説明

光ファイバ保持部品

【課題】本発明は、小型、かつ、簡易な構造で、光ファイバを折り曲げ保持できる光ファイバ保持部品を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る光ファイバ保持部品100は、光ファイバ200を保持する筒状の複数の胴部110と、胴部110同士を接続し、山折り及び谷折りが交互に連続する蛇腹構造の筒状であり、光ファイバ200を折り曲げ保持する接続部120と、を備える。さらに、本発明に係る光ファイバ保持部品100では、接続部120の山折り頂点の外寸半径と谷折り頂点との外寸半径との差は、光ファイバ200の最小折り曲げ半径以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを折り曲げ保持する光ファイバ保持部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、AWG(Arrayed Wavelength Gratting)等の光学部品が石英ガラス基板又はシリコン基板に組み込まれた光モジュールが広く利用されている。FTTH(Firber To The Home)の進展に伴い、光モジュールの小型化が進んでいる。これら光モジュールを接続する光ファイバは、曲げによる光損失を少なくするため、直線に配置することが好ましい。しかし、レイアウトの都合上、光ファイバは、折り曲げて配置されることが多く、その一方で、最小折り曲げ半径が定められている。この最小折り曲げ半径を確保しつつ光ファイバを保持する光ファイバ保持具が用いられている(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1で開示される従来の光ファイバ保持具は、最小曲げ半径以上の半径を有する円筒状スポンジをボードに装着し、円筒状スポンジで光ファイバを折り曲げ保持することができる。
【特許文献1】特開平11−30719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の光ファイバ保持具は、円筒状スポンジ及びボードを有することから、部品数が多く、大型化する問題があった。このため、光ファイバを狭い場所で折り曲げて配置する場合、従来の光ファイバ保持具では対応できない場合があった。
【0004】
本発明は、前記課題を解決する為になされたもので、小型、かつ、簡易な構造で、光ファイバを折り曲げ保持できる光ファイバ保持部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る光ファイバ保持部品は、山折り及び谷折りが交互に連続する蛇腹構造を有することを特徴とする。
【0006】
具体的に、本発明に係る光ファイバ保持部品は、光ファイバを保持する筒状の複数の胴部と、前記胴部同士を接続し、山折り及び谷折りが交互に連続する蛇腹構造の筒状であり、前記光ファイバを折り曲げ保持する接続部と、を備える。
【0007】
上記光ファイバ保持部品は、小型、かつ、簡易な構造で、前記光ファイバを折り曲げ保持することができる。
【0008】
本発明に係る光ファイバ保持部品では、前記接続部の山折り頂点の外寸半径と谷折り頂点との外寸半径との差は、前記光ファイバの最小折り曲げ半径以上であることが好ましい。
【0009】
上記光ファイバ保持部品は、前記光ファイバの最小折り曲げ半径を確保しつつ前記光ファイバを折り曲げ保持することができる。
【0010】
本発明に係る光ファイバ保持部品では、前記胴部及び前記接続部は、筒割り構造であることが好ましい。
【0011】
上記光ファイバ保持部品は、前記光ファイバを折り曲げ保持する際、前記光ファイバの端面の側から挿入することなく折り曲げ予定箇所に直接装着でき、利便性が高い。
【0012】
本発明に係る光ファイバ保持部品では、前記胴部及び前記接続部は、断面の形状が円状、楕円状、三角形状、四角形状又は角丸四角形状のいずれかであることが好ましい。
【0013】
上記光ファイバ保持部品は、前記光ファイバをより強く折り曲げ保持することができる。
【0014】
本発明に係る光ファイバ保持部品では、前記胴部及び前記接続部は、高分子材料又は遡性変形が可能な金属を素材とすることが好ましい。
【0015】
上記光ファイバ保持部品は、前記胴部及び前記接続部を一体で形成でき、製造コストを低くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、小型、かつ、簡易な構造で、光ファイバを折り曲げ保持できる光ファイバ保持部品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。また、同一部材及び同一部位には同一符号を付した。
【0018】
図1は、本実施形態に係る光ファイバ保持部品の概略図であり、(a)は胴部が2個の場合であり、(b)は胴部が3個の場合である。本実施形態に係る光ファイバ保持部品100は、光ファイバ200を保持する筒状の複数の胴部110と、胴部110同士を接続し、山折り及び谷折りが交互に連続する蛇腹構造の筒状であり、光ファイバ200を折り曲げ保持する接続部120と、を備える。なお、図1では、光ファイバ200を破線で示した。
【0019】
胴部110のそれぞれは、光ファイバ200の配置に応じて長軸方向の長さを決めれば良い。光ファイバ200を保持するため、胴部110の内径は、光ファイバ200の外径以上であれば良い。胴部110のそれぞれは、例えば、内径が4mm及び長手方向の長さが100mmである。
【0020】
光ファイバ200を保持するため、接続部120の谷折り頂点部分の内径は、光ファイバ200の外径以上であれば良い。接続部120が蛇腹構造のため、接続部120を折り曲げることができる。また、接続部120は、例えば、6個の山折りと5個の谷折りが交互に連続する蛇腹構造であるが、山折り及び谷折りの個数は制限されない。接続部120は、折り曲げ角度が制限されない。接続部120のそれぞれは、例えば、山折頂点の外径が6mm、谷折り頂点の内径が4mm及び長手方向の長さが50mmである。
【0021】
光ファイバ保持部品100で光ファイバ200を保持する方法の一例について説明する。光ファイバ200を光ファイバ保持部品100の一方の端面の側から挿入する。光ファイバ200の折り曲げ予定位置と接続部120の位置が一致するように光ファイバ保持部品100をスライドさせて移動させる。その後、光ファイバ保持部品100は、接続部120を任意の角度に折り曲げる。
【0022】
図1(a)に示す光ファイバ保持部品100は、L字状に光ファイバ200を折り曲げ保持することができる。図2に、本実施形態に係る光ファイバ保持部品で光ファイバをL字状に折り曲げ保持した状態の概略図を示した。接続部120を折り曲げると、光ファイバ保持部品100が光ファイバ200の折り曲げ位置に固定され、光ファイバ200を折り曲げ保持することができる。さらに、接続部120を折り曲げていない直線状態に戻すことで、光ファイバ保持部品100は、光ファイバ200から光ファイバ保持部品100を容易に取り外すことができ、また、光ファイバ200と光ファイバ保持部品100の位置関係を容易に変更することができる。
【0023】
図1(b)に示す光ファイバ保持部品100は、コの字状に光ファイバ200を折り曲げ保持することができる。図3に、本実施形態に係る光ファイバ保持部品で光ファイバをコの字状に折り曲げ保持した状態の概略図を示した。光ファイバ保持部品100は、光ファイバ200の配置に応じて接続部120の個数を決めれば良い。以上のように、光ファイバ保持部品100は、小型、かつ、簡易な構造で、光ファイバ200を折り曲げ保持することができる。さらに、光ファイバ保持部品100は、取り扱いが容易である。
【0024】
光ファイバ保持部品100を介して基板(不図示)に光ファイバ200を固定する場合、光ファイバ保持部品100を任意の角度に折り曲げ、基板にUV接着剤又はシリコーン樹脂を用いて接着する。ここで、固定後に光ファイバ保持部品100の折り曲げ角度を変更したい場合、胴部110のみを基板に接着しても良い。接続部120を接着していないことから、接着後も自在に折り曲げが可能となる。一方、光ファイバ200の折り曲げ角度を変更する必要がない場合、胴部110及び接続部120の両方を基板に接着しても良い。
【0025】
図4は、本実施形態に係る光ファイバ保持部品の切断面図であり、(a)は直線状態であり、(b)は180°折り曲げた状態である。図4(a)に示すように、接続部120の谷折り頂点の外径と胴部110の外径が略等しい。また、図4では、胴部110と接続部120の境界を破線で示した。光ファイバ(不図示)は、製品毎に最小折り曲げ半径が定められている。光ファイバを最小折り曲げ半径より小さく折り曲げると、光ファイバは、光損失が増加又は光ファイバが破断することがある。光ファイバの最小折り曲げ半径を確保するため、本実施形態に係る光ファイバ保持部品100では、接続部120の山折り頂点の外寸半径と谷折り頂点との外寸半径との差rは、光ファイバの最小折り曲げ半径以上であることが好ましい(以後、「接続部120の山折り頂点の外寸半径と谷折り頂点との外寸半径の差」を「外寸半径の差」と略記する。)。外寸半径の差rは、例えば、2mmである。ここで、図4(b)に示すように、光ファイバの折り曲げ半径の最小値が外寸半径の差rになるので、外寸半径の差rを光ファイバの最小折り曲げ半径以上とすれば、接続部120において光ファイバの最小折り曲げ半径を確保することができる。
【0026】
図5は、本実施形態に係る光ファイバ保持部品の切断面図であり、(a)は直線状態であり、(b)は180°折り曲げた状態である。図5(a)に示すように、接続部120の山折り頂点の外径と胴部110の外径が略等しい。ここで、図4(b)と同様に、外寸半径の差rを光ファイバの最小折り曲げ半径以上とすれば良い(図5(b)を参照。)。以上のように、光ファイバ保持部品100は、光ファイバの最小折り曲げ半径を確保しつつ光ファイバを折り曲げ保持することができる。
【0027】
本実施形態に係る光ファイバ保持部品100では、胴部110及び接続部120は、コアの周囲に空孔が形成されたホーリーファイバ(不図示)を折り曲げ保持することが好ましい。ホーリーファイバは、実質的な屈折率を下げることで、光の閉じ込め効果を増強し、従来の光ファイバよりも小さな最小折り曲げ半径を実現できる(例えば、非特許文献1を参照。)。ホーリーファイバは、例えば、2mmの最小折り曲げ半径を可能とする(例えば、非特許文献2を参照。)。ここで、小型な光ファイバ保持部品100で最小折り曲げ半径が小さなホーリーファイバを保持することで、従来の光ファイバ保持具では困難であった折り曲げ半径、例えば、2mmの折り曲げ半径を実現できる。
【非特許文献1】2003年度電子情報技術通信学会、C−3−90、「ホーリーファイバの実用化に関する一検討」
【非特許文献2】古河電工時報 第118号、「ホールアシストファイバの設計・作製とパルス圧縮器への応用」
【0028】
図6は、本実施形態に係る光ファイバ保持部品の胴部の断面の形状を示す図であり、(a)は円状であり、(b)は楕円状であり、(c)は三角形状であり、(d)は四角形状であり、(e)は角丸四角形状である。図6に示すように、本実施形態に係る光ファイバ保持部品100では、胴部110及び接続部(不図示)は、断面の形状が円状、楕円状、三角形状、四角形状又は角丸四角形状のいずれかであることが好ましい。胴部110及び接続部の断面の形状を上記の形状とすることで、光ファイバ200の少なくとも一部が、胴部110及び接続部の内壁面に強く接触し、光ファイバ保持部品100は、光ファイバ200をより強く折り曲げ保持することができる。なお、光ファイバ保持部品100は、保持する光ファイバ200の本数が図5に記載の本数に制限されない。
【0029】
図7は、本実施形態に係る光ファイバ保持部品において、筒割り構造の胴部の断面の形状を示す図であり、(a)は円状であり、(b)は楕円状であり、(c)は三角形状であり、(d)は四角形状であり、(e)は角丸四角形状である。図7に示すように、本実施形態に係る光ファイバ保持部品100では、胴部110及び接続部(不図示)は、筒割り構造であることが好ましい。胴部110及び接続部は、スリット130が設けられて筒割り構造となっているため、光ファイバ保持部品100は、スリット130から光ファイバ(不図示)を挿入できる。このため、光ファイバ保持部品100は、光ファイバを折り曲げ保持する際、光ファイバの端面の側から挿入することなく折り曲げ予定箇所に直接装着でき、利便性が高い。
【0030】
本実施形態に係る光ファイバ保持部品100では、胴部110及び接続部は、高分子材料又は遡性変形が可能な金属を素材とすることが好ましい。この高分子材料としては、例えば、ポリマーがある。また、遡性変形が可能な金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、真鍮がある。光ファイバ保持部品100は、胴部110及び接続部を一体で形成でき、製造コストを低くすることができる。
【0031】
図8は、本実施形態に係る光ファイバ保持部品を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。なお、光ファイバ保持部品の平面図、底面図及び背面図は、正面図(図8(a)を参照。)と同一にあらわれるため、省略する。また、左側面図は、右側面図(図8(b)を参照。)と同一にあらわれるため、省略する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る光ファイバ保持部品は、屋内又は屋外に敷設された光ファイバの折り曲げ保持に利用することができる。また、本発明に係る光ファイバ保持部品は、光モジュールに光ファイバを固定する際に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る光ファイバ保持部品の概略図であり、(a)は胴部が2個の場合であり、(b)は胴部が3個の場合である。
【図2】本実施形態に係る光ファイバ保持部品で光ファイバをL字状に折り曲げ保持した状態の概略図である。
【図3】本実施形態に係る光ファイバ保持部品で光ファイバをコの字状に折り曲げ保持した状態の概略図である。
【図4】本実施形態に係る光ファイバ保持部品の切断面図であり、(a)は直線状態であり、(b)は180°折り曲げた状態である。
【図5】本実施形態に係る光ファイバ保持部品の切断面図であり、(a)は直線状態であり、(b)は180°折り曲げた状態である。
【図6】本実施形態に係る光ファイバ保持部品の胴部の断面の形状を示す図であり、(a)は円状であり、(b)は楕円状であり、(c)は三角形状であり、(d)は四角形状であり、(e)は角丸四角形状である。
【図7】本実施形態に係る光ファイバ保持部品において、筒割り構造の胴部の断面の形状を示す図であり、(a)は円状であり、(b)は楕円状であり、(c)は三角形状であり、(d)は四角形状であり、(e)は角丸四角形状である。
【図8】本実施形態に係る光ファイバ保持部品を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
【符号の説明】
【0034】
100 光ファイバ保持部品
110 胴部
120 接続部
130 スリット
200 光ファイバ
r 外寸半径の差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを保持する筒状の複数の胴部と、
前記胴部同士を接続し、山折り及び谷折りが交互に連続する蛇腹構造の筒状であり、前記光ファイバを折り曲げ保持する接続部と、
を備える光ファイバ保持部品。
【請求項2】
前記接続部の山折り頂点の外寸半径と谷折り頂点との外寸半径との差は、前記光ファイバの最小折り曲げ半径以上であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ保持部品。
【請求項3】
前記胴部及び前記接続部は、筒割り構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ保持部品。
【請求項4】
前記胴部及び前記接続部は、断面の形状が円状、楕円状、三角形状、四角形状又は角丸四角形状のいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光ファイバ保持部品。
【請求項5】
前記胴部及び前記接続部は、高分子材料又は遡性変形が可能な金属を素材とすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバ保持部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−257115(P2008−257115A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101659(P2007−101659)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】