説明

光ファイバ端面検査装置

【課題】現場で光ファイバにコネクタを取り付ける場合でも光ファイバの端面形状を容易に、かつ確実に確認することができる。
【解決手段】光ファイバ10を把持する光ファイバ把持部2と、光ファイバ把持部2が挿入可能な第1挿入孔32,第2挿入孔33が形成され、光ファイバ10の端面10aの形状を確認するための拡大レンズ4が設けられた本体部3と、を備える。第1挿入孔32および第2挿入孔33は拡大レンズ4に対して光ファイバ把持部2が挿入される方向がそれぞれ異なるように形成されているとともに、いずれの挿入孔32,33から光ファイバ把持部2を挿入しても光ファイバ10の端面10aが配される位置A,Bが一致し、この位置A,Bに拡大レンズ4の焦点が合わされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの端面を検査する光ファイバ端面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ同士を接続する場合、両方の光ファイバの先端部にそれぞれコネクタを取り付け、このコネクタ同士を接続させている。このとき、接続された光ファイバは、端面同士が物理的に当接している。
コネクタを取り付ける時に、光ファイバの切断不良により光ファイバの端面に欠けなどの損傷があると、光ファイバ同士がうまく接続されず、これが光ファイバの接続部の品質の低下や故障の原因となっている。このため、コネクタを取り付けるときには、光ファイバ端面検査装置を使用して、光ファイバの端面形状の状態を確認している。
例えば、特許文献1には、CCDカメラや、CCDカメラで撮像された画像を表示するモニタなどを備える光ファイバ端面検査装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3797419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の光ファイバ端面検査装置は、CCDカメラやモニタなどを備える大掛かりなもののため、光ファイバにコネクタを大量に取り付ける工場などでは使用されているが、現場でコネクタを取り付ける場合に、このような光ファイバ端面検査装置を携帯して使用することは困難である。特に、屋外や高所でコネクタを取り付ける場合に、従来のような光ファイバ端面検査装置を携帯して使用することは困難である。
このため、現場でコネクタを取り付ける場合には、光ファイバの端面形状の状態を確認していないのが現状となっている。
【0005】
また、従来の光ファイバ端面検査装置では、光ファイバの端面形状を正面や真横などの一方向から確認しているため、実際に確認している範囲の死角になっている箇所に欠けなどの損傷があると、この損傷を確認できないことがある。
【0006】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、現場で光ファイバにコネクタを取り付ける場合でも光ファイバの端面形状を容易に、かつ確実に確認することができる光ファイバ端面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る光ファイバ端面検査装置は、光ファイバを把持する光ファイバ把持部と、該光ファイバ把持部が挿入可能な複数の挿入孔が形成され、前記光ファイバの端面形状を確認するための拡大レンズが設けられた本体部と、を備える光ファイバ端面検査装置であって、前記複数の挿入孔は前記拡大レンズに対して前記光ファイバ把持部が挿入される方向がそれぞれ異なるように形成されているとともに、いずれの挿入孔から前記光ファイバ把持部を挿入しても前記光ファイバの端面が配される位置が一致し、この位置に前記拡大レンズの焦点が合わされていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、複数の挿入孔は拡大レンズに対して光ファイバ把持部が挿入される方向がそれぞれ異なるように形成されていることにより、光ファイバ把持部を挿入する挿入孔を変えることで、光ファイバの端面を異なる角度から確認することができ、1つの方向からでは死角となって見えない光ファイバの端面にできた欠けなどの損傷を、確実に確認することができる。
また、いずれの挿入孔から光ファイバ把持部を挿入しても光ファイバの端面が配される位置が一致し、この位置に前記拡大レンズの焦点が合わされていることにより、光ファイバ把持部を挿入孔に挿入する毎に拡大レンズの焦点を合わせる必要がないため、効率的に使用することができる。
【0009】
また、CCDカメラやCCDカメラで撮影された画像を表示するモニタなどを備える従来の光ファイバ端面検査装置と比べて、簡易な構造とすることができるため、現場にて光ファイバを接続する場合も、光ファイバ端面検査装置を携帯して使用することができて、光ファイバの端面の形状を容易に確認することができる。
【0010】
また、本発明に係る光ファイバ端面検査装置では、前記光ファイバ把持部を前記挿入孔に挿入した状態で保持可能な保持部材が設けられていることが好ましい。
このように、光ファイバ把持部を挿入孔に挿入した状態で保持可能な保持部材が設けられていることにより、光ファイバ把持部が本体部から容易に脱落することがなく、高所や屋外などでも安心して使用することができる。
【0011】
また、本発明に係る光ファイバ端面検査装置では、前記複数の挿入孔のうち、一の挿入孔の内周面の一部以上が、他の挿入孔の内周面の一部以上と重なっていてもよい。
このように、複数の挿入孔のうち、一の挿入孔の内周面の一部以上が、他の挿入孔の内周面の一部以上と重なっていることにより、複数の挿入孔を備える光ファイバ端面検査装置の構造を簡素化させることができるため、光ファイバ端面検査装置の製造コストを削減することができるとともに、製造効率を高めることができる。
【0012】
また、本発明に係る光ファイバ端面検査装置では、本体部には、前記光ファイバの端面を照射する照明器具が設けられていることが好ましい。
このように、本体部には、光ファイバの端面を照射する照明器具が設けられていることにより、光ファイバの端面の形状を明確に確認することができる。
【0013】
また、本発明に係る光ファイバ端面検査装置では、前記本体部に、前記光ファイバの端面を撮影するカメラを支持可能で、かつ、着脱可能なカメラ支持部材が設けられていることが好ましい。
このように、本体部に、光ファイバの端面を撮影するカメラを支持可能で、かつ、着脱可能なカメラ支持部材が設けられていることにより、カメラ支持部材を取り付けることで光ファイバの端面を撮影することができる。これにより、接続される光ファイバの状態を記録することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現場にて光ファイバを接続する場合も光ファイバの端面の状態を容易にかつ確実に確認することができるため、光ファイバ同士の接続部の品質が安定し、光ファイバ同士の接続部の故障を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態による光ファイバ端面検査装置の一例を示す斜視図、(b)は(a)のA方向矢視図である。
【図2】第1挿入孔形成部材および第2挿入孔形成部材を説明する図である。
【図3】カメラ支持部材を説明する図である。
【図4】(a)は第1挿入孔に挿入された光ファイバの端面を示す図、(b)は第2挿入孔に挿入された光ファイバの端面を示す図である。
【図5】欠けが生じた光ファイバの端面を示す図である。
【図6】(a)は本発明の第2実施形態による光ファイバ端面検査装置の一例を示す斜視図、(b)は第1挿入孔形成部材および第2挿入孔形成部材を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による光ファイバ端面検査装置について、図1乃至図5に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、第1実施形態による光ファイバ端面検査装置1Aは、光ファイバ10の端面10aの形状を検査する装置で、光ファイバ10の先端部10b近傍を把持する光ファイバ把持部2と、この光ファイバ把持部2が内部に設置され光ファイバ10の端面10aを確認するための拡大レンズ4が設けられた本体部3と、を備えている。
【0017】
光ファイバ把持部2は、略直方体形状に形成され光ファイバ10が載置される光ファイバ把持部本体21と、光ファイバ把持部本体21とともに光ファイバ10を挟む板状の蓋部22と、を備えている。このとき、光ファイバ10は、その先端部10bが光ファイバ把持部2から所定の長さだけ突出している。
【0018】
図1(a)、(b)に示すように、本体部3は、外形が略直方体形状に形成された外殻部31を備え、外殻部31の内部31aには空間が形成されている。
拡大レンズ4は、外殻部31の上部31b側に設けられていて、使用者は外殻部31の外部から拡大レンズ4を介して内部31aを観察することができる。拡大レンズ4は、接眼レンズ4aと対物レンズ4bとから構成されている。拡大レンズ4の中心軸上には、外殻部31の内部31aの空間が形成されている。
ここで、拡大レンズ4の中心軸4cの延在方向を上下方向とし、本体部3の拡大レンズ4が設けられている側を上側として以下説明する。
【0019】
本体部3には、外殻部31の側部31cから内部31aに向かって延びる2つの挿入孔32,33が形成されている。この挿入孔32,33には、それぞれ光ファイバ把持部2が挿入可能な形状に形成されている。挿入孔32,33に挿入される光ファイバ把持部2は、所定の挿入深さで停止するように構成されている。
ここで、2つの挿入孔32,33のうち、一方の挿入孔を第1挿入孔32、他方の挿入孔を第2挿入孔33として以下説明する。
【0020】
本実施形態では、第1挿入孔32が形成された第1挿入孔形成部材34および第2挿入孔33が形成された第2挿入孔形成部材35が、外殻部31にそれぞれ固定されていて、第1挿入孔32および第2挿入孔33は外殻部31の内部31aと連通している。
なお、外殻部31に第1挿入孔形成部材34および第2挿入孔形成部材35が固定した構成とせずに、外殻部31と第1挿入孔形成部材34および第2挿入孔形成部材35とが一体に形成された構成としてもよい。
図2に示すように、第1挿入孔32および第2挿入孔33の内周面には、第1挿入孔32および第2挿入孔33に挿入された光ファイバ把持部2を対向する面側に付勢する付勢部材(保持部材)36がそれぞれ設けられている。
【0021】
本実施形態では、付勢部材36は、第1挿入孔32および第2挿入孔33の内周面の下面32a,33aにそれぞれ設けられていて、第1挿入孔32および第2挿入孔33に挿入された光ファイバ把持部2を上側に向かって付勢可能となっている。
このように、付勢部材36が、第1挿入孔32および第2挿入孔33に挿入された光ファイバ把持部2を第1挿入孔32および第2挿入孔33の内周面の上面に向かって付勢するため、第1挿入孔32および第2挿入孔33から光ファイバ把持部2が容易に外れることを防止することができる。
【0022】
第1挿入孔32は、外殻部31の側部31cから内部31aに水平方向に延びている。
第1挿入孔32に光ファイバ把持部2が挿入されると、光ファイバ把持部2に把持された光ファイバ10が水平に延在している状態となっている。
また、第1挿入孔32は、光ファイバ把持部2が挿入されたときに、光ファイバ把持部2に把持された光ファイバ10の端面10aが拡大レンズ4の中心軸4c上で拡大レンズ4の焦点とほぼ同じ位置に配されるように構成されている。
【0023】
第2挿入孔33は、水平面に対して傾斜し、外殻部31の側部31cから内部31aに向かうに従って下側から上側へ向かって延びている。
そして、第2挿入孔33に光ファイバ把持部2が挿入されると、光ファイバ把持部2に把持された光ファイバ10が、拡大レンズ4の中心軸4cに対して所定角度θ(図1(b)参照)傾斜している。本実施形態では、θ=70°となっている。
なお、この所定角度θは、任意に設定されてよいが、65°〜75°とすることが好ましい。
また、第2挿入孔33は、光ファイバ把持部2が挿入されたときに、光ファイバ把持部2に把持された光ファイバ10の端面10aが拡大レンズ4の中心軸4c上で拡大レンズ4の焦点とほぼ同じ位置に配されるように構成されている。
【0024】
ここで、図1(a)、(b)に示すように、第1挿入孔32と第2挿入孔33とは、拡大レンズ4が配された方向から(上側から)見て、延在方向が直交するように形成されている。本実施形態では、外殻部31が平面視略長方形であるため、第1挿入孔32および第2挿入孔33は、外殻部31の側部31cの隣り合う面31d,31eから内部31aに延びるように形成されている。
【0025】
ここで、光ファイバ把持部2が第1挿入孔32に挿入されたときの光ファイバ10の端面10aの位置を位置Aとし、光ファイバ把持部2が第2挿入孔33に挿入されたときの光ファイバ10の端面10aの位置を位置Bとすると、位置Aと位置Bとは、ほぼ一致している。このため、光ファイバ把持部2は、第1挿入孔32および第2挿入孔33に同時に挿入することはできず、第1挿入孔32および第2挿入孔33のいずれか一方に挿入可能となっている。
また、第1挿入孔形成部材34は第2挿入孔33を遮ることがないように形成されていて、第2挿入孔形成部材35も第1挿入孔32を遮ることがないように形成されている。
【0026】
また、本体部3の内部31aには、光ファイバ10の端面10aを照射する、例えば、LEDなどの照明器具37が設けられている。本実施形態では、照明器具37は、拡大レンズ4の中心軸4c線上で、第1挿入孔32および第2挿入孔33の下側に設置され、光ファイバ10の端面10aを下側から照射可能となっている。
このとき、第1挿入孔形成部材34および第2挿入孔形成部材35は、照明光を遮らないように形成されている。例えば、照明器具37から照射される照明光の軌道上(拡大レンズ4の中心軸4c線上)に、第1挿入孔形成部材34および第2挿入孔形成部材35が配される場合は、第1挿入孔形成部材34および第2挿入孔形成部材35に孔部を形成して照明光を遮らないように構成されている。
外殻部31の外側には、照明器具37のスイッチ(不図示)が設けられている。
【0027】
また、図3に示すように、本体部3には、カメラ41を支持可能であるとともに、本体部3に着脱可能なカメラ支持部材42が設けられている。なお、本実施形態では、カメラ41は、カメラ機能を備える携帯電話としている。
【0028】
カメラ支持部材42は、拡大レンズ4の中心軸4c線上に位置する孔部43が形成され上部にカメラ41が載置されるカメラ載置部44と、本体部3に取り付けられて本体部3に対するカメラ載置部44の高さを所定の高さに支持する支持部45と、カメラ41をカメラ載置部44から外れないように押さえる押さえ部46と、を備えている。
カメラ載置部44に形成されている孔部43は、カメラ41のレンズ41aの位置と合わされている。
【0029】
また、支持部45の高さ寸法が、第1挿入孔32または第2挿入孔33に光ファイバ把持部2が挿入されたときに、カメラ41が光ファイバ10の端面10aを鮮明に撮影できる高さとなるように設定されている。
そして、本体部3にカメラ支持部材42を取り付けて、カメラ載置部44にカメラ41を設置し、押さえ部46でカメラ41を押さえることで、カメラ41で光ファイバ10の端面10aを撮影することができる。
【0030】
次に、光ファイバ10の端面10aの検査方法について説明する。
ここで、光ファイバ10の端面10aの検査は、コネクタ(不図示)の取り付け時に行うため、コネクタの取り付け方法とともに説明する。
まず、光ファイバ10を覆うケーブルシースを除去し、光ファイバ10の先端部10b近傍に光ファイバ把持部2を取り付ける。このとき、光ファイバ10の先端部10bを、光ファイバ把持部2から突出させる。そして、光ファイバ把持部2から突出する光ファイバ10の被覆を除去し、ファイバ心線を露出させる。
続いて、ファイバ心線の先端部側を切断し、光ファイバ把持部2から突出する光ファイバ10の長さを所定の長さにする。
【0031】
続いて、光ファイバ把持部2を第1挿入孔32へ挿入し、照明器具37のスイッチを入れて光ファイバ10を照射する。
この状態で拡大レンズ4から本体部3の内部31aをのぞき込み、光ファイバ10の端面10aの形状を目視して、光ファイバ10の端面10aに損傷等の不具合がないかを確認する。
【0032】
そして、光ファイバ10の端面10aに損傷等がなければ、光ファイバ把持部2を第1挿入孔32から取り出して、第2挿入孔33へ挿入する。
この状態で再度、拡大レンズ4から本体部3の内部31aをのぞき込み、光ファイバ10の端面10aの形状を目視して、光ファイバ10の端面10aに損傷等の不具合がないかを確認する。
【0033】
このとき、光ファイバ10の端面10aの形状を2方向から確認することができるため、1つの方向からでは死角となって見えない光ファイバ10の端面10aにできた欠けなどの損傷を、確実に確認することができる。
【0034】
続いて、光ファイバ10をホルダ11から取り外し、該光ファイバ10にコネクタを装着する。
このようにしてコネクタが光ファイバ10の先端部10bに取り付けられる。
なお、光ファイバ10の端面10aの形状を確認した際に、光ファイバ10の端面10aに損傷等がある場合は、再度、光ファイバ10の先端部10bの切断を行い、光ファイバ10の端面10aの形状を確認する。
【0035】
ここで、第1挿入孔32(図1参照)に挿入されて確認された光ファイバ10の端面10aを図4(a)に示し、第2挿入孔33(図1参照)に挿入されて確認された光ファイバ10の端面10aを図4(b)に示す。図4(a)の光ファイバ10と、図4(b)の光ファイバ10とは、同一である。
【0036】
図4(a)、(b)からわかるように、第1挿入孔32に挿入して観察したときには確認できなかった光ファイバ10の端面10aの欠けが、第2挿入孔33に挿入して観察したときには確認できたことがわかる。
特に、図5に示すような光ファイバ10の端面10aに生じた欠けは、観察する方向によっては、死角となって確認できないことがあるため、2方向から観察することで、光ファイバ10の端面10a形状を確実に確認することができる。
【0037】
次に、上述した光ファイバ端面検査装置1Aの効果について図面を用いて説明する。
第1実施形態による光ファイバ端面検査装置1Aによれば、従来のようなCCDカメラやモニタなどを備える大掛かりな光ファイバ端面検査装置と比べて構造を簡素化させることができるため、現場にて光ファイバ10を接続する場合においても携帯して使用することができる。
【0038】
また、光ファイバ10の端面10aの形状を2方向から確認することができるため、1つの方向からでは死角となって見えない光ファイバ10の端面10aにできた欠けなどの損傷を、確実に確認することができる。
また、光ファイバ把持部2がそれぞれ挿入されたときの光ファイバ10の端面10aが配される位置が一致していて、この位置に拡大レンズ4の焦点が合わされていることにより、光ファイバ把持部2を各挿入孔32,33に挿入する毎に、拡大レンズ4の焦点を合わせる必要がないため、効率的に使用することができる。
【0039】
そして、光ファイバ10の端面10aの形状を容易にかつ確実に確認することができるため、光ファイバ10同士の接続部の品質を向上させることができるとともに、光ファイバ10の接続不良を防止することができる。
これにより、光ファイバ10の接続部のコネクタを取り付けなおしたり、接続をやり直したりすることが少なくなるとともに、光ファイバ10の接続不良による修理が少なくなるため、光ファイバ10の接続や修理にかかる労力を軽減させることができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図6に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図6に示すように、第2実施形態による光ファイバ端面検査装置1Bでは、第1挿入孔形成部材51と第2挿入孔形成部材52とが、平面視において(拡大レンズ4の方向から見て)、直交するように配設されている。このとき、第1挿入孔32と第2挿入孔33とが平面視において直交している。
【0041】
第1挿入孔形成部材51は、光ファイバ把持部2が挿入されたときに光ファイバ10の端面10aが配される位置Aから第1挿入孔形成部材51の光ファイバ10の延在方向の端面51aまでの長さL1と、第1挿入孔形成部材51の光ファイバ10の延在方向に直交する方向の端面51bまでの長さL2と、が同じとなるように形成されている。
また、第2挿入孔形成部材52は、光ファイバ把持部2が挿入されたときに光ファイバ10の端面10aが配される位置Bから第2挿入孔形成部材52の光ファイバ10の延在方向の端面52aまでの長さL3と、第2挿入孔形成部材52の光ファイバ10の延在方向に直交する方向の端面52bまでの長さL4とが同じとなるように形成されている。
そして、これらの長さL1〜L4は全て同じ長さに形成されている。
【0042】
このように、長さL1〜L4が全て同じ長さに形成されていることにより、第1挿入孔形成部材51の端面51aと、第2挿入孔形成部材52の端面52bとは、同一平面状に配されて、互いの一部が重なっている(図4(a)参照)。そして、外殻部31における、第1挿入孔形成部材51の端面51a、第2挿入孔形成部材52の端面52bを支持する面(部材)が複雑な形状とならずに、簡易な形状となる。
このため、第2実施形態によれば、光ファイバ端面検査装置1Bの構造が簡素化し、光ファイバ端面検査装置1Aの製造コストを削減することができるとともに、製造効率を高めることができる。
【0043】
なお、第1挿入孔形成部材51および第2挿入孔形成部材52が外殻部31と一体に形成されている場合は、光ファイバ把持部2が第1挿入孔32に挿入されたときに、光ファイバ10の端面10aが配される位置Aから第1挿入孔32の光ファイバ10の延在方向の端面までの長さと、第1挿入孔32の光ファイバ10の延在方向に直交する方向の端面までの長さとが同じとなるように形成されていて、光ファイバ把持部2が第2挿入孔33に挿入されたときに、光ファイバ10の端面10aが配される位置Bから第2挿入孔33の光ファイバ10の延在方向の端面までの長さと、第1挿入孔32の光ファイバ10の延在方向に直交する方向の端面までの長さとが同じとなるように形成されていてもよい。
【0044】
以上、本発明による光ファイバ端面検査装置1A,1Bの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、本体部3に2つの挿入孔32,33が形成されているが、3つ以上の挿入孔が形成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、照明器具37が設けられているが、自然光で光ファイバ10の端面10aの形状を確認できる場合は、照明を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1A,1B 光ファイバ端面検査装置
2 光ファイバ把持部
3 本体部
4 拡大レンズ
10 光ファイバ
10a 端面
32 第1挿入孔
33 第2挿入孔
34,51 第1挿入孔形成部材
35,52 第2挿入孔形成部材
36 付勢部材(保持部材)
37 照明器具
41 カメラ
42 カメラ支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを把持する光ファイバ把持部と、
該光ファイバ把持部が挿入可能な複数の挿入孔が形成され、前記光ファイバの端面形状を確認するための拡大レンズが設けられた本体部と、を備える光ファイバ端面検査装置であって、
前記複数の挿入孔は前記拡大レンズに対して前記光ファイバ把持部が挿入される方向がそれぞれ異なるように形成されているとともに、いずれの挿入孔から前記光ファイバ把持部を挿入しても前記光ファイバの端面が配される位置が一致し、この位置に前記拡大レンズの焦点が合わされていることを特徴とする光ファイバ端面検査装置。
【請求項2】
前記光ファイバ把持部を前記挿入孔に挿入した状態で保持可能な保持部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ端面検査装置。
【請求項3】
前記複数の挿入孔のうち、一の挿入孔の内周面の一部以上が、他の挿入孔の内周面の一部以上と重なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ端面検査装置。
【請求項4】
前記本体部には、前記光ファイバの端面を照射する照明器具が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光ファイバ端面検査装置。
【請求項5】
前記本体部に、前記光ファイバの端面を撮影するカメラを支持可能で、かつ、着脱可能なカメラ支持部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光ファイバ端面検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−88165(P2012−88165A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234835(P2010−234835)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【出願人】(000155724)株式会社雄島試作研究所 (34)
【Fターム(参考)】