光学機器
【課題】ピント合わせのモードを切換える場合に、カメラの状態や被写体の状態に応じて、焦点調節レンズの駆動速度を切換えるようにした光学機器を提供する。
【解決手段】レンズ鏡筒に設けられた焦点調節レンズ203と、レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向にスライド自在に配設されたMF環204と、MF環204が光軸方向にスライド移動した際に、第1の位置または第2の位置のいずれであるか検出するMF環位置検出回路224を有し、MF環204が第1の位置と第2の位置の間でスライド移動した際に(S51)、動画撮影中と撮影待機中では(S91)、駆動される焦点調節レンズの駆動速度を異ならせる(S97、S99、S103)。
【解決手段】レンズ鏡筒に設けられた焦点調節レンズ203と、レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向にスライド自在に配設されたMF環204と、MF環204が光軸方向にスライド移動した際に、第1の位置または第2の位置のいずれであるか検出するMF環位置検出回路224を有し、MF環204が第1の位置と第2の位置の間でスライド移動した際に(S51)、動画撮影中と撮影待機中では(S91)、駆動される焦点調節レンズの駆動速度を異ならせる(S97、S99、S103)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリセット距離にピント合わせが可能な光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
動画の撮影中に静止画の撮影を可能とした撮像装置が知られている。一般に動画撮影時のピント合わせは、高速に行うと見苦しくなることから一般に焦点調節レンズを低速で駆動している。しかし、動画撮影中に静止画撮影を指示した場合には、合焦速度が要求される。そこで、動画撮影中に静止画撮影の指示がなされた場合には、自動合焦制御を切換えることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3466670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、動画撮影中に静止画撮影を行う場合については、自動焦点調節の切換えについて提案がなされている。ところで、リング部材の回転操作により予めプリセット距離を設定し、リング部材のスライド操作によりプリセット距離にピント合わせを行わせる焦点調節モードが考えられる。
【0005】
しかし、リング部材のスライド操作に応じて、動画の取得時に、同じ速度で焦点調節レンズを駆動する場合には、次のような不具合が生じる。動画撮影中には特許文献1に指摘するように、一般的には高速なピント合わせは望ましくない。しかし、ライブビュー表示のみで動画撮影を行っていない撮影待機中は、スライド操作に応じてゆっくりとピント合わせを行うと、撮影者はリング部材の操作に比較しファインダでの反応が鈍いと感じ、操作感が悪い。
【0006】
また、撮影シーンによっては、動作撮影中であっても、異なる速度で焦点調節レンズを駆動するようにした方が良い場合がある。例えば、図20(a)に示すように、手前の被写体305と奥の被写体307が存在し、奥の被写体307がゆっくり移動している場合に、リング部材のスライド操作によりピントを切換えるとすると、この場合には、ゆっくりとした速度で焦点調節レンズを駆動することが望ましい。しかし、図20(c)に手前の打者と奥の投手が被写体として存在する場合には、迅速にピントを切換えることが望ましい。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、ピント合わせのモードを切換える場合に、カメラの状態や被写体の状態に応じて、焦点調節レンズの駆動速度を切換えるようにした光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる光学機器は、レンズ鏡筒に設けられた焦点調節レンズと、上記焦点調節レンズを駆動するレンズ駆動部と、上記レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向にスライド自在に配設されたリング部材と、上記リング部材が上記光軸方向にスライド移動した際に、第1の位置または第2の位置のいずれであるか検出するスライド位置検出部と、上記リング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタル信号で出力する回転位置検出部と、上記リング部材が上記第1の位置と上記第2の位置の間でスライド移動した際に、動画撮影中と撮影待機中では、上記レンズ駆動部によって駆動される上記焦点調節レンズの駆動速度を異ならせる制御部と、を有する。
【0009】
第2の発明に係わる光学機器は、上記第1の発明において、上記制御部は、上記撮影待機中の駆動速度を、上記動画撮影中の駆動速度よりも高速とする。
第3の発明に係わる光学機器は、上記第1の発明において、上記制御部は、被写体の動きに応じた速度で上記焦点調節レンズを駆動する。
【0010】
第4の発明に係わる光学機器は、上記第1の発明において、上記制御部は、上記リング部材が上記第1の位置から第2の位置にスライド移動した際に、上記プリセット距離を表すデジタル信号に基づいて、上記焦点調節レンズのピント位置を制御する。
【0011】
第5の発明に係わる光学機器は、レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向の第1の位置と第2の位置にスライド自在に配設されたリング部材と、上記リング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタルで出力する回転位置検出部と、上記リング部材が上記第1の位置と上記第2の位置の間でスライド操作された際に、操作位置に応じた距離まで焦点調節レンズを第1の速度または第2の速度で移動させる制御部と、を有する。
【0012】
第6の発明に係わる光学機器は、上記第5の発明において、上記制御部は、動画撮影中であるか、撮影待機中であるかに応じて、上記第1の速度または第2の速度を切換える。
第7の発明に係わる光学機器は、上記第5の発明において、被写体の移動を判定する移動判定部を有し、上記制御部は、上記移動判定部によって判定された上記被写体の移動に基づいて、上記焦点調節レンズの移動速度を制御する。
【0013】
第8の発明に係わる光学機器は、離散的なプリセット距離に焦点調節レンズのピント合わせを行う焦点調節部と、被写体の移動量を判定する移動判定部と、上記焦点調節部によって上記プリセット距離にピント合わせを行う際に、上記移動判定部によって判定された上記移動量に基づいて、上記焦点調節レンズの駆動速度を制御する駆動制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ピント合わせのモードを切換える場合に、カメラの状態や被写体の状態に応じて、焦点調節レンズの駆動速度を切換えるようにした光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係わるカメラの内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わるカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、MF環が第1の位置に位置する状態のレンズ鏡筒の上面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、MF環が第2の位置に位置する状態のレンズ鏡筒の上面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、MF環と距離表示環とが係合した状態を説明する斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、指標位置検出部の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、交換レンズとカメラ本体の同期通信の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、レンジフォーカスモードに設定して撮影を行う様子を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、オートフォーカス(AF)モード、マニュアルフォーカス(MF)モード、レンジフォーカス(RF)モードの状態遷移図である。
【図10】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、交換レンズでRFモードとMFモードを切換える操作状態を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、RFモードとMFモード間での撮影者による操作を説明する図である。
【図12】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、MF環の回転角とフォーカス位置の関係と、カメラのレンズの駆動速度を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係わるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係わるカメラのMF環操作検出・動作処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態に係わるカメラのMF環操作検出・動作処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態に係わるカメラのMF環操作検出・動作処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態に係わるカメラの移動量取得の処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、レンズ駆動速度を変化させるための補正係数の変化を示すグラフである。
【図19】本発明の一実施形態に係わるカメラの移動量取得の処理の変形例を示すフローチャートである。
【図20】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、撮影シーンに応じてレンズ駆動速度を変化させた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わるカメラの構成を示すブロック図であり、このカメラはデジタルカメラであり、カメラ本体100と交換レンズ200とから構成される。交換レンズ200は、カメラ本体のバヨネットマウント等を介して着脱自在に装着される。なお、本実施形態においては、カメラ本体100と交換レンズ200を別体に構成したが、一体に構成するようにしても勿論かまわない。
【0017】
カメラ本体100内には、カメラ制御回路101、撮像素子103、フォーカルプレーンシャッタ104、表示用モニタ105、ストロボ106、レリーズ釦107、バッテリ108等が配置されている。また、交換レンズ200内には、レンズ制御回路201、焦点調節レンズ203、MF環204、絞り205等が配置されている。
【0018】
カメラ制御回路101は、本体CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)121(図2参照)等を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)とその周辺回路等で構成される。レリーズ釦107を撮影者が操作すると撮像素子103、フォーカルプレーンシャッタ104等を制御すると共に、必要に応じてストロボ106の発光制御を行い、またレンズ制御回路201を通じて撮影動作等を実行する。後述するレンズ制御回路201内のレンズCPU221(図2参照)と連携し、カメラ全体の各種シーケンスを統括的に制御する。この制御は、フラッシュROM122(図2参照)に記憶されたプログラムに従って実行する。このカメラ制御回路101の詳細は、図2を用いて後述する。
【0019】
撮像素子103は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子によって構成され、交換レンズ200によって形成された被写体像を画像信号に変換する。すなわち、カメラ制御回路101からの信号に従って、撮像素子103において画像信号の蓄積がなされ、また画像信号の読み出し等がなされる。なお、本明細書においては、撮像素子103からの出力に基づく信号は、画像信号の他に画像データと称する場合がある。
【0020】
フォーカルプレーンシャッタ104は、レリーズ釦107の全押しに基づくカメラ制御回路101中のシャッタ制御回路126(図2参照)からの指示に応じて開閉動作を行い、交換レンズ200からの被写体光束を開閉する。この開閉時間は、カメラ制御回路101によって算出されたシャッタ速度に応じた時間である。
【0021】
表示用モニタ105は、カメラ本体の背面等に配置されたLCD、有機EL等により構成される。表示用モニタ105は、静止画の撮影待機時や動画撮影時のライブビュー表示や、再生釦等の操作に応じた記録済みの撮影画像の再生表示や、メニュー釦等の操作に応じてメニュー画面等において設定情報の表示を行う。
【0022】
ストロボ106は、レリーズ釦107の操作時に周囲が暗い場合等に、カメラ制御回路101中のストロボ制御回路125(図2参照)からの指示に応じて補助光を被写体に照明する。この発光は発光用コンデンサ(不図示)に蓄えられた電荷を用い、フォーカルプレーンシャッタ104の露光動作と同期して行う。
【0023】
レリーズ釦107は、半押しでオンになるファーストレリーズスイッチ132(図2参照)と、半押しから更に押し込み全押しとなるとオンになるセカンドレリーズスイッチ133(図2参照)を有する。カメラ制御回路101は、ファーストレリーズスイッチ132がオンとなると、AE(Auto Exposure)動作やAF(Auto Focus)動作等の撮影準備シーケンスを実行する。また、セカンドレリーズスイッチ133がオンとなると、フォーカルプレーンシャッタ104等を制御し、撮像素子103等から被写体画像に基づく画像データを取得し、この画像データを記録媒体に記録する一連の撮影シーケンスを実行して撮影を行う。
【0024】
バッテリ108は、カメラ本体100および交換レンズ200内の各部材、各回路に電源を供給する。
【0025】
交換レンズ200内のレンズ制御回路201は、レンズCPU等を含むASICと、その周辺回路で構成される。カメラ制御回路101からの指示、または撮影者によるMF環204の操作に応じて、焦点調節レンズ203、絞り205の駆動制御等を行う。また、カメラ制御101からの要求に応じて、焦点距離、設定距離、絞り値等の種々のレンズ情報を送信する。この制御は、フラッシュROM(不図示)に記憶されたプログラムに従って実行する。このレンズ制御回路201の詳細は、図2を用いて後述する。
【0026】
焦点調節レンズ203は、レンズ制御回路201からの指示に基づいて光軸方向に移動し、交換レンズ200の焦点状態を調節する。なお、本実施形態においては、単焦点レンズとして説明するが、勿論、焦点距離可変なズームレンズで構成してもよい。
【0027】
MF環204は、交換レンズ200の外周に配置され、交換レンズ200の光軸中心の周りに回転操作が可能であると共に、光軸方向に沿って第1の位置と第2の位置の間でスライド操作が可能である。MF環204を交換レンズ200の前方側(被写体側)にスライドさせた第1の位置において回転操作することにより、マニュアルフォーカス操作が可能である。また、MF環204を交換レンズ200の後方側(撮像側)にスライドさせた第2の位置において回転操作することにより、レンジフォーカス操作が可能である。MF環204は、レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向にスライド自在に配設されたリング部材としての機能を果たす。MF環204の第1の位置および第2の位置について、図3および図4を用いて後述する。
【0028】
絞り205は、レンズ制御回路201からの指示に基づいて、開口面積を変化させ、交換レンズ200を通過する被写体光束の光量を調節する。
【0029】
次に、カメラ制御回路101と、レンズ制御回路201の詳細について、図2を用いて説明する。カメラ制御回路101内には、本体CPU121が設けられており、この本体CPU121に、フラッシュROM(Read Only Memory)122、RAM(Random Access Memory)123、撮像素子制御回路124、ストロボ制御回路125、シャッタ制御回路126、画像処理回路127、表示回路128、操作スイッチ検出回路129、電源回路130、および通信回路131が接続されている。これらの各種回路と本体CPU121の間で、各種信号の入出力が行われる。
【0030】
本体CPU121は、フラッシュROM122に記憶されているプログラム等に従って、カメラ全体の制御を統括する。また、カメラ本体通信回路131およびレンズ通信回路229を介してレンズCPU221と通信が可能であり、制御命令を出力すると共に、焦点調節レンズ203のレンズ位置等のレンズ情報を取得する。
【0031】
フラッシュROM122は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、前述したように本体CPU121が実行するプログラムを記憶しており、また各種調整値等も記憶している。不揮発性メモリであればフラッシュROM以外のメモリを採用してもよい。RAM123は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSDRAM(Synchronous DRAM)等、電気的に書き換え可能な揮発性メモリであり、本体121において処理するための各種情報を一時的に記憶する。
【0032】
撮像素子制御回路124は、ライブビュー表示、AE、AF、撮影時の露光等、画像データを必要とする処理の動作実行時に、被写体像を画像信号に変換するための撮像動作を撮像素子103に実行させる。撮像動作としては、撮像素子103における電荷蓄積制御や画像信号の読み出し等を行う。
【0033】
ストロボ制御回路125は、ストロボ106に接続され、ストロボ106の充電、発光制御を行う。ストロボ制御回路125は、例えば、レンズCPU221から取得した焦点調節レンズ203のレンズ位置情報に基づいて、適正露光となるように発光量制御を行う。シャッタ制御回路126は、フォーカルプレーンシャッタ104に接続されており、本体CPU121からのシャッタ速度信号に基づいて、フォーカルプレーンシャッタ104の開閉制御を行う。
【0034】
画像処理回路127は、撮像素子103から出力される画像信号に対して、A/D変換やフィルタ処理等の画像処理を施す。また画像処理を施すにあたって、ライブビュー表示用の画像処理を行い、この処理された画像信号に基づいて表示モニタ105にライブビュー表示する。また、記録用の撮影画像の画像処理を行い、この処理された画像データを記録媒体(不図示)に記録する。また、焦点検出領域内の画像信号から高周波成分をハイパスフィルタ処理することによって抽出処理を行い、AF評価値を算出する。本実施形態においては、焦点検出にあたっては公知のコントラストAFを採用しており、焦点調節レンズ203を移動させ、AF評価値がピークとなる位置を合焦位置とする。なお、焦点検出方法としては、コントラストAFに限らず、位相差AF等、他の方法を採用してもよい。また、画像処理回路127は、前のフレームと現フレームの画像データを用いて、ブロック毎のモーションベクトルの算出が可能である。この場合、画像処理回路127は、被写体の移動量を判定する移動判定部としての機能を有する。
【0035】
表示回路128は、表示用モニタ105に接続されており、ライブビュー表示や、記録媒体に記録されている撮影画像の再生表示や、メニュー画面等の各種撮影情報の表示を行う。
【0036】
操作スイッチ検出回路129は、レリーズ釦107に連動するファーストレリーズスイッチ132およびセカンドレリーズスイッチ133、その他の検出スイッチ(不図示)と接続されており、これらのスイッチの操作状態を検出し、検出結果を本体CPU121に出力する。その他の検出スイッチとしては、電源のオンオフを行う電源釦に連動した電源スイッチ、カメラの撮影モードを切換える撮影モードスイッチ、メニュー画面を表示させるメニュー釦に連動したメニュースイッチ、記録媒体に記録されている撮影画像の再生表示を行わせる再生釦に連動した再生スイッチ、交換レンズ200の装着状態を検出するマウントスイッチ、動画撮影の開始および終了を指示する動画釦に連動した動画スイッチ等がある。
【0037】
上記メニュー画面においては、焦点調節モード等の種々の撮影情報の設定を行う。メニュー画面において設定する焦点調節モードとしては、本実施形態においては、自動的に焦点調節レンズ203のピント合わせを自動的に行うオートフォーカスモード(AFモード)と、ピント合わせを手動で行うマニュアルフォーカスモード(MFモード)の2種類がある。なお、カメラ本体100における焦点調節モードの設定は、本実施形態のようにメニュー画面以外においても、専用釦等によって設定する等、他の方法によって設定するようにしても勿論かまわない。
【0038】
電源回路130は、バッテリ108と接続され、電源電圧の平滑化や昇圧等を行って、カメラ本体100や交換レンズ200内の各回路・各部材に電源を供給する。
【0039】
カメラ本体通信回路131は、カメラ本体200の外部のマウント部に設けられた同期信号端子、データ端子等の複数の通信端子を有する。レンズ通信回路229を介して、本体CPU121とレンズCPU221が通信を行う。カメラ本体通信回路131とレンズ通信回路229間の通信は、本体と交換レンズの装着当初は非同期通信によって行うが、カメラ本体側で交換レンズの情報を取得後、装着された交換レンズ200が同期通信可能であれば、同期通信によって通信する。
【0040】
レンズ制御回路201内には、レンズCPU221が設けられており、このレンズCPU221に、レンズ駆動回路222、レンズ位置検出回路223、MF環位置検出回路224、MF位置検出回路225、指標位置検出回路226、絞り駆動回路227、RAM228、通信回路229が接続されている。
【0041】
レンズCPU221は、交換レンズ内に設けられたフラッシュROM(不図示)に記憶されたプログラムや各種調整値、レンズ位置検出回路223、MF環位置検出回路224、MF位置検出回路225、および指標位置検出回路226からの出力信号、および本体CPU121からの制御命令に従って、交換レンズ200内の制御を行う。具体的には、焦点調節レンズ203のレンズ駆動や、絞り205の絞り駆動等の各種駆動制御を行う。また、カメラ本体通信回路131およびレンズ通信回路229を介して、本体CPU121と通信を行い、本体CPU121からの動作命令の受信、交換レンズ200のレンズ動作状態や光学データ等のレンズ状態を示す情報の送信を行う。
【0042】
レンズ駆動回路222は、ステッピングモータ等のアクチュエータや、モータドライバ等を含んで構成され、焦点調節レンズ203を光軸方向に駆動制御を行う。また、後述するレンジフォーカスモード(RFモード)で焦点調節を行う場合には、カメラ本体100からの同期通信用の同期信号をタイミング信号として用いて、焦点調節レンズ203の制動(加減速)制御を行う。また、焦点調節レンズ203を微小反転駆動させる所謂ウォブリング動作による駆動制御も可能である。このレンズ駆動回路222は、焦点調節レンズ203を駆動するレンズ駆動部としての機能を果たす。
【0043】
レンズ位置検出回路223は、焦点調節レンズ203の位置検出を行う。このレンズ位置検出回路223は、レンズ駆動回路222に含まれるステッピングモータ等の駆動用モータの回転量をパルス数に変換するフォトインタラプタ(PI)回路を含んで構成される。位置検出結果は、焦点調節レンズ203の絶対値が無限端等基準位置からのパルス数で表わす。
【0044】
MF環位置検出回路224は、MF環204の交換レンズ200の光軸方向でのスライド位置を検出する。すなわち、MF環204は、交換レンズ204の前方側にスライドし、マニュアルフォーカス操作位置(MF位置、第1の位置)と、交換レンズ204の後方側にスライドし、レンジフォーカス操作位置(RF位置、第2の位置)の2つの位置に移動自在である。MF環位置検出回路224は、MF環204が第1の位置にあるか第2の位置にあるか否かを検出する。このMF環検出回路224は、リング部材が光軸方向にスライドした際に、第1の位置または第2の位置のいずれであるかを検出するスライド位置検出部として機能する。この位置検出機構については、図5を用いて後述する。
【0045】
MF位置検出回路225は、PI回路を含んで構成され、MF環204の交換レンズ200の光軸中心に対する回転方向の相対位置変化量を検出する。すなわち、MF環位置検出回路224によって検出されるMF環204の位置がマニュアルフォーカス操作位置(MF位置、第1の位置)にある場合に、PI回路から出力されるパルス信号に基づいて、MF環204の回転方向、回転量、回転速度等を検出できる。このMF環204の回転検出に使用する検出用タイマは、レンズCPU221内の通常の内蔵タイマを用いる。PI回路のフォトインタラプタの構成について、図5を用いて後述する。
【0046】
指標検出回路226は、リニアエンコーダやA/D変換回路等を含んで構成され、焦点調節レンズ203の駆動目標位置に対応する距離指標の検出を行う。すなわち、MF環位置検出回路224によって検出されるMF環204の位置がレンジフォーカス位置(RF位置、第2の位置)にある場合に、エンコーダ値のA/D変換結果に基づいてMF環204の交換レンズ200の光軸中心での回転方向位置で設定される駆動目標位置に対応する距離指標位置の検出を行う。すなわち、指標検出回路226は、MF環204によって設定された絶対的な距離(プリセット距離)の検出を行う。指標位置検出回路226はリング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタル信号で出力する回転位置検出部として機能する。なお、MF環204がRF位置(第2の位置)にスライド操作された際に、MF環204の回転方向の絶対的な位置によって決まる距離(プリセット距離)に相当するように焦点調節レンズ203を制御するモードをレンジフォーカスモード(RFモード)と称する。このエンコーダ値を読み取る際に使用する検出用タイマのタイミング信号は、カメラ本体100と交換レンズ200の間で同期通信を行うためのレンズ通信同期信号を利用する。リニアエンコーダを用いた指標検出回路226の検出機構の一例の構成については、図6を用いて後述する。
【0047】
絞り駆動回路227は、ステッピングモータ等のアクチュエータやモータドライバ等を含んで構成され、レンズCPU221からの絞り値に従って、絞り205の開口動作制御を行う。
【0048】
RAM228は、レンズCPU221において使用する各種情報を一時格納するための揮発性のメモリである。
【0049】
レンズ通信回路229は、交換レンズ200の外部のマウント部に設けられた同期信号端子、データ端子等の複数の通信接続端子を有し、カメラ本体通信回路131の通信接続端子と係合して、カメラ本体と通信を行う。このレンズ通信回路229を介して、本体CPU221からの焦点調節レンズ203や絞り205の制御命令等を受信し、また光学データ、レンズ位置情報、動作状態等のレンズ状態の情報を本体CPU221に送信する。
【0050】
なお、カメラ制御回路101とレンズ制御回路201は、共同してカメラを制御することにより制御部としての機能を果たす。すなわち、リング部材(MF環204)が第1の位置と第2の位置の間でスライド移動した際に、動画撮影中と撮影待機中では、レンズ駆動部によって駆動される焦点調節レンズ203の駆動速度を異ならせる制御部として機能する。また、この制御部は、撮影待機中(ライブビュー表示中)の焦点調節レンズ203の駆動速度を、動画撮影中の駆動速度よりも高速とする。また、この駆動速度は、被写体の動きに応じて制御する。この速度切換えについては、図17に示すフローチャートおよび図18を用いて後述する。
【0051】
また、制御部は、リング部材が第1の位置から第2の位置にスライド移動した際に、プリセット距離を表すデジタル信号に基づいて焦点調節レンズ203のピント位置を制御する。さらに、制御部は、リング部材が第1の位置と第2の位置の間でスライド操作された際に、操作位置に応じて距離まで焦点調節レンズを第1または第2の速度で移動させる。
【0052】
次に、MF環204の第1の位置と第2の位置へのスライド操作について、図3および図4を用いて説明する。図3はMF環204が第1の位置にある場合を示し、図4はMF環204が第2の位置にある場合を示す。
【0053】
交換レンズ200の後方側には、バヨネット部21が設けられている。このバヨネット部21は、図示しないカメラ本体100側のバヨネット部と係合することにより、交換レンズ200をカメラ本体100に装着可能である。基台22は、バヨネット部21と一体に構成され、バヨネット部21がカメラ本体100に装着されると、カメラ本体100に固定される。
【0054】
MF環204は、交換レンズ200のレンズ鏡筒の外周部において、光軸Oの周りに回動可能、かつ光軸O方向に進退移動可能に配設された略円筒状の形状である。MF環204は、レンズ鏡筒の外周上に露出しており、撮影者の指が掛かるように配設されている。なお、MF環204の一部のみが外周上に露出するように構成しても勿論かまわない。
【0055】
指標表示枠25は、基台部22に対して位置が固定され、レンズ鏡筒の外装部材の一部である。指標表示枠25は、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合でも、MF環204よりも前方側に配置されている。この指標表示枠25には、指標25aおよび被写体深度指標25bが表示されている。指標25aは後述する距離表示環24に設けられた距離目盛24aの基準指標を示し、被写体深度指標25bは、絞り205の絞り値に応じた被写体深度を、距離目盛24aに対して示す指標である。
【0056】
図3に示す状態において、MF環204を光軸Oに沿って後方側(撮像側、カメラ本体側)の第2の位置にスライド移動させると、図4に示すように、距離表示環24が露出する。距離表示環24は、MF環204の内側に配設された略円筒状の部材であり、MF環204が第1の位置にある際には、MF環204と一体に移動することがない。しかし、MF環204が第2の位置に移動すると、距離表示環24はMF環204と一体に光軸O周りに回動可能である。
【0057】
距離表示環24の外周面には、図4に示すように、焦点距離レンズ203のピントが合う距離(合焦距離)を表す距離目盛24aが表示されている。距離目盛24aは、最短合焦距離から無限遠までの距離を示す数値が周方向に沿って配列されている。距離表示環24が指標表示枠25に対して光軸O周りに回動することにより、指標25aが指し示す距離目盛24aの数値が変化する。
【0058】
距離表示環24は、光軸O周りの回動範囲が制限されており、指標25aによって指示される距離範囲内でのみ回動可能である。したがって、距離目盛24aは、指標25aに対して最短合焦距離から無限遠までの距離を数値で表示する。
【0059】
このように、本実施形態においては、MF環204が第1の位置(MF位置)に位置している場合には、図3に示すように、距離表示環24の距離目盛24aは、レンズ鏡筒の外部から見えない状態となる。一方、MF環204が第2の位置(RF位置)に位置している場合には、図4に示すように、距離目盛24aは、レンズ鏡筒の外部から見える状態となる。
【0060】
距離表示環24は、前述したように、MF環204が第2の位置にある場合にのみ、MF環204とともに光軸O周りに回動するように構成され、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合には、MF環204は距離表示環24と独立して回動可能である。
【0061】
すなわち、距離表示環24の内周部には、図5に示すように、係合ピン24bが径方向内側に突出するように設けられている。また、MF環204の内側筒部204bには、複数の係合部204aが配置されている。MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合には、係合ピン24bはMF環204の係合部204aよりも後方側にあって、MF環204が光軸O周りに回動しても係合部204aと干渉しない位置ある。また、MF環204が第2の位置(RF位置)にある場合には、係合ピン24bは係合部204aと重なる位置に配置されている。したがって、MF環204が第2の位置にある場合には、距離表示環24はMF環204とともに光軸O周りを回動し、一方、MF環204が第1の位置にある場合には、MF環204が光軸O周りに回動したとしても距離表示環24は回動せずに停止したままとなる。
【0062】
次に、MF環位置検出回路224とMF位置検出回路225の検出機構の構成について、図5を用いて説明する。MF環位置検出回路224は、フォトインタラプタ部224aを有している。このフォトインタラプタ部224aは、基台部22または基台部22と一体に構成された部材に固定されており、MF環204が第2の位置に位置している場合に、MF環204の少なくとも一部が検出範囲内に入る位置にあり、またMF環204が第1の位置に位置している場合には検出範囲外になる位置に設けられている。
【0063】
なお、本実施形態においては、フォトインタラプタ部224aによってMF環204の位置を検出しているが、フォトインタラプタに限らず、MF環204の位置を検出可能であれば、他の検出センサを採用しても構わない。例えば、磁気センサやスイッチ等であってもよい。
【0064】
MF位置検出回路225は、一対のフォトインタラプタ225aを有している。また、MF環204と一体に回動する内側筒204bの周方向には、所定の間隔で設けられた複数のスリット孔204cが設けられている。一対のフォトインタラプタ225aは、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合に、スリット孔204cの検出範囲内に設けられている。そして、一対のフォトインタラプタ225aからの出力信号に基づいて、MF環204の光軸O周りの回動方向、回動量、回転速度等の回転状態を検出する。
【0065】
なお、MF位置検出回路225の検出センサは、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合に、MF環204の回転を検出可能であればよく、例えば、磁気式のロータリーエンコーダ―等でも構わない。
【0066】
次に、指標位置検出回路226の検出機構について、図6を用いて説明する。指標位置検出回路226は、エンコーダ部226aを有している。このエンコーダ部226aは、距離表示環24の基台部22に対する光軸O周りの絶対的な回動位置(プリセット位置)を検出する。エンコーダ部226aは、導電体からなる所定ビット数のコードパターン226bと、コードパターン226bに摺動する導電体からなる接点部226cから構成される。
【0067】
コードパターン226bは、距離表示環24の外周部配設されており、接点部226cは、基台部22と一体に構成された固定枠に配設されている。距離表示環24が光軸O周りに回動すると、その回動位置に応じて、接点部226cが接触するコードパターン226bの位置が変化する。指標位置検出回路226は、コードパターン226bと接点部226cの接触状態の変化を検出し、MF環204の光軸O周りの絶対的な回動位置(プリセット位置)を検出する。したがって、エンコーダ部226によって、プリセット位置に対応するプリセット距離を検出することができ、このプリセット距離は、所定ビット数のデジタル信号であり、離散的な値となる。
【0068】
なお、指標位置検出回路226は、基台部22に対する光軸O周りの絶対的な回動位置を検出することが可能であれば、接点方式のエンコーダ以外の構成を採用しても勿論かまわない。例えば、光学式または磁気式の絶対位置検出用のロータリーエンコーダであってもよく、また距離表示環24の光軸O周りの回動位置に応じて抵抗値が変化するポテンショメータであってもよい。また、本実施形態においては、絶対位置の検出にあたって、高速に検出するために、カメラ本体100と交換レンズ200との間の同期通信の際のレンズ通信同期信号を検出用タイマのタイミング信号として利用する。
【0069】
次に、カメラ本体100と交換レンズ200の間でなされる同期通信の一例を、図7を用いて説明する。図7において、横軸は時間の流れを表し、縦軸にそれぞれの処理内容やタイミングを示す。カメラ本体処理において、処理B1では、前フレームで取得した画像データによりライブビュー画像の表示や、AF評価値の算出を行う。また処理B2では、レンズ状態通信により取得したレンズ状態データに基づいて、AF演算や各種設定変更等を行う。
【0070】
垂直同期信号は、各フレームに対応して出力される信号である。撮像・読出しでは、撮像素子103において被写体像を撮像し、この撮像した画像データの読み出しを行う。なお、撮像・読出しが、図7において、菱形形状をしているのは、本実施形態においては、ライブビュー画像の取得時はローリングシャッタを採用しており、画素ラインごとに撮像と読出しを順次行うためである。
【0071】
レンズ通信における通信BLでは、カメラ本体100から交換レンズ200にレンズ状態データ要求コマンドを送信し、このコマンドは交換レンズ200のレンズ状態を示すデータをカメラ本体100に送信することを要求する。また通信LBでは、レンズ状態データ要求コマンドに応じて、交換レンズ200がカメラ本体100にレンズ状態を示すデータを送信する。
【0072】
レンズ通信同期信号は、カメラ本体100において垂直同期信号に応答して生成され、このレンズ通信同期信号はカメラ本体通信回路131の同期信号端子より交換レンズ200に出力される。レンズ位置取得信号は、所定のタイミング、例えば図7に示す例では、撮像素子103における電荷蓄積時間の略中央時点を経過した時点で状態が変化する。
【0073】
また、交換レンズ200内における処理L1は、レンズ位置取得信号の状態変化タイミングでの焦点調節レンズ203の位置情報の取得、およびレンズ通信同期信号の受信タイミングでのMF環204の操作状態の検出を行う処理である。また処理L2は、カメラ本体100から受信したレンズ状態データ要求コマンドに応じて、焦点調節レンズ203の位置情報や、MF環204の操作状態等のレンズ状態データを送信する処理である。
【0074】
図7のタイミングチャートに示すように、本実施形態における同期通信では、垂直同期信号に同期してカメラ本体100内において処理B1を実行し、また、垂直同期信号に同期してレンズ通信同期信号を交換レンズ200に送信する。
【0075】
カメラ本体100内において処理B1を処理すると、交換レンズ200に対して通信BLによって、レンズ状態データ要求コマンドを送信する。交換レンズ200はレンズ状態データ要求コマンドを受信すると、レンズ状態を検出し、通信LBによってレンズ状態データを送信する。カメラ本体100はレンズ状態データを受信すると、処理B2を実行する。
【0076】
また、交換レンズ200内において、レンズ位置を取得する処理L1はレンズ位置取得信号に同期して実行する。このレンズ位置取得信号は所定のタイミング、前述したように、図7の例においては、撮像素子103の画面中央による電荷蓄積時間の1/2が経過した時点で発生する。交換レンズ200は、レンズ位置取得信号の状態変化のタイミングでレンズ位置検出回路223によって焦点調節レンズ203の位置情報を取得する。これらの同期通信は、全体としては、レンズ通信同期信号に同期して実行される。
【0077】
次に、本実施形態における焦点調節モードについて説明する。本実施形態においては、焦点調節モードとしては、オートフォーカスモード(AFモード)、マニュアルフォーカスモード(MFモード)、およびレンジフォーカスモード(RFモード)の3種類のモードが用意されている。AFモードは、撮像素子103からの画像データに基づくコントラストAFを用いた山登り法によって、自動的に焦点調節レンズ203のピント合わせを行う。またMFモードは、MF環204が第1の位置(MF位置)にある際に、手動でMF環204を回転させ、このときの回転状態に応じて焦点調節レンズ203を移動させてピント合わせを行う。AFモードとMFモードは、前述したように、カメラ本体100において、例えば、メニュー画面において設定される。
【0078】
これに対して、RFモードでは、MF環204が第2の位置にある際に、MF環204を回動させ、距離表示環24の距離目盛24aを指標25aに合わせることにより距離設定を行い、この設定距離にピント合わせを行う。RFモードで事前に距離を設定した後に、電源オフし、その後RFモードで電源オンとすると、事前設定した距離にピントを合わせることができる。例えば、図8(a)に示すように、撮影者301が街などを散歩している際に、事前にRFモードで距離を設定しておくと、図8(b)に示すように、被写体303が突然現われた場合であっても、迅速に撮影することができる。
【0079】
また、RFモードで距離設定後に、MF環204を第1の位置(MF位置)にスライドさせることによりMFモードやAFモードに切換えた場合であっても、MF環204を第2の位置にスライドさせると、設定された距離に直ちにピント合わせがなされる。
【0080】
このように本実施形態においては、焦点調節にあたって、AFモード、MFモード、RFモードの3つモードを有している。この3つのモードの切換えについて、図9を用いて説明する。図9において、状態1はAFモードであり、状態2はMFモードであり、状態3はRFモードである。このうち、AFモードおよびMFモードは、前述したようにカメラ本体100のメニュー画面で設定し、RFモードは交換レンズ200のMF環204を第2の位置にスライド移動させることにより設定できる。
【0081】
状態1のAFモードは、カメラ本体100のメニュー画面で焦点調節設定としてAFモードが設定されたままであり、かつMF環204がMF位置(第1の位置)にある場合には、AFモードが維持される。状態2のMFモードは、カメラ本体100側でMFモードが設定されたままであり、かつMF204がMF位置(第1の位置)にある場合には、MFモードが維持される。
【0082】
状態1のAFモードから状態2のMFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)に維持したままで、カメラ本体100側で焦点調節設定としてMFモードに変更すればよい。逆に、MFモードからAFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)に維持したままで、AFモードに変更すればよい。
【0083】
状態1のAFモードから状態3のRFモードに切換えるには、MF環204をRF位置(第2の位置)にスライド操作するのみでよく、カメラ本体100における焦点調節設定の変更は不要である。逆に状態3のRFモードから状態1のAFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)にスライド操作を行うとともに、カメラ本体100における焦点調節設定としてAFモードへの変更を行う。
【0084】
状態2のMFモードから状態3のRFモードに切換えるには、MF環204をRF位置(第2の位置)にスライド操作するのみでよく、カメラ本体100における焦点調節設定の変更は不要である。逆に状態3のRFモードから状態2のMFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)にスライド操作を行うとともに、カメラ本体100における焦点調節設定としてMFモードへの変更を行う。
【0085】
次に、図10ないし図12を用いて、RFモードとMFモード間の切換え時の動作について説明する。図10(a)(b)は、MF環204を第2の位置(RF位置)にスライドしており(図11(b)参照)、図10(c)は、MF環204を第1の位置(MF位置に)にスライドした状態を示す(図11(a)参照)。前述したように、MF環204が第2の位置(RF位置)に有る場合には、図10(b)に示すように、MF環204を回転させると、距離表示環24も一緒に回転する。指標25aに距離表示環24の距離目盛24aを一致させると、プリセット距離が設定され、このプリセット距離にレンズ駆動される。
【0086】
動画撮影中にRFモードでRF環204を回転させると、図12(a)に示すように、プリセット距離がステップ状に変化する。プリセット距離を検出するエンコーダ部226aは、図6に示すように4ビット構成のコードデータであることから、至近端から無限端まで16分割されているため、プリセット距離が離散値となるからである。エンコーダ部226のビット数を多くすれば、ステップの段差は小さくなるが、ステップ状になることは避けられない。
【0087】
図10(a)に示すRFモードにおいて、MF環204を第1の位置(MF位置)にスライド操作すると、MFモードに切り換わるが(本体側でAFモードに設定している場合にはAFモード)、このときの焦点調節レンズ203のフォーカス位置は、本実施形態においては、前回のMFモードのフォーカス位置である。すなわち、MFモードからRFモードに切り換わる場合には、直前の焦点調節レンズ203のフォーカス位置を記憶しておき、MFモードに戻った際には、RFモードに切り換わる直前のフォーカス位置を読み出し、その位置に移動する。
【0088】
図12(a)に示す例において、MFモードからRFモードに切り換わる直前のフォーカス位置(ピント位置)をF1とし、またRFモードで設定されたプリセット距離に対応するフォーカス位置(ピント位置)をF2とする。RFモードからMFモードに切換えた際に、焦点調節レンズ203のフォーカス位置は、フォーカス位置F1からフォーカス位置F2に移動する。本実施形態においては、このときの焦点調節レンズ203の駆動速度を、動作撮影中と撮影待機中で切換えている。
【0089】
すなわち、動画撮影中には、図12(b)の駆動ラインDL1に沿って、焦点調節レンズ203を低速で徐々に移動させる。動画撮影中は、急激にフォーカス位置が変化すると不自然であることから、駆動ラインDL2に沿って、時間と共に徐々にピントを変化させる。一方、撮影待機中(ライブビュー表示)の際には、可能な限りステップ状に、すなわち迅速にフォーカス位置を移動させる。これにより機敏な動作を実現することができる。
【0090】
また、逆に、MFモードからRFモードに切り換わる場合も、動画撮影中か撮影待機中かに応じて、焦点調節レンズ203の駆動ラインDL1、L2を切換える。すなわち、本実施形態において、RFモードで設定されたプリセット距離は、MFモードに切り換わる前に記憶されている。MFモードからRFモードに戻ると、図12(a)に示す例では、フォーカス位置F2からフォーカス位置F1に焦点調節レンズ203のフォーカス位置が移動する。この移動の際に、図12(b)に示したような駆動ラインDL1、L2に沿った制御を行う。
【0091】
次に、本実施形態における撮影動作について、図13ないし図16に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、主として、カメラ本体100内のフラッシュROM122に記憶されているプログラムに従って本体CPU121が実行するが、一部、MF環操作検出・動作処理のフロー中、RFモードが設定された場合には、交換レンズ200内のフラッシュROMに記憶されているプログラムに従って、レンズCPU221が主として実行する。
【0092】
操作スイッチ検出回路129が、電源釦が操作されたことを検出すると、図13に示すフローチャートが動作を開始する。まず、交換レンズ200が装着されているか否かを判定する(S1)。この判定は、操作スイッチ検出回路129がマウントスイッチ等の状態を検出し、この検出結果に基づいて行う。この判定の結果、交換レンズ200が装着されていなかった場合には、交換レンズ200の装着を待つ、待機状態となる。待機中に撮影者により撮影パラメータの変更操作や過去に撮影した撮影画像の再生操作、焦点調節モードの設定等が行われた場合には、指示された動作を実行する。
【0093】
ステップS1における判定の結果、交換レンズ200がカメラ本体100に装着された場合には、次に、レンズ通信を行う(S3)。ここでは、カメラ本体通信回路131およびレンズ通信回路229を介して、レンズCPU221と非同期通信を行う。この非同期通信により、焦点調節レンズ203等の動作パラメータ、色収差データ等の光学データなどのレンズデータ、同期通信が可能か否かの情報等を取得し、RAM123に記憶する。
【0094】
レンズ通信を行うと、次に、同期通信を開始する(S5)。ここでは、図7を用いて説明したように、カメラ本体100から交換レンズ200にレンズ通信同期信号を送信し、この信号に同期して通信を行う。同期周期毎に焦点調節レンズ203等の動作状態やMF環204の操作状態等のレンズ状態データを取得して、レンズ状態に応じた制御動作を実行する。従って、レンズ通信同期信号が出力されるたびに、カメラ本体は、焦点調節レンズ203のレンズ位置に関するデータ、MF環204が第1の位置にあるか第2の位置にあるか、また絞り205の絞り値等の情報を取得でき、この情報に応じた制御動作を実行する。また、カメラ本体100からも、AF制御を行うための焦点調節レンズ203の駆動方向および駆動量、また絞り205の絞り込み量に関する制御命令を送信することができる。なお、ステップS3において行ったレンズ通信によって、同期通信が不可の交換レンズが装着された場合には、同期通信は行わない。
【0095】
同期通信を開始すると、次に、ライブビュー表示を開始する(S7)。本体CPU121は撮像素子制御回路124より撮像素子103を同期周期毎に動作させて画像データを取得し、画像処理回路127においてライブビュー表示用の画像処理を施す。ライブビュー表示用に処理された画像データを用いて、表示回路128は表示用モニタ105にライブビュー表示を開始する。
【0096】
ライブビュー表示を開始すると、次に、交換レンズ100が取り外されたか否かの判定を行う(S9)。ここでは、ステップS5において開始した同期通信の通信状態、およびステップS1と同様に、マウントスイッチの状態の少なくとも1つに基づいて、交換レンズ100が取り外されたか否かを判定する。この判定の結果、交換レンズ100が取り外された場合には、ステップS1に戻る。
【0097】
ステップS9における判定の結果、交換レンズ100が取り外されておらず、装着されている場合には、次に、電源オフか否かの判定を行う(S11)。ここでは、操作スイッチ検出回路129が電源釦の操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、電源オフであった場合には、終了処理を行う(S13)。ここでは、各種データの退避処理、リセット動作、電源系統の切断処理等の処理を行う。終了処理を行うと、このフローを終了する。
【0098】
ステップS11における判定の結果、電源オフでなかった場合には、次に、MF環操作検出・動作処理を行う(S15)。ここでは、MF環204の操作状態に応じて焦点調節レンズ203の動作制御や設定処理を行う。すなわち、MF環204が交換レンズ200の後方側(撮像側)にスライドしている第2の位置にある場合には、カメラ本体100でAFモードに設定されているか、MFモードに設定されているかに係わらず、RFモードを実行する。一方、MF環204が交換レンズ200の前方側(被写体側)にスライドしている第1の位置にある場合には、カメラ本体100で設定されたAFモードまたはMFモードに従った制御を行う。
【0099】
また、RFモードとMFモード(AFモード)間でモードの切換えがなされた場合には、動画撮影中か撮影待機中かに応じて、焦点調節レンズ203の駆動速度の切換えを行う。MF環操作検出・動作処理の詳しい処理については、図14ないし図16を用いて後述する。
【0100】
MF環操作検出・動作処理を行うと、次に、動画スイッチがオンか否かを判定する(S17)。ここでは、操作スイッチ検出回路129が動画スイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。
【0101】
ステップS17における判定の結果、動画スイッチがオフであった場合、すなわち、静止画撮影モードの場合には、1stレリーズスイッチがオンか否かを判定する(S19)。撮影者は、撮影に入る前に準備段階としてレリーズ釦を半押し操作する。ここでは、操作スイッチ検出回路129が1stレリーズスイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、ステップS9に戻る。
【0102】
ステップS19における判定の結果、1stレリーズスイッチがオンであった場合には、次に、静止画測光・AFを行う(S21)。ここでは、静止画撮影用の測光、露出演算、AF等の撮影に必要な動作を実行する。測光および露出演算は、撮像素子103からの画像データに基づいて、被写体輝度を検出し、検出された被写体輝度に基づいて適正露光となるシャッタ速度および絞り値等の露出制御値を算出する。また、静止画撮影用のAFは、画像データから抽出した高周波成分(AF評価値)が最も大きくなるように、所謂山登り法によるAF動作を行う。なお、位相差AFによる自動焦点調節動作を行うようにしてもよい。
【0103】
静止画測光・AFを行うと、次に、1stレリーズスイッチがオフか否かを判定する(S23)。撮影者は、撮影準備としてレリーズ釦を半押した後、レリーズ釦から手を離し撮影準備動作を中止する場合がある。ここでは、操作スイッチ検出回路129が1stレリーズスイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、後述するステップS41に進む。
【0104】
一方、ステップS23における判定の結果、1stレリーズスイッチがオフでなかった場合、すなわちオンであった場合には、次に、2ndレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(S25)。撮影者は、ライブビュー表示を観察し、構図およびシャッタタイミングが決まると、レリーズ釦を全押し、撮影の実行を指令する。ここでは、操作スイッチ検出回路129が2ndレリーズスイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、2ndレリーズスイッチがオフであった場合には、ステップS23に戻る。
【0105】
ステップS25における判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンであった場合には、撮影動作に移る。まず、撮像を行う(S27)。ここでは、ステップS21において算出した露出演算結果に基づいて、本体CPU121はレンズCPU221と通信を行い、絞り205の絞り込み動作を指示し、絞り込み動作完了後に撮像素子制御回路124、シャッタ制御回路126により撮像素子103およびフォーカルプレーンシャッタ104を制御し撮像動作を行う。撮像動作の終了後、撮像素子103から読み出された画像信号を画像処理回路127によって処理し画像データを取得する。
【0106】
撮像を行うと、次に、画像データの記憶を行う(S29)。ここでは、本体CPU121は、ステップS27において取得した画像データをRAM123や、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部記憶媒体に記憶する。また、取得した画像データに基づいて、表示回路127を介して表示用モニタに、所定時間の間、撮影画像の表示を行う。
【0107】
ステップS17における判定の結果、動画スイッチがオンであった場合には、動画撮影モードに入る。まず、動画撮影を開始する(S31)。本体CPU121は、撮像素子制御回路124により撮像素子103を同期周期毎に動作させて動画撮影を開始させる。撮像素子103から出力される画像信号を画像処理回路127で動画用に画像処理を施し、この動画用画像データをRAM123やコンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部記憶媒体に記録を開始する。
【0108】
動画撮影を開始すると、続いて、MF環操作検出・動作処理を行う(S33)。ここでは、ステップS15と同様に、MF環204の操作状態に応じて焦点調節レンズ203の動作制御や設定処理を行う。また、AFモードが設定されている場合には、動画撮影用のAFは山登りAF動作を行い、必要に応じて合焦付近で焦点調節レンズ203を微小反復駆動させる、所謂、ウォブリング動作等を実行する。
【0109】
MF環操作検出・動作処理を行うと、次に、動画測光を行う(S35)。動画撮影用のAEとしては、静止画撮影時よりも細かい駆動ステップで絞り205を絞り駆動回路227により駆動させて撮像素子103に入射する被写体光量変化が滑らかになるように制御を行う。
【0110】
動画測光動作を行うと、次に、動画スイッチがオフか否かを判定する(S37)。撮影者は動画撮影を終了する場合には、動画釦から手を離すので、ここでは、操作スイッチ検出回路129が動画スイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、動画スイッチがオンであれば、ステップS33に戻り、動画撮影を続行する。
【0111】
ステップS37における判定の結果、動画スイッチがオフであれば、次に、動画撮影終了処理を行う(S39)。ここでは、本体CPU121は、撮像素子制御回路124により撮像素子103の動作を停止させて、動画撮影を終了する。
【0112】
ステップS29において画像データの記憶を行うと、またはステップS39において動画撮影終了を行うと、またはステップS23における判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、次に、表示の初期化を行う(S41)。ここでは、本体CPU121は、表示回路127により撮影画像表示や動画撮影パラメータ表示のクリア等を行って、表示用モニタ105における表示をライブビュー表示に戻す。表示の初期化を行うと、ステップS9に戻る。
【0113】
次に、ステップS15およびS33におけるMF環操作検出・動作処理について、図14ないし図16に示すフローチャートを用いて説明する。なお、MF環検出・動作処理のフローの動作は、本体CPU121の制御の下にレンズCPU221によって実行されるが、RFモードを実行する際には、レンズCPU221が主になって実行される。なお、カメラの起動時およびレンズ装着時の初期化のステップにおいて、フォーカス移動先として、現在のレンズのフォーカス位置を設定しておく。また、カウンタを0に初期化しておく。
【0114】
MF環204操作検出・動作処理のフローに入ると、まず、光軸方向の切換えがなされたか否かの判定を行う(S51)。ここでは、MF環204が光軸方向にスライドされMF位置(第1の位置)もしくはRF位置(第2の位置)に移動したか否かを、MF環位置検出回路224が判定する。
【0115】
ステップS51における判定の結果、MF環が光軸方向に切換えがなされていた場合には、次に、RFモードか否かを判定する(S53)。ここでは、MF環位置検出回路224の検出結果から、MF環204がRF位置にあるか否かに基づいて判定する。
【0116】
ステップS53における判定の結果、MF環204がRF位置にあり、RFモードであった場合には、次に、現在のフォーカス位置をフラッシュメモリに記録する(S59)。本実施形態においては、MF/AFモード(MFモードまたはAFモードであることを表す)から、RFモードに切り換わり、その後MF/AFモードに戻る場合には、前のMF/AFモード時における焦点調節レンズ203のフォーカス位置に設定する。このため、RFモードへの切換え時に、MF/AFモード時におけるフォーカス位置を、フラッシュROM122(または交換レンズ200内のフラッシュROM)に記憶している。
【0117】
現在のフォーカス位置をフラッシュメモリに記録すると、次に、RFモードに切換える(S61)。RFモードに設定されたことを、表示用モニタ105に表示する。続いて、RFモード時に指示されているフォーカス位置を交換レンズ200から取得する(S63)。RFモード時には、MF環204を回転させ、指標25aと一致する距離目盛24aを指標位置検出回路226が検出する。この検出された絶対距離(プリセット距離)を交換レンズ200から取得する。
【0118】
ステップS53における判定の結果、RFモードでなかった場合には、MF/AFモードに変更する(S55)。前述したように、MFモードとAFモードはカメラ本体100のメニュー画面において設定される。ステップS53における判定の結果、RFモードではなかったことから、メニュー画面で設定されたMFモードかAFモードのいずれかに設定する。
【0119】
MF/AFモードに変更すると、次に、直前のMFモード時またはAFモード時のフォーカス位置をフラッシュメモリから読み込む(S57)。現在は、MFモードもしくはAFモードであり、その前はRFモード、更に前はMFモードもしくはAFモードであったことから、前述したように、ステップS59において、RFモードに切り換わる直前のフォーカス位置をフラッシュROM122(もしくは、交換レンズ200内のフラッシュROM)に記憶しているので、このフォーカス位置を読み出す。
【0120】
ステップS51における判定の結果、光軸方向の切換えがなかった場合には、次に、RFモードかつ距離指標が変更されたか否かを判定する(S71、図15参照)。MF環204の光軸方向の位置に変化がなかったことから、このステップでは、まず、RFモードが維持されたままで、距離指標が変更されたか(MF環204が回転されたか否か)を判定する。MF環204が回転されたか否かは、MF位置検出回路225の検出結果に基づいて判定する。
【0121】
ステップS71における判定の結果、RFモードかつ距離指標が変更された場合には、次に、変更された距離指標に応じたフォーカス位置を交換レンズ200から取得する(S73)。ここでは、指標位置検出回路226のエンコーダ部226からの検出信号を取得する。
【0122】
ステップS71における判定の結果、RFモードかつ距離指標変更でなかった場合には、次に、MFモードかつリング回転がなされたか否かを判定する(S75)。ここでは、MFモードが維持されており、かつMF環204が回転したか否かを判定する。MF環204の回転は、MF位置検出回路225の検出信号に基づいて判定する。
【0123】
ステップS75における判定の結果、MFモードかつリング回転であった場合には、フォーカス位置を回転方向および回転量に合わせて変更する(S77)。MFモードであることから、MF位置検出回路225によって検出されたMF環204の回転状態(回転方向および回転量)に応じて、焦点調節レンズ203のピント合わせを行う。
【0124】
ステップS75における判定の結果、MFモードかつリング回転でなかった場合には、AFモードか否かの判定を行う(S79)。ここでは、カメラ本体100のメニュー画面においてAFモードが設定されているか否かを判定する。この判定の結果、AFモードが設定されていない場合には、後述するステップS91に進む。この場合は、RFモードまたはMFモードが設定されているが、MF環204が回転していない場合等である。
【0125】
ステップS79における判定の結果、AFモードであった場合には、次に、AF評価値を取得する(S81)。ここでは、画像処理回路127が画像データに基づいてAF評価値を算出する。
【0126】
AF評価値を取得すると、次に、ウォブリングによるフォーカス位置を微小移動させる(S83)。前述したように、ウォブリング動作では、焦点調節レンズ203を微小反転駆動させる。ウォブリング動作を行うと、AF評価値を取得する(S83)。ウォブリング動作によって焦点調節レンズ203を微小移動させた位置でAF評価値を得る。
【0127】
AF評価値を取得すると、フォーカス位置を決定する(S85)。AFモードが設定されている場合には、常に自動焦点調節を実行するため、ステップS67においてカウンタはリセットせずに、後のステップで常にフォーカスを微小移動させることで自然な動画のフォーカス合わせを実現する。
【0128】
ステップS57において直前のMF/AF時のフォーカス位置を読み出すと、またはステップS63においてRFモードで指示されている絶対距離(プリセット距離)を取得すると、またはステップS73において変更されたプリセット距離を取得すると、またはステップS77においてMFモードでピント合わせを行うと、次に、カウンタ値がスレッシュ値以上か否かを判定する(図14のS65)。このカウンタは、後述するステップS101で加算することにより、フォーカス位置が変更されてからの時間を表す。
【0129】
ステップS65における判定の結果、カウンタがスレッシュを越えていない場合には、カウンタを0にリセットする(S67)。したがって、MF環204の操作がなされ、ピント合わせのためにレンズ移動中でなれば、カウンタは0にリセットされる。
【0130】
ステップS67においてカウンタを0にリセットすると、またはステップS65における判定の結果、カウンタがスレッシュを越えた場合には、またはステップS85においてフォーカス位置を決定すると、フォーカス位置をフォーカス移動先として設定する(S69)。ここでは、ステップS57において読み込んだフォーカス位置、ステップS63において指示されたフォーカス位置、ステップS73において取得したフォーカス位置、ステップS77において変更したフォーカス位置、ステップS85において決定したフォーカス位置を、焦点調節レンズ203の移動先のフォーカス位置として設定する。
【0131】
ステップS69においてフォーカス位置をフォーカス移動先として設定すると、またはステップS79における判定の結果、AFモードが設定されていない場合には、次に、動画撮影中か否かの判定を行う(図16のS91)。動画撮影は、前述のステップS17(図13)において開始され、ステップS37においてオフされるまで続く。
【0132】
ステップS91における判定の結果、動画撮影中でなければ、現在のレンズのフォーカス位置をフォーカス移動先に移動させる(S103)。前述したステップS69において、移動先のフォーカス位置を設定しているので、この位置に、レンズ駆動回路222はレンズ位置検出回路223からの検出信号と参照しながら、焦点調節レンズ203の駆動を行う。動画撮影中でないことから、ライブビュー表示を行っている撮影待機状態である。この場合には、図12(b)に示した駆動ラインDL2に沿って高速でフォーカス移動先に移動させる。
【0133】
焦点調節レンズ203をフォーカス移動先に移動させると、カウンタを0にリセットする(S105)。焦点調節レンズ203の位置がフォーカス位置と同じになったことから、カウンタを0にリセットする。
【0134】
ステップS91における判定の結果、動画撮影中であった場合には、次に、フォーカス移動先とレンズフォーカス位置は同じか否かを判定する(S93)。レンズ位置検出回路223から取得した現在の焦点調節レンズ203のフォーカス位置と、ステップS69において設定したフォーカス位置が同じであるか否かを判定する。この判定の結果、同じであった場合には、前述したステップS105に進み、カウンタを0にリセットする。
【0135】
一方、ステップS93における判定の結果、フォーカス移動先とレンズフォーカス位置が同じでなかった場合には、ステップS65と同様に、カウンタ値がスレッシュ値以上か否かの判定を行う(S95)。ここでは、フォーカス移動中であるか否かを判定する。前述したように、MF環204が操作されると、ステップS67において、カウンタがリセットされる。例えば、フレームレートが30fpsの動画の場合であって、スレッシュとして3を設定すると、最終操作から100ms後にフォーカス移動を開始することになる。なお、移動開始までの時間は、100msに限らず、50ms〜300ms程度であれば、応答性として違和感がない。
【0136】
ステップS95における判定の結果、カウンタ値がスレッシュ以上であった場合には、フォーカス移動中であることから、次に、移動量取得を行う(S97)。例えば、無限遠から至近まで3秒程度で移動するような速度になるようにフォーカスを微小移動させる。30fpsの動画の場合であって、無限遠から至近まで300ステップのフォーカス位置を指定できるレンズの場合には、300/30/3で、3ステップずつフォーカス位置を移動させることができる。本実施形態においては、このサブルーチンは毎フレーム処理されるため、フレーム毎に滑らかにフォーカス位置を変化させることができる。なお、移動時間としては、3秒に限らず、0.5秒から5秒程度であればよく、2秒くらいが望ましい。
【0137】
また、前回のフレームと今回のフレームの相関を算出して、画角全体が大きく移動している場合には、移動量が大きい程、1以上の大きな補正係数を上述のステップ(例えば、3ステップ)に乗ずる。これにより、カメラが大きく移動した場合には、フォーカス移動速度が速くなる。同様に、一部分、例えば顔検出した領域のみが移動している場合には、移動量が大きい程1以上の大きな補正係数をさらに乗ずる。これにより、主要な被写体が大きく移動した場合には、フォーカス移動速度が速くなる。この補正係数を求めてステップ数を算出する処理の詳細については、図17を用いて後述する。
【0138】
移動量を取得すると、次に、レンズのフォーカス位置をフォーカス移動先までフォーカス移動先を超えない範囲で、移動量分移動させる(S99)。ここでは、ステップS97において取得した移動量に基づいて、レンズ駆動回路222はレンズ位置検出回路223からの検出信号と参照しながら、焦点調節レンズ203の駆動を行う。ステップS97において取得した移動量に基づいて、レンズ駆動を行うことにより、図12(b)に示す駆動ラインDL1に沿って、時間と共に徐々にフォーカスが変化する。
【0139】
ステップS99においてレンズ駆動を行うと、またはステップS95における判定の結果、カウンタ値がスレッシュを越えていない場合には、次に、カウンタインクリメントを行う(S101)。ここでは、焦点調節レンズ203がフォーカス位置まで到達していないことから、カウンタに加算を行う。
【0140】
ステップS101においてカウンタのインクリメントを行うと、またはステップS105においてカウンタを0にリセットすると、MF環操作検出・動作処理のフローを終了し、元のフローに戻る。
【0141】
次に、ステップS97における移動量取得について、図17に示すフローを用いて説明する。移動量取得のフローに入ると、まず、レンズ情報を取得し、基準移動量(パルス数)を算出し、補正係数特性作成する(S111)。ステップS3またはS5(図13参照)における通信において、レンズ情報を取得している。ここで必要なレンズ情報としては、例えば、エンコーダ部226aのコードパターン226bの総パターン数、至近から無限遠までの焦点調節レンズ203のレンズ位置検出回路223によって出力されるパルス数等である。
【0142】
また、ステップS111において算出される基準移動量(パルス数)は、前述したように、無限遠から至近まで所定時間(例えば、2,3秒)で移動できる程度の移動量である。補正係数は、主要被写体が移動している場合には、移動速度に応じて基準移動量を修正する。
【0143】
補正係数の例を図18に示す。補正係数は、無限遠から至近までのパルス数が多い程、また、RFモードの場合には、コードパターン226b(グレイコード)のビット数が多い程、傾きを急にする。パルス数が多かったり、グレイコードのパターンが多いと、ステップが多くなり、補正係数の傾きが同じでは、レンズにより補正効果が変わってしまう。そこで、どの交換レンズでも、同じようにMF環204を回転させると、同じようにフォーカスが移動するように補正係数の傾きを変えている。横軸の移動量は、ステップS115およびS117において算出する移動量に対応する。なお、移動量がLaに達するまでは、補正係数を1のままにしているのは、多少の移動は反映させないようにするためである。レンズ情報に基づいて、補正係数の特性を作成、もしくは予め補正係数テーブルを容易にしておき選択する。
【0144】
続いて、前フレームと減フレームのモーションベクトルを算出する(S115)。ここでは、画像処理回路127が撮像素子103からの画像データに基づいて、画面を複数のブロックに分割し、ブロック毎に前フレームと現フレームのモーションベクトルを算出する。
【0145】
ブロック毎にモーションベクトルを算出すると、次に、画面全体の移動量を算出する(S115)。ここでは、ステップS113において算出したブロック毎のモーションベクトルを用いて、全体のモーションベクトルの平均を算出する。
【0146】
画面全体の移動量を算出すると、次に、主要被写体の移動量を算出する(S117)。ここでは、ステップS113において算出したブロック毎のモーションベクトルを用いて、主要被写体、例えば、顔検出した顔、撮影者がタッチパネル等において指定した被写体等の移動量を算出する。
【0147】
主要被写体の移動量を算出すると、次に、基準移動量の補正を行う(S119)。ここでは、ステップS111において算出した基準移動量に対して、ステップS115において算出した画面全体の移動量に対応した補正係数を乗算する。さらに、この乗算結果値に、主要被写体の移動量に応じた補正係数を乗算する。
【0148】
基準移動量を補正すると、元のフローに戻る。ステップS119において補正した基準移動量を用いて、ステップS99(図16)において、焦点調節レンズ203のフォーカス移動を行う。この結果、画面全体および主要被写体の移動量に応じて、焦点調節レンズ203の移動速度となる。
【0149】
例えば、図20(a)(b)に示すような例では、最初、手前の被写体305にピントを合わせた状態から奥の被写体307にRFモード(MFモード)によってピントを合わせる場合を想定する。手前の被写体305も奥の被写体307も共に動きが殆どないことから、全体と主要被写体の移動量は小さく、この結果、補正係数の値は小さくなり、基準移動量も小さく、手前から奥にフォーカス移動(ピント移動)は、ゆっくりした駆動速度で行われる。
【0150】
一方、図20(c)に示すような例では、主要被写体である手前の被写体305は打者であり、同じく主要被写体となる奥の被写体307は投手であることから、補正された基準移動量は大きくなる。この結果、手前の被写体305と奥の被写体307の間でフォーカス移動(ピント移動)させる場合には、高速で駆動される。
【0151】
このように、本実施形態における移動量取得のフローでは、画面全体の動きや被写体の動きに応じて、焦点調節レンズ203の駆動速度を変えている。このため、撮影シーンにマッチしたフォーカス移動を行うことができる。
【0152】
次に、移動量取得のフローの変形例を、図19を用いて説明する。本発明の一実施例における移動量取得のフローでは、画像データに基づいて全体および主要被写体の移動量を算出していた。これに対して、本変形例においては、主要被写体の移動量は画像データに基づいて算出するが、全体の移動量についてはカメラに設けたセンサ出力に基づいて算出する。
【0153】
本変形例においては、カメラ内に、カメラの動きを検出するためのモーションセンサ、方位センサを設ける。専用のセンサを設けてもよいが、手振れ防止のための手振れセンサを兼用しても勿論かまわない。
【0154】
図19に示す移動量取得のフローに入ると、まず、レンズ情報を取得し、基準移動量(パルス数)を算出する(S121)。ここでは、ステップS111の場合と同様にして、交換レンズ200との通信によってレンズ情報を取得する。また、ステップS111と同様にして、基準移動量を算出する。
【0155】
続いて、前フレームと現フレームのモーションベクトルを算出する(S123)。ステップS113と同様にして、前フレームと現フレームの画像データを用いて、ブロック毎のモーションベクトルを算出する。
【0156】
モーションベクトルの算出を行うと、次に、主要被写体の移動量を算出する(S123)。ここでは、ステップS117と同様にして、顔検出した顔等、主要被写体の移動量を、ステップS123において算出したモーションベクトルに基づいて算出する。
【0157】
主要被写体の移動量を算出すると、次に、カメラのセンサからカメラの移動量を算出する(S127)。本変形例においては、カメラ内に設けたモーションセンサや方位センサ等、カメラの動きを検出するセンサ出力に基づいて、カメラの移動量を算出する。
【0158】
カメラの移動量を算出すると、次に、基準移動量の補正を行う(S129)。ここでは、ステップS127において算出したカメラの移動量に対応した補正係数を、ステップS121において算出した基準移動量に乗算する。この乗算結果に、さらに主要被写体の移動量に応じた補正係数を乗算する。
【0159】
基準移動量を補正すると、元のフローに戻る。本発明の一実施形態の場合と同様、ステップS119において補正した基準移動量を用いて、ステップS99(図16)において、焦点調節レンズ203のフォーカス移動を行う。この結果、画面全体および主要被写体の移動量に応じて、焦点調節レンズ203の移動速度となる。
【0160】
本変形例においても、本発明の一実施形態と同様、画面全体の動きや被写体の動きに応じて、焦点調節レンズ203の駆動速度を変えている。このため、撮影シーンにマッチしたフォーカス移動を行うことができる。
【0161】
以上説明したように、本発明の一実施形態や変形例においては、リング部材(MF環204)をスライド操作することにより、RFモードまたはMF/AFモードに切り換えると(図14のS51)、動画撮影中と撮影待機中では(図16のS91)、異なる速度で焦点調節レンズを駆動制御している(図16のS103、S97、S99)。また、本発明の一実施形態においては、リング部材をスライド操作することにより、RFモードに、またはMF/AFモードに切換えると(図14のS51)、設定されたモードに応じた距離まで焦点調節レンズを第1の速度または第2の速度で移動させている(図16のS103、S97、S99)。このため、ピント合わせを切換える場合に、カメラの状態に応じて、焦点調節レンズの駆動速度を切換えることができる。
【0162】
また、本発明の一実施形態においては、プリセット距離にピント合わせを行う際に、移動判定部によって判定された移動量に基づいて焦点調節レンズの駆動速度を制御するようにしている(S図17のS111〜S119、図20のS121〜S129)。このため、被写体の状態に応じた焦点調節レンズの駆動速度とすることができる。
【0163】
また、本発明の一実施形態においては、リング部材としてのMF環204は、第1の位置ではMFモード時の手動焦点調節部材となり、また第2の位置ではRFモード時の距離設定部材となる。このため、2つの機能を有する調節部材を1つのリング部材で兼用することができ、小型にすることができる。
【0164】
なお、本発明の一実施形態においては、カメラ本体100側でAFモードとMFモードの両方を切換えられるようにしていたが、カメラ本体100側では焦点調節モードとしては、この2つに限らず、他の焦点調節モードを設定可能でもよく、またAFモードとMFモードのいずれか一方を含むだけでもよい。
【0165】
また、本発明の一実施形態においては、リング部材としてのMF環204は、第1の位置と第2の位置の2つの位置の間で移動していたが、第3の位置等、他の位置を設けるようにしても勿論かまわない。また、本発明の一実施形態においては、リング部材によって、MF/AFモードとRFモードの切換えを行っていた。しかし、これに限らず、スイッチ等によって2つのモードを切換えるようにしても勿論かまわない。
【0166】
また、本発明の一実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
【0167】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0168】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0169】
21・・・バヨネット部、22・・・基台部、24・・・距離表示環、24a・・・距離目盛、24b・・・係合ピン、25・・・指標表示部、25a・・・指標、25b・・・被写体深度指標、100・・・カメラ本体、101・・・カメラ制御回路、103・・・撮像素子、104・・・フォーカルプレーンシャッタ、105・・・表示用モニタ、106・・・ストロボ、107・・・レリーズ釦、108・・・バッテリ、121・・・本体CPU、122・・・フラッシュROM、123・・・RAM、124・・・撮像素子制御回路、125・・・ストロボ制御回路、126・・・シャッタ制御回路、127・・・画像処理回路、128・・・表示回路、129・・・操作スイッチ検出回路、130・・・電源回路、131・・・カメラ本体通信回路、132・・・ファーストレリーズスイッチ、133・・・セカンドレリーズスイッチ、200・・・交換レンズ、201・・・レンズ制御回路、203・・・焦点調節レンズ、204・・・MF環、204a・・・係合部、204b・・・内側筒部、204c・・・スリット孔、205・・・絞り環、221・・・レンズCPU、222・・・レンズ駆動回路、223・・・レンズ位置検出回路、224・・・MF環位置検出回路、224a・・・フォトインタラプタ部、225・・・MF位置検出回路、225a・・・フォトインタラプタ、226・・・指標位置検出回路、226a・・・エンコーダ部、226b・・・コードパターン、226c・・・接点部、227・・・絞り駆動回路、228・・・RAM、229・・・レンズ通信回路、301・・・撮影者、303・・・被写体、305・・・ 手前の被写体、307・・・奥の被写体
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリセット距離にピント合わせが可能な光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
動画の撮影中に静止画の撮影を可能とした撮像装置が知られている。一般に動画撮影時のピント合わせは、高速に行うと見苦しくなることから一般に焦点調節レンズを低速で駆動している。しかし、動画撮影中に静止画撮影を指示した場合には、合焦速度が要求される。そこで、動画撮影中に静止画撮影の指示がなされた場合には、自動合焦制御を切換えることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3466670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、動画撮影中に静止画撮影を行う場合については、自動焦点調節の切換えについて提案がなされている。ところで、リング部材の回転操作により予めプリセット距離を設定し、リング部材のスライド操作によりプリセット距離にピント合わせを行わせる焦点調節モードが考えられる。
【0005】
しかし、リング部材のスライド操作に応じて、動画の取得時に、同じ速度で焦点調節レンズを駆動する場合には、次のような不具合が生じる。動画撮影中には特許文献1に指摘するように、一般的には高速なピント合わせは望ましくない。しかし、ライブビュー表示のみで動画撮影を行っていない撮影待機中は、スライド操作に応じてゆっくりとピント合わせを行うと、撮影者はリング部材の操作に比較しファインダでの反応が鈍いと感じ、操作感が悪い。
【0006】
また、撮影シーンによっては、動作撮影中であっても、異なる速度で焦点調節レンズを駆動するようにした方が良い場合がある。例えば、図20(a)に示すように、手前の被写体305と奥の被写体307が存在し、奥の被写体307がゆっくり移動している場合に、リング部材のスライド操作によりピントを切換えるとすると、この場合には、ゆっくりとした速度で焦点調節レンズを駆動することが望ましい。しかし、図20(c)に手前の打者と奥の投手が被写体として存在する場合には、迅速にピントを切換えることが望ましい。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、ピント合わせのモードを切換える場合に、カメラの状態や被写体の状態に応じて、焦点調節レンズの駆動速度を切換えるようにした光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる光学機器は、レンズ鏡筒に設けられた焦点調節レンズと、上記焦点調節レンズを駆動するレンズ駆動部と、上記レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向にスライド自在に配設されたリング部材と、上記リング部材が上記光軸方向にスライド移動した際に、第1の位置または第2の位置のいずれであるか検出するスライド位置検出部と、上記リング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタル信号で出力する回転位置検出部と、上記リング部材が上記第1の位置と上記第2の位置の間でスライド移動した際に、動画撮影中と撮影待機中では、上記レンズ駆動部によって駆動される上記焦点調節レンズの駆動速度を異ならせる制御部と、を有する。
【0009】
第2の発明に係わる光学機器は、上記第1の発明において、上記制御部は、上記撮影待機中の駆動速度を、上記動画撮影中の駆動速度よりも高速とする。
第3の発明に係わる光学機器は、上記第1の発明において、上記制御部は、被写体の動きに応じた速度で上記焦点調節レンズを駆動する。
【0010】
第4の発明に係わる光学機器は、上記第1の発明において、上記制御部は、上記リング部材が上記第1の位置から第2の位置にスライド移動した際に、上記プリセット距離を表すデジタル信号に基づいて、上記焦点調節レンズのピント位置を制御する。
【0011】
第5の発明に係わる光学機器は、レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向の第1の位置と第2の位置にスライド自在に配設されたリング部材と、上記リング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタルで出力する回転位置検出部と、上記リング部材が上記第1の位置と上記第2の位置の間でスライド操作された際に、操作位置に応じた距離まで焦点調節レンズを第1の速度または第2の速度で移動させる制御部と、を有する。
【0012】
第6の発明に係わる光学機器は、上記第5の発明において、上記制御部は、動画撮影中であるか、撮影待機中であるかに応じて、上記第1の速度または第2の速度を切換える。
第7の発明に係わる光学機器は、上記第5の発明において、被写体の移動を判定する移動判定部を有し、上記制御部は、上記移動判定部によって判定された上記被写体の移動に基づいて、上記焦点調節レンズの移動速度を制御する。
【0013】
第8の発明に係わる光学機器は、離散的なプリセット距離に焦点調節レンズのピント合わせを行う焦点調節部と、被写体の移動量を判定する移動判定部と、上記焦点調節部によって上記プリセット距離にピント合わせを行う際に、上記移動判定部によって判定された上記移動量に基づいて、上記焦点調節レンズの駆動速度を制御する駆動制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ピント合わせのモードを切換える場合に、カメラの状態や被写体の状態に応じて、焦点調節レンズの駆動速度を切換えるようにした光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係わるカメラの内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わるカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、MF環が第1の位置に位置する状態のレンズ鏡筒の上面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、MF環が第2の位置に位置する状態のレンズ鏡筒の上面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、MF環と距離表示環とが係合した状態を説明する斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、指標位置検出部の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、交換レンズとカメラ本体の同期通信の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、レンジフォーカスモードに設定して撮影を行う様子を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、オートフォーカス(AF)モード、マニュアルフォーカス(MF)モード、レンジフォーカス(RF)モードの状態遷移図である。
【図10】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、交換レンズでRFモードとMFモードを切換える操作状態を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、RFモードとMFモード間での撮影者による操作を説明する図である。
【図12】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、MF環の回転角とフォーカス位置の関係と、カメラのレンズの駆動速度を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係わるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係わるカメラのMF環操作検出・動作処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態に係わるカメラのMF環操作検出・動作処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態に係わるカメラのMF環操作検出・動作処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態に係わるカメラの移動量取得の処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、レンズ駆動速度を変化させるための補正係数の変化を示すグラフである。
【図19】本発明の一実施形態に係わるカメラの移動量取得の処理の変形例を示すフローチャートである。
【図20】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、撮影シーンに応じてレンズ駆動速度を変化させた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わるカメラの構成を示すブロック図であり、このカメラはデジタルカメラであり、カメラ本体100と交換レンズ200とから構成される。交換レンズ200は、カメラ本体のバヨネットマウント等を介して着脱自在に装着される。なお、本実施形態においては、カメラ本体100と交換レンズ200を別体に構成したが、一体に構成するようにしても勿論かまわない。
【0017】
カメラ本体100内には、カメラ制御回路101、撮像素子103、フォーカルプレーンシャッタ104、表示用モニタ105、ストロボ106、レリーズ釦107、バッテリ108等が配置されている。また、交換レンズ200内には、レンズ制御回路201、焦点調節レンズ203、MF環204、絞り205等が配置されている。
【0018】
カメラ制御回路101は、本体CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)121(図2参照)等を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)とその周辺回路等で構成される。レリーズ釦107を撮影者が操作すると撮像素子103、フォーカルプレーンシャッタ104等を制御すると共に、必要に応じてストロボ106の発光制御を行い、またレンズ制御回路201を通じて撮影動作等を実行する。後述するレンズ制御回路201内のレンズCPU221(図2参照)と連携し、カメラ全体の各種シーケンスを統括的に制御する。この制御は、フラッシュROM122(図2参照)に記憶されたプログラムに従って実行する。このカメラ制御回路101の詳細は、図2を用いて後述する。
【0019】
撮像素子103は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子によって構成され、交換レンズ200によって形成された被写体像を画像信号に変換する。すなわち、カメラ制御回路101からの信号に従って、撮像素子103において画像信号の蓄積がなされ、また画像信号の読み出し等がなされる。なお、本明細書においては、撮像素子103からの出力に基づく信号は、画像信号の他に画像データと称する場合がある。
【0020】
フォーカルプレーンシャッタ104は、レリーズ釦107の全押しに基づくカメラ制御回路101中のシャッタ制御回路126(図2参照)からの指示に応じて開閉動作を行い、交換レンズ200からの被写体光束を開閉する。この開閉時間は、カメラ制御回路101によって算出されたシャッタ速度に応じた時間である。
【0021】
表示用モニタ105は、カメラ本体の背面等に配置されたLCD、有機EL等により構成される。表示用モニタ105は、静止画の撮影待機時や動画撮影時のライブビュー表示や、再生釦等の操作に応じた記録済みの撮影画像の再生表示や、メニュー釦等の操作に応じてメニュー画面等において設定情報の表示を行う。
【0022】
ストロボ106は、レリーズ釦107の操作時に周囲が暗い場合等に、カメラ制御回路101中のストロボ制御回路125(図2参照)からの指示に応じて補助光を被写体に照明する。この発光は発光用コンデンサ(不図示)に蓄えられた電荷を用い、フォーカルプレーンシャッタ104の露光動作と同期して行う。
【0023】
レリーズ釦107は、半押しでオンになるファーストレリーズスイッチ132(図2参照)と、半押しから更に押し込み全押しとなるとオンになるセカンドレリーズスイッチ133(図2参照)を有する。カメラ制御回路101は、ファーストレリーズスイッチ132がオンとなると、AE(Auto Exposure)動作やAF(Auto Focus)動作等の撮影準備シーケンスを実行する。また、セカンドレリーズスイッチ133がオンとなると、フォーカルプレーンシャッタ104等を制御し、撮像素子103等から被写体画像に基づく画像データを取得し、この画像データを記録媒体に記録する一連の撮影シーケンスを実行して撮影を行う。
【0024】
バッテリ108は、カメラ本体100および交換レンズ200内の各部材、各回路に電源を供給する。
【0025】
交換レンズ200内のレンズ制御回路201は、レンズCPU等を含むASICと、その周辺回路で構成される。カメラ制御回路101からの指示、または撮影者によるMF環204の操作に応じて、焦点調節レンズ203、絞り205の駆動制御等を行う。また、カメラ制御101からの要求に応じて、焦点距離、設定距離、絞り値等の種々のレンズ情報を送信する。この制御は、フラッシュROM(不図示)に記憶されたプログラムに従って実行する。このレンズ制御回路201の詳細は、図2を用いて後述する。
【0026】
焦点調節レンズ203は、レンズ制御回路201からの指示に基づいて光軸方向に移動し、交換レンズ200の焦点状態を調節する。なお、本実施形態においては、単焦点レンズとして説明するが、勿論、焦点距離可変なズームレンズで構成してもよい。
【0027】
MF環204は、交換レンズ200の外周に配置され、交換レンズ200の光軸中心の周りに回転操作が可能であると共に、光軸方向に沿って第1の位置と第2の位置の間でスライド操作が可能である。MF環204を交換レンズ200の前方側(被写体側)にスライドさせた第1の位置において回転操作することにより、マニュアルフォーカス操作が可能である。また、MF環204を交換レンズ200の後方側(撮像側)にスライドさせた第2の位置において回転操作することにより、レンジフォーカス操作が可能である。MF環204は、レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向にスライド自在に配設されたリング部材としての機能を果たす。MF環204の第1の位置および第2の位置について、図3および図4を用いて後述する。
【0028】
絞り205は、レンズ制御回路201からの指示に基づいて、開口面積を変化させ、交換レンズ200を通過する被写体光束の光量を調節する。
【0029】
次に、カメラ制御回路101と、レンズ制御回路201の詳細について、図2を用いて説明する。カメラ制御回路101内には、本体CPU121が設けられており、この本体CPU121に、フラッシュROM(Read Only Memory)122、RAM(Random Access Memory)123、撮像素子制御回路124、ストロボ制御回路125、シャッタ制御回路126、画像処理回路127、表示回路128、操作スイッチ検出回路129、電源回路130、および通信回路131が接続されている。これらの各種回路と本体CPU121の間で、各種信号の入出力が行われる。
【0030】
本体CPU121は、フラッシュROM122に記憶されているプログラム等に従って、カメラ全体の制御を統括する。また、カメラ本体通信回路131およびレンズ通信回路229を介してレンズCPU221と通信が可能であり、制御命令を出力すると共に、焦点調節レンズ203のレンズ位置等のレンズ情報を取得する。
【0031】
フラッシュROM122は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、前述したように本体CPU121が実行するプログラムを記憶しており、また各種調整値等も記憶している。不揮発性メモリであればフラッシュROM以外のメモリを採用してもよい。RAM123は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSDRAM(Synchronous DRAM)等、電気的に書き換え可能な揮発性メモリであり、本体121において処理するための各種情報を一時的に記憶する。
【0032】
撮像素子制御回路124は、ライブビュー表示、AE、AF、撮影時の露光等、画像データを必要とする処理の動作実行時に、被写体像を画像信号に変換するための撮像動作を撮像素子103に実行させる。撮像動作としては、撮像素子103における電荷蓄積制御や画像信号の読み出し等を行う。
【0033】
ストロボ制御回路125は、ストロボ106に接続され、ストロボ106の充電、発光制御を行う。ストロボ制御回路125は、例えば、レンズCPU221から取得した焦点調節レンズ203のレンズ位置情報に基づいて、適正露光となるように発光量制御を行う。シャッタ制御回路126は、フォーカルプレーンシャッタ104に接続されており、本体CPU121からのシャッタ速度信号に基づいて、フォーカルプレーンシャッタ104の開閉制御を行う。
【0034】
画像処理回路127は、撮像素子103から出力される画像信号に対して、A/D変換やフィルタ処理等の画像処理を施す。また画像処理を施すにあたって、ライブビュー表示用の画像処理を行い、この処理された画像信号に基づいて表示モニタ105にライブビュー表示する。また、記録用の撮影画像の画像処理を行い、この処理された画像データを記録媒体(不図示)に記録する。また、焦点検出領域内の画像信号から高周波成分をハイパスフィルタ処理することによって抽出処理を行い、AF評価値を算出する。本実施形態においては、焦点検出にあたっては公知のコントラストAFを採用しており、焦点調節レンズ203を移動させ、AF評価値がピークとなる位置を合焦位置とする。なお、焦点検出方法としては、コントラストAFに限らず、位相差AF等、他の方法を採用してもよい。また、画像処理回路127は、前のフレームと現フレームの画像データを用いて、ブロック毎のモーションベクトルの算出が可能である。この場合、画像処理回路127は、被写体の移動量を判定する移動判定部としての機能を有する。
【0035】
表示回路128は、表示用モニタ105に接続されており、ライブビュー表示や、記録媒体に記録されている撮影画像の再生表示や、メニュー画面等の各種撮影情報の表示を行う。
【0036】
操作スイッチ検出回路129は、レリーズ釦107に連動するファーストレリーズスイッチ132およびセカンドレリーズスイッチ133、その他の検出スイッチ(不図示)と接続されており、これらのスイッチの操作状態を検出し、検出結果を本体CPU121に出力する。その他の検出スイッチとしては、電源のオンオフを行う電源釦に連動した電源スイッチ、カメラの撮影モードを切換える撮影モードスイッチ、メニュー画面を表示させるメニュー釦に連動したメニュースイッチ、記録媒体に記録されている撮影画像の再生表示を行わせる再生釦に連動した再生スイッチ、交換レンズ200の装着状態を検出するマウントスイッチ、動画撮影の開始および終了を指示する動画釦に連動した動画スイッチ等がある。
【0037】
上記メニュー画面においては、焦点調節モード等の種々の撮影情報の設定を行う。メニュー画面において設定する焦点調節モードとしては、本実施形態においては、自動的に焦点調節レンズ203のピント合わせを自動的に行うオートフォーカスモード(AFモード)と、ピント合わせを手動で行うマニュアルフォーカスモード(MFモード)の2種類がある。なお、カメラ本体100における焦点調節モードの設定は、本実施形態のようにメニュー画面以外においても、専用釦等によって設定する等、他の方法によって設定するようにしても勿論かまわない。
【0038】
電源回路130は、バッテリ108と接続され、電源電圧の平滑化や昇圧等を行って、カメラ本体100や交換レンズ200内の各回路・各部材に電源を供給する。
【0039】
カメラ本体通信回路131は、カメラ本体200の外部のマウント部に設けられた同期信号端子、データ端子等の複数の通信端子を有する。レンズ通信回路229を介して、本体CPU121とレンズCPU221が通信を行う。カメラ本体通信回路131とレンズ通信回路229間の通信は、本体と交換レンズの装着当初は非同期通信によって行うが、カメラ本体側で交換レンズの情報を取得後、装着された交換レンズ200が同期通信可能であれば、同期通信によって通信する。
【0040】
レンズ制御回路201内には、レンズCPU221が設けられており、このレンズCPU221に、レンズ駆動回路222、レンズ位置検出回路223、MF環位置検出回路224、MF位置検出回路225、指標位置検出回路226、絞り駆動回路227、RAM228、通信回路229が接続されている。
【0041】
レンズCPU221は、交換レンズ内に設けられたフラッシュROM(不図示)に記憶されたプログラムや各種調整値、レンズ位置検出回路223、MF環位置検出回路224、MF位置検出回路225、および指標位置検出回路226からの出力信号、および本体CPU121からの制御命令に従って、交換レンズ200内の制御を行う。具体的には、焦点調節レンズ203のレンズ駆動や、絞り205の絞り駆動等の各種駆動制御を行う。また、カメラ本体通信回路131およびレンズ通信回路229を介して、本体CPU121と通信を行い、本体CPU121からの動作命令の受信、交換レンズ200のレンズ動作状態や光学データ等のレンズ状態を示す情報の送信を行う。
【0042】
レンズ駆動回路222は、ステッピングモータ等のアクチュエータや、モータドライバ等を含んで構成され、焦点調節レンズ203を光軸方向に駆動制御を行う。また、後述するレンジフォーカスモード(RFモード)で焦点調節を行う場合には、カメラ本体100からの同期通信用の同期信号をタイミング信号として用いて、焦点調節レンズ203の制動(加減速)制御を行う。また、焦点調節レンズ203を微小反転駆動させる所謂ウォブリング動作による駆動制御も可能である。このレンズ駆動回路222は、焦点調節レンズ203を駆動するレンズ駆動部としての機能を果たす。
【0043】
レンズ位置検出回路223は、焦点調節レンズ203の位置検出を行う。このレンズ位置検出回路223は、レンズ駆動回路222に含まれるステッピングモータ等の駆動用モータの回転量をパルス数に変換するフォトインタラプタ(PI)回路を含んで構成される。位置検出結果は、焦点調節レンズ203の絶対値が無限端等基準位置からのパルス数で表わす。
【0044】
MF環位置検出回路224は、MF環204の交換レンズ200の光軸方向でのスライド位置を検出する。すなわち、MF環204は、交換レンズ204の前方側にスライドし、マニュアルフォーカス操作位置(MF位置、第1の位置)と、交換レンズ204の後方側にスライドし、レンジフォーカス操作位置(RF位置、第2の位置)の2つの位置に移動自在である。MF環位置検出回路224は、MF環204が第1の位置にあるか第2の位置にあるか否かを検出する。このMF環検出回路224は、リング部材が光軸方向にスライドした際に、第1の位置または第2の位置のいずれであるかを検出するスライド位置検出部として機能する。この位置検出機構については、図5を用いて後述する。
【0045】
MF位置検出回路225は、PI回路を含んで構成され、MF環204の交換レンズ200の光軸中心に対する回転方向の相対位置変化量を検出する。すなわち、MF環位置検出回路224によって検出されるMF環204の位置がマニュアルフォーカス操作位置(MF位置、第1の位置)にある場合に、PI回路から出力されるパルス信号に基づいて、MF環204の回転方向、回転量、回転速度等を検出できる。このMF環204の回転検出に使用する検出用タイマは、レンズCPU221内の通常の内蔵タイマを用いる。PI回路のフォトインタラプタの構成について、図5を用いて後述する。
【0046】
指標検出回路226は、リニアエンコーダやA/D変換回路等を含んで構成され、焦点調節レンズ203の駆動目標位置に対応する距離指標の検出を行う。すなわち、MF環位置検出回路224によって検出されるMF環204の位置がレンジフォーカス位置(RF位置、第2の位置)にある場合に、エンコーダ値のA/D変換結果に基づいてMF環204の交換レンズ200の光軸中心での回転方向位置で設定される駆動目標位置に対応する距離指標位置の検出を行う。すなわち、指標検出回路226は、MF環204によって設定された絶対的な距離(プリセット距離)の検出を行う。指標位置検出回路226はリング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタル信号で出力する回転位置検出部として機能する。なお、MF環204がRF位置(第2の位置)にスライド操作された際に、MF環204の回転方向の絶対的な位置によって決まる距離(プリセット距離)に相当するように焦点調節レンズ203を制御するモードをレンジフォーカスモード(RFモード)と称する。このエンコーダ値を読み取る際に使用する検出用タイマのタイミング信号は、カメラ本体100と交換レンズ200の間で同期通信を行うためのレンズ通信同期信号を利用する。リニアエンコーダを用いた指標検出回路226の検出機構の一例の構成については、図6を用いて後述する。
【0047】
絞り駆動回路227は、ステッピングモータ等のアクチュエータやモータドライバ等を含んで構成され、レンズCPU221からの絞り値に従って、絞り205の開口動作制御を行う。
【0048】
RAM228は、レンズCPU221において使用する各種情報を一時格納するための揮発性のメモリである。
【0049】
レンズ通信回路229は、交換レンズ200の外部のマウント部に設けられた同期信号端子、データ端子等の複数の通信接続端子を有し、カメラ本体通信回路131の通信接続端子と係合して、カメラ本体と通信を行う。このレンズ通信回路229を介して、本体CPU221からの焦点調節レンズ203や絞り205の制御命令等を受信し、また光学データ、レンズ位置情報、動作状態等のレンズ状態の情報を本体CPU221に送信する。
【0050】
なお、カメラ制御回路101とレンズ制御回路201は、共同してカメラを制御することにより制御部としての機能を果たす。すなわち、リング部材(MF環204)が第1の位置と第2の位置の間でスライド移動した際に、動画撮影中と撮影待機中では、レンズ駆動部によって駆動される焦点調節レンズ203の駆動速度を異ならせる制御部として機能する。また、この制御部は、撮影待機中(ライブビュー表示中)の焦点調節レンズ203の駆動速度を、動画撮影中の駆動速度よりも高速とする。また、この駆動速度は、被写体の動きに応じて制御する。この速度切換えについては、図17に示すフローチャートおよび図18を用いて後述する。
【0051】
また、制御部は、リング部材が第1の位置から第2の位置にスライド移動した際に、プリセット距離を表すデジタル信号に基づいて焦点調節レンズ203のピント位置を制御する。さらに、制御部は、リング部材が第1の位置と第2の位置の間でスライド操作された際に、操作位置に応じて距離まで焦点調節レンズを第1または第2の速度で移動させる。
【0052】
次に、MF環204の第1の位置と第2の位置へのスライド操作について、図3および図4を用いて説明する。図3はMF環204が第1の位置にある場合を示し、図4はMF環204が第2の位置にある場合を示す。
【0053】
交換レンズ200の後方側には、バヨネット部21が設けられている。このバヨネット部21は、図示しないカメラ本体100側のバヨネット部と係合することにより、交換レンズ200をカメラ本体100に装着可能である。基台22は、バヨネット部21と一体に構成され、バヨネット部21がカメラ本体100に装着されると、カメラ本体100に固定される。
【0054】
MF環204は、交換レンズ200のレンズ鏡筒の外周部において、光軸Oの周りに回動可能、かつ光軸O方向に進退移動可能に配設された略円筒状の形状である。MF環204は、レンズ鏡筒の外周上に露出しており、撮影者の指が掛かるように配設されている。なお、MF環204の一部のみが外周上に露出するように構成しても勿論かまわない。
【0055】
指標表示枠25は、基台部22に対して位置が固定され、レンズ鏡筒の外装部材の一部である。指標表示枠25は、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合でも、MF環204よりも前方側に配置されている。この指標表示枠25には、指標25aおよび被写体深度指標25bが表示されている。指標25aは後述する距離表示環24に設けられた距離目盛24aの基準指標を示し、被写体深度指標25bは、絞り205の絞り値に応じた被写体深度を、距離目盛24aに対して示す指標である。
【0056】
図3に示す状態において、MF環204を光軸Oに沿って後方側(撮像側、カメラ本体側)の第2の位置にスライド移動させると、図4に示すように、距離表示環24が露出する。距離表示環24は、MF環204の内側に配設された略円筒状の部材であり、MF環204が第1の位置にある際には、MF環204と一体に移動することがない。しかし、MF環204が第2の位置に移動すると、距離表示環24はMF環204と一体に光軸O周りに回動可能である。
【0057】
距離表示環24の外周面には、図4に示すように、焦点距離レンズ203のピントが合う距離(合焦距離)を表す距離目盛24aが表示されている。距離目盛24aは、最短合焦距離から無限遠までの距離を示す数値が周方向に沿って配列されている。距離表示環24が指標表示枠25に対して光軸O周りに回動することにより、指標25aが指し示す距離目盛24aの数値が変化する。
【0058】
距離表示環24は、光軸O周りの回動範囲が制限されており、指標25aによって指示される距離範囲内でのみ回動可能である。したがって、距離目盛24aは、指標25aに対して最短合焦距離から無限遠までの距離を数値で表示する。
【0059】
このように、本実施形態においては、MF環204が第1の位置(MF位置)に位置している場合には、図3に示すように、距離表示環24の距離目盛24aは、レンズ鏡筒の外部から見えない状態となる。一方、MF環204が第2の位置(RF位置)に位置している場合には、図4に示すように、距離目盛24aは、レンズ鏡筒の外部から見える状態となる。
【0060】
距離表示環24は、前述したように、MF環204が第2の位置にある場合にのみ、MF環204とともに光軸O周りに回動するように構成され、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合には、MF環204は距離表示環24と独立して回動可能である。
【0061】
すなわち、距離表示環24の内周部には、図5に示すように、係合ピン24bが径方向内側に突出するように設けられている。また、MF環204の内側筒部204bには、複数の係合部204aが配置されている。MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合には、係合ピン24bはMF環204の係合部204aよりも後方側にあって、MF環204が光軸O周りに回動しても係合部204aと干渉しない位置ある。また、MF環204が第2の位置(RF位置)にある場合には、係合ピン24bは係合部204aと重なる位置に配置されている。したがって、MF環204が第2の位置にある場合には、距離表示環24はMF環204とともに光軸O周りを回動し、一方、MF環204が第1の位置にある場合には、MF環204が光軸O周りに回動したとしても距離表示環24は回動せずに停止したままとなる。
【0062】
次に、MF環位置検出回路224とMF位置検出回路225の検出機構の構成について、図5を用いて説明する。MF環位置検出回路224は、フォトインタラプタ部224aを有している。このフォトインタラプタ部224aは、基台部22または基台部22と一体に構成された部材に固定されており、MF環204が第2の位置に位置している場合に、MF環204の少なくとも一部が検出範囲内に入る位置にあり、またMF環204が第1の位置に位置している場合には検出範囲外になる位置に設けられている。
【0063】
なお、本実施形態においては、フォトインタラプタ部224aによってMF環204の位置を検出しているが、フォトインタラプタに限らず、MF環204の位置を検出可能であれば、他の検出センサを採用しても構わない。例えば、磁気センサやスイッチ等であってもよい。
【0064】
MF位置検出回路225は、一対のフォトインタラプタ225aを有している。また、MF環204と一体に回動する内側筒204bの周方向には、所定の間隔で設けられた複数のスリット孔204cが設けられている。一対のフォトインタラプタ225aは、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合に、スリット孔204cの検出範囲内に設けられている。そして、一対のフォトインタラプタ225aからの出力信号に基づいて、MF環204の光軸O周りの回動方向、回動量、回転速度等の回転状態を検出する。
【0065】
なお、MF位置検出回路225の検出センサは、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合に、MF環204の回転を検出可能であればよく、例えば、磁気式のロータリーエンコーダ―等でも構わない。
【0066】
次に、指標位置検出回路226の検出機構について、図6を用いて説明する。指標位置検出回路226は、エンコーダ部226aを有している。このエンコーダ部226aは、距離表示環24の基台部22に対する光軸O周りの絶対的な回動位置(プリセット位置)を検出する。エンコーダ部226aは、導電体からなる所定ビット数のコードパターン226bと、コードパターン226bに摺動する導電体からなる接点部226cから構成される。
【0067】
コードパターン226bは、距離表示環24の外周部配設されており、接点部226cは、基台部22と一体に構成された固定枠に配設されている。距離表示環24が光軸O周りに回動すると、その回動位置に応じて、接点部226cが接触するコードパターン226bの位置が変化する。指標位置検出回路226は、コードパターン226bと接点部226cの接触状態の変化を検出し、MF環204の光軸O周りの絶対的な回動位置(プリセット位置)を検出する。したがって、エンコーダ部226によって、プリセット位置に対応するプリセット距離を検出することができ、このプリセット距離は、所定ビット数のデジタル信号であり、離散的な値となる。
【0068】
なお、指標位置検出回路226は、基台部22に対する光軸O周りの絶対的な回動位置を検出することが可能であれば、接点方式のエンコーダ以外の構成を採用しても勿論かまわない。例えば、光学式または磁気式の絶対位置検出用のロータリーエンコーダであってもよく、また距離表示環24の光軸O周りの回動位置に応じて抵抗値が変化するポテンショメータであってもよい。また、本実施形態においては、絶対位置の検出にあたって、高速に検出するために、カメラ本体100と交換レンズ200との間の同期通信の際のレンズ通信同期信号を検出用タイマのタイミング信号として利用する。
【0069】
次に、カメラ本体100と交換レンズ200の間でなされる同期通信の一例を、図7を用いて説明する。図7において、横軸は時間の流れを表し、縦軸にそれぞれの処理内容やタイミングを示す。カメラ本体処理において、処理B1では、前フレームで取得した画像データによりライブビュー画像の表示や、AF評価値の算出を行う。また処理B2では、レンズ状態通信により取得したレンズ状態データに基づいて、AF演算や各種設定変更等を行う。
【0070】
垂直同期信号は、各フレームに対応して出力される信号である。撮像・読出しでは、撮像素子103において被写体像を撮像し、この撮像した画像データの読み出しを行う。なお、撮像・読出しが、図7において、菱形形状をしているのは、本実施形態においては、ライブビュー画像の取得時はローリングシャッタを採用しており、画素ラインごとに撮像と読出しを順次行うためである。
【0071】
レンズ通信における通信BLでは、カメラ本体100から交換レンズ200にレンズ状態データ要求コマンドを送信し、このコマンドは交換レンズ200のレンズ状態を示すデータをカメラ本体100に送信することを要求する。また通信LBでは、レンズ状態データ要求コマンドに応じて、交換レンズ200がカメラ本体100にレンズ状態を示すデータを送信する。
【0072】
レンズ通信同期信号は、カメラ本体100において垂直同期信号に応答して生成され、このレンズ通信同期信号はカメラ本体通信回路131の同期信号端子より交換レンズ200に出力される。レンズ位置取得信号は、所定のタイミング、例えば図7に示す例では、撮像素子103における電荷蓄積時間の略中央時点を経過した時点で状態が変化する。
【0073】
また、交換レンズ200内における処理L1は、レンズ位置取得信号の状態変化タイミングでの焦点調節レンズ203の位置情報の取得、およびレンズ通信同期信号の受信タイミングでのMF環204の操作状態の検出を行う処理である。また処理L2は、カメラ本体100から受信したレンズ状態データ要求コマンドに応じて、焦点調節レンズ203の位置情報や、MF環204の操作状態等のレンズ状態データを送信する処理である。
【0074】
図7のタイミングチャートに示すように、本実施形態における同期通信では、垂直同期信号に同期してカメラ本体100内において処理B1を実行し、また、垂直同期信号に同期してレンズ通信同期信号を交換レンズ200に送信する。
【0075】
カメラ本体100内において処理B1を処理すると、交換レンズ200に対して通信BLによって、レンズ状態データ要求コマンドを送信する。交換レンズ200はレンズ状態データ要求コマンドを受信すると、レンズ状態を検出し、通信LBによってレンズ状態データを送信する。カメラ本体100はレンズ状態データを受信すると、処理B2を実行する。
【0076】
また、交換レンズ200内において、レンズ位置を取得する処理L1はレンズ位置取得信号に同期して実行する。このレンズ位置取得信号は所定のタイミング、前述したように、図7の例においては、撮像素子103の画面中央による電荷蓄積時間の1/2が経過した時点で発生する。交換レンズ200は、レンズ位置取得信号の状態変化のタイミングでレンズ位置検出回路223によって焦点調節レンズ203の位置情報を取得する。これらの同期通信は、全体としては、レンズ通信同期信号に同期して実行される。
【0077】
次に、本実施形態における焦点調節モードについて説明する。本実施形態においては、焦点調節モードとしては、オートフォーカスモード(AFモード)、マニュアルフォーカスモード(MFモード)、およびレンジフォーカスモード(RFモード)の3種類のモードが用意されている。AFモードは、撮像素子103からの画像データに基づくコントラストAFを用いた山登り法によって、自動的に焦点調節レンズ203のピント合わせを行う。またMFモードは、MF環204が第1の位置(MF位置)にある際に、手動でMF環204を回転させ、このときの回転状態に応じて焦点調節レンズ203を移動させてピント合わせを行う。AFモードとMFモードは、前述したように、カメラ本体100において、例えば、メニュー画面において設定される。
【0078】
これに対して、RFモードでは、MF環204が第2の位置にある際に、MF環204を回動させ、距離表示環24の距離目盛24aを指標25aに合わせることにより距離設定を行い、この設定距離にピント合わせを行う。RFモードで事前に距離を設定した後に、電源オフし、その後RFモードで電源オンとすると、事前設定した距離にピントを合わせることができる。例えば、図8(a)に示すように、撮影者301が街などを散歩している際に、事前にRFモードで距離を設定しておくと、図8(b)に示すように、被写体303が突然現われた場合であっても、迅速に撮影することができる。
【0079】
また、RFモードで距離設定後に、MF環204を第1の位置(MF位置)にスライドさせることによりMFモードやAFモードに切換えた場合であっても、MF環204を第2の位置にスライドさせると、設定された距離に直ちにピント合わせがなされる。
【0080】
このように本実施形態においては、焦点調節にあたって、AFモード、MFモード、RFモードの3つモードを有している。この3つのモードの切換えについて、図9を用いて説明する。図9において、状態1はAFモードであり、状態2はMFモードであり、状態3はRFモードである。このうち、AFモードおよびMFモードは、前述したようにカメラ本体100のメニュー画面で設定し、RFモードは交換レンズ200のMF環204を第2の位置にスライド移動させることにより設定できる。
【0081】
状態1のAFモードは、カメラ本体100のメニュー画面で焦点調節設定としてAFモードが設定されたままであり、かつMF環204がMF位置(第1の位置)にある場合には、AFモードが維持される。状態2のMFモードは、カメラ本体100側でMFモードが設定されたままであり、かつMF204がMF位置(第1の位置)にある場合には、MFモードが維持される。
【0082】
状態1のAFモードから状態2のMFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)に維持したままで、カメラ本体100側で焦点調節設定としてMFモードに変更すればよい。逆に、MFモードからAFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)に維持したままで、AFモードに変更すればよい。
【0083】
状態1のAFモードから状態3のRFモードに切換えるには、MF環204をRF位置(第2の位置)にスライド操作するのみでよく、カメラ本体100における焦点調節設定の変更は不要である。逆に状態3のRFモードから状態1のAFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)にスライド操作を行うとともに、カメラ本体100における焦点調節設定としてAFモードへの変更を行う。
【0084】
状態2のMFモードから状態3のRFモードに切換えるには、MF環204をRF位置(第2の位置)にスライド操作するのみでよく、カメラ本体100における焦点調節設定の変更は不要である。逆に状態3のRFモードから状態2のMFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)にスライド操作を行うとともに、カメラ本体100における焦点調節設定としてMFモードへの変更を行う。
【0085】
次に、図10ないし図12を用いて、RFモードとMFモード間の切換え時の動作について説明する。図10(a)(b)は、MF環204を第2の位置(RF位置)にスライドしており(図11(b)参照)、図10(c)は、MF環204を第1の位置(MF位置に)にスライドした状態を示す(図11(a)参照)。前述したように、MF環204が第2の位置(RF位置)に有る場合には、図10(b)に示すように、MF環204を回転させると、距離表示環24も一緒に回転する。指標25aに距離表示環24の距離目盛24aを一致させると、プリセット距離が設定され、このプリセット距離にレンズ駆動される。
【0086】
動画撮影中にRFモードでRF環204を回転させると、図12(a)に示すように、プリセット距離がステップ状に変化する。プリセット距離を検出するエンコーダ部226aは、図6に示すように4ビット構成のコードデータであることから、至近端から無限端まで16分割されているため、プリセット距離が離散値となるからである。エンコーダ部226のビット数を多くすれば、ステップの段差は小さくなるが、ステップ状になることは避けられない。
【0087】
図10(a)に示すRFモードにおいて、MF環204を第1の位置(MF位置)にスライド操作すると、MFモードに切り換わるが(本体側でAFモードに設定している場合にはAFモード)、このときの焦点調節レンズ203のフォーカス位置は、本実施形態においては、前回のMFモードのフォーカス位置である。すなわち、MFモードからRFモードに切り換わる場合には、直前の焦点調節レンズ203のフォーカス位置を記憶しておき、MFモードに戻った際には、RFモードに切り換わる直前のフォーカス位置を読み出し、その位置に移動する。
【0088】
図12(a)に示す例において、MFモードからRFモードに切り換わる直前のフォーカス位置(ピント位置)をF1とし、またRFモードで設定されたプリセット距離に対応するフォーカス位置(ピント位置)をF2とする。RFモードからMFモードに切換えた際に、焦点調節レンズ203のフォーカス位置は、フォーカス位置F1からフォーカス位置F2に移動する。本実施形態においては、このときの焦点調節レンズ203の駆動速度を、動作撮影中と撮影待機中で切換えている。
【0089】
すなわち、動画撮影中には、図12(b)の駆動ラインDL1に沿って、焦点調節レンズ203を低速で徐々に移動させる。動画撮影中は、急激にフォーカス位置が変化すると不自然であることから、駆動ラインDL2に沿って、時間と共に徐々にピントを変化させる。一方、撮影待機中(ライブビュー表示)の際には、可能な限りステップ状に、すなわち迅速にフォーカス位置を移動させる。これにより機敏な動作を実現することができる。
【0090】
また、逆に、MFモードからRFモードに切り換わる場合も、動画撮影中か撮影待機中かに応じて、焦点調節レンズ203の駆動ラインDL1、L2を切換える。すなわち、本実施形態において、RFモードで設定されたプリセット距離は、MFモードに切り換わる前に記憶されている。MFモードからRFモードに戻ると、図12(a)に示す例では、フォーカス位置F2からフォーカス位置F1に焦点調節レンズ203のフォーカス位置が移動する。この移動の際に、図12(b)に示したような駆動ラインDL1、L2に沿った制御を行う。
【0091】
次に、本実施形態における撮影動作について、図13ないし図16に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、主として、カメラ本体100内のフラッシュROM122に記憶されているプログラムに従って本体CPU121が実行するが、一部、MF環操作検出・動作処理のフロー中、RFモードが設定された場合には、交換レンズ200内のフラッシュROMに記憶されているプログラムに従って、レンズCPU221が主として実行する。
【0092】
操作スイッチ検出回路129が、電源釦が操作されたことを検出すると、図13に示すフローチャートが動作を開始する。まず、交換レンズ200が装着されているか否かを判定する(S1)。この判定は、操作スイッチ検出回路129がマウントスイッチ等の状態を検出し、この検出結果に基づいて行う。この判定の結果、交換レンズ200が装着されていなかった場合には、交換レンズ200の装着を待つ、待機状態となる。待機中に撮影者により撮影パラメータの変更操作や過去に撮影した撮影画像の再生操作、焦点調節モードの設定等が行われた場合には、指示された動作を実行する。
【0093】
ステップS1における判定の結果、交換レンズ200がカメラ本体100に装着された場合には、次に、レンズ通信を行う(S3)。ここでは、カメラ本体通信回路131およびレンズ通信回路229を介して、レンズCPU221と非同期通信を行う。この非同期通信により、焦点調節レンズ203等の動作パラメータ、色収差データ等の光学データなどのレンズデータ、同期通信が可能か否かの情報等を取得し、RAM123に記憶する。
【0094】
レンズ通信を行うと、次に、同期通信を開始する(S5)。ここでは、図7を用いて説明したように、カメラ本体100から交換レンズ200にレンズ通信同期信号を送信し、この信号に同期して通信を行う。同期周期毎に焦点調節レンズ203等の動作状態やMF環204の操作状態等のレンズ状態データを取得して、レンズ状態に応じた制御動作を実行する。従って、レンズ通信同期信号が出力されるたびに、カメラ本体は、焦点調節レンズ203のレンズ位置に関するデータ、MF環204が第1の位置にあるか第2の位置にあるか、また絞り205の絞り値等の情報を取得でき、この情報に応じた制御動作を実行する。また、カメラ本体100からも、AF制御を行うための焦点調節レンズ203の駆動方向および駆動量、また絞り205の絞り込み量に関する制御命令を送信することができる。なお、ステップS3において行ったレンズ通信によって、同期通信が不可の交換レンズが装着された場合には、同期通信は行わない。
【0095】
同期通信を開始すると、次に、ライブビュー表示を開始する(S7)。本体CPU121は撮像素子制御回路124より撮像素子103を同期周期毎に動作させて画像データを取得し、画像処理回路127においてライブビュー表示用の画像処理を施す。ライブビュー表示用に処理された画像データを用いて、表示回路128は表示用モニタ105にライブビュー表示を開始する。
【0096】
ライブビュー表示を開始すると、次に、交換レンズ100が取り外されたか否かの判定を行う(S9)。ここでは、ステップS5において開始した同期通信の通信状態、およびステップS1と同様に、マウントスイッチの状態の少なくとも1つに基づいて、交換レンズ100が取り外されたか否かを判定する。この判定の結果、交換レンズ100が取り外された場合には、ステップS1に戻る。
【0097】
ステップS9における判定の結果、交換レンズ100が取り外されておらず、装着されている場合には、次に、電源オフか否かの判定を行う(S11)。ここでは、操作スイッチ検出回路129が電源釦の操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、電源オフであった場合には、終了処理を行う(S13)。ここでは、各種データの退避処理、リセット動作、電源系統の切断処理等の処理を行う。終了処理を行うと、このフローを終了する。
【0098】
ステップS11における判定の結果、電源オフでなかった場合には、次に、MF環操作検出・動作処理を行う(S15)。ここでは、MF環204の操作状態に応じて焦点調節レンズ203の動作制御や設定処理を行う。すなわち、MF環204が交換レンズ200の後方側(撮像側)にスライドしている第2の位置にある場合には、カメラ本体100でAFモードに設定されているか、MFモードに設定されているかに係わらず、RFモードを実行する。一方、MF環204が交換レンズ200の前方側(被写体側)にスライドしている第1の位置にある場合には、カメラ本体100で設定されたAFモードまたはMFモードに従った制御を行う。
【0099】
また、RFモードとMFモード(AFモード)間でモードの切換えがなされた場合には、動画撮影中か撮影待機中かに応じて、焦点調節レンズ203の駆動速度の切換えを行う。MF環操作検出・動作処理の詳しい処理については、図14ないし図16を用いて後述する。
【0100】
MF環操作検出・動作処理を行うと、次に、動画スイッチがオンか否かを判定する(S17)。ここでは、操作スイッチ検出回路129が動画スイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。
【0101】
ステップS17における判定の結果、動画スイッチがオフであった場合、すなわち、静止画撮影モードの場合には、1stレリーズスイッチがオンか否かを判定する(S19)。撮影者は、撮影に入る前に準備段階としてレリーズ釦を半押し操作する。ここでは、操作スイッチ検出回路129が1stレリーズスイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、ステップS9に戻る。
【0102】
ステップS19における判定の結果、1stレリーズスイッチがオンであった場合には、次に、静止画測光・AFを行う(S21)。ここでは、静止画撮影用の測光、露出演算、AF等の撮影に必要な動作を実行する。測光および露出演算は、撮像素子103からの画像データに基づいて、被写体輝度を検出し、検出された被写体輝度に基づいて適正露光となるシャッタ速度および絞り値等の露出制御値を算出する。また、静止画撮影用のAFは、画像データから抽出した高周波成分(AF評価値)が最も大きくなるように、所謂山登り法によるAF動作を行う。なお、位相差AFによる自動焦点調節動作を行うようにしてもよい。
【0103】
静止画測光・AFを行うと、次に、1stレリーズスイッチがオフか否かを判定する(S23)。撮影者は、撮影準備としてレリーズ釦を半押した後、レリーズ釦から手を離し撮影準備動作を中止する場合がある。ここでは、操作スイッチ検出回路129が1stレリーズスイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、後述するステップS41に進む。
【0104】
一方、ステップS23における判定の結果、1stレリーズスイッチがオフでなかった場合、すなわちオンであった場合には、次に、2ndレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(S25)。撮影者は、ライブビュー表示を観察し、構図およびシャッタタイミングが決まると、レリーズ釦を全押し、撮影の実行を指令する。ここでは、操作スイッチ検出回路129が2ndレリーズスイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、2ndレリーズスイッチがオフであった場合には、ステップS23に戻る。
【0105】
ステップS25における判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンであった場合には、撮影動作に移る。まず、撮像を行う(S27)。ここでは、ステップS21において算出した露出演算結果に基づいて、本体CPU121はレンズCPU221と通信を行い、絞り205の絞り込み動作を指示し、絞り込み動作完了後に撮像素子制御回路124、シャッタ制御回路126により撮像素子103およびフォーカルプレーンシャッタ104を制御し撮像動作を行う。撮像動作の終了後、撮像素子103から読み出された画像信号を画像処理回路127によって処理し画像データを取得する。
【0106】
撮像を行うと、次に、画像データの記憶を行う(S29)。ここでは、本体CPU121は、ステップS27において取得した画像データをRAM123や、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部記憶媒体に記憶する。また、取得した画像データに基づいて、表示回路127を介して表示用モニタに、所定時間の間、撮影画像の表示を行う。
【0107】
ステップS17における判定の結果、動画スイッチがオンであった場合には、動画撮影モードに入る。まず、動画撮影を開始する(S31)。本体CPU121は、撮像素子制御回路124により撮像素子103を同期周期毎に動作させて動画撮影を開始させる。撮像素子103から出力される画像信号を画像処理回路127で動画用に画像処理を施し、この動画用画像データをRAM123やコンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部記憶媒体に記録を開始する。
【0108】
動画撮影を開始すると、続いて、MF環操作検出・動作処理を行う(S33)。ここでは、ステップS15と同様に、MF環204の操作状態に応じて焦点調節レンズ203の動作制御や設定処理を行う。また、AFモードが設定されている場合には、動画撮影用のAFは山登りAF動作を行い、必要に応じて合焦付近で焦点調節レンズ203を微小反復駆動させる、所謂、ウォブリング動作等を実行する。
【0109】
MF環操作検出・動作処理を行うと、次に、動画測光を行う(S35)。動画撮影用のAEとしては、静止画撮影時よりも細かい駆動ステップで絞り205を絞り駆動回路227により駆動させて撮像素子103に入射する被写体光量変化が滑らかになるように制御を行う。
【0110】
動画測光動作を行うと、次に、動画スイッチがオフか否かを判定する(S37)。撮影者は動画撮影を終了する場合には、動画釦から手を離すので、ここでは、操作スイッチ検出回路129が動画スイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、動画スイッチがオンであれば、ステップS33に戻り、動画撮影を続行する。
【0111】
ステップS37における判定の結果、動画スイッチがオフであれば、次に、動画撮影終了処理を行う(S39)。ここでは、本体CPU121は、撮像素子制御回路124により撮像素子103の動作を停止させて、動画撮影を終了する。
【0112】
ステップS29において画像データの記憶を行うと、またはステップS39において動画撮影終了を行うと、またはステップS23における判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、次に、表示の初期化を行う(S41)。ここでは、本体CPU121は、表示回路127により撮影画像表示や動画撮影パラメータ表示のクリア等を行って、表示用モニタ105における表示をライブビュー表示に戻す。表示の初期化を行うと、ステップS9に戻る。
【0113】
次に、ステップS15およびS33におけるMF環操作検出・動作処理について、図14ないし図16に示すフローチャートを用いて説明する。なお、MF環検出・動作処理のフローの動作は、本体CPU121の制御の下にレンズCPU221によって実行されるが、RFモードを実行する際には、レンズCPU221が主になって実行される。なお、カメラの起動時およびレンズ装着時の初期化のステップにおいて、フォーカス移動先として、現在のレンズのフォーカス位置を設定しておく。また、カウンタを0に初期化しておく。
【0114】
MF環204操作検出・動作処理のフローに入ると、まず、光軸方向の切換えがなされたか否かの判定を行う(S51)。ここでは、MF環204が光軸方向にスライドされMF位置(第1の位置)もしくはRF位置(第2の位置)に移動したか否かを、MF環位置検出回路224が判定する。
【0115】
ステップS51における判定の結果、MF環が光軸方向に切換えがなされていた場合には、次に、RFモードか否かを判定する(S53)。ここでは、MF環位置検出回路224の検出結果から、MF環204がRF位置にあるか否かに基づいて判定する。
【0116】
ステップS53における判定の結果、MF環204がRF位置にあり、RFモードであった場合には、次に、現在のフォーカス位置をフラッシュメモリに記録する(S59)。本実施形態においては、MF/AFモード(MFモードまたはAFモードであることを表す)から、RFモードに切り換わり、その後MF/AFモードに戻る場合には、前のMF/AFモード時における焦点調節レンズ203のフォーカス位置に設定する。このため、RFモードへの切換え時に、MF/AFモード時におけるフォーカス位置を、フラッシュROM122(または交換レンズ200内のフラッシュROM)に記憶している。
【0117】
現在のフォーカス位置をフラッシュメモリに記録すると、次に、RFモードに切換える(S61)。RFモードに設定されたことを、表示用モニタ105に表示する。続いて、RFモード時に指示されているフォーカス位置を交換レンズ200から取得する(S63)。RFモード時には、MF環204を回転させ、指標25aと一致する距離目盛24aを指標位置検出回路226が検出する。この検出された絶対距離(プリセット距離)を交換レンズ200から取得する。
【0118】
ステップS53における判定の結果、RFモードでなかった場合には、MF/AFモードに変更する(S55)。前述したように、MFモードとAFモードはカメラ本体100のメニュー画面において設定される。ステップS53における判定の結果、RFモードではなかったことから、メニュー画面で設定されたMFモードかAFモードのいずれかに設定する。
【0119】
MF/AFモードに変更すると、次に、直前のMFモード時またはAFモード時のフォーカス位置をフラッシュメモリから読み込む(S57)。現在は、MFモードもしくはAFモードであり、その前はRFモード、更に前はMFモードもしくはAFモードであったことから、前述したように、ステップS59において、RFモードに切り換わる直前のフォーカス位置をフラッシュROM122(もしくは、交換レンズ200内のフラッシュROM)に記憶しているので、このフォーカス位置を読み出す。
【0120】
ステップS51における判定の結果、光軸方向の切換えがなかった場合には、次に、RFモードかつ距離指標が変更されたか否かを判定する(S71、図15参照)。MF環204の光軸方向の位置に変化がなかったことから、このステップでは、まず、RFモードが維持されたままで、距離指標が変更されたか(MF環204が回転されたか否か)を判定する。MF環204が回転されたか否かは、MF位置検出回路225の検出結果に基づいて判定する。
【0121】
ステップS71における判定の結果、RFモードかつ距離指標が変更された場合には、次に、変更された距離指標に応じたフォーカス位置を交換レンズ200から取得する(S73)。ここでは、指標位置検出回路226のエンコーダ部226からの検出信号を取得する。
【0122】
ステップS71における判定の結果、RFモードかつ距離指標変更でなかった場合には、次に、MFモードかつリング回転がなされたか否かを判定する(S75)。ここでは、MFモードが維持されており、かつMF環204が回転したか否かを判定する。MF環204の回転は、MF位置検出回路225の検出信号に基づいて判定する。
【0123】
ステップS75における判定の結果、MFモードかつリング回転であった場合には、フォーカス位置を回転方向および回転量に合わせて変更する(S77)。MFモードであることから、MF位置検出回路225によって検出されたMF環204の回転状態(回転方向および回転量)に応じて、焦点調節レンズ203のピント合わせを行う。
【0124】
ステップS75における判定の結果、MFモードかつリング回転でなかった場合には、AFモードか否かの判定を行う(S79)。ここでは、カメラ本体100のメニュー画面においてAFモードが設定されているか否かを判定する。この判定の結果、AFモードが設定されていない場合には、後述するステップS91に進む。この場合は、RFモードまたはMFモードが設定されているが、MF環204が回転していない場合等である。
【0125】
ステップS79における判定の結果、AFモードであった場合には、次に、AF評価値を取得する(S81)。ここでは、画像処理回路127が画像データに基づいてAF評価値を算出する。
【0126】
AF評価値を取得すると、次に、ウォブリングによるフォーカス位置を微小移動させる(S83)。前述したように、ウォブリング動作では、焦点調節レンズ203を微小反転駆動させる。ウォブリング動作を行うと、AF評価値を取得する(S83)。ウォブリング動作によって焦点調節レンズ203を微小移動させた位置でAF評価値を得る。
【0127】
AF評価値を取得すると、フォーカス位置を決定する(S85)。AFモードが設定されている場合には、常に自動焦点調節を実行するため、ステップS67においてカウンタはリセットせずに、後のステップで常にフォーカスを微小移動させることで自然な動画のフォーカス合わせを実現する。
【0128】
ステップS57において直前のMF/AF時のフォーカス位置を読み出すと、またはステップS63においてRFモードで指示されている絶対距離(プリセット距離)を取得すると、またはステップS73において変更されたプリセット距離を取得すると、またはステップS77においてMFモードでピント合わせを行うと、次に、カウンタ値がスレッシュ値以上か否かを判定する(図14のS65)。このカウンタは、後述するステップS101で加算することにより、フォーカス位置が変更されてからの時間を表す。
【0129】
ステップS65における判定の結果、カウンタがスレッシュを越えていない場合には、カウンタを0にリセットする(S67)。したがって、MF環204の操作がなされ、ピント合わせのためにレンズ移動中でなれば、カウンタは0にリセットされる。
【0130】
ステップS67においてカウンタを0にリセットすると、またはステップS65における判定の結果、カウンタがスレッシュを越えた場合には、またはステップS85においてフォーカス位置を決定すると、フォーカス位置をフォーカス移動先として設定する(S69)。ここでは、ステップS57において読み込んだフォーカス位置、ステップS63において指示されたフォーカス位置、ステップS73において取得したフォーカス位置、ステップS77において変更したフォーカス位置、ステップS85において決定したフォーカス位置を、焦点調節レンズ203の移動先のフォーカス位置として設定する。
【0131】
ステップS69においてフォーカス位置をフォーカス移動先として設定すると、またはステップS79における判定の結果、AFモードが設定されていない場合には、次に、動画撮影中か否かの判定を行う(図16のS91)。動画撮影は、前述のステップS17(図13)において開始され、ステップS37においてオフされるまで続く。
【0132】
ステップS91における判定の結果、動画撮影中でなければ、現在のレンズのフォーカス位置をフォーカス移動先に移動させる(S103)。前述したステップS69において、移動先のフォーカス位置を設定しているので、この位置に、レンズ駆動回路222はレンズ位置検出回路223からの検出信号と参照しながら、焦点調節レンズ203の駆動を行う。動画撮影中でないことから、ライブビュー表示を行っている撮影待機状態である。この場合には、図12(b)に示した駆動ラインDL2に沿って高速でフォーカス移動先に移動させる。
【0133】
焦点調節レンズ203をフォーカス移動先に移動させると、カウンタを0にリセットする(S105)。焦点調節レンズ203の位置がフォーカス位置と同じになったことから、カウンタを0にリセットする。
【0134】
ステップS91における判定の結果、動画撮影中であった場合には、次に、フォーカス移動先とレンズフォーカス位置は同じか否かを判定する(S93)。レンズ位置検出回路223から取得した現在の焦点調節レンズ203のフォーカス位置と、ステップS69において設定したフォーカス位置が同じであるか否かを判定する。この判定の結果、同じであった場合には、前述したステップS105に進み、カウンタを0にリセットする。
【0135】
一方、ステップS93における判定の結果、フォーカス移動先とレンズフォーカス位置が同じでなかった場合には、ステップS65と同様に、カウンタ値がスレッシュ値以上か否かの判定を行う(S95)。ここでは、フォーカス移動中であるか否かを判定する。前述したように、MF環204が操作されると、ステップS67において、カウンタがリセットされる。例えば、フレームレートが30fpsの動画の場合であって、スレッシュとして3を設定すると、最終操作から100ms後にフォーカス移動を開始することになる。なお、移動開始までの時間は、100msに限らず、50ms〜300ms程度であれば、応答性として違和感がない。
【0136】
ステップS95における判定の結果、カウンタ値がスレッシュ以上であった場合には、フォーカス移動中であることから、次に、移動量取得を行う(S97)。例えば、無限遠から至近まで3秒程度で移動するような速度になるようにフォーカスを微小移動させる。30fpsの動画の場合であって、無限遠から至近まで300ステップのフォーカス位置を指定できるレンズの場合には、300/30/3で、3ステップずつフォーカス位置を移動させることができる。本実施形態においては、このサブルーチンは毎フレーム処理されるため、フレーム毎に滑らかにフォーカス位置を変化させることができる。なお、移動時間としては、3秒に限らず、0.5秒から5秒程度であればよく、2秒くらいが望ましい。
【0137】
また、前回のフレームと今回のフレームの相関を算出して、画角全体が大きく移動している場合には、移動量が大きい程、1以上の大きな補正係数を上述のステップ(例えば、3ステップ)に乗ずる。これにより、カメラが大きく移動した場合には、フォーカス移動速度が速くなる。同様に、一部分、例えば顔検出した領域のみが移動している場合には、移動量が大きい程1以上の大きな補正係数をさらに乗ずる。これにより、主要な被写体が大きく移動した場合には、フォーカス移動速度が速くなる。この補正係数を求めてステップ数を算出する処理の詳細については、図17を用いて後述する。
【0138】
移動量を取得すると、次に、レンズのフォーカス位置をフォーカス移動先までフォーカス移動先を超えない範囲で、移動量分移動させる(S99)。ここでは、ステップS97において取得した移動量に基づいて、レンズ駆動回路222はレンズ位置検出回路223からの検出信号と参照しながら、焦点調節レンズ203の駆動を行う。ステップS97において取得した移動量に基づいて、レンズ駆動を行うことにより、図12(b)に示す駆動ラインDL1に沿って、時間と共に徐々にフォーカスが変化する。
【0139】
ステップS99においてレンズ駆動を行うと、またはステップS95における判定の結果、カウンタ値がスレッシュを越えていない場合には、次に、カウンタインクリメントを行う(S101)。ここでは、焦点調節レンズ203がフォーカス位置まで到達していないことから、カウンタに加算を行う。
【0140】
ステップS101においてカウンタのインクリメントを行うと、またはステップS105においてカウンタを0にリセットすると、MF環操作検出・動作処理のフローを終了し、元のフローに戻る。
【0141】
次に、ステップS97における移動量取得について、図17に示すフローを用いて説明する。移動量取得のフローに入ると、まず、レンズ情報を取得し、基準移動量(パルス数)を算出し、補正係数特性作成する(S111)。ステップS3またはS5(図13参照)における通信において、レンズ情報を取得している。ここで必要なレンズ情報としては、例えば、エンコーダ部226aのコードパターン226bの総パターン数、至近から無限遠までの焦点調節レンズ203のレンズ位置検出回路223によって出力されるパルス数等である。
【0142】
また、ステップS111において算出される基準移動量(パルス数)は、前述したように、無限遠から至近まで所定時間(例えば、2,3秒)で移動できる程度の移動量である。補正係数は、主要被写体が移動している場合には、移動速度に応じて基準移動量を修正する。
【0143】
補正係数の例を図18に示す。補正係数は、無限遠から至近までのパルス数が多い程、また、RFモードの場合には、コードパターン226b(グレイコード)のビット数が多い程、傾きを急にする。パルス数が多かったり、グレイコードのパターンが多いと、ステップが多くなり、補正係数の傾きが同じでは、レンズにより補正効果が変わってしまう。そこで、どの交換レンズでも、同じようにMF環204を回転させると、同じようにフォーカスが移動するように補正係数の傾きを変えている。横軸の移動量は、ステップS115およびS117において算出する移動量に対応する。なお、移動量がLaに達するまでは、補正係数を1のままにしているのは、多少の移動は反映させないようにするためである。レンズ情報に基づいて、補正係数の特性を作成、もしくは予め補正係数テーブルを容易にしておき選択する。
【0144】
続いて、前フレームと減フレームのモーションベクトルを算出する(S115)。ここでは、画像処理回路127が撮像素子103からの画像データに基づいて、画面を複数のブロックに分割し、ブロック毎に前フレームと現フレームのモーションベクトルを算出する。
【0145】
ブロック毎にモーションベクトルを算出すると、次に、画面全体の移動量を算出する(S115)。ここでは、ステップS113において算出したブロック毎のモーションベクトルを用いて、全体のモーションベクトルの平均を算出する。
【0146】
画面全体の移動量を算出すると、次に、主要被写体の移動量を算出する(S117)。ここでは、ステップS113において算出したブロック毎のモーションベクトルを用いて、主要被写体、例えば、顔検出した顔、撮影者がタッチパネル等において指定した被写体等の移動量を算出する。
【0147】
主要被写体の移動量を算出すると、次に、基準移動量の補正を行う(S119)。ここでは、ステップS111において算出した基準移動量に対して、ステップS115において算出した画面全体の移動量に対応した補正係数を乗算する。さらに、この乗算結果値に、主要被写体の移動量に応じた補正係数を乗算する。
【0148】
基準移動量を補正すると、元のフローに戻る。ステップS119において補正した基準移動量を用いて、ステップS99(図16)において、焦点調節レンズ203のフォーカス移動を行う。この結果、画面全体および主要被写体の移動量に応じて、焦点調節レンズ203の移動速度となる。
【0149】
例えば、図20(a)(b)に示すような例では、最初、手前の被写体305にピントを合わせた状態から奥の被写体307にRFモード(MFモード)によってピントを合わせる場合を想定する。手前の被写体305も奥の被写体307も共に動きが殆どないことから、全体と主要被写体の移動量は小さく、この結果、補正係数の値は小さくなり、基準移動量も小さく、手前から奥にフォーカス移動(ピント移動)は、ゆっくりした駆動速度で行われる。
【0150】
一方、図20(c)に示すような例では、主要被写体である手前の被写体305は打者であり、同じく主要被写体となる奥の被写体307は投手であることから、補正された基準移動量は大きくなる。この結果、手前の被写体305と奥の被写体307の間でフォーカス移動(ピント移動)させる場合には、高速で駆動される。
【0151】
このように、本実施形態における移動量取得のフローでは、画面全体の動きや被写体の動きに応じて、焦点調節レンズ203の駆動速度を変えている。このため、撮影シーンにマッチしたフォーカス移動を行うことができる。
【0152】
次に、移動量取得のフローの変形例を、図19を用いて説明する。本発明の一実施例における移動量取得のフローでは、画像データに基づいて全体および主要被写体の移動量を算出していた。これに対して、本変形例においては、主要被写体の移動量は画像データに基づいて算出するが、全体の移動量についてはカメラに設けたセンサ出力に基づいて算出する。
【0153】
本変形例においては、カメラ内に、カメラの動きを検出するためのモーションセンサ、方位センサを設ける。専用のセンサを設けてもよいが、手振れ防止のための手振れセンサを兼用しても勿論かまわない。
【0154】
図19に示す移動量取得のフローに入ると、まず、レンズ情報を取得し、基準移動量(パルス数)を算出する(S121)。ここでは、ステップS111の場合と同様にして、交換レンズ200との通信によってレンズ情報を取得する。また、ステップS111と同様にして、基準移動量を算出する。
【0155】
続いて、前フレームと現フレームのモーションベクトルを算出する(S123)。ステップS113と同様にして、前フレームと現フレームの画像データを用いて、ブロック毎のモーションベクトルを算出する。
【0156】
モーションベクトルの算出を行うと、次に、主要被写体の移動量を算出する(S123)。ここでは、ステップS117と同様にして、顔検出した顔等、主要被写体の移動量を、ステップS123において算出したモーションベクトルに基づいて算出する。
【0157】
主要被写体の移動量を算出すると、次に、カメラのセンサからカメラの移動量を算出する(S127)。本変形例においては、カメラ内に設けたモーションセンサや方位センサ等、カメラの動きを検出するセンサ出力に基づいて、カメラの移動量を算出する。
【0158】
カメラの移動量を算出すると、次に、基準移動量の補正を行う(S129)。ここでは、ステップS127において算出したカメラの移動量に対応した補正係数を、ステップS121において算出した基準移動量に乗算する。この乗算結果に、さらに主要被写体の移動量に応じた補正係数を乗算する。
【0159】
基準移動量を補正すると、元のフローに戻る。本発明の一実施形態の場合と同様、ステップS119において補正した基準移動量を用いて、ステップS99(図16)において、焦点調節レンズ203のフォーカス移動を行う。この結果、画面全体および主要被写体の移動量に応じて、焦点調節レンズ203の移動速度となる。
【0160】
本変形例においても、本発明の一実施形態と同様、画面全体の動きや被写体の動きに応じて、焦点調節レンズ203の駆動速度を変えている。このため、撮影シーンにマッチしたフォーカス移動を行うことができる。
【0161】
以上説明したように、本発明の一実施形態や変形例においては、リング部材(MF環204)をスライド操作することにより、RFモードまたはMF/AFモードに切り換えると(図14のS51)、動画撮影中と撮影待機中では(図16のS91)、異なる速度で焦点調節レンズを駆動制御している(図16のS103、S97、S99)。また、本発明の一実施形態においては、リング部材をスライド操作することにより、RFモードに、またはMF/AFモードに切換えると(図14のS51)、設定されたモードに応じた距離まで焦点調節レンズを第1の速度または第2の速度で移動させている(図16のS103、S97、S99)。このため、ピント合わせを切換える場合に、カメラの状態に応じて、焦点調節レンズの駆動速度を切換えることができる。
【0162】
また、本発明の一実施形態においては、プリセット距離にピント合わせを行う際に、移動判定部によって判定された移動量に基づいて焦点調節レンズの駆動速度を制御するようにしている(S図17のS111〜S119、図20のS121〜S129)。このため、被写体の状態に応じた焦点調節レンズの駆動速度とすることができる。
【0163】
また、本発明の一実施形態においては、リング部材としてのMF環204は、第1の位置ではMFモード時の手動焦点調節部材となり、また第2の位置ではRFモード時の距離設定部材となる。このため、2つの機能を有する調節部材を1つのリング部材で兼用することができ、小型にすることができる。
【0164】
なお、本発明の一実施形態においては、カメラ本体100側でAFモードとMFモードの両方を切換えられるようにしていたが、カメラ本体100側では焦点調節モードとしては、この2つに限らず、他の焦点調節モードを設定可能でもよく、またAFモードとMFモードのいずれか一方を含むだけでもよい。
【0165】
また、本発明の一実施形態においては、リング部材としてのMF環204は、第1の位置と第2の位置の2つの位置の間で移動していたが、第3の位置等、他の位置を設けるようにしても勿論かまわない。また、本発明の一実施形態においては、リング部材によって、MF/AFモードとRFモードの切換えを行っていた。しかし、これに限らず、スイッチ等によって2つのモードを切換えるようにしても勿論かまわない。
【0166】
また、本発明の一実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
【0167】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0168】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0169】
21・・・バヨネット部、22・・・基台部、24・・・距離表示環、24a・・・距離目盛、24b・・・係合ピン、25・・・指標表示部、25a・・・指標、25b・・・被写体深度指標、100・・・カメラ本体、101・・・カメラ制御回路、103・・・撮像素子、104・・・フォーカルプレーンシャッタ、105・・・表示用モニタ、106・・・ストロボ、107・・・レリーズ釦、108・・・バッテリ、121・・・本体CPU、122・・・フラッシュROM、123・・・RAM、124・・・撮像素子制御回路、125・・・ストロボ制御回路、126・・・シャッタ制御回路、127・・・画像処理回路、128・・・表示回路、129・・・操作スイッチ検出回路、130・・・電源回路、131・・・カメラ本体通信回路、132・・・ファーストレリーズスイッチ、133・・・セカンドレリーズスイッチ、200・・・交換レンズ、201・・・レンズ制御回路、203・・・焦点調節レンズ、204・・・MF環、204a・・・係合部、204b・・・内側筒部、204c・・・スリット孔、205・・・絞り環、221・・・レンズCPU、222・・・レンズ駆動回路、223・・・レンズ位置検出回路、224・・・MF環位置検出回路、224a・・・フォトインタラプタ部、225・・・MF位置検出回路、225a・・・フォトインタラプタ、226・・・指標位置検出回路、226a・・・エンコーダ部、226b・・・コードパターン、226c・・・接点部、227・・・絞り駆動回路、228・・・RAM、229・・・レンズ通信回路、301・・・撮影者、303・・・被写体、305・・・ 手前の被写体、307・・・奥の被写体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒に設けられた焦点調節レンズと、
上記焦点調節レンズを駆動するレンズ駆動部と、
上記レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向にスライド自在に配設されたリング部材と、
上記リング部材が上記光軸方向にスライド移動した際に、第1の位置または第2の位置のいずれであるか検出するスライド位置検出部と、
上記リング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタル信号で出力する回転位置検出部と、
上記リング部材が上記第1の位置と上記第2の位置の間でスライド移動した際に、動画撮影中と撮影待機中では、上記レンズ駆動部によって駆動される上記焦点調節レンズの駆動速度を異ならせる制御部と、
を有することを特徴とする光学機器。
【請求項2】
上記制御部は、上記撮影待機中の駆動速度を、上記動画撮影中の駆動速度よりも高速とすることを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項3】
上記制御部は、被写体の動きに応じた速度で上記焦点調節レンズを駆動することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項4】
上記制御部は、上記リング部材が上記第1の位置から第2の位置にスライド移動した際に、上記プリセット距離を表すデジタル信号に基づいて、上記焦点調節レンズのピント位置を制御することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項5】
レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向の第1の位置と第2の位置にスライド自在に配設されたリング部材と、
上記リング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタル信号で出力する回転位置検出部と、
上記リング部材が上記第1の位置と上記第2の位置の間でスライド操作された際に、操作位置に応じた距離まで焦点調節レンズを第1の速度または第2の速度で移動させる制御部と、
を有することを特徴とする光学機器。
【請求項6】
上記制御部は、動画撮影中であるか、撮影待機中であるかに応じて、上記第1の速度または第2の速度を切換えることを特徴とする請求項5に記載の光学機器。
【請求項7】
被写体の移動を判定する移動判定部を有し、
上記制御部は、上記移動判定部によって判定された上記被写体の移動に基づいて、上記焦点調節レンズの移動速度を制御することを特徴とする請求項5に記載の光学機器。
【請求項8】
離散的なプリセット距離に焦点調節レンズのピント合わせを行う焦点調節部と、
被写体の移動量を判定する移動判定部と、
上記焦点調節部によって上記プリセット距離にピント合わせを行う際に、上記移動判定部によって判定された上記移動量に基づいて、上記焦点調節レンズの駆動速度を制御する駆動制御部と、
を有することを特徴とする光学機器。
【請求項1】
レンズ鏡筒に設けられた焦点調節レンズと、
上記焦点調節レンズを駆動するレンズ駆動部と、
上記レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向にスライド自在に配設されたリング部材と、
上記リング部材が上記光軸方向にスライド移動した際に、第1の位置または第2の位置のいずれであるか検出するスライド位置検出部と、
上記リング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタル信号で出力する回転位置検出部と、
上記リング部材が上記第1の位置と上記第2の位置の間でスライド移動した際に、動画撮影中と撮影待機中では、上記レンズ駆動部によって駆動される上記焦点調節レンズの駆動速度を異ならせる制御部と、
を有することを特徴とする光学機器。
【請求項2】
上記制御部は、上記撮影待機中の駆動速度を、上記動画撮影中の駆動速度よりも高速とすることを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項3】
上記制御部は、被写体の動きに応じた速度で上記焦点調節レンズを駆動することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項4】
上記制御部は、上記リング部材が上記第1の位置から第2の位置にスライド移動した際に、上記プリセット距離を表すデジタル信号に基づいて、上記焦点調節レンズのピント位置を制御することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
【請求項5】
レンズ鏡筒に対して回転自在に配設されるとともに、光軸方向の第1の位置と第2の位置にスライド自在に配設されたリング部材と、
上記リング部材が第2の位置にある際に、回転操作で設定されたプリセット距離をデジタル信号で出力する回転位置検出部と、
上記リング部材が上記第1の位置と上記第2の位置の間でスライド操作された際に、操作位置に応じた距離まで焦点調節レンズを第1の速度または第2の速度で移動させる制御部と、
を有することを特徴とする光学機器。
【請求項6】
上記制御部は、動画撮影中であるか、撮影待機中であるかに応じて、上記第1の速度または第2の速度を切換えることを特徴とする請求項5に記載の光学機器。
【請求項7】
被写体の移動を判定する移動判定部を有し、
上記制御部は、上記移動判定部によって判定された上記被写体の移動に基づいて、上記焦点調節レンズの移動速度を制御することを特徴とする請求項5に記載の光学機器。
【請求項8】
離散的なプリセット距離に焦点調節レンズのピント合わせを行う焦点調節部と、
被写体の移動量を判定する移動判定部と、
上記焦点調節部によって上記プリセット距離にピント合わせを行う際に、上記移動判定部によって判定された上記移動量に基づいて、上記焦点調節レンズの駆動速度を制御する駆動制御部と、
を有することを特徴とする光学機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−7860(P2013−7860A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139874(P2011−139874)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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