光学レンズフィルムおよび表示装置
【課題】位置決め精度の向上を図ることが可能な光学レンズフィルムおよび当該光学レンズフィルムを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】光学レンズフィルム1は、主表面を有するベース体と、複数の光学素子構造としての凸部2と、第1アライメントマーク部18とを備える。凸部2は、ベース体の主表面に形成された、光の進行方向を変更する要素である。複数の凸部2は、互いに平行して線状に延びるように形成されている。第1アライメントマーク部18は、複数の凸部2と交差して線状に延びている。
【解決手段】光学レンズフィルム1は、主表面を有するベース体と、複数の光学素子構造としての凸部2と、第1アライメントマーク部18とを備える。凸部2は、ベース体の主表面に形成された、光の進行方向を変更する要素である。複数の凸部2は、互いに平行して線状に延びるように形成されている。第1アライメントマーク部18は、複数の凸部2と交差して線状に延びている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学レンズフィルムおよび表示装置に関し、より特定的には、アライメントマーク部を備える光学レンズフィルムおよび当該光学フィルムレンズを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学レンズフィルムおよび当該光学レンズフィルムを用いた表示装置が知られている(たとえば、特開2004−280087号公報(以下、特許文献1と呼ぶ)参照)。
【0003】
特許文献1では、光学レンズフィルムとしてのレンチキュラレンズを備えた表示装置が開示されている。特許文献1に開示された表示装置では、レンチキュラレンズにアライメントマーク部が形成され、また、表示ユニットである液晶表示装置において上記レンチキュラレンズに対向する透明基板にも表示ユニット側アライメントマークが形成されている。そして、上記アライメントマーク部と表示ユニット側アライメントマークとを用いて、液晶表示装置に対してレンチキュラレンズが位置決めされている。レンチキュラレンズのアライメントマーク部は平面形状が十字状の突起部であり、透明基板の表示ユニット側アライメントマークは平面形状が四角形状であって、上記アライメントマーク部の形状に対応する部分が除去された突起部となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−280087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の表示装置では、以下のような問題があった。すなわち、特許文献1のレンチキュラレンズでは、レンズ構造部の形状とはアライメントマーク部の形状が全く異なるため、レンズ構造部とは異なる製造方法を用いて当該アライメントマーク部を形成する場合があった。このとき、アライメントマークのレンズ構造に対する位置精度および形状精度を十分に向上させることが難しい場合があった。この場合、アライメントマーク部を用いた位置決め精度の向上が不十分になることがあった。また、特許文献1のレンチキュラレンズでは、レンズ構造部の外側にごく小さなアライメントマーク部が形成されている。さらに、当該アライメントマーク部は平面形状が十字状であって、縦方向と横方向とのアライメントマークを兼ねていると考えられる。つまり、当該縦方向と横方向との位置決めを行なうために独立したアライメントマークを用いるようにはなっていないと考えられる。この点からも、アライメントマークのレンズ構造に対する位置精度および形状精度が不十分である場合には、縦方向および横方向のいずれについても位置決め精度が低下する可能性があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、位置決め精度の向上を図ることが可能な光学レンズフィルムおよび当該光学レンズフィルムを用いた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った光学レンズフィルムは、主表面を有するベース体と、複数の光学素子構造と、第1アライメントマーク部とを備える。光学素子構造は、ベース体の主表面に形成された、光の進行方向を変更する要素である。第1アライメントマーク部は、ベース体の主表面に形成されている。複数の光学素子構造は、互いに平行して線状に延びるように形成されている。第1アライメントマーク部は、複数の光学素子構造と交差して線状に延びている。
【0008】
このようにすれば、光学素子構造と同じくベース体の主表面に形成された第1アライメントマーク部が、複数の光学素子構造と交差して線状に延びる様に十分なサイズを有する。そのため、光学素子構造と別の領域に極小さなアライメントマークを形成する場合より、アライメントマークのレンズ構造に対する位置精度および形状精度が低下する可能性を低減できる。この結果、位置決め精度が劣化する可能性を低減することが可能な光学レンズフィルムを実現できる。
【0009】
また、上記第1アライメントマーク部は、光学素子構造と交差して線状に延びる形状を有するので、光学素子構造の延びる方向(延在方向)における光学レンズフィルムの位置合せを行なうために用いることになる。そして、光学素子構造において光学素子構造の延在方向に対して交差する方向での位置合せについては、別のアライメントマークを適用できるので、もし上記第1アライメントマーク部のレンズ構造に対する位置精度および形状精度に問題が発生した場合であっても、光学素子構造の延在方向に対して交差する方向での位置合せの精度は影響を受けない。
【0010】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメントマーク部は複数の第1アライメント用構造部を含んでいてもよい。この場合、第1アライメントマーク部が、複数の第1アライメント用構造部を含んでいるので、これらの複数の第1アライメント用構造部を用いることで、第1アライメントマーク部全体のサイズよりさらに小さいサイズ(第1アライメントマーク部または第1アライメント用構造部のサイズ)レベルで位置決めを行なうことができる。この結果、より位置決め精度を向上させることが可能な光学レンズフィルムを実現できる。
【0011】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメントマーク部の幅は、複数の光学素子構造の幅より狭くてもよい。この場合、光学素子構造のサイズよりさらに小さいサイズ(第1アライメントマーク部または第1アライメント用構造部のサイズ)レベルで位置決めを行なうことができる。この結果、より位置決め精度を向上させることが可能な光学レンズフィルムを実現できる。
【0012】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメントマーク部の幅は、光学素子構造の幅の0.1倍以上5倍以下であってもよい。このように、第1アライメントマーク部(さらには第1アライメント用構造部)の幅(サイズ)を適宜選択することで、光学レンズフィルムの位置決め精度に応じたサイズの第1アライメント用構造部を実現できる。
【0013】
上記光学レンズフィルムにおいて、複数の光学素子構造は、平行して線状に延びる複数の凸部であって、凸部の延びる方向に対して垂直な方向における凸部の断面形状は半円状であってもよい。複数の第1アライメント用構造部は、複数の凸部と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部であってもよい。
【0014】
この場合、いわゆるレンチキュラレンズにおいて本発明を適用することができる。また、第1アライメント用構造部が、光学素子構造の凸部と交差して線状に延びる第1アライメント用凸部であるため、当該光学レンズフィルムを形成するときに、当該凸部とアライメント用凸部とを同時に形成することができる。たとえば、光学レンズフィルムを型成形するような場合、当該型に光学素子構造の凸部を成形するための形状を作りこむときに、加工対象の型の配置を回転させる(たとえば90°回転させる)ことにより、同時に第1アライメント用凸部を成形するための形状を当該型に形成することができる。そして、当該型を用いて樹脂などを型成形することで、本発明による光学レンズフィルムを得ることができる。
【0015】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメント用構造部では、複数の第1アライメント用凸部の間の境界部または第1アライメント用凸部と凸部との境界部が、複数の凸部と交差して線状に延びていてもよい。この場合、複数の凸部の延びる方向における位置決め用のマークとして、上記境界部を利用することができる。
【0016】
上記光学レンズフィルムは、複数の光学素子構造と平行して線状に延びる、第2アライメントマーク部をさらに備えていてもよい。この場合、光学素子構造の延在方向と交差する方向(垂直方向)での光学レンズフィルムの位置決めを、第2アライメントマーク部を用いて行なうことができる。また、第2アライメントマーク部が、光学素子構造と平行して線状に延びる形状であるため、当該光学レンズフィルムを形成するときに、当該光学素子構造と第2アライメントマーク部とを同時に形成することができる。たとえば、光学レンズフィルムを型成形するような場合、当該型に光学素子構造を成形するための形状を作りこむときに、同時に第2アライメントマーク部を成形するための形状を当該型に形成することができる。そして、当該型を用いて樹脂などを型成形することで、本発明による光学レンズフィルムを得ることができる。
【0017】
上記光学レンズフィルムにおいて、第2アライメントマーク部は、複数の光学素子構造の幅より狭い幅を有する複数の第2アライメント用構造部を含んでいてもよい。この場合、光学素子構造と同じくベース体の主表面に形成された第2アライメントマーク部が、光学素子構造の幅より狭い幅を有する複数の第2アライメント用構造部を含んでいるので、これらの複数の第2アライメント用構造部を用いることで、光学素子構造やアライメントマーク部全体のサイズよりさらに小さいサイズ(第2アライメント用構造部のサイズ)レベルで位置決めを行なうことができる。この結果、光学素子構造の延在方向に対して交差する方向における位置決め精度をさらに向上させることが可能な光学レンズフィルムを得ることができる。
【0018】
上記光学レンズフィルムにおいて、第2アライメントマーク部の幅は、光学素子構造の幅の0.1倍以上5倍以下であってもよい。このように、第2アライメントマーク部(さらには第2アライメント用構造部)の幅(サイズ)を適宜選択することで、光学レンズフィルムの位置決め精度に応じたサイズのアライメント用構造を実現できる。
【0019】
上記光学レンズフィルムにおいて、第2アライメント用構造部は、複数の光学素子構造と平行して線状に延びる複数の第2アライメント用凸部であってもよい。また、複数の光学素子構造は、平行して線状に延びる複数の凸部であってもよい。また、上記凸部の延びる方向に対して垂直な方向における当該凸部の断面形状は半円状であってもよい。この場合、第2アライメント用構造部が、光学素子構造と平行して線状に延びる第2アライメント用凸部であるため、当該光学レンズフィルムを形成するときに、当該光学素子構造(たとえば上記凸部)とアライメント用凸部とを同時に形成することができる。たとえば、光学レンズフィルムを型成形するような場合、当該型に光学素子構造の凸部を成形するための形状を作りこむときに、同じ切削工具を用いて同時にアライメント用凸部を成形するための形状を当該型に形成することができる。
【0020】
上記光学レンズフィルムにおいて、第2アライメント用構造部では、複数の第2アライメント用凸部の間の境界部または第2アライメント用凸部と光学素子構造との境界部が、複数の光学素子構造と平行して線状に延びていてもよい。この場合、複数の光学素子構造の延びる方向に対して垂直な方向における位置決め用のマークとして、上記境界部を利用することができる。
【0021】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメントマーク部と第2アライメントマーク部とは互いに交差する交差部を含んでいてもよい。交差部では、第2アライメントマーク部の構造が形成されていてもよい。
【0022】
この場合、当該交差部では第2アライメントマーク部が優先して形成された状態となっており、第2アライメントマーク部が第1アライメントマーク部によって分断されない状態となっている。ここで、複数の光学素子構造の延在方向に交差する方向(交差方向)での位置決め精度は、光学素子構造の延在方向に沿った方向(延在方向)での位置決め精度より高い精度を求められる場合がある。これは、光学素子構造の延在方向に交差する方向では、複数の光学素子構造が並んだ状態となっている(周期的な構造を有している)ため、光学レンズフィルムの光学的な作用を確実に発揮させるために当該方向での位置決め精度が重要になるからである。このような場合、上記交差方向での位置決めに用いる第2アライメントマーク部を、交差部にて優先して形成することで、当該交差部で第2アライメントマーク部が分断されることに起因して第2アライメントマーク部を用いた位置決めの精度が劣化する、といった問題の発生を抑制できる。
【0023】
この発明に従った表示装置は、表示面を有する表示ユニットと、上記光学レンズフィルムとを備える。光学レンズフィルムは、表示ユニットの表示面と重なるように表示ユニットと積層されている。このようにすれば、表示ユニットに対して高い精度で位置決めされた光学レンズフィルムを備える表示装置を実現できる。このため、当該光学レンズフィルムによる視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置を実現できる。
【0024】
上記表示装置では、光学レンズフィルムにおいて、複数の光学素子構造が、平行して線状に延びる複数の凸部であってもよい。凸部の延びる方向に対して垂直な方向における凸部の断面形状は半円状であってもよい。第1アライメントマーク部は、複数の凸部と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部を含んでいてもよい。表示ユニットは、光学レンズフィルムと対向する部分に形成された表示ユニット側第1アライメントマークを含んでいてもよい。表示ユニットと光学レンズフィルムとは、表示ユニット側第1アライメントマークと、複数の第1アライメント用凸部の間の境界部および第1アライメント用凸部と凸部との境界部のいずれかが重なるように位置決めされていてもよい。
【0025】
この場合、第1アライメントマーク部よりサイズの小さい上記境界部を用いて光学レンズフィルムの表示ユニットに対する位置決めを行なっているので、光学レンズフィルムを高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルムによる視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置を確実に実現できる。
【0026】
上記表示装置において、光学レンズフィルムは、複数の凸部と平行して線状に延びる、第2アライメントマーク部をさらに含んでいてもよい。第2アライメントマーク部は、複数の凸部と平行して線状に延びる複数の第2アライメント用凸部を含んでいてもよい。表示ユニットは、光学レンズフィルムと対向する部分に形成された表示ユニット側第2アライメントマークを含んでいてもよい。表示ユニットと光学レンズフィルムとは、表示ユニット側第2アライメントマークと、複数の第2アライメント用凸部の間の境界部および第2アライメント用凸部と凸部との境界部のいずれかが重なるように位置決めされていてもよい。この場合、第1アライメントマーク部に加えて、第2アライメントマーク部よりサイズの小さい上記境界部を用いて光学レンズフィルムの表示ユニットに対する位置決めを行なっているので、光学レンズフィルムをさらに高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルムによる視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置を確実に実現できる。
【0027】
上記光学レンズフィルムおよび上記表示装置において、前記第1アライメント用凸部および/または第2アライメント用凸部の延びる方向に対して垂直な方向における第1アライメント用凸部および/または第2アライメント用凸部の断面形状は半円状であってもよい。この場合、第1および第2アライメント用凸部と光学素子構造の凸部とが、それぞれ類似した断面形状を有することになる。そのため、たとえば上記のように光学レンズフィルムを型成形により製造するときに、当該型成形で用いる型にアライメント用凸部に対応する形状を作りこむために用いる切削具として、光学素子構造の凸部に対応する形状を作りこむために用いる切削具と同じ種類の刃先形状の切削具を用いることができる。また、切削具の切り込み量を上記凸部と第1および第2アライメント用凸部とで変更すれば(つまり、凸部と第1および第2アライメント用凸部との高さを変更するようにすれば)、第1及び第2アライメント用凸部と上記凸部とで同じ切削具を用いることも可能になる。このため、光学レンズフィルムの製造工程を簡略化できる。
【0028】
上記光学レンズフィルムおよび上記表示装置において、第1アライメント用凸部および/第2アライメント用凸部の延びる方向に対して垂直な方向における第1アライメント用凸部および/または第2アライメント用凸部の断面形状は三角形状であってもよい。この場合、第1アライメントマーク部および/または第2アライメントマーク部では、複数のアライメント用凸部の間の境界部(境界線)に加えて、個々のアライメント用凸部でも上記三角形状の頂点に対応する位置に、線状に連なる角部が形成される。このため、上記境界部に加えて当該角部も位置決めのときの基準として用いることができる。このため、より高い位置精度での光学レンズフィルムの位置決めが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、位置決め精度の向上を図ることが可能な光学レンズフィルムおよび当該光学レンズフィルムを用いた表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に従った光学レンズフィルムの実施の形態1を示す平面模式図である。
【図2】図1に示した光学レンズフィルムの部分斜視模式図である。
【図3】図1の線分III−IIIにおける断面模式図である。
【図4】図1〜図3に示した光学レンズフィルムの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示したフローチャートにおける型を作成する工程を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1〜図3に示した光学レンズフィルムを用いた表示装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図7】図1〜図3に示した光学レンズフィルムを用いた表示装置の製造方法を説明するための拡大模式図である。
【図8】本発明による光学レンズフィルムを適用した表示装置としての液晶表示装置を示す断面模式図である。
【図9】本発明による光学レンズフィルムを適用した表示装置の他の例としての液晶表示装置を示す断面模式図である。
【図10】図1〜図3に示した光学レンズフィルムの第1の変形例を説明するための断面模式図である。
【図11】図1〜図3に示した光学レンズフィルムの第2の変形例を説明するための断面模式図である。
【図12】本発明に従った光学レンズフィルムの実施の形態2を示す平面模式図である。
【図13】図12の線分XIII−XIIIにおける断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰返さない。
【0032】
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、本発明に従った光学レンズフィルムの実施の形態1を説明する。
【0033】
図1〜図3に示した光学レンズフィルム1は、主表面を有するベース体7と、複数の光学素子構造としての凸部2と、第1アライメントマーク部18とを備える。凸部2は、ベース体7の主表面に形成された、光の進行方向を変更する光学要素であって、断面が半円状のレンズである。また、複数の凸部2は互いに平行であって線状に延びるように配置されている。第1アライメントマーク部18は、ベース体7の主表面において、凸部2の延在方向における光学レンズフィルム1の端部近傍(図1の上下方向における端部近傍)にそれぞれ1つ(合計2つ)形成されている。第1アライメントマーク部18は、光学レンズフィルム1の端部から距離Lの位置に(つまり、光学レンズフィルム1の端部と第1アライメントマーク部18の外周端との間の距離が上記距離Lとなる位置に)形成される。当該距離Lは、たとえば1mm以下とすることができる。
【0034】
また、図1では光学レンズフィルム1の端部と第1アライメントマーク部18の間の領域にも光学素子構造としての凸部2が形成されているが、当該領域には凸部2を形成しない構成(つまり、当該領域の表面が平坦な構成)としてもよい。また、図1では第1アライメントマーク部18を2つ形成しているが、3つ以上形成してもよい。
【0035】
第1アライメントマーク部18は、複数の凸部2の幅P0(図2参照)より狭い幅P1(図2参照)を有する複数のアライメント用構造部である第1アライメント用凸部19を含むことができる。図1〜図3に示した光学レンズフィルム1では、3つの第1アライメント用凸部19により第1アライメントマーク部18が構成されている。第1アライメント用凸部19は、凸部2の延在方向に交差するように(たとえば直交するように)形成されている。また、上記凸部2の延在方向における第1アライメント用凸部19の断面形状は半円状である。なお、第1アライメントマーク部18に含まれる第1アライメント用凸部19の数は、2つであっても、また4つ以上であってもよい。さらに、図1に示したように、2つの第1アライメントマーク部18は、同じ構成であってもよいが、互いに異なる構成を有してもよい。たとえば、2つの第1アライメントマーク部18のそれぞれに含まれる第1アライメント用凸部19の数やサイズが異なるようにしてもよい。
【0036】
このようにすれば、光学素子構造としての凸部2と同じくベース体7の主表面に形成された第1アライメントマーク部18が、複数の凸部2と交差して線状に延びる様に十分なサイズを有する。そのため、凸部2と別の領域に極小さなアライメントマークを形成する場合より、アライメントマークのレンズ構造に対する位置精度および形状精度が低下する可能性を低減できる。この結果、位置決め精度が劣化する可能性を低減することが可能な光学レンズフィルム1を実現できる。
【0037】
また、上記第1アライメントマーク部は、凸部2と交差して線状に延びる形状を有するので、凸部2の延びる方向(延在方向)における光学レンズフィルム1の位置合せを行なうために用いることになる。そして、凸部2において凸部2の延在方向に対して交差する方向での位置合せについては、別のアライメントマークを適用できるので、もし上記第1アライメントマーク部のレンズ構造に対する位置精度および形状精度に問題が発生した場合であっても、凸部2の延在方向に対して交差する方向での位置合せの精度は影響を受けない。
【0038】
また、光学素子構造である凸部2の幅P0より狭い幅P1を有する複数の第1アライメント用凸部19を第1アライメントマーク部18が含んでいるので、これらの複数の第1アライメント用凸部19を用いることで、凸部2や第1アライメントマーク部18全体のサイズよりさらに小さいサイズ(第1アライメント用凸部19のサイズ)レベルで光学レンズフィルム1の位置決めを行なうことができる。この結果、位置決め精度を向上させることが可能な光学レンズフィルム1を実現できる。
【0039】
また、上記光学レンズフィルム1において、第1アライメントマーク部18の幅は、凸部2の幅P0より狭くてもよく、凸部2の幅P0の0.1倍以上5倍以下であってもよい。第1アライメントマーク部18内に第1アライメント用凸部を形成する場合には、第1アライメント用凸部19の幅P1は、この第1アライメントマーク部18の幅の範囲よりさらに狭くなる。このように、第1アライメントマーク部18の幅(さらには第1アライメント用凸部19の幅P1)(サイズ)を適宜選択することで、光学レンズフィルム1の位置決め精度に応じたサイズの第1アライメントマーク部18を実現できる。
【0040】
また、図2に示すように、上記光学レンズフィルム1において、複数の凸部2は平行して線状に延び、凸部2の延びる方向に対して垂直な方向における当該凸部2の断面形状は半円状である。また、複数の第1アライメント用凸部19は、図1や図2に示すように、複数の凸部2と交差するように(たとえば直交するように)平行して線状に延びている。この場合、いわゆるレンチキュラレンズである光学レンズフィルム1に本発明を容易に適用できる。また、第1アライメント用凸部19が、光学素子構造としての凸部2と交差して線状に延びるため、後述するように当該光学レンズフィルム1を形成するときに、当該凸部2と第1アライメント用凸部19とを一連の工程にて形成することができる。たとえば、光学レンズフィルム1を型成形する場合、当該型に凸部2を成形するための形状を作りこんだ後、当該型を所定の角度(たとえば90°)回転させてから、さらに加工を実施することで、第1アライメント用凸部19を成形するための形状を当該型に形成することができる。そして、当該型を用いて樹脂などを型成形することで、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1を得ることができる。
【0041】
また、上記光学レンズフィルム1において、図3に示すように、第1アライメント用凸部19の延びる方向に対して垂直な方向における第1アライメント用凸部19の断面形状は半円状である。この場合、第1アライメント用凸部19と光学素子構造としての凸部2とが、それぞれ類似した断面形状を有することになる。そのため、たとえば上記のように光学レンズフィルム1を型成形により製造するときに、当該型成形で用いる型において第1アライメント用凸部19に対応する形状を作りこむために用いる切削具として、光学素子構造の凸部2に対応する形状を作りこむために用いる切削具と同じ刃先形状の切削具を用いることができる。また、切削具の切り込み量を上記凸部2と第1アライメント用凸部19とで変更すれば(つまり、凸部2と第1アライメント用凸部19との高さを変更するようにすれば)第1アライメント用凸部19と上記凸部2とのそれぞれに対応する形状を形成するために同じ切削具を用いることも可能になる。このため、光学レンズフィルム1の製造工程を簡略化できる。なお、切削具の送りピッチは、凸部2および第1アライメントマーク部18または第1アライメント用凸部19のそれぞれの幅に応じて変更すればよい。
【0042】
また、上記光学レンズフィルム1において、第1アライメントマーク部18では、図1や図2に示すように、複数の第1アライメント用凸部19の間の境界部または第1アライメント用凸部19と凸部2との境界部が、複数の凸部2の延在方向と交差するように(直交するように)線状に延びている。この場合、複数の凸部2の延びる方向(図1の上下方向)における位置決め用のマークとして、上記境界部を利用することができる。
【0043】
次に、図4および図5を参照して、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1の製造方法を説明する。なお、光学レンズフィルム1は金型を用いたモールドにより製造する。
【0044】
まず、図4に示すように型を作成する工程(S10)を実施する。具体的には、光学レンズフィルム1の表面形状に対応する形状を有する金型を作成する。金型の加工方法としては、切削具による切削や放電加工など、任意の方法を用いることができる。また、当該工程(S10)では、図5に示すように、凸部を成形する部分を加工する工程(S11)を実施する。さらに、工程(S10)では、図5に示したアライメントマーク部を成形する部分を加工する工程(S12)を実施する。なお、凸部を成形する部分を加工する工程(S11)およびアライメントマーク部を成形する部分を加工する工程(S12)は同時に実施してもよいし、順次実施してもよい。
【0045】
次に、工程(S10)で準備された金型を利用してモールド法により光学レンズフィルム1を成形する工程である、型を用いて光学レンズフィルムを成形する工程(S20)を実施する。具体的には、上記金型と対向定盤との間に、光学レンズフィルム1を構成する樹脂製薄膜をセットする。その状態で、樹脂製薄膜を加熱する。その後、加熱した樹脂製薄膜を金型と対向定盤とで挟みこむように押圧することにより、モールドを行なう。放冷後、脱型すると、図1などに示す光学レンズフィルム1が得られる。
【0046】
なお、樹脂製薄膜の加熱は、たとえば、樹脂製薄膜を金型と対向定盤との間に挟んでから加熱する方式、または樹脂製薄膜のみを予め非接触の状態で加熱する方式などを任意に採用することができる。樹脂製薄膜の加熱は、金型や対向定盤の直下に設置したヒータなどにより行なうことができるが、金型や対向定盤の内部に加熱機能を導入(金型や対向定盤の内部にヒータなどを設置)し、当該加熱機能を利用して行なうこともできる。
【0047】
樹脂製薄膜の加熱では、樹脂の流動開始温度以上に加熱する態様が好ましい。このように樹脂製薄膜を流動開始温度以上に加熱してから、金型と対向定盤とで当該樹脂製薄膜を押圧する加圧加工を実施することにより、樹脂の流動現象を利用して、金型の表面に形成された凹部の形状を樹脂製薄膜の表面に転写することができる。このようにして、本発明による光学レンズフィルム1を製造することができる。
【0048】
なお、光学レンズフィルム1を構成する樹脂は、比較的狭い温度範囲で溶融し、冷却すると急速に硬化する樹脂を用いれば、スループットが高くなるため好ましい。したがって、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミドなどが好適である。樹脂製薄膜の厚さは特に限定されるものではないが、厚さ20μm以上が好ましく、厚さ100μm以上がより好ましい。また、光学レンズフィルム1の凸部2の幅P0の値はたとえば50μm以上1000μm以下、より好ましくは100μm以上500μm以下とすることができる。また、凸部2の表面に関する、凸部2の延在方向に直交する方向の断面における曲率半径はたとえば100μm以上1000μm以下、より好ましくは200μm以上600μm以下とすることができる。また、第1アライメント用凸部19と凸部2との幅比(P1/P0)の値はたとえば0.1以上5以下、より好ましくは0.1以上0.9以下、さらに好ましくは0.1以上0.5以下とすることができる。また、第1アライメント用凸部19の表面に関する図3に示した断面における曲率半径はたとえば100μm以上1000μm以下、より好ましくは200μm以上600μm以下とすることができる。
【0049】
次に、上記のようにして得られた光学レンズフィルム1を用いて、表示装置を製造する場合の、当該表示装置を構成する他の部材と光学レンズフィルム1とのアライメント(位置合せ)の方法について、図6および図7を参照して簡単に説明する。
【0050】
図6および図7に示すように、光学レンズフィルム1と積層する対象である他の部材として表示ユニット20を用いる場合、当該表示ユニット20の表面(光学レンズフィルム1と対向する表面)には、表示ユニット側アライメントマーク32が形成されている。表示ユニット側アライメントマーク32の形状は任意の形状を採用することができるが、たとえば図6に示すように平面形状を十字状とすることができる。表示ユニット側アライメントマーク32の構成としては、たとえば表示ユニット20の表面の他の部分と異なる色彩を有する樹脂層など任意の構成を採用できる。図6に示した表示ユニット20では、その表面に4箇所の表示ユニット側アライメントマーク32が形成されている。
【0051】
そして、たとえば光学レンズフィルム1の第1アライメントマーク部18を構成する第1アライメント用凸部19の間の境界部31と、表示ユニット20の表面に形成された表示ユニット側アライメントマーク32の端部とが平面視において重なるように(したり、第1アライメント用凸部19の両側の境界部31間に表示ユニット側アライメントマーク32が収まるようにしたり)して、表示ユニット20と光学レンズフィルム1との相対的な位置を調整する。このようにすれば、光学レンズフィルム1の凸部2が延在する方向において、表示ユニット20に対する光学レンズフィルム1の位置を精度よく決定することができる。なお、図7では第1アライメント用凸部19の間の境界部31を位置合せの基準として用いたが、隣接する凸部2と第1アライメント用凸部19との間の境界部を当該基準として用いてもよい。
【0052】
このように表示ユニット20に対する光学レンズフィルム1の位置を決定した後、表示ユニット20の表面に光学レンズフィルム1を固定する。光学レンズフィルム1の固定方法としては、任意の方法を用いることができる。たとえば、光学レンズフィルム1の裏面側(表示ユニット20と対向する表面側)に両面テープなどの接着部材を配置しておいてもよい。このようにして、本発明による表示装置を構成することができる。
【0053】
なお、表示ユニット20としては、画像などを表示可能な装置であれば任意の装置を適用できる。たとえば、液晶表示ユニットやプラズマ表示ユニット、LED、有機EL素子などの発光素子を用いた表示ユニットなど、任意の構成の装置を表示ユニット20として用いることができる。
【0054】
次に、図8および図9を参照して、本発明による光学レンズフィルムを適用した表示装置10の構成例を説明する。
【0055】
図8に示した表示装置10は、バックライト11と、当該バックライト上に配置されたLCDユニット14と、LCDユニット14の表示面側に配置された本発明による光学レンズフィルム1とを備える。具体的には、バックライト11の光出射面上に拡散板12および輝度向上フィルム13といった光学フィルムが配置されている。この光学フィルム上にLCDユニット14が配置されている。LCDユニット14は、液晶セル15と、当該液晶セル15の表面および裏面のそれぞれの上に配置された位相差板16と、それぞれの位相差板16の外周表面上に配置された偏光板17とを備える。液晶セル15は、スペーサを介して対向するように配置された2枚のガラス製基板の間に液晶駆動用の薄膜トランジスタや液晶が配置された構造となっている。そして、LCDユニット14においてバックライト11側の面と反対側の出射面上に本発明による光学レンズフィルム1が配置されている。
【0056】
図8に示した表示装置10では、バックライト11から出射した光が拡散板12および輝度向上フィルム13を介してLCDユニット14に裏面側から入射する。そして、LCDユニット14において液晶セル15内の液晶がその配向方向などを電界によって制御されることにより、LCDユニット14の各画素の表示が制御される。その結果、所定の画像を構成する光がLCDユニット14の表面側(光学レンズフィルム1が配置された側)から出射する。そして、LCDユニット14から光学レンズフィルム1に入射した光は、光学レンズフィルム1の作用により、当該光の進行方向が所定の方向へと変更される。
【0057】
次に、図9を参照して、本発明による表示装置の他の例を説明する。
図9に示した表示装置10は、基本的には、図8に示した表示装置10と同様の構造を備えるが、光学レンズフィルム1の配置およびアクティブシャッタユニット21を備える点が異なっている。すなわち、図9に示した表示装置10においては、LCDユニット14とバックライト11との間、より具体的にはLCDユニット14と輝度向上フィルム13との間に、光学レンズフィルム1およびアクティブシャッタユニット21が配置されている。なお、光学レンズフィルム1における第1アライメントマーク部18が、LCDユニット14の画像表示領域に対して平面視での外側に位置するように、光学レンズフィルム1(およびアクティブシャッタユニット21)の平面形状を、LCDユニット14の平面形状より大きくしてもよい。
【0058】
ここで、アクティブシャッタユニット21は、光学レンズフィルム1の凸部2に沿って、当該凸部2の1つ当たりにたとえば2列の帯状領域が形成され、当該帯状領域では液晶などを用いて光の透過・遮断を切り替え可能となっている光学部材である。1つの凸部2に対応する2つの帯状領域は、一方が光を透過する状態、他方が光を遮断する状態、というように一方の帯状領域のみが光を透過できる状態となっており、一定の周期で光が透過可能な帯状領域が切り替わる。
【0059】
このようなアクティブシャッタユニット21を用い、またLCDユニット14においても当該帯状領域に対応して液晶の画素ユニットを配置し、帯状領域の光の透過・遮断の切り替えに応じて画素ユニットでの表示を切り替えることで、たとえば3次元画像(または3次元映像)を表示することができる。アクティブシャッタユニット21での帯状領域の光の透過・遮断の切り替えは、任意の周期で繰返すことが好ましい。この場合の繰返し周期としては、たとえば数十Hzから数百Hzといった周期を採用することができる。
【0060】
このような表示装置10では、アクティブシャッタユニット21と光学レンズフィルム1とLCDユニット14との位置合せを極めて高い精度で行なう必要があり、本発明を適用することが特に効果的である。たとえば、図6および図7に示した表示ユニット20と同様に、LCDユニット14やアクティブシャッタユニット21に表示ユニット側アライメントマーク32(図6参照)を形成しておけば、光学レンズフィルム1をこれらの機器に対して正確に位置合せすることができる。
【0061】
また、異なる観点から言えば、図8および図9に示したような表示装置10は、表示面を有する表示ユニット(LCユニット14(図8参照)またはLCDユニット14およびアクティブシャッタユニット21(図9参照))と、上記光学レンズフィルム1とを備える。光学レンズフィルム1は、表示ユニットの表示面と重なるように(図8ではLCDユニット14の画像表示面上に重なるように、また図9ではLCDユニット14とバックライト11との間に)表示ユニットと積層されている。このようにすれば、LCDユニット14やアクティブシャッタユニット21などに対して高い精度で位置決めされた光学レンズフィルム1を備える表示装置10を実現できる。このため、当該光学レンズフィルム1による視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置10を実現できる。
【0062】
上記表示装置10では、光学レンズフィルム1において、複数の光学素子構造として、図1〜図3に示すように平行して線状に延びる複数の凸部2が形成されている。図2および図3などに示すように、当該凸部2の延びる方向における凸部2の断面形状は半円状である。複数の第1アライメント用構造部は、複数の凸部2と交差(たとえば直交)して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部19である。表示ユニットとしてのLCDユニット14および/またはアクティブシャッタユニット21は、光学レンズフィルム1と対向する部分に形成された表示ユニット側アライメントマーク32(図6、図7参照)を含む。LCDユニット14および/またはアクティブシャッタユニット21と光学レンズフィルム1とは、表示ユニット側アライメントマーク32と、複数の第1アライメント用凸部19の間の境界部31(図7参照)および第1アライメント用凸部19と凸部2との境界部のいずれかが重なるように位置決めされている。この場合、第1アライメントマーク部18よりサイズの小さい上記境界部を用いて光学レンズフィルム1のLCDユニット14および/またはアクティブシャッタユニット21に対する位置決めを行なっているので、光学レンズフィルム1を高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルム1による視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置10を確実に実現できる。
【0063】
また、異なる観点から言えば、上記表示装置10では、光学レンズフィルム1において、複数の光学素子構造が、平行して線状に延びる複数の凸部2である。凸部2の延びる方向に対して垂直な方向における凸部2の断面形状は半円状である。第1アライメントマーク部18は、複数の凸部2と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部19を含んでいる。表示ユニット20(LCユニット14(図8参照)またはLCDユニット14およびアクティブシャッタユニット21(図9参照))は、光学レンズフィルム1と対向する部分に形成された表示ユニット側第1アライメントマーク(図6における表示ユニット側アライメントマーク32の、第1アライメントマーク部18の延在方向に沿って延びる部分)を含んでいる。表示ユニットと光学レンズフィルム1とは、表示ユニット側第1アライメントマークと、複数の第1アライメント用凸部19の間の境界部および第1アライメント用凸部19と凸部2との境界部のいずれかが重なるように位置決めされている。
【0064】
この場合、上述のように光学レンズフィルム1を高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルム1による視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置10を確実に実現できる。
【0065】
次に、図10を参照して、図1〜図3に示した光学レンズフィルムの第1の変形例を説明する。
【0066】
図10を参照して、光学レンズフィルム1は、基本的には図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の構成を備えるが、第1アライメント用凸部19の断面形状が図1〜図3に示した光学レンズフィルム1とは異なっている。具体的には、図10に示した光学レンズフィルム1では、第1アライメント用凸部19の(凸部2の延在方向における)断面形状が三角形状となっている。このような構成によっても、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の効果を得ることができる。さらに、図10に示した光学レンズフィルム1によれば、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1よりさらに細かな位置合せを実施できる。
【0067】
つまり、上記光学レンズフィルム1において、図10に示すように、第1アライメント用凸部19の延びる方向に対して垂直な方向における第1アライメント用凸部19の断面形状は三角形状である。この場合、第1アライメントマーク部18では、複数の第1アライメント用凸部19の間の境界部(境界線)に加えて、個々の第1アライメント用凸部19でも、上記三角形状の頂点に対応する位置に、線状に連なる角部が形成される。このため、上記境界部に加えて当該角部も位置決めのときの基準(たとえば、図10に示した表示ユニット側アライメントマーク32との位置合せにおける基準)として用いることができる。このため、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1より高い位置精度での位置決めが可能になる。
【0068】
次に、図11を参照して、図1〜図3に示した光学レンズフィルムの第2の変形例を説明する。
【0069】
図11を参照して、光学レンズフィルム1は、基本的には図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の構成を備えるが、第1アライメントマーク部18の断面形状が図1〜図3に示した光学レンズフィルム1とは異なっている。具体的には、図11に示した光学レンズフィルム1では、第1アライメントマーク部18が、底部の平坦な溝構造部となっている。つまり、図11の第1アライメントマーク部18の(凸部2の延在方向における)断面形状は矩形状となっている。このような構成によっても、第1アライメントマーク部18の端部(凸部2との境界部)を表示ユニット側アライメントマーク32との位置合せに用いたり、(第1アライメントマーク部18の両側の境界部間に表示ユニット側アライメントマーク32を抑えて位置合せしたり)することで、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(実施の形態2)
図12および図13を参照して、本発明に従った光学レンズフィルムの実施の形態2を説明する。
【0071】
図12および図13に示した光学レンズフィルム1は、基本的には図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の構成を備えるが、凸部2の延在方向に延びる第2アライメントマーク部8が形成されている点が図1〜図3に示した光学レンズフィルムと異なっている。第2アライメントマーク部8は、ベース体7の主表面において、凸部2の延在方向に対して垂直な方向における光学レンズフィルム1の端部近傍にそれぞれ1つ(合計2つ)形成されている。第2アライメントマーク部8は、光学レンズフィルム1の端部から距離Lの位置に(つまり、光学レンズフィルム1の端部と第2アライメントマーク部8の外周端との間の距離が上記距離Lとなる位置に)形成される。当該距離Lは、たとえば1mm以下とすることができる。
【0072】
また、図12では光学レンズフィルム1の端部と第2アライメントマーク部8の間の領域にも光学素子構造としての凸部2が形成されているが、当該領域には凸部2を形成しない構成(つまり、当該領域の表面が平坦な構成)としてもよい。また、図12では第2アライメントマーク部8を2つ形成しているが、3つ以上形成してもよい。
【0073】
第2アライメントマーク部8は、複数の凸部2の幅P0(図13参照)より狭い幅P1(図3参照)を有する複数の第2アライメント用構造部である第2アライメント用凸部9を含む。図1〜図3に示した光学レンズフィルム1では、3つの第2アライメント用凸部9により第2アライメントマーク部8が構成されている。第2アライメント用凸部9は、凸部2の延在方向に沿って延びるように形成されている。また、上記凸部2の延在方向に垂直な方向における第2アライメント用凸部9の断面形状は半円状である。なお、複数の光学素子構造(凸部2)と平行して線状に延びる第2アライメントマーク部8に含まれる第2アライメント用凸部9の数は、2つであっても、また4つ以上であってもよい。さらに、図12に示したように、2つの第2アライメントマーク部8は、同じ構成であってもよいが、互いに異なる構成を有してもよい。たとえば、2つの第2アライメントマーク部8のそれぞれに含まれる第2アライメント用凸部9の数やサイズが異なるようにしてもよい。
【0074】
このようにすれば、光学素子構造である凸部2の幅P0より狭い幅P1を有する複数の第2アライメント用凸部9を第2アライメントマーク部8が含んでいるので、これらの複数の第2アライメント用凸部9を用いることで、凸部2や第2アライメントマーク部8全体のサイズよりさらに小さいサイズ(第2アライメント用凸部9のサイズ)レベルで光学レンズフィルム1の図12における左右方(凸部2の延在方向に対して交差(たとえば直交)する方向)での位置決めを行なうことができる。この結果、図12の上下方向に加えて左右方向においても位置決め精度を向上させることが可能な光学レンズフィルム1を実現できる。
【0075】
また、上記光学レンズフィルム1において、第2アライメントマーク部の幅は、凸部2の幅P0のたとえば5倍以下にすることができる。第2アライメントマーク部8の幅は、凸部2の幅P0より狭くてもよく、凸部2の幅P0の0.1倍以上0.9倍以下であってもよい。第2アライメントマーク部8内に第2アライメント用凸部9を形成する場合、第2アライメント用凸部9の幅P1は、この数値範囲(凸部2の幅P0の0.1倍以上5倍以下)よりもさらに狭くなる。このように、第2アライメントマーク部8の幅、さらには第2アライメント用凸部9の幅P1(サイズ)を適宜選択することで、光学レンズフィルム1の位置決め精度に応じたサイズの第2アライメントマーク部8を実現できる。
【0076】
また、図2や図3に示すように、上記光学レンズフィルム1において、複数の凸部2は平行して線状に延び、凸部2の延びる方向に対して垂直な方向における当該凸部2の断面形状は半円状である。また、複数の第2アライメント用凸部9は、図1や図2に示すように、複数の凸部2と平行して線状に延びている。この場合、いわゆるレンチキュラレンズである光学レンズフィルム1に本発明を容易に適用できる。また、第2アライメント用凸部9が、光学素子構造としての凸部2と平行して線状に延びるため、後述するように当該光学レンズフィルム1を形成するときに、当該凸部2と第2アライメント用凸部9とを同時に形成することができる。たとえば、光学レンズフィルム1を型成形する場合、当該型に凸部2を成形するための形状を作りこむときに、同時に第2アライメント用凸部9を成形するための形状を当該型に形成することができる。そして、当該型を用いて樹脂などを型成形することで、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1を得ることができる。
【0077】
また、上記光学レンズフィルム1において、図3に示すように、第2アライメント用凸部9の延びる方向に対して垂直な方向における第2アライメント用凸部9の断面形状は半円状である。この場合、第2アライメント用凸部9と光学素子構造としての凸部2とが、それぞれ類似した断面形状を有することになる。そのため、たとえば上記のように光学レンズフィルム1を型成形により製造するときに、当該型成形で用いる型において第2アライメント用凸部9に対応する形状を作りこむために用いる切削具として、光学素子構造の凸部2に対応する形状を作りこむために用いる切削具と同じ刃先形状の切削具を用いることができる。また、切削具の切り込み量を上記凸部2と第2アライメント用凸部9とで変更すれば(つまり、凸部2と第2アライメント用凸部9との高さを変更するようにすれば)第2アライメント用凸部9と上記凸部2とのそれぞれに対応する形状を形成するために同じ切削具を用いることも可能になる。このため、光学レンズフィルム1の製造工程を簡略化できる。
【0078】
また、上記光学レンズフィルム1において、第2アライメントマーク部8では、図1や図2に示すように、複数の第2アライメント用凸部9の間の境界部または第2アライメント用凸部9と凸部2との境界部が、複数の凸部2と平行して線状に延びている。この場合、複数の凸部2の延びる方向に対して垂直な方向(図1の左右方向)における位置決め用のマークとして、上記境界部を利用することができる。
【0079】
図12に示すように、上記光学レンズフィルム1において、第1アライメントマーク部18と第2アライメントマーク部8とは互いに交差する交差部を含んでいる。交差部では、第2アライメントマーク部8の構造が形成されている。
【0080】
この場合、当該交差部では第2アライメントマーク部8が優先して形成された状態となっており、第2アライメントマーク部8が第1アライメントマーク部18によって分断されない状態となっている(型を作成する工程では、凸部2および第1アライメントマーク部18をこの順番で成形してから、第2アライメントマーク部8を成形することになる)。ここで、複数の凸部2の延在方向に交差する方向(交差方向)での位置決め精度(図12の左右方向での位置決め精度)は、凸部2の延在方向に沿った方向(延在方向)での位置決め精度より高い精度を求められる場合がある。これは、図12の左右方向では、複数の凸部2が並んだ状態となっている(周期的な構造を有している)ため、光学レンズフィルム1の光学的な作用を確実に発揮させるために当該方向での位置決め精度が重要になるからである。このような場合、上記交差方向での位置決めに用いる第2アライメントマーク部8を、交差部にて優先して形成することで、当該交差部で第2アライメントマーク部8が分断されない状態にすることができる。このため、第2アライメントマーク部8が分断されることに起因して第2アライメントマーク部8を用いた位置決めの精度が劣化する、といった問題の発生を抑制できる。
【0081】
また、図12および図13に示した光学レンズフィルム1を、図8や図9に示したような表示装置10に適用してもよい。この場合、表示ユニット(LCユニット14(図8参照)またはLCDユニット14およびアクティブシャッタユニット21(図9参照))は、光学レンズフィルム1と対向する部分に形成された表示ユニット側第2アライメントマーク(図6における表示ユニット側アライメントマーク32の、第1アライメントマーク部18の延在方向と交差する方向に延びる部分)を含んでいてもよい。表示ユニットと光学レンズフィルム1とは、表示ユニット側第2アライメントマークと、複数の第2アライメント用凸部9の間の境界部および第2アライメント用凸部9と凸部2との境界部のいずれかが重なるように位置決めされていてもよい。この場合、第1アライメントマーク部18に加えて、第2アライメントマーク部8よりサイズの小さい上記境界部を用いて光学レンズフィルム1の表示ユニットに対する位置決めを行なっているので、光学レンズフィルム1をさらに高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルム1による視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置を確実に実現できる。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0083】
この発明は、アライメントマーク部を備える光学レンズフィルムおよび当該光学レンズフィルムを用いた表示装置に有利に適用される。
【符号の説明】
【0084】
1 光学レンズフィルム、2 凸部、7 ベース体、8 第2アライメントマーク部、9 第2アライメント用凸部、10 表示装置、11 バックライト、12 拡散板、13 輝度向上フィルム、14 LCDユニット、15 液晶セル、16 位相差板、17 偏光板、18 第1アライメントマーク部、19 第1アライメント用凸部、20 表示ユニット、21 アクティブシャッタユニット、31 境界部、32 表示ユニット側アライメントマーク。
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学レンズフィルムおよび表示装置に関し、より特定的には、アライメントマーク部を備える光学レンズフィルムおよび当該光学フィルムレンズを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学レンズフィルムおよび当該光学レンズフィルムを用いた表示装置が知られている(たとえば、特開2004−280087号公報(以下、特許文献1と呼ぶ)参照)。
【0003】
特許文献1では、光学レンズフィルムとしてのレンチキュラレンズを備えた表示装置が開示されている。特許文献1に開示された表示装置では、レンチキュラレンズにアライメントマーク部が形成され、また、表示ユニットである液晶表示装置において上記レンチキュラレンズに対向する透明基板にも表示ユニット側アライメントマークが形成されている。そして、上記アライメントマーク部と表示ユニット側アライメントマークとを用いて、液晶表示装置に対してレンチキュラレンズが位置決めされている。レンチキュラレンズのアライメントマーク部は平面形状が十字状の突起部であり、透明基板の表示ユニット側アライメントマークは平面形状が四角形状であって、上記アライメントマーク部の形状に対応する部分が除去された突起部となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−280087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の表示装置では、以下のような問題があった。すなわち、特許文献1のレンチキュラレンズでは、レンズ構造部の形状とはアライメントマーク部の形状が全く異なるため、レンズ構造部とは異なる製造方法を用いて当該アライメントマーク部を形成する場合があった。このとき、アライメントマークのレンズ構造に対する位置精度および形状精度を十分に向上させることが難しい場合があった。この場合、アライメントマーク部を用いた位置決め精度の向上が不十分になることがあった。また、特許文献1のレンチキュラレンズでは、レンズ構造部の外側にごく小さなアライメントマーク部が形成されている。さらに、当該アライメントマーク部は平面形状が十字状であって、縦方向と横方向とのアライメントマークを兼ねていると考えられる。つまり、当該縦方向と横方向との位置決めを行なうために独立したアライメントマークを用いるようにはなっていないと考えられる。この点からも、アライメントマークのレンズ構造に対する位置精度および形状精度が不十分である場合には、縦方向および横方向のいずれについても位置決め精度が低下する可能性があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、位置決め精度の向上を図ることが可能な光学レンズフィルムおよび当該光学レンズフィルムを用いた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った光学レンズフィルムは、主表面を有するベース体と、複数の光学素子構造と、第1アライメントマーク部とを備える。光学素子構造は、ベース体の主表面に形成された、光の進行方向を変更する要素である。第1アライメントマーク部は、ベース体の主表面に形成されている。複数の光学素子構造は、互いに平行して線状に延びるように形成されている。第1アライメントマーク部は、複数の光学素子構造と交差して線状に延びている。
【0008】
このようにすれば、光学素子構造と同じくベース体の主表面に形成された第1アライメントマーク部が、複数の光学素子構造と交差して線状に延びる様に十分なサイズを有する。そのため、光学素子構造と別の領域に極小さなアライメントマークを形成する場合より、アライメントマークのレンズ構造に対する位置精度および形状精度が低下する可能性を低減できる。この結果、位置決め精度が劣化する可能性を低減することが可能な光学レンズフィルムを実現できる。
【0009】
また、上記第1アライメントマーク部は、光学素子構造と交差して線状に延びる形状を有するので、光学素子構造の延びる方向(延在方向)における光学レンズフィルムの位置合せを行なうために用いることになる。そして、光学素子構造において光学素子構造の延在方向に対して交差する方向での位置合せについては、別のアライメントマークを適用できるので、もし上記第1アライメントマーク部のレンズ構造に対する位置精度および形状精度に問題が発生した場合であっても、光学素子構造の延在方向に対して交差する方向での位置合せの精度は影響を受けない。
【0010】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメントマーク部は複数の第1アライメント用構造部を含んでいてもよい。この場合、第1アライメントマーク部が、複数の第1アライメント用構造部を含んでいるので、これらの複数の第1アライメント用構造部を用いることで、第1アライメントマーク部全体のサイズよりさらに小さいサイズ(第1アライメントマーク部または第1アライメント用構造部のサイズ)レベルで位置決めを行なうことができる。この結果、より位置決め精度を向上させることが可能な光学レンズフィルムを実現できる。
【0011】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメントマーク部の幅は、複数の光学素子構造の幅より狭くてもよい。この場合、光学素子構造のサイズよりさらに小さいサイズ(第1アライメントマーク部または第1アライメント用構造部のサイズ)レベルで位置決めを行なうことができる。この結果、より位置決め精度を向上させることが可能な光学レンズフィルムを実現できる。
【0012】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメントマーク部の幅は、光学素子構造の幅の0.1倍以上5倍以下であってもよい。このように、第1アライメントマーク部(さらには第1アライメント用構造部)の幅(サイズ)を適宜選択することで、光学レンズフィルムの位置決め精度に応じたサイズの第1アライメント用構造部を実現できる。
【0013】
上記光学レンズフィルムにおいて、複数の光学素子構造は、平行して線状に延びる複数の凸部であって、凸部の延びる方向に対して垂直な方向における凸部の断面形状は半円状であってもよい。複数の第1アライメント用構造部は、複数の凸部と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部であってもよい。
【0014】
この場合、いわゆるレンチキュラレンズにおいて本発明を適用することができる。また、第1アライメント用構造部が、光学素子構造の凸部と交差して線状に延びる第1アライメント用凸部であるため、当該光学レンズフィルムを形成するときに、当該凸部とアライメント用凸部とを同時に形成することができる。たとえば、光学レンズフィルムを型成形するような場合、当該型に光学素子構造の凸部を成形するための形状を作りこむときに、加工対象の型の配置を回転させる(たとえば90°回転させる)ことにより、同時に第1アライメント用凸部を成形するための形状を当該型に形成することができる。そして、当該型を用いて樹脂などを型成形することで、本発明による光学レンズフィルムを得ることができる。
【0015】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメント用構造部では、複数の第1アライメント用凸部の間の境界部または第1アライメント用凸部と凸部との境界部が、複数の凸部と交差して線状に延びていてもよい。この場合、複数の凸部の延びる方向における位置決め用のマークとして、上記境界部を利用することができる。
【0016】
上記光学レンズフィルムは、複数の光学素子構造と平行して線状に延びる、第2アライメントマーク部をさらに備えていてもよい。この場合、光学素子構造の延在方向と交差する方向(垂直方向)での光学レンズフィルムの位置決めを、第2アライメントマーク部を用いて行なうことができる。また、第2アライメントマーク部が、光学素子構造と平行して線状に延びる形状であるため、当該光学レンズフィルムを形成するときに、当該光学素子構造と第2アライメントマーク部とを同時に形成することができる。たとえば、光学レンズフィルムを型成形するような場合、当該型に光学素子構造を成形するための形状を作りこむときに、同時に第2アライメントマーク部を成形するための形状を当該型に形成することができる。そして、当該型を用いて樹脂などを型成形することで、本発明による光学レンズフィルムを得ることができる。
【0017】
上記光学レンズフィルムにおいて、第2アライメントマーク部は、複数の光学素子構造の幅より狭い幅を有する複数の第2アライメント用構造部を含んでいてもよい。この場合、光学素子構造と同じくベース体の主表面に形成された第2アライメントマーク部が、光学素子構造の幅より狭い幅を有する複数の第2アライメント用構造部を含んでいるので、これらの複数の第2アライメント用構造部を用いることで、光学素子構造やアライメントマーク部全体のサイズよりさらに小さいサイズ(第2アライメント用構造部のサイズ)レベルで位置決めを行なうことができる。この結果、光学素子構造の延在方向に対して交差する方向における位置決め精度をさらに向上させることが可能な光学レンズフィルムを得ることができる。
【0018】
上記光学レンズフィルムにおいて、第2アライメントマーク部の幅は、光学素子構造の幅の0.1倍以上5倍以下であってもよい。このように、第2アライメントマーク部(さらには第2アライメント用構造部)の幅(サイズ)を適宜選択することで、光学レンズフィルムの位置決め精度に応じたサイズのアライメント用構造を実現できる。
【0019】
上記光学レンズフィルムにおいて、第2アライメント用構造部は、複数の光学素子構造と平行して線状に延びる複数の第2アライメント用凸部であってもよい。また、複数の光学素子構造は、平行して線状に延びる複数の凸部であってもよい。また、上記凸部の延びる方向に対して垂直な方向における当該凸部の断面形状は半円状であってもよい。この場合、第2アライメント用構造部が、光学素子構造と平行して線状に延びる第2アライメント用凸部であるため、当該光学レンズフィルムを形成するときに、当該光学素子構造(たとえば上記凸部)とアライメント用凸部とを同時に形成することができる。たとえば、光学レンズフィルムを型成形するような場合、当該型に光学素子構造の凸部を成形するための形状を作りこむときに、同じ切削工具を用いて同時にアライメント用凸部を成形するための形状を当該型に形成することができる。
【0020】
上記光学レンズフィルムにおいて、第2アライメント用構造部では、複数の第2アライメント用凸部の間の境界部または第2アライメント用凸部と光学素子構造との境界部が、複数の光学素子構造と平行して線状に延びていてもよい。この場合、複数の光学素子構造の延びる方向に対して垂直な方向における位置決め用のマークとして、上記境界部を利用することができる。
【0021】
上記光学レンズフィルムにおいて、第1アライメントマーク部と第2アライメントマーク部とは互いに交差する交差部を含んでいてもよい。交差部では、第2アライメントマーク部の構造が形成されていてもよい。
【0022】
この場合、当該交差部では第2アライメントマーク部が優先して形成された状態となっており、第2アライメントマーク部が第1アライメントマーク部によって分断されない状態となっている。ここで、複数の光学素子構造の延在方向に交差する方向(交差方向)での位置決め精度は、光学素子構造の延在方向に沿った方向(延在方向)での位置決め精度より高い精度を求められる場合がある。これは、光学素子構造の延在方向に交差する方向では、複数の光学素子構造が並んだ状態となっている(周期的な構造を有している)ため、光学レンズフィルムの光学的な作用を確実に発揮させるために当該方向での位置決め精度が重要になるからである。このような場合、上記交差方向での位置決めに用いる第2アライメントマーク部を、交差部にて優先して形成することで、当該交差部で第2アライメントマーク部が分断されることに起因して第2アライメントマーク部を用いた位置決めの精度が劣化する、といった問題の発生を抑制できる。
【0023】
この発明に従った表示装置は、表示面を有する表示ユニットと、上記光学レンズフィルムとを備える。光学レンズフィルムは、表示ユニットの表示面と重なるように表示ユニットと積層されている。このようにすれば、表示ユニットに対して高い精度で位置決めされた光学レンズフィルムを備える表示装置を実現できる。このため、当該光学レンズフィルムによる視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置を実現できる。
【0024】
上記表示装置では、光学レンズフィルムにおいて、複数の光学素子構造が、平行して線状に延びる複数の凸部であってもよい。凸部の延びる方向に対して垂直な方向における凸部の断面形状は半円状であってもよい。第1アライメントマーク部は、複数の凸部と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部を含んでいてもよい。表示ユニットは、光学レンズフィルムと対向する部分に形成された表示ユニット側第1アライメントマークを含んでいてもよい。表示ユニットと光学レンズフィルムとは、表示ユニット側第1アライメントマークと、複数の第1アライメント用凸部の間の境界部および第1アライメント用凸部と凸部との境界部のいずれかが重なるように位置決めされていてもよい。
【0025】
この場合、第1アライメントマーク部よりサイズの小さい上記境界部を用いて光学レンズフィルムの表示ユニットに対する位置決めを行なっているので、光学レンズフィルムを高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルムによる視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置を確実に実現できる。
【0026】
上記表示装置において、光学レンズフィルムは、複数の凸部と平行して線状に延びる、第2アライメントマーク部をさらに含んでいてもよい。第2アライメントマーク部は、複数の凸部と平行して線状に延びる複数の第2アライメント用凸部を含んでいてもよい。表示ユニットは、光学レンズフィルムと対向する部分に形成された表示ユニット側第2アライメントマークを含んでいてもよい。表示ユニットと光学レンズフィルムとは、表示ユニット側第2アライメントマークと、複数の第2アライメント用凸部の間の境界部および第2アライメント用凸部と凸部との境界部のいずれかが重なるように位置決めされていてもよい。この場合、第1アライメントマーク部に加えて、第2アライメントマーク部よりサイズの小さい上記境界部を用いて光学レンズフィルムの表示ユニットに対する位置決めを行なっているので、光学レンズフィルムをさらに高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルムによる視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置を確実に実現できる。
【0027】
上記光学レンズフィルムおよび上記表示装置において、前記第1アライメント用凸部および/または第2アライメント用凸部の延びる方向に対して垂直な方向における第1アライメント用凸部および/または第2アライメント用凸部の断面形状は半円状であってもよい。この場合、第1および第2アライメント用凸部と光学素子構造の凸部とが、それぞれ類似した断面形状を有することになる。そのため、たとえば上記のように光学レンズフィルムを型成形により製造するときに、当該型成形で用いる型にアライメント用凸部に対応する形状を作りこむために用いる切削具として、光学素子構造の凸部に対応する形状を作りこむために用いる切削具と同じ種類の刃先形状の切削具を用いることができる。また、切削具の切り込み量を上記凸部と第1および第2アライメント用凸部とで変更すれば(つまり、凸部と第1および第2アライメント用凸部との高さを変更するようにすれば)、第1及び第2アライメント用凸部と上記凸部とで同じ切削具を用いることも可能になる。このため、光学レンズフィルムの製造工程を簡略化できる。
【0028】
上記光学レンズフィルムおよび上記表示装置において、第1アライメント用凸部および/第2アライメント用凸部の延びる方向に対して垂直な方向における第1アライメント用凸部および/または第2アライメント用凸部の断面形状は三角形状であってもよい。この場合、第1アライメントマーク部および/または第2アライメントマーク部では、複数のアライメント用凸部の間の境界部(境界線)に加えて、個々のアライメント用凸部でも上記三角形状の頂点に対応する位置に、線状に連なる角部が形成される。このため、上記境界部に加えて当該角部も位置決めのときの基準として用いることができる。このため、より高い位置精度での光学レンズフィルムの位置決めが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、位置決め精度の向上を図ることが可能な光学レンズフィルムおよび当該光学レンズフィルムを用いた表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に従った光学レンズフィルムの実施の形態1を示す平面模式図である。
【図2】図1に示した光学レンズフィルムの部分斜視模式図である。
【図3】図1の線分III−IIIにおける断面模式図である。
【図4】図1〜図3に示した光学レンズフィルムの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示したフローチャートにおける型を作成する工程を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1〜図3に示した光学レンズフィルムを用いた表示装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図7】図1〜図3に示した光学レンズフィルムを用いた表示装置の製造方法を説明するための拡大模式図である。
【図8】本発明による光学レンズフィルムを適用した表示装置としての液晶表示装置を示す断面模式図である。
【図9】本発明による光学レンズフィルムを適用した表示装置の他の例としての液晶表示装置を示す断面模式図である。
【図10】図1〜図3に示した光学レンズフィルムの第1の変形例を説明するための断面模式図である。
【図11】図1〜図3に示した光学レンズフィルムの第2の変形例を説明するための断面模式図である。
【図12】本発明に従った光学レンズフィルムの実施の形態2を示す平面模式図である。
【図13】図12の線分XIII−XIIIにおける断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰返さない。
【0032】
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、本発明に従った光学レンズフィルムの実施の形態1を説明する。
【0033】
図1〜図3に示した光学レンズフィルム1は、主表面を有するベース体7と、複数の光学素子構造としての凸部2と、第1アライメントマーク部18とを備える。凸部2は、ベース体7の主表面に形成された、光の進行方向を変更する光学要素であって、断面が半円状のレンズである。また、複数の凸部2は互いに平行であって線状に延びるように配置されている。第1アライメントマーク部18は、ベース体7の主表面において、凸部2の延在方向における光学レンズフィルム1の端部近傍(図1の上下方向における端部近傍)にそれぞれ1つ(合計2つ)形成されている。第1アライメントマーク部18は、光学レンズフィルム1の端部から距離Lの位置に(つまり、光学レンズフィルム1の端部と第1アライメントマーク部18の外周端との間の距離が上記距離Lとなる位置に)形成される。当該距離Lは、たとえば1mm以下とすることができる。
【0034】
また、図1では光学レンズフィルム1の端部と第1アライメントマーク部18の間の領域にも光学素子構造としての凸部2が形成されているが、当該領域には凸部2を形成しない構成(つまり、当該領域の表面が平坦な構成)としてもよい。また、図1では第1アライメントマーク部18を2つ形成しているが、3つ以上形成してもよい。
【0035】
第1アライメントマーク部18は、複数の凸部2の幅P0(図2参照)より狭い幅P1(図2参照)を有する複数のアライメント用構造部である第1アライメント用凸部19を含むことができる。図1〜図3に示した光学レンズフィルム1では、3つの第1アライメント用凸部19により第1アライメントマーク部18が構成されている。第1アライメント用凸部19は、凸部2の延在方向に交差するように(たとえば直交するように)形成されている。また、上記凸部2の延在方向における第1アライメント用凸部19の断面形状は半円状である。なお、第1アライメントマーク部18に含まれる第1アライメント用凸部19の数は、2つであっても、また4つ以上であってもよい。さらに、図1に示したように、2つの第1アライメントマーク部18は、同じ構成であってもよいが、互いに異なる構成を有してもよい。たとえば、2つの第1アライメントマーク部18のそれぞれに含まれる第1アライメント用凸部19の数やサイズが異なるようにしてもよい。
【0036】
このようにすれば、光学素子構造としての凸部2と同じくベース体7の主表面に形成された第1アライメントマーク部18が、複数の凸部2と交差して線状に延びる様に十分なサイズを有する。そのため、凸部2と別の領域に極小さなアライメントマークを形成する場合より、アライメントマークのレンズ構造に対する位置精度および形状精度が低下する可能性を低減できる。この結果、位置決め精度が劣化する可能性を低減することが可能な光学レンズフィルム1を実現できる。
【0037】
また、上記第1アライメントマーク部は、凸部2と交差して線状に延びる形状を有するので、凸部2の延びる方向(延在方向)における光学レンズフィルム1の位置合せを行なうために用いることになる。そして、凸部2において凸部2の延在方向に対して交差する方向での位置合せについては、別のアライメントマークを適用できるので、もし上記第1アライメントマーク部のレンズ構造に対する位置精度および形状精度に問題が発生した場合であっても、凸部2の延在方向に対して交差する方向での位置合せの精度は影響を受けない。
【0038】
また、光学素子構造である凸部2の幅P0より狭い幅P1を有する複数の第1アライメント用凸部19を第1アライメントマーク部18が含んでいるので、これらの複数の第1アライメント用凸部19を用いることで、凸部2や第1アライメントマーク部18全体のサイズよりさらに小さいサイズ(第1アライメント用凸部19のサイズ)レベルで光学レンズフィルム1の位置決めを行なうことができる。この結果、位置決め精度を向上させることが可能な光学レンズフィルム1を実現できる。
【0039】
また、上記光学レンズフィルム1において、第1アライメントマーク部18の幅は、凸部2の幅P0より狭くてもよく、凸部2の幅P0の0.1倍以上5倍以下であってもよい。第1アライメントマーク部18内に第1アライメント用凸部を形成する場合には、第1アライメント用凸部19の幅P1は、この第1アライメントマーク部18の幅の範囲よりさらに狭くなる。このように、第1アライメントマーク部18の幅(さらには第1アライメント用凸部19の幅P1)(サイズ)を適宜選択することで、光学レンズフィルム1の位置決め精度に応じたサイズの第1アライメントマーク部18を実現できる。
【0040】
また、図2に示すように、上記光学レンズフィルム1において、複数の凸部2は平行して線状に延び、凸部2の延びる方向に対して垂直な方向における当該凸部2の断面形状は半円状である。また、複数の第1アライメント用凸部19は、図1や図2に示すように、複数の凸部2と交差するように(たとえば直交するように)平行して線状に延びている。この場合、いわゆるレンチキュラレンズである光学レンズフィルム1に本発明を容易に適用できる。また、第1アライメント用凸部19が、光学素子構造としての凸部2と交差して線状に延びるため、後述するように当該光学レンズフィルム1を形成するときに、当該凸部2と第1アライメント用凸部19とを一連の工程にて形成することができる。たとえば、光学レンズフィルム1を型成形する場合、当該型に凸部2を成形するための形状を作りこんだ後、当該型を所定の角度(たとえば90°)回転させてから、さらに加工を実施することで、第1アライメント用凸部19を成形するための形状を当該型に形成することができる。そして、当該型を用いて樹脂などを型成形することで、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1を得ることができる。
【0041】
また、上記光学レンズフィルム1において、図3に示すように、第1アライメント用凸部19の延びる方向に対して垂直な方向における第1アライメント用凸部19の断面形状は半円状である。この場合、第1アライメント用凸部19と光学素子構造としての凸部2とが、それぞれ類似した断面形状を有することになる。そのため、たとえば上記のように光学レンズフィルム1を型成形により製造するときに、当該型成形で用いる型において第1アライメント用凸部19に対応する形状を作りこむために用いる切削具として、光学素子構造の凸部2に対応する形状を作りこむために用いる切削具と同じ刃先形状の切削具を用いることができる。また、切削具の切り込み量を上記凸部2と第1アライメント用凸部19とで変更すれば(つまり、凸部2と第1アライメント用凸部19との高さを変更するようにすれば)第1アライメント用凸部19と上記凸部2とのそれぞれに対応する形状を形成するために同じ切削具を用いることも可能になる。このため、光学レンズフィルム1の製造工程を簡略化できる。なお、切削具の送りピッチは、凸部2および第1アライメントマーク部18または第1アライメント用凸部19のそれぞれの幅に応じて変更すればよい。
【0042】
また、上記光学レンズフィルム1において、第1アライメントマーク部18では、図1や図2に示すように、複数の第1アライメント用凸部19の間の境界部または第1アライメント用凸部19と凸部2との境界部が、複数の凸部2の延在方向と交差するように(直交するように)線状に延びている。この場合、複数の凸部2の延びる方向(図1の上下方向)における位置決め用のマークとして、上記境界部を利用することができる。
【0043】
次に、図4および図5を参照して、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1の製造方法を説明する。なお、光学レンズフィルム1は金型を用いたモールドにより製造する。
【0044】
まず、図4に示すように型を作成する工程(S10)を実施する。具体的には、光学レンズフィルム1の表面形状に対応する形状を有する金型を作成する。金型の加工方法としては、切削具による切削や放電加工など、任意の方法を用いることができる。また、当該工程(S10)では、図5に示すように、凸部を成形する部分を加工する工程(S11)を実施する。さらに、工程(S10)では、図5に示したアライメントマーク部を成形する部分を加工する工程(S12)を実施する。なお、凸部を成形する部分を加工する工程(S11)およびアライメントマーク部を成形する部分を加工する工程(S12)は同時に実施してもよいし、順次実施してもよい。
【0045】
次に、工程(S10)で準備された金型を利用してモールド法により光学レンズフィルム1を成形する工程である、型を用いて光学レンズフィルムを成形する工程(S20)を実施する。具体的には、上記金型と対向定盤との間に、光学レンズフィルム1を構成する樹脂製薄膜をセットする。その状態で、樹脂製薄膜を加熱する。その後、加熱した樹脂製薄膜を金型と対向定盤とで挟みこむように押圧することにより、モールドを行なう。放冷後、脱型すると、図1などに示す光学レンズフィルム1が得られる。
【0046】
なお、樹脂製薄膜の加熱は、たとえば、樹脂製薄膜を金型と対向定盤との間に挟んでから加熱する方式、または樹脂製薄膜のみを予め非接触の状態で加熱する方式などを任意に採用することができる。樹脂製薄膜の加熱は、金型や対向定盤の直下に設置したヒータなどにより行なうことができるが、金型や対向定盤の内部に加熱機能を導入(金型や対向定盤の内部にヒータなどを設置)し、当該加熱機能を利用して行なうこともできる。
【0047】
樹脂製薄膜の加熱では、樹脂の流動開始温度以上に加熱する態様が好ましい。このように樹脂製薄膜を流動開始温度以上に加熱してから、金型と対向定盤とで当該樹脂製薄膜を押圧する加圧加工を実施することにより、樹脂の流動現象を利用して、金型の表面に形成された凹部の形状を樹脂製薄膜の表面に転写することができる。このようにして、本発明による光学レンズフィルム1を製造することができる。
【0048】
なお、光学レンズフィルム1を構成する樹脂は、比較的狭い温度範囲で溶融し、冷却すると急速に硬化する樹脂を用いれば、スループットが高くなるため好ましい。したがって、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミドなどが好適である。樹脂製薄膜の厚さは特に限定されるものではないが、厚さ20μm以上が好ましく、厚さ100μm以上がより好ましい。また、光学レンズフィルム1の凸部2の幅P0の値はたとえば50μm以上1000μm以下、より好ましくは100μm以上500μm以下とすることができる。また、凸部2の表面に関する、凸部2の延在方向に直交する方向の断面における曲率半径はたとえば100μm以上1000μm以下、より好ましくは200μm以上600μm以下とすることができる。また、第1アライメント用凸部19と凸部2との幅比(P1/P0)の値はたとえば0.1以上5以下、より好ましくは0.1以上0.9以下、さらに好ましくは0.1以上0.5以下とすることができる。また、第1アライメント用凸部19の表面に関する図3に示した断面における曲率半径はたとえば100μm以上1000μm以下、より好ましくは200μm以上600μm以下とすることができる。
【0049】
次に、上記のようにして得られた光学レンズフィルム1を用いて、表示装置を製造する場合の、当該表示装置を構成する他の部材と光学レンズフィルム1とのアライメント(位置合せ)の方法について、図6および図7を参照して簡単に説明する。
【0050】
図6および図7に示すように、光学レンズフィルム1と積層する対象である他の部材として表示ユニット20を用いる場合、当該表示ユニット20の表面(光学レンズフィルム1と対向する表面)には、表示ユニット側アライメントマーク32が形成されている。表示ユニット側アライメントマーク32の形状は任意の形状を採用することができるが、たとえば図6に示すように平面形状を十字状とすることができる。表示ユニット側アライメントマーク32の構成としては、たとえば表示ユニット20の表面の他の部分と異なる色彩を有する樹脂層など任意の構成を採用できる。図6に示した表示ユニット20では、その表面に4箇所の表示ユニット側アライメントマーク32が形成されている。
【0051】
そして、たとえば光学レンズフィルム1の第1アライメントマーク部18を構成する第1アライメント用凸部19の間の境界部31と、表示ユニット20の表面に形成された表示ユニット側アライメントマーク32の端部とが平面視において重なるように(したり、第1アライメント用凸部19の両側の境界部31間に表示ユニット側アライメントマーク32が収まるようにしたり)して、表示ユニット20と光学レンズフィルム1との相対的な位置を調整する。このようにすれば、光学レンズフィルム1の凸部2が延在する方向において、表示ユニット20に対する光学レンズフィルム1の位置を精度よく決定することができる。なお、図7では第1アライメント用凸部19の間の境界部31を位置合せの基準として用いたが、隣接する凸部2と第1アライメント用凸部19との間の境界部を当該基準として用いてもよい。
【0052】
このように表示ユニット20に対する光学レンズフィルム1の位置を決定した後、表示ユニット20の表面に光学レンズフィルム1を固定する。光学レンズフィルム1の固定方法としては、任意の方法を用いることができる。たとえば、光学レンズフィルム1の裏面側(表示ユニット20と対向する表面側)に両面テープなどの接着部材を配置しておいてもよい。このようにして、本発明による表示装置を構成することができる。
【0053】
なお、表示ユニット20としては、画像などを表示可能な装置であれば任意の装置を適用できる。たとえば、液晶表示ユニットやプラズマ表示ユニット、LED、有機EL素子などの発光素子を用いた表示ユニットなど、任意の構成の装置を表示ユニット20として用いることができる。
【0054】
次に、図8および図9を参照して、本発明による光学レンズフィルムを適用した表示装置10の構成例を説明する。
【0055】
図8に示した表示装置10は、バックライト11と、当該バックライト上に配置されたLCDユニット14と、LCDユニット14の表示面側に配置された本発明による光学レンズフィルム1とを備える。具体的には、バックライト11の光出射面上に拡散板12および輝度向上フィルム13といった光学フィルムが配置されている。この光学フィルム上にLCDユニット14が配置されている。LCDユニット14は、液晶セル15と、当該液晶セル15の表面および裏面のそれぞれの上に配置された位相差板16と、それぞれの位相差板16の外周表面上に配置された偏光板17とを備える。液晶セル15は、スペーサを介して対向するように配置された2枚のガラス製基板の間に液晶駆動用の薄膜トランジスタや液晶が配置された構造となっている。そして、LCDユニット14においてバックライト11側の面と反対側の出射面上に本発明による光学レンズフィルム1が配置されている。
【0056】
図8に示した表示装置10では、バックライト11から出射した光が拡散板12および輝度向上フィルム13を介してLCDユニット14に裏面側から入射する。そして、LCDユニット14において液晶セル15内の液晶がその配向方向などを電界によって制御されることにより、LCDユニット14の各画素の表示が制御される。その結果、所定の画像を構成する光がLCDユニット14の表面側(光学レンズフィルム1が配置された側)から出射する。そして、LCDユニット14から光学レンズフィルム1に入射した光は、光学レンズフィルム1の作用により、当該光の進行方向が所定の方向へと変更される。
【0057】
次に、図9を参照して、本発明による表示装置の他の例を説明する。
図9に示した表示装置10は、基本的には、図8に示した表示装置10と同様の構造を備えるが、光学レンズフィルム1の配置およびアクティブシャッタユニット21を備える点が異なっている。すなわち、図9に示した表示装置10においては、LCDユニット14とバックライト11との間、より具体的にはLCDユニット14と輝度向上フィルム13との間に、光学レンズフィルム1およびアクティブシャッタユニット21が配置されている。なお、光学レンズフィルム1における第1アライメントマーク部18が、LCDユニット14の画像表示領域に対して平面視での外側に位置するように、光学レンズフィルム1(およびアクティブシャッタユニット21)の平面形状を、LCDユニット14の平面形状より大きくしてもよい。
【0058】
ここで、アクティブシャッタユニット21は、光学レンズフィルム1の凸部2に沿って、当該凸部2の1つ当たりにたとえば2列の帯状領域が形成され、当該帯状領域では液晶などを用いて光の透過・遮断を切り替え可能となっている光学部材である。1つの凸部2に対応する2つの帯状領域は、一方が光を透過する状態、他方が光を遮断する状態、というように一方の帯状領域のみが光を透過できる状態となっており、一定の周期で光が透過可能な帯状領域が切り替わる。
【0059】
このようなアクティブシャッタユニット21を用い、またLCDユニット14においても当該帯状領域に対応して液晶の画素ユニットを配置し、帯状領域の光の透過・遮断の切り替えに応じて画素ユニットでの表示を切り替えることで、たとえば3次元画像(または3次元映像)を表示することができる。アクティブシャッタユニット21での帯状領域の光の透過・遮断の切り替えは、任意の周期で繰返すことが好ましい。この場合の繰返し周期としては、たとえば数十Hzから数百Hzといった周期を採用することができる。
【0060】
このような表示装置10では、アクティブシャッタユニット21と光学レンズフィルム1とLCDユニット14との位置合せを極めて高い精度で行なう必要があり、本発明を適用することが特に効果的である。たとえば、図6および図7に示した表示ユニット20と同様に、LCDユニット14やアクティブシャッタユニット21に表示ユニット側アライメントマーク32(図6参照)を形成しておけば、光学レンズフィルム1をこれらの機器に対して正確に位置合せすることができる。
【0061】
また、異なる観点から言えば、図8および図9に示したような表示装置10は、表示面を有する表示ユニット(LCユニット14(図8参照)またはLCDユニット14およびアクティブシャッタユニット21(図9参照))と、上記光学レンズフィルム1とを備える。光学レンズフィルム1は、表示ユニットの表示面と重なるように(図8ではLCDユニット14の画像表示面上に重なるように、また図9ではLCDユニット14とバックライト11との間に)表示ユニットと積層されている。このようにすれば、LCDユニット14やアクティブシャッタユニット21などに対して高い精度で位置決めされた光学レンズフィルム1を備える表示装置10を実現できる。このため、当該光学レンズフィルム1による視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置10を実現できる。
【0062】
上記表示装置10では、光学レンズフィルム1において、複数の光学素子構造として、図1〜図3に示すように平行して線状に延びる複数の凸部2が形成されている。図2および図3などに示すように、当該凸部2の延びる方向における凸部2の断面形状は半円状である。複数の第1アライメント用構造部は、複数の凸部2と交差(たとえば直交)して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部19である。表示ユニットとしてのLCDユニット14および/またはアクティブシャッタユニット21は、光学レンズフィルム1と対向する部分に形成された表示ユニット側アライメントマーク32(図6、図7参照)を含む。LCDユニット14および/またはアクティブシャッタユニット21と光学レンズフィルム1とは、表示ユニット側アライメントマーク32と、複数の第1アライメント用凸部19の間の境界部31(図7参照)および第1アライメント用凸部19と凸部2との境界部のいずれかが重なるように位置決めされている。この場合、第1アライメントマーク部18よりサイズの小さい上記境界部を用いて光学レンズフィルム1のLCDユニット14および/またはアクティブシャッタユニット21に対する位置決めを行なっているので、光学レンズフィルム1を高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルム1による視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置10を確実に実現できる。
【0063】
また、異なる観点から言えば、上記表示装置10では、光学レンズフィルム1において、複数の光学素子構造が、平行して線状に延びる複数の凸部2である。凸部2の延びる方向に対して垂直な方向における凸部2の断面形状は半円状である。第1アライメントマーク部18は、複数の凸部2と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部19を含んでいる。表示ユニット20(LCユニット14(図8参照)またはLCDユニット14およびアクティブシャッタユニット21(図9参照))は、光学レンズフィルム1と対向する部分に形成された表示ユニット側第1アライメントマーク(図6における表示ユニット側アライメントマーク32の、第1アライメントマーク部18の延在方向に沿って延びる部分)を含んでいる。表示ユニットと光学レンズフィルム1とは、表示ユニット側第1アライメントマークと、複数の第1アライメント用凸部19の間の境界部および第1アライメント用凸部19と凸部2との境界部のいずれかが重なるように位置決めされている。
【0064】
この場合、上述のように光学レンズフィルム1を高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルム1による視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置10を確実に実現できる。
【0065】
次に、図10を参照して、図1〜図3に示した光学レンズフィルムの第1の変形例を説明する。
【0066】
図10を参照して、光学レンズフィルム1は、基本的には図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の構成を備えるが、第1アライメント用凸部19の断面形状が図1〜図3に示した光学レンズフィルム1とは異なっている。具体的には、図10に示した光学レンズフィルム1では、第1アライメント用凸部19の(凸部2の延在方向における)断面形状が三角形状となっている。このような構成によっても、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の効果を得ることができる。さらに、図10に示した光学レンズフィルム1によれば、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1よりさらに細かな位置合せを実施できる。
【0067】
つまり、上記光学レンズフィルム1において、図10に示すように、第1アライメント用凸部19の延びる方向に対して垂直な方向における第1アライメント用凸部19の断面形状は三角形状である。この場合、第1アライメントマーク部18では、複数の第1アライメント用凸部19の間の境界部(境界線)に加えて、個々の第1アライメント用凸部19でも、上記三角形状の頂点に対応する位置に、線状に連なる角部が形成される。このため、上記境界部に加えて当該角部も位置決めのときの基準(たとえば、図10に示した表示ユニット側アライメントマーク32との位置合せにおける基準)として用いることができる。このため、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1より高い位置精度での位置決めが可能になる。
【0068】
次に、図11を参照して、図1〜図3に示した光学レンズフィルムの第2の変形例を説明する。
【0069】
図11を参照して、光学レンズフィルム1は、基本的には図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の構成を備えるが、第1アライメントマーク部18の断面形状が図1〜図3に示した光学レンズフィルム1とは異なっている。具体的には、図11に示した光学レンズフィルム1では、第1アライメントマーク部18が、底部の平坦な溝構造部となっている。つまり、図11の第1アライメントマーク部18の(凸部2の延在方向における)断面形状は矩形状となっている。このような構成によっても、第1アライメントマーク部18の端部(凸部2との境界部)を表示ユニット側アライメントマーク32との位置合せに用いたり、(第1アライメントマーク部18の両側の境界部間に表示ユニット側アライメントマーク32を抑えて位置合せしたり)することで、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(実施の形態2)
図12および図13を参照して、本発明に従った光学レンズフィルムの実施の形態2を説明する。
【0071】
図12および図13に示した光学レンズフィルム1は、基本的には図1〜図3に示した光学レンズフィルム1と同様の構成を備えるが、凸部2の延在方向に延びる第2アライメントマーク部8が形成されている点が図1〜図3に示した光学レンズフィルムと異なっている。第2アライメントマーク部8は、ベース体7の主表面において、凸部2の延在方向に対して垂直な方向における光学レンズフィルム1の端部近傍にそれぞれ1つ(合計2つ)形成されている。第2アライメントマーク部8は、光学レンズフィルム1の端部から距離Lの位置に(つまり、光学レンズフィルム1の端部と第2アライメントマーク部8の外周端との間の距離が上記距離Lとなる位置に)形成される。当該距離Lは、たとえば1mm以下とすることができる。
【0072】
また、図12では光学レンズフィルム1の端部と第2アライメントマーク部8の間の領域にも光学素子構造としての凸部2が形成されているが、当該領域には凸部2を形成しない構成(つまり、当該領域の表面が平坦な構成)としてもよい。また、図12では第2アライメントマーク部8を2つ形成しているが、3つ以上形成してもよい。
【0073】
第2アライメントマーク部8は、複数の凸部2の幅P0(図13参照)より狭い幅P1(図3参照)を有する複数の第2アライメント用構造部である第2アライメント用凸部9を含む。図1〜図3に示した光学レンズフィルム1では、3つの第2アライメント用凸部9により第2アライメントマーク部8が構成されている。第2アライメント用凸部9は、凸部2の延在方向に沿って延びるように形成されている。また、上記凸部2の延在方向に垂直な方向における第2アライメント用凸部9の断面形状は半円状である。なお、複数の光学素子構造(凸部2)と平行して線状に延びる第2アライメントマーク部8に含まれる第2アライメント用凸部9の数は、2つであっても、また4つ以上であってもよい。さらに、図12に示したように、2つの第2アライメントマーク部8は、同じ構成であってもよいが、互いに異なる構成を有してもよい。たとえば、2つの第2アライメントマーク部8のそれぞれに含まれる第2アライメント用凸部9の数やサイズが異なるようにしてもよい。
【0074】
このようにすれば、光学素子構造である凸部2の幅P0より狭い幅P1を有する複数の第2アライメント用凸部9を第2アライメントマーク部8が含んでいるので、これらの複数の第2アライメント用凸部9を用いることで、凸部2や第2アライメントマーク部8全体のサイズよりさらに小さいサイズ(第2アライメント用凸部9のサイズ)レベルで光学レンズフィルム1の図12における左右方(凸部2の延在方向に対して交差(たとえば直交)する方向)での位置決めを行なうことができる。この結果、図12の上下方向に加えて左右方向においても位置決め精度を向上させることが可能な光学レンズフィルム1を実現できる。
【0075】
また、上記光学レンズフィルム1において、第2アライメントマーク部の幅は、凸部2の幅P0のたとえば5倍以下にすることができる。第2アライメントマーク部8の幅は、凸部2の幅P0より狭くてもよく、凸部2の幅P0の0.1倍以上0.9倍以下であってもよい。第2アライメントマーク部8内に第2アライメント用凸部9を形成する場合、第2アライメント用凸部9の幅P1は、この数値範囲(凸部2の幅P0の0.1倍以上5倍以下)よりもさらに狭くなる。このように、第2アライメントマーク部8の幅、さらには第2アライメント用凸部9の幅P1(サイズ)を適宜選択することで、光学レンズフィルム1の位置決め精度に応じたサイズの第2アライメントマーク部8を実現できる。
【0076】
また、図2や図3に示すように、上記光学レンズフィルム1において、複数の凸部2は平行して線状に延び、凸部2の延びる方向に対して垂直な方向における当該凸部2の断面形状は半円状である。また、複数の第2アライメント用凸部9は、図1や図2に示すように、複数の凸部2と平行して線状に延びている。この場合、いわゆるレンチキュラレンズである光学レンズフィルム1に本発明を容易に適用できる。また、第2アライメント用凸部9が、光学素子構造としての凸部2と平行して線状に延びるため、後述するように当該光学レンズフィルム1を形成するときに、当該凸部2と第2アライメント用凸部9とを同時に形成することができる。たとえば、光学レンズフィルム1を型成形する場合、当該型に凸部2を成形するための形状を作りこむときに、同時に第2アライメント用凸部9を成形するための形状を当該型に形成することができる。そして、当該型を用いて樹脂などを型成形することで、図1〜図3に示した光学レンズフィルム1を得ることができる。
【0077】
また、上記光学レンズフィルム1において、図3に示すように、第2アライメント用凸部9の延びる方向に対して垂直な方向における第2アライメント用凸部9の断面形状は半円状である。この場合、第2アライメント用凸部9と光学素子構造としての凸部2とが、それぞれ類似した断面形状を有することになる。そのため、たとえば上記のように光学レンズフィルム1を型成形により製造するときに、当該型成形で用いる型において第2アライメント用凸部9に対応する形状を作りこむために用いる切削具として、光学素子構造の凸部2に対応する形状を作りこむために用いる切削具と同じ刃先形状の切削具を用いることができる。また、切削具の切り込み量を上記凸部2と第2アライメント用凸部9とで変更すれば(つまり、凸部2と第2アライメント用凸部9との高さを変更するようにすれば)第2アライメント用凸部9と上記凸部2とのそれぞれに対応する形状を形成するために同じ切削具を用いることも可能になる。このため、光学レンズフィルム1の製造工程を簡略化できる。
【0078】
また、上記光学レンズフィルム1において、第2アライメントマーク部8では、図1や図2に示すように、複数の第2アライメント用凸部9の間の境界部または第2アライメント用凸部9と凸部2との境界部が、複数の凸部2と平行して線状に延びている。この場合、複数の凸部2の延びる方向に対して垂直な方向(図1の左右方向)における位置決め用のマークとして、上記境界部を利用することができる。
【0079】
図12に示すように、上記光学レンズフィルム1において、第1アライメントマーク部18と第2アライメントマーク部8とは互いに交差する交差部を含んでいる。交差部では、第2アライメントマーク部8の構造が形成されている。
【0080】
この場合、当該交差部では第2アライメントマーク部8が優先して形成された状態となっており、第2アライメントマーク部8が第1アライメントマーク部18によって分断されない状態となっている(型を作成する工程では、凸部2および第1アライメントマーク部18をこの順番で成形してから、第2アライメントマーク部8を成形することになる)。ここで、複数の凸部2の延在方向に交差する方向(交差方向)での位置決め精度(図12の左右方向での位置決め精度)は、凸部2の延在方向に沿った方向(延在方向)での位置決め精度より高い精度を求められる場合がある。これは、図12の左右方向では、複数の凸部2が並んだ状態となっている(周期的な構造を有している)ため、光学レンズフィルム1の光学的な作用を確実に発揮させるために当該方向での位置決め精度が重要になるからである。このような場合、上記交差方向での位置決めに用いる第2アライメントマーク部8を、交差部にて優先して形成することで、当該交差部で第2アライメントマーク部8が分断されない状態にすることができる。このため、第2アライメントマーク部8が分断されることに起因して第2アライメントマーク部8を用いた位置決めの精度が劣化する、といった問題の発生を抑制できる。
【0081】
また、図12および図13に示した光学レンズフィルム1を、図8や図9に示したような表示装置10に適用してもよい。この場合、表示ユニット(LCユニット14(図8参照)またはLCDユニット14およびアクティブシャッタユニット21(図9参照))は、光学レンズフィルム1と対向する部分に形成された表示ユニット側第2アライメントマーク(図6における表示ユニット側アライメントマーク32の、第1アライメントマーク部18の延在方向と交差する方向に延びる部分)を含んでいてもよい。表示ユニットと光学レンズフィルム1とは、表示ユニット側第2アライメントマークと、複数の第2アライメント用凸部9の間の境界部および第2アライメント用凸部9と凸部2との境界部のいずれかが重なるように位置決めされていてもよい。この場合、第1アライメントマーク部18に加えて、第2アライメントマーク部8よりサイズの小さい上記境界部を用いて光学レンズフィルム1の表示ユニットに対する位置決めを行なっているので、光学レンズフィルム1をさらに高い精度で位置決めすることができる。このため、当該光学レンズフィルム1による視覚効果を確実に得ることができるので、表示品質の優れた表示装置を確実に実現できる。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0083】
この発明は、アライメントマーク部を備える光学レンズフィルムおよび当該光学レンズフィルムを用いた表示装置に有利に適用される。
【符号の説明】
【0084】
1 光学レンズフィルム、2 凸部、7 ベース体、8 第2アライメントマーク部、9 第2アライメント用凸部、10 表示装置、11 バックライト、12 拡散板、13 輝度向上フィルム、14 LCDユニット、15 液晶セル、16 位相差板、17 偏光板、18 第1アライメントマーク部、19 第1アライメント用凸部、20 表示ユニット、21 アクティブシャッタユニット、31 境界部、32 表示ユニット側アライメントマーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有するベース体と、
前記ベース体の前記主表面に形成された、光の進行方向を変更する複数の光学素子構造と、
前記ベース体の前記主表面に形成された、第1アライメントマーク部とを備え、
前記複数の光学素子構造は、互いに平行して線状に延びるように形成され、
前記第1アライメントマーク部は、前記複数の光学素子構造と交差して線状に延びている、光学レンズフィルム。
【請求項2】
前記第1アライメントマーク部の幅は、前記複数の光学素子構造の幅より狭い、請求項1に記載の光学レンズフィルム。
【請求項3】
前記第1アライメントマーク部の幅は、前記光学素子構造の幅の0.1倍以上5倍以下である、請求項1に記載の光学レンズフィルム。
【請求項4】
前記第1アライメントマーク部は複数の第1アライメント用構造部を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学レンズフィルム。
【請求項5】
前記複数の光学素子構造は、平行して線状に延びる複数の凸部であって、前記凸部の延びる方向に対して垂直な方向における前記凸部の断面形状は半円状であり、
前記複数の第1アライメント用構造部は、前記複数の凸部と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部である、請求項4に記載の光学レンズフィルム。
【請求項6】
前記第1アライメント用構造部では、前記複数の第1アライメント用凸部の間の境界部または前記第1アライメント用凸部と前記凸部との境界部が、前記複数の凸部と交差して線状に延びている、請求項5に記載の光学レンズフィルム。
【請求項7】
前記複数の光学素子構造と平行して線状に延びる、第2アライメントマーク部をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学レンズフィルム。
【請求項8】
前記第2アライメントマーク部は、前記複数の光学素子構造の幅より狭い幅を有する複数の第2アライメント用構造部を含む、請求項7に記載の光学レンズフィルム。
【請求項9】
前記第2アライメント用構造部は、前記複数の光学素子構造と平行して線状に延びる複数の第2アライメント用凸部である、請求項8に記載の光学レンズフィルム。
【請求項10】
前記第2アライメント用構造部では、前記複数の第2アライメント用凸部の間の境界部または前記第2アライメント用凸部と前記光学素子構造との境界部が、前記複数の光学素子構造と平行して線状に延びている、請求項9に記載の光学レンズフィルム。
【請求項11】
前記第1アライメントマーク部と前記第2アライメントマーク部とは互いに交差する交差部を含み、
前記交差部では、前記第2アライメントマーク部の構造が形成されている、請求項7〜10のいずれか1項に記載の光学レンズフィルム。
【請求項12】
表示面を有する表示ユニットと、
前記表示ユニットの前記表示面と重なるように前記表示ユニットと積層された、請求項1に記載の光学レンズフィルムとを備える、表示装置。
【請求項13】
前記光学レンズフィルムにおいて、
前記複数の光学素子構造は、平行して線状に延びる複数の凸部であって、前記凸部の延びる方向に対して垂直な方向における前記凸部の断面形状は半円状であり、
前記第1アライメントマーク部は、前記複数の凸部と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部を含み、
前記表示ユニットは、前記光学レンズフィルムと対向する部分に形成された表示ユニット側第1アライメントマークを含み、
前記表示ユニットと前記光学レンズフィルムとは、前記表示ユニット側第1アライメントマークと、前記複数の第1アライメント用凸部の間の境界部および前記第1アライメント用凸部と前記凸部との境界部のいずれかが重なるように位置決めされている、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記光学レンズフィルムは、前記複数の凸部と平行して線状に延びる、第2アライメントマーク部をさらに含み、
前記第2アライメントマーク部は、前記複数の凸部と平行して線状に延びる複数の第2アライメント用凸部を含み、
前記表示ユニットは、前記光学レンズフィルムと対向する部分に形成された表示ユニット側第2アライメントマークを含み、
前記表示ユニットと前記光学レンズフィルムとは、前記表示ユニット側第2アライメントマークと、前記複数の第2アライメント用凸部の間の境界部および前記第2アライメント用凸部と前記凸部との境界部のいずれかが重なるように位置決めされている、請求項13に記載の表示装置。
【請求項1】
主表面を有するベース体と、
前記ベース体の前記主表面に形成された、光の進行方向を変更する複数の光学素子構造と、
前記ベース体の前記主表面に形成された、第1アライメントマーク部とを備え、
前記複数の光学素子構造は、互いに平行して線状に延びるように形成され、
前記第1アライメントマーク部は、前記複数の光学素子構造と交差して線状に延びている、光学レンズフィルム。
【請求項2】
前記第1アライメントマーク部の幅は、前記複数の光学素子構造の幅より狭い、請求項1に記載の光学レンズフィルム。
【請求項3】
前記第1アライメントマーク部の幅は、前記光学素子構造の幅の0.1倍以上5倍以下である、請求項1に記載の光学レンズフィルム。
【請求項4】
前記第1アライメントマーク部は複数の第1アライメント用構造部を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学レンズフィルム。
【請求項5】
前記複数の光学素子構造は、平行して線状に延びる複数の凸部であって、前記凸部の延びる方向に対して垂直な方向における前記凸部の断面形状は半円状であり、
前記複数の第1アライメント用構造部は、前記複数の凸部と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部である、請求項4に記載の光学レンズフィルム。
【請求項6】
前記第1アライメント用構造部では、前記複数の第1アライメント用凸部の間の境界部または前記第1アライメント用凸部と前記凸部との境界部が、前記複数の凸部と交差して線状に延びている、請求項5に記載の光学レンズフィルム。
【請求項7】
前記複数の光学素子構造と平行して線状に延びる、第2アライメントマーク部をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学レンズフィルム。
【請求項8】
前記第2アライメントマーク部は、前記複数の光学素子構造の幅より狭い幅を有する複数の第2アライメント用構造部を含む、請求項7に記載の光学レンズフィルム。
【請求項9】
前記第2アライメント用構造部は、前記複数の光学素子構造と平行して線状に延びる複数の第2アライメント用凸部である、請求項8に記載の光学レンズフィルム。
【請求項10】
前記第2アライメント用構造部では、前記複数の第2アライメント用凸部の間の境界部または前記第2アライメント用凸部と前記光学素子構造との境界部が、前記複数の光学素子構造と平行して線状に延びている、請求項9に記載の光学レンズフィルム。
【請求項11】
前記第1アライメントマーク部と前記第2アライメントマーク部とは互いに交差する交差部を含み、
前記交差部では、前記第2アライメントマーク部の構造が形成されている、請求項7〜10のいずれか1項に記載の光学レンズフィルム。
【請求項12】
表示面を有する表示ユニットと、
前記表示ユニットの前記表示面と重なるように前記表示ユニットと積層された、請求項1に記載の光学レンズフィルムとを備える、表示装置。
【請求項13】
前記光学レンズフィルムにおいて、
前記複数の光学素子構造は、平行して線状に延びる複数の凸部であって、前記凸部の延びる方向に対して垂直な方向における前記凸部の断面形状は半円状であり、
前記第1アライメントマーク部は、前記複数の凸部と交差して線状に延びる複数の第1アライメント用凸部を含み、
前記表示ユニットは、前記光学レンズフィルムと対向する部分に形成された表示ユニット側第1アライメントマークを含み、
前記表示ユニットと前記光学レンズフィルムとは、前記表示ユニット側第1アライメントマークと、前記複数の第1アライメント用凸部の間の境界部および前記第1アライメント用凸部と前記凸部との境界部のいずれかが重なるように位置決めされている、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記光学レンズフィルムは、前記複数の凸部と平行して線状に延びる、第2アライメントマーク部をさらに含み、
前記第2アライメントマーク部は、前記複数の凸部と平行して線状に延びる複数の第2アライメント用凸部を含み、
前記表示ユニットは、前記光学レンズフィルムと対向する部分に形成された表示ユニット側第2アライメントマークを含み、
前記表示ユニットと前記光学レンズフィルムとは、前記表示ユニット側第2アライメントマークと、前記複数の第2アライメント用凸部の間の境界部および前記第2アライメント用凸部と前記凸部との境界部のいずれかが重なるように位置決めされている、請求項13に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−232446(P2011−232446A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101080(P2010−101080)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【Fターム(参考)】
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