説明

光学式ガンマサーモメータ

【課題】原子炉の炉心(15)内のガンマフラックスに比例する温度を有するメタルマス(34)と、加熱されたメタルマスの温度を測定するための光ファイバケーブル(32)とを有する光学式ガンマサーモメータ(30)を提供すること。
【解決手段】加熱されたマス(34)の温度は、1つまたは複数のファイバ格子構造体(42)を使用することによって、ならびに/またはラマンおよびブリルアンなどの散乱手法を使用することによって測定され得る。光学式ガンマサーモメータ(30)は、耐用稼動寿命の間ずっと局部出力領域モニタ(M)を較正するために、従来の原子炉の熱収支と共に使用され得る。光学式ガンマサーモメータ(30)は、従来のガンマサーモメータ(T)よりインコア装置用チューブ内(24)で占有する空間がはるかに少なく、コストが大幅に削減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、本発明は原子炉内の熱中性子束の監視に関し、詳細には、光学式ガンマサーモメータからの測定温度が定常状態の熱収支と共に局部出力領域モニタの稼動寿命の間において局部出力領域モニタを較正するのに使用されるような、局部出力領域モニタを有する監視用ストリングで使用される光学式ガンマサーモメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の沸騰水型原子炉(boiling water reactors(BWR))の核反応内部では、熱中性子束または別法としてガンマ線束のどちらかの測定値によって反応状態を監視することができる。
【0003】
熱中性子束は好適な測定値である。というのは、熱中性子束が出力に正比例し、核分裂電離箱からの即時の(瞬間の)信号を提供するからである。代替の測定値であるガンマ放射線は、原始炉の安全の要求基準のために必要となる即時の反応を示さない。結果として、ガンマサーモメータによって測定されるガンマ放射線は、沸騰水型原子炉内の反応状態を測定して即座に制御するのに使用されない。
【0004】
沸騰水型原子炉では、その熱中性子束は、他には局部出力領域監視(local power range monitoring(LPRM))システムとしても知られる局部出力領域モニタによって監視される。これらの局部出力領域モニタは、その上に核分裂物質がコーティングされているカソードを有する。この核分裂物質は通常U235とU234との混合物である。U235は中性子束に比例する信号を発し、U234は検出装置の寿命を延ばすことができる。熱中性子はU235と反応し、それにより、核分裂片が従来の局部出力領域モニタの内部の通常はアルゴンである不活性ガス雰囲気をイオン化する。その結果、アノードとカソードとの間に、結果として直流となる電荷の流れが得られる。直流のアンペア数は、実質的にリアルタイムで炉心内の熱中性子束を示している。
【0005】
沸騰水型原子炉の局部出力領域モニタは、ストリングで炉心まで挿入される。各ストリングは垂直に延在し、通常、4つの離間した局部出力領域モニタを有する。各検出装置はリアルタイムで熱中性子束を読み取って原子炉内の反応状態を出力するために電気的に接続されている。大型の原子炉はこのような垂直ストリングを30個から70個程度有することができ、合計で約120個から280個の局部出力領域モニタを有することを理解されたい。このような局部出力領域モニタは、その稼動寿命の間において有限量のU235を使用する。結果として、被曝することにより感度は変化することから、感度は定期的に較正されなければならない。
【0006】
現在、較正は、横送り炉心内プローブ(traversing in−core probe(TIPs))を使用することによって実施されている。この横送り炉心内プローブは、通常、原子炉から回収される。というのは、横送り炉心内プローブが局出力領域モニタと同じ基本構造であり、したがって、ウラン235の燃焼により稼動寿命においてその感度が変化するからである。
【0007】
通常、横送り炉心内プローブは稼動中に較正される。この較正は、約5つのこのようなプローブを沸騰水型原子炉の共通の部分まで別個に挿入するステップを含む。沸騰水型原子炉は定常状態で稼動され、当技術分野でよく知られているタイプのエネルギー収支の対象とされている。横送り炉心内プローブの挿入は、プローブをセミリジッドケーブルの端部のところに配置することでチューブシステム内への挿入を実現することによって実行される。全炉心の探査が定常状態での稼動中に実行されると、局部出力領域モニタを較正するのに、ヒート収支が横送り炉心内プローブの読み取り値と共に利用される。
【0008】
炉心内プローブは、特別に設計されたチューブシステムの中で原子炉を通過する。このチューブシステムは、原子炉内格納導管を通って原子炉容器の内部まで延びている。これらの導管の中には、その遠位端上にTIPを有するセミリジッドケーブルが配置される。TIPは、大型の駆動機構によって駆動チューブシステム内へと移動させられ、システム全体は電子式駆動制御ユニットによって制御される。ケーブルは、チューブシステムを通る漏れを防止するために、ケーブルを剪断して導管を密封することができるいわゆる「剪断バルブ」を通過するが、このような漏れは、ケーブルおよびプローブが回収される前の段階で相当な量になっているだろう。ケーブルはさらにストップバルブを通過し、それにより、横送り炉心内プローブが容器の閉じ込めの内部へ入れられる。最後に、ケーブルがいわゆるインデクサーに到達し、さらにその後、原子炉容器の内部まで到達する。これらのインデクサーは、大型の沸騰水型原子炉内にある170個余りからなる局部出力領域モニタの割り当てられた区間の部位に隣接して通過するように各々のTIPを送るための機械的システムを形成している。通常、インデクサーは、較正処理中に1個の横送り炉心内プローブが経由するための10個の代替経路を有する。
【0009】
言うまでもなく、このシステムは精巧で複雑である。各局部出力領域モニタの較正は、局部的な熱中性子束のプローブによる測定値ならびに挿入用セミリジッドケーブルの端部位置の相関的要素である。必然的に、必要とされる較正を実行するためには、このセミリジッドケーブルの端部位置が適切な代替経路に関連付けされなければならない。
【0010】
また、必要となるチューブシステムは原子炉容器の下方にチューブのマトリックスを有する。通常、これらのチューブは、容器下方の点検が必要な場合には除去されなければならず、その後元に戻される。
【0011】
ストップバルブおよび剪断バルブの両方が存在するにもかかわらず、このシステムは、依然として、原子炉からの水の放射性粒子を含有する水のための考えられる逃げ道となってしまっている。また、回収されるケーブルは機械的複雑さを有している可能性があり、さらには放射性である可能性もある。
【0012】
これらのことから、最近では、TIPの使用を省き、TIPの代わりに、LPRMシステムと共に別のタイプの原子炉出力測定装置を使用することが考えられている。ガンマサーモメータと呼ばれるこのタイプの装置は、原子炉内の固定位置にセンサのシステムを有しており、駆動機構を必要とせず、感度の実質的な劣化もない。
【0013】
ガンマサーモメータは既知である。一般に、ガンマサーモメータは、放射線、特にガンマ線に起因する熱の量を検出するようなタイプの、原子炉出力測定装置である。核分裂電離箱とは異なり、原理的には、ガンマサーモメータは感度の劣化がない。
【0014】
図8を参照すると、典型的なガンマサーモメータTが簡単な形で示されている。通常、ガンマサーモメータTは、外側チューブ76内に片持ち方式で置かれたメタルマス74を有する。金属のマス74はガンマ線束に直接に依存して一定温度まで到達する。
【0015】
読み取り用熱電対78および参照用熱電対80が直列回路で使用される。具体的には、参照用熱電対80(通常、炉心の温度安定内側部分への参照とされる)および読み取り用熱電対78との間の温度差が、原子炉出力に比例して存在しているガンマフラックスを示す異なる電圧を一対の線82、84上に生じさせる。
【0016】
ガンマサーモメータは原子炉内の固定位置に配置される。各ガンマサーモメータは電気接続部および読出し電子回路を必要とする。望ましくないことに、ガンマサーモメータによって測定されるガンマ線出力は、原子炉の安全な稼動に必要とされるように電力変動に即座には反応を示さない。また、ガンマサーモメータは高価であり、プローブおよびそれに付随するケーブル布線は原子炉内のかなりの空間を占有する。結果として、ガンマサーモメータは配備される数が限定されてしまい、原子炉内の反応速度をTIPシステムより粗く示すことになってしまう。したがって、ガンマサーモメータに関連する上述の問題を克服することが所望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5015434号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様では、原子炉が、原子炉容器内の反応を閉じ込めるための炉心と、離間された位置でコア内に延在する複数の装置誘導チューブとを有し、各々の装置誘導チューブが局部出力領域監視用ストリングの挿入および取外しを可能にしており、各ストリングが、炉心内の所定の位置での熱中性子束を測定するための複数の局部出力領域モニタと、対応する局部出力領域モニタに隣接する光学式ガンマサーモメータをと有し、各々の光学式ガンマサーモメータが、炉心内のガンマフラックスに比例する温度を有するメタルマスと、このメタルマスの温度を測定する光ファイバケーブルとを有し、光学式ガンマサーモメータが、原子炉の定常状態での出力動作中において対応する局部出力領域モニタを較正することができる。
【0019】
本発明の別の態様では、炉心を有する原子炉内のガンマフラックスを測定するための光学式ガンマサーモメータが、炉心内のガンマフラックスに比例する温度を有するメタルマスと、このメタルマスの温度を測定する光ファイバケーブルとを有し、光学式ガンマサーモメータが、原子炉の定常状態での出力動作中において対応する局部出力領域モニタを較正することができる。
【0020】
本発明のさらに別の態様では、原子炉内の局部出力領域モニタを較正するための方法が、
対応する局部出力領域モニタに隣接する少なくとも1つの光学式ガンマサーモメータを配置するステップと、
定常運転状態で原子炉を稼動するステップと、
原子炉の出力を判定するために原子炉のエネルギー収支を確認するステップと、
光学式ガンマサーモメータのメタルマスの温度を測定するステップと、
原子炉の一部分での出力と光学式ガンマサーモメータによって測定された温度とを相互に関連付けるステップと、
対応する局部出力領域モニタの読み取り値を取得するステップと、
局部出力領域モニタの読み取り値からの中性子束および光学式ガンマサーモメータの測定温度を較正するステップと
を含む。
【0021】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、複数の図面全体を通して同様の記号は同様の部品を表している添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による、炉心内のガンマフラックスを判定するための、炉心内誘導チューブが中に装入された光学式ガンマサーモメータを備える局部出力領域モニタ用ストリングを示した、沸騰水型原子炉の概略図である。
【図2】原子炉の炉心に装入するための局部出力領域モニタの拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による、1個の局部出力領域検出装置と1個の光学式ガンマサーモメータとの集合体の図である。
【図3A】図3の光学式ガンマサーモメータの拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による、光学式ガンマサーモメータの一部分の部分断面斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による、10個の格子を備えるファイバブラッグ格子(FBG)構造体を有する光学式ガンマサーモメータにおける、波長に対する反射電力のグラフである。
【図6】本発明の別の実施形態による、1個の局部出力領域検出装置と光学式ガンマサーモメータとの集合体の図である。
【図6A】図6の光学式ガンマサーモメータの拡大断面図である。
【図7A】本発明の一実施形態による、単一の光ファイバケーブルを使用する複数の光学式ガンマサーモメータを用いて複数の離散した位置でガンマフラックスを測定するためのシステムの概略図である。
【図7B】本発明の一実施形態による、複数の光ファイバケーブルを使用する複数の光学式ガンマサーモメータを用いて複数の離散した位置でガンマフラックスを測定するためのシステムの概略図である。
【図7C】本発明の一実施形態による、複数の光ファイバケーブルの長手方向に沿って連続的にガンマフラックスを測定するためのシステムの概略図である。
【図8】従来のガンマサーモメータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、ドームが取り外されており局部出力モニタ用ストリングSが挿入過程にある原子炉容器Vが示されている。通常、ストリングSはチューブ24内に挿入される。チューブ24は炉心支持板12から始まって原子炉容器Vの底部を通って延在している。
【0024】
ストリングSの一部分がチューブ24の上方の炉心内に延在している。ストリングSの上側部分は上部格子板12と位置が合っている。したがって、最終的に炉心スタンドに対して垂直に立つように保持されるストリングSが、測定時に炉心の中性子束内部に露出される。
【0025】
図1を参照すると、沸騰水型原子炉の容器Vの一区間が示されている。容器Vは、制御棒16によって制御される炉心15を囲んでいる炉心シュラウド14を有する。図1に示した原子炉の一部分では、1つまたは複数のジェットポンプ13が、上部格子板12の頂部上の水を、容器Vの側部と炉心シュラウド14との間の隙間の容積部内においてジェットポンプ13を介して原子炉の炉心の下方にあるプレナムPまで下方へと引き出す。その後、水は炉心支持板17を上方へと通過して15のところにある炉心の個々の燃料バンドルに入る。ジェットポンプ用の水は19のところで抽出されて18のところに入り、それにより炉心内で必要とされる強制的な循環が得られる。本明細書では沸騰水型原子炉を説明するが、本発明の原理は、中で炉心計装が使用されるような任意のタイプの原子炉で使用され得ることを理解されたい。
【0026】
示すように、局部出力領域モニタ用ストリングSを挿入するための単一の機器誘導チューブ24が描かれている。挿入は炉心15の上方から開始されることは理解されよう。ストリングSは、炉心15の頂部からインコア誘導チューブ24の底部へと挿入される。インコア誘導チューブ24の底部は密閉状態となっている。ストリングは、上部格子板12に隣接する炉心15の頂部から延在する。また、インコア誘導チューブ24は、炉心15の底部からアクセスできるように設計されてよい。各ストリングSは通常は4つの監視部位を有する。これらの監視部位は、上部格子板12と炉心支持板17との間で等間隔に離間される。これらの監視部位は、原子炉内の連続する4つの垂直区間のサンプルを抽出するように配置される。
【0027】
図1の図解はこのインコア誘導チューブ24を1つだけ示しているが、典型的な炉心15を監視するためには実際は多数のインコア誘導チューブが使用されることを理解されたい。例えば、64個のこのような装置誘導チューブまたは個別にワイヤーが付けられた約256個の局部出力領域モニタを備えることは珍しいことではない。
【0028】
局部出力領域モニタは、必要となる測定値を得るために異なるグループに組み合わされることを理解されたい。このようなグループの組合せは本発明には直接関係がなく、また、このような局部出力領域モニタを読み取るための計装はよく知られていることから、このような計装を本明細書でさらに説明することはしない。
【0029】
図2を参照すると、局部出力領域モニタMが、外側円筒カソード60と、外側チューブ70内に収容される内側同心型円筒アノード62とを有している。アノード62に隣接するカソード60には核分裂物質64の薄いコーティングが付されている。物質64は、通常、U235とU234とを組み合わせたものである。当技術分野でよく知られているように、U235がモニタMの寿命にわたって使い切られ、U234が代替のU235を増殖させることにより検出装置Mの稼動寿命が延びる。
【0030】
通常、アノード62は、取り囲んでいるカソード60と同心となるように、各端部のところで絶縁ブロック66に定置される。好適には、アルゴン雰囲気68が存在する。通常、中心のコンダクタがアノードに接続されており外側のコンダクタがカソードに接続されている同軸ケーブルが検出装置に繋がれている。このケーブルを通る直流が熱中性子束のリアルタイム測定値を提供する。
【0031】
稼動中、熱中性子は層64のとこでU235に衝突する。核分裂成分がアルゴンガス68内へと放散され、電子が、カソードと反対の極性のイオンを有するアノードまで流れる。従来の方法で読み取られる直流のすべてがケーブル69間に誘発される。層64のU235成分が稼動寿命によって変化することから、局部出力領域モニタMの較正が必要となる。
【0032】
ストリングSが炉心15内のインコア誘導チューブ24に挿入されており、原子炉が定常運転状態で稼動されている場合、従来の原子炉の熱収支に組み合わせて局部出力領域モニタMを較正するのに、ガンマサーモメータが使用され得る。通常、ガンマサーモメータはストリングS内の局部出力領域モニタMの近傍に配置される。例えば、ストリングSは、炉心15の異なる高さのところに合計で4つの出力領域検出装置Mを収容することができる。一実施形態では、1つまたは複数のガンマサーモメータが各出力領域検出装置Mの近傍に配置されてよく、それにより、炉心15内の離散した位置でガンマフラックスを示すことができるようになる。
【0033】
ガンマフラックスを熱(エネルギー)収支の結果に関連付けるこの手法により、局部出力領域モニタの較正がそれらの耐用稼動寿命の間中ずっと行われる。定常状態にある原子炉の出力を測定する際に必要となるエネルギー収支は、十分に現況技術の範囲内である。これがわかれば、ガンマサーモメータの測定値を任意の所与の位置における反応の強さに関連付けることができる。1つまたは2つのガンマサーモメータが各々すべての局部出力領域モニタMに隣接するように配置されるため、その後は、隣接しているガンマサーモメータの読み出した値を用いて各局部出力領域モニタMを較正することができる。
【0034】
上述したように、従来のガンマサーモメータTは、読み取り用熱電対78および参照用熱電対80を使用することによりメタルマス74の温度を測定する。本発明の一態様では、メタルマス34、36の温度は読み取り用熱電対78および参照用熱電対80を用いて測定されず、ファイバ光学センサを用いて測定される。本明細書で使用される際、ファイバ光学センサとは、センサ素子(本質的なセンサ)としてまたはリモートセンサから信号を処理するための電子回路へと信号を中継する手段(外的なセンサ)としてのどちらかで光ファイバを使用するセンサのことである。
【0035】
次に図3を参照すると、30のところに概略的に示されており、炉心15内の離散的な位置でガンマフラックスを測定するための光学式ガンマサーモメータを有するストリングSの一部分が、本発明の一実施形態に従って示されている。ストリングSは、中に上向きの水の流れが存在するカバーチューブを有する。局部出力領域モニタMを較正するために光学式ガンマサーモメータが使用される場合、光学式ガンマサーモメータ30は局部出力領域モニタMの近傍に配置されるのが望ましい。示した実施形態では、局部出力領域モニタMは、光学式ガンマサーモメータ30からわずかな距離dだけ分離されており、そうすることにより、局部出力領域モニタMのところの中性子束が本質的に一様となる。例えば、距離dは約1インチであってよい。ストリングSは、局部出力領域モニタMから同等の距離dまたは第2の距離だけ分離されていてよい、局部出力領域モニタMの反対側に配置される第2の光学式ガンマサーモメータを有することができることを認識されたい。
【0036】
図3Aに示すように、光学式ガンマサーモメータ30は、ストリングSの長手方向に沿って延在する光ファイバ32を有する。示した実施形態では、単一のガンマサーモメータ30が示されている。しかし、複数のガンマサーモメータが単一の光ファイバ32に沿って配置されてもよい。また、光学式ガンマサーモメータ30は、周囲環境およびガンマフラックス存在下の熱から熱的に隔離されたメタルマス34を有する。メタルマス34を周囲環境から熱的に隔離する1つの方式は、例えば、メタルマス34と外側チューブ76との間に隙間35を設ける方式である。光学式ガンマサーモメータ30はまた、基準温度として使用される周囲温度の測定値を提供するためのヒートシンクとして機能する、周囲環境に熱接触している任意選択の第2のメタルマス36を有する。代替の実施形態では、第2のメタルマス36は省かれてよく、本発明は周囲温度を測定する必要がなく実施され得る。
【0037】
図4を参照すると、光ファイバケーブル32が、長手軸33に沿って延在しており約5ミクロンから約100ミクロンの直径を有する、純粋なシリカまたはドーピングされたシリカで形成された中央ファイバ芯38を有する。しかし、特定の実施形態では、ファイバケーブル32は、長手軸33に沿った、コサイン型アポダイズド屈折率プロフィル(cosine apodized refractive index profile)またはガウス型アポダイズド屈折率プロフィル(Gaussian apodized refractive index profile)などの周期的に変調される屈折率プロフィルを有する。ファイバクラッディング40がファイバ芯38の周囲を覆っており、純粋なシリカまたはドーピングされたシリカから作られた約125ミクロンの外径を有している。ファイバ芯38はファイバクラッディング40より高い屈折率を有しており、その結果、ファイバケーブル32が光伝播の導波管として機能する。一実施形態では、ファイバ芯38は純粋な二酸化ケイ素から作られており、ファイバクラッディング40は、シングルクラッドファイバ感知用ケーブルとしてドーピングされたフッ素である。代替の実施形態では、ファイバ芯38は共ドーピングされたF/GeOであり、ファイバクラッディング40は、シングルクラッドファイバ感知用ケーブルとしてFドーピングされる。また、ファイバクラッディング40は、第1のクラッドが軽度にFドーピングされており第2のクラッドが重度にFドーピングされた二重クラッド構造体であってよい。純粋な二酸化ケイ素または共ドーピングされた四面体O−Si−O構造体のどちらかであるファイバ材料は、すべてのダングリングボンドの末端にFを有しており、熱安定度と四面体構造の熱安定度の放射抵抗能力を維持するためにOHヒドロキシルクラスタを取り除いている。
【0038】
一実施形態では、同調可能レーザ、スーパールミネッセント、発光ダイオード(LED)などの光源(図示せず)が光ファイバケーブル32と光を放射して連絡するように位置され、ファイバ芯38を通して伝達される近赤外光を放出する。本発明はこのタイプの光源に限定されないこと、および、本発明は任意適当な光源を使用して実施され得ることを認識されたい。
【0039】
光はファイバ芯38を通って受光素子またはインテロゲータ52(図7A)に入るように送出または伝達される。一実施形態では、光学式ガンマサーモメータ30は、光がファイバ芯38を通るように送出されたときに選択された波長を有する光を反射するような1つまたは複数のファイバ格子構造体42を有する。一実施形態では、ファイバ格子構造体42はファイバブラッグ格子(fiber Bragg grating(FBG))を有する。選択される波長は2×n×Λで求められる。ここでは、nはファイバ芯の実効屈折率であり、Λは格子変調周期である。反射光の波長はメタルマス34、36の温度に対応している。反射光信号は受光素子(図7A〜7C)へと送られる。ここで、光信号は処理される、ならびに/あるいは、受光素子に接続されたおよび/または通じているコンピュータ(図示せず)へと送られる。例えば、一実施形態では、ワイヤレスインターフェース167(図7B)が、受光素子が受信した光信号に応答して電気信号をコンピュータへ送ることができる。
【0040】
一実施形態では、各ファイバ格子構造体42は、光ファイバケーブル32の長手軸33に沿って、約5ミリメートルから約20ミリメートルの長さを有する。ファイバ芯38が純粋な二酸化ケイ素で作られており、ファイバクラッディング40が二重クラッド構造体であるような場合では、ファイバ格子構造体42は、強力なフェムト秒パルスレーザによる格子打刻技術によって打刻された純粋石英ファイバから作られていてよい。
【0041】
別の実施形態では、ファイバ格子構造体42は、約10〜20マイクロメートルの厚さの多結晶のAl、Cu/NiまたはAuのコーティングを有するファイバクラッディング40を囲む金属化されたクラッディング(図示せず)を有してよい。示した実施形態では、光学式ガンマサーモメータ30は、2つの短周期ファイバブラッグ格子(FBG)42を有する。しかし、本発明は、所望される任意の数のFBGを用いて実施されてよい。例えば、本発明は、1つのFBGのみを用いて、または3つのFBGを用いてなどで実施されてよい。一実施形態では、FBG42には、長手軸33に沿って、約0.5ミクロンのピッチサイズのアポダイズド屈折率の変調がある。本発明がファイバブラッグ格子(FBG)構造体に限定されないこと、ならびに、本発明が長周期格子および螺旋状ファイバなどの別の格子構造体を用いて実施され得ることを認識されたい。
【0042】
FBG42は、ひずみの影響を事実上受けないように、緩いパッケージング構成で構築される。一実施形態では、1つまたは複数のFBG42を含む一定の長さのファイバが構造上の円筒になるように緩めにパッケージングされ、その結果、典型的には125ミクロンであるファイバケーブル32の外径が、典型的には約140ミクロンである構造上の円筒の内径よりわずかに小さくなる。熱勾配または構造体の質量に起因する、このパッケージ上に生じる外部からのいかなるひずみも、ファイバケーブルまたはFBGには伝達されない。このようにして、FBGの光学応答は、ひずみ効果ではなく温度効果のみに限定される。また、光ファイバケーブルおよびFBG42は、構造上の円筒内におけるダメージからファイバケーブルを保護するためにアルミニウムなどの材料の薄層でコーティングされてよい。グラスファイバとコーティングとの間の熱膨張係数の差に起因するFBG42へのひずみ効果は測定または計算することができ、光波長シフトと温度との間での変換に織り込むことができる。
【0043】
光は単一波長でファイバブラッグ格子構造体42から反射される。反射信号は、屈折率(n)、格子変調の数N、正規モード数V、格子周期Λおよび格子長さLなどの、材料特性および格子構造の相関的要素である。熱により誘発される波長シフト、反射電力損失、および、FBG42からのブラッグピークの共鳴幅は以下のように示される。
【0044】
【数1】

【0045】
明らかに、相対的波長シフトは、温度変化によって誘発されるガンマ線に比例する。パラメータ
【0046】
【数2】

【0047】
は、ファイバ材料の特性によって決定される、熱−光の係数および熱膨張係数である。
【0048】
次に図5を参照すると、10個のファイバブラッグ格子のアレイを備える光学式ガンマサーモメータに反応する反射の例が示されている。図5に示すように、約1510nmから約1590nmの間の波長においては反射電力は約−15dBmから約−50dBmまでの間の範囲にある。ピークの離隔距離は格子周期に応じて変化し、各ピークの中心波長の変調はガンマフラックス(または温度)を示している。温度分解能は摂氏1度未満である。
【0049】
光ファイバは、その材料特性を考えると、理想的な分散型温度センサである。光ファイバから分散した温度情報を抽出するのに使用可能な手法はいくつかある。これらには、ラマン散乱、ブリルアン散乱およびレイリー散乱をベースにすると共に多重化されたファイバブラッグ格子(FBG)を必要とする技術も含まれる。ラマン散乱およびブリルアン散乱をベースとした手法は、位置を分解するために光パルスのタイムオブフライト(TOF)を使用する。どのくらい短い光パルスが作られ得てさらには良好なノイズ性能で検出され得るかということには限界があることから、これらのシステムは、約0.1mから約1mの空間的分解能に限定される。FBGを採用する方法ではより高い分解能が得られるが、しばしば、各ファイバ内の格子の数が限定されてしまう。各ファイバにおいて50個を超えるFBGが必要となる場合は常に、多重FGBセンサに応答指令信号を送るのに、光カプラ/コンバイナまたは光式スイッチのいずれかを用いた多重化方法が使用され得る。FBGベースおよび分散型ベース(scatter−based)の両方の技術では、例えば耐放射線性の光ファイバなどといったような特別な光ファイバが必要となる場合がある。
【0050】
ラマン散乱により温度を測定することが可能となる。得られた信号は、通常は、複数のピークが材料対称性および構造特性と線形関係にあるようなスペクトルである。これらのピークは、光学フォノン振動の物理的性質に依存する固有の幅で生じ、それにより材料独自のフィンガープリントが得られることから、この方法は材料分析に適している。ラマン分光法では、この固有の幅は、光学フォノン振動モードからの振動数シフトである。この振動数シフトは、レーザとの衝突においてフォノンがレーザからエネルギーを受け取る場合は正のシフト(ストークス散乱)としてまたフォノンがエネルギーを放射する場合は負のシフト(アンチストークス散乱)として現れるときの各フォノン励起エネルギーの回転成分および振動成分に関係している。ストークスピークおよびアンチストークスピークの相対的強度は、光学フォノンのシステムがボルツマン分布に従っていることを認識するときの温度に依存する。
【0051】
ブリルアン散乱は、媒体(水または結晶など)中の光が時間依存の密度変化と相互作用してそのエネルギー(振動数)および経路を変化させるときに起こる。密度変化は、一時的な誘電関数の変動に起因するものであってよい。光が横方向の音波および縦方向の音波と相互作用する場合は常に、散乱光の信号はストークス信号およびアンチストークス信号の成分も含む。しかし、温度の判定は、特定の音波の振動数シフトまたは横方向または縦方向の波からの速度変動によって行われる。等方性ファイバ材料の場合、横方向および縦方向の速度は、(C44/ρ)1/2および(C11/ρ)1/2によって決定される。ここで、C11およびC44は弾性率(elastic module)であり、ρはファイバ材料の質量密度である。温度の判定は、測定された速度または振動数シフトによって行われる。
【0052】
ブリルアン光散乱の非弾性散乱の過程は原理的にはラマン散乱と同じである。歴史的にみて、ブリルアン散乱が音響フォノンの散乱を指しており、ラマン散乱が分子の振動および光学フォノンからの散乱を指している。今日、ブリルアン散乱とラマン散乱との間の違いは、実験方法が異なること、そしてその結果、有効である振動数範囲が異なることにあると考えられている。ブリルアン散乱という用語は、干渉計を用いての振動数シフトの実験的検出を指しており、一方でラマン散乱は格子分光計を採用しての調整(セットアップ)を指している。ブリルアン散乱は、技術的に、振動数が約500GHz未満である準粒子の検出に限定され、一方でラマン散乱では、THz範囲内のはるかに高い振動数が測定され得る。
【0053】
光ファイバなどの媒体内を移動する強力ビームの場合、ビーム自体の電界の変化により、電気ひずみを介して媒体内に音響振動が発生する場合がある。ビームは、これらの振動から、通常は入射ビームに対して反対方向にブリルアン散乱を受ける場合がある。これは誘導ブリルアン散乱(stimulated Brillouin scattering (SBS))として知られている現象である。縦方向および横方向の音響モードの典型的な振動数シフトは、約20〜50GHz程度である。誘導ブリルアン散乱は、光位相共役を引き起こすことができる1つの効果である。
【0054】
FBGまたはファイバ自体のどちらかをベースとする上述したすべての感知方法において、ファイバ感知用ケーブルは、ガンマ線、中性子、ならびに、アルファ線およびベータ線などの高エネルギー粒子または擬粒子により損傷に強力に抵抗することができる特殊ファイバ材料を必要とする。必要となる単一モードファイバまたは多モードファイバは、純粋な二酸化ケイ素またはドーピングされた二酸化ケイ素のどちらかであるファイバ芯と、ファイバ芯がF/GeOなどのドープ剤で共ドーピングされている場合は純粋な二酸化ケイ素であるか、ファイバクラッディング、ファイバ芯が純粋な二酸化ケイ素である場合はフッ素でドーピングされるかのいずれかであるファイバクラッディングとから構成される。一実施形態では、このようなファイバは、直径が4〜62.5μmの純粋な二酸化ケイ素の芯と、直径が125μmであるフッ素ドープファイバクラッディングとから構成される。一実施形態では、ファイバクラッディングは2つのクラッディング構造体で作られる。フッ素ドーピング濃度が低い第1のクラッディングは、シングルモードファイバの場合は約24〜30μm、多モードファイバの場合は82.5μmであり、また、上記のクラッディング直径から125μmまでの第2のクラッディング領域はフッ素ドーピング濃度がより高く、その結果、ファイバの屈折率プロフィルが10−4から10−2までの間で減少され、透過損が減少する。
【0055】
二酸化ケイ素であるファイバ材料は縮合された四面体O−Si−O構造体を有することが好ましく、それにより、ダングリングボンドの末端の大部分がフッ素となる。ファイバ材料のバンドギャップの不純物レベルは、ドーピングされたファイバ材料のバンドギャップを効果的に拡大させる熱アニーリング処理などによって除去される必要がある。プリコンディショニングにより、キャリアが共有原子価の価電子帯(covalence band)と伝導帯(conduction band)との間を移動することが阻止され、それにより、伝導率または屈折率のいかなる変化も最小化される。一方、O−Si−OH結合の代わりにO−Si−Fを使用することにより、ファイバの暗色化を引き起こす可能性があるOHヒドロキシルクラスタを取り除くことができる。
【0056】
Al、Cu/Ni、Auなどの金属化されたコーティング層が気密封止による密閉およびパッケージングに使用されることから、その緩いマイクロ構造は、一定時間だけ高温で熱アニーリングされることによって多結晶性形態となるように改良される必要がある。ファイバのプレコンディショニング処理での所望の温度は、Alの被覆ファイバおよびファイバセンサの場合400℃未満であり、Cu/Niの場合500℃未満であり、Auコーティングの場合700℃未満である。所望の時間は、不活性環境において24時間を超えてなければならない。
【0057】
次に図7Aを参照すると、単一の光ファイバケーブル32により、炉心15の複数の離散した位置にある複数の光学式ガンマサーモメータ30を用いてガンマフラックスを判定するための全体として150で示されたシステムが示されている。例えば、ストリングSは、光ファイバケーブル32に沿った離散した位置に8つの光学式ガンマサーモメータ30を有する。システム150は、光ファイバケーブル32と光学的に連絡している全体として152で示されたインテロゲータを有してよい。この実施形態では、光学式ガンマサーモメータ30は、炉心15内の離散した位置でメタルマス34および/または36の温度の測定するために、ファイバブラッグ格子構造体42を有する。インテロゲータ152は、光源154および光受信器156と、プロセッサ・通信ユニット158とを有する。光カプラまたは光サーキュレータ159は、光源154から送出される光を受信し、光の一部を光ファイバケーブル32のファイバ芯38を通して送出する。光検出装置156は、光カプラまたは光サーキュレータ159を経由して、光学式ガンマサーモメータ30から反射された光を受信する。プロセッサ158は光検出装置からの反射光の信号を受信し、当技術分野で知られている技術に従ってその信号を処理する。
【0058】
次に図7Bを参照すると、複数の光ファイバケーブル32により、炉心15の複数の位置にある複数の光学式ガンマサーモメータ30を用いてガンマフラックスを判定するための全体として160で示されたシステムが示されている。例えば、システム160は、各々が8つの光学式ガンマサーモメータ30を有する64個のストリングSを有してよい。図7Aに示した実施形態と同様に、光学式ガンマサーモメータ30は、炉心15内の離散した位置でメタルマス34および/または36の温度を測定するために、ファイバブラッグ格子構造体42を有する。システム160は、光学スプリッタまたは光式スイッチ164と光学的に連絡している全体として162で示された、FBGインテロゲータなどのインテロゲータを有する。図7Aに示したインテロゲータ152と同様に、インテロゲータ162は、光源154および光受信器156と、プロセッサ・通信ユニット158とを有する。インテロゲータ162は、ラップトップコンピュータなどのプロセッサ168へデータを伝送するためにネットワークインターフェース166と連絡している。ネットワークインターフェース166はまた、プロセッサ168へ無線で伝送するためのワイヤレスインターフェース167へも伝送することができる。
【0059】
次に図7Cを参照すると、複数の光ファイバケーブル32により、炉心15内の複数の位置にある複数の光学式ガンマサーモメータ30を用いてガンマフラックスを判定するための全体として170で示されたシステムが説明されている。図7Aおよび7Bに示した実施形態とは異なり、光学式ガンマサーモメータ30はメタルマス34および/または36の温度を測定するためのファイバブラッグ格子構造体42を有していないが、炉心15内で光ファイバケーブル32の長手方向に沿って連続的に温度を測定する。連続式センサインテロゲータ172は光式スイッチ174と光学的に連絡している。図7Aに示したインテロゲータ52と同様に、インテロゲータ172は、光源154および光受信器156と、プロセッサ・通信ユニット158とを有する。図7Bに示したインテロゲータ162と同様に、インテロゲータ172はネットワークインターフェース176と連絡していることから、ラップトップコンピュータなどのプロセッサ168へデータを伝送するためのワイヤレス送信機167と連絡することができる。
【0060】
本発明の光学式ガンマサーモメータは、稼動寿命が延びることにより効率が低下してしまうような部分を含んでいないことを認識されたい。このことから、任意の熱収支に関して、光学式ガンマサーモメータ30の結果が実質的に変化しないままでいることが見込まれることを理解されたい。
【0061】
上述したように、本発明の光学式ガンマサーモメータは、温度を測定するために熱電対を使用する従来のガンマサーモメータで必要とされるような複数のケーブルではなく単一の光ファイバケーブルを使用して、インコア装置用チューブ内のガンマフラックスに起因する温度の測定値を提供することができる。その結果、本発明の光学式ガンマサーモメータは、従来のガンマサーモメータよりインコア装置用チューブ内で占有する空間がはるかに少なく、コストが大幅に削減される。加えて、単一の光ファイバケーブルで多くの温度測定を行うことが可能であり、それによりはるかに正確な炉心の三次元温度マップ(ガンマフラックス)が得られる。
【0062】
また、光学式ガンマサーモメータは、燃料補給プランをより良好に最適化するために、燃料サイクルにおける原子炉燃料の減損に関連するコンピュータシミュレーションを較正するのに使用され得る。さらに、ファイバブラッグ格子(fiber Bragg grating(FBG))を用いた、本発明の光学ガンマサーモメータの緩めのチューブパッケージングは、ひずみの影響による誤った読み取りをなくすのに役立つ。さらに、本発明の光学式ガンマサーモメータを用いたシステムは、従来のTIPシステムに取って代わり、コストを大幅に削減することができる。
【0063】
例示の実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、本発明の要素を均等物で代用できることを当業者は理解するであろう。また、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示内容に適合させるために多くの修正形態が作られ得る。したがって、本発明は、本発明を実現するように企図された最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内に収まるすべての実施形態を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0064】
12 上部格子板
13 ジェットポンプ
14 炉心シュラウド
15 炉心
16 制御棒
17 炉心支持板
18 ウォーターエントリー
19 ウォーターエクストラクション
24 装置誘導チューブ
30 光学式ガンマサーモメータ
32 光ファイバケーブル
33 長手軸
34、36、74 金属マス
35 隙間
38 ファイバ芯
40 ファイバクラッディング
42 ファイバ格子構造体
60 カソード
62 アノード
64 核分裂物質
66 絶縁ブロック
68 アルゴンガス
69 ケーブル
70、76 外側チューブ
78 読み取り用熱電対
80 参照用熱電対
82、84 線
150、160、170 システム
152 インテロゲータ
154 光源
156 光受信器
158 プロセッサ・通信ユニット
159 光カプラまたは光サーキュレータ
162 FBGインテロゲータ
164、174 光スプリッタまたは光式スイッチ
166、176 ネットワークインターフェース
167 ワイヤレスインターフェース
168 プロセッサ
172 連続式センサインテロゲータ
M LPRM
P プレナム
S LPRMストリング
T ガンマサーモメータ
V 原子炉容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の炉心(15)内のガンマフラックスに比例する温度を有するメタルマス(34)と、
長手軸(33)に沿って延在しているファイバ芯(38)と、前記ファイバ芯の周囲を覆っているファイバクラッディング(40)とを有する、前記メタルマスの前記温度を測定するための光ファイバケーブル(32)とを有する光学式ガンマサーモメータ(30)。
【請求項2】
前記ファイバ光ケーブル(32)がファイバブラッグ格子(42)をさらに有する、請求項1記載の光学式ガンマサーモメータ。
【請求項3】
前記ファイバブラッグ格子(42)が、コサイン型アポダイズド屈折率変調プロフィル(cosine apodized refractive index modulation profile)またはガウス型アポダイズド屈折率変調プロフィル(Gaussian apodized refractive index modulation profile)のいずれかの少なくとも1つの短周期ファイバブラッグ格子を有する、請求項2記載の光学式ガンマサーモメータ。
【請求項4】
約10マイクロメートルから約20マイクロメートルの間の厚さを有する金属化されたコーティング層をさらに有する、請求項3記載の光学式ガンマサーモメータ。
【請求項5】
前記ファイバブラッグ格子(42)が、光ファイバケーブルの長手軸に沿って、約5ミリメートルから約20ミリメートルの長さを有する、請求項2記載の光学式ガンマサーモメータ。
【請求項6】
前記ファイバ芯(38)が純粋な二酸化ケイ素で作られており、前記ファイバクラッディングがシングルクラッドファイバ感知用ケーブルを形成するようにフッ素でドーピングされた、請求項1記載の光学式ガンマサーモメータ。
【請求項7】
前記ファイバ芯(38)が、共ドーピングされたF/GeOであり、前記ファイバクラッディングが、シングルクラッドファイバ感知用ケーブルを形成するようにFドーピングされる、請求項1記載の光学式ガンマサーモメータ。
【請求項8】
前記ファイバクラッディング(40)が、軽度にFドーピングされた第1のクラッド領域と重度にFドーピングされた第2のクラッド領域とを有する二重クラッド構造体を有する、請求項1記載の光学式ガンマサーモメータ。
【請求項9】
前記温度が、ラマン散乱手法、ブリルアン散乱手法およびレイリー散乱手法のうちの1つを使用して測定される、請求項1記載の光学式ガンマサーモメータ。
【請求項10】
前記光学式ガンマサーモメータ(30)が、基準温度を得るために周囲環境に直接に接触している第2のメタルマス(36)を有する、請求項1記載の光学式ガンマサーモメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−107498(P2010−107498A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191516(P2009−191516)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナージー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
【Fターム(参考)】