説明

光ファイバープローブ用プロテクター

本発明は、物体を検査するように構成された光ファイバープローブ用プロテクター構成の変更を与える。研究される物体は、生物組織、すなわち生体の生物組織、例えば、生体の内部空洞とし得る。本発明は、検査される光ファイバープローブと物体の遠位部の端面間の有効な光コンタクトを保証する。好ましい実施形態では、後者は、シースの内部に配置された光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下の光ファイバープローブの遠位部の端面との一時的接着性接触部を形成可能なプロテクター・ウィンドウの内側表面の構成により達成される。これとともに、プロテクター・ウィンドウの外側表面は、シースの内部に配置された光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下で検査される物体との一時的接着性接触部を形成可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物理工学に関し、特に光学手段による物体の内部構造の検査に関する。また、技術工程の制御のような産業上の診断と同様に体内及び体外の診断を含む個々の臓器とシステムの医療診断のために適用されたスペクトル撮像素子の、光コヒーレンス断層撮影装置における、例えば、低コヒーレンス反射率計に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
非侵襲診断は、最近、その伝統的な生検術に対する明らかな利点のために、医療実務、特に生体の内蔵を検査するための最も興味ある課題になってきた。非侵襲診断は、生物組織に光放射を伝達して、それにより反射又は後方散乱された光放射を集め、及び引き続いて情報信号を処理し、かつ生物組織を画像形成することに基づく装置の開発により可能になった。光放射は、生物組織に接触される光ファイバープローブによって伝達される。生体内での医療検査のために使用される機器は患者の安全のために殺菌及び消毒要請に合致しなければならない。しかしながら、光ファイバープローブを不能にすることはそのコスト高により経済的に実際的でない。患者のためにそれを使用する前にプローブを清掃及び消毒及び/又は殺菌することは、特別装備を要し且つ有効使用期間及びプローブの寿命を短くする。他の場合には、例えば、体内の検査又は媒体における産業上の診断を行うために、光ファイバープローブで個人作業のために。かつプローブ自体が試験媒体に露出することを保護するために安全手段を取ることが必要である。光放射は、生物組織に接触される光ファイバープローブによって伝達される。生体内での医療検査のために使用される機器は患者の安全のために殺菌及び消毒要請に合致しなければならない。しかしながら、光ファイバープローブを不能にすることはそのコスト高により経済的に実際的でない。患者のためにそれを使用する前にプローブを清掃及び消毒及び/又は殺菌することは、特別装備を要し且つ有効使用期間及びプローブの寿命を短くする。
【0003】
この問題の解決策は、光ファイバープローブより底コストの、特定光ファイバープローブプロテクターを構成することによって発見された。それはプロテクターを使い捨てにする並びに適切な治療後に再使用可能にすることを可能にする。
【0004】
従来技術文献による生物組織を検査するために使用される光ファイバープローブのための従来技術プロテクターは管形状構成の中空シース(sheath)を備える。好ましい実施形態では、シースはプラスチックのような堅固な材料から作られる。シースの遠位端はウィンドウを装備しており、シースの近位端は中空ハンドルに連結される(例えば、特許文献1参照)。シースの内側空洞及びハンドルは、光ファイバープローブがプロテクター・ウィンドウの内側表面に平らに載る位置に光ファイバープローブを配置するための共通空間を画成する。プロテクター・ウィンドウは堅固な光学的に透明な材料から作られる。好ましい実施形態では、ハンドルは光ファイバープローブを錠止する錠止手段を含む。それにも拘わらず、プロテクター・ウィンドウの内側表面とは光ファイバープローブの遠位端の端面との間には、プロテクター・ウィンドウが作られる材料の堅固性及びその表面の不均一性により空隙が存在する。このため、光ファイバープローブの遠位端の端面と堅固なプロテクター・ウィンドウとの間の光接触部は有効でなく、かつ光ファイバープローブの遠位端の端面と生物組織との間の光接触部も有効ではない。
【特許文献1】米国特許第5,771,327号明細書
【0005】
類似した構成から成る別の従来技術文献によるプロテクターでは、堅固なプロテクター・ウィンドウはポリウレタンから作られた柔軟な薄膜によって置換される(例えば、特許文献2参照)。発明者は光ファイバープローブに力を加えた下では、その端面は柔軟な薄膜に当接し、その結果、光ファイバープローブの遠位部の端面と柔軟な薄膜との間の光接触は有効になることを確信している。しかしながら、経験上、このプロテクター使用時には光放射の電力損失はかなり高くなり得る。その上、光ファイバープローブの遠位部の端面から、及びプロテクター・ウィンドウの内側表面から、反射又は後方散乱された光放射は、生物組織から反射又は後方散乱された好都合な光信号より幾つか桁が高い大きさのものとし得る。これは、例えば、光コヒーレンス断層撮影装置のような光学装置によって提供された測定における付加的光損失及び人工品に通じる。後者は、周知のように、2つの表面間の有効な光接触を維持するために、これらの2つの表面間の空隙が光放射波長よりも本質的に小さい(少なくとも1桁の大きさ)ものでなければならないという事実による。ポリウレタン薄膜の使用は、薄膜と、光ファイバープローブの遠位部の端面との間の許容し難い空隙を除去しないことは明白である。そのため、このプロテクターを使用する場合、作業空間の内部に光ファイバープローブを配置する前に、プロテクター・ウィンドウの内側表面上に適切な屈折率を有する少量の液体ゲル又は他の流体を配置することが必要である。流体は空隙を満たし、後者は光損失を最小にし、かつ得られた画像の人口品を削除することを可能にする。しかしながら、この手順は、プロテクターの直径を3mm以下とし得ることを勘案すると、時間を浪費するものであり、かつ、かなり骨を折るものである。その製造段階で出力ウィンドウの内側表面にこの流体を塗布することは、実際的でない。従来技術文献に記載された生物組織を検査するために使用される光ファイバープローブ用プローブは上述した欠点を克服する(例えば、特許文献1参照)。このプロテクターは閉じた遠位端と開いた近位端を具備する中空シースを備える。曲げ易いシースは光ファイバープローブをその内側に配置可能にする。曲げ易いシースの端面は少なくとも部分的に透明なウィンドウを備える。好ましい実施形態では、ウィンドウは水晶製である。シースは該シースの遠位端に配置された流体チャンバと、該チャンバに流体を搬送するための膨張チャネルと、を含む。チャンバを満たす流体は、光ファイバープローブの遠位部の端面と、プロテクター・ウィンドウとの間に有効な光接触を与え、かつ、従って、光ファイバープローブの遠位部の端面と、生物組織との間に有効な光接触を与える。類似した構成から成る従来技術文献によるプロテクターでは、堅固なプロテクター・ウィンドウはポリウレタンから作られた柔軟な薄膜によって置換される。
【特許文献2】米国特許第5,930,440号明細書
【0006】
また別の従来技術文献に記載された生物組織を検査するために使用される光ファイバープローブ用プローブは上述した欠点を克服する(例えば、特許文献3参照)。このプロテクターは閉じた遠位端と開いた近位端を具備する中空シースを備える。曲げ易いシースは光ファイバープローブをその内側に配置可能にする。曲げ易いシースの端面は少なくとも部分的に透明なウィンドウを備える。好ましい実施形態では、ウィンドウは水晶製である。シースは該シースの遠位端に配置された流体チャンバと、該チャンバに流体を搬送するための膨張チャネルと、を含む。チャンバを満たす流体は、光ファイバープローブの遠位部の端面と、プロテクター・ウィンドウとの間に有効な光接触を与え、かつ、従って、光ファイバープローブの遠位部の端面と、生物組織との間に有効な光接触を与える。
【特許文献3】米国特許第6,383,209号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このプロテクターの不利点は、プロテクターが流体供給源を装備し、かつチャンバ内に流体を搬送するための装置を装備するという事実によるその実施の複雑さである。約3mm以下の直径を有するミニチュア光ファイバープローブ用プロテクターを使用する時、内視鏡検査のために構成された後者は極めて複雑な仕事である。なお、流体チャンバが作られる材料の持続性及び柔軟性に対する要求は、膨張チャネルの材料に対する要求と共に、かなり厳しいものである。従来技術プロテクターの別の欠点は、プロテクター・ウィンドウの外側表面と生物組織との間の摩擦係数を増加することを許さないことである。後者は、例えば、歯を検査する時に、プロテクター・ウィンドウが硬い表面上を摺動することを阻止するのが必要な際に生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光ファイバープローブの遠位部の端面と生物組織との間の有効な光接触を保証する光ファイバープローブのプロテクター構成に注力される。本発明のプロテクターは、プロテクター・ウィンドウと生物組織との間の一時的機械接触部を与える。それは技術的に有効であり、かつ複雑な構成解決策を使用せずに実行し得る。
【0009】
米国特許第6,383,209号明細書から周知のものに類似した光ファイバープローブのために開発したプロテクターは、閉じた遠位端及び開いた近位端を有する中空シースを備え、シースは光ファイバープローブが該シースの内部に配置されることを可能にし、シースの閉じた遠位端はプロテクター・ウィンドウとして作られ、及びプロテクター・ウィンドウは少なくとも部分的に光学的に透明である。
【0010】
周知のプロテクターとは異なり、本発明によれば、プロテクター・ウィンドウの内表面は、シースの内部で配置された光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下の光ファイバープローブの遠位部の端面との一時的接着接触部を形成可能に構成される。
【0011】
特別の実施形態では、プロテクター・ウィンドウの外面は、シースの内部に配置された光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下で検査される物体との一時的接着接触を形成可能に構成される。
【0012】
柔軟で弾発力のある材料からプロテクター・ウィンドウを製造することは好ましい。
【0013】
動作波長におけるプロテクター・ウィンドウの材料の屈折率は以下の関係式によって定義されることが好ましい。
【0014】
【数1】

【0015】
ここで、Naはプロテクター・ウィンドウの材料の屈折率であり、Nbは検査される物体の屈折率であり、及びNcは光ファイバープローブの遠位部の材料の屈折率である。
【0016】
特定実施形態では、プロテクター・ウィンドウの材料の屈折率、検査される物体の屈折率、及び光ファイバープローブの遠位部の材料の屈折率は動作波長において実質的に等しい値を有する。
【0017】
硬化性光ゲルからプロテクター・ウィンドウを製造することは適切である。
【0018】
特定実施形態では、プロテクター・ウィンドウはゼリー状材料状から製造し得る。
【0019】
別の特定実施形態では、プロテクター・ウィンドウはゴム状材料から製造し得る。
【0020】
別の特定実施形態では、プロテクター・ウィンドウは少なくとも2層構造体として形成されるが、その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの外側表面を作る少なくとも層は柔軟で弾発力のある材料から製造される。
【0021】
別の特定実施形態では、その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの外側表面を作る層は柔軟で弾発力のある材料から製造される。
【0022】
プロテクター・ウィンドウを形成する層の材料の屈折率、研究されている物体の屈折率、及び光ファイバープローブの遠位部の材料の屈折率が動作波長において実質的に等しい値を有することは好ましい。
【0023】
その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの内側表面を作る層は硬化性光ゲルで作られることが望ましい。
【0024】
特定実施形態では、その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの内側表面を作る少なくとも層はゼリー状材料で作られる。
【0025】
別の特定実施形態では、その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの内側表面を作る少なくとも層はゴム状材料から製造される。
【0026】
別の実施形態では、その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの外側表面を作る、少なくとも層は、硬質光ゲルから製造される。
【0027】
特定実施形態では、その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの外側表面を作る、少なくとも層は、ゼリー状材料から製造される。
【0028】
別の特定実施形態では、その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの外側表面を作る少なくとも層はゴム状材料から製造される。
【0029】
別の実施形態では、プロテクター・ウィンドウは柔軟な薄膜として作られる。
【0030】
別の実施形態では、シースの近位端は、中空ハンドルの遠位端と連結されるが、シースとハンドルの内部空洞は作業空間の内部に光ファイバープローブを配置するための共通の作業空間を画成する。
【0031】
ハンドルが作業空間の内部に光ファイバープローブの位置を固定する錠止手段を備えることは望ましい。
【0032】
別の実施形態では、中空シースは管形状である。
【0033】
別の実施形態では、ハンドルの空洞は管形状である。
【0034】
別の実施形態では、中空シースは柔軟になされる。
【0035】
別の実施形態では、中空シースは堅固になされる。
【0036】
別の実施形態では、光ファイバープローブはスペクトル撮像素子の一部である。
【0037】
別の実施形態では、光ファイバープローブは光コヒーレンス断層撮影用装置の一部である。
【0038】
別の実施形態では、中空シースは、少なくとも、光学的に透明な材料から製造される。
【0039】
プロテクターを再使用可能にすることは望ましい。
【0040】
プロテクターを使い捨てにすることは好ましい。
【0041】
一実施形態では、検査される物体は生物組織である。
【0042】
特定実施形態では、検査される物体は生体の生物組織である。
【0043】
別の特定実施形態では、検査される物体は生体の柔軟な生物組織である。
【0044】
別の特定実施形態では、検査される物体は生体の硬質な生物組織である。
【0045】
別の特定実施形態では、検査される物体は生体の内部空洞である。
【0046】
本発明は、物体を検査するように構成された光ファイバープローブ用プロテクター構成の変更を示す。検査される物体は、生物組織、すなわち生体、例えば、生体の内部空洞の生物組織であり得る。本発明のプロテクター構成の変更は、光ファイバープローブの遠位部の端面と検査される物体の間の有効な光接触部を保証する。1つの変更では、後者は、シースの内部に配置さた光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下の光ファイバープローブの遠位部の端面との一時的接着性接触部を形成可能なプロテクター・ウィンドウの内側表面を構成することによって達成される。それに加えての別の変更では、プロテクター・ウィンドウの外側表面は、シースの内部に配置された光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下で検査される物体との一時的接着性接触部を形成可能に構成される。これを遂行するために、一実施形態では、プロテクター・ウィンドウは柔軟で弾力のある材料、例えば、硬化性光ゲルで作られる。これを遂行するために、一実施形態では、プロテクター・ウィンドウは硬化性光ゲルから作られ、例えば、柔軟で弾力のある材料で作られる。別の実施形態では、プロテクター・ウィンドウは少なくとも2層構造体として形成される。1つのケースに、その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの内側表面を作る少なくとも層は柔軟で弾発力のある材料から製造される。別の場合に、その表面の1つがプロテクター・ウィンドウの外側表面を作る更なる層は硬化性光ゲルのような柔軟で弾発力のある材料から製造される。これは、プロテクター・ウィンドウの外側表面と検査される物体との間の一時的機械接触を与える。後者は、プロテクター・ウィンドウが検査される物体の表面に関して摺動するのを防ぎ、光ファイバープローブの遠位部の端面と検査される物体との間の有効な光接触部を同時に保証する。硬化性光ゲルは、例えば、ゼリー状又はゴム状とし得る。これとともに、動作波長における、プロテクター・ウィンドウ材料の屈折率の値は、光ファイバープローブの遠位部及び検査される物体の屈折率の値を勘案して選択される。特別の実施形態では、プロテクターはハンドルと連結し得る。このハンドルは、光ファイバープローブの位置を固定する錠止手段を装備することができる。光ファイバープローブの1つ又は別の光素子に属する、シース及びハンドルの特定の形状及びタイプはその特定の実施形態を特徴づける。
【0047】
本発明の特徴は、添付図面を参照した好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
図1に示スプロテクターは以下のように作動する。
【0049】
光ファイバープローブ(図面に示さない)はシース1の内部に配置される。それは、光ファイバープローブをその内部に配置可能にするように構成される。シース1の閉じた遠位端2は、少なくとも部分的に、光学的に透明なウィンドウ4として作られる。光ファイバープローブの遠位部の端面は、ウィンドウ4の内側表面5と接触される。ウィンドウ4の内側表面5は、シース1の内部に配置された光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下の光ファイバープローブの遠位部の端面との一時的接着性接触部を形成可能に構成される。プロテクター・ウィンドウ4の外側表面6は、シース1の内部に配置された光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下で検査される(図面に示さない)物体との一時的接着性接触部を形成可能に構成される。
【0050】
ウィンドウ4は、例えば、NYE(米国)によって生産されるスマートゲルタイプの硬化性光ゲルのような柔軟で弾発力のある材料から作られる。硬化性光ゲルはゼリー状又はゴム状とし得る。これとともに、それは、以下の関係式によって定義される作動波長においてプロテクター・ウィンドウ4の材料の屈折率には好ましい。
【0051】
【数2】

【0052】
ここで、Naはプロテクター・ウィンドウの材料の屈折率であり、Nbは検査される物体の屈折率であり、及びNcは光ファイバープローブの遠位部の材料の屈折率である。
【0053】
特定の実施形態では、プロテクター・ウィンドウ4の材料の屈折率、検査される物体の屈折率、及び動作波長における光ファイバープローブの遠位部の材料の屈折率は、実質的に等しい値を有し得る。
【0054】
シース1の内部に配置された光ファイバープローブを具備するプロテクターは、検査される物体に光学放射の伝達を保証する仕方で位置づけられる。特定の実施形態では、光ファイバープローブが内視鏡検査プローブである場合、プロテクターはウィンドウ4の外側表面6が検査される物体と直に接触するように位置する仕方で配置される。その後、軸線方向力の圧力は光ファイバープローブに作用する。それは、ウィンドウ4の内表面5と光ファイバープローブの端面の間の一時的接着性接触部を形成する。同時に、接着性接触部はウィンドウ4と検査される物体との間の有効な光接触を保証する、ウィンドウ4の外側表面6と検査される物体との間に形成される。従って、有効な光接触は、光ファイバープローブの端面と検査される物体との間に保証される。検査完了後、軸線方向力は光ファイバープローブから解放される。ウィンドウ4の内表面及び光ファイバープローブの端面の接着性接触部は、ウィンドウ4の外側表面6と検査される物体との間のように一時的であり、従って、軸線方向力が光ファイバープローブから解放された後に、プロテクター・ウィンドウは検査される物体から容易に取り外される。また、プローブは問題のないシース1から引抜かれる。その後、シース1は殺菌されるか又は消毒されて何れも使い捨てされる。
【0055】
図2に示すプロテクターは図1に示すプロテクターと同様に作動する。図2のプロテクターの構成は、少なくとも2層構造体として構成されるウィンドウ4によって図1のプロテクターの構成と異なる。特別の実施形態では、ウィンドウは層7及び層8を含む。層7は柔軟で弾発力のある材料から作られる。層7の表面の1つ、すなわち表面9は、ウィンドウ4の内表面5を作る。層8も柔軟で弾発力のある材料から作られる。層8の表面の1つ、すなわち表面8は、ウィンドウ4の外側表面6を作る。ゼリー状又はゴム状とし得る、NYE(米国)によって生産されたスマートゲルタイプの硬化性光ゲルは、例えば、層7及び層8の材料として使用することができる。
【0056】
特別の実施形態では、プロテクター・ウィンドウ4を形成する層7、8の材料の屈折率、研究されている物体の屈折率、および光ファイバープローブの遠位部の材料の屈折率は、動作波長で実質上等価値を有する。
【0057】
他の点では、図2による光ファイバープローブ用プロテクターは図1に示すプロテクターとて同じに構成される。
【0058】
両方の構成では、プロテクター・ウィンドウ4は柔軟な薄膜として作り得る。両方の構成では、シース1の近位端11は中空ハンドルの遠位置端と連結し得る。この場合、シース1及びハンドル(図面に図示せず)の内部空洞は、作業空間の内部に光ファイバープローブを配置するための共通の作業空間を画成する。ハンドルは米国特許第5,930,440号明細書に記載されたものと類似して実施し得るものであり、かつ(図面に示さない)作業空間の内部に光ファイバープローブの位置を固定するための錠止手段を装備し得る。錠止手段は米国特許第5,930,440号明細書に記載されたものに類似し得る。ハンドルの空洞として同じ中空シースは管状になし得る。両方のプロテクター構成では、使用する分野に依存して、中空シース1は、例えば、ポリウレタン製の柔軟なものになし得る。あるいは、それは、例えば、プラスチック製の堅固なものに成し得る。シースが作られる材料は、光学的に不透明になし得るか、あるいは少なくとも部分的に透明になし得る。図1及び図2に示すプロテクターは、再使用可能になし得る(この場合、これらは各患者のために清潔にされ且つ消毒されなければならない)か又は使い捨てになし得る。検査される物体は、生物組織、例えば、生体の生物組織とし得る。それは、歯のような硬い組織又は生体の内部空洞のような柔軟な組織とし得る。プロテクターの種々の実施形態が構成される光ファイバープローブは、スペクトル撮像素子の一部、あるいは光コヒーレンス断層撮影法用の装置の一部とし得るか、あるいは任意の内視鏡検査機器の一部とし得る。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば、技術工程の制御のような産業上の診断と同様に、体内及び体外である人体の個々の臓器及びシステムの医療診断に使用されたスペクトル撮像素子における、光コヒーレンス断層撮影装置の低コヒーレンス反射率計に利用し得る。本発明は標準設備の支援によって実施し得ることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】光ファイバープローブのために開発したプロテクターの特定実施形態の横断面図である。
【図2】光ファイバープローブのために開発したプロテクターの別の特定実施形態の横断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 中空シース
2 遠位端
4 プロテクター・ウィンドウ
5 内表面
6 外表面
7、8 層
9 表面
11 近位端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じた遠位端及び開いた近位端を具備する中空シースを備える物体を検査するように構成された光ファイバープロープ用プロテクターであって、前記シースは前記光ファイバープロープを該シースの内部に配置可能にし、前記シースの閉じた遠位端はプロテクター・ウィンドウとして作られ、及び前記プロテクター・ウィンドウは少なくとも部分的に光学的に透明であるプロテクターにおいて、
前記プロテクター・ウィンドウの内側表面は、前記シースの内部に配置された前記光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下の該光ファイバープローブの遠位部の端面との一時的接着性接触部を形成可能に構成されることを特徴とするプロテクター。
【請求項2】
前記プロテクター・ウィンドウの外側表面は、前記シース内部に配置された光ファイバープローブに作用した軸線方向力の圧力下で検査される前記物体と一時的接着接触部を形成可能に構成されることを特徴とする、請求項1に記載のプロテクター。
【請求項3】
前記プロテクター・ウィンドウは柔軟で弾発性のある材料から作られることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項4】
動作波長における前記プロテクター・ウィンドウの材料の屈折率が以下の関係によって規定されることを特徴とする、請求項3に記載のプロテクター。
【数1】

ここで、Naはプロテクター・ウィンドウの材料の屈折率であり、Nbは検査される物体の屈折率であり、及びNcは前記光ファイバープローブの遠位部の材料の屈折率である。
【請求項5】
前記プロテクター・ウィンドウの材料の屈折率、検査される前記物体の屈折率、及び前記光ファイバープローブの遠位部の材料の屈折率は動作波長において実質的に等しい値を有することを特徴とする、請求項3に記載のプロテクター。
【請求項6】
前記プロテクター・ウィンドウは硬化性光ゲルから作られることを特徴とする、請求項3に記載のプロテクター。
【請求項7】
前記プロテクター・ウィンドウはゼリー状材料から作られることを特徴とする、請求項3に記載のプロテクター。
【請求項8】
前記プロテクター・ウィンドウはゴム状材料から作られることを特徴とする、請求項3に記載のプロテクター。
【請求項9】
前記プロテクター・ウィンドウは少なくとも二層構造体として構成されるが、前記プロテクター・ウィンドウの内側表面を作る面の1つである、少なくとも前記層は柔軟で弾発力のある材料から作られることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項10】
前記プロテクター・ウィンドウの外側表面を作る面の1つである、少なくとも前記層は柔軟で弾発性のある材料から作られることを特徴とする、請求項9に記載のプロテクター。
【請求項11】
前記プロテクター・ウィンドウを構成する前記層の材料の屈折率、検査される前記物体の屈折率、及び前記光ファイバープローブの遠位部の材料の屈折率は、動作波長において実質的に等しい値を有することを特徴とする、請求項9に記載のプロテクター。
【請求項12】
前記プロテクター・ウィンドウの内側表面を作る面の1つである、少なくとも前記層は硬化性光ゲルから作られることを特徴とする、請求項9に記載のプロテクター。
【請求項13】
前記プロテクター・ウィンドウの内側表面を作る面の1つである、少なくとも前記層はゼリー状材料から作られることを特徴とする、請求項9に記載のプロテクター。
【請求項14】
前記プロテクター・ウィンドウの内側表面を作る面の1つである、少なくとも前記層はゴム状材料から製造されることを特徴とする、請求項9に記載のプロテクター。
【請求項15】
前記プロテクター・ウィンドウの外側表面を作る面の1つである、少なくとも前記層は硬化性光ゲルから作られることを特徴とする、請求項9に記載のプロテクター。
【請求項16】
前記プロテクター・ウィンドウの内側表面を作る面の1つである、少なくとも前記層はゼリー状材料から作られることを特徴とする、請求項9に記載のプロテクター。
【請求項17】
前記プロテクター・ウィンドウの外側表面を作る面の1つである、少なくとも前記層はゴム状材料から作られることを特徴とする、請求項9に記載のプロテクター。
【請求項18】
前記プロテクター・ウィンドウは柔軟な薄膜として作られることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項19】
前記シースの近位端は中空ハンドルの遠位端と連結されるが、前記シースの内部空洞及び前記ハンドルは前記作業空間の内部の前記光ファイバープローブを配置するための共通の作業空間を構成することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項20】
前記ハンドルは、前記作動空間の内部の光ファイバープローブの位置を固定する錠止手段を装備することを特徴とする、請求項19に記載のプロテクター。
【請求項21】
前記中空シースは管形状からなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項22】
前記ハンドルの空洞は管形状であることを特徴とする、請求項21に記載のプロテクター。
【請求項23】
前記中空シースは柔軟になされることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項24】
前記中空シースは堅固になされることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項25】
前記光ファイバープローブはスペクトル撮像素子の一部であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項26】
前記光ファイバープローブは、光コヒーレンス断層撮影用装置の一部であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項27】
前記中空シースは、少なくとも部分的に光学的に透明な材料から作られることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項28】
再使用可能になされたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項29】
使い捨てになされたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項30】
検査される前記物体は生物組織であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項31】
検査される前記物体は生体の生物組織であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項32】
検査される前記物体は生体の柔軟生物組織であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項33】
検査される前記物体は生体の硬質生物組織であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプロテクター。
【請求項34】
検査される前記物体は生体の内部空洞であることを特徴とする、請求項1に記載のプロテクター。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−523498(P2006−523498A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507912(P2006−507912)
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/RU2004/000144
【国際公開番号】WO2004/092796
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(502193716)イマラックス・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】