説明

光ファイバ剥き折り部品および光ファイバ剥き折り方法

【課題】安定して操作することができ、操作者の熟練に依らず良好な光ファイバの切断端部が得られ、また、光ファイバの被覆を除去することができる光ファイバ剥き折り部品および光ファイバ剥き折り方法を提供する。
【解決手段】長手方向にのび被覆光ファイバを収容可能な溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた光ファイバ切断刃および該光ファイバ切断刃と間隔を隔てて前記溝部内に一般的に設けられ長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対被覆除去刃と、中間部に屈折部とを備えた樹脂材料からなる第一部材と、第一部材に対向して配置される、被覆ファイバを収容可能で第一部材の溝部に対応する溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた第一部材の一対の被覆除去刃と対応して長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に第一部材の屈折部と対応する屈折部とを備えた樹脂材料からなる第二部材とからなる光ファイバ剥き折り部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ファイバ剥き折り部品および光ファイバ剥き折り方法に関し、特に、簡単な操作で光ファイバが切断されて劈開面が得られ、また光ファイバの被覆が除去されることができる光ファイバ剥き折り部品および光ファイバ剥き折り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ切断器には高性能型と簡易型がある。簡易型は光ファイバを曲げ板に載置し、その端をクランプして切断位置に傷をつけ、曲げ板ごと光ファイバを湾曲させて劈開する構造で、良好な切断角度を得るには操作者に習熟が必要であるが、安価であることから広く使われている。
低い接続損失で光ファイバを接続するには、融着、コネクタ等で接続するメカニカルスプライスを問わず良好な光ファイバの切断端部(切断角度、断面粗さ等)で切断する必要がある。そのため、作業者の熟練によらず良好な切断端部が得られる高性能型が主流であった。
【0003】
各需要家まで光ファイバを敷設するFTTH(Fiber To The Home)の普及に伴い、融着機には電柱上や需要家等でハンディに扱える簡易タイプが現われたが、光ファイバ切断器は融着接続やメカニカルスプライス時の接続損失の要求レベルが高くなっており、主に高性能型が用いられていた。高性能型のものは操作者の熟練に依らず良好な光ファイバの切断端部を得ることができ、例えば、特開平1−112206号公報あるいは特開平1−126601号公報に開示されている。
【0004】
近年、各需要家への光ファイバの敷設工事は増えてきており、多数の敷設工事箇所に対して多数の光ファイバ切断器が必要となってきている。ところが高性能型のものは非常に高価であるため、各々の敷設工事箇所に対して多数の高性能型の光ファイバ切断器を配置するとなるとコストは非常に多額となる。よって、高性能型と比較しコストのかからない簡易型の光ファイバ切断器に対しても操作者の熟練に依らず良好な光ファイバの切断端部が得られることが求められるようになってきた。
【0005】
例えば、電柱近傍に配設されたクロージャ内に収納された光ファイバの端部に光コネクタ等の接続部を設けるにあたり、光ファイバを切断する際、従来は金属製の刃が設けられた工具(カッタ)を用いていた。
【0006】
この工具は、光ファイバに、光ファイバの長手方向軸線に対し垂直な方向に先ず傷を入れてから、これを劈開して切断するもので、ある程度の熟練が必要であり、作業者によっては上手く切断できないことがあった。
【0007】
特開昭62−231203号公報には、従来の簡易型の光ファイバ切断器が開示されている。図13は、従来の光ファイバ切断器を示す斜視図である。図示しないが、光ファイバ心線は光ファイバ切断器の長手方向に沿って配置される。従来の光ファイバ切断器は、支持板112のブラケット112aに軸支され図示しない光ファイバを押さえるクランプレバー114と、ブラケット112aに軸支されバイトブロック116が取り付けられたバイトアーム146と、支持板112に取り付けられた引張曲げ応力付与手段120とを備えている。この光ファイバ切断器によって次の通り光ファイバ心線が切断される。
【0008】
切断すべき部分が皮剥ぎによって露出された光ファイバを光ファイバ受け部材136の係入溝152に係入し、クランプレバー114をバネ126に抗して持ち上げて心線をクランプレバー114のゴム板124と支持板112のゴム板122との間に挟む。次いで、バイトアーム146をバネ128に抗して押し下げてバイトブロック116内のバイト(刃)を心線を介してゴム層142の上に押し付ける。これによって心線に切り込みが設けられ、次いで、光ファイバと共にファイバ受け部材136を支持軸132を中心にバネ138に抗して下向きに枢動させる。従って、心線はローラ140を支点として曲げが与えられて引張応力が与えられて心線が切断される。
【特許文献1】特開昭62−231203号公報
【特許文献2】特開平1−112206号公報
【特許文献3】特開平1−126601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、光ファイバを敷設工事が増え、簡易型の光ファイバ切断器に対しても操作者の熟練に依らず良好な光ファイバの切断端部が得られることが求められるようになってきた。それに伴って、従来の簡易型の光ファイバ切断器においては、光ファイバに傷をつけるための金属刃、ダイヤモンド刃が取り付けられていたが、これら金属刃を使用すると、光ファイバに過度の傷が付いて使用に適さなかったり、例えば暗闇の中での操作時には作業が困難であるという問題点があった。
【0010】
また、光ファイバの切断と合わせて光ファイバの被覆の除去を同時に容易に行うことができなかった。
【0011】
従って、この発明の目的は、安定して操作することができ、操作者の熟練に依らず良好な光ファイバの切断端部が得られ、また、光ファイバの被覆を除去することができる光ファイバ剥き折り部品および光ファイバ剥き折り方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、金属またはダイヤモンドの刃の代わりに、合成樹脂によって形成された刃を使用すると、光ファイバに刃を押し付けたときに、刃自体が変形して、所定の傷が光ファイバのクラッド表面部に付き、この光ファイバを、傷の付いた部位を傷と反対側に曲げると、カット面の状態が良く、接続する際に、所定の接続損失で接続でき、従って、操作者の熟練に頼らず容易に安定して光ファイバを切断することができることが判明した。
【0013】
更に、光ファイバ切断刃とは別に、第一部材および第二部材のそれぞれに、溝内に収容された被覆光ファイバを挟むように所定の間隔を開けて対向して設けられ、前記第一部材および第二部材を当接させた際、対応するように配置された各1対の被覆除去刃も同様に樹脂材料で形成して、光ファイバ切断刃から所定間隔をあけて被覆除去刃を配置すると、上述した光ファイバ切断刃の動作と連係して、被覆除去刃によって被覆光ファイバの被覆の一部が切りとられて、光ファイバ切断刃によって傷の付いた部位を傷と反対側に曲げると、光ファイバが切断され、且つ、被覆が除去されることが判明した。
【0014】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明の光ファイバの剥き折り部品の第1の態様は、長手方向にのび被覆光ファイバを収容可能な溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた光ファイバ切断刃、および該光ファイバ切断刃と間隔を隔てて前記溝部内に一体的に設けられ長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に屈折部を備えた樹脂材料からなる第一部材と、
前記第一部材に対向して配置される、被覆ファイバを収容可能で前記第一部材の溝部に対応する溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた前記第一部材の1対の被覆除去刃と対応して長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、
中間部に前記第一部材の屈折部と対応する屈折部とを備えた樹脂材料からなる第二部材とからなる光ファイバ剥き折り部品である。
【0015】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第2の態様は、前記第一部材の前記1対の被覆除去刃はその端部にテーパー部を備えており、前記第二部材の前記1対の被覆除去刃は、前記第一部材の前記テーパー部に対応する端部にテーパー部を備えていることを特徴とする、光ファイバ剥き折り部品である。
【0016】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第3の態様は、前記中間部の前記各屈折部が肉厚の小さい連結部からなっており、前記連結部によって第一部材の一方の部材および他方の部材、並びに、第二部材の一方の部材および他方の部材がそれぞれ連結されていることを特徴とする光ファイバ剥き折り部品である。
【0017】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第4の態様は、前記連結部の厚さが、0.4から2.0mmの範囲内であることを特徴とする光ファイバ剥き折り部品である。
【0018】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第5の態様は、前記第一部材および前記第二部材を対向配置したときに、前記第一部材および第二部材の各一方の部材における、前記光ファイバ切断刃と前記被覆除去刃の間に所定の空間部を備えていることを特徴とする光ファイバ剥き折り部品である。
【0019】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第6の態様は、前記空間部は第一部材および第二部材にわたって形成されている光ファイバ剥き折り部品である。
【0020】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第7の態様は、前記空間部は、第二部材にのみ形成されている光ファイバ剥き折り部品である。
【0021】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第8の態様は、前記第二部材に形成された前記空間部は、前記光ファイバ切断刃から前記被覆除去刃に向かって上り傾斜のテーパー部を備えている、光ファイバ剥き折り部品である。
【0022】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第9の態様は、前記第一部材に形成された前記空間部は、前記光ファイバ切断刃から前記被覆除去刃に向かって上り傾斜のテーパー部を備えている、光ファイバ剥き折り部品である。
【0023】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第10の態様は、第一部材と第二部材の対向するそれぞれの対向面を当接させたときに、前記光ファイバ切断刃は、前記刃自体が変形するまで前記溝部に収納された光ファイバに押し付けられて前記光ファイバに傷をつける高さを有しており、前記第一部材および第二部材の各1対の被覆除去刃の間隔は、前記光ファイバ心線の直径に概ね一致していることを特徴とする光ファイバ剥き折り部品である。
【0024】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第11の態様は、前記樹脂材料が、エポキシ系、または、PPS(ポリフェニレンサルファイド)系合成樹脂からなり、ガラスフィラー60%以上を含有することを特徴とする光ファイバ剥き折り部品である。
【0025】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第12の態様は、前記溝部がそれぞれ平らな底面、および、前記底面から傾斜した両側面からなっており、前記光ファイバ切断刃が前記溝部内に位置し、刃の頂部が前記第一部材の表面と概ね一致して形成されていることを特徴とする光ファイバ剥き折り部品である。
【0026】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第13の態様は、前記溝部がそれぞれ平らな底面、および、前記底面から傾斜した両側面からなっており、前記光ファイバ切断刃が前記溝部内に位置し、刃の頂部が前記第二部材の溝部内に突出して形成されていることを特徴とする、光ファイバ剥き折り部品である。
【0027】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第14の態様は、前記各1対の被覆除去刃の間隔が0.128から0.140mmの範囲内であることを特徴とする光ファイバ剥き折り部品である。
【0028】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第15の態様は、前記光ファイバ切断刃および前記被覆除去刃の先端部の角度が10から45度の範囲内であることを特徴とする光ファイバ剥き折り部品である。
【0029】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第16の態様は、前記第二部材の一方の部材が、他方の部材に対向する対向面側にテーパー部を備えていることを特徴とする光ファイバ剥き折り部品である。
【0030】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第17の態様は、前記光ファイバ切断刃および/または前記被覆除去刃が設けられていない前記第一部材および前記第二部材のそれぞれの部分の溝部内の対応する少なくとも1つの部位に、被覆光ファイバを保持する突起部を備えていることを特徴とする、光ファイバ剥き折り部品である。
【0031】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第18の態様は、前記突起部の高さが0.01から0.05mmの範囲内であることを特徴とする、光ファイバ剥き折り部品である。
【0032】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の第19の態様は、前記第二部材の溝部内における前記光ファイバ切断刃に対抗する部位に、ステージが設けられていることを特徴とする、光ファイバ剥き折り部品である。
【0033】
この発明の光ファイバの剥き折り方法の第1の態様は、長手方向にのび被覆光ファイバを収容可能な溝部と、当該溝部内に一体的に形成された光ファイバ切断刃、および該光ファイバ切断刃と間隔を隔てて前記溝部内に一体的に設けられ長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に屈折部を備えた樹脂材料からなる第一部材と、被覆ファイバを収容可能で前記第一部材の溝部に対応する溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた前記第一部材の1対の被覆除去刃と対応して長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に前記第一部材の屈折部と対応する屈折部とを備えた樹脂材料からなる第二部材とを対向配置し、
前記溝部に被覆光ファイバを収容し、
前記中央部において、前記下部材と前記上部材を所定の力で押圧して、前記光ファイバ切断刃を、前記刃自体が変形するまで光ファイバに押し付けて前記光ファイバに傷をつけ、
前記屈折部において、前記光ファイバ切断刃によって傷が付いた光ファイバの部位に張力を付加して、傷と反対側に曲げて、光ファイバを切断し、同時に、対向配置された各1対の前記被覆除去刃によって、光ファイバの被覆を除去する、光ファイバ剥き折り方法である。
【発明の効果】
【0034】
この発明の光ファイバ剥き折り部品によると、より確実に、所定の長さにわたって被覆光ファイバの被覆を除去し、光ファイバの切断を行うことができる。この発明の光ファイバ剥き折り部品を用いて光ファイバを切断して光コネクタを組み立てて、屈折率整合剤を接続端面に塗布して接続したところ、1.0dB以下の接続損失を実現することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
この発明の光ファイバ剥き折り部品および光ファイバ剥き折り方法を、図面を参照しながら説明する。
【0036】
この発明の光ファイバの剥き折り部品の1つの態様は、長手方向にのび被覆光ファイバを収容可能な溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた光ファイバ切断刃、および該光ファイバ切断刃と間隔を隔てて前記溝部内に一体的に設けられ長手方向にほぼ垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に屈折部とを備えた樹脂材料からなる第一部材と、前記第一部材に対向して配置される、被覆ファイバを収容可能で前記第一部材の溝部に対応する溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた前記第一部材の1対の被覆除去刃と対応して長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に前記第一部材の屈折部と対応する屈折部とを備えた樹脂材料からなる第二部材とからなる光ファイバ剥き折り部品である。尚、上下各部材に形成
されているそれぞれの刃は、上下各部材を樹脂材料でそれぞれ成形する際、一体成形して形成することができる。
【0037】
図1は、この発明の光ファイバ剥き折り部品を示す斜視図である。図2は図1に示す第一部材(即ち、下部材)と第二部材(即ち、上部材)を分解した図である。図2(a)は下部材を示す斜視図である。図2(b)は上部材を示す斜視図である。図2(c)は、図2(a)の端部の部分拡大図である。
【0038】
図1に示すように、この発明の光ファイバ剥き折り部品1は、樹脂材料からなる下部材2、および、樹脂材料からなる上部材3を備えている。下部材2は一方の部材(即ち、左下部材)2aおよび他方の部材(即ち、右下部材)2bからなっており、上部材3は一方の部材(即ち、左上部材)3aおよび他方の部材(右上部材)3bからなっている。上部材および下部材には、それぞれ、各部材2、3の長手方向にのび対向する面内に光ファイバを収納する溝部4とこの溝部4の端部に略円錐を半割りにした形状に形成された光ファイバ挿入部4−1a、4−2aを備えている。
【0039】
なお、図2(c)に拡大して示すように、この光ファイバ挿入部4aは、後述する右下部材および右上部材の端部に設けられ、各部材を対向配置したときに略円錐状に形成される。さらに上部材の中央部にテーパ部を有する屈折部5を備えている。テーパー部は図7を参照して後述するように、左側部材の折り曲げ操作を容易にする。
【0040】
図2(a)に示すように、下部材の上表面中央部に長手方向にそって被覆光ファイバが収納される溝部4−1が形成されている。下部材の中央部の溝部内には(図示しない)光ファイバのクラッド表面部に傷をつける樹脂材料の光ファイバ切断刃、および、被覆光ファイバの被覆を除去する被覆除去刃が一体的に形成されている。図2(b)に示すように樹脂材料で形成された上部材は中央部の表面部にテーパ部を有する屈折部を備えている。
上部材の下部材と対向する面に図2(a)に示した溝部と対応する溝部4−2が形成されている。上部材の溝部内には、(図示しない)被覆光ファイバの被覆を除去する樹脂材料で形成された被覆除去刃が一体的に形成されている。
【0041】
光ファイバ切断刃は、被覆光ファイバ6の軸方向に対して、樹脂材料の刃が下方から直角に当る。所定の間隔を隔てて上部材および下部材にそれぞれ形成された1対の被覆除去刃は、後述するように、光ファイバ心線の両側部に位置する被覆に対して、上下から樹脂材料の刃が直角に当る。尚、上部材3の両端部には突部3cが設けられ、下部材2の上部材3との対向面4隅には、前記上部材3の突部と係合する係合柱2cが突出して設けられている。前記各突部をそれぞれの係合柱間に係合させて上部材3と下部材2とを対向配置すると、上部材3と下部材2とは係合柱の高さの範囲内で相対的に近づいたり離れたりして自由に移動することができる。
【0042】
下部材、上部材、光ファイバ切断刃および被覆除去刃は、何れも樹脂材料からなっており、これらを形成する樹脂材料が、エポキシ系、または、PPS(ポリフェニレンサルファイド)系合成樹脂からなっており、例えば、広く使用されているフェルール用の合成樹脂を用いることができる。また、前記合成樹脂にガラスフィラーを混入したものを用いることもできる。この場合、光ファイバ切断刃は、光ファイバ(被覆が無い状態の光ファイバ)に押し付けられ変形した際、樹脂に含有されるガラスフィラーが前記光ファイバのクラッド表面に押し付けられクラッド表面部に所定の傷を付けることができる。尚、ガラスファイラーを60%以上含有させると、光ファイバのクラッド表面部に常に良好な傷を付けることができ、光ファイバのカット面の状態も良く、接続損失をさらに抑えて光接続をすることができる。
【0043】
図3は、この発明の光ファイバ剥き折り部品を説明する概略断面図である。
【0044】
図3に示すように、下部材および上部材の中央部の屈折部が肉厚の小さい連結部7からなっており、連結部7によって左下部材2aおよび右下部材2b、並びに、左上部材3aおよび右上部材3bがそれぞれ連結されている。更に、下部材2および上部材3には光ファイバを挟んでそれぞれ空間部8−1、8−2が形成されている。そして前記各刃9、10間において下部材2の底面および上部材3の天面が光ファイバに接触しないように設けられている。下部材における空間部は概ね光ファイバ切断刃と被覆除去刃との間に形成されており、上部材における空間部は光ファイバ切断刃から被覆除去刃に至りさらに被覆除去刃の前方まで延びて形成されている。左下部材2aには光ファイバ切断刃9と、被覆除去刃10−1が設けられている。左上部材3aには被覆除去刃10−1に対応する位置に
被覆除去刃10−2が設けられている。即ち、光ファイバ切断刃9は左下部材のみに設けられている。
【0045】
図4は、光ファイバ切断刃を被覆光ファイバに押し付けた状態を説明する拡大図である。図4に示すように、被覆光ファイバ6に光ファイバ切断刃9が下方から押し付けられて、先ず被覆6bが切断され、更に刃9自体が変形するまで光ファイバ6aのクラッド表面に押し付けられて光ファイバ6aのクラッド表面に傷をつける。
【0046】
図5は、対向配置された各1対の被覆除去刃によって被覆に切り込む状態を説明する図である。下部材には、下部材の長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて1対の被覆除去刃10−1が設けられており、上部材には、下部材の1対の被覆除去刃に対応して1対の被覆除去刃10−2が上部材の長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置されて設けられている。図5に示すように、溝部に被覆光ファイバ6が収容され、中央部において下部材2と上部材3を所定の力で押圧すると、上部材に設けられた1対の被覆除去刃10−2と下部材に設けられた1対の被覆除去刃10−1が、上下から被覆6bに切り込まれ、先端部が突き合わされた状態で停止する。即ち、対向配置される1対の被覆除去刃10−1、10−2の所定間隔は光ファイバ心線の直径に概ね一致させて、光ファイバ心線の断面の両側部の被覆に被覆除去刃が切り込まれ、光ファイバのクラッド表面に傷が付くことがないようにあらかじめ一体的に設けられている。
【0047】
図6は、溝部内に設けられた光ファイバ切断刃および被覆除去刃を説明する拡大図である。図6(a)は、上部材に形成された所定間隔を開けて対抗配置して設けられた1対の被覆除去刃を示し、図6(b)は、下部材に形成された光ファイバ切断刃および所定の間隔を開けて対抗配置して設けられた1対の被覆除去刃を示す。図6(a)に示すように、上部材には下部材に対向する面に、被覆光ファイバが収容される溝部4−2に連接して空間部8−2が設けられている。空間部には被覆光ファイバに対して所定の間隔を開けて対向配置して1対の被覆除去刃10−2が設けられている。上述したように、所定の間隔は概ね光ファイバ心線に一致している。上部材に設けられた空間部8−2は1対の被覆除去刃10−2の反対側にも延伸して設けられている。1対の被覆除去刃10−2の先端部に
は、被覆への切込みが容易になるようにテーパーが設けられている。
【0048】
図6(b)に示すように、下部材には上部材に対向する面に、被覆光ファイバが収容される溝部4−1が設けられ、溝部内に光ファイバ切断刃9が設けられている。光ファイバ切断刃9は、光ファイバに直角に刃が当るように一体的に形成されている。溝部4−1に連接して空間部8−1が設けられている。空間部8−1は概ね光ファイバ切断刃と被覆除去刃の間に設けられている。空間部8−1には、1対の被覆除去刃10−2に対応して、被覆光ファイバに対して所定の間隔を隔てて1対の被覆除去刃10−1が対抗配置して設けられている。上述したように、前記所定の間隔は概ね光ファイバ心線に一致している。
1対の被覆除去刃10−1の先端部には、被覆への切込みが容易になるようにテーパーが設けられている。図6(a)に示す面と、図6(b)に示す面とが合わせられる。
【0049】
図4および図5を参照して説明したように、被覆光ファイバ6に光ファイバ切断刃9が下方から押し付けられて、先ず被覆6bが切断され、更に刃9自体が変形するまで光ファイバ6aに押し付けられて光ファイバ6aに傷をつける。上部材に設けられた1対の被覆除去刃10−2と下部材に設けられた1対の被覆除去刃10−1が、上下から先端部が突き合わされた状態になるまで被覆6bに切り込まれる。被覆除去刃によって光ファイバのクラッドに傷が付くことは無い。
【0050】
なお、上述した空間部は、光ファイバのクラッド表面部に光ファイバ切断刃で傷をつけ、被覆除去刃で被覆光ファイバの被覆に切り込んだ後、光ファイバの曲げ位置をずらし、光ファイバが左部材および右部材の接合部で折れるのを防止する機能を備えている。
1対の被覆除去刃の間の間隔は、上部材3と下部材2の対向する各対向面を当接させたときに、0.128mmから0.140mmの範囲内である。間隔が0.128mm未満の場合には、光ファイバのクラッドに傷がつく可能性がある。間隔が0.140mmを超える場合には、被覆の除去ができない恐れがある。連結部の厚さは、0.4mmから2.0mmの範囲内である。連結部の厚さが0.4mm未満では、意図しない段階で操作途中に折れてしまう可能性がある。連結部の厚さが2.0mmを超えると折れ難くなり操作が困難になる恐れがある。
【0051】
図6を参照して説明したように、下部材に形成された溝部4−1と上部材に形成された溝部4−2が対向して配置される。溝部4−1の中において光ファイバ切断刃9が下部材と一体的に形成され、空間部8−1の概ね端部には被覆除去刃10−1が下部材と一体的に形成されている。更に、溝部4−2に連接して設けられた空間部8−2は、被覆除去刃10−2が上部材と一体的に形成されている。光ファイバ切断刃9は、被覆光ファイバに押し付けられると被覆を突き破り、樹脂材料は、例えば石英ガラス等からなる光ファイバよりも柔らかいので、樹脂材料の刃9の先端部自体が変形して光ファイバ6のクラッド表面に押し付けられる。刃9が押し付けられたときに、光ファイバのクラッド表面部に傷がつく。このように、樹脂材料の刃は光ファイバに押し付けられるだけで、水平方向に引いたり押したり、あるいは、回転させることなく光ファイバのクラッド表面部に傷を付けることができる。
【0052】
被覆除去刃10も同様に樹脂材料で形成されているが、例えば石英ガラス等からなる光ファイバに較べると被覆は柔らかいので、各1対の刃10を上下から被覆光ファイバに押し付けると光ファイバのクラッドに傷を付けることなく、両端部の被覆に切り込んでいく。
【0053】
光ファイバ切断刃9、被覆除去刃10は、何れも刃の先端部の角度αは、10から45度の範囲内である。刃の先端部の角度αが10度未満のときは、光ファイバ切断刃として必要な強度を確保することが困難であり、また、刃が折れ易く、成形が困難である。刃の先端部の角度αが45度を超えると、光ファイバのクラッド表面に刃を押し当てても、光ファイバのクラッドに傷をつけることができず、光ファイバを切断することができない、また、被覆への切り込みも不十分である。なお、傷が付けられた部分と反対側に向かって光ファイバ6を曲げて劈開し、被覆を除去する。
【0054】
この発明の光ファイバ剥き折り部品の1つの態様においては、光ファイバ切断刃および/または被覆除去刃が設けられていない第一部材および第二部材のそれぞれの部分の溝部内の対応する少なくとも1つの部位に、被覆光ファイバを保持する突起部を備えている。
図7は、溝部内に形成された突起部を説明する断面図である。図7(a)は被覆光ファイバを収容しないで第一部材と第二部材とを対向配置した状態を示す断面図である。図7(b)は被覆光ファイバを収容して、第一部材と第二部材とを対向配置した状態を示す断面図である。図7(a)に示すように、対向配置された第一部材2と、第二部材3の溝部4内の対応する部位に略ドーム状の先端部が丸くなった突起部11−1、11−2が設けられている。図7(b)に示すように、突起部11−1、11−2は溝部内に収容された被覆光ファイバの外周面の一部を押圧して、被覆光ファイバを保持しその場に固定する。少なくとも1対の突起部が第一部材、第二部材の溝部内に一体的に形成される。従って、所定の間隔を隔てて複数対形成されてもよい。
【0055】
突起部の位置は、第一部材、第二部材の溝部内のそれぞれ対応する位置が好ましい。このように突起部を設けることによって、光ファイバ切断刃、被覆除去刃が存在しない方の部材において、被覆光ファイバを溝部内により確実に保持することがきるので、光ファイバの切断、被覆の除去に際して、溝部内で被覆光ファイバの位置にズレが生じることなく、光ファイバの剥き折りが容易になる。
【0056】
突起部の高さは、溝部の底面から0.01から0.05mmの範囲内である。突起部の高さが0.01mm未満では溝部内における被覆光ファイバのより確実な保持が不十分であり、効果が期待できない。一方、突起部の高さが0.05mmを超えると、第一部材と第二部材の対向面を当接しにくくなるため被覆光ファイバが溝部内で不安定な状態になり、被覆光ファイバの保持が不十分である。
この発明の光ファイバ剥き折り部品の1つの態様においては、溝部がそれぞれ平らな底面、および、底面から傾斜した両側面からなっており、前記光ファイバ切断刃が溝部内に位置し、刃の頂部が第二部材の溝部内に突出して形成されている。
図8(a)は、光ファイバ切断刃の頂き部が第二部材の溝部内に突出した状態を説明する図である。図8(a)に示すように、第一部材2の溝部4−1内に一体的に形成された光ファイバ切断刃9の頂き部が第一部材の表面(図中、点線で示す)よりも上方に突出して第二部材の溝部内に位置している。このように光ファイバ切断刃を第二部材の溝部内に突出させることによって、切断刃が光ファイバにより確実に押し付けられ、切断がさらに容易かつ確実になる。
【0057】
この発明の光ファイバ剥き折り部品の1つの態様においては、第二部材の溝部内における光ファイバ切断刃に対向する部位に、ステージが設けられている。図8(b)は光ファイバ切断刃に対向する溝部内の部位に設けられたステージを説明する図である。上述した態様においては、光ファイバ切断刃の頂き部分を対向する溝部内に突出させることによって、刃の頂部分と光ファイバとの間の距離を短くして、光ファイバ切断刃が光ファイバに確実に押し付けられるようにした。
【0058】
この態様においては、第二部材の溝部内にステージを設けて、相対的に刃の頂部と光ファイバとの間の距離を短くして、光ファイバ切断刃が光ファイバに確実に押し付けられるようにしている。図8(b)に示すように、溝部4−1内に光ファイバ切断刃9が一体的に形成された第一部材2に対向配置される第二部材3の溝部4−2内の、光ファイバ切断刃9に対応する部位にステージ12が設けられている。
この場合には、光ファイバ切断刃9の頂部は第一部材2の表面と概ね一致して形成される。ステージ12は表面が平らな矩形の部材で第二部材3と一体的に形成されてもよい。ステージ12の表面は被覆光ファイバの外周と対応する形状の凹状であってもよい。このようにステージを設けることによって、相対的に刃の頂部と光ファイバとの間の距離を短くして、光ファイバ切断刃が光ファイバにより確実に押し付けられ、切断がさらに容易かつ確実になる。
【0059】
この発明の光ファイバ剥き折り部品の1つの態様においては、第一部材および第二部材を対向配置したときに、第一部材および第二部材の各一方の部材における、光ファイバ切断刃と被覆除去刃の間に所定の空間部を備えている。上述した空間部は第一部材および第二部材にわたって形成されている光ファイバ剥き折り部品である。空間部は、第二部材にのみ形成されていてもよい。
【0060】
図9は、空間部を説明する断面図である。図9に示す態様においては、光ファイバ切断刃と被覆除去刃の間に形成される空間部は8、第二部材3にのみ形成されている。更に、図10に示すように、第二部材3に形成された空間部8は、光ファイバ切断刃から被覆除去刃に向かって上り傾斜のテーパー部13を備えていてもよい。図10に示す態様においては、空間部8は第二部材のみに設けられて、上述したテーパー部を備えている。
図11は、空間部の他の態様を説明する断面図である。図11に示すように、空間部は第一部材から第二部材にわたって形成され、第二部材に形成された空間部は、光ファイバ切断刃から被覆除去刃に向かって上り傾斜のテーパー部を備え、第一部材に形成された空間部も、第二部材と同様に、光ファイバ切断刃から被覆除去刃に向かって上り傾斜のテーパー部を備えている。
上述したように、空間部にテーパー部を設けることによって、光ファイバ切断後、被覆はさらに容易に除去される。
【0061】
次に、光ファイバ剥き折り方法について説明する。
【0062】
この発明の光ファイバ剥き折り方法は、次のステップからなっている。
【0063】
即ち、長手方向にのび被覆光ファイバを収容可能な溝部と、当該溝部内に一体的に形成された光ファイバ切断刃、および該光ファイバ切断刃と間隔を開けて前記溝部内に一体的に設けられた長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に屈折部とを備えた樹脂材料からなる第二部材と、被覆ファイバを収容可能で前記第一部材の溝部に対応する溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた前記第一部材の1対の被覆除去刃と対応して所定の間隔を隔てて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に前記第一部材の屈折部と対応する屈折部とを備えた樹脂材料からなる第二部材とを対向配置し、
前記溝部に被覆光ファイバを収容し、
前記中央部において、前記下部材と前記上部材を所定の力で押圧して、前記光ファイバ切断刃を、前記刃自体が変形するまで光ファイバに押し付けて前記光ファイバに傷をつけ、
前記屈折部において、前記光ファイバ切断刃によって傷が付いた光ファイバの部位に張力を付加して、傷と反対側に曲げて、光ファイバを切断し、同時に、対向配置された各1対の前記被覆除去刃によって、光ファイバの被覆を除去する、
【0064】
図12を参照して、この発明の光ファイバ剥き折り方法を説明する。
図12(a)に示すように、下部材と上部材のそれぞれ溝部4が形成された面を対向させた状態で係合し、溝部4の端部に形成された光ファイバ挿入部から下部材と上部材の溝部に単心の被覆された光ファイバを先端が光ファイバ切断刃を超える位置まで挿入する。そして、下部材と上部材間に挟み込んで被覆光ファイバを光ファイバ剥き折り部品1に装着する。
【0065】
この状態で、図に示すように親指と人差し指で下部材と上部材の各部材を押えて、さらに図中の左側の部材である左下部材および左上部材の光ファイバ切断刃および被覆除去刃に対応する部分を指で押圧して下部材と上部材の各対向面を当接させる。このとき、光ファイバ切断刃9は被覆光ファイバの被覆を突き破り光ファイバのクラッド表面に当接し変形してクラッド表面部に傷を付け、各対の被覆除去刃10は垂直方向に被覆光ファイバの両端部の被覆に切り込んで被覆を切断する。
【0066】
次いで、図12(b)に示すように、光ファイバ切断刃が傷をつけた部位と反対側(即ち、図中では上方向)に手折りを加える。この段階で、左側部材と右側部材の連結部において、光ファイバの被覆が除去されて裸ファイバが露出している。図12(b)に示すように更に、光ファイバ切断刃によって傷付けられた部位で光ファイバが切断される。図12(c)の段階で、切断された光ファイバが開放されて、図12(d)に示すように、被覆が除去されて裸ファイバが露出した状態になる。
【0067】
このように被覆を除去し、且つ、光ファイバ切断刃を用いて切断された光ファイバを使用して光コネクタを組み立てて、屈折率整合剤を接続端面に塗布して接続したところ、1.0dB以下の接続損失を実現することができた。
【0068】
本発明によれば、下部材と上部材を指で押さえて所定の力で押圧して作業を行うことができるので、人手により簡単に被覆光ファイバの端末部を処理することができる。また、特別な工具を用いずに処理することができる。
更に、刃を光ファイバの長手方向軸線に対して垂直な方向に移動させることはないので、誰でも簡単に光ファイバに傷をいれて切断することができる。
【0069】
この発明によると、樹脂材料で光ファイバ切断刃および被覆除去刃を一体的に成形するので、コストを低減することができる。また、何れの刃も樹脂材料で成形されているため従来のものと比べ低コストであるので、刃が形成されている部材は使用後捨ててしまってもよい。
また、この発明は被覆を除去する前の被覆光ファイバに適用されるので、この場合、切断後不要となる光ファイバは被覆のある被覆光ファイバであるため、例えば、視認が難しい裸ファイバ(被覆光ファイバの被覆が除去されたもの)が手に突き刺さってケガをすることを防止すこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
この発明によると、例えば暗闇の中のような作業条件の悪いところでも安定して操作することができ、操作者の熟練に依らず、被覆が除・BR>獅ウれた良好な光ファイバの切断端部が得られる光ファイバ剥き折り部品および光ファイバ剥き折り方法を提供することができ、産業上利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、この発明の光ファイバ剥き折り部品を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示す下部材と上部材を分解した図である。図2(a)は下部材を示す斜視図である。図2(b)は上部材を示す斜視図である。
【図3】図3は、この発明の光ファイバ剥き折り部品を説明する概略断面図である。
【図4】図4は、光ファイバ切断刃を被覆光ファイバに押し付けた状態を説明する拡大図である。
【図5】図5は、対向配置された各1対の被覆除去刃によって被覆に切り込む状態を説明する図である。
【図6】図6は、溝部内に設けられた光ファイバ切断刃および被覆除去刃を説明する拡大図である。
【図7】図7は、溝部内に形成された突起部を説明する図である。
【図8】図8(a)は光ファイバ切断刃の頂き部が第二部材の溝部内に突出した状態を説明する図である。図8(b)は、光ファイバ切断刃に対抗する溝部内の部位に設けられたステージを説明する図である。
【図9】図9は、空間部を説明する断面図である。
【図10】図10は、空間部の他の態様を説明する断面図である。
【図11】図11は、空間部の他の態様を説明する断面図である。
【図12】図12は、この発明の光ファイバ剥き折り方法を説明する図である。
【図13】図13は、従来の光ファイバ切断器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 光ファイバ剥き折り部品
2 下部材
2a 左下部材
2b 右下部材
2c 係合柱
3 上部材
3a 左上部材
3b 右上部材
3c 突部
4、4−1 溝部
4−1a、4−2a光ファイバ挿入部
5 屈曲部
6 光ファイバ
7 連結部
8 空間部
9 光ファイバ切断刃
10、10−1、10−2 被覆除去刃
11−1、11−2 突起部
12 ステージ
13 テーパー部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向にのび被覆光ファイバを収容可能な溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた光ファイバ切断刃、および該光ファイバ切断刃と間隔を隔てて前記溝部内に一体的に設けられ長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に屈折部を備えた樹脂材料からなる第一部材と、
前記第一部材に対向して配置される、被覆ファイバを収容可能で前記第一部材の溝部に対応する溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた前記第一部材の1対の被覆除去刃と対応して長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に前記第一部材の屈折部と対応する屈折部とを備えた樹脂材料からなる第二部材とからなる光ファイバ剥き折り部品。
【請求項2】
前記第一部材の前記1対の被覆除去刃はその端部にテーパー部を備えており、前記第二部材の前記1対の被覆除去刃は、前記第一部材の前記テーパー部に対応する端部にテーパー部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項3】
前記中間部の前記各屈折部が肉厚の小さい連結部からなっており、前記連結部によって第一部材の一方の部材および他方の部材、並びに、第二部材の一方の部材および他方の部材がそれぞれ連結されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項4】
前記連結部の厚さが、0.4から2.0mmの範囲内である、請求項3に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項5】
前記第一部材および前記第二部材を対向配置したときに、前記第一部材および第二部材の各一方の部材における、前記光ファイバ切断刃と前記被覆除去刃の間に所定の空間部を備えていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項6】
前記空間部は第一部材および第二部材にわたって形成されている請求項5に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項7】
前記空間部は、第二部材にのみ形成されている請求項5に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項8】
前記第二部材に形成された前記空間部は、前記光ファイバ切断刃から前記被覆除去刃に向かって上り傾斜のテーパー部を備えている、請項6または7に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項9】
前記第一部材に形成された前記空間部は、前記光ファイバ切断刃から前記被覆除去刃に向かって上り傾斜のテーパー部を備えている、請項6または8に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項10】
第一部材と第二部材の対向するそれぞれの対向面を当接させたときに、前記光ファイバ切断刃は、前記刃自体が変形するまで前記溝部に収納された光ファイバに押し付けられて前記光ファイバに傷をつける高さを有しており、前記第一部材および第二部材の各1対の被覆除去刃の間隔は、前記光ファイバ心線の直径に概ね一致していることを特徴とする、請求項1から9の何れか1項に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項11】
前記樹脂材料が、エポキシ系、または、PPS(ポリフェニレンサルファイド)系合成樹脂からなり、ガラスフィラー60%以上を含有することを特徴とする、請求項1から10の何れか1項に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項12】
前記溝部がそれぞれ平らな底面、および、前記底面から傾斜した両側面からなっており、前記光ファイバ切断刃が前記溝部内に位置し、刃の頂部が前記第一部材の表面と概ね一致して形成されていることを特徴とする請求項10または11に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項13】
前記溝部がそれぞれ平らな底面、および、前記底面から傾斜した両側面からなっており、前記光ファイバ切断刃が前記溝部内に位置し、刃の頂部が前記第二部材の溝部内に突出して形成されていることを特徴とする請求項10または11に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項14】
前記各1対の被覆除去刃の間隔が0.128から0.140mmの範囲内であることを特徴とする請求項10または11に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項15】
前記光ファイバ切断刃および前記被覆除去刃の先端部の角度が10から45度の範囲内である、請求項10から14の何れか1項に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項16】
前記第二部材の一方の部材が、他方の部材に対向する対向面側にテーパ部を備えていることを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項17】
前記光ファイバ切断刃および/または前記被覆除去刃が設けられていない前記第一部材および前記第二部材のそれぞれの部分の溝部内の対応する少なくとも1つの部位に、被覆光ファイバを保持する突起部を備えていることを特徴とする請求項1から16の何れか1項に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項18】
前記突起部の高さが0.01から0.05mmの範囲内であることを特徴とする請求項17に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項19】
前記第二部材の溝部内における前記光ファイバ切断刃に対抗する部位に、ステージが設けられていることを特徴とする、請求項1から18の何れか1項に記載の光ファイバ剥き折り部品。
【請求項20】
長手方向にのび被覆光ファイバを収容可能な溝部と、当該溝部内に一体的に形成された光ファイバ切断刃、および該光ファイバ切断刃と間隔を隔てて前記溝部内に一体的に設けられ長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に屈折部を備えた樹脂材料からなる第一部材と、被覆ファイバを収容可能で前記第一部材の溝部に対応する溝部と、当該溝部内に一体的に設けられた前記第一部材の1対の被覆除去刃と対応して長手方向に垂直な方向に所定の間隔を開けて対向配置された1対の被覆除去刃と、中間部に前記第一部材の屈折部と対応する屈折部とを備えた樹脂材料からなる第二部材とを対向配置し、
前記溝部に被覆光ファイバを収容し、
前記中央部において、前記下部材と前記上部材を所定の力で押圧して、前記光ファイバ切断刃を、前記刃自体が変形するまで光ファイバに押し付けて前記光ファイバに傷をつけ、
前記屈折部において、前記光ファイバ切断刃によって傷が付いた光ファイバの部位に張力を付加して、傷と反対側に曲げて、光ファイバを切断し、同時に、対向配置された各1対の前記被覆除去刃によって、光ファイバの被覆を除去する、光ファイバ剥き折り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−212989(P2007−212989A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87686(P2006−87686)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】