説明

光ファイバーケーブル固定具とこれを用いた筐体

【課題】光ファイバー心線の伝送特性に影響を与えることなく簡単に光ファイバーケーブルを固定することのできる光ファイバーケーブル固定具と、この光ファイバーケーブル固定具による光ファイバーケーブルの固定を確実にした装置の筐体を提供する。
【解決手段】光ファイバーケーブル固定具は、複数の係止孔が形成されたケーブル固定台と、前記係止孔に着脱自在に係止する複数の係止片が突設されたケーブル固定蓋17とからなり、前記ケーブル固定蓋17は、光ファイバーケーブル9を挟持する一対の挟持片31,33が光ファイバーケーブル9の配線方向に沿って複数対突設されると共に、一対の挟持片31,33とこれに隣接する他の一対の挟持片31,33との間に、光ファイバーケーブル9に当接してこれを横方向へ蛇行状に湾曲させる押圧片39が突設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス(FTTH;Fiber To The Home)等で使用される宅内設置型装置(ONU;Optical Network Unit)に光ファイバーケーブルを固定する光ファイバーケーブル固定具と、これを用いた装置の筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量のデータ通信サービスとして、昨今、光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス(FTTH)が普及しており、このデータ通信サービスでは、パソコン等の端末機器をネットワークに接続するための宅内設置型装置(ONU)が加入者宅に設置されている。そして、この宅内設置型装置に光ファイバーケーブルが接続されているが、光信号が伝送されるファイバー心線は強度が弱い。
【0003】
このため、従来、この種の光ファイバーケーブルは、2本のテンションメンバの間に光ファイバー心線を配置して、その外周に扁平な一括被覆を施し、被覆の外周面の光ファイバー心線に相当する位置に溝を形成したドロップケーブルが広く使用されている。そして、この光ファイバーケーブルを宅内設置型装置に引き込んで固定する場合には、テンションメンバをネジ等により締め付けることで、光ファイバーケーブルを装置の筐体に固定していた(特許文献1)。
【0004】
しかし、斯様にネジ等でテンションメンバを締め付けると、光ファイバー心線が歪んで光信号の伝送特性が劣化してしまう虞があった。
そこで、出願人は斯かる実情に鑑み、特許文献2に於て、光ファイバー心線の伝送特性に影響を与えることなく、光ファイバーケーブルを装置の筐体に確実に固定することのできる光ファイバーケーブル固定具を提案した。
【0005】
この光ファイバーケーブル固定具は、溝に沿って光ファイバーケーブルの被覆を引き裂き、光ファイバー心線を所定長露出させた後、左右に分岐したテンションメンバを固定具本体に固定するもので、固定具本体には、左右のテンションメンバを夫々蛇行状に湾曲させて係止する複数の係止突起と、光ファイバー心線を収納して筐体内に案内するガイド溝が形成されており、係止突起に沿ってテンションメンバを配置すると、テンションメンバが係止突起によって蛇行状に湾曲した状態で係止され、光ファイバー心線は、前記ガイド溝内に収納されて固定具本体から筐体内に案内されるようになっている。そして、固定具本体にカバーが冠着されており、一例として固定具本体は筐体に一体形成される。
【0006】
そして、筐体内に案内された光ファイバー心線は別途用意された光ファイバー心線に融着されて、光ファイバー心線が筐体内で余長処理された後、SCコネクタを介して筐体内のアダプタに接続されている。
而して、この光ファイバーケーブル固定具によれば、テンションメンバと係止突起との接触部分に強い摩擦力が発生してテンションメンバが係止,保持されるため、光ファイバーケーブルが確実に固定され、また、光ファイバー心線に応力がかからないため、光ファイバー心線の伝送特性が劣化することもない。
【特許文献1】特開平7−134214号公報
【特許文献2】特願2005−127567
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし乍ら、前記光ファイバーケーブル固定具は、被覆を引き裂いて左右に分岐したテンションメンバを固定具本体に固定する作業を要し、次いで、露出した光ファイバー心線に別途用意した光ファイバー心線を融着し、この後、光ファイバー心線を筐体内で余長処理しなければならないといった多くの工程を要しており、作業性の改善が望まれていた。
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、被覆を引き裂いて左右に分岐したテンションメンバを固定具本体に固定するといった従来の作業を不要とし、光ファイバー心線の伝送特性に影響を与えることなく簡単に光ファイバーケーブルを固定することのできる光ファイバーケーブル固定具と、この光ファイバーケーブル固定具による光ファイバーケーブルの固定を確実にした装置の筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る光ファイバーケーブル固定具は、複数の係止孔が形成されたケーブル固定台と、前記係止孔に着脱自在に係止する複数の係止片が突設されたケーブル固定蓋とからなり、前記ケーブル固定蓋は、光ファイバーケーブルを挟持する一対の挟持片が光ファイバーケーブルの配線方向に沿って複数対突設されると共に、一対の挟持片とこれに隣接する他の一対の挟持片との間に、光ファイバーケーブルに当接してこれを横方向へ蛇行状に湾曲させる押圧片が突設されていることを特徴とする。
【0009】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、一対の前記挟持片の突出端は、対向する挟持片方向へ斜め下方に傾斜していることを特徴とし、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、前記押圧片の突出端は、光ファイバーケーブルの押圧方向へ斜め下方に傾斜していることを特徴とする。
【0010】
更に、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、前記挟持片の挟持部と前記押圧片の押圧部に、光ファイバーケーブルの被覆に食い込むエッジが設けられていることを特徴とする。
また、請求項5に係る筐体は、請求項1に記載のケーブル固定蓋が着脱自在に取り付く請求項1に記載のケーブル固定台が一体形成された筐体本体と、前記ケーブル固定台を覆って筐体本体にスライド自在に取り付くカバーとからなる筐体であって、前記カバーの裏面側に、ケーブル固定台に取り付くケーブル固定蓋を押圧する脱落防止用の押圧片が突設されていることを特徴とする。
【0011】
そして、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の筐体に於て、前記押圧片は、ケーブル固定蓋の複数箇所を押圧可能に複数突設されていることを特徴とし、請求項7に係る発明は、請求項5または請求項6に記載の筐体に於て、前記カバーで被覆される筐体本体の部位に、前記ケーブル固定蓋を収納する収納部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、係止片を係止孔に係止してケーブル固定蓋をケーブル固定台に固定するだけで、光ファイバーケーブルが挟持片で挟持されると共に、光ファイバーケーブルの側部に押圧片が当接して光ファイバーケーブルが蛇行状に湾曲するため、光ファイバーケーブルの引張り/押し込み防止が可能となる。
そして、請求項2及び請求項3に係る発明によれば、挟持片の突出端に設けた傾斜部が、光ファイバーケーブルを挟持片の挟持部間に確実に案内することができ、また、押圧片の突出端に設けた傾斜部が、光ファイバーケーブルを押圧片の押圧部に確実に案内することができる利点を有する。
【0013】
また、請求項4に係る発明によれば、挟持部や押圧部に設けたエッジが光ファイバーケーブルの被覆に食い込むため、光ファイバーケーブルの引張り/押し込みの防止が更に確実となる。
そして、請求項5に係る発明によれば、カバーの裏面側に突設した押圧片がケーブル固定蓋を上方から押圧するため、光ファイバーケーブルを上方に引っ張っても、ケーブル固定蓋がケーブル固定台から外れることがなく、請求項6に係る発明によれば、複数の押圧片がケーブル固定蓋の複数箇所を押圧するため、ケーブル固定蓋の脱落防止が確実に図れることとなる。
【0014】
また、請求項7に係る発明によれば、ケーブル固定蓋が不要の場合にケーブル固定蓋を収納部に仕舞っておくことで、ケーブル固定蓋の紛失防止が図れる利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は請求項1乃至請求項4の光ファイバーケーブル固定具を備えた請求項5乃至請求項7の一実施形態に係る宅内設置型装置(ONU)の筐体の要部拡大斜視図を示し、筐体1は、図2に示すように上部の角部に平面視矩形状のケーブル接続部3が凹状に形成された筐体本体5と、このケーブル接続部3を覆って筐体本体5にスライド可能(図1中、矢印A方向)に取り付く断面略L字状のカバー7を備え、本実施形態では、外部から引き込まれた光ファイバーケーブル9自体にコネクタ11が接続され、このコネクタ11が、ケーブル接続部3の一側面に設けたコネクタ挿通孔13内のアダプタ(図示せず)に直接接続できるようになっている。
【0016】
尚、筐体本体5とカバー7は、ポリアセタール樹脂等を用いて金型成形により一体形成されている。
また、光ファイバーケーブル9は、2本のテンションメンバの間に光ファイバー心線を配置して、その外周に扁平な被覆9aを施した従来周知のドロップケーブルである。
そして、図2及び図3に示すように、前記ケーブル接続部3の底部の端部に平面視矩形状のケーブル固定台15が一体形成され、このケーブル固定台15に、これと同一材料で形成されたケーブル固定蓋17が着脱自在に装着されており、ケーブル固定台15とケーブル固定蓋17で、本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具18が形成されている。
【0017】
図4乃至図9はケーブル固定蓋17の詳細を示し、図中、19は平面視略矩形状に形成された平板状の蓋本体で、その長手方向の一端側に、ケーブル固定台15に固定されたケーブル固定蓋17を取り外す際に指先を引っ掛ける舌片21が突設されている。
そして、蓋本体19の裏面側に、ケーブル固定台15に設けた2つの係止孔25に着脱自在に係止する2本の係止片(係止突起)27が蓋本体19の前後、即ち、反舌片21側端部と舌片21の付け根付近に対向して突設されており、両係止片27の突出端に設けられた係止爪29は反舌片21側に突出している。
【0018】
また、図示するように蓋本体19の左右の裏面側に、光ファイバーケーブル9の配線方向に沿って一対の挟持片31,33が左右対称に突設されており、各挟持片31,33の突出端には、対向する挟持片33,31方向へ斜め下方に傾斜する傾斜部35,37が設けられている。
そして、左右一対の挟持片31,33間に、図8及び図9の如く光ファイバーケーブル9の側部に当接してこれを横方向(舌片21方向)へ蛇行状に湾曲させる1つの押圧片(押圧突起)39が突設されており、図8に示すように光ファイバーケーブル9を挟持する挟持片31の挟持部41よりも、光ファイバーケーブル9に当接する押圧片39の押圧部43が舌片21方向に突出した構造となっている。
【0019】
このため、左右の挟持片31,33で挟持される光ファイバーケーブル9の側部に押圧片39が当接して、光ファイバーケーブル9が横方向(舌片21方向)へ蛇行状に湾曲することとなる。
更に、押圧片39の突出端には、押圧部43方向へ斜め下方に傾斜する傾斜部44が設けられており、後述するようにケーブル固定蓋17をケーブル固定台15に取り付ける際に、光ファイバーケーブル9がスムーズに押圧部43方向へ案内されるようになっている。
【0020】
そして、挟持片31,33の挟持部41,45と押圧片39の押圧部43に、夫々、光ファイバーケーブル9の被覆9aに食い込む先端側が鋭角なエッジ47が上下方向に一体形成されており、これらのエッジ47が光ファイバーケーブル9の被覆9aに食い込み、且つ既述したように左右の挟持片31,33で挟持される光ファイバーケーブル9の側部に押圧片39が当接して光ファイバーケーブル9が横方向へ蛇行状に湾曲することで、光ファイバーケーブル9の引張り/押し込み防止が図られている。
【0021】
一方、既述したようにケーブル固定台15は、図2及び図3の如くケーブル接続部3の底部の端部に一体形成されており、前記係止爪27に対向して2つの係止孔25がその底部に設けられている。そして、ケーブル固定台15の左右に立設した平行な壁部49,51上にケーブル固定蓋17が載置され、両壁部49,51の一端側に設けた突片53,55間に、前記舌片21が配置されるようになっている。
【0022】
また、前記係止孔25間には、前記押圧片39によって舌片21方向へ湾曲した光ファイバーケーブル9を受ける受圧片(受圧突起)57が突設されている。従って、押圧片39によって舌片21方向へ湾曲された光ファイバーケーブル9は、押圧片39とこの受圧片57によっても挟持される。
そして、図3に示すように受圧片57の受圧部59にエッジ47が形成されると共に、受圧片57の突出端にも、受圧部59方向へ斜め下方に傾斜する傾斜部61が設けられており、この傾斜部61と押圧片39側の傾斜部44との相乗作用で、光ファイバーケーブル9が押圧部43,受圧部59間にスムーズに案内されるようになっている。
【0023】
更に、前記壁部49,51の中央には、光ファイバーケーブル9を挿通させる径の異なる半円形状の切欠き63,65が同軸上に設けられており、図2の如くケーブル固定蓋17を被せて形成されるケーブル挿通孔67に光ファイバーケーブル9が挿通するようになっている。
ケーブル固定台15とケーブル固定蓋17はこのように構成されており、図2の如く光ファイバーケーブル9のコネクタ11をケーブル接続部3のアダプタに接続して、光ファイバーケーブル9をケーブル固定台15の切欠き63,65内に配置した後、ケーブル固定蓋17の係止片27をケーブル固定台15の係止孔25に係止してケーブル固定蓋17をケーブル固定台15に固定すると、ケーブル固定蓋17の左右に突設した各挟持片31,33の傾斜部35,37が光ファイバーケーブル9を挟持部41,45間に案内すると同時に、押圧片39の傾斜部44と受圧片57の傾斜部61が光ファイバーケーブル9を押圧部43,受圧部59間に案内するため、図8の如く押圧片39によって舌片21方向へ湾曲した光ファイバーケーブル9が、左右一対の挟持片31,33のエッジ47と、押圧片39と受圧片57のエッジ47とで挟持されるようになっている。
【0024】
尚、押圧片39の傾斜部44と受圧片57の傾斜部61の終端は、挟持片31,33の傾斜部35,37の終端よりも高さが低く設定されており、挟持片31,33で挟持され乍ら、光ファイバーケーブル9はケーブル固定蓋17の押し下げによって舌片21方向へ更に案内されて湾曲していくようになっている。
そして、前記ケーブル接続部3を覆って筐体本体5にカバー7が、従来周知の取付構造を以ってスライド可能に取り付くが、図10に示すようにカバー7の裏面側には、ケーブル固定台15に取り付くケーブル固定蓋17の蓋本体19の四隅を上方から夫々押圧する4本の押圧片69が突設されており、カバー7が筐体本体5に矢印A方向へスライドさせて取り付く構造上、図10の状態で光ファイバーケーブル9を上方に引っ張っても、押圧片69が蓋本体19の四隅を上方から押圧することで、ケーブル固定蓋17がケーブル固定台15から外れることがないようになっている。
【0025】
また、図3に示すようにケーブル接続部3の底部には、ケーブル固定蓋17を収納する凹状の収納部71が設けられており、前記光ファイバーケーブル9と仕様が異なる光ファイバーケーブルを接続するためにケーブル固定蓋17が不要の場合、ケーブル固定蓋17をこの収納部71内に収納しておくことができるようになっている。
而して、収納部71には、既述した左右の挟持片31,33や押圧片39,係止片27等の挿入孔73,75が形成されると共に、ケーブル固定蓋17の中央に設けた開口部77に係止してケーブル固定蓋17の脱落防止を図る係止片79等が設けられている。
【0026】
本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具18とこれを用いた筐体1はこのように構成されているから、筐体1への光ファイバーケーブル9の取り付けは、図2の如く光ファイバーケーブル9のコネクタ11をケーブル接続部3のアダプタに接続して、光ファイバーケーブル9をケーブル固定台15の切欠き63,65内に配置した後、ケーブル固定蓋17の係止片27をケーブル固定台15の係止孔25に係止してケーブル固定蓋17をケーブル固定台15に固定すればよい。
【0027】
而して、斯様に係止片27を係止孔25に係止してケーブル固定蓋17をケーブル固定台15に固定すると、ケーブル固定蓋17の左右に突設した各挟持片31,33の傾斜部35,37が光ファイバーケーブル9を挟持部41,45間に案内すると同時に、押圧片39の傾斜部44と受圧片57の傾斜部61が光ファイバーケーブル9を押圧部43,受圧部59間に案内するため、図8の如く押圧片39によって舌片21方向へ湾曲された光ファイバーケーブル9が、左右一対の挟持片31,33のエッジ47と押圧片39と受圧片57のエッジ47とで挟持されて、光ファイバーケーブル9の引張り/押し込み防止が図られる。
【0028】
そして、ケーブル接続部3を覆って筐体本体5にカバー7を図1の如く矢印A方向にスライドさせて取り付けると、図10に示すようにカバー7の裏面側に突設した4本の押圧片69が蓋本体19の四隅を上方から押圧するため、光ファイバーケーブル9を上方に引っ張っても、ケーブル固定蓋17がケーブル固定台15から外れることがない。
このように本実施形態は、図2の如く光ファイバーケーブル9のコネクタ11をケーブル接続部3のアダプタに接続して、光ファイバーケーブル9をケーブル固定台15の切欠き63,65内に配置した後、係止片27を係止孔25に係止してケーブル固定蓋17をケーブル固定台15に固定するだけで光ファイバーケーブル9を筐体1に取り付けることが可能である。
【0029】
而も、本実施形態は、ケーブル固定蓋17の左右に突設した各挟持片31,33の突出端に、光ファイバーケーブル9を挟持部41,45間に案内する傾斜部35,37を設けると共に、押圧片39と受圧片57の突出端に、光ファイバーケーブル9を押圧部43,受圧部59間に案内する傾斜部44,61を設けたので、ケーブル固定蓋17をケーブル固定台15に固定する際に、光ファイバーケーブル9が挟持部41,45間と押圧部43,受圧部59間に確実に案内できると共に、挟持部41,45と押圧部43,受圧部59とに設けたエッジ47が蛇行して湾曲する光ファイバーケーブル9の被覆9aに食い込んで、光ファイバーケーブル9の引張り/押し込みの防止が確実となる。
【0030】
そして、本実施形態によれば、ネジ等でテンションメンバを締め付ける特許文献1の従来例と異なり、光信号の伝送特性を劣化させてしまう虞がない。
また、既述したように特許文献2の従来例では、被覆を引き裂いて左右に分岐したテンションメンバを固定具本体に固定し、次いで、露出した光ファイバー心線に別途用意した光ファイバー心線を融着し、この後、光ファイバー心線を筐体内で余長処理するといった多くの工程を要していたが、本実施形態の光ファイバーケーブル固定具18によれば、被覆9aを引き裂いたり、露出した光ファイバー心線に別途用意した光ファイバー心線を融着したり、光ファイバー心線を筐体内で余長処理するといった従来の作業が不要で、引用文献2の光ファイバーケーブル固定具に比し、光ファイバーケーブル9の固定が簡単に行えることとなった。
【0031】
そして、前記光ファイバーケーブル固定具18を用いた筐体1によれば、カバー7の裏面側に突設した4本の押圧片69が蓋本体19の四隅を上方から押圧するため、光ファイバーケーブル9を上方に引っ張っても、ケーブル固定蓋17がケーブル固定台15から外れることがなく、また、ケーブル固定蓋17が不要の場合にケーブル固定蓋17を仕舞っておく収納部71をケーブル接続部3内に設けたため、ケーブル固定蓋17の紛失防止が図れる利点を有する。
【0032】
更に、本実施形態によれば、ケーブル固定台15を筐体本体5に一体形成することが容易で、ケーブル固定台15を宅内設置型装置側に配備し、ケーブル固定蓋17を同一材料のモールドで形成することにより、一種材料,二部品で構成できるために低コスト化が図れる利点を有する。
尚、上記実施形態は、ケーブル固定台15を筐体本体5に一体形成したが、ケーブル固定台15を筐体本体5と別体に形成してこれを筐体本体5に着脱自在にしてもよいし、ケーブル固定台15を筐体本体5に一体形成すると共に、ケーブル固定蓋17をヒンジ構造を以って筐体本体5に展開可能に一体形成してもよく、これらの各実施形態によっても、前記実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】請求項1乃至請求項4の光ファイバーケーブル固定具を備えた請求項5乃至請求項7の一実施形態に係る宅内設置型装置(ONU)の筐体の要部拡大斜視図である。
【図2】カバーを取り外した筐体の要部拡大斜視図である。
【図3】カバーを取り外した筐体とこれに一体形成されたケーブル固定台の要部拡大斜視図である。
【図4】ケーブル固定蓋の平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】ケーブル固定蓋の斜視図である。
【図7】ケーブル固定蓋の裏面側の斜視図である。
【図8】挟持片と押圧片の説明図である。
【図9】ケーブル固定蓋とこれに取り付く光ファイバーケーブルの斜視図である。
【図10】カバーが取り付く筐体の要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 筐体
3 ケーブル接続部
5 筐体本体
7 カバー
9 光ファイバーケーブル
9a 被覆
11 コネクタ
15 ケーブル固定台
17 ケーブル固定蓋
18 光ファイバーケーブル固定具
19 蓋本体
21 舌片
25 係止孔
27 係止片(係止突起)
29 係止爪
31,33 挟持片
35,37,44,61 傾斜部
39 押圧片(押圧突起)
41,45 挟持部
43 押圧部
47 エッジ
57 受圧片(受圧突起)
59 受圧部
69 押圧片
71 収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の係止孔が形成されたケーブル固定台と、
前記係止孔に着脱自在に係止する複数の係止片が突設されたケーブル固定蓋とからなり、
前記ケーブル固定蓋は、光ファイバーケーブルを挟持する一対の挟持片が光ファイバーケーブルの配線方向に沿って複数対突設されると共に、
一対の挟持片とこれに隣接する他の一対の挟持片との間に、光ファイバーケーブルに当接してこれを横方向へ蛇行状に湾曲させる押圧片が突設されていることを特徴とする光ファイバーケーブル固定具。
【請求項2】
一対の前記挟持片の突出端は、対向する挟持片方向へ斜め下方に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項3】
前記押圧片の突出端は、光ファイバーケーブルの押圧方向へ斜め下方に傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項4】
前記挟持片の挟持部と前記押圧片の押圧部に、光ファイバーケーブルの被覆に食い込むエッジが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項5】
請求項1に記載のケーブル固定蓋が着脱自在に取り付く請求項1に記載のケーブル固定台が一体形成された筐体本体と、
前記ケーブル固定台を覆って筐体本体にスライド自在に取り付くカバーとからなる筐体であって、
前記カバーの裏面側に、ケーブル固定台に取り付くケーブル固定蓋を押圧する脱落防止用の押圧片が突設されていることを特徴とする筐体。
【請求項6】
前記押圧片は、ケーブル固定蓋の複数箇所を押圧可能に複数突設されていることを特徴とする請求項5に記載の筐体。
【請求項7】
前記カバーで被覆される筐体本体の部位に、前記ケーブル固定蓋を収納する収納部が設けられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の筐体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−151994(P2008−151994A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339557(P2006−339557)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000237662)富士通アクセス株式会社 (682)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】