一次被覆光ファイバを二次被覆用の樹脂の樹脂溜めに導く導入孔内壁あるいはその周辺部への付着物の付着をより減少せしめることが可能である。
【0031】
尚、表1の実験NO.4が示すように、一次被覆光ファイバ案内孔13の先端側の内径をB、後端側の内径をAとしたときB=Aであってもよい。すなわち図2では一次被覆光ファイバ案内孔13の縦断面形状は下辺が上辺より短い逆台形状をしているが、上辺、下辺の長さが同じ、すなわち筒状の形状であってもよい。
但し、図2に示すようにAよりBが小さい方が、一次被覆光ファイバ案内孔13内に滞留するガスが二次被覆装置45の上方に拡散し易く、二次被覆装置45の外部により逃げ易くなり好ましい。
【0032】
また図1、図2に示す実施形態では、一個のニップル11に一次被覆光ファイバ案内孔13、筒状導入孔14全体を一体的に設けているが、例えば、一次被覆光ファイバ案内孔13の後端側を分割して他の部材で構成してもよい。但し、この場合、前記他の部材はあくまでもニップル11の一部と見做すものとする。
【0033】
さらに図1及び図2に示すニップル11では、一次被覆光ファイバ案内孔13と筒状導入孔14との間にR面取りされた部分を設けているが、この部分はあってもなくともよい。但し、このようにR面取り等の面取りを施した部分を設けておくと、作業開始時、例えば手作業でこのニップル11に一次被覆光ファイバ17を通線する際、あるいはまた線引き、被覆作業中に一次被覆光ファイバ17が線振れを起こして、一次被覆光ファイバ17が筒状導入孔14の入り口部内壁に接触したとしても、一次被覆表面に傷が付き難くなり好ましい。
【0034】
以上に述べたように本発明の光ファイバの被覆装置、より具体的には二次被覆装置によれば、二次被覆用の被覆装置内に形成されている一次被覆光ファイバを二次被覆用の樹脂の樹脂溜めに導くための導入孔の内壁あるいはその周辺部への付着物の付着をより減少せしめることが可能で、もって被覆光ファイバの製造速度の高速化、長尺化を可能にする光ファイバの被覆装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の光ファイバの被覆装置の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す光ファイバの被覆装置の要部拡大縦断面図である。
【図3】一般的な被覆光ファイバの製造装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0036】
11 ニップル
12 ダイス
13 一次被覆光ファイバ案内孔
14 筒状導入孔
17 一次被覆光ファイバ
18 樹脂溜め
45 二次被覆装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ裸線に一次被覆及び二次被覆を施す被覆工程で使用される光ファイバの被覆装置であって、前記一次被覆が施された一次被覆光ファイバ表面に前記二次被覆を施す二次被覆装置は、前記一次被覆光ファイバを二次被覆装置内の樹脂溜めに導入する筒状導入孔と、該筒状導入孔の後端側に前記筒状導入孔に連通してかつ前記筒状導入孔と同軸状に設けられ、かつ前記筒状導入孔より内径が大きい一次被覆光ファイバ案内孔とを有していて、前記筒状導入孔はその内径が前記一次被覆光ファイバの外径の1.5倍以上2.0倍以下であり、その長さが1.0mm以上2.0mm以下であり、前記一次被覆光ファイバ案内孔はその深さが2.0mm以上9.0mm以下であり、後端部の内径をA、前記筒状導入孔に繋がる先端部の内径をBとしたときB≦Aであり、かつ内径Bは7mm以上であることを特徴とする光ファイバの被覆装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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