説明

光変色性玩具

【課題】 暗色の太陽電池による色調の制約を受けることなく、しかも、太陽電池を設けた箇所は着色できると共に、光によって変色する機能も有するため、太陽電池による利便性と色調の自由度と変化性を備えた実用性に富む光変色性玩具を提供する。
【解決手段】 太陽電池を備えた玩具において、前記太陽電池表面に白色顔料を含む着色層と、前記着色層上にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を含む光変色層を設けてなる光変色性玩具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光変色性玩具に関する。更に詳細には、太陽電池を備えた玩具に光変色性を付与した光変色性玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光により発電する太陽電池を備えてなり、太陽電池の発電により駆動する玩具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記玩具は、電源として乾電池やACラインを用いる必要がないため、乾電池の交換や配線の手間を省ける反面、太陽電池は暗色であることから、玩具の色調に制限がある。
【特許文献1】実開平5−7294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記太陽電池を備えた利便性に富む玩具における色調の自由度と変化性を付与した光変色性玩具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、太陽電池を備えた玩具において、前記太陽電池表面に白色顔料を含む着色層と、前記着色層上にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を含む光変色層を設けてなる光変色性玩具を要件とする。
更には、前記着色層の光透過率が0.5%以上であること、前記白色顔料が炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカから選ばれる顔料であること、前記太陽電池がアモルファスシリコン系太陽電池であること、前記光変色層中にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物と、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーとを含有してなること、前記光変色層中にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物と、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーとを内包したマイクロカプセル、或いは、スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物と、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーとを含む樹脂粒子を分散してなること、前記太陽電池表面の最上層に400nm以下の光が10%以上透過するトップコート層を設けてなること等を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、暗色の太陽電池による色調の制約を受けることなく、しかも、太陽電池を設けた箇所は着色できると共に、光によって変色する機能も有するため、太陽電池による利便性と色調の自由度と変化性を備えた実用性に富む光変色性玩具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、黒色等、暗色の太陽電池による色調の自由度を高めるものであって、しかも、太陽電池の起電力に影響が少ない構成について検討した結果、白色顔料を含む着色層を太陽電池表面に設け、前記着色層上にフォトクロミック化合物を含む光変色層を設けることにより、光変色層の色変化を明瞭に視認できると共に、太陽電池材料の起電力への影響が少ない玩具が得られる。
【0007】
前記太陽電池としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、GaAs、InGaP/GaAs/InGaAs等のバルク型太陽電池、アモルファスシリコン系、Cu(InGa)Se、CdTe、色素増感セル等の薄膜型太陽電池が挙げられるが、軽量で入手性に優れたアモルファスシリコン系の薄膜型太陽電池が好適に用いられる。
前記太陽電池を用いた玩具の形態としては、人形又は動物、ロボット、自動車、オートバイ、電車、汽車、飛行機、ヘリコプター、船等の乗物が挙げられる。
前記玩具に設けた太陽電池の発電により玩具を駆動させたり、LED等の光源により発光させたり、スピーカー等の音源により音を発することができる。
前記玩具の駆動機構としてはモーターを例示でき、玩具に装着して可動させることができ、例えば、陸上でロボットの手足を動かしたり、自動車の車輪を動かして走行させたり、水上で船のスクリューを動かして推進させたり、ヘリコプターのプロペラを回転させて飛行させたりするものである。
なお、前記玩具には必要により、スイッチ、バッテリー、感光や感音センサーを設けることもできる。
【0008】
前記太陽電池表面に設けられる着色層には、白色顔料が含有されてなり、上層の光変色層の色変化を明瞭に視認させる。
前記白色顔料としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカから選ばれる白色顔料が濃色の太陽電池を高い隠蔽性を有する白色等の淡色にすることができると共に、白色顔料による太陽電池の起電力損失を極力低減できるため好適に用いられる。
前記炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカとしては、白石カルシウム(株)製の微粉末炭酸カルシウム(白艶華)、堺化学(株)製のルチル型酸化チタン(R−310)、アナタース型酸化チタン(A−110)、水澤化学工業(株)製の微粉末シリカ(ミズカシル)を例示できる。
前記白色顔料を含む着色層は光透過率が0.5%以上、好ましくは0.6%以上、より好ましくは0.7%以上である。光透過率が0.5%未満では下層の太陽電池の色調を遮蔽する効果に優れるため光変色層の色変化は明瞭に視認されるものの、太陽電池の起電力が低下するため光に対する太陽電池の反応性を損なって十分な起電力を得られ難くなる。
【0009】
前記着色層上に設けられる光変色層にはスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物が含有されてなる。
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロオキサジン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
インドリノスピロベンゾオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5,7−ジフルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−ニトロジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−6′−クロロ−3,3−ジメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ブロモ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ヨード−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−トリフルオロメチル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,6′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′,6′−ジフルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−フェニルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,7′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3−ジメチル−3−エチル−5′−メトキシスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチル−5−ニトロスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′,6′−ジメチルスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
9″−ブロモ−1′−メトキシカルボニルメチル−5′−トリフルオロメチルジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′〔1′H〕,3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−3,3−ジ−nブチル−7′−エチル−5−メトキシスピロ〔2H−インドール−1,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−n−ブチル−6′−ヨードジスピロ〔シクロヘプタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−9′−ヨード−1−ナフチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′−シアノ−1′−(2−(メトキシカルボニル)エチル)ジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7−メトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4−ブロモ−3,3−ジエチル−9′−エトキシ−1−(2−フェニル)エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エチル−9−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−ベンジル−6″−ヨードジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−トリクロロメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3−ジエチル−3−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メトキシカルボニルメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H)−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕等、インドリノスピロベンゾオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0010】
インドリノスピロナフトオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−ブロモ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5−テトラメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロピル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−iso−ブチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロポキシ−スピロナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−シアノ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−プロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−iso−ブチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクタデシル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−8′−スルホン酸ナトリウム−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−メトキシスピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−トリフルオロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロナフトオキサジン、
1−(4′−メチルフェニル)−3,3−ジメチル−スピロナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(2,3−ジヒドロ−1−インドリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−クロロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、1−イソプロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フェノキシエチル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−8′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、1,3,3,5−テトラメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−5′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5′−メトキシ−6′−トリフルオロメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,5,6−テトラメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−メチル−3,3−ジフェニル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(3,5−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン等、インドリノスピロナフトオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0011】
インドリノスピロフェナントロオキサジン系化合物の例としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンフェナントロオキサジン、1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンフェナントロオキサジン等、インドリノスピロフェナントロオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0012】
インドリノスピロキノリノオキサジン系化合物としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンキノリノオキサジン等、インドリノスピロキノリノオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0013】
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロピラン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ブロモベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−8′−メトキシベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベンゾピリロスピラン等を例示することができる。
【0014】
前記スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物は、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマー中に溶解して用いることにより、耐光性の向上、発色濃度の向上、更には耐水性も付与できる。
【0015】
前記スチレン系オリゴマーは重量平均分子量が200乃至6000、好ましくは200乃至4000のものが用いられる。
スチレン系オリゴマーの重量平均分子量が200未満の場合、含有モノマーが多くなり、安定性に欠けるため耐光性向上効果を発現し難くなる。
また、重量平均分子量が6000を越えると、光照射により色残りが発生し、且つ、発色濃度が低くなり、変色感度は鈍くなる。
なお、重量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定する。
前記フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーの重量比は、1:1〜1:10000であることが好ましく、より好ましくは1:5〜1:500である。
前記重量比を満たすことによって、耐光性向上効果に優れ、且つ、フォトクロミック化合物は十分な発色濃度を示すことができる。
【0016】
前記スチレン系オリゴマーとしては、低分子量ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体、α−メチルスチレン重合体、α−メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、d−リモネン重合体等が挙げられる。
低分子量ポリスチレンとしては、三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB−75(重量平均分子量2000)、ハイマーST−95(重量平均分子量4000)等が用いられる。
スチレン−α−メチルスチレン系共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックA5(重量平均分子量317)、ピコラスチックA75(重量平均分子量917)等が用いられる。
α−メチルスチレン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:クリスタレックス3085(重量平均分子量664)、クリスタレックス3100(重量平均分子量1020)、クリスタレックス1120(重量平均分子量2420)等が用いられる。
α−メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコテックスLC(重量平均分子量950)、ピコテックス100(重量平均分子量1740)等が用いられる。
α−ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトA115(重量平均分子量833)が用いられる。
β−ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトS115(重量平均分子量1710)が用いられる。
d−リモネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトC115(重量平均分子量902)が用いられる。
前記スチレン系オリゴマーは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いることもできる。
【0017】
前記フォトクロミック化合物を溶解する主媒体としてスチレン系オリゴマーを用いると共に、媒体中に極性の異なる化合物としてフェノール性水酸基を有する化合物を添加することにより、色調の調整が可能である。
具体的には、フェノール性水酸基を有する化合物の添加量を多くするとフォトクロミック化合物の発色時の色調が長波長側にシフトし、フェノール性水酸基を有する化合物の添加量を少なくするとフォトクロミック化合物の発色時の色調が短波長側にシフトして色調の調整が可能になる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノル、2−(1−メチルプロピル)フェノール、4−(1−メチルプロピル)フェノール、3−メチル−6−(1,1−ジメチルエチル)フェノール、4−メチル−2−(1,1−ジメチルエチル)フェノール、2−(1,1−ジメチル−エチル)フェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2−プロペニル)フェノール、4−(1,1−ジメチル−エチル)フェノール、4−ドデシルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノール、1,1′−ビフェニル−4−オール、4−シクロヘキシルフェノール、4′−オクチロキシ〔(1,1′−ビフェニル)−4−オール〕、4′−テトラデシロキシ〔1,1′−ビフェニル−4−オール〕、4,4′−メチレンビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−ヒドロキシアセトフェノン、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、5−ヒドロキシイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸エステル、5−ヒドロキシ−1−テトラロン、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、4−ヒドロキシビフェニル−4′−カルボン酸、4−ヒドロキシビフェニル−4′−カルボン酸エステル、p−ヒドロキシフェニルアセトアミド、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸メチルエステル、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、4−ヒドロキシプロピオフェノン、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、4−フェノキシフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−メトキシメチルフェノール、4−メトキシフェノール、4,4′−エチリデンビスフェノール、4,4′−プロピリデンビスフェノール、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール、4,4′−(3−メチルブチリデン)ビスフェノール、4,4′−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノール、4,4′−デシリデンビスフェノール、4,4′−ドデシリデンビスフェノール、4,4′−(1,3−ジメチルブチリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−プロピリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−ヘプチリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−オクチリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−ノニリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−ドデシリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−テトラデシリデン)ビスフェノール、4,4′−(1,5,9,13−テトラメチル−テトラデシリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−エチルプロピリデン)ビスフェノール、4,4′−(フェニルメチレン)ビスフェノール、4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、4,4′−(ジフェニルメチリデン)ビスフェノール、4,4′−シクロペンチリデンビスフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4′−(4−メチル−シクロヘキシリデン)ビスフェノール、4,4′−(4−エチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール、4,4′−(4−プロピルシクロヘキシリデン)ビスフェノール、4,4′−〔4−(1−メチルエチル)シクロヘキシリデン〕ビスフェノール、4,4′−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、4,4′−オキシビスフェノール、4,4′−(ジメチルシリレン)ビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジオール、4,4′−(1,2−エタンジイル)ビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタノイック酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタノイック酸ブチルエステル、4,4′−〔(4−フルオロフェニル)メチレン〕ビスフェノール、4,4′−〔2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン〕ビスフェノール、4,4′−〔(4−クロロフェニル)メチレン〕ビスフェノール、4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−エトキシフェノール、2,4′,4″−メチリデントリスフェノール、4,4′−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3−メチルフェノール)、4,4′,4″−エチリデントリスフェノール、2,6−ビス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−4−エチルフェノール、2,4−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−6−シクロヘキシルフェノール、4,4′,4″−(3−メチル−1−プロパニル−3−イリデン)トリスフェノール、4,4′−〔1−〔4−〔1-(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、4,4′,4″,4′″−(1,2−エタンジイリデン)テトラキスフェノール、4,4′,4″,4′″−(1,4−フェニレンジメチリデン)テトラキスフェノール、4,4′,4″,4′″−テトラキス〔(1−メチルエチリデン)ビス(1,4−シクロヘキシリデン)〕フェノール、等が挙げられる。
なお、前記フェノール性水酸基を有する化合物のうち、下記一般式(1)で示される化合物がフォトクロミック化合物の色調を多様化させることができるため、より好適に用いることができる。
【化1】

(式中、X、X、Xはそれぞれ水素原子、ハロゲン、有機残基から選ばれる置換基を示す。)
前記一般式(1)で示される化合物として具体的には、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、4−(1,1−ジメチル−エチル)フェノール、4−ドデシルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノール、1,1′−ビフェニル−4−オール、4−シクロヘキシルフェノール、4′−オクチロキシ〔(1,1′−ビフェニル)−4−オール〕、4′−テトラデシロキシ〔1,1´−ビフェニル−4−オール〕、4,4′−メチレンビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−ヒドロキシアセトフェノン、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、5−ヒドロキシイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸エステル、5−ヒドロキシ−1−テトラロン、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル、4−ヒドロキシビフェニル−4′−カルボン酸、4−ヒドロキシビフェニル−4′−カルボン酸エステル、p−ヒドロキシフェニルアセトアミド、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸メチルエステル、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、4−ヒドロキシプロピオフェノン、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、4−フェノキシフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−メトキシメチルフェノール、4−メトキシフェノール、4,4′−エチリデンビスフェノール、4,4′−プロピリデンビスフェノール、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール、4,4′−(3−メチルブチリデン)ビスフェノール、4,4′−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノール、4,4′−デシリデンビスフェノール、4,4′−ドデシリデンビスフェノール、4,4′−(1,3−ジメチルブチリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−プロピリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−ヘプチリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−オクチリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−ノニリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−ドデシリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−メチル−テトラデシリデン)ビスフェノール、4,4′−(1,5,9,13−テトラメチル−テトラデシリデン)ビスフェノール、4,4′−(1−エチルプロピリデン)ビスフェノール、4,4′−(フェニルメチレン)ビスフェノール、4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、4,4′−(ジフェニルメチリデン)ビスフェノール、4,4′−シクロペンチリデンビスフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4′−(4−メチル−シクロヘキシリデン)ビスフェノール、4,4′−(4−エチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール、4,4′−(4−プロピルシクロヘキシリデン)ビスフェノール、4,4′−〔4−(1−メチルエチル)シクロヘキシリデン〕ビスフェノール、4,4′−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、4,4′−オキシビスフェノール、4,4′−(ジメチルシリレン)ビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジオール、4,4′−(1,2−エタンジイル)ビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタノイック酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタノイック酸ブチルエステル、4,4′−〔(4−フルオロフェニル)メチレン〕ビスフェノール、4,4′−〔2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン〕ビスフェノール、4,4′−〔(4−クロロフェニル)メチレン〕ビスフェノール、4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−エトキシフェノール、2,4′,4″−メチリデントリスフェノール、4,4′−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3−メチルフェノール)、4,4′,4″−エチリデントリスフェノール、2,6−ビス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−4−エチルフェノール、2,4−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−6−シクロヘキシルフェノール、4,4′,4″−(3−メチル−1−プロパニル−3−イリデン)トリスフェノール、4,4′−〔1−〔4−〔1-(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、4,4′,4″,4′″−(1,2−エタンジイリデン)テトラキスフェノール、4,4′,4″,4′″−(1,4−フェニレンジメチリデン)テトラキスフェノール、4,4′,4″,4′″−テトラキス〔(1−メチルエチリデン)ビス(1,4−シクロヘキシリデン)〕フェノール等を例示できる。
【0018】
また、前記フォトクロミック化合物とフェノール性水酸基を有する化合物との重量比は、0.5:1〜10000:1であることが好ましく、より好ましくは0.8:1〜100:1である。前記重量比を満たすことによって、光劣化促進現象が現れることがなく、発色時の色調をフェノールの添加量に応じて任意に変えられるという効果を奏する。
【0019】
更に、ヒンダードアミン系光安定剤を添加して耐光性をいっそう向上させることもできる。
ヒンダードアミン系化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンとの混合エステル化物、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−メタクリレート、
N,N′,N″,N′″−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、
N−メチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペレジニル)ピロリジン−2,5−ジオン等を例示することができる。
なお、前記ヒンダードアミン系光安定剤として、下記一般式(2)で示される化合物が好適に用いられる。
【化2】

(式中、Rは炭素数1乃至30のアルキル基を示し、R、R、R、Rはそれぞれ炭素数1乃至5のアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、Rはn価の有機残基を示す。)
【0020】
前記フォトクロミック化合物、必要により、前記スチレン系オリゴマーと、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒンダードアミン系光安定剤は、各種樹脂中に分散させて粒状物として用いたり、カプセル壁膜に内包させてマイクロカプセルとして用いることもできる。
前記粒状物或いはマイクロカプセルの平均粒子径は0.5〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは、1〜30μmの範囲が実用性を満たす。
なお、前記マイクロカプセルは、平均粒子径0.5〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは、1〜30μmの範囲が実用性を満たす。
前記粒状物或いはマイクロカプセルの平均粒子径が100μmを越えると、インキ、塗料、或いは樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。
一方、平均粒子径が0.5μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記フォトクロミック化合物、それを含む粒状物或いはフォトクロミックマイクロカプセルは、従来より汎用のバインダー樹脂、例えば、各種合成樹脂エマルジョン、水溶性乃至油溶性の合成樹脂、その他糊剤等から選ばれる固着剤を含むビヒクル中に配合して印刷インキやスプレーインキを調製し、前記インキを用いて着色層上に光変色層を形成する。
更に、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中にブレンドして成形したシート状の成形体を着色層上に設けることもできる。
なお、前記光変色層中には、一般の染料及び顔料を適宜添加することにより、有色(1)から色調の異なる有色(2)の色変化を呈することもできる。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の部は重量部である。
実施例1
フォトクロミック材料の調製
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン2部を、ポリスチレン樹脂50部、キシレン200部を均一に混合してフォトクロミック材料を得た。
【0022】
光変色性玩具の作製
白色顔料として炭酸カルシウム(白石工業製、商品名:白艶華PZ)2部、アクリル樹脂50%トルエン溶液50部、酢酸エチル100部を混合した白色インキをアモルファスシリコン系太陽電池の黒色表面上にスプレー塗装し、乾燥させて着色層を設けた(着色層の光透過率3.4%)。
前記着色層上にフォトクロミック材料をスプレー塗装して光変色層を設けた。
前記太陽電池をミニチュアカーの屋根部分に固定し、ミニチュアカー内部のモーターとコードを介して接続して光変色性玩具を得た。
なお、前記モーターと車軸はギヤを介して接続されてなり、モーターの回転により車軸と車軸に連結した車輪が回転するよう構成されてなる。
前記光変色性玩具は、室内では太陽が当たらないため作動せず、太陽電池部分は光変色層が無色のため着色層による白色が視認される。
前記光変色性玩具を太陽光に晒すと太陽電池部分の光変色層が発色して紫色になると共に、モーターが回転するため走行を始める。
再び玩具を室内に持っていくと走行は止まり、太陽電池部分の色は白色に変色した。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
【0023】
実施例2
フォトクロミック材料の調製
1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン4部を、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体〔理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスティックA75、重量平均分子量917〕40部、キシレン200部を混合してフォトクロミック材料を得た。
【0024】
光変色性玩具の作製
白色顔料として酸化チタン(堺化学製、商品名:R−310)1部、アクリル樹脂エマルジョン50部、シリコーン系添加剤4部を混合した白色インキをアモルファスシリコン系太陽電池の黒色表面上にスクリーン印刷し、乾燥させて着色層を設けた(着色層の光透過率0.9%)。
前記着色層上にフォトクロミック材料をスプレー塗装して光変色層を設けた。
前記太陽電池を人形の胴体部に固定し、人形の目に設けた赤色の光源(発光ダイオード)とコードを介して接続して光変色性玩具を得た。
前記光変色性玩具は、室内では太陽が当たらないため目は発光せず、太陽電池部分は光変色層が無色のため着色層による白色が視認される。
前記光変色性玩具を太陽光に晒すと太陽電池部分の光変色層が発色して赤色になると共に、光源は発光して目が光り始める。
再び玩具を室内に持っていくと発光は止まり、太陽電池部分の色は白色に変色した。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
【0025】
実施例3
フォトクロミック材料の調製
1,3,3−トリメチルインドリノ−スピロナフトオキサジン2部を、低分子量ポリスチレン〔三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB−75、重量平均分子量2000〕50部中に混合して粒子状のフォトクロミック顔料を得た。
前記フォトクロミック顔料40部、アクリル樹脂エマルジョン60部、シリコーン系添加剤4部を混合してフォトクロミック材料を得た。
【0026】
光変色性玩具の作製
白色顔料としてシリカ(日本アエロジル製、商品名:アエロジル200)6部、アクリル樹脂エマルジョン50部、シリコーン系添加剤4部を混合した白色インキをアモルファスシリコン系太陽電池の黒色表面上にスクリーン印刷し、乾燥させて着色層を設けた(着色層の光透過率0.7%)。
前記着色層上にフォトクロミック材料をスプレー塗装して光変色層を設けた。
前記太陽電池をヘリコプター形態の玩具表面に固定し、内部のモーターとコードを介して接続して光変色性玩具を得た。
なお、前記モーターとプロペラは接続されてなり、モーターの回転によりプロペラが回転するよう構成されてなる。
前記光変色性玩具は、室内では太陽が当たらないため作動せず、太陽電池部分は光変色層が無色のため着色層による白色が視認される。
前記光変色性玩具を太陽光に晒すと太陽電池部分の光変色層が発色して青色になると共に、モーターが回転するためプロペラが回転を始める。
再び玩具を室内に持っていくとプロペラの回転は止まり、太陽電池部分の色は白色に変色した。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
【0027】
実施例4
フォトクロミック材料の調製
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン2部、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体〔理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスティックA5、重量平均分子量317〕50部の相溶体を、エポキシ樹脂を壁膜とするカプセルに内包したマイクロカプセル顔料40部、アクリル樹脂エマルジョン60部、シリコーン系添加剤4部を混合してフォトクロミック材料を得た。
【0028】
光変色性玩具の作製
白色顔料として酸化チタン(堺化学製、商品名:R−310)2部、アクリル樹脂エマルジョン50部、シリコーン系添加剤4部を混合した白色インキをアモルファスシリコン系太陽電池の黒色表面上にスクリーン印刷し、乾燥させて着色層を設けた(着色層の光透過率0.6%)。
前記着色層上にフォトクロミック材料を用いてスクリーン印刷にて「A」の文字を印刷し、光変色層を設けて光変色性太陽電池を得た。
前記太陽電池をヘリコプター形態の玩具表面に固定し、内部のモーターとコードを介して接続して光変色性玩具を得た。
なお、前記モーターとプロペラは接続されてなり、モーターの回転によりプロペラが回転するよう構成されてなる。
前記光変色性玩具は、室内では太陽が当たらないため作動せず、太陽電池部分は光変色層が無色のため着色層による白色が視認される。
前記光変色性玩具を太陽光に晒すと太陽電池部分の光変色層が発色して紫色の「A」の文字が視認されると共に、モーターが回転するためプロペラが回転を始める。
再び玩具を室内に持っていくとプロペラの回転は止まり、太陽電池部分の色は白色に変色した。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
【0029】
実施例5
フォトクロミック材料の調製
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン2部、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体〔理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスティックA75、重量平均分子量917〕、4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール1部の相溶体を、ウレタン樹脂を壁膜とするカプセルに内包したマイクロカプセル顔料40部、アクリル樹脂エマルジョン60部、シリコーン系添加剤4部を混合して紫色のフォトクロミック材料を得た。
これとは別に、1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン1部を、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体〔理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスティックA5、重量平均分子量317〕50部、4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール1部の相溶体を、ウレタン樹脂を壁膜とするカプセルに内包したマイクロカプセル顔料40部、アクリル樹脂エマルジョン60部、シリコーン系添加剤4部を混合して赤色のフォトクロミック材料を得た。
【0030】
光変色性玩具の作製
白色顔料として酸化チタン(堺化学製、商品名:R−310)1部、アクリル樹脂エマルジョン50部、シリコーン系添加剤4部を混合した白色インキをアモルファスシリコン系太陽電池の黒色表面上にスクリーン印刷し、乾燥させて着色層を設けた(着色層の光透過率0.7%)。
前記着色層上に、紫色のフォトクロミック材料を用いてスクリーン印刷にて「2」の文字を印刷して光変色層を設けた。次いで、「2」の文字の横に赤色のフォトクロミック材料を用いてスクリーン印刷にて「1」の文字を印刷して光変色層を設けて光変色性太陽電池を得た。
前記太陽電池をヘリコプター形態の玩具表面に固定し、内部のモーターとコードを介して接続して光変色性玩具を得た。
なお、前記モーターとプロペラは接続されてなり、モーターの回転によりプロペラが回転するよう構成されてなる。
前記光変色性玩具は、室内では太陽が当たらないため作動せず、太陽電池部分は光変色層が無色のため着色層による白色が視認される。
前記光変色性玩具を太陽光に晒すと太陽電池部分の光変色層が発色して赤色の「1」の文字が視認され、モーターが回転するためプロペラが回転を始める。
更に太陽光に晒すと紫色の「2」の文字が視認される。
再び玩具を室内に持っていくとプロペラの回転は止まり、太陽電池部分の色は白色に変色した。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
【0031】
実施例6
フォトクロミック材料の調製
1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン2部、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体〔理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスティックA75、重量平均分子量917〕、4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール1部の相溶体を、ウレタン樹脂を壁膜とするカプセルに内包したマイクロカプセル顔料40部、アクリル樹脂エマルジョン60部、シリコーン系添加剤4部を混合して紫色のフォトクロミック材料を得た。
【0032】
光変色性玩具の作製
白色顔料として酸化チタン(堺化学製、商品名:R−310)2部、アクリル樹脂エマルジョン50部、シリコーン系添加剤4部を混合した白色インキをアモルファスシリコン系太陽電池の黒色表面上にスクリーン印刷し、乾燥させて着色層を設けた(着色層の光透過率0.6%)。
前記着色層上に、フォトクロミック材料を用いてスクリーン印刷にて「A」の文字を印刷して光変色層を設けた。
前記光変色層上に、アクリル樹脂50%トルエン溶液50部、酢酸エチル100部を均一に溶解させて得られた透明塗料をスプレー塗装(400nm以下の光を60%以上透過)してトップコート層を設けて光変色性太陽電池を得た。
【0033】
光変色性玩具の作製
前記太陽電池をヘリコプター形態の玩具表面に固定し、内部のモーターとコードを介して接続して光変色性玩具を得た。
なお、前記モーターとプロペラは接続されてなり、モーターの回転によりプロペラが回転するよう構成されてなる。
前記光変色性玩具は、室内では太陽が当たらないため作動せず、太陽電池部分は光変色層が無色のため着色層による白色が視認される。
前記光変色性玩具を太陽光に晒すと太陽電池部分の光変色層が発色して紫色の「A」の文字が視認されると共に、モーターが回転するためプロペラが回転を始める。
再び玩具を室内に持っていくとプロペラの回転は止まり、太陽電池部分の色は白色に変色した。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
【0034】
比較例1
実施例1の着色層を厚くして光透過率を0.4%とした以外は同様の方法により光変色性玩具を得た。
前記光変色性玩具は、室内では太陽が当たらないため、太陽電池部分は光変色層が無色のため着色層による白色が視認される。
前記光変色性玩具を太陽光に晒すと太陽電池部分の光変色層が発色して紫色になるものの、モーターが回転することなく、走行しなかった。
【0035】
比較例2
実施例6のトップコート層を、アクリル樹脂50%トルエン溶液50部、酢酸エチル100部、紫外線吸収剤1.2部を均一に溶解させて得られた透明塗料をスプレー塗装(400nm以下の光透過率1%)して得られる層に代える以外は同様の方法により光変色性玩具を得た。
前記光変色性玩具は、室内でも太陽光に晒した場合でもプロペラは回転することなく、しかも、太陽電池部分は白色のみが視認されて、色変化を示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池を備えた玩具において、前記太陽電池表面に白色顔料を含む着色層と、前記着色層上にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を含む光変色層を設けてなる光変色性玩具。
【請求項2】
前記着色層の光透過率が0.5%以上である請求項1記載の光変色性玩具。
【請求項3】
前記白色顔料が炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカから選ばれる顔料である請求項1又は2記載の光変色性玩具。
【請求項4】
前記太陽電池がアモルファスシリコン系太陽電池である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光変色性玩具。
【請求項5】
前記光変色層中にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物と、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーとを含有してなる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光変色性玩具。
【請求項6】
前記光変色層中にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物と、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーとを内包したマイクロカプセル、或いは、スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物と、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーとを含む樹脂粒子を分散してなる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光変色性玩具。
【請求項7】
前記太陽電池表面の最上層に400nm以下の光が10%以上透過するトップコート層を設けてなる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光変色性玩具。

【公開番号】特開2009−22680(P2009−22680A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191556(P2007−191556)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】