説明

光ファイバーセンサ用の指示システム

本発明は、媒体中の分析物の存在又は量を決定するための光学的センサ、例えば光ファイバーセンサを提供し、センサは流動体の形態で提供される指示体を有する。一態様において、センサは指示体それ自体の溶液、又は指示体に結合している支持体の溶液を備える。デンドリマーが適切な支持体の例である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、流動体の形態である指示体(indicator)を含有する光ファイバーセンサに関する。本発明はまた、そのセンサを備えるキット及びそのセンサの製造方法も提供する。
【0002】
[発明の背景]
光ファイバーは、特に侵襲性又は埋め込み型センサデバイス(inplantable sensor device)の分野で、化学的又は生物学的センサとして近年使用されている。このような光ファイバーセンサは通常、指示体(indicator)を含み、指示体の光学的特性は対象とする分析物の存在下で変化する。例えば、標的分析物に結合できる受容体(receptor)を有する発蛍光団(fluorophore)が、このようなセンサの指示薬(indicator)として使用されている。
【0003】
指示体の光ファイバーへの付着は、指示体をファイバーに被覆されているヒドロゲルなどのポリマーマトリックス中に物理的に捕捉することによって達成できる。しかし、このような物理的な捕捉は、指示体の漏出、及びその結果生じるセンサの機能の喪失をもたらす可能性がある。漏出の問題を解決するために、指示体をマトリックス形成モノマーと重合させることによって指示体をマトリックスに化学的に結合している。これにより、ポリマーマトリックスへの指示体の固定化、及び指示体のセンサ内への有効な封じ込めがもたらされる。
【0004】
しかし、ポリマーマトリックスに固定化されているこのような蛍光センサは、特定の欠点を有する可能性がある。蛍光センサは、センサの微環境に著しく影響される可能性がある。ポリマーは不均質構造を有し、したがって蛍光指示体にとって異なる局所的微細環境をもたらす。これにより、指示体の応答に変化がもたらされる。蛍光指示体のライフタイムディケイ(lifetime decay)の測定において、ポリマーマトリックスに固定化された指示体からの信号は、減衰時間の連続分布(continuous distribution of decay time)であり、望ましい単一の単純な指数関数(single exponential)よりはむしろ複雑な多指数関数(multi exponentials)である可能性がある。蛍光指示体の強度の測定において、信号強度及び変調は、ポリマー支持体への指示体の結合に影響される可能性がある。変調の低下、すなわち分析物の量に相関すると考えられる信号量の増加は特に問題である。したがって、センサの応答において改善された変調及びより高い一貫性を有するセンサを提供することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,387,672号
【0006】
[発明の概要]
本発明は、媒体中の分析物の量又は存在を決定するための光学的センサであって、(a)分析物用の指示体、又は(b)支持体(support material)に結合した分析物用の指示体を具備する担持指示体を有するセルを備え、指示体又は担持指示体が流動体であり、セルが、分析物透過性膜で覆われた1つ又は複数の開口部(opening)を有し、膜が指示体又は担持指示体をセル内に保持するように構成されている、光学的センサを提供する。
【0007】
したがって、本発明のセンサは、流動体のインジゲーター(indicator)を備える。通常、指示体又は担持指示体は溶液であり、in vitroで使用するためにその溶液は水溶液である。一実施形態において、指示体それ自体が溶液に溶解している。別の実施形態において、指示体は可溶性の支持体(担体)、通常はポリマー又はデンドリマーなどの高分子量高分子に結合しており、担持指示体(指示体が結合した支持体)は溶液に溶解している。
【0008】
別の実施形態において、指示体は、支持体としての高水分含量のヒドロゲルに結合している。ヒドロゲルの水分含量は、ヒドロゲルが流動体と見なされるような水分含量である。水又は水溶液と混合した場合、流動体の混合物はポリマードメインと水性ドメインとの間に境界を有さずに形成される。
【0009】
センサ内のポリマーマトリックスに物理的に捕捉されている又は化学的に結合している指示体の場合、その指示体はポリマーマトリックス構造内の実質的に固定された位置に位置している。したがって、指示体の動きは制限されている。しかし本発明において、指示体はセル中に存在する流動体内で自由に移動できる。このことは、分析物の結合を容易にし、センサの変調を改善すると理解される。この効果は、指示体又は担持指示体の溶液が使用される場合特に有益である。
【0010】
さらに、指示体が水などの溶媒に、指示体分子が凝集せずに単分散するような特に低い濃度で溶解している場合、均一性は最大であり、理想的な蛍光特性がこの所与の溶媒に対して得られる。これは、ライフタイムディケイの測定において単一の指数関数である信号、並びに強度測定に対する信号強度及び変調における一貫性をもたらす。
【0011】
均一性を得るための代替の手段は、指示体を高分子量の単一分子支持体に固定化することである。好ましくは支持体が対称的であり、蛍光指示体の空間的結合は、この結果も対称的となるような方法で達成される。したがって、このような支持体に結合した各蛍光指示体分子の環境は、等価になる。加えて、このような担持分子が水などの溶媒に適切な濃度で溶解できる場合、その担持指示体の環境は均質になって、改善された信号特性が同様にもたらされる。
【0012】
指示体がポリマーの支持体に結合している場合、このような支持体は好ましくは溶液の形態、又は少なくとも流動体の混合物の形態で提供され、したがって水性ドメインとポリマードメインとの間に固体界面は存在しない。これにより、指示体の微環境におけるさらなる一貫性、したがって、改善された信号特性がもたらされる。
【0013】
指示体用の高分子量の支持体、又は高分子量の指示体を単独で使用する別の利点は、指示体が、指示体又は担持指示体に対して実質的に不透過性だが検出すべき分析物に対して透過性である膜内に備えられ得、したがって検出が容易になることである。これにより、分析物はセルに1つ又は複数の開口部を通って入ることができるが、指示体の損失は防止又は制限される。
【0014】
本発明の特定の実施形態は、支持体としてのデンドリマーの使用に関する。これは、デンドリマーが均一な構造を有する、すなわちデンドリマーが単分散であるので、特定の利点を有する。さらに、デンドリマー表面の各官能基に指示体を結合させることにより対称的な構造を得ることができる。このような単分散性及び対称性は、分析物に結合するのに極めて均一な環境を提供する。これにより、分析物の結合に対する発蛍光団の応答のさらなる一貫性をもたらし、したがってより高感度なセンサをもたらす。
【0015】
本発明はまた、本発明によるセンサと、入射光を光学的導波路に供給するように構成されている装置と、帰還信号を検出するための検出器とを備えるキットも提供する。また、本発明のセンサを製造する方法であって、1つ又は複数の開口部を有するセルを用意するステップと、セルに(a)指示体又は(b)支持体に結合した指示体を含む担持指示体を挿入するステップであり、指示体又は担持指示体が流動体である、ステップと、セルの1つ又は複数の開口部を、指示体又は担持指示体をセル内に保持するように構成されている分析物透過性膜で覆うステップとを含む方法も提供する。
【0016】
また、媒体中の分析物の存在又は濃度を決定する方法であって、入射光を本発明の光学的センサのセルに提供するステップと、光学的帰還信号を検出するステップとを含む方法も提供される。この方法は、指示体が発蛍光団を含む場合、蛍光強度及び/又は蛍光寿命を測定するのに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1及び1aは、本発明のセンサキットを示す図である。
【図2】本発明のセンサの検知領域をより詳細に示す図である。
【図3】ジボロン酸受容体が付加された世代1又は世代2のデンドリマーを示す図である。
【0018】
[発明の詳細な説明]
本明細書では、アルキル又はアルキレンという用語は、直鎖状又は分枝状のアルキル基又は部分である。アルキレン部分は、例えば、1〜15個の炭素原子を含有でき、C1〜12アルキレン部分、C1〜6アルキレン部分又はC1〜4アルキレン部分など、例えばメチレン、エチレン、n−プロピレン、i−プロピレン、n−ブチレン、i−ブチレン及びt−ブチレンである。C1〜4アルキルは通常、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル又はt−ブチルである。誤解を避けるために言及すると、2個のアルキル基又はアルキレン部分が存在する場合、アルキル基又はアルキレン部分は、同じであってもよく又は異なってもよい。
【0019】
アルキル基又はアルキレン部分は、非置換又は置換されていてもよく、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アミン、(C1〜4アルキル)アミン、ジ(C1〜4アルキル)アミン及びC1〜4アルコキシから選択される1、2又は3個の置換基を持つことができる。好ましくは、アルキル基又はアルキレン部分は非置換である。
【0020】
本明細書では、用語アリール又はアリーレンは、C6〜14アリール基又は部分を意味し、これはフェニル、ナフチル及びフルオレニル、好ましくはフェニルなどの単環又は多環式であることができる。アリール基は、非置換又は任意の位置で置換されていてもよい。通常、アリール基は0、1、2又は3個の置換基を持つ。アリール基の好ましい置換基には、ハロゲン、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、−C(O)R(Rは水素又はC1〜15アルキルである)、−COR(Rは水素又はC1〜15アルキルである)、ヒドロキシ、C1〜15アルコキシが含まれ、置換基それ自体は非置換である。
【0021】
本明細書では、ヘテロアリール基は通常、5〜14員芳香環、例えば5〜10員環、より好ましくは5又は6員環であり、例えばO、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、例えば1、2又は3個のヘテロ原子を含有する。例には、チオフェニル、フラニル、ピロリル及びピリジルが含まれる。ヘテロアリール基は、非置換であってもよく又は任意の位置で置換されていてもよい。特に明記しない限り、ヘテロアリール基は、0、1、2又は3個の置換基を持つ。ヘテロアリール基の好ましい置換基には、アリール基に関して上に挙げた置換基が含まれる。
【0022】
本明細書では、流動体の指示体又は担持指示体は、指示体又は担持指示体を含む液又は溶液を包含する。したがって、指示体は固体の支持マトリックスにつながれていない。流動体は、指示体又は担持指示体が溶解している溶液であることができる。水溶液が好ましい。あるいは、指示体は、ヒドロゲルが流動体になるのに十分な高い水分含量を有するヒドロゲル結合指示体であることができる。本発明において、通常は、少なくとも30%w/wの水分含量を有するヒドロゲルを流動体とみなすことができる。指示体又は担持指示体を含む溶液又は流動体は、さらなる流動体、例えば水又は水溶液と混合することができる。
【0023】
本発明は、光学的導波路を含む任意のセンサ、例えば光ファイバーセンサ(fibre optic sensor)に使用することが想定されている。in vivoで使用するためのセンサ、例えば侵襲性センサが特に想定されるが、本発明はこのようなセンサに限定されない。
【0024】
本発明のセンサを使用して検出できる分析物の例には、現在光ファイバーデバイスを使用して検出されているカリウム、糖、例えばグルコース、及び他の生物学的又は非生物学的物質が含まれる。
【0025】
本発明による光ファイバーセンサの一例を図1に示す。センサ1は、被験媒体に挿入するように構成されている検知領域(sensing region)3を含むチップ(tip)2を備える。侵襲性センサの場合、先端2は患者に挿入する、例えばカニューレを通して血管に挿入するように構成されている。検知領域3(図2に詳細に示す)は、指示体を備えるセル又はチャンバ7を備える。光ファイバーは、ケーブル4を通じてコネクタ5まで伸び、適切なモニタ8と結合するように構成されている。モニタは通常、コネクタ5と一端5aで接続し、他端で二叉に分かれて(a)光学的センサ用の適切な入射光源9と(b)帰還信号用の検出器10とを接続するさらなる光学的ケーブル4aを含む。このセンサは発蛍光団の蛍光強度を測定することができ、あるいは蛍光寿命が測定できる。
【0026】
ここで図示されるセンサは、入射光をセルへ導くための光ファイバー導波路を備える。本発明は、光ファイバーセンサに限定されず、他の光学的導波路も想定される。
【0027】
ここで図示されるセル7は、ファイバーの検知領域内のチャンバの形態である。指示体が入射光路に含有され得る限り、セルは任意の形態をとることができる。したがって、セルはファイバー若しくは他の導波路の遠位端に取り付けられていてもよく、又は任意の望ましい形状を有するファイバー内のチャンバの形態であってもよい。
【0028】
セルは、使用中に分析物が周辺環境からセル中に拡散することを可能にする1つ又は複数の開口部6a、6bを備える。指示体が流動体中に備えられているので、膜はセルの各開口部を覆って指示体をセンサ内に保つように備えられなければならない。膜は、分析物が外部環境からセル中へ通過できるようにすることが可能である。しかし膜は、指示体、又は支持体に提供された場合には、担持指示体に対して好ましくは不透過性若しくは実質的に不透過性である。これにより、セルから外への指示体の漏出が確実に制限される。
【0029】
したがって膜孔径の選択は、分析物の分子量、及び指示体又は担持指示体の分子量によって決まる。孔径は、分析物が通過できるのに十分でなければならない。しかし、孔径は、指示体又は担持指示体の移動を可能な限り制限すべきである。理想的には、膜は、分析物の分子量より少なくとも4倍、好ましくは少なくとも5倍大きい分子量カットオフを有すべきである。これは、分析物が膜を通って速やかに移動できるのに役立つ。分子量カットオフは、指示体又は担持指示体の分子量の、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも4倍又は少なくとも5倍である。これは、指示体又は担持指示体の漏出を制限するのに役立つ。
【0030】
例えば、グルコースセンサ(グルコース分子量=180)の場合、少なくとも約500、好ましくは少なくとも約800又は少なくとも約1000の分子量カットオフを有する膜が使用される。約500の分子量カットオフを有する膜の場合、指示体又は担持指示体は少なくとも1500、例えば少なくとも2000又は少なくとも2500の分子量を有することが好ましい。
【0031】
適切な膜には、ポリアリールエーテルスルホン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアルカン及びセルロース系材料又はこれらの混合物若しくは変性体が含まれる。透析膜、例えばセルロース膜は、グルコースセンサに使用するのに適している。好ましい実施形態において、グルコースセンサ用の膜は、グルコースに対する透過性を確実にするがタンパク質及び糖化タンパク質などのより大きな高分子のセル中への通過を制限又は防止する孔径を有する半透膜、通常は透析膜によって提供される。膜は通常、6000以上の分子量を有する分子、好ましくは5000又は4000以上の分子量を有する分子の通過を制限できる。1000〜5000、例えば1500〜4000の分子量カットオフを有する透析膜の使用が特に有用である。好ましい孔径は、3〜20nm、好ましくは3〜10nm、例えば約6nmである。
【0032】
特定の実施形態において、親水性及び/又は負に帯電したポリマーが、膜の孔内に存在する。これは通常、膜の孔内で、1つ若しくは複数の親水性モノマー及び/又は負に帯電した1つ若しくは複数のモノマーを含むモノマーの混合物をin situで重合することによって達成される。得られた膜は、その親水性及び/又は負電荷によりタンパク質及び糖化タンパク質に対する障壁として特に有効であり、重合工程を使用して膜の孔径を制御し、さらに減少させることができるというさらなる利点を有する。
【0033】
ポリマーを膜の孔内に提供することは通常、1つ又は複数の適切な親水性及び/又は負に帯電したモノマーを膜中(典型的孔径6〜20nm)に拡散させること、及び重合を例えば、開始剤の存在下で紫外線活性化を適用することによって開始することにより達成される。これは膜の孔内に起こる重合をもたらし、得られたポリマーは孔内に捕捉される(trapped)。必要に応じて、拡散及び重合化のステップを1回又は複数回繰り返して、膜孔内に形成されるポリマーの量を増加させることができる。
【0034】
好ましくは、透析膜に組み込まれた親水性官能基は、公知の、タンパク質を通さない特性(protein repelling characteristic)を有するポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシドである。したがって、この実施形態で使用するのに適切な親水性モノマーには、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリルアミド、又はそれらの組合せが含まれる。ポリエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。異なる分子量のポリエチレングリコールジメタクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレート並びに各種誘導体は、Sigma−Aldrich、UKから容易に入手できる。
【0035】
負に帯電した適切なモノマーには、スルホプロピルメタクリル酸カリウム、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらの組合せが含まれる。
【0036】
通常、膜孔中に拡散される重合混合物は、親水性モノマー(複数可)に加えて鎖延長モノマー(chain extending monomer)を含む。適切な鎖延長剤(chain extender)の例には、ジ(メタ)アクリレート、及びジ(メタ)アクリルアミドが含まれる。
【0037】
代替の実施形態において、膜は、親水性及び/又は負に帯電したポリマーをポリマー混合物に組み込んだ後、透析膜を湿式紡糸することによって作製される。したがって得られた膜は、水が通過できる親水性又は負に帯電した領域又はポケットを備える。得られた膜の親水性又は負電荷は、組み込まれる親水性又は負に帯電したポリマーの量を変化させることによって制御できる。通常、親水性及び/又は負に帯電したポリマーは、紡糸前の溶液の全ポリマー含有量の約10%を構成している。
【0038】
適切な親水性ポリマーの例には、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド及びポリビニルピロリドンがある。適切な負に帯電したポリマーの例には、スルホプロピルメタクリル酸カリウム、アクリル酸及びメタクリル酸から得られるポリマーがある。
【0039】
グルコースセンサ用の適切な膜のさらなる詳細は、その内容の全体が本明細書に組み込まれている出願人の同時係属出願「BARRIER LAYER FOR GLUCOSE SENSOR」に見出すことができる。
【0040】
セル内に備えられる流動体は一実施形態において、溶液であり、通常は水溶液である。使用中には、溶媒は通常、半透膜を横切ってセル中に及びセル外へ通過できる。したがって、使用される溶媒は被験環境と適合的(compatible)であることが重要である。好ましくは、使用される溶媒は被験媒体の溶媒と同一である。侵襲性センサの場合、溶媒は水であるべきである。
【0041】
本明細書では、指示体は、光学的特性が分析物との結合の際変わる化合物である。指示体は通常、分析物に選択的に結合する部分である受容体、及び発蛍光団を含む。フルオロフォア(fluorophore)の発光パターン(例えば波長、強度又は両方)は分析物がレセプター(receptor)に結合すると変わり、分析物の光学的検出が可能になる。受容体及び発蛍光団は、受容体−発蛍光団構造体として互いに直接結合していてもよい。あるいは、支持体が存在する場合、受容体及び発蛍光団は支持体に、受容体及び発蛍光団が支持体を介してのみ接続しているように別々に結合していてもよい。
【0042】
適切な発蛍光団の例は、アントラセン、ピレン及びそれらの誘導体である。適切な受容体の例は、1個又は複数のボロン酸基(糖に対して選択的)、クラウンエーテル(カリウムに対して選択的)及び酵素を含有する化合物又は部分を含む。酵素は通常、高分子量を有し、単独で支持体なしに使用できる。
【0043】
本発明の一実施形態において、受容体は糖、例えばグルコースに対して選択的である。適切な受容体の例は、少なくとも1個、好ましくは2個のボロン酸基を有する化合物である。この実施形態の好ましい態様において、受容体は以下の式(I)又は(II)の基である。
【0044】
【化1】


式中、L1は、アルキレン部分、例えばC1〜C12アルキレン部分又はC1〜C6アルキレン部分などのリンカー基を表す。L1は、発蛍光団及び/又は支持体への結合点をさらに形成する。例えば、L1は、アミン又はエステル基に結合していてもよく、これは発蛍光団及び/又は支持体にさらに結合している。
【0045】
【化2】


式中、m及びnは、同じである又は異なり、通常1又は2、好ましくは1である。Spは、脂肪族スペーサであり、通常はアルキレン部分、例えばC1〜C12アルキレン部分、例えばC6アルキレン部分である。L1及びL2は、他の部分、例えば発蛍光団又は支持体への可能な結合点を表す。例えば、L1及びL2は、1個又は複数の、通常は1個の官能基に連結したアルキレン、アルキレン−アリーレン、又はアルキレン−アリーレン−アルキレン部分を表すことができる。他の部分への結合が想定されない場合、官能基は保護されている又は水素原子で置き換えられる。L1及びL2についての典型的なアルキレン基は、C1〜C4アルキレン基、例えばメチレン及びエチレンである。典型的なアリーレン基は、フェニレン基である。官能基は、発蛍光団又は支持体と反応して結合を形成できる任意の基、例えばエステル、アミド、アルデヒド又はアジドであることができる。
【0046】
スペーサSpの長さを変化させることにより、受容体の選択性が変わる。通常、C6−アルキレン鎖は、グルコースに対して良好な選択性を有する受容体を提供する。より長いアルキレン鎖は、より大きな糖に対する選択性をもたらすことができる。
【0047】
式(II)の受容体の特定の利点は、他の部分への2つの結合点の存在である。したがってこのような受容体は、構成要素を有用に提供して、発蛍光団−受容体−支持体構造体を作ることができる。このような受容体のさらなる詳細は、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,387,672号に見出される。
【0048】
式(I)及び(II)の受容体は、公知の技術によって調製できる。例示的な合成は実施例2に提供されており、さらなる詳細は米国特許第6,387,672号に見出すことができる。
【0049】
本発明の一実施形態において、指示体それ自体が溶液に溶解している。この実施形態は通常、指示体が分析物と比較して高分子量を有する場合に利用される。この場合、分析物は通過できるが指示体の通過はできない半透膜が提供され得る。
【0050】
代替の好ましい実施形態において、指示体は支持体に結合しており(担持指示体をもたらす)、支持体と指示体とのこの複合体は溶液に溶解している、又はそれ自体が流動体である。複合体の性質は、指示体が支持体に結合し続ける限り重要でない。例えば、支持体は全体として指示体に結合していてもよい。あるいは、支持体は、発蛍光団及び受容体に別々に結合していてもよい。後者の場合、受容体及び発蛍光団は互いに直接結合されておらず、支持体を介してのみ連結されている。本発明の一実施形態において、複合体は発蛍光団−受容体−支持体の形態をとる。
【0051】
通常、高分子量支持体が使用される。これによって当業者は、指示体をより高分子量の複合体内に提供することにより、指示体の膜を通じての通過を制限できる。好ましい支持体は、少なくとも500、例えば少なくとも1000、1500又は2000の分子量を有する。支持体はまた、使用される溶媒に可溶性、又はそれ自体が流動体であるべきであり、センサ自体に干渉しないという意味において不活性であるべきである。
【0052】
支持体として使用するのに適切な材料にはポリマーが含まれる。使用する溶媒に可溶性である任意の架橋していない直鎖状ポリマーが利用できる。あるいは、支持体は、ヒドロゲルを水中で形成できる架橋ポリマー(通常は若干架橋したポリマー)であることができる。例えば支持体は、ポリマー及び水性領域の間に明瞭な界面が存在しないように少なくとも30%の水分含量を有する若干架橋したポリマーから形成されるヒドロゲルであることができる。
【0053】
ポリアクリルアミド及びポリビニルアルコールが、適切な水溶性直鎖状ポリマーの例である。好ましくは、使用するポリマーは低い多分散性を有する。より好ましくは、ポリマーは、均一な(又は単分散)ポリマーである。このようなポリマーは、均一な分子量及び構造を有する分子からなる。より低い多分散性は、改善されたセンサの変調をもたらす。ヒドロゲルを形成するための架橋ポリマーは、エチレングリコールジメタクリレート及び/又はヒドロキシルエチルジメタクリレートと架橋した上述の水溶性直鎖状ポリマーから形成できる。
【0054】
一実施形態において、指示体は高い水分含量を有するヒドロゲルに結合している。この場合、センサは通常、ヒドロゲルを含有する水溶液を備える。ヒドロゲルの水分含量は、溶液/ヒドロゲル混合物がポリマー及び水性領域の間に明瞭な固体界面が存在しない流動体の混合物とみなされ得る程度に高く、好ましくは少なくとも30%w/wである。本明細書では、流動体の形態のヒドロゲルは、非常に高い(通常は少なくとも30%w/w)水分含量を有するヒドロゲルであり、したがってヒドロゲルを水中に置いた場合、ポリマー領域と水性領域との間に明瞭な固体界面は存在しない。このようなヒドロゲルは、溶媒に溶解できる若干架橋したポリマー、又は流動性のヒドロゲルを比較的低い水分含量で形成できる若干架橋したポリマーを含むことができ、あるいはヒドロゲルは、ヒドロゲルが流動体の形態になるようにより高い水分含量を有するより多く架橋したポリマーを含むことができる。
【0055】
特に好ましい実施形態において、支持体はデンドリマーである。本発明で使用するデンドリマーの性質は特に限定されず、いくつかの市販のデンドリマーを使用できる。例えばポリアミドアミン(PAMAM)例えばスターバースト(STARBURST)(登録商標)デンドリマー、及びポリプロピレンイミン(PPI)例えばアストラモル(ASTRAMOL)(登録商標)デンドリマーである。想定されるデンドリマーの他の型には、フェニルアセチレンデンドリマー、フレシェ(Frechet)(すなわちポリ(ベンジルエーテル))デンドリマー、超分枝(hyperbranched)デンドリマー及びポリリシンデンドリマーが含まれる。本発明の一態様において、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーが使用される。
【0056】
デンドリマーは、金属コア型(metal−cored)及び有機コア型(organic−cored)の両方を含み、その両方を本発明で利用できる。有機コアデンドリマーが一般に好ましい。
【0057】
デンドリマーの特性は、その表面基(surface group)に影響される。本発明において、表面基は指示体に結合するための結合点、又は適切な場合には受容体及び発蛍光団に別々に結合するための結合点として作用する。したがって、好ましい表面基にはこのような結合反応で使用できる官能基、例えばアミン基、エステル基又はヒドロキシル基が含まれ、アミン基が好ましい。しかし、表面基の性質は、特に限定されない。本発明で使用するのに想定され得るいくつかの従来の表面基には、アミドエタノール、アミドエチルエタノールアミン、ヘキシルアミド、カルボン酸ナトリウム、スクシンアミド酸、トリメトキシシリル、トリス(ヒドロキシメチル)アミドメタン及びカルボキシメトキシピロリジノン、特にアミドエタノール、アミドエチルエタノールアミン及びカルボン酸ナトリウムが含まれる。
【0058】
デンドリマーの表面基の数は、デンドリマーの世代に影響される。好ましくは、デンドリマーは少なくとも4個、より好ましくは少なくとも8個又は少なくとも16個の表面基を有する。通常、支持体に指示体が結合している複合体において、デンドリマーの表面基全てが指示体部分に結合していることになる。しかし、デンドリマーの表面基のうち、指示体部分に未結合のままのものがある場合、表面基を使用して、特定の所望の特性を与えることができる。例えば、ヒドロキシル基、カルボン酸基、硫酸基、ホスホン酸基又はポリヒドロキシル基などの水溶性を増強する表面基が存在し得る。硫酸基、ホスホン酸基及びポリヒドロキシル基は、水溶性表面基の好ましい例である。
【0059】
一実施形態において、デンドリマーは、重合性基(polymerisable group)を含有する少なくとも1個の表面基を組み込んでいる。重合性基は、重合反応を受けることができる任意の基であってもよいが、通常は炭素炭素二重結合である。重合性基を組み込んでいる適切な表面基の例は、窒素原子が式−リンカー−C=CHの基で置換されているアミドエタノール基である。リンカー基は通常、アルキレン、アルキレン−アリーレン又はアルキレン−アリーレン−アルキレン基である。ここでアルキレンは通常、C1又はC2アルキレン基であり、アリーレンは通常、フェニレンである。例えば、表面基は、窒素原子が−CH−Ph−CH=CH基で置換されているアミドエタノールを含むことができる。デンドリマー表面に重合性基が存在することにより、デンドリマーはポリマーに、デンドリマーを1つ又は複数のモノマー又はポリマーと重合させることによって結合することができる。したがって、デンドリマーは、デンドリマーの水溶性を増強するために例えば水溶性ポリマーにつなぐことができ、又はデンドリマーをセル内に備える助けるためにヒドロゲル(すなわち、高度に親水的な架橋ポリマーマトリックス、例えばポリアクリルアミド)につなぐことができる。
【0060】
好ましくは、デンドリマーは対称形である、すなわち、デンドロンの全てが同一である。
【0061】
本発明の一態様において、本発明で使用されるデンドリマーは、一般式
CORE−[A]
を有する。
式中、COREは、デンドリマーの金属又は有機(好ましくは有機)コアを表し、nは、通常4以上、例えば8以上、好ましくは16以上である。適切なCORE基の例には、ベンゼン環並びに式−RN−(CH−NR−及びN−(CH−Nの基が含まれ、pは2〜4、例えば2であり、Rは水素又はC1〜C4アルキル基、好ましくは水素である。−HN−(CH−NH−及びN−(CH−Nが好ましい。
【0062】
各基AはCORE又はさらなる基Aのいずれかに結合していてもよく、したがって、デンドリマーの典型的なカスケード構造(cascading structure)を形成できる。好ましい態様において、2個以上、例えば4個以上の基Aが、COREに結合している(第1世代基A)。デンドリマーは、通常は対称的であり、すなわちCOREは2つ以上、好ましくは4つ以上の同一のデンドロンを持つ。
【0063】
各基Aは、1個又は複数の分枝基(branching group)を有する基本構造から構成されている。基本構造は通常、アルキレン若しくはアリーレン部分又はそれらの組合せを含む。好ましくは、基本構造はアルキレン部分である。適切なアルキレン部分は、C1〜C6アルキレン部分である。適切なアリーレン部分は、フェニレン部分である。アルキレン及びアリーレン部分は非置換であってもよく又は置換されていてもよく、好ましくは非置換であることができる。アルキレン部分は−NR’−、−O−、−CO−、−COO−、CONR’−、−OCO−及び−OCONR’から選択される官能基によって中断又は終了されていてもよく、R’は水素又はC1〜C4アルキル基である。
【0064】
分枝基は、基本構造に結合しており2つ以上のさらなる結合点を有する少なくとも三価基である。好ましい分枝基には、分枝状アルキル基、窒素原子、及びアリール又はヘテロアリール基が含まれる。窒素原子が好ましい。
【0065】
分枝基は通常、(i)基Aの基本構造、及び(ii)2個以上のさらなる基Aに結合している。しかしデンドリマー表面にある場合、分枝基はそれ自体がデンドリマーを終了させることができ(すなわち、分枝基は表面基である)、又は分枝基は2個以上の表面基に結合していてもよい。好ましい基Aの例は、式
−(CH−(FG)−(CH−NH
の基である。
式中、q及びrは、同じである又は異なり、1〜4の整数、好ましくは1又は2、より好ましくは2を表す。sは、0又は1である。FGは−NR’−、−O−、−CO−、−COO−、CONR’−、−OCO−及び−OCONR’から選択される官能基を表し、R’は水素又はC1〜C4アルキル基である。好ましい官能基は−CONH−、−OCO−及び−COO−、好ましくは−CONH−である。
【0066】
上述の通り、表面基は、デンドリマーの指示体への(又は別々に受容体及び発蛍光団部分への)結合点を形成する。したがって、表面基は通常、非置換若しくは置換されたアルキレン若しくはアリーレン部分又はそれらの組合せ、好ましくは非置換若しくは置換されたアルキレン部分、及び指示体に結合するのに適切な少なくとも1個の官能基を含む。官能基は通常、アミン基又はヒドロキシル基であり、アミン基が好ましい。表面基の特定の例は、上述されている。
【0067】
利用されるデンドリマーが金属コアデンドリマーである場合、デンドリマー自体が蛍光特性を有することができる。この場合、デンドリマー自体が発蛍光団部分を形成できると想定される。この場合、担持指示体は、デンドリマーに結合した受容体部分を単に含む。
【0068】
本発明のさらなる実施形態において、支持体は、高分子量(すなわち、少なくとも500、好ましくは少なくとも1000、1500又は2000)を有する非デンドリマー非ポリマー高分子である。シクロデキストリン、クリプタン及びクラウンエーテルは、このような高分子の例である。このような高分子はまた、指示体にとって均一な環境も提供し、分析物の結合に対する発蛍光団の応答のさらなる一貫性をもたらす。
【0069】
指示体は支持体に、任意の適切な手段で結合していてもよい。共有結合が好ましい。通常、発蛍光団及び受容体は連結して発蛍光団−受容体構造体を形成し、次いでこの構造体が支持体に結合している。あるいは、受容体及び発蛍光団は支持体に別々に結合していてもよい。支持体部分1つ当たりの指示体部分の数は、通常1より大きく、例えば4以上又は8以上である。
【0070】
ポリマー支持体が使用される場合、指示体は修飾されて二重結合を含み、(メタ)アクリレート又は他の適切なモノマーと共重合されて指示体に結合したポリマーをもたらすことができる。代替の重合反応又は単純な付加反応を利用することもできる。Wangら(Wang B.、Wang W.、Gao S.、(2001年)、Bioorganic Chemistry、29巻、308〜320頁)は、アントラセン発蛍光団に連結したモノボロン酸グルコース受容体を含む重合反応の例を提供している。
【0071】
デンドリマー支持体の場合、デンドリマーは、発蛍光団及び受容体部分と別々に反応するか、又はより好ましくは、予め形成された受容体−発蛍光団構造体と反応するかのいずれかである。任意の適切な結合反応を使用できる。適切な方法の一例は、表面アミン基を有するデンドリマーを、反応性アルデヒド基を有する発蛍光団−受容体構造体と還元的アミノ化によってホウ化水素型試薬の存在下で反応させる技術である。得られた構造体は限外濾過によって精製できる。ボロン酸受容体及びアントラセン発蛍光団に結合したデンドリマーの一例は、Jamesら(Chem.Commum.、1996年、706頁)によって提供されている。
【0072】
重合性基を表面基として有するデンドリマー支持体の場合、デンドリマーは、ポリマーがデンドリマーの表面に結合しているデンドリマー−ポリマー構造体を形成するために、1つ又は複数のモノマーと重合反応を受けることができる。通常、デンドリマーは重合反応の後期に添加されて、その結果デンドリマーはポリマー連鎖を終了させる。
【0073】
あるいは、デンドリマーは予め形成されたポリマーと反応してもよい。これは、例えばポリマーのカルボン酸基とデンドリマーのヒドロキシル基との間の縮合反応によって達成されて、形成されたエステルを介する連結を提供できる。
【0074】
これらの反応で使用できるモノマー及びポリマーの例は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドン並びにそれらの組合せ及びそれらに対応するポリマーである。好ましいポリマーは、水溶性ポリマーである。好ましくはポリマーの水溶性は、適切な蛍光シグナルが、ポリマー/指示体が水に溶解している場合生成されるようなものである(理想的には無限の溶解性)。ポリアクリルアミドは、デンドリマーに結合した高水溶性ポリアクリルアミド鎖の形成をもたらすので特に好ましい。この実施形態の一態様において、デンドリマー支持体に結合したポリマー(例えばポリアクリルアミド)鎖は、架橋されてヒドロゲルを形成する。この場合、デンドリマー−ヒドロゲル支持体は、センサ内の溶液中にある必要はない。ヒドロゲルは水中に置かれたとき、水相とポリマー相との間に明瞭な界面が存在しないような、高い水分含量を有してもよい(本明細書では、ヒドロゲルは流動体である)。この場合、ヒドロゲルは通常、水又は水溶液との混合物の形態で提供される。
【0075】
デンドリマーの表面からの重合は、発蛍光団と受容体部分との結合の前又は後に実施できる。
【0076】
溶液中の指示体又は担持指示体を備えるセンサの場合、指示体の濃度は必要とされるセンサ特性によって変わり得る。溶液中の指示体の濃度又は量が高いほど、信号レベルは大きくなる。10−6〜10−3Mの指示体又は担持指示体の濃度が、有効であることが見出された。
【0077】
本発明のセンサは、適切な光学的導波路、例えば光ファイバーを備えることによって製造でき、導波路は入射光を、指示体を備えるセルに導くように構成されている。セルは流動体の指示体を備えるのに適切である限り、任意の形態をとることができる。光ファイバーセンサの場合、セルは通常、1つ又は複数の穴をファイバーの先端の中又は近傍に例えばレーザーアブレーションにより形成することによって作製できる。指示体又は担持指示体は適切な溶媒に溶解しており、或いは流動体の形態で提供され、得られた流動体はセルに挿入される。指示体又は担持指示体をセル内に維持するために、セルのいずれの開口部も覆われなければならない。1つ又は複数の開口部は、必要に応じて不透過性材料で覆うことができる。しかし、1つ又は複数の開口部は分析物透過性材料で覆われて、使用中に分析物がセルに入ることを確実にできる。これは、例えばファイバーを半透膜のスリーブに挿入することによって達成できる。あるいは膜は、セルのいずれかの開口部を横切って別々に結合させることができる。
【0078】
その構築の後にセンサは、指示体又は担持指示体をセル内で維持できる適切な環境に格納しなければならない。通常このセンサは、検知領域が水、又は異なる溶媒が使用される場合には、セル内に存在するものと同じ溶媒に浸漬されるように格納される。
【実施例】
【0079】
実施例1
以下の成分を2.21mlのエタノールに溶解させることによって、ポリアクリルアミド結合指示体を調製した:
0.639g アクリルアミド
0.0005g イルガキュア(Irgacure)(商標)651(重合開始剤)
0.0032g 指示体(発蛍光団に連結したボロン酸グルコース受容体)。
【0080】
溶液を脱気して全ての酸素を除去した。次いで紫外線を適用し、完全に沈殿するまで溶液を撹拌した。得られたポリアクリルアミド結合指示体をエタノールで洗浄し、乾燥させた。
【0081】
ポリアクリルアミド結合指示体(polyacrylamide−bound indicator)を水に様々な濃度で溶解し、光ファイバーセンサの光学的セルに挿入した。セルロース系透析膜(キュプロファン(cuprofan))のスリーブで、ファイバーの検知領域を覆い、ポリアクリルアミド結合指示体が備えられた。センサは、ポリアクリルアミド結合指示体を10−6〜10−3Mの濃度で使用するグルコースの検出に有効であることが見出された。
【0082】
この工程は、発蛍光団に連結した任意のボロン酸グルコース受容体、例えばWangらによって記述されている(上を参照されたい)ものを使用して利用できる。
【0083】
実施例2
受容体部分の合成
【化3】

【0084】
スキーム1.「クリック」化学用アジドリンカーの合成。a)i)MeOH、ii)NaBH、0℃、75%;b)NaBH、MeOH;c)THF、2M HCl、100%の2つのステップe)NaN、DMF、60℃、92%;f)i)MeOH、ii)NaBH、0℃、98%;g)i)2−(2−(ブロモメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン、KCO、MeCN、還流、ii)THF、2M HCl、30%。
【0085】
N−(4−(ジエトキシメチル)ベンジル)ヘキサン−1,6−ジアミン、1。
【化4】

【0086】
4−(ジエトキシメチル)ベンズアルデヒド(5ml、25mmol)を、メタノール(100ml)に溶解したヘキサン−1,6−ジアミン(14.5g、125mmol、5当量)にゆっくり添加し、終夜撹拌した。反応混合物を、次いで0℃に冷却し、NaBH(1.89g、50mmol、2当量)を次いでゆっくり添加し、反応混合物を3時間撹拌し、その後溶媒を蒸発させた。得られた残渣を酢酸エチル(100ml)及び水(100ml)に溶解し、相を分離し、有機相を水(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(溶離液、DCM〜DCM/NH飽和メタノール、9:1)によって粗生成物を精製して、透明な油として1を得た(5.73g、18.6mmol、75%)。R=0.40(9:1 DCM/NH飽和MeOH);H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.42(d,J(H,H)=8.1Hz,2H,CHOに対してα位のArCH)、7.30(d,J(H,H)=8.1Hz,2H,CHNHに対してα位のArCH)、5.49(s,1H,CHO)、3.78(s,2H,ArCCH)、3.61(dq,J(H,H)=7.1Hz,J(H,H)=9.5Hz,2H,CHCH)、3.53(dq,J(H,H)=7.1Hz,J(H,H)=9.5Hz,2H,CHCH)、2.67(t,J(H,H)=6.9Hz,2H,CHCHNH)、2.61(t,J(H,H)=7.2Hz,2H,CHCHNH)、1.55〜1.30(m,8H,CH)1.24(bs,2H,NH)、1.23(t,J(H,H)=7.1Hz,6H,CHCH);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=140.6(ArCCHNH)、137.7(ArCCHO)、127.9(CHNHに対してα位のArCH)、126.6(CHOに対してα位のArCH)、101.5(CHO)、61.0(OCHCH)、53.8(ArCCH)、49.4(CHCHNH)、42.2(CHCHNH)、33.8(CH)、30.1(CH)、27.2(CH)、26.8(CH)、15.2(OCHCH);HRMS(ESI):m/z C1833[M+H]の計算値:309.2537、実測値309.2527。
【0087】
4−(ジエトキシメチル)ベンズアルデヒド、2。
【化5】

【0088】
4−(ジエトキシメチル)ベンズアルデヒド(10g、48mmol)をメタノール(200ml)に溶解し、0℃に冷却した。NaBH(4.54g、120mmol、2.5当量)を、次いでゆっくり添加し、反応混合物を1時間撹拌し、その後溶媒を蒸発させた。得られた残渣を酢酸エチル(100ml)及び水(100ml)に溶解し、相を分離し、有機相を水(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて透明な油を得た。この油を、THF(100ml)と2M HCl(100ml)の混合物に溶解し、1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、得られた残渣を酢酸エチル(100ml)及び水(100ml)に溶解した。相を分離し、有機相を水(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて白色固体として生成物を得た(6.54g、48mmol、100%)。R=0.54(酢酸エチル/クロロホルム、1:1);融点=42℃(蒸留物から);H NMR(250MHz,CDCl)δ=10.02(s,1H,CHO)、7.89(d,J(H,H)=8.1Hz,2H,CHOに対してα位のArCH)、7.54(d,J(H,H)=8.1Hz,2H,CHOHに対してα位のArCH)、4.82(d,J(H,H)=5.9Hz,2H,CHOH)、1.94(t,J(H,H)=5.9Hz,1H,CHOH);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=192.0(CHO)、147.7(ArCCOH)、135.7(ArCCHO)、130.0(ArCCHOに対してα位のArCH)、127.0(ArCCHOHに対してα位のArCH)、64.6(CHOH);HRMS(ESI):m/z C[M−H]の計算値:135.0446、実測値135.0448;元素分析 C(136.15)の計算値(%):C 70.57、H 5.92;実測値:C 70.70、H 6.00。
【0089】
4−(ブロモメチル)ベンズアルデヒド、3。
【化6】

【0090】
酢酸中のHBr(25ml)を添加する前に、4−(ヒドロキシメチル)ベンズアルデヒド2(6.19g、45.5)をDCM(50ml)に溶解し、終夜撹拌した。フラッシュクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン/酢酸エチル、9:1)によって残渣を精製して、白色固体として3を得た(6.60g、33.2mmol、73%)。R=0.77(DCM);融点=100℃(ヘキサンから再結晶);νmax=1682、1604、1209、1200、830、770、726cm−1H NMR(300MHz,CDCl)δ=10.02(s,1H,CHO)、7.87(d,J(H,H)=8.2Hz,2H,CHOに対してα位のArCH)、7.56(d,J(H,H)=8.2Hz,2H,CHBrに対してα位のArCH)、4.52(s,2H,CHBr);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=191.5(CHO)、144.2(ArCCBr)、136.2(ArCCHO)、130.2(ArCCHOに対してα位のArCH)、129.7(ArCCHBrに対してα位のArCH)、31.9(CHBr);HRMS(ESI):m/z CBrO[M−H]の計算値:196.9602、実測値196.9602;元素分析 CBrO(199.04)の計算値(%):C 48.27、H 3.54;実測値:C 47.40、H 3.53。
【0091】
4−(アジドメチル)ベンズアルデヒド、4。
【化7】

【0092】
4−(ブロモメチル)ベンズアルデヒド3(180mg、0.90mmol)を、DMF(10ml)に溶解した。アジ化ナトリウム(88mg、1.35mmol)を添加した。反応混合物を、次いで60℃で1時間加熱した。反応混合物を放冷させ、DCM(150ml)及びHO(150ml)に溶解した。相を分離し、有機相を水(2×150ml)で再度洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、油として4を得た(134mg、0.83mmol、92%)。R=0.70(DCM);νmax=2094、1694、1607、1207、1167、812、773cm−1H NMR(300MHz,CDCl)δ=10.02(s,1H,CHO)、7.90(d,J(H,H)=7.9Hz,2H,CHOに対してα位のArCH)、7.48(d,J(H,H)=7.9Hz,2H,CHに対してα位のArCH)、4.45(s,2H,CH);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=191.6(CHO)、142.1(ArCCH)、136.2(ArCCHO)、130.2(ArCCHOに対してα位のArCH)、128.4(ArCCHに対してα位のArCH)、54.2(CH);HRMS(ESI):m/z CONa[M+Na]の計算値:184.0481、実測値184.0497。
【0093】
N−(4−(アジドメチル)ベンジル)−N’−(4−(ジエトキシメチル)ベンジル)−ヘキサン−1,6−ジアミン、5。
【化8】

【0094】
4−(アジドメチル)ベンズアルデヒド4(1.30g、8.1mmol)を、メタノール(40ml)に溶解したN−(4−(ジエトキシメチル)ベンジル)ヘキサン−1,6−ジアミン1(2.5g、8.2mmol、1.01当量)に添加し、終夜撹拌した。反応混合物を次いで0℃に冷却し、NaBH(0.76g、20.2mmol、2.5当量)を次いでゆっくり添加し、反応混合物を3時間撹拌し、その後溶媒を蒸発させた。得られた残渣を酢酸エチル(100ml)及び水(100ml)に溶解し、相を分離し、有機相を水(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(溶離液、DCM〜DCM/NH飽和メタノール、19:1)によって粗生成物を精製して、透明な油として5を得た(3.60g、7.9mmol、98%)。R=0.73(9:1、DCM/NH飽和MeOH);H NMR(300MHz,CDCl)δ=7.42(d,J(H,H)=8.1Hz,2H,ArCH)、7.36〜7.26(m,6H,ArCH)、5.50(s,1H,CHO)、4.32(s,2H,CH)、3.79(s,2H,ArCCH)、3.78(s,2H,ArCCH)、3.61(dq,J(H,H)=7.1Hz,J(H,H)=9.5Hz,2H,CHCH)、3.52(dq,J(H,H)=7.1Hz,J(H,H)=9.5Hz,2H,CHCH)、2.62(t,J(H,H)=7.1Hz,2H,CHCHNH)、2.62(t,J(H,H)=7.1Hz,2H,CHCHNH)、1.55〜1.45(m,4H,CH)1.40〜1.30(m,4H,CH)、1.24(t,J(H,H)=7.1Hz,6H,CHCH);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=140.9(ArCCHNH)、140.7(ArCCHNH)、137.7(ArCCHO)、133.9(ArCCH)、128.5(ArCH)、128.3(ArCH)、127.9(ArCH)、126.7(ArCH)、101.5(CHO)、61.0(OCHCH)、54.6(CH)、53.8(ArCCH)、53.7(ArCCH)、49.4(CHCHNH)、49.4(CHCHNH)、30.0(CH)、27.3(CH)、15.2(OCHCH);HRMS(ESI):m/z C2640[M+H]の計算値:454.3177、実測値454.3182。
【0095】
ビスボロン酸を有するアジドアルデヒド、6。
【化9】

【0096】
N−(4−(アジドメチル)ベンジル)−N’−(4−(ジエトキシメチル)ベンジル)−ヘキサン−1,6−ジアミン5(250mg、0.59mmol)、2−(2−(ブロモメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン(D.K.Scrafton、J.E.Taylor、M.F.Mahon、J.S.Fossey及びT.D.James、J.Org.Chem.、2008年、73巻、2871〜2874頁)(419mg、1.41mmol、2.4当量)、及びKCO(324mg、2.34mmol、4当量)を、窒素環境下で、無水アセトニトリル(50ml)に溶解し、還流状態で6時間加熱した。溶媒を蒸発させ、得られた残渣を酢酸エチル(50ml)及び水(50ml)に溶解し、相を分離し、有機相を水(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。得られた固体をTHF及び2M HCl(100ml)に溶解し、1時間撹拌し、その後、溶媒を蒸発させた。得られた残渣を酢酸エチル(50ml)及び水(50ml)に溶解し、相を分離し、有機相を水(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(DCM〜MeOH〜NH飽和MeOH)によって粗生成物を精製して、白色固体として生成物を得た(110mg、0.17mmol、30%)。R=0.45(9:1、DCM/NH飽和MeOH);H NMR(300MHz,CDCl/CDOD 95:5)δ=9.97(s,1H,CHO)、7.83(d,J(H,H)=Hz,4H,ArCH)、7.42(d,J(H,H)=Hz,2H,ArCH)、7.27〜7.35(m,8H,ArCH)、7.18(bs,2H,ArCH)、4.32(s,2H,CH)、3.74(s,2H,CH)、3.73(s,2H,CH)、3.62(s,2H,CH)、3.58(s,2H,CH)、2.38(bs,4H,CHCHN)、1.47(bs,4H,CHCHN)、1.05(bs,4H,CHCHCHN);11B NMR(96MHz,CDCl/CDOD 95:5)δ=34.6;13C NMR(75MHz,CDCl/CDOD 95:5)δ=192.2(CHO)、144.1(ArC)、141.3(ArC)、141.1(ArC)、136.6(ArC)、135.4(ArC)、134.5(ArC)、129.9(ArCH)、129.8(ArCH)、128.2(ArCH)、127.3(ArCH)、127.2(ArCH)、61.2(ArCCHN)、61.0(ArCCHN)、57.0(ArCCHN)、56.6(ArCCHN)、54.3(CH)、52.7(CHCHN)、52.0(CHCHN)、26.9(CHCHCHN)、24.6(CHCHN)、24.5(CHCHN);HRMS(ESI):m/z C3642(無水物)[M+H−HO]の計算値:630.3417、実測値630.3382。
【0097】
発蛍光団
上記の合成に従って生成された通りの受容体6は発蛍光団に、アルデヒド基との反応によって結合している。これは、発蛍光団のアミン基をホウ化水素型試薬の存在下で還元的にアミノ化することによって達成できる。適切な発蛍光団にはアントラセン若しくはピレン又はそれらの誘導体が含まれる。
【0098】
デンドリマー
世代1又は2のPAMAMデンドリマーは、Chengら(European Journal of Medicinal Chemistry、2005年、40巻、1384〜1389頁)に従って合成される。合成されるデンドリマーを、以下に示す。
【0099】
【化10】

【0100】
【化11】

【0101】
世代1又は2のデンドリマーは受容体5に、アルデヒド基との反応によって結合して、4個の受容体又は8個の受容体のいずれかが付加されたデンドリマーが得られる。デンドリマーの受容体6への結合は、発蛍光団と連結する前又は後のいずれかにおいて実施できる。図3は、(発蛍光団が結合する前に)4個の受容体又は8個の受容体のいずれかが付加された世代1又は世代2のデンドリマーを示す。
【0102】
実施例3
デンドリマーを以下の手順に従って合成した。実施例2に記載の通り、デンドリマーは、(発蛍光団に結合する前又は後に)受容体6に結合している。
【0103】
デンドリマー合成
【化12】

【0104】
スキーム2.デンドリマーの合成。a)アクリル酸メチル、MeOH、40℃;b)エチレンジアミン、40℃;c)NHCHCHX、MeOH、40℃。
【0105】
2−アジドエタンアミン
【化13】

【0106】
H NMR(300MHz,CDCl)δ=3.38(t,J(H,H)=5.7Hz,2H,CH)、2.88(t,J(H,H)=5.7Hz,2H,CHNH);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=54.6(CH)、41.3(CHNH);HRMS(ESI):m/z C[M+H]の計算値:87.0665、実測値87.0663。
【0107】
G0.5
【化14】

【0108】
黄色の油。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=3.66(s,12H,OCH)、2.76(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO)、2.49(NCHCHN)、2.43(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=172.9(CO)、52.2(NCHCHN)、51.5(OCH)、49.7(NCHCHCO)、32.6(NCHCHCO)。
【0109】
G1
【化15】

【0110】
H NMR(300MHz,CDCl)δ=3.66(s,12H,OCH)、2.76(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO)、2.49(NCHCHN)、2.43(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=172.9(CO)、52.2(NCHCHN)、51.5(OCH)、49.7(NCHCHCO)、32.6(NCHCHCO);HRMS(ESI):m/z C224810Na[M+Na]の計算値:539.3752、実測値539.3752。
【0111】
G1アジド
【化16】

【0112】
反応は、完了しなかった。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=3.66(s,12H,OCH)、2.76(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO)、2.49(NCHCHN)、2.43(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=172.9(CO)、52.2(NCHCHN)、51.5(OCH)、49.7(NCHCHCO)、32.6(NCHCHCO)。
【0113】
G1.5
【化17】

【0114】
H NMR(300MHz,CDCl)δ=3.66(s,12H,OCH)、2.76(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO)、2.49(NCHCHN)、2.43(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=172.9(CO)、52.2(NCHCHN)、51.5(OCH)、49.7(NCHCHCO)、32.6(NCHCHCO);HRMS(ESI):m/z C54971020[M+H]の計算値:1205.6875、実測値1205.6898。
【0115】
G2.0
【化18】

【0116】
H NMR(300MHz,CDCl)δ=3.66(s,12H,OCH)、2.76(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO)、2.49(NCHCHN)、2.43(t,J(H,H)=7.0Hz,8H,NCHCHCO);13C NMR(75MHz,CDCl)δ=172.9(CO)、52.2(NCHCHN)、51.5(OCH)、49.7(NCHCHCO)、32.6(NCHCHCO)。
【0117】
本発明は、特定の実施形態及び実施例を参照して説明されているが、本発明がこれらの実施形態及び実施例に限定されないことは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体中の分析物の量又は存在を決定するための光学的センサであって、(a)分析物用の指示体、又は(b)支持体に結合した分析物用の指示体を具備する担持指示体を有するセルを備え、前記指示体又は担持指示体が流動体であり、前記セルが、分析物透過性膜で覆われた1つ又は複数の開口部を有し、前記膜が前記指示体又は担持指示体を前記セル内に保持するように構成されている、光学的センサ。
【請求項2】
前記セルが、前記指示体又は担持指示体の溶液を有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記セルが担持指示体を備え、前記支持体がデンドリマーである、請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記デンドリマーがポリアミドアミンデンドリマーである、請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記デンドリマーが少なくとも4個の指示体部分に結合している、請求項3又は4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記デンドリマーが対称形である、請求項3〜5のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記デンドリマーが水溶性ポリマーに結合している、請求項3〜5のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記セルが、(i)水又は水溶液、及び(ii)担持指示体を具備する流動性混合物を有し、前記支持体が、内部に分散された水を具備するヒドロゲルであり、内部に水が分散された前記ヒドロゲルが流動体の形態である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記ヒドロゲルが少なくとも30%w/wの水分含量を具備する、請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
前記指示体が受容体及び発蛍光団を含み、前記受容体及び前記発蛍光団が支持体に別々に結合している、請求項1〜9のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項11】
前記分析物がグルコースであり、前記指示体が、1つ又は複数のボロン酸基を有する受容体部分を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項12】
前記発蛍光団の蛍光強度をモニタリングするように構成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項13】
前記発蛍光団の蛍光寿命をモニタリングするように構成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のセンサと、入射光を光学的導波路に供給するように構成されている装置と、帰還信号を検出するための検出器とを備えるキット。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学的センサを製造する方法であって、
1つ又は複数の開口部を有するセルを用意するステップと、
前記セルに、(a)指示体又は(b)支持体に結合した指示体を含む担持指示体を挿入するステップであり、前記指示体又は担持指示体が流動体である、ステップと、
前記セルの1つ又は複数の開口部を、前記指示体又は担持指示体を前記セル内に保持するように構成されている分析物透過性膜で覆うステップと、を備える、方法。
【請求項16】
媒体中の分析物の存在又は濃度を決定する方法であって、入射光を請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学的センサのセルに導入するステップと、光学的帰還信号を検出するステップとを備える方法。
【請求項17】
前記指示体が発蛍光団を含み、前記方法が前記発蛍光団の蛍光強度を測定するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記指示体が発蛍光団を含み、前記方法が前記発蛍光団の蛍光寿命を測定するステップを含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−519894(P2013−519894A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553391(P2012−553391)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/GB2011/000207
【国際公開番号】WO2011/101624
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512212863)ライトシップ メディカル リミテッド (4)
【Fターム(参考)】