説明

光学活性トリフルオロメチル化合物の製造方法

【課題】光学純度が高い光学括性α-トリフルオロメチルカルボニル化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】


(式中Rl及びR2は,各々独立して,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基,複素環基,アルコキシ基,アミノ基,アシルオキシ基を示し,水素原子でもよい。Xはアルキレン基,=N-H,=N-R3,=N-OH,=N-O-R4,酸素原子を示し,Wは電子吸引基を示す。nは0または1を示し,RlとR2,RlとW,またはR2とWはそれぞれ共に結合して環を形成してもよい。)で表される化合物を,キラルグアニジン,キラルアミン又はキラルホスファゼン・ベースの存在下に、アミノスルホキソニウム塩構造又はジベンゾカルコゲニウム塩構造の求電子的トリフルオロメチル化試薬、或いは超原子化ヨウ素化合物タイプの求電子的トリフルオロメチル化試薬と反応させることを特徴とする光学括性トリフルオロメチル化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性トリフルオロメチル化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からα-トリフルオロメチルカルボニル化合物の合成についていろいろと研究されてきた。例えばα-トリフルオロメチルカルボニル化合物の製造方法として,柴田らによるアミノスルホキソニウム塩構造を有する求電子的トリフルオロメチル化試薬を用いる方法,梅本,Cahardらによるジベンゾカルコゲニウム塩構造を有する求電子的トリフルオロメチル化試薬を用いる方法,Togniらによる超原子価ヨウ素化合物タイプの求電子的トリフルオロメチル化試薬を用いる方法などが知られているが,光学活性なα-トリフルオロメチルカルボニル化合物を得る方法の報告例は二例のみである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】T. Umemoto, S, Ishihara, Tetrahedron Lett., 1990, 31, 3579;
【非特許文献2】T. Umemoto, S. Ishihara, J. Am. Chem. Soc., 1993, 115, 2156;
【非特許文献3】I. Kieltsch, P. Eisenberger, A. Togni, Angew. Chem., Int. Ed., 2007, 46, 754
【非特許文献4】S. Noritake, N. Shibata, S. Nakamura, T. Toru, M. Shiro, Eur. J.Org. Chem. 2008, 3465
【非特許文献5】T. Umemoto, K. Adachi, J. Org. Chem., 1994, 59, 5692
【非特許文献6】J.-A. Ma, V. Petrik, D. Cahard, http://www.usc.es/congresos/ecsoc/10/ECSOC10.htm. poster a034, 2006.)。しかし,この方法では生成するα-トリフルオロメチルカルボニル化合物の不斉収率が低い点で問題があり,また適応可能な化合物の汎用性が低く,これらの方法では光学活性なα-トリフルオロメチルカルボニル化合物誘導体を合成することは非常に困難である。本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果,一般に使用される光学活性有機塩基の存在下で,アミノスルホキソニウム塩構造,ジベンゾカルコゲニウム塩構造,そして超原子価ヨウ素化合物タイプの求電子的トリフルオロメチル化試薬を使用するとさまざまな基質で反応が円滑に進行し,効率よく光学活性なα-トリフルオロメチルカルボニル化合物を得ることができるという知見を得た。そして,更に研究を重ね遂に本発明を完成させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて、汎用性のある化合物を用いて光学純度が優れた光学括性α-トリフルオロメチルカルボニル化合物を製造することである。すなわち,求電子トリフルオロメチル化剤にこれまでに開発されてきたアミノスルホキソニウム塩構造,ジベンゾカルコゲニウム塩構造,そして超原子価ヨウ素化合物タイプの試薬を用い,一般的に使用される光学活性な有機塩基存在下で,光学純度が高い光学括性α-トリフルオロメチルカルボニル化合物を製造することである。また,一般性が高く,しかも安価で汎利生のある化合物を基質とし,光学活性なα-トリフルオロメチルカルボニル化合物を効率よく,高活性で,高選択的に製造するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本願の第1の発明は、一般式(1)
【0006】
【化1】

【0007】
(式中Rl及びR2は,各々独立して,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基,置換基を有してもよい複素環基,換基を有してもよいアルコキシ基,置換基を有してもよいアミノ基,置換基を有してもよいアシルオキシ基を示し,Rl及びR2のどちらかは水素原子でもよい。Xはアルキレン基,=N-H,=N-R3,=N-OH,=N-O-R4,酸素原子を示し, Wは電子吸引基を示す。nは0または1を示し,RlとR2,RlとW,またはR2とWはそれぞれ共に結合して環を形成してもよい。)
で表される化合物を,下記一般式(2)
【0008】
【化2】

【0009】
(式中,Rl, R2, R3, R4及びR5は,各々独立して,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基である。)
で表されるキラルグアニジンまたは,下記一般式(3)
【0010】
【化3】



【0011】
(式中,Rl, R2,及びR3は,各々独立して,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基である。)
で表されるキラルアミンまたは,下記一般式(4)
【0012】
【化4】

【0013】
(式中,Rl, R2, R3, R4, R5, R6及びR7は,各々独立して,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基である。)
で表されるキラルホスファゼン・ベースの存在下に下記一般式(5)
【0014】
【化5】

【0015】
(式中R,R,R,R,及びR,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子,ハロゲン原子,ニトロ基,シアノ基,炭素数6から10のアリール基,炭素数1から7で置換もしくは未置換のアルキル基,炭素数1から6のハロアルキル基,炭素数1から6のアルコキシ基,炭素数2から6のアルカノイル基,炭素数2から6のアルコキシカルボニル基,炭素数3から7のカルバモイル基,アルキル及びアリール置換スルホニル基を表し,RとR,RとRが結合して環状構造を成してもよく,その環は芳香環であっても良い。RとRは同一の若しくは異なる基であって,炭素数6から10のアリール基,炭素数1から6で置換もしくは未置換のアルキル基,炭素数1から6のハロアルキル基,炭素数2から6のアルカノイル基,アルキル及びアリール置換スルホニル基を表し,RとRが結合して環状構造を成してもよく,その環は芳香環であっても良い。Xはハロゲン原子,トリフラート,トリフルオロメタンスルホンイミダイド,テトラフルオロボレート,ヘキサフルオロホスフェート,ペンタフルオロアンチモネートを表す。)
で表されるアミノスルホキソニウム塩構造の求電子的トリフルオロメチル化試薬または
下記一般式(6)
【0016】
【化6】

【0017】
(式中R,R,R,R,及びR,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子,ハロゲン原子,ニトロ基,シアノ基,炭素数6から10のアリール基,炭素数1から7で置換もしくは未置換のアルキル基,炭素数1から6のハロアルキル基,炭素数1から6のアルコキシ基,炭素数2から6のアルカノイル基,炭素数2から6のアルコキシカルボニル基,炭素数3から7のカルバモイル基,アルキル及びアリール置換スルホニル基を表し,Aは酸素原子,硫黄原子,セレン原子,テルル原子を表す。Xはハロゲン原子,トリフラート,トリフルオロメタンスルホンイミダイド,テトラフルオロボレート,ヘキサフルオロホスフェート,ペンタフルオロアンチモネートを表す。)
で表されるジベンゾカルコゲニウム塩構造の求電子的トリフルオロメチル化試薬または
一般式(7)
【0018】
【化7】

【0019】
(式中R,R,R,R,及びR,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子,ハロゲン原子,ニトロ基,シアノ基,炭素数6から10のアリール基,炭素数1から7で置換もしくは未置換のアルキル基,炭素数1から6のハロアルキル基,炭素数1から6のアルコキシ基,炭素数2から6のアルカノイル基,炭素数2から6のアルコキシカルボニル基,炭素数3から7のカルバモイル基,アルキル及びアリール置換スルホニル基を表す。)
で表される超原子化ヨウ素化合物タイプの求電子的トリフルオロメチル化試薬と反応させることを特徴とする,一般式(8)
【0020】
【化8】

【0021】
(Rl,R2,X,n,Wは,各々,前記と同様のものを示す)
で表される光学括性トリフルオロメチル化合物の製造方法にある(請求項1)。
本願の第2の発明は、光学活性な塩基がキラルグアニジンである請求項1記載の光学活性トリフルオロメチル化合物の製造方法にある(請求項2)。
本願の第3の発明は、Wがアルコキシカルボニル基,アリ-ルオキシカルボニル基,アミノカルボニル基,アシル基,ホルミル基であり,それぞれの基は置換基を有していてもよい請求項1記載の光学活性トリフルオロメチル化合物の製造方法にある(請求項3)。
本願の第4の発明は、Rlが,水素原子,あるいは置換基を有していてもよい低級アルキル基,脂環族炭化水素基,芳香族炭化水素基から選ばれる基である請求項1記載の光学括性トリフルオロメチル化合物の製造方法にある(請求項4)。
本願の第5の発明は、Rlが水素原子あるいは置換基を有していてもよい低級アルキル基,脂環族炭化水素基,芳香族炭化水素基から選ばれる基であり,Wがアルコキシカルボニル基,アリ-ルオキシカルボニル基,アミノカルボニル基,アシル基,ホルミル基であり,それぞれの基は置換基を有していてもよい請求項1記載の光学括性トリフルオロメチル化合物の製造方法にある(請求項5)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,本発明を詳述する。
まずこの発明における出発原料,あるいは基質となる一般式(1)記載の化合物を説明する。この一般式(1)において,Rl及びR2は,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基,置換基を有してもよい複素環基,置換基を有してもよいアルコキシ基,置換基を有してもよいアミノ基,置換基を有してもよいアシルオキシ基を示し,Rl及びR2のどちらかは水素原子でもよい。
Wは電子吸引基を示す。nは0または1を示し,RlとR2,R1とW,R2とWはそれぞれ共に結合して環を形成してもよい。
上記,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基は,脂肪族,脂環族,芳香族の飽和または不飽和の炭化水素基,あるいは置換基を持つこれらの各種の基であってよい。具体的には,例えばアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリ-ル基,シクロアルキル基,シクロアルケニル基等の炭化水素基が挙げられ,これら炭化水素基には,さらにアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリ-ル基,シクロアルキル基,アシル基,アルコキシ基,アルコキシカルボニル基,アシルオキシ基,ハロゲン原子,ニトロ基,シアノ基等の許容される各種置換基を有していてもよい。
一般式(1)での化合物におけるに,RlとR2,RlとW,またはR2とWはそれぞれ共に結合して形成される環としては炭素環,あるいは複素環を例示することができる。この炭素環,あるいは複素環上にアルキル基,ハロゲン原子,ニトロ基,アミノ基(アシル基,アルキル基,シクロアルキル基等を有していてもよい),シアノ基,ヒドロキシル基,カルボキシル基,カルバモイル基,アリ-ル基,アルコキシ基,アラルキル基等の許容される各種置換基を有してもよい。
また,電子吸引基とは,水素原子と比べて,結合原子側から電子をひきつけやすい基を示す。例えばホルミル基,アシル基,シアノ基,アシルオキシ基,アミド基,ニトロ基,ニトロソ基,イミノ基,スルフリル基,スルフリルアミド基などが挙げられる。本発明においては,これら電子吸引基は置換基を有していてもよいが,電子吸引基が置換基を有する例として,上記電子吸引基を含む,アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリ-ル基,シクロアルキル基,アルコキシ基,アルコキシカルボニル基,アシルオキシ基等を示すことができる。
本発明では一般式(1)で表される化合物において,Wとして,アルコキシカルボニル基,アリ-ルオキシカルボニル基,アミノカルボニル基,アシル基,ホルミル基およびそれら電子吸引基を含むアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリ-ル基,シクロアルキル基が好ましい。
また,本発明では求電子的トリフルオロメチル化試薬として一般式(5)で表されるアミノスルホキソニウム塩構造の試薬,一般式(6)で表されるジベンゾカルコゲニウム塩構造の試薬,あるいは一般式(7)で表される超原子価ヨウ素化合物タイプの試薬が好ましいが,特に一般式(6)で表されるジベンゾカルコゲニウム塩構造の試薬が好ましい。一般式(6)の化合物において,A中元素とは酸素,硫黄,セレン,テルルなどが例示できるが,硫黄が特に好ましく,その使用量はカルボニル化合物に対して理論量以上であれば特に限定されるものではないが,好ましくはカルボニル化合物1モルに対して,1乃至10モルであり,さらに好ましくは1.1乃至2モルである。
本発明における光学活性有機塩基としてはキラルグアニジン,キラルアミン,キラルホスファゼン・ベース等が挙げられるが,キラルグアニジンが特に好ましい。
キラルグアニジンの具体例としては,下記一般式(9)
【0023】
【化9】

【0024】
(式中R,R,及びR3,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子および置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基であっても良い。)
もしくは,下記一般式(10)
【0025】
【化10】



【0026】
(式中R,及びR2,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子および置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基であっても良い。)
もしくは,下記一般式(11)
【0027】
【化11】



【0028】
(式中Rは水素原子および置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,キラル中心を持つ置換基であっても良い。)
もしくは,下記一般式(12)
【0029】
【化12】



【0030】
(式中R,R,及びR3,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子および置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基であっても良い。)
があげられるがこれらに限定されるものではない。
【0031】

キラルアミンの具体例としては,キナアルカロイドである,キニン,キニジン,シンコニン,シンコニジン,ジヒドロキニン,ジヒドロキニジン,またはキナアルカロイド・ダイマーである(DHQD)2AQN,(DHQ)2AQN,(DHQD)2PYR,(DHQ)2PYR,(DHQD)2PHAL,(DHQ)2PHAL,などがあげられるがこれらに限定されるものではない。
【0032】

キラルホスファゼン・ベースの具体例としては,下記一般式(13)
【0033】
【化13】

【0034】
(式中R,R,R3及びR4,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子および置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基であっても良い。)
があげられるがこれらに限定されるものではない。
その使用量はカルボニル化合物に対して特に限定されるものではないが,好ましくは,カルボニル化合物1モルに対して,0.01乃至10モルであり,さらに好ましくは1.0乃至1.5モルである。
本発明において,必要なら溶媒が用いられる。使用できる溶媒は,ジクロロメタン,ジブロモメタン,クロロホルム,ブロモホルム,四塩化炭素,1,2-ジクロロエタン,1,1,2-トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素,ジメチルエ-テル,ジエチルエ-テル,t-ブチルメチルエ-テル,1,4-ジオキサン,テトラヒドロフラン等のエ-テル類,ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素類,ジメチルホルムアミド(DMF)やアセトニトリルなどの極性溶媒等が挙げられる。これらのうち,好ましくは,ジクロロメタン,ジエチルエ-テル,t-ブチルメチルエ-テル,テトラヒドロフランまたはトルエンである。
反応温度は,特に限定されるものではないが,通常−40乃至100℃であり,より好ましくは−20乃至60℃である。攪拌速度は,攪拌が十分行われるように適宜選択される。反応時間は,特に限定されるものではないが,通常1乃至24時間で反応は完結する。この反応液から,定法により所望の光学活性な反応生成物を得ることができる。
以下,実施形態により本発明を具体的に説明するが,本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
(第1実施形態)
2-トリフルオロメチル-1-インダノン-2-カルボン酸 メチル
【0036】
【化14】



【0037】
1-インダノン-2-カルボン酸 メチル (10.0 mg, 0.053 mmol, 1.0 equiv.)をCHCl3/CH2Cl2=1/1の混合溶媒0.5 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (19.8 mg, 0.058 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-80 ℃で5分間撹拌した。その後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (21.5 mg, 0.063 mmol, 1.2 equiv.)を加え-80 ℃で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン,シリカゲル 3 g)で精製し,収率63% (8.6 mg), 70% eeで目的物を得た。
分子式 : C12H9F3O3
M.W. : 258.19
Rf = 0.73 (benzene/ethyl acetate = 90/10)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.84 (d, J=7.4 Hz, 1H), 7.73-7.65 (m, 1H), 7.54-7.41 (m, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.75, 3.59 (AB quartet, J=17.5 Hz, 2H) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3):δ -69.2 (s, 3F) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 192.82, 165.60, 151.65, 136.28, 134.36, 128.50, 126.30, 125.60, 123.47 (q, J=282 Hz), 63.05 (q, J=26.3 Hz), 53.56, 34.16 ppm
IR (KBr) 2968 (C-H), 1756 (COOMe), 1719 (CO), 1316-1163 (CF3) cm-1
MS (APCI) m/z 257 (M-H)
HRMS (EI) Calcd for C12H9F3O3[M]+: 258.0504, found: 258.0504.
HPLC (CHIRALCEL OD-H , hexane:2-propanol=99:1, 1.0 ml/min, 254 nm, tR=10.8 min (minorisomer), 14.3 min (majorisomer))
(第2実施形態)
2-トリフルオロメチル-1-インダノン-2-カルボン酸 エチル
【0038】
【化15】



【0039】
1-インダノン-2-カルボン酸 エチル (10.0 mg, 0.049 mmol, 1.0 equiv.)をCHCl3/CH2Cl2=1/1の混合溶媒0.5 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (18.4 mg, 0.054 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-80 ℃で5分間撹拌した。その後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (20.0 mg, 0.059 mmol, 1.2 equiv.)を加え-80 ℃で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン,シリカゲル 4 g)で精製し,収率59% (7.9 mg), 67% eeで目的物を得た。
分子式 : C13H11F3O3
M.W. : 272.22
Rf = 0.74 (benzene/ethyl acetate = 90/10)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.83 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.72-7.64 (m, 1H), 7.54-7.41 (m, 2H), 4.25 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.74, 3.58 (AB quartet, J=17.7 Hz, 2H), 1.24 (t, J=7.1 Hz) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3)δ -69.1 (s, 3F) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 192.97, 165.10, 151.68, 136.20, 134.41, 128.44, 126.27, 125.53, 123.51 (q, J=281 Hz), 63.10 (q, J=26.1 Hz), 62.81, 34.16, 13.82 ppm
IR (NaCl) 2986 (C-H), 1756 (COOEt), 1727 (CO), 1303-1158 (CF3) cm-1
MS (EI) m/z 272 (M+), 227 (M+-OCH2CH3), 199 (M+-COOCH2CH3)
HRMS (EI) Calcd for C13H11F3O3[M]+: 272.0660, found: 272.0660.
HPLC (CHIRALCEL OD-H , hexane:2-propanol=99:1, 1.0 ml/min, 254 nm, tR=8.9 min (minorisomer), 11.6 min (majorisomer))
(第3実施形態)
2-トリフルオロメチル-1-インダノン-2-カルボン酸 ベンジル
【0040】
【化16】

【0041】
1-インダノン-2-カルボン酸 ベンジル (10.0 mg, 0.038 mmol, 1.0 equiv.)をクロロホルム0.4 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (14.1 mg, 0.041 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-80 ℃で5分間撹拌した。その後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (15.3 mg, 0.045 mmol, 1.2 equiv.)を加え-80 ℃で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン:ヘキサン=9:1,シリカゲル 3 g)で精製し,収率56% (7.1 mg), 63% eeで目的物を得た。
分子式 : C18H13F3O3
M.W. : 334.29
Rf = 0.53 (benzene/hexane = 90/10)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.83 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.71-7.63 (m, 1H), 7.51-7.44 (m, 2H), 7.40-7.21 (m, 5H), 5.25, 5.18 (AB quartet, J=12.9 Hz, 2H), 3.72, 3.57 (AB quartet, J=17.7 Hz, 2H) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3)δ -69.0 (s, 3F) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 192.71, 164.96, 151.59, 136.24, 134.61, 134.38, 128.59, 128.48, 128.44, 127.72, 126.27, 125.57, 123.47 (q, J=282 Hz), 68.03, 63.14 (q, J=26.1 Hz), 34.11 ppm
IR (NaCl) 3067 (Ar-H), 3036 (Ar-H), 2955 (C-H), 1758 (COOBn), 1726 (CO), 1302-1158 (CF3) cm-1
MS (EI) m/z 334 (M+), 243 (M+-CH2C6H5), 227 (M+-OCH2C6H5), 199 (M+-COOCH2C6H5)
HRMS (EI) Calcd for C18H13F3O3[M]+: 334.0817, found: 334.0785.
HPLC (CHIRALCEL OD-H , hexane:2-propanol=99:1, 1.0 ml/min, 254 nm, tR=17.0 min (minorisomer), 21.0 min (majorisomer))
(第4実施形態)
2-トリフルオロメチル-1-インダノン-2-カルボン酸 ベンジル
【0042】
【化17】



【0043】
1-インダノン-2-カルボン酸 tert-ブチル (10.0 mg, 0.043 mmol, 1.0 equiv.)をクロロホルム0.45 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (16.2 mg, 0.047 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-40 ℃で5分間撹拌した。その後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (17.6 mg, 0.052 mmol, 1.2 equiv.)を加え-40 ℃で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン:ヘキサン=9:1,シリカゲル 4g)で精製し,収率57% (7.4 mg), 55% eeで目的物を得た。
分子式 : C15H15F3O3
M.W. : 300.27
Rf = 0.58 (benzene/hexane = 90/10)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.82 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.70-7.62 (m, 1H), 7.52-7.39 (m, 2H), 3.69, 3.54 (AB quartet, J=17.7 Hz, 2H), 1.43 (s, 9H) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3)δ -69.0 (3F) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 193.38, 164.05, 151.68, 135.98, 134.60, 128.31, 126.20, 125.38, 123.59 (q, J=281 Hz), 84.26, 63.82 (q, J=26.0 Hz), 34.23, 27.66 ppm
IR (KBr) 2978 (C-H), 2934 (C-H), 1753 (COOtBu), 1720 (CO), 1324-1146 (CF3) cm-1
MS (APCI) m/z 299 (M-H)
HRMS (EI) Calcd for C15H15F3O3[M]+: 300.0973, found: 300.0964
HPLC (CHIRALCEL OD-H , hexane 100, 1.0 ml/min, 254 nm, tR=25.1 min (minorisomer), 27.1 min (majorisomer))
(第5実施形態)
2-トリフルオロメチル-1-インダノン-2-カルボン酸 2,2,2-トリフルオロエチル
【0044】
【化18】

【0045】
1-インダノン-2-カルボン酸 2,2,2-トリフルオロエチル (10.0 mg, 0.039 mmol, 1.0 equiv.)をクロロホルム0.4 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (14.5 mg, 0.043 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-40 ℃で5分間撹拌した。その後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (15.8 mg, 0.047 mmol, 1.2 equiv.)を加え-40 ℃で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン:ヘキサン=9:1,シリカゲル 4g)で精製し,収率49% (6.2 mg), 66% eeで目的物を得た。
分子式 : C13H8F6O3
M.W. : 326.19
Rf = 0.78 (benzene/hexane = 90/10)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.85 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.75-7.67 (m, 1H), 7.56-7.44 (m, 2H), 4.74-4.39 (m, 2H), 3.75, 3.63 (AB quartet, J=17.8 Hz, 2H) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3)δ -69.4 (s, 3F), -73.7 (t, J=7.9 Hz) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 191.69, 163.83, 151.33, 136.59, 134.01, 128.76, 126.32, 125.79, 123.15 (q, J=281 Hz), 122.22 (q, J=278 Hz), 62.88 (q, J=26.4 Hz), 61.37 (q, J=37.4 Hz), 34.00 ppm
IR (KBr) 1772 (COOtBu), 1733 (CO), 1317-1169 (CF3) cm-1
MS (APCI) m/z 349 (M++Na)
HRMS (EI)
HPLC (CHIRALCEL OD-H , hexane:2-propanol=99.5:0.5, 1.0 ml/min, 254 nm, tR=15.7 min (minorisomer), 24.4 min (majorisomer))
(第6実施形態)
2-トリフルオロメチル-5,6-ジメトキシ-1-インダノン-2-カルボン酸 メチル
【0046】
【化19】

【0047】
5,6-ジメトキシ-1-インダノン-2-カルボン酸 メチル (10.0 mg, 0.040 mmol, 1.0 equiv.)をクロロホルム0.4 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (15.0 mg, 0.044 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-40 ℃で5分間撹拌した。その後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (16.3 mg, 0.048 mmol, 1.2 equiv.)を加え-40 ℃で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン:酢酸エチル=6:4,シリカゲル 4g)で精製し,収率67% (8.5 mg), 58% eeで目的物を得た。
分子式 : C14H13F3O5
M.W. : 318.25
Rf = 0.59 hexane/ethyl acetate = 60/40)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.20 (s, 1H), 6.91 (s, 1H), 4.00 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 3.64, 3.47 (AB quartet, J=17.5 Hz, 2H) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3)δ -69.3 (s, 3F) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 191.16, 165.88, 156.80, 150.25, 147.57, 127.12, 123.59 (q, J=281 Hz), 106.94, 105.35, 63.36 (q, J=26.1 Hz), 56.46, 56.20, 53.49, 33.81
IR (KBr) 3082 (Ar-H), 3020 (Ar-H), 2955 (C-H), 1756 (COOMe), 1715 (CO), 1323-1154 (CF3), cm-1
MS (EI) m/z 318 (M+), 287 (M+-OCH3), 259 (M+-COOCH3)
HRMS (EI) Calcd for C14H13F3O5[M]+: 318.0715, found: 318.0737
HPLC (CHIRALCEL AD-H , hexane:2-propanol=90:10, 1.0 ml/min, 254 nm, tR=12.4 min (majorisomer), 15.2 min (minorisomer))
(第7実施形態)
2-トリフルオロメチル-5-ブロモ 1-インダノン-2-カルボン酸 メチル
【0048】
【化20】

【0049】
5-ブロモ-1-インダノン-2-カルボン酸 メチル (10.0 mg, 0.037 mmol, 1.0 equiv.)をクロロホルム0.37 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (14.0 mg, 0.041 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-40 ℃で5分間撹拌した。その後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (15.2 mg, 0.045 mmol, 1.2 equiv.)を加え-40 ℃で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン:ヘキサン=8:2,シリカゲル 4g)で精製し,収率64% (8.0 mg), 58% eeで目的物を得た。
分子式 : C12H8BrF3O3
M.W. : 337.09
Rf = 0.55 benzene/hexane = 80/20)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.71-7.67 (m, 2H), 7.62-7.57 (m, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.74, 3.56 (AB quartet, J=18.0 Hz, 2H) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3)δ -69.2 (s, 3F) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 191.58, 165.17, 153.05, 133.18, 132.30, 132.02, 129.69, 126.64, 123.25 (q, J=282 Hz), 63.09 (q, J=26.4 Hz), 53.70, 33.73
IR (KBr) 2966 (C-H), 1755 (COOMe), 1724 (CO), 1327-1157 (CF3), cm-1
MS (APCI) m/z 337, 335 (M+-H)
HRMS (EI)
HPLC (CHIRALCEL OD-H , hexane:2-propanol=99:1, 1.0 ml/min, 254 nm, tR=12.5 min (majorisomer), 14.5 min (minorisomer))
(第8実施形態)
2-トリフルオロメチル- 1-テトラロン-2-カルボン酸 メチル
【0050】
【化21】

【0051】
1-テトラロン-2-カルボン酸 メチル (10.0 mg, 0.049 mmol, 1.0 equiv.)をクロロホルム0.5 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (18.4 mg, 0.054 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-40 ℃で5分間撹拌した。その後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (20.0 mg, 0.059 mmol, 1.2 equiv.)を加え-40 ℃で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1,シリカゲル 3g)で精製し,収率9% (1.2 mg), 65% eeで目的物を得た。
分子式 : C13H11F3O3
M.W. : 272.22
Rf = 0.22 hexane/ethyl acetate = 90/10)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 8.10 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.56-7.49 (m, 1H), 7.39-7.32 (m, 1H), 7.23 (d, J=7.4 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.06-2.99 (m, 2H), 2.88-2.78 (m, 1H), 2.55-2.39 (m, 1H) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3)δ -68.7 (s, 3F) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 186.97, 165.75, 142.07, 134.32, 131.34, 128.69, 128.39. 127.26, 123.79 (q, J=284 Hz), 61.94 (q, J=24.1 Hz), 53.57, 27.68, 25.03
IR (KBr) 3013 (Ar-H), 2962 (C-H), 2936 (C-H), 1750 (COOMe), 1700 (CO), 1308-1173 (CF3) cm-1
MS (EI) m/z 272 (M+), 213 (M+-COOCH3)
HRMS (EI) Calcd for C13H11F3O3[M]+: 272.0660, found: 272.0655
HPLC (CHIRALCEL OD-H , hexane:2-propanol=99:1, 1.0 ml/min, 254 nm, tR=10.2 min (majorisomer), 11.5 min (minorisomer))
(第9実施形態)
2-トリフルオロメチル- 1-テトラロン-2-カルボン酸 2,2,2-トリフルオロエチル
【0052】
【化22】

【0053】
1-テトラロン-2-カルボン酸 2,2,2-トリフルオロエチル (10.0 mg, 0.037 mmol, 1.0 equiv.)をクロロホルム0.37 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (13.8 mg, 0.040 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-40 ℃で5分間撹拌した。その
後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (15.0 mg, 0.044 mmol, 1.2 equiv.)を加え-40 ℃で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1,シリカゲル 5g)で精製し,収率20% (2.5 mg), 54% eeで目的物を得た。
分子式 : C14H10F6O3
M.W. : 340.22
Rf = 0.24 hexane/ethyl acetate = 90/10)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 8.10 (d, J=9.0 Hz, 1H), 7.58-7.50 (m, 1H), 7.40-7.33 (m, 1H), 7.27-7.23 (m, 1H), 4.74-4.39 (m, 2H), 3.09-3.02 (m, 2H), 2.90-2.79 (m, 1H), 2.62-2.47 (m, 1H) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3)δ -68.5 (s, 3F), -73.8 (t, J=7.9 Hz, 3F) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 186.09, 164.23, 141.84, 134.62, 131.18, 128.72, 128.56, 127.46, 123.48 (q, J=284 Hz), 122.12 (q, J=278 Hz), 61.83 (q, J=24.4 Hz), 61.32 (q, J=37.3 Hz), 27.52, 24.75
IR (KBr) 1763 (COOMe), 1698 (CO), 1308-1168 (CF3) cm-1
MS (ESI) m/z 363 (M++Na)
HRMS (EI)
HPLC (CHIRALCEL OD-H , hexane:2-propanol=99.5:0.5, 0.5 ml/min, 254 nm, tR=34.7 min (majorisomer), 38.3 min (minorisomer))

(第10実施形態)
1-トリフルオロメチル-2-オキソペンタンカルボン酸 ベンジル
【0054】
【化23】

【0055】
2-オキソペンタンカルボン酸 ベンジル (10.0 mg, 0.046 mmol, 1.0 equiv.)をクロロホルム0.46 mlに溶かし,そこへ(1R)-1-phenyl-N-((4S,5S)-4,5-diphenylimidazolidin-2-ylidene)ethanamine (17.2 mg, 0.050 mmol, 1.1 equiv.)を加え,10分間室温で撹拌した後,-40 ℃で5分間撹拌した。その
後S-(Trifluoromethyl)dibenzothiophenium tetrafluoroborate (18.7 mg, 0.055 mmol, 1.2 equiv.)を加え-40 ℃で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させた後,酢酸エチルで3回抽出し,有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒をエバポレーターで留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3,シリカゲル 3g)で精製し,収率22% (2.9 mg), 62% eeで目的物を得た。
分子式 : C14H13F3O3
M.W. : 286.25
Rf = 0.68 hexane/ethyl acetate = 70/30)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 7.40-7.24 (m, 5H), 5.26, 5.17 (AB quartet, J=12.3 Hz, 2H), 2.64-2.34 (m, 4H), 2.11-1.98 (m, 2H) ppm
19F NMR (188 MHz, CDCl3)δ -68.6 (s, 3F) ppm
13C NMR (150.9 Hz, CDCl3) δ 205.01, 165.34, 134.55, 128.70, 128.63, 127.95, 123.38 (q, J=281 Hz), 68.05, 63.05 (q, J=26.1 Hz), 38.23, 30.65, 19.29
IR (NaCl) 3067 (Ar-H), 3035 (Ar-H), 2964 (C-H), 1769 (COOBn), 1747 (CO), 1300-1196 (CF3) cm-1
MS (EI) m/z 286 (M+)
HRMS (EI) Calcd for C14H13F3O3 [M]+: 286.0817, found: 286.0800
HPLC (CHIRALCEL OJ-H , hexane:2-propanol=99.5:0.5, 1.0 ml/min, 205 nm, tR=22.7 (majorisomer), 25.5 (minorisomer))


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】


(式中Rl及びR2は,各々独立して,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基,置換基を有してもよい複素環基,換基を有してもよいアルコキシ基,置換基を有してもよいアミノ基,置換基を有してもよいアシルオキシ基を示し,Rl及びR2のどちらかは水素原子でもよい。Xはアルキレン基,=N-H,=N-R3,=N-OH,=N-O-R4,酸素原子を示し, Wは電子吸引基を示す。nは0または1を示し,RlとR2,RlとW,またはR2とWはそれぞれ共に結合して環を形成してもよい。)
で表される化合物を,下記一般式(2)
【化2】


(式中,Rl, R2, R3, R4及びR5は,各々独立して,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基である。)
で表されるキラルグアニジンまたは,下記一般式(3)
【化3】



(式中,Rl, R2,及びR3は,各々独立して,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基である。)
で表されるキラルアミンまたは,下記一般式(4)
【化4】


(式中,Rl, R2, R3, R4, R5, R6及びR7は,各々独立して,置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基などを表し,それぞれは結合して環を形成して良く,そのなかのいくつかはキラル中心を持つ置換基である。)
で表されるキラルホスファゼン・ベースの存在下に下記一般式(5)
【化5】


(式中R,R,R,R,及びR,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子,ハロゲン原子,ニトロ基,シアノ基,炭素数6から10のアリール基,炭素数1から7で置換もしくは未置換のアルキル基,炭素数1から6のハロアルキル基,炭素数1から6のアルコキシ基,炭素数2から6のアルカノイル基,炭素数2から6のアルコキシカルボニル基,炭素数3から7のカルバモイル基,アルキル及びアリール置換スルホニル基を表し,RとR,RとRが結合して環状構造を成してもよく,その環は芳香環であっても良い。RとRは同一の若しくは異なる基であって,炭素数6から10のアリール基,炭素数1から6で置換もしくは未置換のアルキル基,炭素数1から6のハロアルキル基,炭素数2から6のアルカノイル基,アルキル及びアリール置換スルホニル基を表し,RとRが結合して環状構造を成してもよく,その環は芳香環であっても良い。Xはハロゲン原子,トリフラート,トリフルオロメタンスルホンイミダイド,テトラフルオロボレート,ヘキサフルオロホスフェート,ペンタフルオロアンチモネートを表す。)
で表されるアミノスルホキソニウム塩構造の求電子的トリフルオロメチル化試薬または
下記一般式(6)
【化6】


(式中R,R,R,R,及びR,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子,ハロゲン原子,ニトロ基,シアノ基,炭素数6から10のアリール基,炭素数1から7で置換もしくは未置換のアルキル基,炭素数1から6のハロアルキル基,炭素数1から6のアルコキシ基,炭素数2から6のアルカノイル基,炭素数2から6のアルコキシカルボニル基,炭素数3から7のカルバモイル基,アルキル及びアリール置換スルホニル基を表し,Aは酸素原子,硫黄原子,セレン原子,テルル原子を表す。Xはハロゲン原子,トリフラート,トリフルオロメタンスルホンイミダイド,テトラフルオロボレート,ヘキサフルオロホスフェート,ペンタフルオロアンチモネートを表す。)
で表されるジベンゾカルコゲニウム塩構造の求電子的トリフルオロメチル化試薬または
一般式(7)
【化7】


(式中R,R,R,R,及びR,は同一の若しくは異なる基であって,水素原子,ハロゲン原子,ニトロ基,シアノ基,炭素数6から10のアリール基,炭素数1から7で置換もしくは未置換のアルキル基,炭素数1から6のハロアルキル基,炭素数1から6のアルコキシ基,炭素数2から6のアルカノイル基,炭素数2から6のアルコキシカルボニル基,炭素数3から7のカルバモイル基,アルキル及びアリール置換スルホニル基を表す。)
で表される超原子化ヨウ素化合物タイプの求電子的トリフルオロメチル化試薬と反応させることを特徴とする,一般式(8)
【化8】


(Rl,R2,X,n,Wは,各々,前記と同様のものを示す)
で表される光学括性トリフルオロメチル化合物の製造方法。
【請求項2】
光学活性な塩基がキラルグアニジンである請求項1記載の光学活性トリフルオロメチル化合物の製造方法。
【請求項3】
Wがアルコキシカルボニル基,アリ-ルオキシカルボニル基,アミノカルボニル基,アシル基,ホルミル基であり,それぞれの基は置換基を有していてもよい請求項1記載の光学活性トリフルオロメチル化合物の製造方法。
【請求項4】
Rlが,水素原子,あるいは置換基を有していてもよい低級アルキル基,脂環族炭化水素基,芳香族炭化水素基から選ばれる基である請求項1記載の光学括性トリフルオロメチル化合物の製造方法。
【請求項5】
Rlが水素原子あるいは置換基を有していてもよい低級アルキル基,脂環族炭化水素基,芳香族炭化水素基から選ばれる基であり,Wがアルコキシカルボニル基,アリ-ルオキシカルボニル基,アミノカルボニル基,アシル基,ホルミル基であり,それぞれの基は置換基を有していてもよい請求項1記載の光学括性トリフルオロメチル化合物の製造方法にある(。

【公開番号】特開2010−209007(P2010−209007A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57620(P2009−57620)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】