説明

光マイクロ波逓倍器

【課題】温度変化、製造誤差等によらず、容易に所要の動作を行うことが可能な光マイクロ波逓倍器を得る。
【解決手段】レーザ光を発振する光源1と、マイクロ波入力端子を有する光変調器2と、前記光変調器2の両側に配置された第1および第2のエタロン4、5とを備え、前記光源1は波長可変光源1であり、前記第1および第2のエタロン4、5は互いに自由スペクトル間隔がわずかに異ならせ、前記波長可変光源1の波長を、前記第1のエタロン4のいずれかの通過帯域に選択する。また、第1および第2のエタロンの自由スペクトル間隔をfsr1およびfsr2とし、m,nを正の整数とするとき、m×fsr1およびn×fsr2とがわずかに異なるように、fsr1およびfsr2を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波の電気信号の周波数を整数倍に増加し、高周波のマイクロ波信号を得るための逓倍器のうち、光を利用して逓倍を行う光マイクロ波逓倍器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光マイクロ波逓倍器として、光変調器の両側に光フィルタを設けて、レーザダイオードから励起される光を光フィルタ内に閉じ込め、マイクロ波信号を入力した光変調器により光サイドバンドを順次発生して、光の高調波を得るものがある(例えば、特許文献1参照)。この光マイクロ波逓倍器では、光フィルタとしてファイバグレーティングを用いている。
【0003】
また、ファイバグレーティングの代わりにエタロン(ファブリペローフィルタ)を光フィルタとして用い、同様な動作を得るものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−6277号公報(図3参照)
【特許文献2】特開2002−277916号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような光マイクロ波逓倍器において、例えば光フィルタとしてファイバグレーティングを用いた場合、ファイバグレーティングの通過帯域(あるいは反射帯域)は温度による依存性が大きいので、レーザダイオードから励起される光の波長とファイバグレーティングの通過帯域との関係を所要の値に保つには温度コントロール等が必要になる。このため、ファイバグレーティングにヒーター等を付ける必要があり、装置が大きくなってしまう。
【0006】
また、光フィルタとしてエタロンを用いた場合、いわゆるエアギャップエタロンを用いれば、通過帯域は安定し、温度による変動自体を小さくすることができる。エタロンにおいて、自由スペクトル間隔の値を精度よく製作することは比較的容易である。しかし、通過帯域周波数(波長)それぞれの絶対精度を得ることは困難である。このため、入力側エタロンの通過帯域と出力側エタロンの通過帯域とを所要の周波数差に設定するのは容易ではない。
【0007】
この発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、温度変動、製造誤差等によらず、入力側エタロンと出力側エタロンの通過帯域を所要の周波数差に容易に設定でき、所要の動作を行う光マイクロ波逓倍器を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る光マイクロ波逓倍器は、レーザ光を発振する光源と、前記光源から入射されるレーザ光を入力される所定周波数のマイクロ波により変調する光変調器と、前記光源と前記光変調器との間および前記光変調器の出力側に配置された第1および第2のエタロンとを備える光マイクロ波逓倍器において、前記光源は、波長可変光源でなり、前記第1および第2のエタロンは、自由スペクトル間隔を互いにわずかに異ならせ、前記波長可変光源は、発振レーザ光の波長を前記第1のエタロンのいずれかの通過帯域に選択することを特徴とする。
【0009】
また、他の発明に係る光マイクロ波逓倍器は、レーザ光を発振する光源と、前記光源から入射されるレーザ光を入力される所定周波数のマイクロ波により変調する光変調器と、前記光源と前記光変調器との間および前記光変調器の出力側に配置された第1および第2のエタロンとを備える光マイクロ波逓倍器において、前記光源は、波長可変光源でなり、前記第1および第2のエタロンの自由スペクトル間隔をfsr1およびfsr2とし、m,nを正の整数とするとき、m×fsr1およびn×fsr2とがわずかに異なるように、fsr1およびfsr2を設定し、前記波長可変光源は、発振レーザ光の波長を前記第1のエタロンのいずれかの通過帯域に選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、温度変動、製造誤差等によらず、入力側および出力側のエタロンの通過帯域差を容易に所要の値に設定することができ、光マイクロ波逓倍器の所要の動作を容易に行えるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る光マイクロ波逓倍器について図を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る光マイクロ波逓倍器である。図1に示す光マイクロ波逓倍器は、レーザ光を発振する波長可変光源1と、波長可変光源1から入射されるレーザ光を、マイクロ波入力端子3から入力される所定周波数のマイクロ波により変調する光変調器2と、波長可変光源1と光変調器2との間に配置された第1のエタロン4と、光変調器2と光出力端子6との間に配置された第2のエタロン5とを備えている。
【0012】
ここで、エタロンは、周期的な通過帯域を持つ光フィルタであり、通過帯域の間隔を自由スペクトル間隔と呼んでいる。図1において、第1のエタロン4と第2のエタロン5の自由スペクトル間隔はわずかに異なっており、それぞれ12.49GHz、12.48GHzとしている。また、第1のエタロン4および第2のエタロン5の通過帯域の中心周波数のうちの1つは、それぞれ193545.04GHzおよび193539.84GHzとなっているものとする。
【0013】
波長可変光源1は、単一波長、すなわち単一周波数のレーザ光を発振する。この周波数をfとする。今、周波数fを193545.04GHz(波長1548.954nm)に設定したものとする。この周波数は、第1のエタロン4の通過帯域の1つと一致している。このように、波長可変光源1は、その発振レーザ光を第1のエタロン4の通過帯域のいずれかの周波数に設定できる。このとき、波長可変光源1から励起されたレーザ光は第1のエタロン4を通過し、光変調器2に入力する。この周波数配置の様子を、図2に示す。図2(a)は波長可変光源1から発振されるレーザ光のスペクトルを、図2(b)は第1のエタロン4の通過帯域を表している。
【0014】
光変調器2には、マイクロ波入力端子3を通じて周波数fのマイクロ波が電気信号として入力されている。ここで、マイクロ波の周波数fは2.08GHzである。光変調器2ではマイクロ波により入射光が変調される。このとき、光には変調により、kを整数として周波数f+k×fの多くの高調波成分が生じる。しかし、高次の成分は励振強度が小さいので、ここでは簡単のため、kが+1の成分(+1次高調波と呼ぶ)と、kが−1の成分(−1次高調波と呼ぶ)のみが生じるものとする。したがって、周波数f+fの193547.12GHzと、f−fの193542.96GHzの成分が新たに発生する。この様子を図2(c)に示す。
【0015】
これらの光は第2のエタロン5に入射する。第2のエタロン5の自由スペクトル間隔(周波数)は12.48GHzであり、周波数fに最も近い通過帯域は193539.84GHzおよび193552.32GHzである。第2のエタロン5の通過帯域を、図2(d)に示す。光変調器2で発生した高調波は、第2のエタロン5のいずれの通過帯域とも周波数が異なるため、第2のエタロン5を通過せず、反射波として、逆方向に伝搬する。これらの光は、再び逆方向から光変調器2に入力する。
【0016】
光変調器2に入力した光は、再び周波数fのマイクロ波により変調され、+1次と−1次の高調波が発生する。したがって、周波数f+2×fの193549.20GHzと、f−2×fの193540.88GHzの成分が新たに発生する。この様子を図2(e)に示す。これらの光は光変調器2を逆方向に通過し、再び第1のエタロン4に入射する。しかし、これらの入射光は、第1のエタロン4のいずれの通過帯域とも周波数が異なるため、再び第1のエタロン4で反射し、反射波として、順方向に伝搬する。これらの光は、再び光変調器2に入射し新たな高調波成分が発生する。
【0017】
このように、第1のエタロン4から入射した光は、第1のエタロン4と第2のエタロン5との間を往復し、その間に光変調器2から変調を受け、徐々に高次の高調波が発生していく。図2(f)に、これらの高調波のうち+3次および−3次までのものを図示している。
【0018】
第2のエタロン5の自由スペクトル間隔は12.48GHzである。したがって、仮に第2のエタロン5の通過帯域が193551.28GHzと193538.80GHzにあるとすれば、周波数fに対して+3次と−3次の高調波は第2のエタロン5を通過して光出力端子6から出力される。この出力光をPD(photo diode)等の光電気変換素子で受光すれば、これら2つの光の周波数差である12.48GHzの電気信号が得られる。この電気信号は、光変調器2のマイクロ波入力端子3に入力したマイクロ波の周波数2.08GHzのちょうど6倍の周波数になっており、この装置がマイクロ波逓倍器として動作することがわかる。
【0019】
しかし、上述したように、実際には、第2のエタロン5の通過帯域のうち周波数fに近いものは193539.84GHzおよび193552.32GHzであり、所要の周波数からずれている。したがって、第1のエタロン4と第2のエタロン5の間で発生した光の高調波は、いずれも第2のエタロン5を通過することができない。
【0020】
そこで、波長可変光源1での発振レーザ光の周波数fを、193545.04GHzから194844.00GHz(波長1538.628nm)に設定し直してみる。193545.04GHzと194844.00GHzとの差は、1298.96GHzであり、第1のエタロン4の自由スペクトル間隔12.49GHzの倍数になっている。したがって、新たに設定した周波数fである194844.00GHzも、やはり第1のエタロン4の通過帯域である。
【0021】
図3は、波長可変光源1の発振レーザ光の周波数を設定し直した後の、周波数配置の様子を示す図である。図3(a)は波長可変光源1から発振されるレーザ光のスペクトルを、図3(b)は第1のエタロン4の通過帯域を表している。
【0022】
したがって、図1において、入射光は第1のエタロン4を通過して、光変調器2に入力する。ここで、上述した場合と同様に、入射光は光変調器2のマイクロ波入力端子3に入力した周波数fのマイクロ波により変調を受け、高調波が生じる。そして、光は第1のエタロン4と第2のエタロン5との間を往復する間に徐々に高次の高調波を発生する。図3(c)に、これらの高調波のうち+3次および−3次までのものを図示している。
【0023】
第2のエタロン5の通過帯域の1つは193539.84GHzであった。また、第2のエタロン5の自由スペクトル間隔は12.48GHzである。したがって、新たな周波数fである194844.00GHzに近い第2のエタロン5の通過帯域は194837.76GHzおよび194850.24GHzとなっている。図3(d)に、この通過帯域を図示する。
【0024】
今、周波数fが194844.00GHzであり、fが2.08GHzであるので、f+3×fは194850.24GHzとなり、f−3×fは194837.76GHzとなる。これらはいずれも第2のエタロン5の通過帯域と一致する。したがって、第1のエタロン4と第2のエタロン5との間で発生した、fに対して+3次と−3次の高調波は、第2のエタロン5を通過して光出力端子6から出力される。この出力光を図3(e)に示す。
【0025】
この出力光をPD等の光電気変換素子で受光すれば、これら2つの光の周波数差である12.48GHzの電気信号が得られる。この電気信号は、光変調器2のマイクロ波入力端子3に入力したマイクロ波の周波数2.08GHzのちょうど6倍の周波数になっているので、この装置がマイクロ波逓倍器として動作する。
【0026】
以上の説明のように、この発明の実施の形態1に係る光マイクロ波逓倍器では、第1のエタロン4と第2のエタロン5の自由スペクトル間隔をわずかに異ならせるとともに、波長可変光源1の波長を、前記第1のエタロン4のいずれかの通過帯域に選択することで、波長可変光源1からの励振レーザ光を第1のエタロン4の通過帯域の適当な周波数に設定することにより、第1のエタロン4の通過帯域と第2のエタロン5の通過帯域との周波数差を所要の値に設定できる。このため、所要の動作特性を有する光マイクロ波逓倍器を得ることができる。
【0027】
さらに、上述の状態から温度変化、機械的応力の付加等、何らかの原因で第2のエタロン5の通過帯域のみが全体に0.26GHzずつ下降してしまったとする。すると、第2のエタロン5の通過帯域は194837.50GHzおよび194849.98GHzとなってしまい、再び、周波数fに対して+3次と−3次の高調波が、第2のエタロン5を通過できなくなってしまう。
【0028】
そこで、再び波長可変光源1での発振レーザ光の周波数fを、194844.00GHzから194519.26GHz(波長1541.197nm)に再度設定し直す。この周波数はやはり第1のエタロン4の通過帯域である。このようにすると、周波数fに対して+3次と−3次の高調波が、それぞれ194525.50GHzおよび194513.02GHzとなるが、これらは、いずれも第2のエタロン5の新たな通過帯域になっている。したがって、この場合もマイクロ波逓倍器として所要の動作を行うことができる。
【0029】
このように、第1のエタロン4と第2のエタロン5の自由スペクトル間隔をわずかに異ならせているため、波長可変光源1の波長を、第1のエタロン4の通過帯域のいずれかにおいて徐々に変化させることによって、当該波長付近での第1のエタロン4と第2のエタロン5の周波数差を徐々に変化させることができる。したがって、マイクロ波逓倍器として所要の動作を行うことができる周波数差に選択することができる。
【0030】
以上の例では、第1のエタロン4と第2のエタロン5の周波数差が所要の値に完全に一致している場合について説明したが、第1のエタロン4および第2のエタロン5それぞれの通過帯域はある程度の帯域幅を有している。したがって、周波数差を所要の値に完全に一致できなくても、所要の値に近い値となるように設定することによって、所要の高調波光が各々のエタロンを通過することができ、マイクロ波逓倍器として所要の動作を行うことができる。
【0031】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る光マイクロ波逓倍器について説明する。この発明の実施の形態2に係る光マイクロ波逓倍器は、図1に示す実施の形態1と同様な構成を備えている。そして、第1のエタロン4と第2のエタロン5の自由スペクトル間隔(周波数)はそれぞれ24.98GHz、12.48GHzとしている。また、第1のエタロン4および第2のエタロン5の通過帯域の中心周波数のうちの1つは、それぞれ193545.04GHzおよび193539.84GHzとなっているものとする。
【0032】
前記第1のエタロン4および第2のエタロン5の自由スペクトル間隔(周波数)をそれぞれ、fsr1,fsr2とし、m,nを正の整数とする。このとき、m,nをそれぞれ1,2とすれば、m×fsr1とn×fsr2は、それぞれ24.98GHz、24.96GHzとなり、これらの値はわずかに異なっている。
【0033】
波長可変光源1は、発振レーザ光を、前記第1のエタロン4の通過帯域のうちいずれかの周波数に設定できる。今、可変光源1から発振されるレーザ光の周波数fを193545.04GHz(波長1548.954nm)に設定したものとする。この周波数は、第1のエタロン4の通過帯域の1つと一致している。このとき、波長可変光源1から励起されたレーザ光は、第1のエタロン4を通過し、光変調器2に入力する。図4は、この周波数配置の様子を示す図であり、図4(a)は波長可変光源1から発振されるレーザ光のスペクトルを、図4(b)は第1のエタロン4の通過帯域を表している。
【0034】
光変調器2にはマイクロ波入力端子3を通じて周波数fのマイクロ波が電気信号として入力されている。マイクロ波の周波数fは2.08GHzである。光変調器2ではマイクロ波により入射光が変調される。このとき、変調により光には+1次の高調波および−1次の高調波が生じる。レーザ光は、第1のエタロン4と第2のエタロン5の間を往復し、この間に高次の高調波を次々に生じる。図4(c)に、これらの高調波のうち+3次および−3次までのものを図示する。
【0035】
今、第2のエタロン5の通過帯域のうち、周波数fに近いものは193539.84GHzおよび193552.32GHzとなっている。この様子を図4(d)に示している。もし、第2のエタロン5の通過帯域が193538.80GHzおよび193551.28GHzとなっていれば、発生した高調波のうち+3次の高調波および−3次の高調波が第2のエタロン5を通過できるが、実際には通過帯域がこの値からずれているので、このままでは光が第2のエタロン5を通過できず、光マイクロ波逓倍器として動作しない。
【0036】
そこで、波長可変光源1での発振レーザ光の周波数fを、193545.04GHzから194844.00GHz(波長1538.628nm)に設定し直してみる。193545.04GHzと194844.00GHzとの差は、1298.96GHzであり、第1のエタロン4の自由スペクトル間隔24.98GHzの倍数になっている。したがって、新たに設定した周波数fである194844.00GHzも、やはり第1のエタロン4の通過帯域になっている。
【0037】
したがって、入射光は第1のエタロン4を通過して、光変調器2に入力する。ここで上述した場合と同様に、入射光は光変調器2のマイクロ波入力端子3に入力した周波数fのマイクロ波により変調を受け、高調波が生じる。そして、光は第1のエタロン4と第2のエタロン5の間を往復する間に徐々に高次の高調波を発生する。
【0038】
第2のエタロン5の通過帯域の1つは193539.84GHzであった。また、第2のエタロン5の自由スペクトル間隔は12.48GHzである。したがって、新たな周波数fである194844.00GHzに近い第2のエタロン5の通過帯域は194837.76GHzおよび194850.24GHzとなっている。このときの第2のエタロン5の通過帯域の周波数配置は、図4(a)、図4(c)に示した波長可変光源1の発振レーザ光や発生する高調波に対して、図4(e)のようになる。
【0039】
これらの通過帯域周波数はf−3×fおよびf+3×fに一致している。したがって、第1のエタロン4と第2のエタロン5の間で発生した、fに対して+3次と−3次の高調波は、第2のエタロン5を通過して光出力端子6から出力される。これらの光を図4(f)に示す。この出力光をPD等の光電気変換素子で受光すれば、これら2つの光の周波数差である12.48GHzの電気信号が得られる。この電気信号は光変調器2のマイクロ波入力端子3に入力したマイクロ波の周波数2.08GHzのちょうど6倍の周波数になっており、この装置が光マイクロ波逓倍器として所要の動作を行うことができる。
【0040】
以上の説明のように、この発明の実施の形態2に係る光マイクロ波逓倍器では、第1のエタロン4と第2のエタロン5の自由スペクトル間隔(周波数)をそれぞれ、fsr1,fsr2とし、m,nを正の整数とするとき、m×fsr1とn×fsr2の値をわずかに異ならせているとともに、波長可変光源1の波長を、前記第1のエタロン4のいずれかの通過帯域に選択するようにしている。このため、実施の形態1と同様に、第1のエタロン4の通過帯域と第2のエタロン5の通過帯域との周波数差を所要の値に設定できる。したがって、所要の動作特性を有する光マイクロ波逓倍器を得ることができる。
【0041】
さらに、上述の状態から温度変化、機械的応力の付加等、何らかの原因で第1のエタロン4と第2のエタロン5の通過帯域にずれが生じてしまった場合にも、実施の形態1と同様に、波長可変光源1の波長(周波数)を、適宜設定することにより、所要の動作を行う光マイクロ波逓倍器を得ることができる。
【0042】
前記の例では、波長可変光源1からの発振レーザ光の周波数に対して、第2のエタロン5から、+3次の高調波と−3次の高調波を取り出す構成とした6逓倍器の場合について説明を行ったが、この発明ではこれに限らず、任意の逓倍数を設定することが可能である。また、例えば+5次の高調波と−2次の高調波を取り出す7逓倍器など、第2のエタロン5から非対称な高調波を取り出す構成にすることもでき、この場合も、所要の動作を行う光マイクロ波逓倍器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施の形態1及び2に係る光マイクロ波逓倍器の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る光マイクロ波逓倍器の動作を説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る光マイクロ波逓倍器の動作を説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る光マイクロ波逓倍器の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0044】
1 波長可変光源、2 光変調器、3 マイクロ波入力端子、4 第1のエタロン、5 第2のエタロン、6 光出力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発振する光源と、
前記光源から入射されるレーザ光を入力される所定周波数のマイクロ波により変調する光変調器と、
前記光源と前記光変調器との間および前記光変調器の出力側に配置された第1および第2のエタロンと
を備える光マイクロ波逓倍器において、
前記光源は、波長可変光源でなり、
前記第1および第2のエタロンは、自由スペクトル間隔を互いにわずかに異ならせ、
前記波長可変光源は、発振レーザ光の波長を前記第1のエタロンのいずれかの通過帯域に選択する
ことを特徴とする光マイクロ波逓倍器。
【請求項2】
レーザ光を発振する光源と、
前記光源から入射されるレーザ光を入力される所定周波数のマイクロ波により変調する光変調器と、
前記光源と前記光変調器との間および前記光変調器の出力側に配置された第1および第2のエタロンと
を備える光マイクロ波逓倍器において、
前記光源は、波長可変光源でなり、
前記第1および第2のエタロンの自由スペクトル間隔をfsr1およびfsr2とし、m,nを正の整数とするとき、m×fsr1およびn×fsr2とがわずかに異なるように、fsr1およびfsr2を設定し、
前記波長可変光源は、発振レーザ光の波長を前記第1のエタロンのいずれかの通過帯域に選択する
ことを特徴とする光マイクロ波逓倍器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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