説明

光メモリカード

【課題】本発明は、個人情報を蓄積的に記録し、パーソナルコンピュータにより閲覧できる光メモリカードを提供する。
【解決手段】厚み0.6mmの矩形状基板と、この基板上に形成される記録再生可能な光ディスク情報記録層と、この光ディスク情報記録層を挟んで前記矩形状基板に接合された厚さ0.2mmの矩形状補助基板とでなる積層構造カードで構成され、記録再生可能な光ディスク層の外径がカード幅サイズに相当する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療情報などの個人情報を蓄積的に記録し、必要に応じてその記録をパーソナルコンピュータにおいて閲覧できるように構成された光メモリカードに関する。
【背景技術】
【0002】
患者が病院などで診察を受けたときの医療情報には診療情報,患者情報,病院情報のほかに,生命現象の解析など広範囲にわたる情報が含まれる。病院情報とは医事,検査,薬剤,給食などに関する情報である。
【0003】
医療情報の代表的なものはカルテ情報であるが,従来のカルテでは10年間の血圧値が診察ごとに記載されていても,多くの場合、医師は血圧値を表にしていることは少ないので,10年間の血圧の経過を知ろうとしても簡単に知ることはできないし,グラフで見ることなどもできない。そのほかカルテに記載されている薬剤などを経時的に見ることも容易ではない。
【0004】
一方,コンピュータは情報量の増大に対応する容易さ,検索の早さ,正確さなどの特徴をもつため,病院への導入が計られたが,患者個人のデータはその病院だけでは迅速に利用できても,他病院への転送はほとんど不可能で,データベースの互換性がないのが現状である。
【0005】
このように病院にコンピュータが導入されてもデータベースが十分利用されていない点が医療における最大の欠点ともいえる。病院のデータベースには,指示された患者の血液を分析してデータが得られると,コンピュータの記憶装置に患者のID番号,患者氏名,性別,担当医師名、検査室名,検査技師名,GOT値,GPT値,LDH値,コレステロール値,中性脂肪値,血糖値のような形で記録される。
【0006】
病院のデータベースを見ると,医事のデータベース,検査のデータベースなどはその分野で利用でき,さらにその病院内であれば,例えば診療科の医師は検査のデータベースから自分の患者のデータを検索することができる。しかし現状ではデータベースの互換性がないからA病院の患者データをB病院に送ろうとしても不可能である。
【0007】
医療データベースのもう一つの欠点は患者個人のデータベースができていないことである。これができていればそのファイルには患者氏名,登録番号,生年月日,性別,受診日ごとの検査,薬剤,レントゲン,その他病院で発生した全ての情報が記録されているので,氏名を指定すればその患者の初診以後の全ての情報を即座に知ることができる。ところが,このようなデータベースがないと検査は検査データベース,薬剤は薬剤データベースを検索しなくてはならないので手間がかかる。個人データベースはこのように便利で診療支援に高い効果をもつものであるが,現在,これを備えた病院は殆どない。
【0008】
このような状況下において、個人情報を蓄積記録できる医療用携帯型記録媒体が例えば特許文献1により提供されている。この従来の医療用携帯型記録媒体はDVD−RAM部分を携帯に適した矩形のカードにより構成される。この従来の矩形カードは適度な剛性と弾性を得るために単一或いは複数の合成樹脂の積層により形成されている。
【特許文献1】特開2002−170285
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の医療用携帯型記録媒体DVD−RAMにしか適用できず、追加書き込みができない。また、媒体の縦横サイズが規定されており、大容量記録には十分ではない。更に携帯に便利なように財布のカード入れに入れることができるサイズであることが必要であるがこのようなサイズとなっていない。また更に、カードの厚みが0.6mm以上で2枚以上の強化プラスチックの積層構造となっている。このため、柔軟性に欠け、携行中にカードが破損することがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、厚み0.6mmの矩形状基板と、この基板上に形成される記録再生可能な光ディスク情報記録層と、この光ディスク情報記録層を挟んで前記矩形状基板に接合された厚さ0.2mmの矩形状補助基板とでなる積層構造カードで構成され、前記記録再生可能な光ディスク層の外径がカード幅サイズに相当することを特徴とする光メモリカードを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明を医療用携帯型記録媒体に適用すると、個人の診療情報,患者情報,病院情報のほかに,生命現象の解析など広範囲にわたる情報を数十年に渡り蓄積して携帯できるので、患者個人のデータが一病院だけでなく他の病院でも利用でき正確な診断が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に従った光メモリカードを説明する。
【0013】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る光メモリカードは、例えば医療情報システムに用いられる追記型光メモリカード、例えばCD−R光ディスク、DVD±R光ディスクもしくはDVD±RW光ディスクにより構成される追記型光メモリカード11を示している。この追記型光メモリカード11は、厚み0.6mmの矩形状基板12と、この基板12上に形成される記録再生可能な光ディスク情報記録層13と、この光ディスク情報記録層13を挟んで矩形状基板12に接合された厚み0.2mmの矩形状補助基板14とでなる積層構造カード15により構成される。この積層構造カード15の中央には孔17が形成されている。
【0014】
更に、この積層構造カード15の矩形状補助基板14との接合面ではない側であり、レーザー光の入出力面となる矩形状基板12の面に傷防止膜16が施されている。基板12および補助基板14はポリカーボネートなどのプラスチックにより形成され、傷防止膜16は厚さ1μm程度の薄い膜で形成される。情報記録層13は厚さ1μm程度の薄い有機系膜または厚さ数十ナノメータの非有機系膜で成る情報記録層と金またはアルミニュームにより形成される厚さ0.1μm以下の反射膜により構成される。光ディスク情報記録層13と矩形状基板12とは厚さ1μ程度または数十ナノメータの接着剤により接続される。
【0015】
積層構造カード15のサイズは、財布などカード入れに入るように長さLが約85mm、幅が62mm以下であることが好ましい。光ディスク情報記録層13の外径はカード15の幅Wに相当する。このカード11の記録層13の一部、例えば最内周部はリードオンリ記録層、即ちROMとして割り当てられ、残りの部分は追記型記憶領域となっている。記録層は厚さ100ナノメータ前後のROM層や厚さ数十ナノメータ前後のRAM層により構成できる。
【0016】
本実施形態の光メモリカードにおいて、光ディスク情報記録層13の直径を61mmにすると、約300メガバイト(MB)の記憶容量が得られる。ところが、CDとは異なり、DVDではディスクの最内径部にディスクの方式、即ちDVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD−ROM、DVD+R,DVD+RWの6種類、またはそれらの組み合わせを認識させる部分がかなりあり、最内周から数mmまでの間はユーザが情報の記録に用いることができない領域である。このため、ユーザが記録できる容量を大きくするためには必然的に外径を大きくすると共に、必要であれば、記録層を2重から最大4重に重ねることが重要となる。図4には4重層の記録層13が示されている。
【0017】
現在の光ディスクヘッド光源は赤色の波長650nmを中心とするもの、並びに紫青色の405nmを中心とするもの、更には過去のCD系にて使用されていた赤外の波長780nmを中心とするものの三系統がある。しかしながら、紫青色の波長405nmを中心とするもので光ディスクドライブの光ヘッドの対物レンズの開口数が0.65程度のいわゆるHD DVD相当の場合にもレンズのプラスチック基板内の焦点深度は約1μmであるので、記録層が二重、三重、そして最大四重構造であっても、層間が約20〜30μmあれば、各層に焦点を合わせることが容易にできる。これによって、幅56mmの場合に150MBであったとすると、幅61mmでは216MBが可能であり、紫青色の波長405nmを中心とするもので、かつ対物レンズのNAを0.65とすれば、595MBが可能となる。これに対して、記録媒体を二重層で形成した場合に1GB以上の記録容量となる。三重の記録層では1.5GB、四重の記録層では2GBの記憶容量が得られる。
【0018】
現在の光ディスクドライブには光ディスクを固定して回転させる方式としてノートパーソナルコンピュータで採用されているバネ固定式と据え置き式パーソナルコンピュータの自動装着方式がある。特に後者の場合にディスク厚みが最低0.8mmなければ動作しない。従って、既成の方式(ディスク厚みが0.6mm)では自動装着方式が使用できないという問題があった。しかし、本実施形態では、基板12と補助基板14との厚みの合計が0.8mmとなるので自動装着方式のパーソナルコンピュータに使用できる。
【0019】
上記のような追記型光メモリカード11には、患者氏名,登録番号,生年月日,性別,受診日ごとの検査,薬剤,レントゲン,その他病院で発生した全ての情報が記録される。更に、患者のID番号,患者氏名,性別,担当医師名、検査室名,検査技師名,GOT値,GPT値,LDH値,コレステロール値,中性脂肪値,血糖値のような情報が記憶される。
【0020】
図3には、矩形状補助基板12と矩形状基板14との接合面に不透明層を持ち、この不透明層には矩形状補助基板14の最外側から眺めて文字が印字されている光メモリカードが示されている。
【0021】
図5は、0.6mm厚の光ディスク基板12と、この光ディスク基板上に形成される情報記録層13と、この情報記録層を挟んで光ディスク基板12に接合される0.2mm厚の補助基板14とで成る記録再生ディスク15により構成され,この記録再生ディスク15は長手方向が直径85mmの円盤状であり,横方向は中心にある直径15mm孔17を中心に対称的に前記円盤を平行線でカットした幅62mm以下の寸法をもつ光メモリカードを示している。
【0022】
図6は、記録層がない積層構造カード15の周囲領域19に半導体チップ18が埋め込まれており、この半導体チップ18には積層構造カード内周において電磁波の授受が可能な導線が記録層の外周に設置されている光メモリカードを示している。なお、半導体チップは記録層13の内側領域20に設けても良い。
【0023】
図7は、本発明の光メモリカードをパーソナルコンピュータに装着する状態を示している。この図のように光メモリカードをパーソナルコンピュータのDVDドライブに装填することによって光メモリカードに情報を書き込み、読み取ることができる。
【0024】
上記の実施形態において、光メモリカードは記録のみ可能なリードオンリーメモリディスクとして構成してもよい。また、記録層の一部だけをリードオンリ記録層とし,他の部分を追記記録が可能な記録層としてもよい。
【0025】
上記実施形態における光ディスク情報記録層を有機色素系物質または相変化系物質で形成しても良い。また、光ディスク情報記録層を光磁気系物質で形成しても良い。
【0026】
上記実施形態では、本発明は、医療用携帯型記録媒体に適用されているが、本発明は、医療、健康、介護、保険、個人認証、クレジットカード、身分証明、健康保険証、銀行、貯金通帳、パスポート、運転免許証など個人が財布などカード入れに常に携帯できるカードに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に従った光メモリカードの平面図である。
【図2】図1の光メモリカードの側面図である。
【図3】他の実施形態であり、記録層以外に印字可能な不透明領域を設けた光メモリカードの平面図である。
【図4】4重層の記録層を示す図である。
【図5】他の実施形態に従った光メモリカードの平面図である。
【図6】他の実施形態であり、記録領域以外に半導体チップを埋め込んだ光メモリカードの平面図である。
【図7】本発明の光メモリカードを装填するパーソナルコンピュータの斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
11…光メモリカード、12…基板、13…記録層、14…補助基板、15…積層構造カード、16…傷防止膜、17…中央孔、18…半導体チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み0.6mmの矩形状基板と、この基板上に形成される記録再生可能な光ディスク情報記録層と、この光ディスク情報記録層を挟んで前記矩形状基板に接合された厚さ0.2mmの矩形状補助基板とでなる積層構造カードで構成され、前記記録再生可能な光ディスク層の外径がカード幅サイズに相当することを特徴とする光メモリカード。
【請求項2】
前記積層構造カードの長手方向が約85mmであり、幅方向が62mm以下であることを特徴とする請求項1記載の光メモリカード。
【請求項3】
前記積層構造カードにおいて前記矩形状補助基板と前記矩形状基板との接合面に不透明層を持ち、この不透明層には前記矩形状補助基板の最外側から眺めて文字が印字されていることを特徴とする請求項1または2記載の光カードメモリ。
【請求項4】
前記矩形状補助基板との接合面ではない側であり、レーザー光の入出力面となる前記矩形状基板の面に傷防止膜が施されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項5】
円形状の前記光ディスク情報記録層以外の前記積層構造カードの領域に記録層がないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項6】
前記光ディスク情報記録層は厚さが数十ナノメータの単層または20μmないし40μm毎に積み重ねられた最大4層の積層であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項7】
記録のみ可能なリードオンリーメモリディスクを構成することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項8】
前記記録層の一部だけがリードオンリ記録層となっており,他の部分は追記記録が可能な記録層となっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項9】
0.6mm厚の光ディスク基板と、この光ディスク基板上に形成される情報記録層と、この情報記録層を挟んで前記光ディスク基板に接合される0.2mm厚の補助基板とで成る記録再生ディスクにより構成され,この記録再生ディスクは長手方向が直径85mmの円盤状であり,横方向は中心にある直径15mm孔を中心に対称的に前記円盤を平行線でカットした幅62mm以下の寸法をもつことを特徴とする光メモリカード。
【請求項10】
前記光ディスク情報記録層が有機色素系物質で形成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項11】
前記光ディスク情報記録層が相変化系物質で形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項12】
前記光ディスク情報記録層が光磁気系物質で形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項13】
財布やカード入れに常時携帯できるように構成されたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項14】
医療、健康、介護、保険、個人認証、クレジットカード、身分証明、健康保険証、銀行、貯金通帳、パスポート、運転免許証など個人が財布などカード入れに常に携帯できるように構成されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1に記載の光メモリカード。
【請求項15】
前記記録層がない前記積層構造カードの領域に半導体チップが埋め込まれており、この半導体チップには前記積層構造カード内周に電磁波の授受が可能な導線が設置されていることを特徴とする請求項5に記載の光メモリカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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