説明

光学シート及び面光源装置

【課題】 導光板から出射された光の利用効率が高い半透過反射シートを提供する。
【解決手段】 半透過反射シート19の下面は平坦な光入射面47となっており、光入射面47と反対側の面には、光反射領域43aと光透過領域43bが設けられている。光透過領域43bは、光入射面47と平行な平坦面となっている。光反射領域43aは、断面が直角二等辺三角形状となった凸状パターン42によって構成されている。光入射面47から光透過領域43bに入射した光41の一部は、半透過反射シート19を透過して光入射面47と反対側の面から出射する。光入射面47から入射した光41の残りの一部は、凸状パターン42を成す反射壁44、45によって2回全反射する。反射壁44、45で反射した光は、元の入射方向とほぼ平行に、入射光と逆向きに出射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シート及び面光源装置に係るものである。すなわち、入射した光のうち一部の光を透過させ、一部の光を反射させる光学シートに関する。また、当該光学シートを用いた面光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来例による両面画像表示装置7の構造を示す概略断面図である。この両面画像表示装置7にあっては、光源1と導光板2からなる面光源装置3の一方の面に、拡散光を集光するための集光シート5とサイズの大きな第1の液晶パネル4aを対向させて順次配置している。面光源装置3の他方の面には、半透過反射シート6とサイズの小さな第2の液晶パネル4bを対向させて配置している。
【0003】
ここで用いられている半透過反射シート6は、入射した光の一部を反射させ、残りの光を透過させるものであって、例えば図2(a)(b)(c)(d)に示すような構造のものが従来より知られている(特許文献1)。
【0004】
図2(a)に示すものは半透過反射シート6の一従来例であって、ガラス又はプラスチック等の透明な基材8の一方の面に、金属薄膜や白色塗料からなる光反射用の反射膜10が部分的に形成されている。半透過反射シート6のうち反射膜10を形成された領域は光反射領域13となっており、反射膜10が形成されておらず透明な基材8が露出している領域が光透過領域14となっている。従って、反射膜10側から半透過反射シート6に光が入射すると、その入射光のうち光反射領域13に到達した光は、反射膜10で反射されて入射してきた方向へ戻り、また、光透過領域14に到達した光は、透明な基材8を透過して入射面と反対側の面から入射方向と同じ向きに出射される。
【0005】
図2(b)に示すものは半透過反射シート6の別な従来例であって、不透明な基材8の一方の面に金属薄膜や白色塗料などからなる光反射用の反射膜10が部分的に形成されており、基材8の上に反射膜10を形成された領域が光反射領域13となっている。また、基材8の反射膜10を形成されていない領域には貫通穴9が打ち抜かれており、この貫通穴9を打ち抜かれた領域が光透過領域14となっている。従って、この反射膜10の設けられている側から半透過反射シート6に入射した光のうち、光反射領域13に到達した光は、反射膜10で反射されて入射してきた方向へ戻り、また、光透過領域14に到達した光は、貫通穴9を透過して入射面と反対側の面から入射方向と同じ向きに出射される。
【0006】
図2(c)に示すものは半透過反射シート6のさらに別な従来例であって、透明な基材8内に微細な気泡11を分散させたものである。この半透過反射シート6に入射した光は、基材8と気泡11の界面で屈折あるいは全反射されることによって散乱され、入射した光の一部は入射面側から出射し、一部の光は入射面と反対側の面から出射する。
【0007】
図2(d)に示すものは半透過反射シート6のさらに別な従来例であって、白色顔料12を分散させた乳白色の基材8によって形成されている。しかして、この半透過反射シート6に入射した光は、白色顔料12で反射され、入射した光の一部が入射面側から出射し、また、一部の光が入射面と反対側の面から出射される。
【0008】
しかしながら、図2(a)(b)に示すように、金属薄膜や白色塗料の反射膜10を用いて一部の光を反射させるようにした半透過反射シート6においては、反射膜10による光の吸収があり、反射光の利用効率(光の反射効率)が悪くなる。また、反射膜10による反射光の吸収率が波長に依存するので、所望の反射率や波長依存性のない反射率が得られるように作製することが難しいといった問題があった。
【0009】
一方、図2(c)(d)に示すように基材8内に、微細な気泡11や白色顔料12を分散させた半透過反射シート6の量産工程においては、気泡11や白色顔料12の含有量の割合を一定にすることが難しく、さらには、気泡11や白色顔料12を基材8の全面にわたって均一に分布させることも容易でない。そのため、このような従来例では、気泡11や白色顔料12の含有量のバラツキがあるため、個々の半透過反射シート6において反射率や透過率が一定となるように品質管理することが困難である。また、基材8内において気泡11や白色顔料12に分布ムラがあると、半透過反射シート6にも反射率や透過率のムラが発生する。さらに、これらの従来例では、垂直に入射する光が不特定な方向へ散乱されるので、光の利用効率が低かった。
【0010】
【特許文献1】特開2004−87409
【特許文献2】特開2003−317520
【特許文献3】特開平8−248421号公報
【特許文献4】特許第3310023号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光の反射率や透過率を精度良くコントロールすることができ、しかも、光の利用効率にも優れた光学シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる第1の光学シートは、一方の面を光入射面とする透明基板の、当該光入射面と対向する面に、少なくとも2つの傾斜した反射壁を有する凸状パターンを相互に間隙をあけて複数形成し、前記透明基板に入射した光の一部を、前記凸状パターンの各反射壁で全反射させることによって入射方向と平行な方向へ向けて光入射面から出射させると共に、前記透明基板に入射した光の残りの一部を、前記反射壁を形成していない領域を透過させることによって光入射面と対向する面から出射させるようにしたものである。
【0013】
本発明にかかる第1の光学シートによれば、凸状パターンの反射壁に入射した光は、反射壁で少なくとも2回反射されることによって元の入射方向へ向けて反射される。また、反射壁のない部分へ入射した光は、光学シートを透過して光入射面と反対側の面から出射される。この光学シートにあっては、前記反射壁が形成された領域(光反射領域)の面積と前記反射壁が形成されていない領域(透過領域)の面積との比に基づいて、光学シートの透過率及び/又は反射率を設定することができる。よって、この光学シートは、例えば半透過反射シートとして使用することができる。
【0014】
このような第1の光学シートによれば、透明基板の表面に形成した凸状パターンの反射壁で光を全反射しているので、光の反射に金属薄膜などを利用した従来例や気泡や白色顔料を分散させた従来例のように光の吸収や散乱がなく、高い光利用効率でもって一部の光を反射させ一部の光を透過させることができる。また、金属薄膜を用いた従来例のように反射率が入射光の周波数に依存する心配もない。さらに、この光学シートによれば、例えば反射壁の設けられている領域(反射領域)の全体に対する面積比(密度)や、反射壁の設けられていない領域(透過領域)の全体に対する面積比によって、光学シートの反射率あるいは透過率を変化させることができるので、光学シートの反射率や透過率を精度良く制御することができる。また、反射壁の配置(分布)の設計の仕方によって光シートの反射率や透過率の分布を均一にすることができる。
【0015】
本発明にかかる第1の光学シートのある実施態様では、前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凸状パターンの断面形状は、前記凸状パターンを構成する2つの反射面が略90度の角度をなす二等辺三角形となっている。かかる実施態様においては、光学シートの光入射面にほぼ垂直に入射した光は、凸状パターンの2つの反射面で続けて全反射されることにより、入射光とほぼ平行に反射される。なお、通常の用途では、反射光の方向は入射光の方向と完全に平行であることは要求されないので、凸状パターンを構成する2つの反射面は略90度の角度をなしていればよく、90度に対して数度大きくても、小さくても差し支えない。
【0016】
本発明にかかる第1の光学シートの別な実施態様では、前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凸状パターンの断面形状は、前記反射壁の傾斜角が略45度の等脚台形となっている。本発明にかかる光学シートでは、凸状パターンの断面形状が等脚台形となっていて傾斜角が45度の反射壁が離間しているが、光学シートの光入射面にほぼ垂直に入射して一方の反射壁で全反射された光は、凸状パターン内を進んで他方の反射壁で全反射され、入射光とほぼ平行に反射される。また、かかる実施態様においては、凸状パターンの断面形状が等脚台形となっていて反射壁が凸状パターンの両端に分離されているので、反射領域を構成する各反射壁が細かく分散させられることになり、反射壁が目立ちにくくなる。特に、光透過側から見たときの反射壁による暗点や、光入射側から見たときの反射壁による輝点が目立ちにくくなり、光学シートの特性を均一化することができる。
【0017】
本発明にかかる第1の光学シートのさらに別な実施態様では、前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凸状パターンの断面形状は、前記光入射面から最も遠い位置にある頂点の頂角が略90度であり、当該頂点を挟む2辺の、前記光入射面への射影長がほぼ等しい四角形となっている。かかる実施態様によれば、頂角が略90度の頂点を挟む、凸状パターンの2辺で入射光を全反射させることにより、元の入射方向とほぼ平行な方向へ向けて光を反射させることができる。また、この実施態様では、頂角が略90度の頂点を挟む2辺の光入射面への射影長がほぼ等しくなっているので、一方の辺で全反射された光が他方の辺で反射されることなく斜め方向へ反射されるといった不都合や、一方の辺で反射された光を反射させるために使用されない領域が他方の辺に生じるといった不都合を小さくすることができる。さらに、この実施態様によれば、頂角が略90度の頂点を挟む辺以外の第三の辺の傾きを適当に設計することにより、光学シートの入射面に斜め入射した光を第三の辺等で全反射させることによって入射面とほぼ垂直な方向へ出射させることができ、光利用効率をより向上させることができる。なお、この凸状パターンは微細なパターンであるから、製造誤差によって完全に2辺の射影長を等しくすることは困難であり、数十%程度の誤差は許容される。
【0018】
本発明にかかる第1の光学シートのさらに別な実施態様では、前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凸状パターンの断面形状は、中央部で窪んだ略W字状の五角形であり、当該凸状パターンの光入射面から遠い側へ向けて突出している2つの頂点の頂角がいずれも90度であり、これらの頂点を挟む2辺の、前記光入射面への射影長がいずれもほぼ等しいことを特徴としている。かかる実施態様によれば、頂角が90度の頂点を挟む、凸状パターンの2辺で入射光を全反射させることにより、元の入射方向とほぼ平行な方向へ向けて光を反射させることができる。また、この実施態様では、頂角が90度の頂点を挟む2辺の光入射面への射影長がほぼ等しくなっているので、一方の辺で全反射された光が他方の辺で反射されることなく斜め方向へ反射されるといった不都合や、一方の辺で反射された光を反射させるために使用されない領域が他方の辺に生じるといった不都合を小さくすることができる。さらに、この実施態様によれば、断面が5角形の凸状パターンを成形するための型は、角度が90度の隅部をほぼ2箇所に備えた断面W溝状の凹部を有するので、長方形状のバイトを用いて傾きを変えて2度研削することにより容易に型の凹部を製作することができる。
【0019】
本発明にかかる第2の光学シートは、一方の面を光入射面とする透明基板の、当該光入射面と対向する面に、少なくとも2つの傾斜した反射壁を有する凹状パターンを相互に間隙をあけて複数形成し、前記透明基板に入射した光の一部を、前記凹状パターン間の反射壁で全反射させることによって入射方向と平行な方向へ向けて光入射面から出射させると共に、前記透明基板に入射した光の残りの一部を、前記反射壁を形成していない領域を透過させることによって光入射面と対向する面から出射させるようにしたものである。
【0020】
本発明にかかる第2の光学シートによれば、凹状パターンの反射壁に入射した光は、隣接する凹状パターンの反射壁間で少なくとも2回反射されることによって元の入射方向へ向けて反射される。また、反射壁のない部分へ入射した光は、光学シートを透過して光入射面と反対側の面から出射される。この光学シートにあっては、前記反射壁が形成された領域(光反射領域)の面積と前記反射壁が形成されていない領域(透過領域)との面積の比に基づいて、光学シートの透過率及び/又は反射率を設定することができる。よって、この光学シートは、例えば半透過反射シートとして使用することができる。
【0021】
このような第2の光学シートによれば、透明基板の表面に形成した凹状パターンの反射壁で光を全反射しているので、光の反射に金属薄膜などを利用した従来例や気泡や白色顔料を分散させた従来例のように光の吸収や散乱がなく、高い光利用効率でもって一部の光を反射させ一部の光を透過させることができる。また、金属薄膜を用いた従来例のように反射率が入射光の周波数に依存する心配もない。さらに、この光学シートによれば、例えば反射壁の設けられている領域(反射領域)の全体に対する面積比(密度)や、反射壁の設けられていない領域(透過領域)の全体に対する面積比によって、光学シートの反射率あるいは透過率を変化させることができるので、光学シートの反射率や透過率を精度良く制御することができる。また、反射壁の配置(分布)の設計の仕方によって光シートの反射率や透過率の分布を均一にすることができる。
【0022】
本発明にかかる第2の光学シートのある実施態様では、前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凹状パターンの断面形状は、前記凹状パターンを構成する2つの反射壁が略90度の角度をなす二等辺三角形のV溝状となっている。かかる実施態様においては、光学シートの光入射面にほぼ垂直に入射した光は、隣接する凹状パターンの各反射面で続けて全反射されることにより、入射光とほぼ平行に反射される。なお、通常の用途では、反射光の方向は入射光の方向と完全に平行であることは要求されないので、凹状パターンを構成する2つの反射面は略90度の角度をなしていればよく、90度に対して数度大きくても、小さくても差し支えない。
【0023】
本発明にかかる第2の光学シートの別な実施態様では、前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凹状パターンの断面形状は、前記反射壁の傾斜角が略45度の等脚台形の凹溝状となっている。本発明にかかる光学シートでは、隣接する凹状パターンの傾斜角が45度の反射壁が並んでいるので、光学シートの光入射面にほぼ垂直に入射して一方の反射壁で全反射された光は、他方の反射壁で全反射され、入射光とほぼ平行に反射される。また、かかる実施態様においては、凹状パターンの断面形状が等脚台形となっていて反射壁が凹状パターンの両端に分離されているので、反射領域を構成する各反射壁が細かく分散させられることになり、反射壁が目立ちにくくなる。特に、光透過側から見たときの反射壁による暗点や、光入射側から見たときの反射壁による輝点が目立ちにくくなり、光学シートの特性を均一化することができる。
【0024】
本発明にかかる第3の光学シートは、一方の面を光入射面とする透明基板の、当該光入射面と対向する面に、少なくとも3つの傾斜した反射壁を有する凹状及び凸状をした凹凸パターンを相互に間隙をあけて複数形成し、前記透明基板に入射した光の一部を、前記凹凸パターン間の反射壁で全反射させることによって入射方向と平行な方向へ向けて光入射面から出射させると共に、前記透明基板に入射した光の残りの一部を、前記反射壁を形成していない領域を透過させることによって光入射面と対向する面から出射させるようにしたものである。
【0025】
本発明にかかる第3の光学シートによれば、凹凸パターンの反射壁に入射した光は、凹凸パターンの反射壁で少なくとも2回反射されることによって元の入射方向へ向けて反射される。また、反射壁のない部分へ入射した光は、光学シートを透過して光入射面と反対側の面から出射される。この光学シートにあっては、前記反射壁が形成された領域(光反射領域)の面積と前記反射壁が形成されていない領域(透過領域)との面積の比に基づいて、光学シートの透過率及び/又は反射率を設定することができる。よって、この光学シートは、例えば半透過反射シートとして使用することができる。
【0026】
このような第3の光学シートによれば、透明基板の表面に形成した凹凸パターンの反射壁で光を全反射しているので、原理的には、光の反射に金属薄膜などを利用した従来例や気泡や白色顔料を分散させた従来例のように光の吸収や散乱がなく、高い光利用効率でもって一部の光を反射させ一部の光を透過させることができる。また、金属薄膜を用いた従来例のように反射率が入射光の周波数に依存する心配もない。さらに、この光学シートによれば、例えば反射壁の設けられている領域(反射領域)の全体に対する面積比(密度)や、反射壁の設けられていない領域(透過領域)の全体に対する面積比によって、光学シートの反射率あるいは透過率を変化させることができるので、光学シートの反射率や透過率を精度良く制御することができる。また、反射壁の配置(分布)の設計の仕方によって光シートの反射率や透過率の分布を均一にすることができる。
【0027】
本発明にかかる第1、第2及び第3の光学シートのさらに別な実施態様では、前記透明基板の光入射面及び光入射面に対向する面のうち、前記反射壁でない面の少なくとも一部に光拡散面が形成されている。かかる実施態様によれば、光拡散面によって光学シートに入射した光を拡散させることができるので、光学シートに拡散シートの機能を持たせることができる。よって、拡散シートが必要な場合でも、別途拡散シートを用意する必要が無くなる。
【0028】
本発明にかかる第1の面光源装置は、光源と、当該光源から入射した光を面状に広げて光出射面から出射させる導光板とからなる面光源装置において、本発明の第1、第2又は第3の光学シートを、その光入射面を前記導光板に向けて前記導光板の光出射面側に配置することにより、前記導光板の光出射面側及び光出射面と反対側へ光を出射させるようにしたものである。
【0029】
本発明の第1の面光源装置にあっては、導光板の光出射面から出射された光の一部が光学シートを透過する。残りの一部の光は、光学シートで反射された後、導光板を透過して光出射面と反対側の面から出射される。この結果、導光板の光出射面及び光出射面と反対側へ光を出射させることができ、両面発光型の面光源装置を得ることができる。しかも、この面光源装置にあっては、本発明の光学シートを用いているので、高い光利用効率を達成できる。また、光学シートの反射率が入射光の周波数に依存する心配もない。さらに、この光学シートによれば、例えば反射壁の設けられている領域(反射領域)の全体に対する面積比(密度)や、反射壁の設けられていない領域(透過領域)の全体に対する面積比によって、光学シートの反射率あるいは透過率を変化させることができるので、光学シートの反射率や透過率を精度良く制御することができる。
【0030】
本発明にかかる第2の面光源装置は、光源と、当該光源から入射した光を面状に広げて光出射面から出射させる導光板とからなる面光源装置において、当該導光板の光出射面側に偏光選択反射シートを配置し、本発明の第1、第2又は第3の光学シートを、その光入射面を前記導光板に向けて前記導光板の光出射面と反対側に配置することにより、前記導光板の光出射面側及び光出射面と反対側へ光を出射させるようにしたものである。
【0031】
本発明の第2の面光源装置にあっては、導光板の光出射面から出射された光のうち一方の偏光方向の光が偏光選択反射シートを透過する。他方の偏光方向の光は偏光選択反射シートで反射され、導光板を透過して光学シートに達し、光学シートに達した光の一部は光学シートを透過する。また、光学シートに達した残りの光は光学シートで反射され、このとき偏光状態が変化させられる。光学シートで反射した光は導光板を透過して偏光選択反射シートに達し、一方の偏光方向の光は偏光選択反射シートを透過し、他方の偏光方向の光は偏光選択反射シートで反射される。この結果、導光板の光出射面及び光出射面と反対側へ光を出射させることができ、両面発光型の面光源装置を得ることができる。しかも、この面光源装置にあっては、本発明の光学シートを用いているので、高い光利用効率を達成できる。また、光学シートの反射率が入射光の周波数に依存する心配もない。さらに、この光学シートによれば、例えば反射壁の設けられている領域(反射領域)の全体に対する面積比(密度)や、反射壁の設けられていない領域(透過領域)の全体に対する面積比によって、光学シートの反射率あるいは透過率を変化させることができるので、光学シートの反射率や透過率を精度良く制御することができる。
【0032】
本発明にかかる第3の面光源装置は、光源と、当該光源から入射した光を面状に広げて光出射面から出射させる導光板とからなる面光源装置において、前記導光板の光出射面側に偏光選択反射シートを配置し、断面が四角形又は五角形の凸状パターンを有する本発明の光学シートを、その光入射面を前記導光板に向けて前記導光板の光出射面と反対側に配置することにより、前記導光板の光出射面側及び光出射面と反対側へ光を出射させるようにすると共に、前記導光板の光出射面と対向する面から出射された光を、前記光学シートの凸状パターンによって反射又は屈折させることにより、光学シートの凸状パターンを形成していない領域を透過する光と同じ向きに偏向させ、前記光学シートの光入射面と対向する面から光を出射させるようにしたものである。
【0033】
本発明の第3の面光源装置にあっては、導光板の光出射面から出射された光のうち一方の偏光方向の光が偏光選択反射シートを透過する。他方の偏光方向の光は偏光選択反射シートで反射され、導光板を透過して光学シートに達し、光学シートに達した光の一部は光学シートを透過する。また、光学シートに達した残りの光は光学シートで反射され、このとき偏光状態が変化させられる。光学シートで反射した光は導光板を透過して偏光選択反射シートに達し、一方の偏光方向の光は偏光選択反射シートを透過し、他方の偏光方向の光は偏光選択反射シートで反射される。この結果、導光板の光出射面及び光出射面と反対側へ光を出射させることができ、両面発光型の面光源装置を得ることができる。また、導光板の光出射面と対向する面から出射された光を、光学シートの凸状パターンによって反射又は屈折させることにより、光学シートの凸状パターンを形成していない領域を透過する光と同じ向きに偏向させて光学シートの光入射面と対向する面から光を出射させるようにしているので、光の利用効率をより向上させることができる。
【0034】
本発明の第2又は第3の面光源装置の実施態様では、導光板の光出射面側に偏光選択反射シートを配置し、その反対側の面に光学シートを配置した面光源装置において、前記光学シートの凸状、凹状又は凹凸パターンは、当該光学シートの光入射面側から見て直線状に形成されており、当該凸状、凹状又は凹凸パターンが直線状に延びている方向と前記偏光選択反射シートの偏光軸方向とが略45度の角度をなしていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、導光板から出射され偏光選択反射シートで反射された後、導光板を透過してある偏光方向の直線偏光が光学シートに到達したとき、光学シートにより反射された光の偏光方向を入射した直線偏光の偏光方向に対して90度回転させることができる。よって、光学シートで反射された光の偏光方向は、偏光選択反射シートの偏光方向と平行となり、偏光選択反射シートで反射されることなく透過する。よって、偏光選択反射シートと光学シートとの間における光の反射回数を減らし、スムーズに光を取り出すことが可能になる。
【0035】
なお、本発明の以上説明した構成要素は、可能な限り任意に組み合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【実施例1】
【0037】
図3は、本発明の実施例1による両面画像表示装置15の構造を示す分解斜視図である。この両面画像表示装置15は、一方の表示面を構成する第1の液晶パネル16、他方の表示面を構成する第2の液晶パネル18、面光源装置17、半透過反射シート(光学シート)19から構成されている。第1の液晶パネル16は、半透過反射シート19の一方の面(液晶パネル16の配置されている側の面を、図3に従って上面側とする)に対向するように配置され、半透過反射シート19の他方の面(面光源装置17の配置されている側の面を、図3に従って下面側とする)に対向するように面光源装置17が配置されている。第2の液晶パネル18は、面光源装置17の半透過反射シート19と対向してる面の反対側の面と対向するように配置されている。また、面光源装置17は、小さな光源20(点光源と言われることがある。)と導光板21からなる。
【0038】
図4は、前記光源20の構造を示す断面図である。光源20は、導光板21の幅に比較して小さな光源である。光源20は、発光ダイオード(LED)チップ22を透明樹脂23内に封止し、その前面以外の面を白色透明樹脂24で覆って構成されている。この光源20は、フィルム配線基板25上に実装され、半田26によってフィルム配線基板25に固定されている。さらに、フィルム配線基板25は、ガラスエポキシ樹脂からなる補強板27に固定される。導光板21のコーナー部には、光源20を挿入するための孔28が上下方向に貫通している。孔28の近傍において、導光板21の下面には位置決めピン29が突出している。一方、フィルム配線基板(FPC)25と補強板27には、位置決めピン29を通すための通孔30、31があけられている。
【0039】
しかして、光源20を導光板21に取り付けるに当たっては、位置決めピン29の基部周囲において導光板21の下面に紫外線硬化型接着剤32を塗布しておく。位置決めピン29をフィルム配線基板25と補強板27の通孔30、31に通したら、CCDカメラ等でモニターしながら導光板21の厚み方向中心と光源20の発光中心との位置決めを行う。位置決めが完了したら、紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤32を硬化させることによって、光源20を導光板21にしっかりと固定し、位置決めピン29を熱かしめする。
【0040】
このとき、図4に示されているように、孔28の内面の厚み方向中心に設けられた突起33を目印として光源20の発光中心の位置決めを行っても良い。突起33を設ける位置は、光源20の背面側でも正面側でもよく、その両方でもよい。
【0041】
なお、フィルム配線基板25の代わりにガラスエポキシ配線基板やリードフレームを用いてもよい。また、2個以上の発光ダイオードチップを用いる場合には、複数個の発光ダイオードチップを1箇所に集めることで点光源化してもよい。また、光源20は、発光ダイオードチップを直接導光板21内にインサート成形することによって形成してもよく、導光板21の外部(導光板21の外周面に対向する位置)に配置されていてもよい。また、複数個の点光源を近接させて配置して光源20としてもよい。
【0042】
図5は、前記導光板21の下面図である。前記導光板21は、ポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂、メタクリル樹脂等の屈折率の高い透明樹脂やガラスによって略矩形平板状に成形されている。導光板21の下面には、実質的な面光源となる長方形状の面発光領域34が形成され、面発光領域34の周囲には、非発光領域35が枠状に形成されている。光源20を納めるための孔28は、導光板21の短辺側の端で、非発光領域35に開口されている。なお、導光板21の光入射面(孔28の内周面)には、光源20から導光板21内に入る光の配向パターンを制御するために、レンズやプリズム、ディフューザー等からなる光学素子が形成されている。
【0043】
導光板21の下面の面発光領域34には、多数の微小な偏向パターン36を有するパターン面38が形成されている。すなわち、導光板21の面発光領域34とは、偏向パターン36を形成された領域である。図6は、導光板21の下面の面発光領域34に形成された偏向パターン36の配置を上側から見た平面図である。偏向パターン36は、光源20を中心とする円周上に沿って隙間をあけて離散的に、かつ、同心円状に配置されている。各偏向パターン36の間隔は、光源20に近い側では比較的広く、光源20から離れるに従って次第に間隔が短くなっている。言い換えると、各偏向パターン36は、光源20に近い側では比較的パターン密度が小さく、光源20から離れるに従って、次第にパターン密度が大きくなっている。これにより、導光板21の上面(以下、光出射面37という)における輝度が均一になるようにしている。
【0044】
図7(a)は偏向パターン36の輪郭を示す斜視図である。偏向パターン36は、導光板21の下面を三角溝状に凹設して形成されている。偏向パターン36は、光源20側を向いた偏向傾斜面39と光源20から遠い側を向いた再入射面40とを有している。図7(b)(c)は、偏向パターン36の断面を表している。図7(b)に示すように、偏向傾斜面39の傾斜角をβとすれば、傾斜角βは、例えば約50°となっており、再入射面40の傾斜角γは偏向傾斜面39の傾斜角βよりも大きくなっている。しかして、偏向傾斜面39に入射した光41は、偏向傾斜面39で全反射され、導光板21の上面に対してほぼ垂直に入射し、導光板21の光出射面37からほぼ垂直に出射される。また、図7(c)に示すように、偏向パターン36の偏向傾斜面39から導光板21の外へ漏れた光41の一部は、再入射面40から再び導光板21内に入射し、再利用される。
【0045】
図8は半透過反射シート19を模式的に示す平面図、図9は半透過反射シート19の一部を示す拡大断面図である。半透過反射シート19は、透明樹脂や透明ガラスからなる平板状をした透明シート46によって形成されている。半透過反射シート19の光入射面47は平坦な面となっており、光入射面47と対向する面には、光反射領域43aと光透過領域43bが交互に形成されている。透明シート46を成形するための透明樹脂としては、例えばポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等を用いることができる。図8に示すように、半透過反射シート19の光反射領域43aには、一定の間隔をあけて複数本のストライプ状をした凸状パターン42が互いに平行に形成されている。なお、図8においては、図示の都合上、数本の凸状パターン42が大きく描かれているが、実際には数μm〜数十μmの微細幅の凸状パターン42が多数形成されている。
【0046】
図9に示すように、1つの凸状パターン42は、2面の反射壁44、45から構成されており、反射壁44、45は光透過領域43bに対して、それぞれ45°の傾斜角で反対向きに傾斜している。凸状パターン42の長手方向に垂直で、光透過領域43bに垂直な断面においては、反射壁44と反射壁45は略90°の角度を成しており、凸状パターン42の断面は直角二等辺三角形状となっている。また、図9に示すように、光透過領域43bは、半透過反射シート19の下面(光入射面)と平行な平坦な平面で形成されている。
【0047】
しかして、この半透過反射シート19は、次に説明するような働きをする。導光板21の光出射面37からほぼ垂直に出射した光41は、半透過反射シート19内へ半透過反射シート19の下面からほぼ垂直に入射し、光反射領域43aおよび光透過領域43bに到達する。光透過領域43bに到達した光41は、光透過領域43bを透過して、半透過反射シート19の上面からほぼ垂直に出射される。一方、光反射領域43aに到達した光41は、反射壁44及び45で2度全反射されて、半透過反射シート19の下面からほぼ垂直に出射される。
【0048】
次に、図10(a)〜(c)により、半透過反射シート19の製造方法の一例を説明する。半透過反射シート19を成形するためには、透明な熱可塑性樹脂からなる、表面が平坦な透明シート46を用いる。半透過反射シート19を成形するための成形金型は、上金型48と下金型49とからなる。下金型49の表面は平坦に形成されている。上金型48の下面には、半透過反射シート19の凸状パターン42を成形するための断面直角三角形状をした凹条50と、半透過反射シート19の光透過領域43bを形成するための平坦面51とが形成されている。
【0049】
しかして、半透過反射シート19を成形するに当たっては、図10(a)に示すように、透明シート46を下金型49の上に平らに置く。次に、図10(b)に示すように、下金型49の上に置かれた透明シート46を上金型48で押さえ、透明シート46に熱を加えながら上金型48と下金型49で透明シート46を加圧する。そうすると、図10(c)に示すように、上金型48に形成された凹条50が透明シート46に転写され、透明シート46の表面に光反射領域43a(凸状パターン42)と光透過領域43bが形成され、半透過反射シート19が得られる。
【0050】
次に、この両面画像表示装置15における光の挙動を図11及び図12により説明する。この面光源装置17における光の挙動を図11及び図12により説明する。図11は導光板21内における光の挙動を示す図、図12は導光板21から出射された光の挙動を示した図である。図11に示すように、光源20から出射された光41は、光入射面から導光板21内に入光する。光入射面から導光板21に入射した光41は、導光板21内で放射状に広がって進むが、このとき導光板21内で広がる光41の各方位の光量は各方位における導光板21の面積に比例するように、光入射面に設けられたレンズやプリズム、ディフューザー等の光学素子を設計しておくのが望ましい。具体的にいうと、図13に示すように、導光板21の任意の方位において広がりΔθの範囲内に出射される光量は、この範囲Δθに含まれる導光板面積(図13で斜線を施して示した領域の面積)に比例するようにしておくことが望ましく、これによって各方位における面光源装置17の輝度分布を均一にすることができる。
【0051】
導光板21内に入射した光41は、図11に示すように、導光板21の上面と下面とで全反射を繰り返しながら導光板21内を光源20から遠ざかる方向へ進んでいく。導光板21の下面に入射する光41は、断面三角形状をした偏向パターン36で反射し、光出射面37を透過して光出射面37にほぼ垂直に出射される。前記のように、いずれの偏向パターン36も、その長さ方向が光源20と各偏向パターン36を結ぶ方向と直交するように配置されている。そのため、導光板21内を伝搬している光41が偏向パターン36で拡散されても、その光41は光源20と当該偏向パターン36とを結ぶ方向を含む光出射面37に垂直な平面内では拡散されるが、光出射面37に平行な平面内では拡散されることなく直進する。
【0052】
こうして導光板21の光出射面37からほぼ垂直に出射された光は、図12に示すように、半透過反射シート19に入射する。半透過反射シート19に入射した光のうち光透過領域43bに到達した光は、半透過反射シート19を透過し、光反射領域43aに到達した光は、凸状パターン42で全反射される。半透過反射シート19の光透過領域43bを透過した光は、液晶パネル16を透過して液晶パネル16の画像を生成する。また、半透過反射シート19の光反射領域43aで反射した光は、導光板21をそのまま透過して、さらに液晶パネル18を透過して液晶パネル18の画像を生成する。
【0053】
しかして、実施例1の両面画像表示装置15によれば、ひとつの面光源装置17によって2つの液晶パネル16、18を同時に照明することができるので、両面画像表示装置15の薄型化を図ることができると共に、省電力化を図ることができる。また、面光源装置17から出射された光は、半透過反射シート19の光反射領域43aで吸収されないので、光源20から出た光をほとんどロス無く利用することができ、光の利用効率に優れている。
【0054】
さらに、半透過反射シート19に形成された光反射領域43aと光透過領域43bのパターンを数μm〜数十μmと微細な大きさに形成されているので、半透過反射シート19の全面にわたってほぼ均一に光反射領域43aと光透過領域43bを配置できる。したがって、半透過反射シート19の全面で均一に光が反射あるいは透過される。
【0055】
本発明の半透過反射シート19においては、一般に、反射壁の光入射面への投影面積をσ、光透過領域の面積をεとすれば、半透過反射シート19の反射率はσ/(σ+ε)で決定され、透過率はε/(σ+ε)として決定される。特に、凸状パターン42が断面直角二等辺三角形状をしている当該実施例では、凸状パターン42の投影面積をσとし、凸状パターン42間の平坦な領域の面積をεとして、上式により反射率及び透過率を決定できる。
【0056】
また、半透過反射シート19の反射率および透過率は、
0<σ/(σ+ε)<1
あるいは、
0<ε/(σ+ε)<1
の関係が成り立つ範囲内で任意に設定することができる。これにより、導光板21から出射された光が液晶パネル16、18を照明する割合を必要に応じて設定することができる。
【0057】
しかしながら、半透過反射シート19の製造工程において、図14に示すように、光反射領域43aは、反射壁44、45が裾を引いた領域44a、45a(以下、裾部44a、45aという)が形成され、設計値よりも若干広くなることがある。そのため、凸状パターン42が断面三角形状をしている場合には、光透過領域43bが無くならないように、光反射領域43aの投影面積σの割合σ/(σ+ε)を0.95以下にすることが望ましい。つまり、反射率を95%以下にすることが望ましい。
【0058】
さらに、半透過反射シート19の上面に形成された光反射領域43aと光透過領域43bの配置は、光源20が点光源の場合、図15に示すように、光源20を中心として同心円状に光反射領域43aおよび光透過領域43bを配置してもよい。
【実施例2】
【0059】
本発明の実施例2は、実施例1における半透過反射シート19の構造を変更したものである。図16に実施例2による半透過反射シート19の上面図を示す。本実施例の半透過反射シート19では、図16(a)に示すように、透明シート46の上面に凸状に形成された光反射領域43aを細かい領域に分割し、凸状パターン42を離散的に配置している。これにより、実施例1に示した半透過反射シート19よりも凸状パターン42が目立ちにくくしている。さらに、半透過反射シート19と液晶パネル16の間でモアレが発生しにくくなる。
【0060】
半透過反射シート19の上面に形成される凸状パターン42の形状は、図6(b)に示すような三角柱状のものでもよく、図16(c)に示すようなピラミッド状のものでもよく、図16(d)に示すように、円錐状のものでもよい。
【0061】
なお、3面以上の反射壁を有する凸状パターン42としては、図16に示したようなものに限らず、図17(a)に示すような断面を有する凸状パターン42(例えば、長手方向に沿って直線状に形成したもの)も含まれる。図17(a)では、凸状パターン42を相互に間隙をあけて配置している(請求項1)が、このようなパターンを間隙をあけずに配置した図17(b)のような形態では、凹凸パターン42’を相互に間隙をあけて配置したものとなる(請求項9)。もちろん、図17(a)に示したようなパターンも凹凸パターン42’を相互に間隙をあけて配置したものとみることもできる。
【実施例3】
【0062】
本発明の実施例3は、実施例1における半透過反射シート19の構造を変更したものである。図18は、実施例3による半透過反射シート19の断面図である。半透過反射シート19は、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の透明樹脂によって平板状に成形されており、光入射面47と反対側の面には、断面が等脚台形をした凸状パターン42が相互に間隙をあけて形成されている。半透過反射シート19の上面には、光反射領域43aと光透過領域43bが形成されている。光反射領域43aは、傾斜角が45°となった、凸状パターン42の反射壁44及び反射壁45によって形成されている。また、光透過領域43bは、光入射面47と平行な領域であって、凸状パターン42の外側における平坦な領域と、凸状パターン42内における平坦な領域とからなる。
【0063】
図18に示すように、単一の凸状パターン42に含まれている反射壁44と反射壁45は、光透過領域43bを挟んで分離されている。つまり、光透過領域43bは、反射壁44、45の下端とつながっている平坦な領域(凸状パターン42外の光透過領域43b)と、反射壁44、45の上端とつながっている、一段高い位置にある平坦な領域(凸状パターン42内の光透過領域43b)とに分けられる。また、反射壁44、45は、光透過領域43bに対して、それぞれ45°の斜面で反対向きに傾斜している。つまり、反射壁44、45は、直交している。
【0064】
しかして、導光板21の光出射面37からほぼ垂直に出射した光41は、半透過反射シート19の下面から半透過反射シート19内へほぼ垂直に入射し、光反射領域43aおよび光透過領域43bに到達する。光透過領域43bに到達した光41は、光透過領域43bからほぼ垂直に出射される。一方、光反射領域43aに到達した光41は、一方の反射壁44で全反射されて光透過領域43bと平行に進み、他方の反射壁45で全反射されて、半透過反射シート19の下面からほぼ垂直に出射する。
【0065】
この様な半透過反射シート19を介して、液晶パネル16を照明すると、光反射領域43aの反射壁44と反射壁45が分離して配置されているので、光反射領域43aで反射されて液晶パネル18側へ光が出射される領域と、光透過領域43bを透過して液晶パネル16側に光りが出射される領域とが認識されにくくなる。よって、半透過反射シート19の光透過側と光反射側で光の輝度を均一化でき、明るさのムラが生じにくくなる。
【実施例4】
【0066】
本発明の実施例4は、実施例1における半透過反射シート19の構造を変更したものである。図19は、実施例4による半透過反射シート19の断面図である。この半透過反射シート19にあっては、光入射面47と反対側の面のうち光透過領域43bには、光を散乱させるための散乱面52が形成されている。散乱面52としては、例えば凸状パターン42よりも十分に微細な凹凸をランダムに形成したものである。
【0067】
かかる実施例によれば、液晶パネル16に照射される光の指向性を広げるために、例えば、本実施例1の図3に示した、両面画像表示装置15において、液晶パネル16と半透過反射シート19との間に光を散乱する為の拡散シートが設けられる場合があるがある。しかし、本実施例のような光拡散機能を備えた半透過反射シート19を用いると、拡散シートが不要になる。
【実施例5】
【0068】
本発明の実施例5は、実施例1における半透過反射シート19の構造を変更したものである。図20は、実施例5による半透過反射シート19の断面図である。この実施例においては、半透過反射シート19の光入射面47の全体もしくは一部に光を散乱させるための散乱面52を形成している。
【0069】
液晶パネル18に照射される光の指向性を広げるために、例えば、実施例1の図3に示した、両面画像表示装置15において、液晶パネル18と半透過反射シート19との間に光を散乱する為の拡散シートが設けられる場合がある。しかし、本実施例のような光拡散機能を備えた半透過反射シート19を用いると、拡散シートが不要になる。また、実施例1の図3に示した、両面画像表示装置15のように半透過反射シート19の下面が平坦な場合、導光板21と半透過反射シート19が密着してしまい、輝度むらが発生することがある。本実施例のように、液晶パネル18と対向する面を散乱面52にした半透過反射シート19を用いれば、導光板21と半透過反射シート19の間で発生する密着による輝度むらを防止することが可能となる。
【実施例6】
【0070】
図21は、本発明の実施例6における、両面画像表示装置15の分解斜視図である。この両面画像表示装置15は、第1の液晶パネル16、面光源装置17、第2の液晶パネル18、半透過反射シート19および偏光選択反射シート53から構成されている。面光源装置17の一方の面に対向するように偏光選択反射シート53が配置(偏光選択反射シート53が配置されている側の面を、図21に従って上面側とする。)され、面光源装置17の他方の面に対向するように半透過反射シート19が配置(半透過反射シート19が配置されている側の面を、図21に従って下面側とする。)されている。さらに、偏光選択反射シート53の上面側と対向するように第1の液晶パネル16が配置され、半透過反射シート19の下面側と対向するように第2の液晶パネル18が配置されている。また、面光源装置17は、光源20と導光板21により構成されている。
【0071】
偏光選択反射シート53は、液晶パネル16、18の画素形成領域よりも大きな面積を有している。偏光選択反射シート53は、入射する光のうち一方の偏光状態の光を透過させ、他方の偏光状態の光を反射させるものである。このような偏光選択反射シート53としては、入射する光のうち一方の偏光方向の直線偏光の光を透過させ、これと直交する偏光方向の直線偏光の光を反射させるものとして、例えば住友スリーエム(株)製のD−BEF(商品名)がある。また、入射する光のうち一方の旋回方向の円偏光又は楕円偏光の光を透過させ、反対向きの旋回方向の円偏光又は楕円偏光の光を反射させるものとして、例えば日東電工(株)製のNIPOCS−PCF(商品名)がある。以下の説明においては、偏光選択反射シート53は、一方の直線偏光の光(これをP偏光の光という。)を透過し、他方の直線偏光の光(これをS偏光の光という。)を反射するように配置されているものとする。
【0072】
図22に示すように、液晶パネル16は、その偏光透過軸N1が偏光選択反射シート53の偏光透過軸Mの方向と平行となるようにして、偏光選択反射シート53の上方に配置されている。同様に、液晶パネル18は、その偏光透過軸N2が偏光選択反射シート53の偏光透過軸Mと垂直となるようにして、半透過反射シート19の下方に配置されている。本実施例においては、液晶パネル16は、P偏光の光を透過し、液晶パネル18は、S偏光の光を透過するように配置されている。なお、液晶パネル16、18は透過型又は半透過型のものである。
【0073】
この両面画像表示装置15における面光源装置17から出射された光の挙動を図22により説明する。面光源装置17の光出射面37からほぼ垂直に出射された光は、図22に示すように、偏光選択反射シート53に入射する。ここで、面光源装置17から出射された光は、P偏光およびS偏光の光を有している。偏光選択反射シート53に入射した光のうちP偏光の光は、偏光選択反射シート53を透過し、S偏光の光は、偏光選択反射シート53で反射される。液晶パネル16の偏光透過軸N1がP偏光の光を透過するように配置されているので、偏光選択反射シート53を透過したP偏光の光は、液晶パネル16を透過して液晶パネル16の画像を生成する。
【0074】
また、偏光選択反射シート53で反射されたS偏光の光は、面光源装置17を通過して半透過反射シート19に入射する。半透過反射シート19に入射したS偏光の光のうち光透過領域43bに到達したS偏光の光は、半透過反射シート19を透過し、光反射領域43aに到達したS偏光の光は、反射壁44および45で反射される。液晶パネル18の偏光透過軸N2がS偏光の光を透過するように配置されているので、半透過反射シート19の光透過領域43bを透過したS偏光の光は、液晶パネル18を透過して液晶パネル18の画像を生成する。
【0075】
一方、半透過反射シート19の光反射領域43aで反射された光は、光反射領域43aで反射される時に、光の偏光方向が旋回するので、P偏光およびS偏光の光が混在した光となる。半透過反射シート19の光反射領域43aで反射された光は、面光源装置17を透過して、再び偏光選択反射シート53に入射する。偏光選択反射シート53に入射した光のうちP偏光の光は、偏光選択反射シート53を透過し、液晶パネル16の画像を生成する。偏光選択反射シート53に入射した光のうちS偏光の光は、偏光選択反射シート53で反射され、再び半透過反射シート19に入射する。半透過反射シート19に入射したS偏光の一部は、半透過反射シート19を透過し、液晶パネル18の画像を生成する。
【0076】
また、他の一部は、半透過反射シート19で反射されて旋回し、P偏光およびS偏光が混在した光となって、再び偏光選択反射シート53に入射する。この様に、導光板21を出射した光は、偏光選択反射シート53と半透過反射シート19の間で、反射と偏光軸の回転を繰り返し、液晶パネル16の画像生成と液晶パネル18の画像生成に無駄なく使われる。
【0077】
しかして、本実施例の両面画像表示装置15によれば、ひとつの面光源装置17によって2つの液晶パネル16、18を同時に照明することができるので、両面画像表示装置15の薄型化を図ることができると共に、省電力化を図ることができる。また、面光源装置17から出射した光は、半透過反射シート19の光反射領域43aで吸収されないので、光源20から出た光をほとんどロスすること無く利用することができ、光の利用効率に優れている。
【0078】
ここで、本実施例の両面画像表示装置15において、半透過反射シート19に形成された光反射領域43aと光透過領域43bを、図23に示すように、偏光選択反射シート53の偏光軸Mに対してφ=45°または、φ=135°回転させて配置すれば、反射壁44または45で反射される度に光の偏光方向は、45°旋回する。つまり、半透過反射シート19の光反射領域43aに入射した光は、反射壁44と45で2回反射されるので、半透過反射シート19で反射されて出射した光の偏光方向は、半透過反射シート19に入射した光に対して、偏光方向が90°旋回することとなる。
【0079】
したがって、本実施例の両面画像表示装置15において、半透過反射シート19の光反射領域43aに入射したS偏光の光は、P偏光の光となって反射されることになる。つまり、両面画像表示装置15に用いれば、面光源装置17から出射した光のうち、P偏光の光は偏光選択反射シート53を透過して、液晶パネル16の画像を生成する。一方、S偏光の光は、偏光選択反射シート53で反射されて、半透過反射シート19に到達する。半透過反射シート19に到達したS偏光の光の一部は、半透過反射シート19を透過し、液晶パネル18の画像を生成する。残りの一部は、半透過反射シート19で反射されると共に、光の偏光方向が90°回転して、P偏光の光となり、偏光選択反射シート53を透過して、液晶パネル16の画像を生成する。
【0080】
この様に、偏光選択反射シート53の偏光軸Mと半透過反射シート19に形成された光反射領域43aと光透過領域43bの配置を考慮しない場合に比べて、偏光選択反射シート53と半透過反射シート19の間で光が反射する回数が減るので、より効率的に液晶パネルを照明することができる。
【実施例7】
【0081】
面光源装置17の導光板21からは、必ずしも垂直な方向にのみ光が出射される訳ではなく、光出射面37やその反対側の面からは斜め方向に向けて出射されている漏れ光が存在する。例えば、導光板21に設けられている偏向パターン36の偏向傾斜面39から外部に漏れた光が、再入射面40に入ることなく、斜めに出射される場合などがある。このような漏れ光は、液晶パネルの照明に利用されておらず、無駄になっている。そこで、本発明の実施例7の半透過反射シート19は、この漏れ光を有効に利用できる構造を提案するものである。
【0082】
図24に半透過反射シート19の断面図を示す。半透過反射シート19の下面(光入射面47と反対側の面)には、光反射領域43aと光透過領域43bが形成されている。光透過領域43bは、半透過反射シート19の光入射面47と平行で平坦な面により構成されている。一方、光反射領域43aは、四角形の断面形状を有する凸状パターン42によって構成されている。図24は、凸状パターン42の長さ方向に垂直で、かつ、光入射面47に垂直な断面を表わしており、凸状パターン42の断面形状は4つの頂点A、B、C、Dを有しており、頂点Bの頂角が90°の角度となっている。頂点Bを挟む辺ABと辺BCがそれぞれ反射壁44と反射壁45となっている。頂点Cと頂点Dを結ぶ辺CDは漏れ光反射壁55となっており、光入射面47にほぼ垂直な面となっている。また、頂点Bから光入射面47に垂直に降ろした垂線と光透過領域43bと一致する平面との交点をEとし、頂点Cから光入射面47に垂直に降ろした垂線と光透過領域43bと一致する平面との交点をFとするとき、辺ABの射影長AEと、辺BCの射影長EFとは等しくなっている。なお、図24では、辺CD(漏れ光反射壁55)は、光入射面47に垂直な面となっているので、頂点Dと点Fとは重なり合っている。
【0083】
この実施例においては、半透過反射シート19の光入射面47に垂直に入射した光41のうち、一部の光41は光透過領域43bを透過して光入射面47と反対側の面から出射される。残りの一部の光41は、凸状パターン42の反射壁44又は反射壁45に入射し、反射壁44、45で回帰反射されて元の方向に戻り、光入射面47から入射方向と反対向きに出射される。
【0084】
また、導光板21から斜めに出射した漏れ光54は、光入射面47から半透過反射シート19内に斜め入射する。斜め入射して漏れ光反射壁55に入射した光は、漏れ光反射壁55で全反射された後、反射壁44に入射し、反射壁44で屈折されて反射壁44から外部へ出射される。ここで、漏れ光54の角度ψをある角度に想定し、漏れ光反射壁55の傾きをその角度ψに対して適当な角度に設定することにより、反射壁44を屈折して出射された漏れ光54の方向が、光入射面47に垂直な方向を向くようにしている。
【0085】
この様に、本実施例の半透過反射シート19では、導光板21からの漏れ光54も液晶パネルの照明に使用することができるので、より効率的に光源20からの光を使用することができる。
【0086】
なお、本実施例の両面画像表示装置15に用いた導光板21からの漏れ光54は、図25に示した測定結果のように、導光板21のパターン面38と垂直な方向からψ≒68°傾いた方向にピークを持っている。本実施例で示した凸状パターン42の形状は、このψ≒68°方向に出射される漏れ光54をを垂直な方向に出射させて効率よく利用できるように設計されている。当然、漏れ光54の出射方向が変化した場合、凸状パターン42の形状もそれに合わせて変わることは、言うまでもない。
【0087】
また、この実施例では、射影長AEと射影長EFとが等しくなっている。この射影長AEとEFを等しくしていると、反射壁44の全面で全反射された光が反射壁45の全面に広がって入射し、逆に反射壁45の全面で全反射された光が反射壁44の全面に広がって入射し、一方の反射壁44、45で反射された光が他方の反射壁45、44で反射されることなく斜め方向へ出射されることがない。また、反射壁44、45に無駄な領域が生じることが無く、光を効率的に反射させることのできる微小な凸状パターン42を無駄のない寸法で製作することができる。
【0088】
図26はこの理由を説明する図である。図26において、点Eは頂点Bから光入射面47に垂直に降ろした垂線と光透過領域43bと一致する平面との交点であり、点Fは頂点Cから光入射面47に垂直に降ろした垂線と光透過領域43bと一致する平面との交点である。なお、図24では辺CD(漏れ光反射壁55)は、光透過領域43bと垂直になっていて点Fは点Dと一致していたが、図26では点Fと点Dを区別するために辺CDに少し傾きを持たせた場合を示している。
【0089】
また、頂点Aを通り光透過領域43bに垂直な直線と、頂点Bを通過し光透過領域43bに平行な直線との交点をGとし、頂点Cを通り光透過領域43bに垂直な直線と、頂点Bを通過し光透過領域43bに平行な直線との交点をHとする。さらに、頂点Bから線分ACに下した垂線の足をJとする。
【0090】
いま、図26の上方から光透過領域43bに垂直に光41が入射したとき、辺AB(反射壁44)で反射した光束がすべて辺BC(反射壁45)に入射し、かつ、辺ABで反射した光束が辺BCの全体に広がっている場合を考えると、そのためには、図26に示す光41のように、辺ABの端の頂点Aに入射して辺ABで反射された光が頂点Cに入射していればよいことが分かる。
【0091】
垂線AGから測った辺ABの傾きを∠BAG=τとすると、頂点Aに垂直入射する光41は、辺ABに対してτの傾きをもって入射している。よって、辺ABで反射した光41も辺ABに対してτの傾きをもって出射する。すなわち、∠BAJ=τとなる。よって、1つの頂角がτの直角三角形BAGと、1つの頂角がτの直角三角形BAJとは合同であり、
長さGB=長さJB …(1)
であることが分かる。
【0092】
角度CBJ=τ、角度CBH=τであることも容易に確かめることができるから、1つの頂角がτの直角三角形CBJと、1つの頂角がτの直角三角形CBHとは合同であり、
長さBJ=長さBH …(2)
であることが分かる。
【0093】
よって、(1)式と(2)式より、
長さGB=長さBH …(3)
が得られる。長さGB=長さAE、長さBH=長さEFであることは明らかであるから、結局辺ABに入射した光束が辺BC全体に広がって入射するためには、次の(4)式が成り立っていればよいことが分かる。
辺ABの射影長AE=辺BCの射影長EF …(4)
【0094】
同様に光の逆行の原理によれば、垂直上方から入射して辺BC(反射壁45)で反射した光束がすべて辺AB(反射壁44)に入射し、かつ、辺BCで反射した光束が辺ABの全体に広がる条件も、上記(4)式で与えられることが分かる。
【実施例8】
【0095】
本発明の実施例8は、実施例7をさらに変形したものである。図27は、半透過反射シート19の断面図である。半透過反射シート19の光入射面47と反対側の面には、光反射領域43aと、光透過領域43bとが形成されている。光透過領域43bは、半透過反射シート19の光入射面47と平行で平坦な面により構成されている。一方、光反射領域43aは、断面W字状の五角形をした凸状パターン42によって構成されている。図27に示すように、凸状パターン42の頂点をA、B、C、L、Kによって表わすと、頂点B及び頂点Lの頂角がいずれも90°となっており、辺AB及び辺KLが反射壁44となっており、辺BCと辺CLが反射壁45となっている。また、頂点Bから光入射面47に垂直に降ろした垂線と光透過領域43bと一致する平面との交点をEとし、頂点Cから光入射面47に垂直に降ろした垂線と光透過領域43bと一致する平面との交点をFとし、頂点Lから光入射面47に垂直に降ろした垂線と光透過領域43bと一致する平面との交点をMとするとき、辺ABの射影長AEと、辺BCの射影長EFとは互いに等しくなっており、また、辺CLの射影長FMと、辺LKの射影長MKとは互いに等しくなっている。なお、図27では、凸状パターン42の断面形状は左右対称な形状となっているが、上記条件を満たせば、左右対称でなくても差し支えない。
【0096】
この実施例にあっては、図27に示すように、半透過反射シート19に入射した光41のうち、一部の光41は光透過領域43bに到達し、半透過反射シート19の光入射面47と反対側の面から出射される。残りの一部の光41は、凸状パターン42の反射壁44、45で全反射され、半透過反射シート19の光入射面47から入射した方向と逆向きの方向に出射される。
【0097】
また、導光板21から斜め方向へ出射された漏れ光54は、光入射面47から半透過反射シート19内へ入射する。そのうち反射壁44に入射した光は、反射壁44で全反射されることなく反射壁44を透過し、そのとき屈折させられる。そして、反射壁44を屈折して外部へ出射される漏れ光54は、光入射面47とほぼ垂直な方向へ向けて出射される。このような光学的挙動を達成するためには、漏れ光54の入射方向に応じて反射壁44の傾斜角度を設計しておけばよい。
【0098】
この様に、本実施例の半透過反射シート19では、導光板21からの漏れ光54も液晶パネルの照明に使用することができるので、より効率的に光源20からの光を使用することができる。
【0099】
また、この実施例でも、射影長AEと射影長EFとが等しくなっているので、反射壁44(辺AB)の全面で全反射された光が反射壁45(辺BC)の全面に広がって入射し、逆に反射壁45(辺BC)の全面で全反射された光が反射壁44(辺AB)の全面に広がって入射する。同様に、射影長FMと射影長MKとが等しくなっているので、反射壁44(辺LK)の全面で全反射された光が反射壁45(辺CL)の全面に広がって入射し、逆に反射壁45(辺CL)の全面で全反射された光が反射壁44(辺LK)の全面に広がって入射する。よって、反射壁44、45に無駄な領域が生じることが無く、光を効率的に反射させることのできる微小な凸状パターン42を無駄のない寸法で製作することができる。
【0100】
さらに、本実施例の凸状パターン42では、実施例7に示した半透過反射シート19の凸状パターン42に比較して成形時に金型から外し易い断面形状となっている。
【0101】
また、半透過反射シート19は、図10(a)〜(c)により説明したように、成形金型を用いて製造される。上金型48は、バイトを用いる研削加工することにより、凸状パターン42を成形するための凹条50を設けられる。ここで、実施例7の半透過反射シート19を作製する場合には、上金型48の凹条50の断面が変形した四角形状となっているので、この凹条50を切削加工するためには、図28(a)に示すように、特殊な形状のバイト56が必要とされる。
【0102】
これに対し、本実施例の凸状パターン42を成形するための上金型48では、図28(b)に示すように、開口側で幅が広くなった断面W字状の凹条50を必要とする。しかも、このW字状の凹条50の最も低い位置にある両側の隅部の角度は90°となる。従って、上金型48にこのような形状の凹条50を研削加工しようとすれば、図28(b)に示すように、長方形状の簡単な形状をしたバイト57を用意し、バイト57の傾きを変えてバイト57の角を90°の2箇所の隅部に合わせて2回研削加工すれば、単純な形状のバイトを用いて容易に凹条50を加工することができる。
【実施例9】
【0103】
図29は本発明の実施例9による半透過反射シート19を示す部分拡大断面図である。実施例9では、半透過反射シート19の光反射領域43aが、V溝状をした複数の凹状パターン42”によって構成されている(請求項6)。凹状パターン42”は、互いに直交する反射壁44と反射壁45によって構成されており、凹状パターン42”は互いに間隙をあけて平行に配置されている。
【0104】
このような半透過反射シート19では、凹状パターン42”間に形成された平坦な領域が光透過領域43bとなり、ここに入射した光41は半透過反射シート19を透過する。また、光反射領域43aである反射壁44又は45に入射した光41は、隣接する凹状パターン42”間の反射壁44と反射壁45で反射され、元の方向へ向けて回帰反射される。
【0105】
なお、上記各実施例においては、面光源装置又は液晶表示装置に関連して本発明の光学シートを説明したが、本発明の光学シートの用途は、面光源装置や液晶表示装置に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】従来の両面画像表示装置の概略側面図である。
【図2】(a)(b)(c)(d)は、いずれも従来の半透過反射シートの断面図である。
【図3】本発明の実施例1による両面画像表示装置の構造を示す分解斜視図である。
【図4】実施例1に用いられている光源の構造を示す断面図である。
【図5】実施例1に用いられている導光板の裏面図である。
【図6】同上の導光板の下面に設けられている偏光パターンを示す図である。
【図7】(a)一つの偏光パターンの輪郭を示す斜視図、(b)(c)は、偏光パターンの断面形状とその作用を示す図である。
【図8】実施例1に用いられている半透過反射シートの平面図である。
【図9】同上の半透過反射シートの一部を拡大して示す断面図である。
【図10】(a)(b)(c)は、半透過反射シートの製造方法を説明する図である。
【図11】実施例1の両面画像表示装置において、導光板内の光の挙動を説明する図である。
【図12】実施例1の両面画像表示装置において、導光板から出射された光の挙動を説明する図である。
【図13】導光板内における各方位への光の分配の仕方を説明するための図である。
【図14】半透過反射シートの凸状パターンにおいて裾を引いた領域を示す拡大図である。
【図15】円弧状に形成された凸状パターンを示す半透過反射シートの平面図である。
【図16】(a)は実施例2に用いられている半透過反射シートの平面図、(b)(c)(d)はいずれも(a)の半透過反射シートに形成されている凸状パターンの形状を示す斜視図である。
【図17】(a)は凸状パターンの異なる断面形状を説明する図であり、(b)は光反射領域を構成する凹凸パターンを示す断面図である。
【図18】実施例3に用いられている半透過反射シートを示す部分拡大断面図である。
【図19】実施例4に用いられている半透過反射シートの部分拡大断面図である。
【図20】実施例5に用いられている半透過反射シートの部分拡大断面図である。
【図21】本発明の実施例6による両面画像表示装置の構造を示す分解斜視図である。
【図22】実施例6の両面画像表示装置における光の挙動を説明する図である。
【図23】同上の別な両面画像表示装置における光の挙動を説明する図である。
【図24】実施例7に用いられている半透過反射シートの部分拡大断面図である。
【図25】導光板からの漏れ光の出射方向と光強度との関係を表わしたグラフである。
【図26】実施例7の半透過反射シートにおいて、射影長AEとEFとを等しくしている理由を説明するための図である。
【図27】実施例8に用いられている半透過反射シートの部分拡大断面図である。
【図28】(a)は実施例7に用いられている半透過反射シートの製造に用いる上金型の加工方法を説明する図、(b)は実施例8に用いられている半透過反射シートの製造に用いる上金型の加工方法を説明する図である。
【図29】実施例9による半透過反射シートの部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0107】
15 両面画像表示装置
16、18 液晶パネル
17 面光源装置
19 半透過反射シート
20 光源
21 導光板
42 凸状パターン
42’ 凹凸パターン
42” 凹状パターン
43a 光反射領域
43b 光透過領域
44、45 反射壁
47 光入射面
52 散乱面
53 偏光選択反射シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面を光入射面とする透明基板の、当該光入射面と対向する面に、少なくとも2つの傾斜した反射壁を有する凸状パターンを相互に間隙をあけて複数形成し、
前記透明基板に入射した光の一部を、前記凸状パターンの各反射壁で全反射させることによって入射方向と平行な方向へ向けて光入射面から出射させると共に、前記透明基板に入射した光の残りの一部を、前記反射壁を形成していない領域を透過させることによって光入射面と対向する面から出射させるようにした光学シート。
【請求項2】
前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凸状パターンの断面形状は、前記凸状パターンを構成する2つの反射面が略90度の角度をなす二等辺三角形であることを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凸状パターンの断面形状は、前記反射壁の傾斜角が略45度の等脚台形であることを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
【請求項4】
前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凸状パターンの断面形状は、前記光入射面から最も遠い位置にある頂点の頂角が略90度であり、当該頂点を挟む2辺の、前記光入射面への射影長がほぼ等しい四角形であることを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
【請求項5】
前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凸状パターンの断面形状は、中央部で窪んだ略W字状の五角形であり、当該凸状パターンの光入射面から遠い側へ向けて突出している2つの頂点の頂角がいずれも90度であり、これらの頂点を挟む2辺の、前記光入射面への射影長がいずれもほぼ等しいことを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
【請求項6】
一方の面を光入射面とする透明基板の、当該光入射面と対向する面に、少なくとも2つの傾斜した反射壁を有する凹状パターンを相互に間隙をあけて複数形成し、
前記透明基板に入射した光の一部を、前記凹状パターン間の反射壁で全反射させることによって入射方向と平行な方向へ向けて光入射面から出射させると共に、前記透明基板に入射した光の残りの一部を、前記反射壁を形成していない領域を透過させることによって光入射面と対向する面から出射させるようにした光学シート。
【請求項7】
前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凹状パターンの断面形状は、前記凹状パターンを構成する2つの反射壁が略90度の角度をなす二等辺三角形のV溝状であることを特徴とする、請求項6に記載の光学シート。
【請求項8】
前記透明基板の光入射面に垂直なある断面における前記凹状パターンの断面形状は、前記反射壁の傾斜角が略45度の等脚台形の凹溝状であることを特徴とする、請求項6に記載の光学シート。
【請求項9】
一方の面を光入射面とする透明基板の、当該光入射面と対向する面に、少なくとも3つの傾斜した反射壁を有する凹状及び凸状をした凹凸パターンを相互に間隙をあけて複数形成し、
前記透明基板に入射した光の一部を、前記凹凸パターン間の反射壁で全反射させることによって入射方向と平行な方向へ向けて光入射面から出射させると共に、前記透明基板に入射した光の残りの一部を、前記反射壁を形成していない領域を透過させることによって光入射面と対向する面から出射させるようにした光学シート。
【請求項10】
前記透明基板の光入射面及び光入射面に対向する面のうち、前記反射壁でない面の少なくとも一部に光拡散面を形成したことを特徴とする、請求項1、6又は9に記載の光学シート。
【請求項11】
光源と、当該光源から入射した光を面状に広げて光出射面から出射させる導光板とからなる面光源装置において、
請求項1乃至10に記載の光学シートを、その光入射面を前記導光板に向けて前記導光板の光出射面側に配置することにより、前記導光板の光出射面側及び光出射面と反対側へ光を出射させるようにしたことを特徴とする面光源装置。
【請求項12】
光源と、当該光源から入射した光を面状に広げて光出射面から出射させる導光板とからなる面光源装置において、
前記導光板の光出射面側に偏光選択反射シートを配置し、請求項1乃至10に記載の光学シートを、その光入射面を前記導光板に向けて前記導光板の光出射面と反対側に配置することにより、前記導光板の光出射面側及び光出射面と反対側へ光を出射させるようにしたことを特徴とする面光源装置。
【請求項13】
光源と、当該光源から入射した光を面状に広げて光出射面から出射させる導光板とからなる面光源装置において、
前記導光板の光出射面側に偏光選択反射シートを配置し、請求項4又は5に記載の光学シートを、その光入射面を前記導光板に向けて前記導光板の光出射面と反対側に配置することにより、前記導光板の光出射面側及び光出射面と反対側へ光を出射させるようにすると共に、
前記導光板の光出射面と対向する面から出射された光を、前記光学シートの凸状パターンによって反射又は屈折させることにより、光学シートの凸状パターンを形成していない領域を透過する光と同じ向きに偏向させ、前記光学シートの光入射面と対向する面から光を出射させるようにしたことを特徴とする面光源装置。
【請求項14】
請求項12、又は13に記載の面光源装置において、
前記光学シートの凸状、凹状又は凹凸パターンは、当該光学シートの光入射面側から見て直線状に形成されており、当該凸状、凹状又は凹凸パターンが直線状に延びている方向と前記偏光選択反射シートの偏光軸方向とが略45度の角度をなしていることを特徴とする面光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−85954(P2006−85954A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267728(P2004−267728)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】