説明

光フアイバ貫通型気密端子

【目的】 気密端子部での光透過損失を生ぜず、光軸調整不要な光ファイバ貫通型気密端子を提供する。
【構成】 コアの外周上にクラッドを有する光ファイバの外側に2重の被覆層を具えた光ファイバコードの上記2重の被覆層を除去して露出した光ファイバを金属パイプ内でエポキシ樹脂により接着固定した光ファイバ貫通型気密端子。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ファイバを筐体等を貫通させる部分において、気密、耐圧力を保持する光ファイバ貫通型気密端子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は従来の貫通部における構造の一例の断面図である。図面において、11は光ファイバコード、12はその端部に固着した光コネクタで、13は光コネクタフェルールである。14は円板状の本体フランジで、中央貫通穴15にロッドレンズ16が接着剤17により接着固定されている。本体フランジ14には、該フランジ14を筐体に固着するための複数の取付ボルト穴18と筐体との間の気密を保持するためのパッキング溝19を具えている。そして、前記光コネクタ12のフェルール13を図の矢印の方向に本体フランジ14の中央貫通穴15に挿入することにより、相対する光ファイバコード11は前記ロッドレンズ16を介して光学的に結合される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の貫通部構造では、次に列記するような問題点が存在する。
■光ファイバはロッドレンズを介して光結合されるので結合損失が 0.5〜2dB増加する。
■ロッドレンズを本体フランジの中央貫通穴に接着固定する際、光コネクタ間で光軸合せをして接着する必要があり、手間がかかる。
■ロッドレンズ表面が、例えば SF6ガス等で侵食され、光透過損失が増加する。
■気密端子の取付け寸法に制約がある場合、多心光ファイバを貫通させるためには1つのフランジに多数個のロッドレンズをセットする必要があり、作業が困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題点を解消し、気密端子部での光透過損失を生ぜず、光軸調整が不要な光ファイバ貫通型気密端子を提供するもので、その特徴は、コアの外周上にクラッドを有する光ファイバの外側に2重の被覆層を具えた光ファイバコードの上記2重の被覆層を除去して露出した光ファイバを金属パイプ内でエポキシ樹脂により接着固定したことにある。
【0005】
【実施例】図1は本発明の光ファイバ貫通型気密端子の具体例の断面図である。図面において、1はコアの外周上にクラッドを有する光ファイバ2の外側にナイロン被覆層等の1次被覆層3、及びその上に塩化ビニル等の外部被覆層4を具えた光ファイバコードである。上記光ファイバコード1の中間部において、1次被覆層3及び外部被覆層4が除去されて露出した光ファイバ2が、例えばステンレスパイプ等の金属パイプ5内に収納されており、上記金属パイプ5と光ファイバ2のなす空間にはエポキシ樹脂6が充填されており、該樹脂6により光ファイバ2は金属パイプ5内において接着固定されている。なお、金属パイプ5と光ファイバコード1の外部被覆層4の端部はエポキシ樹脂10により接着固定してある。
【0006】上記光ファイバ2を内部に接着固定した金属パイプ5(図では2本)は溶接等により、筐体に固着するための本体フランジ7に固着されている。上記本体フランジ7には筐体に固着するための複数の取付ボルト穴8及び筐体との間の気密を保持するためのパッキング溝9を設けてある。
【0007】
【作用】次に上述した本発明の気密端子の組立て手順を説明する。
■あらかじめ、本体フランジ7に必要数の金属パイプ5を溶接等により固着しておく。
■次に、光ファイバコード1を所要長(例えは数m)に切断し、相当ヶ所の外部被覆層4に切込みを入れ、一方の外部被覆層4を抜き去り、さらに金属パイプ5内に収納する長さの1次被覆層3を除去し、光ファイバ2を露出する。
■上記露出した光ファイバ2を金属パイプ5内に挿入し、金属パイプ5と光ファイバ2のなす空間にエポキシ樹脂6を充填して、光ファイバ2を接着固定する。
■前記抜き去った外部被覆層4を再び挿入して図1のような形状となし、しかる後、金属パイプ5と外部被覆層4の端部をエポキシ樹脂10で接着固定する。
このようにして形成された光ファイバ貫通型気密端子は、金属パイプ内の気密は金属パイプ内に充填するエポキシ樹脂で保持され、外部被覆層と金属パイプの気密はこれらの外側に施すエポキシ樹脂で、又本体フランジと筐体との気密はパッキング溝内に挿入するOリングによって保持される。
【0008】
【実験例】図1に示す構造の光ファイバ貫通型気密端子を試作し、気密試験を行なった。その結果、Heリーク量 2.7×10-8cc/secと充分な気密性能があった。さらに、熱履歴−35℃〜40℃at100 サイクルのヒートサイクルと、−35℃〜85℃/100サイクルのヒートショックテスト後も気密性能に変化はなかった。
【0009】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光ファイバ貫通型気密端子によれば、光ファイバが貫通型であるため、気密端子部での光透過損失が生ぜず、光軸調整の必要もない。又光ファイバがエポキシ樹脂で充填されているため、 SF6ガス等で表面が侵食されることがない。さらに、光ファイバを貫通している金属パイプは小径(φ8mm)で限られたスペースでの多心貫通型も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバ貫通型気密端子の具体例の断面図である。
【図2】従来の気密端子の一例の断面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバコード
2 光ファイバ
3 1次被覆層
4 外部被覆層
5 金属パイプ
6 充填エポキシ樹脂
7 本体フランジ
8 取付ボルト穴
9 パッキング溝
10 エポキシ樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】 コアの外周上にクラッドを有する光ファイバの外側に2重の被覆層を具えた光ファイバコードの上記2重の被覆層を除去して露出した光ファイバを金属パイプ内でエポキシ樹脂により接着固定したことを特徴とする光ファイバ貫通型気密端子。

【図1】
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【図2】
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