説明

光学実験用の光源装置

【課題】教室等において光の性質や三原色の実験に用いることができる便利な光源装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る光源装置は、不透明材料によって筒状に形成されて一部に開口部が形成された筐体の内部に、電源部と、該電源部によって点灯される発光体とを収納し、前記開口部には、スリットが形成された蓋体を着脱自在に備え、前記蓋体を装着したときには前記スリットの形状に応じて細い線状の光を出射し、前記蓋体を取り外したときには前記開口部の形状に応じて広がった光を出射するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学実験の教材に使用可能な光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
理科の学習や科学実験において、光の性質を実験しながら実演するための光源装置が用いられることがある。光の三原色の混合実験や、光の反射、屈折等に関する理解を深めるために、例えば特許文献1の色光の実験演示装置が提案されている。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の装置は、光の三原色の加法混合や光の分散に関する実験の演示は、分光シートを通過する光を補助フードの外側から覗いて見せる構造であるので、教室等において、同時に多数の人に見せることができなかった。
また、演示装置が複雑であり、低コストで提供できなかった。
このように、従来の装置は、教室などにおいて種々の光学実験を行うには不便であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−91817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、種々の光学実験に用いることができる便利な光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る光源装置は、
不透明材料によって筒状に形成されて一部に開口部が形成された筐体の内部に、電源部と、該電源部によって点灯される発光体とを収納し、
前記開口部には、スリットが形成された蓋体を着脱自在に備え、
前記蓋体を装着したときには前記スリットの形状に応じて細い線状の光を出射し、
前記蓋体を取り外したときには前記開口部の形状に応じて広がった光を出射するように構成されている。
請求項2では、
前記筐体の外面には、外部の磁性体に吸着し得る磁石を配した。
【0007】
請求項3に係る光源装置は、
赤色発光体を収納した赤色光源と、青色発光体を収納した青色光源と、緑色発光体を収納した緑色光源と、の3つの独立した光源をセットにした。
請求項3では、各光源装置の外面には磁石を配した。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、細い線状の光を出射したり、広がった光を出射したりできるので、種々の光学実験を便利に行うことができる。
また、磁石を備えているので、ホワイトボードや黒板などの磁性体のパネルに吸着させることができ、いちいち手で支えておく必要がなく、教室などで実験を行って多数の生徒に実演する場合などに大変便利である。
【0009】
そして、赤色発光体を収納した赤色光源と、青色発光体を収納した青色光源と、緑色発光体を収納した緑色光源と、の3つの独立した光源をセットにしたので、光の三原色の実験なども便利に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は光源装置の斜視図である。
【図2】図2は光源装置の分解斜視図である。
【図3】図3は光源装置を斜め下方から見た斜視図である。
【0011】
【図4】1つの光源装置で、蓋体を装着して線状の光を出射させた場合と、蓋体を取り外して拡がった光を出射させた場合の説明図である。
【図5】光の屈折の実験を行う場合の説明図である。
【図6】光の三原色の実験を行う場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る光学実験用の光源装置の実施の形態は、黒色プラスチック等の不透明材料によって筒状に形成されて一部に開口部が形成された筐体の内部に、電源部と、該電源部によって点灯される発光体とを収納し、前記開口部には、スリットが形成された蓋体を着脱自在に備え、前記筐体の外面には、外部の磁性体に吸着し得る磁石を配したものである。
【実施例1】
【0013】
図1、2に示した光学実験用の光源装置(以後、単に「光源装置」とする。)1は、その筐体2が不透明材料によって筒状に形成され、その一面(前面)には開口部21が形成されている。前記筐体2の内部には、電池が装着された電源部22と、該電源部22によって点灯される高輝度発光ダイオードを備えた発光体23とが収納されて配設されている。前記電源部22は、前記筐体2の例えば半分程度の容積を占め、残りの部分との境界となる仕切板24に、前記発光体23が前記開口部21に向けて配設されている。また、前記電源部22と前記発光体23との接続導体の途中には、前記発光体22の点灯消灯を切り替えるためのスイッチ25が備えられている。また、図示しないが、前記電源部22の出力電圧を、前記発光体23を点灯するに適切な電圧に調整するための電圧調整回路を内蔵している。
前記電源部22には、乾電池もしくは充電可能なバッテリーが交換可能に収納されており、交換用の電源部カバー27を着脱自在に備えている。
【0014】
前記筐体2の前記開口部21には、スリット31が形成された蓋体3が着脱自在に配設されている。
前記筐体2の底面26には、磁石4が例えば2つ貼り付けられており、鉄等の磁性体で構成されたホワイトボードや黒板等のパネルに吸着させて保持できるように構成されている。
【0015】
前記開口部21に前記蓋体3を装着した状態で光源装置1を磁石4で黒板等のパネルに吸着させて、前記発光体23を点灯させると、前記開口部21以外の筐体2及び前記スリット31以外の蓋体3は不透明材料で構成されているので、前記発光体23の光は前記スリット31からのみ、前記前記スリット31の形状に応じて細い線状の光として出射される。前記スリット31の形状は通常は直線状の細い幅のスリットとしたので、図4の(A)に示したように、細い線状の光が出射され、黒板等のパネル面Pには線状の光路が観測できるのである。
前記発光体23が取り付けられた仕切板24から前記開口部21までの内面および前記蓋体3の内面は、光が反射しないように黒色にしてある。例えば、筐体2を黒色のプラスチックで成形してもよい。
【0016】
前記蓋体3を前記開口部21から取り外したときには、点灯された前記発光体23の光は前記開口部21の断面形状に応じた広がりの光として出射される。前記開口部21の形状は通常は前記筐体2の断面形状と同じで四角形としたので、図4の(B)に示したように、断面が四角形の光束として出射されるのである。
【0017】
前記光源装置1の断面形状は、縦長の長方形状とされ、前記底面26の幅は狭くされており、複数、例えば3色分の光源装置を並べて配置して光の実験がしやすいように構成されている。
【0018】
以上の構成の光源装置1を用いて、光の直進性の実験や、光の反射、屈折、拡散などの実験を行うことができる。
例えば、図5に示したように、鉄等の磁性体で構成されたホワイトボードや黒板等のパネルPに、蓋体3を装着した状態の光源装置1を磁石4で吸着させて、発光体23を点灯させると、前記蓋体3に形成されたスリット31から細い光束が出射される。その光軸上に、例えば柱状凸レンズLを、図のように中心をずらして配置すると、図5の(A)に示したように、前記光束が前記柱状凸レンズで屈折することが観測できる。
【0019】
また例えば、図6に示したように、赤色光を発する発光体を備えた赤色の光源装置1Rと、青色光を発する発光体を備えた青色の光源装置1Bと、緑色光を発する発光体を備えた緑色の光源装置1Gとの三色分の光源装置を揃えて点灯させると、光の三原色の原理に基づいて、各色が混合された領域は混合された光の色となる。
例えば、領域Wは、赤色の光源装置1Rからの赤色光と、青色の光源装置1Bからの青色光と、緑色の光源装置1Gからの緑色光とが混合されて、白色光(無色光)となることを実験して確認することができる。
また、2色ずつ混合されるとそれぞれの色の光が混合された色になることも実験して確認することができる。
【0020】
以上のようにして、前記蓋体2を装着してスリットから光を出射させることにより、光の直進性や反射、屈折、拡散等の種々の性質を実験して確認することができる。
そして、前記蓋体2を取り外すと四角の領域に拡がる光を出射させることができるので、赤、青、緑の三色分の光源装置を用いることにより、三原色の光が混合される様子を実験して確認することができる。
さらに、磁石を備えているので、以上の各種の実験を行うにあたり、光源装置をホワイトボードや黒板等に吸着させた状態で保持させておくことができるので、教室等において多数の生徒などが同時に見やすい形態で実験することができる。また、実験者側にとっても、光源装置を手で保持していなくてもよいので、同時に多数の光源装置を使った実験も容易にできる。
【0021】
なお、前記光源装置1の筐体2及び蓋体3の断面形状は長方形状としたが、長方形に限らず種々の断面形状が可能である。例えば円形断面として、蓋体を光軸の回りに回転可能にすることもできる。この場合には、蓋体を回転させることによってスリットの角度が変わるので、照射される線状の光の傾きも変わる。
また、発光体から色のついた光を発してもよいが、色付き半透明シートを通過させることや色付き反射材で反射させることによって色のついた光を得るようにしてもよい。
また、前記スリットに円柱状凸レンズを装着し、その焦点位置に発光体を配置することによって、線状の光の幅を絞って優れた実験効果が得られる。
また、発光体をレーザー光源とすることによって、より鮮明な実験効果が得られる。
また、蓋体には、複数のスリットを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係る光源装置は、学校や家庭などにおける理科の実験に利用できる教材や、科学玩具として利用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 光源装置
1R 赤色の光源装置
1B 青色の光源装置
1G 緑色の光源装置
2 筐体
21 開口部
22 電源部
23 発光体
24 仕切板
25 スイッチ
3 蓋体
31 スリット
4 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明材料によって筒状に形成されて一部に開口部が形成された筐体の内部に、電源部と、該電源部によって点灯される発光体とを収納し、
前記開口部には、スリットが形成された蓋体を着脱自在に備え、
前記蓋体を装着したときには前記スリットの形状に応じて細い線状の光を出射し、
前記蓋体を取り外したときには前記開口部の形状に応じて広がった光を出射するように構成されたことを特徴とする光学実験用の光源装置。
【請求項2】
前記筐体の外面には、外部の磁性体に吸着し得る磁石を配したことを特徴とする請求項1に記載の光学実験用の光源装置。
【請求項3】
不透明材料によって筒状に形成されて一部に開口部が形成された筐体の内部に、電源部と、該電源部によって赤色に点灯される赤色発光体とを収納し、
前記開口部には、スリットが形成された蓋体を着脱自在に備え、
前記蓋体を装着したときには前記スリットの形状に応じて細い線状の赤色光を出射し、
前記蓋体を取り外したときには前記開口部の形状に応じて広がった赤色光を出射するように構成された赤色光源と、
不透明材料によって筒状に形成されて一部に開口部が形成された筐体の内部に、電源部と、該電源部によって青色に点灯される青色発光体とを収納し、
前記開口部には、スリットが形成された蓋体を着脱自在に備え、
前記蓋体を装着したときには前記スリットの形状に応じて細い線状の青色光を出射し、
前記蓋体を取り外したときには前記開口部の形状に応じて広がった青色光を出射するように構成された青色光源と、
不透明材料によって筒状に形成されて一部に開口部が形成された筐体の内部に、電源部と、該電源部によって緑色に点灯される緑色発光体とを収納し、
前記開口部には、スリットが形成された蓋体を着脱自在に備え、
前記蓋体を装着したときには前記スリットの形状に応じて細い線状の緑色光を出射し、
前記蓋体を取り外したときには前記開口部の形状に応じて広がった緑色光を出射するように構成された緑色光源と、
の3つの独立した光源をセットにしたことを特徴とする光学実験用の光源装置。
【請求項4】
前記各色光源のそれぞれの筐体の外面には、外部の磁性体に吸着し得る磁石を配したことを特徴とする請求項3に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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