説明

光学情報読取装置

【課題】 マーカ光照射手段を備えるものにあって、所定パターンのマーカ光を鮮明に照射する。
【解決手段】 マーカ光照射部16により読取対象に対して照射される読取位置を示すためのマーカ光は、受光センサの撮像視野の4つのコーナー部に対応した4個のL字状のパターンと、その中心部を示す十字状のパターンとからなる。マーカ光照射部16を、光源としてのレーザダイオード33、そのレーザ光を一旦略円形に拡散する拡散用レンズ34、その拡散光を集光する集光用レンズ35、その集光光が入射され所定のパターンで出射させるスリット板36、マーカ光を読取対象上に結像させる結像用レンズ37及び絞り38を先方に向けてその順に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取対象に記された光学情報を撮像する撮像手段を備えると共に、前記読取対象に対し読取位置を示すための所定のパターンのマーカ光を照射するマーカ光照射手段を備える光学情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードや二次元コード等の情報コードを読取るためのハンディタイプの光学情報読取装置においては、近年、使い勝手の良さから、読取対象から離れた位置から読取りができるものが供されてきている。このものは、例えば、手持ち可能に構成された本体ケース内に、CCDエリアセンサなどの撮像素子、結像レンズを有する結像光学部、LEDなどの照明装置等を備えて構成される。そして、読取時の読取対象(情報コード)と装置(読取口)との間の位置合せのために、レーザダイオードやLEDを用いて、読取対象に対して読取位置(撮像素子の視野やその視野の中心位置)を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射手段を備えるものが一般的となってきている。
【0003】
このように光学情報読取装置に組込まれるマーカ光照射手段の具体例として、視認性の良いマーカ光を照射できるレーザダイオードを光源として用い、また、マーカ光の所定のパターンをスリット板により実現するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。図6及び図7は、この種の従来のマーカ光照射部1の構成を概略的に示しており、このマーカ光照射部1は、レーザダイオード2と、その先方に配置されたスリット板3と、その先方に配置された結像用レンズ4とから構成されている。
【0004】
このとき、図6(b)並びに図8に示すように、前記スリット板3は、例えば金属製の薄板に、描きたいマーカ光M(図7参照)のパターンに対応したスリット3aを形成して構成されている。この場合、マーカ光Mは、例えばCCDエリアセンサの読取視野の4つのコーナー部に対応した4個のL字状のパターンと、読取視野の中心部を示す十字状のパターンとからなる線状の光の組合せから構成される。これにて、レーザダイオード2から発せられた光が、スリット板3のスリット3aを通して所定パターンのマーカ光Mとされ、結像用レンズ4を介して読取対象Rに照射されるのである。
【0005】
尚、このとき、図7に示すように、結像用レンズ4から読取対象Rまでの距離aと、レーザダイオード2(光源)から結像用レンズ4までの距離bとの適切な関係は、結像用レンズ4の焦点距離をfとすると、
(1/a)+(1/b)=1/f
となることが知られている。
【特許文献1】特開平9−201689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来構成のマーカ光照射部1では、図8に示すように、レーザダイオード2から発せられる光L0は、横長な楕円形状に広がっているため、スリット板3のスリット3aを通される際の光量のロスが大きくなり、十分に明るいマーカ光Mを照射することができない不具合があった。
そこで、その対策として、光源から発せられる楕円形状に広がる光を、略円形状に集光した上でスリット板3に入射させることが考えられる。具体的には、図9に示すマーカ光照射部5のように、レーザダイオード2とスリット板3の間に、集光用レンズ6を設けて、レーザダイオード2から発せられた光を略円形に集光する構成である。ところが、このような構成では、スリット板3の大きさが徒に小さくなり、スリット3aの形成が困難となる、あるいは、スリット3aの幅が細すぎて光が通りにくくなり、マーカ光Mが暗くなると同時に回折縞が出てしまう問題がある。
【0007】
さらにこの場合、図10に示すマーカ光照射部7のように、レーザダイオード2と集光用レンズ6との距離を十分に大きくとれば、スリット板3の大きさを確保することができ、実現が可能となる。ところが、この図10の構成では、マーカ光照射部7自体が長くなって(大型化して)しまい、ハンディタイプの光学情報読取装置に組込むには適さないものとなってしまう。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、マーカ光照射手段を備えるものにあって、所定パターンのマーカ光を明るく鮮明に照射することができる光学情報読取装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の光学情報読取装置は、読取位置を示すための所定のパターンのマーカ光を照射するマーカ光照射手段を備えるものにあって、マーカ光照射手段を、光源と、マーカ光のパターンを形成するためのパターン形成部材と、このパターン形成部材の先方に位置する結像用レンズとを備えると共に、光源から発せられた光を略円形に拡散させる拡散用レンズと、この拡散用レンズにより拡散された光を集光してパターン形成部材に入射させる集光用レンズとを備えて構成したところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0010】
これによれば、光源から発せられた光は、拡散用レンズによって略円形に拡散されて集光用レンズに入射され、集光用レンズにより集光されるようになる。そして、集光用レンズにより集光された光は、パターン形成部材に入射して所定のパターンで出射され、結像用レンズによって結像されて読取対象にマーカ光として照射される。このとき、光源から発せられた光が、楕円形状に広がるものであっても、拡散用レンズによって略円形に拡散されることになり、集光用レンズにより集光された上で、パターン形成部材に入射されるので、パターン形成部材を通る光のロスを小さく済ませることができる。さらには、光源からの光が、一旦拡散された上で集光されるので、パターン形成部材を徒に小さくすることなく済ませることができ、しかも、光源から集光用レンズまでの距離を長く取らなくても済んで、全体の大きさが大型化することを抑制することができる。この結果、所定パターンのマーカ光を明るく鮮明に照射することが可能となる。
【0011】
このとき、上記パターン形成部材のより具体的な構成としては、薄板にマーカ光のパターンに対応したスリットを形成してなるスリット板からパターン形成部材を構成しても良い(請求項2の発明)。あるいは、主として略半円柱状をなすレンズ部をマーカ光のパターンに対応して配置したパターン形成用レンズからパターン形成部材を構成しても良い(請求項3の発明)。あるいは、マーカ光のパターンに対応した回折格子からパターン形成部材を構成しても良い(請求項4の発明)。いずれも、パターン形成部材により、マーカ光のパターンを任意にデザインすることができ、しかも、パターンが複雑となっても、比較的簡単で小形の構成で済ませることができる。
【0012】
本発明においては、撮像手段が、所定の縦横比を有するエリアセンサである場合には、拡散用レンズが拡散する略円形の光の縦横の比を、該エリアセンサの撮像視野の縦横比と略同等とすることにより(請求項5の発明)、光のロスを一層少なくして効率をより一層高めることができる。上記光源としては、レーザダイオードを採用することが好ましく(請求項6の発明)、視認性の良いマーカ光を照射することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を手持ち式(ガンタイプ)の二次元コード読取装置に適用した第1の実施例について、図1ないし図4を参照しながら説明する。まず、図3及び図4を参照して、本実施例に係る光学情報読取装置たる二次元コード読取装置の全体構成について述べる。図3に示すように、二次元コード読取装置の本体ケース11は、丸みを帯びた薄型のほぼ矩形箱状をなす主部11aの下面側後部寄りに、ユーザが片手で把持して操作することが可能なグリップ部11bを一体的に有して構成されている。前記本体ケース11(主部11a)の先端面部には、矩形状をなし透光性を有する読取口11cが設けられている。また、前記グリップ部11bの上端部には、読取指示用のトリガスイッチ12が設けられている。
【0014】
前記本体ケース11(主部11a)内の先端側部分には、商品に付されたラベルやカタログ等の読取対象R(図4参照)に記録された光学情報(例えばQRコードに代表される二次元コード)を読取るための読取機構が設けられる。図4にも示すように、この読取機構は、撮像素子たる受光センサ13、結像光学系を構成する結像レンズ14、照明部15(図4にのみ図示)、読取口11cを通して読取対象Rにマーカ光Mを照射する後述するマーカ光照射手段としてのマーカ光照射部16などから構成されている。
【0015】
そのうち受光センサ13は、例えばCCDエリアセンサからなり、本体ケース11(主部11a)内の中央部に前記読取口11cを向いて配設されている。尚、このCCDエリアセンサは、撮像視野の縦横比が例えば3:4とされている。また、前記結像レンズ14は、前記受光センサ13の前方に配設されている。詳しい図示及び説明は省略するが、この結像レンズ14は、鏡筒内に複数枚のレンズを配設して構成されている。このとき、結像レンズ14の光軸は、前記読取口11c面の中心を直交するように延びており、前記受光センサ13は光軸の延長線上にその中心を一致させるように配設されている。
【0016】
前記照明部15は、詳しく図示はしないが、照明光源となるLEDと、このLEDの前部に配置され光を集光及び拡散する照明用レンズとを、前記結像レンズ14の周囲部(上部を除く)に、前記読取口11cに向けて複数組配設して構成されている。これにて、照明部15によって読取口11cを通して読取対象Rに記された二次元コードに照明光が照射され、二次元コードからの反射光が読取口11cを通して入射され、前記結像レンズ14を介して受光センサ13上に結像され、以て、二次元コードの画像が取込まれる(撮像される)ようになっているのである。
【0017】
また、図3に示すように、本体ケース11(主部11a)内の後部側には、図4に示す各回路等が実装されている回路基板19が設けられている。さらに、図4のみに図示するように、本体ケース11の外面部(主部11aの上面部)には、ユーザが各種入力指示を行うための操作スイッチ20、報知用のLED21、液晶表示器22などが設けられている。本体ケース11内には報知用のブザー23や外部との通信を行うための通信インタフェイス24、駆動電源となる二次電池25なども設けられている。
【0018】
図4は、本実施例の二次元コード読取装置の電気的構成を概略的に示しており、前記回路基板19には、マイコンを主体として構成され、全体の制御やデコード処理等を行う制御回路26が設けられている。この制御回路26には、前記トリガスイッチ12及び操作スイッチ20からの信号が入力されるようになっていると共に、制御回路26は、前記受光センサ13、照明部15、マーカ光照射部16(後述する光源であるレーザダイオード)を制御するようになっており、以て、読取対象Rに記された二次元コードの画像の取込み動作を実行するようになっている。また、この制御回路26は、前記LED21、ブザー23、液晶表示器22を制御し、通信インタフェイス24を介して外部(管理コンピュータ等)とのデータ通信を実行する。
【0019】
さらに、前記回路基板19には、増幅回路27、A/D変換回路28、メモリ29、特定比検出回路30、同期信号発生回路31、アドレス発生回路32などが実装され、これらも前記制御回路26により制御されるようになっている。これにて、受光センサ13による撮像信号が、増幅回路27にて増幅され、A/D変換回路28にてデジタル信号に変換されて画像データとしてメモリ29に記憶される。またこのとき、特定比検出回路30にて画像データ中の特定パターンが検出されるようになっている。前記受光センサ13及び特定比検出回路30、アドレス発生回路32には、同期信号発生回路31から同期信号が与えられるようになっている。
【0020】
さて、前記マーカ光照射部16について、図1及び図2を参照しながら述べる。このマーカ光照射部16は、前記読取対象Rに対して読取位置を示すための所定のパターンのマーカ光Mを照射するものである。尚、本実施例におけるマーカ光Mのパターン(形状)は、従来例(図7参照)で述べたと同様に、前記受光センサ13の撮像視野V(やや横長の長方形をなす領域)の4つのコーナー部に対応した4個のL字状のパターンと、撮像視野Vの中心部を示す十字状のパターンとからなる線状の光の組合せから構成される。
【0021】
マーカ光照射部16は、図1に示すように、光源としてのレーザダイオード33、拡散用レンズ34、集光用レンズ35、パターン形成部材としてのスリット板36、結像用レンズ37、絞り38を先方(前方)に向けてその順に配置して構成される。そのうちレーザダイオード33は、可視光(赤色)のレーザ光を出射するようになっているのであるが、このときの出射光は、図2(a)に示すように、先方に向かって(光軸方向に見て)横長な楕円状に拡散する拡散光L1とされる。
【0022】
前記拡散用レンズ34は、そのレーザダイオード33から発せられた拡散光L1をさらに略円形に拡散して集光用レンズ35に入射させるためのものであり、出射面側が縦方向に湾曲する凹面状をなしている。このとき、拡散用レンズ34から出射される(集光用レンズ35に入射される)拡散光L2は、図2(b)に示すように、レーザダイオード33から出射された光をさらに縦方向に拡散させた略円形状とされるようになっている。
【0023】
前記集光用レンズ35は、前記拡散用レンズ34から出射された拡散光L2を集光して、前記スリット板36に入射させるためのもので、例えば凸レンズから構成される。このとき、図2(c)に示すように、集光用レンズ35により集光されてスリット板36に入射される略円形の集光光L3の縦横の比は、受光センサ13の撮像視野Vの縦横比(この場合3:4)と略同等とされるようになっている。
【0024】
前記パターン形成部材たるスリット板36は、前記マーカ光Mのパターンを形成するためのものであり、図2(c)に示すように、やや横長な(例えば縦横比が3:4)矩形状をなす例えば金属製の薄板に、前記マーカ光Mのパターンに対応したスリット36aを形成して構成される。このとき、スリット36aは、より具体的には、4つのコーナー部に夫々位置する4つのL字状部と、中央に位置する十字状部とから構成される。これにて、集光用レンズ35から入射された光が、スリット36aを通されてマーカ光Mのパターンに対応した細幅の光となって出射される。
【0025】
前記結像用レンズ37は、前記スリット板36のスリット36aを通された光を、前記絞り38を介して読取対象R上に結像させるものである。前記絞り38は、読取対象Rまでの距離が比較的遠方になる場合の拡散光を除去するためのものである。尚、マーカ光照射部16(レーザダイオード33)によるマーカ光Mの照射(点灯)は、例えば二次元コード読取装置の電源オン時に連続的に行われる、あるいは、トリガスイッチ12がいわゆる半押し状態とされることによりなされるようになっている。
【0026】
次に、上記構成の作用について述べる。今、ユーザが、二次元コード読取装置を用いて、読取対象Rに記されたQRコード等の光学情報の読取り作業を行うにあたっては、まず、本体ケース11の読取口11cを読取対象Rに向ける。すると、マーカ光照射部16により、マーカ光Mが読取対象Rに対して照射されるので、ユーザは、マーカ光Mが示す撮像視野Vの例えば中央部に光学情報が入るように本体ケース11の位置合せを行うようにする。そして、この状態で、トリガスイッチ12をオン操作すると、マーカ光Mの照射が一時的に停止された状態で照明部15がオン(点灯)されて受光センサ13による光学情報の画像の取込みが行われる。
【0027】
本実施例のマーカ光照射部16においては、レーザダイオード33から発せられた光は、拡散用レンズ34によって略円形に拡散されて集光用レンズ35に入射され、集光用レンズ35により集光されるようになる。そして、集光用レンズ35により集光された光は、スリット板36に入射しそのスリット36aを通されることによって所定のパターンで出射され、結像用レンズ37及び絞り38を介して読取対象Rにマーカ光Mとして照射される。
【0028】
このとき、図2に示すように、レーザダイオード33から出射された出射光は、横長な楕円状に拡散する拡散光L1とされるのであるが(図2(a)参照)、拡散用レンズ34によって略円形に拡散されて拡散光L2となり(図2(b)参照)、その上で、集光用レンズ35により集光され、スリット板36の大きさに応じた略円形の集光光L3(図2(c)参照)とされて該スリット板36に入射されることになる。これにより、集光効率を高め、スリット板36を通る光のロスを小さく済ませることができる。特に、集光用レンズ35により集光されてスリット板36に入射される略円形の集光光L3の縦横の比を、受光センサ13の撮像視野Vの縦横比(この場合3:4)と略同等としたことにより、光のロスを一層少なくして効率をより一層高めることができる。
【0029】
そして、レーザダイオード33からの光が、一旦拡散された上で集光されるので、単純に集光用レンズだけを設けた場合と異なり、スリット板36を徒に小さくすることなく済ませることができ、スリット36aの形成も容易となる。しかも、レーザダイオード33から集光用レンズ35までの距離を長く取らなくても済んで、マーカ光照射部16ひいては本体ケース11の大きさが大型化することを抑制することができる。スリット板36のスリット36aを自在に形成できるので、マーカ光Mのパターンを任意にデザインすることができることは勿論である。
【0030】
また、光源としてレーザダイオード33を採用したことにより、視認性の良いマーカ光Mを照射することができるようになる。さらに、マーカ光照射部16に、結像用レンズ37の先方に位置して、絞り38を設けたので、マーカ光照射部16(本体ケース11の読取口11c)から読取対象Rまでの距離が比較的遠くなる場合でも、拡散光を除去してマーカ光Mを鮮明なパターンで照射することができるようになる。
【0031】
このように本実施例によれば、マーカ光照射部16において、光源としてのレーザダイオード33とパターン形成部材としてのスリット板36との間に、拡散用レンズ34及び集光用レンズ35を設け、レーザダイオード33からの光を一旦拡散させた上で集光させてスリット板36に入射させるようにしたので、従来のようなレーザダイオード2から発せられる光をそのままスリット板3に入射させるため光量のロスが大きくなるものと異なり、所定パターンのマーカ光Mを明るく鮮明に照射することができるという優れた効果を奏する。そして、単純に集光用レンズだけを設けた場合とも異なり、スリット板36の適切な大きさを確保することができ、しかも、レーザダイオード33から集光用レンズ35までの距離を長く取らなくても済んで、大型化を抑制することができるものである。
【0032】
図5は、本発明の第2の実施例を示している。この第2の実施例が上記第1の実施例と異なる点は、マーカ光照射手段たるマーカ光照射部41におけるパターン形成部材の構成にあり、本実施例では、図5(a)に示すように、マーカ光Mのパターンを形成するためのパターン形成部材をパターン形成用レンズ42から構成するようにしている。尚、本実施例においても、マーカ光Mのパターン(形状)は、受光センサ13の撮像視野Vの4つのコーナー部に対応した4個のL字状のパターンと、撮像視野Vの中心部を示す十字状のパターンとからなる線状の光の組合せから構成される。
【0033】
即ち、パターン形成用レンズ42は、図5(b)に示すように、やや横長な矩形板状をなすベース部42aの前面側に、略半円柱状(いわゆるかまぼこ型)をなすレンズ部を組合せて構成されたシリンダレンズ部43を一体に有して構成されている。前記シリンダレンズ部43は、軸方向をマーカ光Mのパターン(直線の組合せ)に対応させた如き配置形態とされている。
【0034】
具体的には、前記マーカ光Mの4個のL字状のパターンに夫々対応した4つのL字状部43a,43b,43c,43dを有すると共に、十字状のパターンに対応した十字状部43eを有して構成されている。これにて、集光用レンズ35から入射された光が、シリンダレンズ部43によってマーカ光Mのパターンに対応した細幅の光となって出射される。また、詳しく図示はしていないが、各レンズ部43a〜43eの表面(出射面)の径(曲率)は、その位置(レーザダイオード33の出射点からの距離)に応じて変化するようになっており、これにより、マーカ光Mの線状の光の一定の細い幅が確保されるようになっている。
【0035】
このような第2の実施例のマーカ光照射部41によっても、上記第1の実施例と同様に、所定パターンのマーカ光Mを明るく鮮明に照射することができ、パターン形成用レンズ42の適切な大きさを確保すると共に全体の大型化を防止できるといった効果を得ることができる。そして、パターン形成用レンズ42のシリンダレンズ部43を自在に配置することにより、マーカ光Mのパターンを任意にデザインすることができる。
【0036】
尚、上記各実施例では、パターン形成部材として、スリット板36或いはパターン形成用レンズ42を採用したが、周知の回折格子を採用することもでき、同様の作用・効果を得ることができる。その他、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に限定されるものではなく、例えば二次元コード読取装置の構成としても、ガンタイプにものに限らず、ハンディタイプのもの等であっても良く、マーカ光Mのパターン(形状)についても、撮像視野を示す四角い枠を含むものであったり、中心部と左右両端部とを十字状のパターンで示すものなど、様々な変形が考えられ、さらには、絞り38は必要に応じて設ければ良いなど、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、マーカ光照射部の構成を示す側面図
【図2】レーザダイオードから出射される拡散光(a)、拡散用レンズによる拡散光(b)、集光用レンズにより集光されスリット板に入射される集光光(c)の形状を示す図
【図3】二次元コード読取装置の構成を概略的に示す縦断側面図
【図4】二次元コード読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図5】本発明の第2の実施例を示すもので、マーカ光照射部の構成を示す側面図(a)及びパターン形成用レンズの正面図(b)
【図6】従来例を示すもので、マーカ光照射部の構成を示す側面図(a)及びスリット板の正面図(b)
【図7】マーカ光照射部の結像系を示す側面図
【図8】スリット板に対する入射光の形状を示す図
【図9】考えられる構成例を示す図1相当図
【図10】別の構成例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0038】
図面中、11は本体ケース、11cは読取口、13は受光センサ(撮像手段)、16,41はマーカ光照射部(マーカ光照射手段)、33はレーザダイオード(光源)、34は拡散用レンズ、35は集光用レンズ、36はスリット板(パターン形成部材)、36aはスリット、37は結像用レンズ、38は絞り、42はパターン形成用レンズ(パターン形成部材)、43はレンズ部、Rは読取対象、Mはマーカ光、Vは撮像視野を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象に記された光学情報を撮像する撮像手段を備えると共に、前記読取対象に対し読取位置を示すための所定のパターンのマーカ光を照射するマーカ光照射手段を備えてなる光学情報読取装置であって、
前記マーカ光照射手段は、光源と、前記マーカ光のパターンを形成するためのパターン形成部材と、このパターン形成部材の先方に位置する結像用レンズとを備えると共に、
前記光源から発せられた光を略円形に拡散させる拡散用レンズと、この拡散用レンズにより拡散された光を集光して前記パターン形成部材に入射させる集光用レンズとを備えて構成されていることを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記パターン形成部材は、薄板に、前記マーカ光のパターンに対応したスリットを形成してなるスリット板から構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学情報読取装置。
【請求項3】
前記パターン形成部材は、主として略半円柱状をなすレンズ部を前記マーカ光のパターンに対応して配置したパターン形成用レンズから構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学情報読取装置。
【請求項4】
前記パターン形成部材は、前記マーカ光のパターンに対応した回折格子から構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学情報読取装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、所定の縦横比を有するエリアセンサであり、前記拡散用レンズが拡散する略円形の光の縦横の比が、該エリアセンサの撮像視野の縦横比と略同等であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項6】
前記光源は、レーザダイオードから構成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光学情報読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−65463(P2006−65463A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245149(P2004−245149)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】